2014年01月08日

ユネスコさん、捕鯨も世界遺産「ワショク」にブッコミでOKなのですか!?

◇ユネスコさん、捕鯨も世界遺産「ワショク」にブッコミでOKなのですか!?

■An Open Letter to UNESCO about the Registration of "Washoku"
http://www.kkneko.com/english/unesco.htm
■「和食」の無形文化遺産登録に関するユネスコへの公開質問状
http://www.kkneko.com/unescoj.htm


■日本の食文化から見た鯨肉食
http://www.kkneko.com/bunka.htm
■日本の鯨肉食の歴史的変遷
http://www.kkneko.com/rekishi.htm


■世界の食料、3分の1廃棄=年13億トン、スイスのGDP超−国連報告 ('13/9/11,時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201309/2013091100949
■Food wastage footprint: Impacts on natural resources - Summary report - i3347e.pdf
http://www.fao.org/docrep/018/i3347e/i3347e.pdf


報告書によると、最悪の廃棄地域は日中韓を含む「産業化されたアジア」。1人当たり年平均100キロ以上の野菜、コメを中心とする約80キロの穀類を廃棄しているという。また、北米・南米の食肉産業やアジア、欧州、中南米における果物の廃棄問題も指摘されている。
 記者会見したダシルバ事務局長は、野菜の見た目の悪さを気にして購入を控える先進国の「ばかげた消費行動」を問題視するとともに、食品の賞味期限の厳格な順守が膨大な食料廃棄の原因になっていると述べた。(引用〜時事記事)


■検出農薬の毒性評価誤る=「甘い基準で判断」社長謝罪−厚労省が指摘・マルハニチロ ('13/12/31,WSJ)
http://jp.wsj.com/article/JJ11293907307504204705320307238291438301685.html
■コロッケ衣から農薬、基準の260万倍 マルハ系冷食 (1/7,日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0700S_X00C14A1000000/
■食品に混入された有機リン農薬「マラチオン」の”毒性”について自ら調べないマスコミ|水島宏明氏/BLOGOS
http://blogos.com/outline/77167/
■ウナギ偽装の神港魚類(マルハグループ)と捕鯨 (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/29291235.html

 本題に入る前に、まずは関連する2つのトピックについて。

 FAOの報告は9月の報道がツイートで流れてきたのですが、同じ国連機関・ユネスコの審査委員の目に触れなかったのは残念です。
 上掲リンクのとおり、「最悪の廃棄地域は日中韓」。こういうとこでは実に仲良しでんな・・・
 もっとも、食糧廃棄増の根本原因=FAO事務局長いわく「ばかえた消費行動」が、主にどの国の実態を指しているかは、皆さんは説明するまでもないでしょうね。そう、まさに飽食ニッポンの《モッタイナクテOK》ブンカに他なりません。
 JA・食品業界とマスコミが消費者を長年誘導して築き上げた、見た目に徹底的にこだわる潔癖神経症の感覚。生産の現場とますます切り離されていく食卓。人口1人当りの食料廃棄量は公式の数字だけでも世界一ながら、その影にはさらに日本特有の膨大な無駄≠ェ潜んでいるのです。その恥ずかしい先シン国%本の飽食・廃食ブンカが輸出されたことで、中韓等が後追いする形となっているわけです。拙ブログでは従前から指摘してきましたけど、人口13億の中国が日本を真似たとしたら、マジでとんでもないことになりますよね・・・

 もう一点のマルハニチロ冷食農薬混入事件の方は、被害がどんどん拡大する様相を呈していますが・・
 製造した子会社の方は風評被害≠ナ苦境に立たされているとのこと。しかし、問われるべきはむしろ、親会社マルハニチロ・ホールディングスの体質ではないでしょうか。一連の対応のマズさからは、早期に風評被害≠阻止して事態の沈静化を図ろうとし、結局失敗したという印象をぬぐえません。
 この事件、おそらくどこかの工程で内部事情に詳しい何者かが意図的に混入した可能性が高いと思われますが、中国産ギョーザと同様(?)メーカーは一応被害者の立場とはいえるでしょう。しかし、マルハニチロは「食べても健康に影響なし」との説明で自ら墓穴を掘りました。
 「ARfD(急性参照用量)に関する知識がなかった」との言い訳は、本来食品メーカーとしては恥ずべきこと。一方でLD50(実験動物半数致死量)の数字を引っ張り出しておきながら、そっちの「知識がない」という弁明にも首をかしげますが。結局、消費者の健康への安全性より、投資家を意識した企業イメージの悪化を恐れる余り、こうした守りの姿勢≠ノ終始したといえるでしょう。
 思い出すのは、調査鯨肉横領/窃盗事件をめぐり、二転三転した共同船舶(マルハニチロから切り離され、競合他社の同部門と統合された最後の商業捕鯨会社が前身)社長らの弁明。あるいは、まさに世界遺産登録とかぶった食品表示偽装の各ホテルチェーンによる「知らなかった」との言い訳や、国をあげての放射能風評被害<Lャンペーンにも通じるものがあるといえます。
 しかも、リンク先にあるとおり、背景には農薬ムラの問題も。この国の社会は、放射能にも農薬にも鈍感な消費者をあえて育ててきたわけです。関連する産業界の利益(癒着した官庁の省益も含む)を最大化するために。それもまた、歪みに歪みきった日本の食ブンカそのものといえるでしょう。
 それにしても、元捕鯨会社のマルハニチロ関連の食の安全トピックが、ネオニコチノイド問題がいま取り沙汰されている農薬ムラへとつながっていくのは、一体何の因果でしょうね・・・・

 さて、日本が世界に評価されるほど、伝統に裏打ちされた食に対する意識を供えているなら、世界に冠たる食料廃棄大国になるはずがありません。
 日本の社会において伝統食文化が高い位置づけを与えられていたなら、(犯罪を防ぐのは無理にしろ)食品関連企業が消費者・国民に対してかくも不誠実で見苦しい言い訳をすることもなかったはずです。
 違いますか?

 そういう次第で、昨日ユネスコ宛に質問状を送りました。英文・日本文ともHPに掲載してありますが(上掲リンク)、日本語バージョンを当記事にも張っておきます。
 ユネスコへの国をあげたロビイングについては、リンク先の報道などをご参照いただきたいと思いますが、「活け造り」問題について少々補足を。
 動物福祉(AW:Animal Welfare)の立場にしろ、動物の権利(AR:Animal Right)の立場にしろ、主要な関心対象は主として鳥類・哺乳類ですが、魚についても議論はあるわけです。無脊椎動物でも、長寿のロブスターの保護を求める運動が話題にされたり。
 これらは主としてAWの観点からの人道的捕殺の議論であり、ひらたく言えば「ニンゲンが万物の霊長である以上、《必要》以上に、むやみやたらとより多くの苦痛を与えたり、苦痛を長引かせることはやめましょうよ。たとえ魚やイカであっても」という話です。
 無論、貝もエビカニも消費する文化圏を問わず生きたまま茹でるケースが多いですし(二枚貝まではOKとシンガー氏は述べてますけど・・)、言い出せばきりがない話ではあります。しかし、「きりがない」といって苦痛に対する配慮を一切なしですませるのは、やはり万物の霊長にあらざる振る舞いでしょう。
 そして、中には度を越えて残虐なものもあります。
 日本人が世界に後ろめたさを感じずにはおれない(あるいはそうあるべき)奇怪な風習。
 「生きるために仕方なく」という意味での《必要性》は微塵もありません。
 西欧発の工業文明が到達して間もない、資本主義経済が浸透していない、未開に等しい地の少数民族の風習というわけでもありません。
 万札を払って上がる座敷の上や、他のサービスはすべて西洋流の一等級のホテルで繰り広げられる、不可解きわまる儀式=B
 美食の求道のための、意味のない、あまりにも無駄な残虐性。
 新鮮さのアピール? 活け造り以外の水産食品は鮮度が悪いんですか? バカバカしい。

 正直、筆者は活け造り問題についてはこれまで目をつぶってきましたし、今後もそのつもりでいました。
 今回のワショク世界遺産登録さえなければ。
 年端のいかない子供たちの多くは、初めて目にしたとき「ぎゃあ」と声をあげ、顔をしかめ、泣き出す子さえいるでしょう。
 しかし、大人たちは笑ってオトナの屁理屈でこどもをなだめるばかり。その子らも大人になるまでには感覚がマヒし、受け入れるようになってしまうという寸法です。
 それでも、命をむやみやたらにいたぶることに快感を覚える層が、現代の若者で多数派を占めるとは思いません。
 これまでに廃れてきた数々のナンセンスな因習のように、あるいはまだ潰れていないけれどもその過程にあるといっていい割礼や煙草などと同様に、時代の流れの中で消えていく代物だと。むしろことさらつっつかずに放置していたほうが、廃れるのも早いに違いないと。そう思っていたからです。
 しかし──ワショクに対してユネスコ・世界がお墨付きを与えるということになれば、話は別です。

 確かに、同じ脊椎動物といっても分岐年代をはるかに遡る、縁の遠い魚、「たかが魚」かもしれません。
 しかし、たとえ「たかが魚」であってもここまで平然といたぶれるからこそ=A犬猫の炭酸ガス窒息死をもって安楽死とみなす主張が罷り通るのだと、動物(ニンゲンもその一種であるところの)の苦痛に対し、日本人はそこまで無頓着になれるのだと、そうした見方を肯定することになりかねません。
 地球の裏側の南極海でまでクジラを殺し、犬猫を大量に窒息死処分し、世界の食糧援助を上回る膨大な食糧を廃棄する、命に対する冷淡さで抜きんでている国において、「活け造り」を楽しむ&酪Kが存在することは、はたして偶然の符合と言い切れるでしょうか?


 もちろん、欧米あるいは中国も五十歩百歩の部分はあります。そもそもフランス料理もね・・登録されるべきではなかったと思いますよ・・・
 筆者は日本人であるが故に、日本人の徳性として、自国・自民族により厳しい目を持ちたいと思いますけど。。
 付け加えるなら、筆者にも他の日本人の皆さんと同様、「和食にも(相対的に)いい面はある」と胸を張って訴えたい気持ちもあります。相対的には、やはり台湾の素食に負けちゃいますけど。。
 しかし、「アンダーコントロール!」と世界を騙してせしめた2020五輪東京開催決定の経緯を見ればわかるとおり、いまの日本には「自らへの戒めとする」能力が根底から失われてしまいました。311で傷ついた日本を慮って世界がエールを送ると、ただひたすら天狗になるばかりの幼稚でわがまな国家になってしまいました。大変残念なことに。
 何しろ、ユネスコに強力に働きかけた農水省と食品業界は、自分たちの商売のことしか考えていないのです。

 そしてまた、便乗するヒトたちも出てくるでしょう。
 すでに「ユネスコが捕鯨を認めた!」との声もチラホラとあがっています。いまのところは一握りの狂信的な反反捕鯨カルトだけですが。
 しかし、IWC(国際捕鯨委員会)年次会議等の場において、日本の代表団はきっと「ワショク」に言及するに違いありません。森下大明神は「文化に興味ない」とおっしゃいましたけど、他のメンバーが口にするに決まってます。もちろん、国内のヨイショ著名人や族議員たちも。

 荒んだ日本の食の実情を知っている日本人なら、「和食を世界遺産に」と持ち上げられれば、誰でも良心の呵責を、恥ずかしさを覚えずにはいられないはず。
 あるいは、後ろめたさすら感じないほど、日本人の伝統的な食(=命)に対する認識は堕落しきってしまったのでしょうか?

 そうではないことを世界に示すために、皆さんもぜひ、日本人としてユネスコ宛にメッセージを送ってください。海外の人たちに、「そんなに持ち上げられると、実はとても心苦しい」という率直な気持ちを伝えてください。
 賛同人・賛同団体も募集しております。CFTさん多謝m(_ _)m
 また、筆者はチクリとやらずにいられない性格ですが、もっとソフトなアプローチもあっていいでしょう。五輪と同じく。

 こんなことを言うと、11万票を集めてネトウヨと翼賛メディアに感謝されたテキサス親父氏や、反反捕鯨カルトのメンバーたちもせっせと圧力をかけようとするかもしれませんねぇ・・
 どうぞどうぞお好きなようにやっちゃってください。
 貴方方が「捕鯨は歴とした和食の一部だ、ユネスコは正しい! うろたえるな!」と抗議してくれれば、彼らはきっと自分たちが大きな過ちを犯したことに気づくでしょうから・・・・

 今回の公開質問状に関しては、現実的・合理的かつ明確なゴールを設定してあります。
 この際、ユネスコにはぜひはっきりと答えていただきましょう。

参考リンク:
−捕鯨・鯨肉食は世界に通用する文化? (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/29027433.html


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「和食」の無形文化遺産登録に関するユネスコへの公開質問状


  昨年12月、アゼルバイジャンで開かれた貴国連教育科学文化機関(ユネスコ)の政府間委員会にて、日本が申請していた「和食」が世界無形文化遺産として正式に登録されました。この登録はさまざまな分野、とりわけ環境保護と動物福祉における国際的な議論に大きな波紋を引き起こすものであり、私たちはその影響をとても憂慮しています。

  ウナギやマグロ等、高度海洋性魚種に関しては、国連海洋法条約の規定により国際機関に資源管理が委ねられています。しかし、近年は過剰漁獲による資源減少が懸念されています。過剰漁獲を招いている大きな要因のひとつが、一大消費国である日本の「和食」であることは疑いの余地がありません。日本の農水省は、今回の世界遺産登録をバネに、「和食」を国際的に普及・推進する方針を打ち出しています。今後、これらの魚種の消費が、文化のかけ声のもとに際限なく拡大することになれば、漁業資源にさらなる圧迫を加えることは必至です。
  現在、国際捕鯨取締条約のもとで商業捕鯨は禁止されております。しかし、学術的価値が高く、包括的な環境保全の必要性が国際的に広く認知されている南極圏において、日本政府は事実上の商業捕鯨に匹敵する調査捕鯨を継続しています。日本国内では、今回の貴機関の「和食」世界遺産登録を受け、「捕鯨・鯨肉食が国際機関に文化として認められた」とする声がすでに上がっています。
  今日、国際社会においては、産業動物・愛護動物・野生動物の人道的取扱を求める声が高まっています。欧州評議会、国際経済協力開発機構、世界保健機関等の国際機関においても、動物福祉の観点から一定の基準や規制が導入されているところです。ほかでもない貴ユネスコにおいても、動物実験における福祉基準が設けられているのは、ご承知のとおりです。
  世界の食にまつわる習慣の中には、台湾の素食のように、動物福祉の理念が盛り込まれたものも存在します。一方、その対極にあるのが一部の和食です。中には、世界でも例を見ないほど動物福祉への配慮を著しく欠くものが含まれています。和食のひとつである「活け造り」は、切り刻んだ魚やイカ等をわざと生かしたまま食客に提供するものです。また、同じく「踊り食い」は生きたまま呑み込み、胃の中で動くさまを一種のパフォーマンスとして楽しむものです。
  日本の農水省は、化学調味料メーカーをはじめとする食品業界とともに、日本食・食材のブランド価値を高め、輸出を振興する目的のもと、多額の予算を投じ、「和食」世界遺産登録を目指し、貴機関や諸外国に対するロビイングを行ってきました。日本国内の新聞は、今回の「和食」登録に際し、事前審査を行う補助機関のメンバーとして、本来ならアジア地域代表としてアフガニスタンの委員が採用されるべきところ、石仏修復・援助と引き換えに、日本から委員が送られることになったと伝えています。こうした政治的アプローチは、国際的な公平性、道義性の観点からいかがなものでしょうか。
  今回の決定に関する貴機関の対応について、以下のとおり質問し、回答を求めます。



1.「和食」登録の審査にあたって、環境保護の観点、環境に与える影響について考慮されましたか。考慮された場合は、具体的な内容をお答えください。

2.「和食」登録の審査にあたって、動物福祉の観点について考慮されましたか。考慮された場合は、具体的な内容をお答えください。

3.今回の「和食」登録とそれによる普及・推進活動が、高度回遊性魚種の資源に与える影響について、どのような認識をお持ちか、お答えください。

4.調査捕鯨とイルカ猟は、今回世界遺産に登録された和食に含まれる、貴機関によって認定された文化なのですか。「ユネスコが日本の捕鯨にお墨付きを与えた」とする日本国内の声について、貴機関としての公式な見解をお聞かせください。

5.「活け造り」等について、また貴機関の世界遺産登録における動物福祉面の取り扱いについて、公式の見解をお聞かせください。


以上

カメクジラネコ

賛同団体
Choices for Tomorrow (CFT)


参考:
- CIOMS and ICLAS release the new International Guiding Principles for Biomedical Research Involving Animals
http://www.cioms.ch/index.php/component/content/article/12-newsflash/227-cioms-and-iclas-release-the-new-international-guiding-principles-for-biomedical-research-involving-animals
 - Gateway to Farm Animal Welfare
http://www.fao.org/ag/againfo/themes/animal-welfare/aw-abthegat/aw-whaistgate/en/
 - Bureaucrats seek to pick winners with $1 billion 'Cool Japan' Fund
http://www.reuters.com/article/2013/11/24/us-japan-cool-idUSBRE9AN0JB20131124
 - Two-thirds of department stores in Japan misrepresenting food: industry
http://www.japantimes.co.jp/news/2013/11/29/national/two-thirds-of-department-stores-in-japan-misrepresenting-food-industry/#.UrCLt_iCiM-
- 「和食」登録、農水省が先導 農村振興・輸出拡大狙う ユネスコ無形文化遺産に
http://www.asahi.com/articles/TKY201312050551.html
 - Farm ministry's efforts key in 'washoku' being added to UNESCO list
http://ajw.asahi.com/article/economy/business/AJ201312070010

 
posted by カメクジラネコ at 00:36| Comment(5) | TrackBack(1) | 社会科学系

2013年12月29日

捕鯨外交が暗示していたアベイズムの闇

◇捕鯨ニッポン、いよいよ終了≠フ危機!? 捕鯨外交が暗示していたアベイズムの闇

 南極海でのスッタモンダが瑣末事に思える今日この頃ですが、まずは直近の捕鯨関連ニュースをおさらい。


■反捕鯨団体、危険行為自重を=米豪など4カ国が共同声明 (12/20,時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201312/2013122000626
■捕鯨巡る衝突を監視、豪政府が航空機派遣 (12/24,日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO64484680T21C13A2CR8000/
■豪政府、日本の捕鯨船団とシー・シェパードを上空から監視 (12/22,AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3005502

 



 1本目の時事の配信記事はタイトルがおかしいですね。「双方に自重」ですよ・・。まあ、沖縄反対10人のホラ吹き産経よかマシですけど。。
 まあ、そうはいっても、今年はノルウェーからのミンク輸入報道が示すとおり、南極海プロレスの対戦相手であるSSCS(シー・シェパード)の援けを借りた、足掛け数年の大減産の甲斐(?)あって、溜まりに溜まった鯨肉在庫がようやく解消されたと考えられますから、逃げの一手だった昨年までとは状況が異なります。
 加えてここへ来て、アベノミクスや五輪誘致、大判振る舞いの公共事業復活といった金糸綴りの派手な装いの下から、特定秘密保護法の強行採決をはじめとする安倍政権のドス黒い正体が露骨に顔を出してきました。まあ、先の国政選挙で自民党に投票しなかった人はみなわかってたことでしょうが・・


 今冬の南極海は、いつにもまして危険かもしれません。


 調査捕鯨事業の中で、船舶火災や転落事故により亡くなった方はこれまでにもいますが、戦争≠フ犠牲者が出ないとも限りません。
 日本が「円滑化事業」の名目のもと、税金で装備させた音響兵器LRADや放水砲は、極寒の南極海で使用されればヒトを殺せる代物なのです。
 しかも、過去の船団長が海保の職員に対して「いつ機関銃が火を噴くんですか?」とせっつくほど、捕鯨関係者の人命に対する感覚は希薄なのです。
 AUS(オーストラリア)は衝突を防止すべく監視航空機を派遣する旨発表しましたが、はたして空からの監視だけで十分な抑止力になるか、一抹の不安がよぎります。本来ならば、ヒト同士の醜い争いの監視ではなく、野生動物の科学的調査のために、こうしたリソースは振り向けられるべきなのですが・・


 勇ましい言葉を連発する安倍首相と彼を素朴に礼賛する右翼たちは、南極海というお国の最前線≠ナ闘う兵士たち≠ェ、お高くとまった白人たちの組織に対し、背を向けずに闘う姿を待ち望んでいる気がしてなりません。
 「アンダーコントロール」「第三者的」と日本語をことごとく破壊してきた安倍首相は、A級戦犯が合祀された靖国参拝の口実に「恒久平和」を謳うことすら出来てしまう人物です。彼ならば、大東亜共栄圏の建設を目指した先の戦争を、平和≠フ実現の名のもとに美化することも容易でしょう。「神のクニ、美しいクニ、ニッポンがすべてを統べ、恩寵を授けることによってこそ、世界平和が達成されるのだ」と、本気で信じてしまっているに違いありません。
 外交の常識を無視し、国際政治の文脈を理解できず、しようともせず、自らの行動を律する能力がない狂信的な指導者とは、すなわちファシスト以外の何者でもないでしょう。
 反反捕鯨論者たちにとっての公海・南極海とそこに棲む野生動物の位置づけは、かつての超拡張主義者にとってのアジア諸国とそっくり重なります。欧米アングロサクソン・白人の、ではなく、アジアないしクジラに対し特権を有する存在たる日本人のものだと。自分たちの「アンダー・コントロール」であるべきだ、と。
 気候変動や地球規模の化学物質汚染、大規模遠洋漁業による水産資源の乱獲といった新たな問題に対処するには、現行のシステムでは海へのアクセスのない国、声を持たない将来の世代にとって公平性を担保することが不十分であることが明らかです。とりわけ、豊かすぎる北半球の飽食国家が、南半球の、それも脆弱で固有性の高い南極の自然を収奪することの正当性が問われています。
 日本のジゾクテキリヨウ教は、まさに時代に逆行するものです。超拡張主義的資源ナショナリズムの一方的押し付けに他なりません。

 富士山とワショクの世界遺産登録、2020東京五輪開催と、この1年、国際社会は日本に善意のエールを送り続けてきました。311の大震災と原発事故で傷ついた日本が再起できるようにと願いを込めて。
 大きな過ちでした。

 日本国民の多くが、沖縄・広島・長崎・東京を含む太平洋の過去の惨禍と、それを引き起こした責任を胸に刻み、「二度と過ちを繰り返さない」と誓っています。
 しかし、過ちを繰り返すことを熱望している人たちも一部にはいます。彼らが「繰り返すまい」と胸の内で誓っているのは、「敗戦」「米国への敗北」なのです。
 残念ながら、日本はドイツではありません。日本人としては耐え難い屈辱ですが。
 戦後2/3世紀を経たいまなお、脳が化石化した連中が政治の中枢に居座り続け、国中を覆った311後の閉塞感・悲壮感に便乗し、一気に勢力を盛り返したのです。
 311によって、この国の羅針盤は未来へのパラダイムシフトを指し示す代わりに、愚かな過去へと船の舳先を向けさせてしまったのです。

 安倍首相のとち狂った復古主義者としてのアピールを受け、米国大使館、続いて国務省が「失望」という異例のコメントを発表しました。
 前回、米国に耳の痛い諌言を受け、お腹が痛くなって途中で放り出したおぼっちゃま首相は、「辺野古移設という特大プレゼントをくれてやったんだから、これで俺がやりたいことをやっても大目に見てもらえるぞ」と浅はかにも考えたのでしょう。

 しかし、米国さん。日本の本質、言葉の空疎さは、とっくに見抜けてよかったはずですよ。
 北朝鮮とまさに等しく、抑制とバランスが働かない国であることを。
 IWC(国際捕鯨委員会)において、外部から外交調停の専門家を招いて日豪間の歩み寄りを促した一連の交渉で、日本がいかにエゴを剥き出しにしてきたか、貴国は見てきたはずです。
 自国企業の進出と引き換えの援助という、原始的な手法以外およそ高度な戦術・戦略と無縁な日本の外交が、IWCやCITES、ICJといった場において突然、強かさというにはエグすぎる手練手管を使用し、権益確保に固執する様を見て、貴国は察することができたはずです。 
 戦前と何一つ変わらない唯我独尊の気質が残存していることに、貴国は気づいてよかったはずです。
 一部承知している人たちは確かにいたはずですが、「まさかそんなことはあるまい」と、あるいは「米国が適切に導いてやることで、国際社会で責任を果たせる成熟した国家になれるはずだ」と、楽観的な見方が主流だったことが、今日の「失望」につながったのは否めません。
 もちろん、軍需産業をはじめとする米国企業の短期的利益のために、目を瞑っていた部分もあるでしょうが。

 日本や中国と同様、一つの国という言葉でくくれるわけではないことを承知のうえで言えば、米国は愚かでした。
 一番のオトモダチ、日本をコントロールしようと目論み、失敗しました。
 かつて牙を向いて襲いかかって猛犬(ワンコたちゴメンm(_ _)m)を、安保の鎖でつなぎ、餌をたっぷり与え、徹底的にしつけようとしました。共産圏から極東の砦を守る優秀な番犬にしようと、軍事力・原子力という危険な骨を与えてまで。その結果、尻尾を振って何でも言うことを聞く忠犬に仕立てることができた、そう思い込んでいました。
 しかし、まだ骨が浮く状態だった頃に与えた南極産鯨肉の器だけは、主人がいくら返すように説得しても、うなり声を立てて決して返そうとはしませんでした。
 そのとき、瞳の奥に灯っている狂気に気づくべきだったのです。

 
 米国の責任はあまりにも重く、「失望」の一言で済まされる話ではありません。
 首相と国民との間で、まるでイオンをコントロールする細胞膜の如き「情報の壁」を築いたマスコミの責任も。
 しかし、戦後最悪の首相を選んでしまった最大の責任があるのは有権者、日本の国民です。
 あまりにも都合のよすぎるバラ色の未来を提示され、うかうかと乗っかってしまったのが、たとえ悲劇に見舞われた後だったとしても。疑うことに疲れ、つい信じ込んでしまったとしても。

 真っ黒な真実を真っ白な虚飾で覆い隠す便利なコトバ、「アンダーコントロール」にすべてが示されています。

■継ぎ目の止水材劣化か=タンクせき225トン漏水−福島第1 (12/27,時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013122700848
■海側井戸で210万ベクレル=最高値を更新−福島第1 (12/27,時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013122700846

 当事者の東電すら「劣化は想定していなかった」「詳しい原因は分かっていない」というほどの悲惨な状況を指して、「アンダーコントロール」と言えてしまうほど、とてつもなく愚かな指導者なのです。
 「アンダーコントロールではありませんでした。ごめんなさいm(_ _)m」と世界に向けて平身低頭謝罪することのできない、どうしようもなく不誠実な指導者なのです。

 来年早々に行われる重要な選挙、名護市長選、都知事選で、必ず自民党(公明・維新・みんなも)にノーを突きつけましょう。
 ここで安倍政権にイエスの答えを出せば、日本は今度こそ本当に、本当に終わってしまいます。世界中の罪のない人々と自然、動物たちを巻き添えにして。



◇お知らせ

 年内に想定していた某アクションですが、諸事情により延ばします。おそらく来月上旬になりそう。別件も重なるけど(--;;

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2013年12月15日

鳥獣保護法・狩猟適正化答申案パブコメ

■「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について(答申素案)」に対する意見の募集について(パブリックコメント) (お知らせ)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=17387


 今月17日が期限です。皆さんも環境省に意見を送りましょう。
 NGOのコピペでもいいけれど、短くてもいいから、なるべく自分自身の言葉でメッセージを伝えるようにましょう。
 
 
筆者もジュゴンから犬猫、特定秘密まで、国や自治体に意見を送ってきましたが、たとえヘンテコでも、あまり他人の意見に流されず(むしろ補完することを意識して)、自分の考えを述べてきたつもりです。
 パブコメの意義は、「国民の意見の多様さ」を行政が把握することにあります。賛成派VS反対派の動員票取り合戦にしちゃいけません・・。日本のパブコメは、残念ながらそういう要素が大きく、だから悲観的にもなるのだけど・・
 けれど本当は、少数意見、民意の多様性に配慮し、行政が自らを律するためにこそ、パブコメという制度があるハズなんだよね。選挙とは別の形で民意を活かすために。

(以下、筆者の送付意見)

   〜 〜 〜

意見:

1 該当箇所
 1ページ5、6行


2 意見内容
 狩猟史についてバランスの取れた記述にする。もしくは全文削除すること。


3 理由
 被害防止以外の目的による捕獲(権力者による鷹狩等)、捕獲の禁止、保護・禁忌の理念、明治期の乱獲と絶滅・激減等に関する記述がない。日本の狩猟史の概要説明としては、あまりにも短絡的な表現であり、国民の誤解を招く恐れがあるため、この内容であれば記載の必要はない。


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1 該当箇所
 1ページ14行


2 意見内容
 「急速な個体数増加と分布拡大が起こっ」た原因を明記すること。


3 理由
 個体数増加と分布拡大が起こった要因については、オオカミの絶滅、長期的な視野を欠いた戦後の拡大造林政策とその後の放置、過疎化により中山間地域の伝統農林業・コミュニティが崩壊し、バッファーとなる里山の維持管理が困難になった等が挙げられる。きちんと明記するべき。国民の著しい誤解(野生動物は自然のままでも人間がコントロールしなければ急増するものだ等)を招く恐れがある。


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1 該当箇所
 1ページ21、22行

2 意見内容
 「従来の保護のための施策から(中略)施策への転換が不可欠である」を「従来の保護および管理の施策について慎重に見直すことが必要である」に改める。

3 理由
 従来、保護一辺倒の施策が行われてきたわけではない。保護と管理は最低でも並行して進められるべき政策の両輪である。問題は、PDCAサイクルが機能していない、広域管理の認識に欠けていた等、個々の施策の運用に欠陥があったことに起因しており、保護施策そのものが誤っていたわけではない。

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1 該当箇所
 1ページ21、22行

2 意見内容
 削除すること。

3 理由
 生物多様性国家戦略に掲げる自然共生社会の実現は、既存の開発・公共事業のあり方の再検討、価値観の再構築に主眼を置くべきものであり、生物多様性に配慮する開発が未だ主流となっていないわが国の現状を顧みるなら、鳥獣管理をもって多様性に資するとの表現は、やはり国民に大きな誤解を招く恐れがある。

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1 該当箇所
 2ページ6〜8行

2 意見内容
 「これらは概ね種の保存法等により保護が図られており、(中略)状況は概ね横ばいである」とあるが、「多くの種が依然として厳しい状況にあり、レッドリストは直接的な法的効果を持たないため、引き続き保護のための施策の強化が求められている」旨付け加えること。

3 理由
 環境省の発表した第4次レッドリストを見る限り、適切な保護施策により改善が図られた状況とはいえない。哺乳類では、新たに8種・個体群がリストに追加された一方、種数が横ばいに見えるのは亜種の統合によるもので、個体数推移の評価に基づくものではない。鳥類においても、11種・個体群が新規追加されたが、外れたのは迷鳥と判断された2種のみである。そもそも、絶滅危惧からの改善を図ることが法の趣旨である。この記述では、「保護施策は十分でもう必要ない」との、著しい誤解を国民に与える恐れがある。
 なお、上記は平成24年8月28日の環境省の報道発表にて使われている表現に基づく。

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1 該当箇所
 2ページ11〜20行


2 意見内容
 削除すること。


3 理由
 環境省の生物多様性情報システム(J-IBIS)にて公開されている特定哺乳類生息状況調査報告書(平成23年) によれば、中大型哺乳類5種における既存情報と階層ベイズ法による推定値との間には、きわめて大きな開きがある。階層ベイズ法の性質について詳細な解説を答申に含めることができないなら、偏った参照情報を与えることになり、国民の誤解を招く恐れがある。


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1 該当箇所
 2ページ25行


2 意見内容
 農林水産業に対する被害とそのコストの相対的な割合を明記し、国民に可視化できるようにすること。


3 理由
 気象・天候被害、為替変動による燃油等の高騰、TPP加入による影響等によるコストも列記すべき。コストの数字については、国民の理解を得るためにも相対的な評価が必要である。


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1 該当箇所
 2ページ25〜27行

2 意見内容
 「数字に現れない被害」は削除するか、「数字に現れない効用」について併記すること。
 営農意欲の低下・耕作放棄地増加を招く他の要因についても明記し、その比率について検証すること。

3 理由
 法改正・予算運用の根拠とするにはきわめて不十分かつ公正を欠くあいまいな記述であり、官庁作成の文書の体をなしていない。

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1 該当箇所
 2ページ29〜31行

2 意見内容
 「社会が直接的な被害のコストも負担」との記述は削除するか、具体的な数字を算出し、明記すること。

3 理由
 法制の見直し・予算執行の根拠とするにはきわめて不十分かつ公正を欠くあいまいな記述であり、官庁作成の文書の体をなしていない。
 「被害を防止するための予算や労力」/「鳥獣被害防止総合対策交付金」については、農協組織等への外国産品との価格差対策その他の名目で支給されるすべての交付金の金額を併せて提示し、鳥獣被害防止が占める比率を国民に可視化できるようにすべき。また、農林水産業の防災を名目とする国・各自治体の整備事業のコストも合わせて明示すべき。

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1 該当箇所
 2ページ40行〜3ページ1行

2 意見内容
 「重要な景観構成要素」以下を削除すること。

3 理由
 わが国では未だ、重要な景観構成要素である自然景観に十分配慮した開発がなされているといえない。お花畑の消失に関しては、盗掘や踏み荒らし行為等、観光客の増加とモラル低下の影響も決して無視できない。植生への影響に関しては気候変動も大きく、昨今の気候変動枠組条約における日本政府の後退姿勢は理解に苦しむ。
 こうした表現は、あたかもニホンジカが日本の生態系に影響を与えている最大の要因であるかの如き、きわめて重大な誤解を招く恐れがある。

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1 該当箇所
 3ページ6〜8行

2 意見内容
 具体的な件数と増減傾向をあげるか、削除すること。また、日本に限った話ではまったくないので、海外の事例と行政の対応を紹介すること。

3 理由
 法制の見直し・予算執行の根拠とするにはきわめて不十分かつ公正を欠くあいまいな記述であり、官庁作成の文書の体をなしていない。

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1 該当箇所
 3ページ8〜11行

2 意見内容
 「さらに」以降を削除すること。もしくは、投資対効果を明示し、評価が誤っていた場合の省としての責任の取り方も明示すること。

3 理由
 従来の護岸・ダム一辺倒の硬直した治水等防災事業のあり方が見直されている中で、こうした根拠薄弱な主張をほかでもない環境省が展開することに対しては、深い憂慮を覚える。具体的根拠ひとつ示さず、「激甚」との表現を用いることは認容の限度を超える。

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1 該当箇所
 3ページ33〜36行

2 意見内容
 「例えば」以降を保護管理の成果に書き直すこと。

3 理由
 「一定の成果が上がっている」としながら、挙げられているのは捕獲数である。捕獲数は「科学的・計画的な保護管理」の過程であって成果・目標ではない。地域個体群の安定等、あくまでも保護管理における「一定の成果」を示すこと。無論、成果につながっていないのであれば、すべて削除すべき。

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1 該当箇所
 3ページ37〜4ページ6行

2 意見内容
 特定計画の運用の評価について、全面的に書き直すこと。

3 理由
 5年後の評価であればいざ知らず、平成11年に設けられた措置の評価としては「目標設定の方法や目標達成の手段に課題」等、あまりにずさんな内容に愕然とする。都都道府県に管理を一任する特定計画に関しては、当初から多くの問題が指摘されていたはずであり、14年経って目標設定云々、「実行力の発揮が求められる」等の結論が述べられること自体、環境省の無策の表れと国民に受け止められても仕方がない。
 7行目以降の特措法に関しても、国に倣いさらに下位自治体に責任を押し付ける形になった点は否めず、「連携が十分でないとの指摘」等の表現は無責任の謗りを免かれない。

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1 該当箇所
 4ページ17〜40行

2 意見内容
 全面的に書き直すこと。

3 理由
 積極的捕獲はあくまで特定の種に対する例外的措置であり、保護が施策の基本であることに変わりはない。
 環境収容力に見合った個体数調整は、この例外的措置に位置づけられる。科学的根拠に基づくとはいえ、すでに積極的な人為管理の範疇に含まれる。保護に位置づけられるものではない。
 「環境収容力内の生息密度であっても、深刻な被害が生じている」のは、適正水準の評価に過ちがあるか、被害につながる他の要因があるか、いずれかと考えられる。にもかかわらず、そうした検証が不十分なまま、当座の被害に対する対症療法の形で、「実態としてもそういった意識で管理」(31行)が行われているとすれば、それはもはや科学の敗北というべき由々しき事態である。
 必要なのは、基本をねじまげ、積極姿勢をアピールすることではない。長期間課題を放置し続けた責任について、しっかり検証し、反省することなくしては、鳥獣管理の充実を謳ったところで画餅と化す恐れがある。

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1 該当箇所
 5ページ3〜21行

2 意見内容
 制度設計、運用の欠陥について明記すること。

3 理由
 野生動物の保護管理は、国が積極的に関与すべき、包括的・統合的管理が必要な領域である。地方自治体に丸投げし、バラバラな運用がなされたことで、越境する野生動物の広域管理に支障を来たすなど、特措法には大きな問題があったことが明らかになっている。「役立っていることもあり、逆もあり得る」(15行)とあるが、効果的・効率的な運用とは到底言い難い。合理的な連携体制を構築するにあたって、指針・制度の統一、明確化や責任・支出の一元化は避けて通れない。
 野生動物はたとえ分布の狭い種や地域個体群であっても、時代に引き継ぐべき国民の共有財産であるとの認識のもと、国がイニシアチブを取る形に制度を改める必要がある。

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1 該当箇所
 5ページ24行〜6ページ2行

2 意見内容
 削除すること。もしくは、名称を「駆除に関する役割」に改めること。

3 理由
 該当箇所の記述は被害に対する単なる応答にすぎず、個体群管理ではない。個体群管理とは、科学的根拠に基づき個体群を一定の水準に保つ管理手法を指す。個々の名目でバラバラに駆除事業を行っていること自体、個体群管理の趣旨に反する。

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1 該当箇所
 5ページ18〜28行

2 意見内容
 記述は適切だが、被害防除の役割が答申全体を通じて過小評価されており、位置づけの見直しが必要。

3 理由
 「防護柵の設置や放置された農作物等の除去等による被害防除は、被害の未然の防止のみならず、適切に行うことで鳥獣の個体数抑制にもつながることから、個体群管理にとっても重要」とあるが、被害防除への取り組みが十分に、効果的に行われていないことが被害の拡大の根本にある。
 国による専門家の配備、NGOの支援や民間ボランティアの活用も取り入れ、実効性・効率性・持続性の観点から被害防除対策の情報共有・指導を図ることで、結果として被害と社会的コストの低減も可能となるはずである。まず地域間で連携の取れた効率的な被害防除施策を強化したうえで、科学的評価を踏まえた例外的な個体数調整の措置が図られるべきである。

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1 該当箇所
 6ページ32〜34行

2 意見内容
 記述を見直すこと。とくに「目的として行うことは難しく」の部分。

3 理由
 「公益」が個体群管理の名目として通用するのであれば、生息環境管理に通用しない理由はない。
 むしろ、従来土地利用のあり方に「野生動物の保護管理」の視点が欠けていたことに問題がある。「難しい」などと及び腰にならず、環境省が主導権を発揮すべき。

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1 該当箇所
 7ページ1行〜8ページ8行

2 意見内容
 全面的に書き直すこと。
 制度導入の負の側面について検証し、記述すること。認定制度の創設に伴う新たなコスト負担についても明記すること。

3 理由
 捕獲体制の構築が事業者に任せることでなぜ効果的になるのか、言及がない。
 複数の駆除会社を養成し、入札を行い、競争させることで低コストの駆除が行えるとの認識なのか。
 あるいは、副産物を利用した複合経営などで合理化を図ることをイメージしているのか。駆除を一種のビジネスとした場合、収益の安定という事業者の利益と、年毎の環境変動に応じた科学的管理との間で摩擦が生じかねない。とくに、モニタリングを駆除事業者に委託することには、中立性・客観性の観点から大きな疑問が残る。
 また、認定のための審査・研修の体制や機関と人員・予算について言及がない。認定機関を環境省所管の特殊法人とする場合、駆除事業が公共事業の性格を帯び、駆除会社・公益法人・環境省それぞれの責任が不明確になり、情報が不透明になり、行政の無駄につながる恐れがある。

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1 該当箇所
 7ページ29〜35行

2 意見内容
 「これまでの捕獲体制を否定するものではないことを強調したい。これまでの捕獲実績は評価されるべきものであるが」は削除すること。

3 理由
 無意味な記述であるため。

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1 該当箇所
 8ページ13〜15行

2 意見内容
 「さらに(中略)寄与する」の記述を削除すること。

3 理由
 次段で「検討すべき課題が多くある」とあるが、これらはむしろ、現行の許可を必要としない農林業者自らによるわな猟の抱えている問題に対する指摘にほかならない。進めるべきは法の抜け穴となっている無許可捕獲の実態の正確な把握と規制強化であり、規制緩和ではない。

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1 該当箇所
 8ページ25〜26行

2 意見内容
 削除すること。

3 理由
 前項とともに、「安易なわな猟の増加はトラブルを増加させる」との声が狩猟従事者からも上がっている。単に捕獲従事者を増やすことのみを企図し、取得年齢を引き下げることは、技術を十分に体得していない未熟な狩猟者の増加につながりかねない。

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1 該当箇所
 8ページ32〜9ページ14行

2 意見内容
 矛盾する記述なので、全面的に書き換えること。

3 理由
 「特定計画における(中略)狩猟規制の緩和のみである」とあるが、ニホンジカはそもそも当該特定計画の対象であり、計画は個体群管理を目指して制定されたはずである。次の文(ニホンジカ等の〜仕組みが必要である)につながっていない。特定計画がそのための仕組みとなっていなかったのであれば、その旨明記するとともに原因を解析すべきある。
 38行以下の「具体的には(中略)捕獲等にかかる規制緩和を行うことが考えられる」の文も、「特定計画におけるニホンジカの狩猟規制の緩和」がそれに該当しないというのであれば、日本語として明らかに矛盾した表現になっている。
 9ページ2行「緩和の内容としては」以降も、狩猟規制の緩和そのものである。
 特定計画における狩猟規制の緩和が不十分であり、新規に追加の措置が必要ということであれば、その旨具体的に明記すべきである。
 一連の表現からは、何が狩猟規制の緩和で何がそうでないのか、緩和に問題があったのか、緩和だけだったから問題だったのか、緩和の追加措置が必要なのか、緩和以外の措置が求められるのかがわからず、まったく要領を得ない文章になってしまっている。

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1 該当箇所
 9ページ2〜6行

2 意見内容
 捕獲個体の放置の禁止の緩和の下りを削除すること。

3 理由
 「やむを得ず放置する場合」とあるが、やむを得ないとの判断はどのタイミングで行われるのか。個々の自治体による捕殺許可の段階でか。捕獲事業者が捕殺した後、搬出が不可能と判断するケースも含まれるのか。後者であれば、「鉛断を使用していないこと」を条件とし得ない。鉛弾の使用を全面禁止するか、少なくとも個体数管理事業における鉛弾使用を禁止する措置を講じるのでなければ意味がない。さもなければ、放置の禁止の緩和措置は賢明とは言い難い。
 鉛弾使用については、(10)@で、もっと踏み込んだ形で詳細に論じた方がよい。

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1 該当箇所
 9ページ7〜12行 

2 意見内容
 詳細な解説にするか、呼称の紹介にとどめること。

3 理由
 シャープシューティングを指す記述と思われるが、「夜間」の捕獲だから効果をあげているわけではない。日本の現場での課題もこの指摘にとどまらない。

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1 該当箇所
 10ページ22〜26行

2 意見内容
 「期待されており」を削除し、鳥獣保護員への負担へも言及し、課題も明記すること。

3 理由
 鳥獣保護員は保護を基本とした「従来の」施策に則り、運用されてきた経緯がある。鳥獣保護員の活用については、関与の仕方について熟慮する必要がある。本来業務に支障を来したり、保護員としての資質が鳥獣管理本意で求められ、変質することがないよう、慎重な配慮が欠かせない。第三者的立場から事業者のモニタリングや捕獲計画を検証し、問題があれば反映させる仕組みを作れば、有効に機能するとは考えられる。

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1 該当箇所
 10ページ28〜11ページ6行

2 意見内容
 必要な記述だが、被害防除と同様、答申における位置づけが弱すぎるため、再考を求める。

3 理由
 10ページ38、39行の記述は、状況を改善するために必要な、適切で効率的な鳥獣管理の前提であり、答申の中で強調されるべき。本来であれば、調査研究を推進し、情報を収集し、評価手法を確立したうえで、最適な管理手法を実行に移すことが望まれる。
 被害に対する不満を一時的に和らげる目的で、見切り発車的に方針を転換し、鳥獣管理を推進することは、合理的な環境施策とは言い難く、国民の負担を増やすだけになりかねない。

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1 該当箇所
 11ページ8〜24行

2 意見内容
 問題点を列挙する形で大幅に書き換えること。 とくに17行「肯定されるべきものである」は削除すること。

3 理由
 一般狩猟の促進を単純に推し進めることは、狩猟管理のための社会的なコスト負担増につながる。厳格な狩猟管理がなされなければ、科学的な個体群管理に齟齬を来し、狩猟下での人身事故が増え、猟銃を用いた犯罪の増加を招く恐れがある。
 16行「自然と人との関わり方」は多様であり、個人の価値観に基づくものである。そのうちの特定の一部の利用の形態のみをことさらに強調し、国が国民に対して押し付けるべきではない。
 20行「利便性の向上」は、質の低い狩猟者の増加とそれによって引き起こされるさまざまなトラブル、重大な社会的リスクの増大につながり得る。
 同じく「経済的負担の軽減」は、行政による肩代わりを意味するのであれば、一部の層の趣味のために国民の経済負担を増加させることにつながり、公平性の観点からも容認できない。それであれば、同等の予算を調査研究の推進・評価手法の確立・専門技術者の養成・被害防除のためにこそ振り向けるべきである。

 
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1 該当箇所
 11ページ26行〜12ページ1行

2 意見内容
 全文削除すること。

3 理由
 32行「科学的根拠を丁寧に説明する」とあるが、4ページの記述に関して指摘したとおり、この答申においてすら科学的・合理的な管理の考え方に破綻が見られる。
 駆除個体の放置やそれにかかる対策の問題等が周知されず、命が粗末にされている実態を国民が自覚できていない状況で、「感謝の気持ちをはぐくむ」などと、耳障りのよいキャッチコピーで真実を覆い隠す啓蒙活動を国・行政機関が推進することは、国民を欺く行為に他ならない。
 36行「多面的な恩恵」とあるが、問題を引き起こしている在来の野生動物も、本来豊かな自然環境の一部であり、まさに恩恵そのものである。
 生態系の歯車が狂った背景についての真摯な説明、とりわけ過去の誤った政策の結果に対する反省なくして、社会の最弱者といえる野生動物の命を奪うことを正当化することは許されない。
 捕殺を全否定するものではないが、謙虚さのかけらもない一方的な礼賛は、日本人・日本国民として道義的にも認められない。
 児童を対象にした学校での啓発活動を含めるのであれば、なおさらである。

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1 該当箇所
 12ページ3〜13行

2 意見内容
 (8)と統合した上で、(9)の内容を主文とすること。

3 理由
 8行「どのような関係を作っていくべきか」とあるが、前節(8)で短絡的な結論が述べられており、きわめて不可解である。
 (9)こそが問題の核心であり、議論による合意形成の過程を踏まえたうえで、具体的な施策に反映させるのが本来行政のやるべき仕事である。

 
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1 該当箇所
 12ページ16〜22行

2 意見内容
 (7)「一般狩猟の促進」と整合性が取れないため、同節の内容を大幅に書き換えること。

3 理由
 鉛弾の使用全面禁止は狩猟普及の最低限の前提であるべき。非鉛弾の普及を待たずに鳥獣管理を推進した場合の生態系への影響について、シミュレーションすることを求める。

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1 該当箇所
 12ページ23〜26行

2 意見内容
 9ページの意見で述べたとおり、放置の緩和と鉛弾の使用禁止措置の整合性を取ること。

3 理由
 9ページの意見に同じ。

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1 該当箇所
 12ページ35行〜13ページ4行

2 意見内容
 外来鳥獣の取扱については、早急に役割の整理、一元化を進める旨付け加えること。

3 理由
 一種の二重行政であり、被害防除のための予算が限られている中では、許されることではない。 

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1 該当箇所
 13ページ6〜13行

2 意見内容
 80条の適応除外について検討する旨、記述すること。

3 理由
 スナメリ等、近年水産資源としての利用実績のないクジラ目の種に関しては、水産資源の視点からのみしか管理を行わない水産庁を主務官庁としていては適切な保護管理が不可能である。
 また、他の鯨類についても、狩猟管理と被害防除・鳥獣管理のノウハウを持つ環境省が、野生哺乳類として整合性のある保護管理施策を講じることが望ましい。

  〜 〜 〜

 正直えらい疲れました(--;;
 意図したわけではないけど、ほとんど真っ赤っか。。。
 筆者の指摘にも、おそらくいろいろ穴があると思いますが。
 特定秘密保護法じゃないけど、最近官僚の作る文章がどんどんいい加減になってないかしらん?
 環境省、もっとしゃんとして!!

posted by カメクジラネコ at 02:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系

2013年12月08日

特定秘密保護法、捕鯨問題もバッチリ関係するよ!

◇捕鯨問題が示す特定秘密保護法施行後の暗澹たる未来〜4つのケーススタディ

 国会前、全国各地で法案にNOを唱えてきた市民の皆さん、お疲れ様です。
 よもや21世紀に入ってから、耳元で軍靴がはっきりと轟く暗い時代を迎えようとは、誰しも思いもよらなかったことでしょう。
 「アンダーコントロール」「ブロック」「第三者的」「重層的」と空疎な発言を連発、日本語をことごとく破壊し、言葉の重みを吹けば飛ぶほど軽いものにしてしまった、戦後最低・最悪の首相・安倍晋三氏は、いったい本気で21世紀の東条英機を目指しているのでしょうか??
 お腹痛くて一回やめたお坊ちゃま首相の言葉がいかに稚拙であっても、彼を支える集団の手口はきわめて巧妙なものでした。
 戦前よりはるかに洗練された、巧妙なファシズム。北朝鮮より恐ろしい、表向きは平和な民主主義国家を取り繕った戦慄すべき国に、日本はいま急速に変貌を遂げようとしています。
 忍び寄る兆候は以前からあったし、脳が化石化した復古主義者にとっては、悲願に向けた一歩目がまさに叶ったということになるのでしょうが。
 きっかけはやはり311なのでしょうね。それは、虚構の栄華を夢見続けてきた日本にとって、現実を直視し、身の丈を弁え、本当に大切なものは何かを知る機会となるはずでした。再生に向けたパラダイムシフトの。
 しかし、結果は逆に、都合の悪い現実から目を逸らし、さらなる嘘を塗り固め、自らを欺く方向へと突き進んでしまったわけです。
 アベノミクスというツケを先送りしただけの錬金術に目をくらまされ、演出とカネで手に入れた五輪開催や食ブンカ世界遺産ブランドに酔いしれ、「自分たちはやはり別格なのだ、優れた民族なのだ」という錯覚に陥る悪夢の展開。
 原発推進・再稼働、辺野古移設、そして行き着く先は、核保有・再軍備〜戦争への道。

 矛先は、折り合いをつけて共存する以外に選択肢など存在しない近隣諸国にとどまらず、長年枷をはめられてきた相手、媚びへつらうフリをしてきた口先だけのオトモダチ・米国へと向けられるでしょう。
 覇権主義の復活、そして敗戦の屈辱に対する復讐。
 「戯けたことを抜かすな、そんなことになるわきゃない」?
 いえいえ。その予測を裏付ける事例は、ほかでもないクジラが示してくれています。
 以下に、3つの視点を提供することにしましょう。


@ミスター捕鯨問題・元水産官僚森下氏の華麗なるフライング


 まず、猫玉さんが「フライング」と適切に名づけてくれた、元水産庁参事官・現水産総合研究センター国際水産資源研究所所長(兼IWC日本コミッショナー)森下丈二氏の超問題発言から。これ↓

■鯨類学入門講座受講報告|ika-net日記
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-063d.html

あんまりだと思って講演の後に.挙手して2010年の時の日本の立場を聞いたら、今国会にかかっている例の法案のことを持ち出し、答えたら罪に問われるかもしれないから答えられない、と来た。(このような都合のいい逃げ道を作るのだな、と秘密保護法案の実習を見たような思いだった)(引用、強調筆者)

 いやはや、実に見事なフライングですね。これ、施行前どころかまだ成立もしていない、衆院で審議している最中の先月の話ですよ?
 さて、国会周辺で抗議する市民デモを指して、わざわざ条文を持ち出して「テロ」呼ばわりするトンデモ法解釈を披露してくれたのが石破自民党幹事長。慶大法学部出で、しかも直接担当大臣も務めたはずの石破氏が、法律の条文をまともに読み解くことすらできないというのは驚きですが、日本で法案を作成するのが実際には官僚であるため、立法の責を負う国会議員がこの体たらくで済んでいるのでしょう。
 しかし、その霞ヶ関で参事官のポストまで務めたエリートでさえ、法律の基本を何一つ理解できていないということですね。
 それとも、ひょっとしたら、特定秘密保護法が今後「過去の発言にまで遡って適用され得る」ことを、森下氏は仄めかしたのでしょうか? もしそうだとしたら、とてつもなく恐ろしいことです。
 該当する改正案がいずれ上程され、施行後に逮捕者が続出することになるでしょう。森下氏の超法規的解釈に従うなら、氏自身はもちろん、筆者もとっくにアウトですよ(--;; そんな法律は未だかつて聞いたこともありませんが、あるいは特定秘密保護法に限っては、そんなウルトラCの運用すら可能だと、外交機密を扱う政府当局者である森下氏は、実感を込めて語ってくれたのかもしれません・・・・・
 特定秘密保護法がいかに恐ろしい法律であるかという、まさにその一語に尽きます。
 まあ、過去への適用は、法曹関係者なら百人中百人が「技術的にあり得ない」と否定する話でしょうが、森下氏の態度が示唆しているのは、それだけではありません。
 この法律の危険性は、何より恣意的解釈がいくらでも可能だということです。それが、公務員、ジャーナリスト、そして国民一人ひとりに対する萎縮効果を発揮し、日本が戦前に等しい情報統制・情報管理社会と化す危険に結び付いているのです。待ち受けているのは、逮捕されるリスクを負わないために、誰もが国家権力に従う、表現・言論の自由が存在しない恐ろしい社会です。
 森下氏の回答は、その懸念が取り越し苦労などではなく、まさに現実のものであることを示しています。彼は自己の不利益を恐れているかのような表現を用いていますが、実際には業界益と結び付いた省益を固守する立場から、彼自らが率先して情報を伏せたがっていることは明々白々です。
 都合の悪いことを一般市民に聞かれたくない官僚にとって、特定秘密保護法は抜くだけで絶大な効果を示してくれる伝家の宝刀
 森下氏は、法律が可決成立・施行される以前から、勇んでその危険な刃を懐から抜き出し、市民の前で振りかざしてみせた、というわけです。
 彼は特定秘密保護法がどのような形で使われ(得)るのか、その運用のお手本を示してくれたのです。これまで市民の情報公開請求に渋々応じてきた政府機関・自治体の職員たちに。私たち市民に対しても。
 これが他の省庁・部門の官僚であれば、成立・施行まで余計なことは言わず、周到に押し黙っていることでしょう。しかし、長年一部の大手事業者と全漁連に奉仕してきた水産官僚の場合、「国民はみんな自分たちの味方だ」と高を括っているものだから、こういうときに以外にガードが甘くて、平気でポロッと口にしちゃえるんでしょうねぇ。。
 この法律に関心を持つすべての市民・ジャーナリストは、天下り役人のフライング事例に着目しておくべきでしょう。


A墨塗り調査捕鯨公開文書に見る証拠隠滅の先例


 ウォッチャーの皆さんはきっとどなたも同意されることでしょうが、捕鯨問題こそはこの法律以前から存在する「ほぼ特定秘密」に他なりませんでした。逮捕されないだけで、情報はことごとく隠蔽されてきたのです。森下氏がごく自然にフライングできたのも、当然のことでしょう。
 水産庁が情報公開にいかに後ろ向きだったかを如実に示す事例が以下。


■3年間の活動実績|情報公開・個人情報保護審査会('04)
http://www8.cao.go.jp/jyouhou/sonota/katudou.pdf

開示決定通知書に具体的な行政文書名を記載せずに決定した件について,情報公開制度の趣旨が損なわれかねないことになるとも考えられることから,諮問庁においては,開示請求対象文書の特定や開示決定等において,今後同様のことがないよう責任ある適切な対応が望まれる旨の付言をしたもの。
諮問庁:水産庁長官
諮問日:平成15年7月18日(平成15年(行情)諮問第529号)
答申日:平成16年3月12日(平成15年度(行情)答申第690号)
事件名:北太平洋及び南氷洋で行った調査捕鯨に関する文書の一部開示決定に関する件
(中略)
第5 審査会の判断の理由
(中略)
4 文書の特定について
諮問庁は,原処分において具体的な行政文書名を明示せず開示決定を行い,さらに,いったん理由説明書において本件対象文書として特定していた文書を誤りであるとして取り消している。
本件のような開示を求める事項を示して行った開示請求の場合,開示請求者は,対象となる文書としてどのような行政文書が存在するのかさえ分からないため,本件のように開示に際し,開示決定通知書に具体的な行政文書名を記載せずに決定したならば,開示請求者の側は対象となる行政文書の存在や名称さえ分からないこととなる。加えて本件では,当初の理由説明書において対象文書と説明していた国際鯨統計について,その後対象文書ではなかったと説明するなど,開示請求への対応に問題があったと言わざるを得ず,現に,本件異議申立人は,開示請求から処分に係る手続において文書の特定について強い不信感を示しているところである。このようなことでは,情報公開制度の趣旨が損なわれかねないことになるとも考えられることから,諮問庁においては,開示請求対象文書の特定や開示決定等において,今後同様のことがないよう責任ある適切な対応が望まれる。(引用、着色強調筆者)

 上掲の政府資料のp72に、まさに今回の特定秘密保護法の内容に直結する表現があります。下線は筆者による強調ではなく、もともとです。
 残念ながら、これは「今後同様のことがないよう」との苦言でしかありません。毎年多額の税金が投じられてきた事業でありながら、この後も内外のNGOによる情報公開請求は、特定の事業者を手厚く庇護する異様な政治的判断に基づき、ことごとく突っぱねられてきたわけですが・・
 さて、特定秘密保護法に関しては、多くの言論人が批判しているとおり、秘密の存在、文書の存在そのものが秘密にされることが危惧されているわけです。
 これまでは、曲がりなりにも情報公開の原則の観点から「さすがにそれはマズイよね」という話でした。「対象となる文書としてどのような行政文書が存在するのかさえ分からない」のは。
 そう・・ここにも先例があったという次第。
 つまり、霞ヶ関官僚にとって目障りな存在だった情報公開制度(海外に比べれば大きく遅れているところの・・)を無意味化させてしまえるのがこの特定秘密保護法。だからこそ、彼ら役人と結託して既得権益を貪ってきたあらゆる業界が、この法整備を歓迎しているということでしょう。
 特定秘密保護法によって、「同様のことがないよう責任ある適切な対応」を行政機関が取ることは、もはや二度とありません。証拠隠滅が大手を振って罷り通るのですから。


B「ほぼ特定秘密」を暴こうとして逮捕されたGPJスタッフ

■【秘密保護法案】 環境守る市民も制約 政府追及に萎縮効果 (12/2,共同)
http://www.47news.jp/smp/47topics/e/248117.php
■「廃案に」強まる声 秘密保護法案 国内外から懸念 (12/5,東京)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013120502000122.html


 国際NGOにとっても、国内で地域の自然を守ろうとしている市民団体にとっても、この法律が活動の大きな妨げとなることは自明です。
 捕鯨以外にも「ほぼ特定秘密」ばかりを扱ってきたといえるグリーンピースは、おそらく最も影響を受ける団体のひとつといえるでしょう。中国で活動するほうがまだマシになるかも。ロシアでは北極海油田開発アクションで逮捕者が出ましたが(プーチン大統領も石破氏と同じくテロとの区別が付かないヒトでしたね・・)、日本でも真っ先に逮捕者が出かねません。
 いや・・そういえば、逮捕者はもう出ていたんですよね。国の「ほぼ特定秘密」を暴こうとしたばっかりに。
 詳細は当事者に語っていただいたほうがいいでしょうが、GPJスタッフ逮捕事件は、「特定秘密保護法を日本政府がどのような形で活用≠オていくつもりか」を示すモデルケースに他なりません。
 捕鯨サークルは、族議員・癒着業界・天下り官僚から成る運命共同体の代表例。彼らはサークル益の追求のためにはなりふり構わぬ恐るべき集団です。
 優秀なPRマンを雇い、鯨肉料理付き懇談会を開催してマスコミ関係者を呼び招いて味方につけた後は、クジラになぞ無関心で買う気のない一般大衆の感覚との大きなズレも何のその、捕鯨推進が日本の最重要政策・国民の一大関心事であるかのごとく位置づけることに、彼らは見事成功したわけです。
 マスコミは自主規制し、決して調査捕鯨の裏面に光を当てようとはしませんでした。一部両成敗の形で公平な記事を書いてくれたメディアもありましたが。
 しかし、特定秘密保護法施行後はそれすらもなくなるでしょう。あえて危険を冒してでも追及してくれるジャーナリスト・言論人は、誰もいなくなるでしょう。
 業界関係者による鯨肉横領・横流し疑惑は、当の共同船舶・水産庁側の説明が二転三転する不可解な状況があったにもかかわらず、後付で飛び出した「土産」の一言で片付けられ、そのまま闇に葬り去られてしまったのです。
 調査鯨肉横領事件は、カゲキな反捕鯨団体による鯨肉窃盗事件へと、タイトルがいつの間にかすり替えられてしまったのです。
 マスコミだけではありません。
 当初理解を示していた東京地検の担当者は外され、そもそも代用監獄として海外から批判されている拘置の期間も異常なまでに引き延ばされ、一審の青森地裁判事には自衛隊官舎ビラ事件をうまく処理したエース級高裁判事があてがわれました。メンバーの選定過程が不明な検察審議会も、鯨肉横領をめぐるサークル側の主張の矛盾には一言も触れられることなく「問題なし」として処理しました。
 一票の格差をめぐる最高裁司法判断を例に挙げるまでもなく、日本の裁判では上へ行けば行くほど権力に擦り寄る判決になりがちことは、皆さんご承知のとおり。そして、GPJ職員逮捕事件は、日本においては司法すらも権力者側に都合のよい道具として扱われ得ることを示しています。
 三権分立・司法の独立性が、海外に比べてもきわめて不十分な日本において、機密保護のための法律だけは、ツワネ原則に定められる国際基準から程遠いことが、米国のシンクタンクや元政府高官からさえ指摘されているのです。これは決して見過ごしていいことではありません。
 GPJ佐藤氏の逮捕は、まさしく見せしめに他なりませんでした。「国に楯突く者、秘密を暴こうとする者はすべてこうなるのだ」という。
 たとえそれが実態を反映していなくとも、作られたヨロンをバックに、国による制裁は正当化され得るということです。
 そして、この手法は、必ず捕鯨以外にも適用されることになるでしょう。原発(とくにプルトニウム)、米軍基地、その他諸々の、霞ヶ関・永田町の周辺に群がり、利権の甘い汁を吸っている人たちにとって都合の悪い問題に目を向けようとする市民はみな、同様に悪者に仕立てられる可能性があるのです。


Cウルトラナショナリズム政権に口実を与えた米国の大きな過ち〜常軌を逸する日本の捕鯨政策から一体何を学んだの?


■(非情世界 信義なき情報戦争)極秘情報 日米が神経戦 (12/3,朝日)
http://www.asahi.com/articles/TKY201312020629.html
■海渡雄一弁護士「秘密保護法と原発―秘密保護法ができると原発はもっと暗闇に! 戦争準備も!」 (11/25)
http://www.youtube.com/watch?v=Cr8sxtenGKo
■【IWJウィークリー27号発行!】国民無視の「強行採決」 秘密保護法の先にある「米国の軍事属国化」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/114642


 日本の特定秘密保護法の成立を受け、米国副報道官から歓迎の意が伝えられたとのこと。
 「今のままでは、最重要のパートナーである安保同盟国・米国の機密を守れず、提供を受けられない」というのが、法案提出の大きな理由とされてきました。
 しかし、元自民党出身議員の口からも、「既存の仕組みで十分、新たな法整備の必要はない」との指摘が上がっているほどです。
 この法案関連報道の中で、米国がカナダ・AUS・NZと機密情報を共有するネットワークを構築し、日本が蚊帳の外に置かれてきたことを朝日が指摘しました。
 太平洋で軍事同盟の関係にある日米豪のうち、真の友人関係といえるのは米豪だけで、いざ日本でかつての超拡張主義が復活したときに備え、監視・警戒の役割を果たしているとの指摘もあります。中国ではなく、日本封じのためだと。それは、たまに漏れる米関係者の発言や公文書などからも読み取れることですが。
 安保条約自体、日本に対する米国の首枷の役割を果たしているともいえます。そして、日本は今のところ、核の傘を与えてくれるご主人サマに対し、尻尾を愛想よく振って命令を何でも聞く忠犬の役割を、見事に演じきっているかに見えます。財政が火の車なのに思いやり予算を無理くり捻出し続けたり、TPP交渉でも自らの集票組織を裏切ってまで、米国の利益に奉仕しようとしています。近隣住民に対して吠えかかる癖はなかなか治りませんけど・・・
 主人の米国は、「安保という鎖・首輪でつないであるのだから」と安心しきっているのかもしれません。
 しかし・・そんな忠犬捕鯨ニッポン号ですが、戦後の困窮期、痩せ細った体を見て米国ご主人サマが哀れに思って差し出してやった「南氷洋捕鯨」というドッグフードの器を、「そんなにブクブクに肥えて世界に冠たる飽食大国になったんだし、もうそろそろいいでしょ」と取り上げようとした途端、猛然と牙を剥き出して唸りかかり、決して器をご主人サマに返そうとはしませんでした。
 日本の捕鯨政策・捕鯨外交からは、敗戦後ずっと引きずり続けている白人・アングロサクソンに対するルサンチマンが、未だに烈火の如く燃え盛っていることが、手に取るようにわかるはずです。そして、白人コンプレックスの裏返しである、自民族に対する尊大な優越感情も。たとえそれが、国家の中枢で主導権を握っている、ほんの一握りの黒幕たちだけで、日本人全体の性向ではないとしても。
 米国は、度重なるIWC調停の失敗からも、そのことを十分学び取ったはずです。
 彼らはこの先も、南極のクジラに鬱屈したルサンチマンの捌け口を引き受けさせ続けるつもりなのでしょうか? それが可能だと思っているのでしょうか?
 しかし、そこには致命的な誤りがあります。
 まず、日本の超拡張主義者たちは、現状に決して満足せず、鬱憤を抱え続けています。悪いことに、国際条約に縛られず堂々と行える脱法調査捕鯨を継続するための口実として、商業捕鯨再開という非現実的な目標が掲げられ、国民はそれを信じきっているのですから。憂さ晴らしになっていないのです。
 さらにいえば、日本の公海捕鯨は二進も三進もいかない状況に陥っています。鯨研は多額の負債を抱え、赤字穴埋めのために国民・被災地の人々を裏切って震災復興予算に手を出しました。鯨肉には適正価格が存在せず、商業的にもはや成立の余地がないため、さらなる税金を投じ、無理やり学校給食に回すのが関の山で、瀬戸際まで追い詰められているのです。
 日米はこの問題で腹を割って話し合い、お互い痛みを分かち合う形で合理的なソフト・ランディングを目指すことが、ついに出来ずじまいでした。
 
トモダチなどではないからです。戦争に負け、原爆を落とされ、屈服させられたにっくき敵でしかないからです。
 捕鯨文脈で米国・白人に浴びせられる、自らの乱獲の過去を一切省みることのない威圧的な罵詈雑言の数々が、その何よりの証拠に他なりません。

 軍事メジャーとアグリメジャーの短期的利益のために、特定保護法案の抱える数多の問題に目を瞑るとすれば、米国にしてはあまりに愚かといわざるをえません。
 地球の裏側の野生動物に拘泥するあまり、トモダチ米国や最たる親日国AUSに対してさえ激しく食ってかかる捕鯨ニッポンに、北太平洋地域の安定のために自重し、協調する能力があると、米国は本気で信じているのでしょうか? こっちも財政がキツイから、集団自衛権を認めて自腹を切ってもらえた方がありがたいなどと、のんきなことを言ってられるのですか?
 リップサービスは誤解を招くだけです。真の友であれば、ときには過ちを厳しく糾すことも必要です。
 そしてまた米国も、沖縄の人々を苦しめ、ジュゴンを絶滅に追いやる不正義を自らに認めるべきではありません。
 あるいは、世界で最も強固なようでいて、実は互いの本音を隠し続ける、世界で最も脆く遠い間柄にある日米という二国のいびつな関係が、今回の特定秘密保護法成立の背景にあったといえるかもしれませんが。
 だとすれば、これはとてつもなく不幸なことです。日米両国民のみでなく、世界中のすべての人々にとって。


 今回の特定機密保護法成立で真っ先に餌食になる日本の自然は、間違いなく北限のジュゴンに違いありません。仲井真知事と稲嶺市長の身の安全≠煖Cがかりなくらいですけど・・
 ただ、最も心配なのはやはりプルトニウム
 クジラとプルトニウムは日本の暗部。つながる闇がそこに見えてきます。
 先日のフクイチ4号機の核燃料移送の際、監視カメラがプールに落下したとのこと。これは東電が作業の必要から設置したんでしょうけど、そういえばIAEAの査察カメラの方はどうなっているんでしたっけ・・?
 誤差分だけで核爆弾が作れるという話もありますが、世界有数のプルトニウム保有国である日本の保有状況に、少なくとも市民は今後一切アクセスできなくなるでしょう。
 特定秘密保護法は、核の悲劇に見舞われた唯一の国(厳密には違うけど)であり、非核三原則を国是(捕鯨推進なんぞよりはるかに高位のハズの)とし、憲法でも戦争放棄・軍隊不保持を謳った平和国家が、一気に軍事大国・核保有国に突き進むことを可能にします。
 核保有国というステータスに心底憧れている人たちが、この国の中枢には蔓延っているのです。何しろ、つまらないことで国連の核廃絶宣言にすら難癖をつけ、これまで賛同してこなかった国ですし。
 核保有論を平然とぶち上げながら、議員バッジを手にした政治家が一体何人いたでしょう? 彼らは毎年パーティーを開いて「アングロサクソンけしからん!」と気勢をあげている捕鯨礼賛論者ともピタリと一致するでしょうけど・・・
 福島第一原発の事故によって、IAEAの監視体制にも穴が開いたはず。
 米国さん、日本よりはるかに技術力の低いハズの国が、いつの間にか核保有国を宣言するに至ったケースが、これまでにもいくつかあったはずですよねぇ?
 いずれにせよ、いざその気になったらお茶の子さいさいで、あっという間に核を持ててしまうことも、貴国は知っているはずです。
 日本国民が選挙によって最悪の首相を選んでしまったのは、確かに我々日本人自らの責任です。
 しかし、貴国はいいように使い分けながら、同盟国の政治の右傾化を都合よく利用してきたのです。間違いなく責任の一端を負っているはずです。むしろ、とんでもなく重いのと違いますか?

 最終的に自らの力で掴み取ることができなかったせいか、日本の民主主義が諸外国に比べ未成熟であることも一因かもしれません。「お上の言うことは常に正しいものだ」と考える人が、年配者に未だ多いのも事実でしょう。「国の言うことに従っていれば、震災や原発の問題も、きっと何とかしてくれる」と、すがるような思いに捉われている人も少なくないかもしれません。当座の生活に関わる景気が、四流の手品に等しいアベノミクスのプチバブルで上向いたかに見えることで、現実の裏打ちのない期待感がいっそう膨らんだ面もあるでしょう。
 一方で、若年層のすさまじい排外主義のエネルギーは、バブル崩壊後に沈んだまま、311後に一層濃くなった鬱屈感の裏返しともいえるでしょう。しかし、「お上の言うことは常に正しいのだ」と十代の若者たちに刷り込む教育の歪みも、その背景にあることは疑いありません。
 もしかしたら、この天下の悪法が成立する日を待ち望んでいた人たちが、憎しみの種を撒き散らすやり方において、二度と過ちを繰り返すまいと平和の種を蒔き続けてきた人々に、この局面で勝ってしまったといえるのかもしれません。

 2013年12月6日、東北大震災・重大な原発事故から1000と2日後、日本の民主主義はいったん敗北しました。
 次の選挙まで、国民の声を踏みにじる強行採決の暴挙を絶対忘れないこと。
 自公には絶対入れないこと。党内野党などまったく機能しないことは、これで前回入れてしまった人も身に染みて感じているはずでしょう。
 公明党には最初から期待するだけムダ。聖教新聞を一度でも読めば、特定秘密保護法施行後の世界が見えるでしょ。。。
 衆院で譲歩ひとつ引き出すでもなく、可決への道を開いたみんなと維新にも絶対入れないこと。退席云々はともかく、この点に関しては共産党の言うとおり到底許せる余地などありません。
 維新は共同代表の石原がアレでよく抵抗勢力のフリができるもんだ(--;; 川田議員は個人的に応援しているけど、これを契機に離党していただきたいところ。
 そして、共産党から民主党まで、今度こそ*{気でタッグ(政策連携)を組むこと。他の政治課題は棚上げし、脱原発と特定秘密保護法廃止法のみで。戦略第一で。
 そして、消費者は安倍自民党を支える企業の商品・サービスを極力利用しないこと。とても難しい課題ですけど・・・
 次に負ければ、日本の民主主義は今度こそ本当の本当に死にます。


 選挙が公正に行われることが大前提だけど・・・・・・

参考リンク:
−ちょっと待ってアノニマス! クジラ・イルカの味方は嬉しいけれど・・(拙ブログ)
http://kkneko.sblo.jp/article/81701906.html
−秘密保全法パブコメ文案(〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/75845393.html

−豪米戦略のターゲットは中国or捕鯨ニッポン?(〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/75815825.html

−沖縄基地問題と捕鯨問題(〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/34000727.html
−鯨肉横流し事件の全貌解明を(拙HP)
http://www.kkneko.com/yoko.htm

 本日はもう無理ですが、次回でユネスコ問題を取り上げる予定。なんとか実効性のあるアクションを考えなきゃ(--;;

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2013年11月30日

ちょっと待ってアノニマス! クジラ・イルカの味方は嬉しいけれど・・

■アノニマスが日本政府に警告 捕鯨批判 (6/1,共同)
http://www.47news.jp/CN/201306/CN2013060101001212.html
■ハッカー集団:「アノニマス」日本に攻撃予告 (11/14,毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20131115k0000m040050000c.html
■ハッカー集団「アノニマス」が日本に攻撃予告 - トレンドマイクロが注意喚起 (11/14,マイナビニュース)
http://news.mynavi.jp/news/2013/11/14/363/


■アノニマス・ハッカーに禁固10年 秘密保護法施行後の日本を予告|Blogos/田中龍作氏
http://blogos.com/outline/73816/


 他の野生動物の問題にかまけていたこともあり、「ウヨガキ君たちが騒いでいるなあ」という程度でろくにチェックしていなかったのですが、通報をいただいて、「ちょっとマズイなあ」と思った次第。時間もありませんけど。
 ターゲットリストを見ると、官邸はじめ多くの省庁がリストアップされてますが、官邸ターゲットにやるんだったら、ネタはイルカ・クジラじゃなくて特定秘密保護法だよね・・・
 じゃなくて(汗)
 そう・・・・問題は特定秘密保護法。タイミングが悪いよね(--; そして相手が日本だということ。
 特定秘密保護法が強引に国会で通されようとしているこの状況下で、外国人ハッカー集団が反イルカ猟を訴え、省庁サイトをスプラッタな映像(になるかどうかわかんないけど)に書き換えることの意味を、真剣に考え直してほしいということです。

 北朝鮮から米国まで、権力に媚びへつらうことなく、全方位に抑圧に対する抵抗を貫く姿勢には敬服します。日本じゃ特に、白人中心というだけで色眼鏡で見られがちだからね・・
 輪郭の明瞭でない、自由な集団としての危うさはあるでしょう。既存の権力もそこを恐れているのかもしれません。筆者としては、集権国家以上の危うさは感じないけれど。
 ただ、手法については、対象が誰であれ(北朝鮮であれ、中東の専制国家であれ、米CIAのOS先であれ、麻薬マフィアであれ、あるいは日本政府や太地町であれ)、違法な破壊活動に準ずるもので、推奨できることではないでしょう。日本には、北朝鮮のサイト攻撃"だけ"喝采を送る類の人もいるかもしれませんが。それに、米ロ中日を問わず、正規の軍によるサイバー攻撃ならOKというわけでもないけれど。

 もっとも、彼らのアクションの目的、引き出される結果自体は、古典的なNGOのそれと変わるところはありません。それは情報の周知。真実を日の下に明らかにし、市民に発信し、共有してもらうこと。
 残念ながら、日本の捕鯨に関しては得るものが少ないです。「隠された事実の暴露」にならないから。
 SSCSが華々しく活躍し、動物・環境に関心のある層は既に十分注目しています。ある意味で食傷気味の感もあるくらい。
 インパクトのあるメッセージや動画で認知を図るキャンペーンの初期の段階はとっくに過ぎました。そして、遺憾ながら日本では、国・業界・マスコミが一丸となってより巧妙な反反捕鯨キャンペーンが展開され、逆予定調和の平衡状態に至っています。一歩進んだ戦術・戦略が必要なのです。
 太地からイルカの生体を買っている世界各地の水族館をターゲットにするのなら、また話は別かもしれないけれど。
 捕鯨サークルにもどす黒い暗部はありますが、それは霞ヶ関のサーバー上にデジタルのデータの形で存在してはいないです(たぶん・・・・)。拙小説『the next age』では、族議員たちの宴≠熾`写してますが、文書化される類のもんじゃないからね(--;;
 特にODA外交の裏側など、すっぱ抜けるものならそうして欲しいのは山々ですけどね。ウィキリークスでも漏れたのは外交公電のほんの切れ端。それに、日本の官公庁のITレベルは他の先進国より低いけど、霞ヶ関と霞ヶ浦を間違えているようでは、北朝鮮や中東諸国を相手にするのと同じようにはいかないでしょう。


 一方で、これまでのマニュアルの延長の形で、日本政府側には確実に利用されるでしょう。
 単に捕鯨サークルだけでなく、日本政府が産経やNHKなど大本営マスコミを通じて積極的に活用することになるでしょう。特定秘密保護法を国民に受け入れさせる材料として。
 

「それ見たことか、日本は攻撃されている。だから機密は守らなきゃ」

 というわけです。
 下手をすれば、"例の町"のサーバーにセキュリティホールを残しておいて、わざと改竄させる手まで使われかねません。
 そうすれば、陰湿な攻撃を受けた素朴な漁民、デントウブンカの担い手として、純然たる被害者としてスポットライトを当てられることになるでしょう。日本では。
 残念ながら、日本国民の多くは、そうした演出に容易に引っかかってしまう傾向があります。
 海外でどういう反応が起きようと、捕鯨サークルは馬耳東風で気にしやしません。むしろ、文化の対立として解説≠入れ、ルサンチマンの種を植え付けるのに利用するのみです。
 悲しいことに、太地という町は、外圧をかければかけるほど、自尊心を肥大させる体質が染み付いてしまいました。中央の捕鯨サークルや在特会をはじめとする拡張主義者の応援団のおかげで。もちろん、外圧に頼んできた反捕鯨運動自身にも非はありますが。
 太地町に対する攻撃は、硬直姿勢に拍車をかけ、国に対する依存心を増すことにしかなりません。現地での監視活動であればまだ実態を正確に把握する意味もありますが、サイバー攻撃にはデメリットしかないのです。
 それは同町の将来を真剣に憂える現実派の市民にとっても、立場を悪くするだけでマイナスにしか働かないでしょう。


 調査捕鯨に関する公文書は、内外のNGOが情報公開を請求したものの、真っ黒に墨塗りされたものしか提示されませんでした。
 まさに全体主義に一気に突き進もうとする今日の状況を示唆するかのように。


 日本版NSC設置法、特定秘密保護法等の一連の動きは、表向き軍事同盟の相手である米国を慮ったものです。しかし、目先の軍事利権を優先する余り、日本を「いつまでも鎖に繋いでおけるもの」と高を括って、東アジアの緊張をますますエスカレートさせる状況に目を瞑るなら、米国は将来重いツケを背負わされることになるでしょう。
 捕鯨の闇を見れば、そこには今現在尻尾を振って愛想よく振る舞っている相手、戦争に負けた米国に対するルサンチマンが燻っているのがはっきりと見て取れます。

「政府にとって国民に知られたくない情報を明るみに出したのがハモンド被告だった。政権と癒着していたことを暴かれた米国の既存メディアは、この事件をあまり扱っていない。事件は闇に葬られる恐れもある」


 これはジャーナリスト田中氏の記事(上掲リンク4番目)からの引用。魔女狩りを受ける犠牲の皮切りとなるのは、あるいはひょっとしたら、海の野生動物にとっての実利を求め、内外のギャップを埋めようと腐心してきた市民になるかもしれません。少なからぬ国民から「売国奴」の烙印を押される、都合のいいスケープゴートとして。何しろ、鯨肉窃盗事件でも、マスコミをすっかり掌握し、国民の無関心状態をキープした実績があるのですから。御用メディアが国民に植え付けたイメージがあれば、カルト、テロと結び付けるのも容易でしょう。

 アノニマスさん、繰り返しになりますが、対日本、対捕鯨・イルカ猟のアクションにはデリケートな戦術判断が必要です。クジラとイルカも大事ですが、サイバーアクションの標的としてもっとふさわしい環境破壊企業もあるはずです。あるいは、日本を標的にするとしても、メッセージがもっと活きるテーマがあるはずです(推奨はしないけど・・)。
 近々行う予定とのサイバーアタックは、どうか中止してくださるよう、クジラ、イルカたちのためにお願いしますm(_ _)m 彼らにとって何が本当の利益につながるか、もう一度落ち着いて考えてみてください。

参考リンク:
−ウィキリークスによって明らかになった赤松元農相の問題発言(拙HP)
http://www.kkneko.com/wiki.htm

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2013年10月18日

捕鯨の町・太地は原発推進電力会社にそっくり

◇伝統産業を政治力でねじ伏せる捕鯨の町・太地のやり方はまるで原発推進電力会社

■イルカ漁の太地町、海洋公園をオープンへ (10/7,AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3001001
■クジラ牧場 計画中 和歌山・太地町で世界初 (10/5,東京)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013100502000233.html

■第2回・第3回鯨の海構想検討委員会議事録概要|美熊野政経塾
http://park.geocities.yahoo.co.jp/gl/mikumanoseikeijuku
■鯨の海構想|(〃)
http://park.geocities.yahoo.co.jp/gl/mikumanoseikeijuku/view/20120328
■第1回 鯨の海構想検討委員会 議事録概要(その3)|(〃)
http://park.geocities.yahoo.co.jp/gl/mikumanoseikeijuku/view/20120419

■森浦湾に真珠を求めて―三幸漁業生産組合|和歌山社会経済研究所
http://www.wsk.or.jp/book/40/02.html

 町立くじらの博物館名誉館長で、日本鯨類研究所(東京都中央区)顧問の大隅清治博士は「可能」と言い切る。「大昔、クジラのエサ場と繁殖場は一緒だった。温暖化でエサ場が冷たい所に移動し、広い範囲を移動するようになっただけだ」と解説する。(引用〜東京新聞)
 町は本年度、調査費として一千万円を計上。湾内で操業していた真珠養殖業者らとは既に漁業権の問題をクリアし、周辺の土地購入もほぼ終わっている。(引用)
 水産庁の担当者は「応援したい気持ちはあるが、魚やイカといった大量のエサをどうするのかや、生態系の問題など、調査の積み重ねが必要。時間はかかるでしょうね」と話している。(引用)

 鯨の海構想では森浦湾を約430mにわたって網で仕切るというのだが、これだけでも人件費を含め莫大な維持管理費が発生する。しかも網干鼻(あぼしのはな)は小さな低気圧が来ても波が高くなる場所で、仕切りだけ考えてもこの構想は、最初から無理がある。 (引用〜美熊野政経塾)
 決まっているのは三幸真珠の漁業権を無償で町に提供してもらおうと考えているので(真珠の)筏は町が(税金で)撤去しなくてはいけないかなと考えいる」ということでした。現在は真珠の養殖はやっていないと聞いていますがどうなのでしょう。(引用)
 オブザーバー 福田忠由 (三幸真珠生産組合長 太地町議会議員)
  オブザーバーより現在の森浦湾利用概要紹介
  @区画漁業権での真珠及びひおうぎ貝の養殖
  A上記養殖と合わせて、静穏な森浦湾を活用したシーカヤック体験事業等
(引用)
 水産庁の補助金がついたので、協議会に期待している。(大隅氏)(引用)

 本題から逸れますが、先に鯨研顧問・大隅御大の珍回答から。
 アサギマダラを始めとする昆虫、ウナギ・マグロから、ウミガメ、クジラ、多くの渡り鳥に至るまで、移動性野生動物は各種存在します。本来なら、それらの種はすべてボン条約のもとに国際的に保護管理されるべきところですけどね・・。
 そうした長距離を季節的に渡る動物の行動のルーツについては、様々な学説が唱えられています。気候変動はプレートの移動とともに有力な仮説ではありますが、クジラについては天敵メガロドンへの対処だったとの説もあります。
 いずれにしても、原生のヒゲクジラ類の祖先種は中新世の中頃、1千万年以上昔に出現し、当時から回遊もしていただろうと考えられます。ナガスクジラ科など現生種の科・属の分岐年代も数万年から数百万年前くらい。それだけの期間、いずれの種も南北両極に近い高緯度と赤道に近い低緯度を回遊し続けてきたわけです。定住型のカツオクジラのように、あまり長距離を移動しない生態に戻ったケースもありますけど。
 まあ、仮に温暖化説のとおりだったとしましょう。人為的な要因に基づく急激な気候変動に、多数の野生動物が適応できずに絶滅することが危惧されているわけです。長期的なスパンで獲得した自然な生態の修正があったからといって、その個体がいきなり大昔と同じ環境に適応できるなどと言い出す動物学者・生態学者がいるはずもないでしょうに。
 「獣は昔はみな魚だったんだから、水槽に閉じ込めたってそのうち慣れる」と言っているようなもの。もうムチャクチャです・・・ 
 そもそも、記者の質問とも全然噛み合ってませんけど。集団飼育関係ないし・・
 実際のところ、動物園・水族館で飼育されている野生動物は、本来の生息場所の環境とかけ離れた人工的環境で飼育され、行動習性も大幅に歪められてしまい、環境教育の効果さえ相殺しているのです。だから、昨今では海外発のエンリッチメントの発想が(形ばかりですが)導入されるようにもなったわけです。「行動を制限してかまわない」という思考のベクトル自体、時流に逆行しているとはいえるでしょう。
 大隅氏が諸手を挙げて賛同しているのは、かつて畜産研究者とともに「クジラ牧場」を夢想し、頓挫した苦い経験があり、なおも諦めていないからでしょうが・・・

 で、本題。
 東京新聞の記事等を読んで、筆者は強い違和感を禁じ得ませんでした。
 皆さんはブルーム騒動の話を覚えていますか? ブルームは太地と姉妹都市提携を交わしているオーストラリア北西部の町。詳しくは参照リンクの拙記事をご参照。
 ブルームとの縁は真珠です。イルカではありません。古式捕鯨の壊滅の後、同地の真珠養殖業に潜水士として入植した移民が交流のきっかけだったわけです。養殖技術も日本から取り入れたとの話もあります。
 後ほど詳しく解説する上掲最後のリンクに、昭和30年代には森浦湾を始め和歌山県内で真珠養殖が広く行われていたとあります。
 日本のイルカ猟はどこも散発的に行われただけで、生計を立てる生業とはいえませんでした。イルカが「余禄」でしかなかったからこそ、持続性を持たない乱獲体質だったわけですが。しかも、太地のイルカ追い込み猟は全国でも後発組で、伊豆から技術を導入して本格的にやりだしたのはやっと1969年のことです。
 太地の真珠養殖業は、それ以前から行われていた地域の欠かせない伝統産業だったはずなのです。姉妹都市との縁も取り持った。
 和歌山県ではこの伝統産業が次々に"絶滅"し、後はこの《鯨の海構想》が持ち上がった森浦湾を残すばかりとなりました。
 理由はカネです。経費がかかりすぎて安い輸入物に勝てなかったわけです。そんな他愛のない理由で数々の伝統産業を滅びるに任せてきたのが、この日本という国なわけですが。今日でもまったく変わっていませんけどね・・
 そんな中、まあ太地の真珠養殖はギリギリまで頑張ってはいたわけです。

 さて、その伝統の真珠養殖を、湾をイルカ・クジラ飼育用に専有するために潰そうというのが、この鯨の海構想です。
 多くの零細沿岸漁業同様、産業として成立しているかといえば実態は怪しい節もありますが、曲がりなりにも漁業権を有し、担い手がいれば、採算が取れれば(捕鯨のように不採算でも国庫補助で無理やり続ける手もあるけれど!)、継続したかったのが本音でしょう。
 その漁業権を召し上げ、同湾で辛うじて存続していた伝統産業を無理やり潰してしまおうと、太地町は考えているわけです。
 第一回の検討委員会議事録では「無償で提供してもらう」とありますが、東京新聞では「クリアし」とあり、町の予算で街の土地購入費用等も出したようですね。
 ちなみに、東京新聞にはまるで他人事のような水産庁の担当者のコメントが載っていますが、大隅氏自身が「水産庁の補助金がついた」とはっきり発言しています(第三回検討委員会議事録)。どこまで無責任な庁なのでしょうか?

 強引に腕ずくで沿岸漁業を潰すこのやり方、何かに似ていませんか?
 そう……福島から上関まで、原発立地自治体における電力会社の漁業補償交渉そのもの。原発温排水養殖という形で共存≠オているところまでありますが。
 あるいは、ダム等の大型公共事業にも通じるところがありますね。数々のかけがえのない共同体の有形無形の歴史的資産を水の底に沈めてきた。
 そうしたところはどこも、背に腹は替えられず、地域の多数意見と有力者のひときわ大きな声に逆らえず、伝統の生業を手放さざるを得なかったわけです。表向きは「自発的に売った」形を装って。
 伝統産業をかくも蔑ろにしてきたわけです。この日本という国は。
 そう、原発やダムとまさに同じく、捕鯨・イルカ猟は、地域の誰もが逆らえないご神体になってしまったのです。
 原発であれば、そうした空気≠利用して有力者が利権を貪り、町を私物化する構図が見えてくるわけですが……。
 筏の撤去費用を肩代わりし、土地を購入するといっても、漁業権は無償で放棄させるとするなら、これはある意味では原発よりなお一層タチが悪いといえるでしょう。身内だからかまわないということなのでしょうか? それとも、何か他に裏があるのでしょうか?


 実は、太地町と真珠に関しては、まだ不可解なことがあります。
 ここで上掲最後のリンクをご参照。
 どっかで見た名前が出てきますね・・。そう、この地域経済誌が刊行された2002年の時点では、太地の真珠養殖業を束ねる三幸漁業生産組合の長は、現太地町長の三軒一高氏だったのです。検討委員会議事録に出てくる現組合長の福田氏も、やはり太地町議会議員とのことですが。
 イルカ追い込み猟以上に重要な伝統産業だったはずの真珠養殖の方は、どういう理由によってか、他の方に事業を譲ったうえで、結局鯨の海構想のために潰してしまおうと、三軒氏はお考えになったわけです。
 上掲リンクには、真珠養殖もいろいろ経緯があったことが詳しく書かれています。需要の変化や海外との価格競争など、経済的事情により文化として変質を迫られた部分は大きかったでしょう。乱獲のような問題は生じなかったとはいえ。地域限定の食習慣から外貨獲得目的の鯨油生産、食糧難時代の緊急避難的食糧、魚肉ソーセージ原料を経て、高級グルメへと変遷した、捕鯨・鯨肉食産業ほどめまぐるしい変化とはいえないでしょうが・・
 後半に、赤潮被害についても書かれています。生活・産業排水の問題が大きいのでしょうが、近隣の他の養殖業の影響もあったかもしれません。
 そして、もう一点奇妙な記述が。

 昭和61年に発生した大規模建設の工事中に、その濁水が森浦湾の漁場に大量に流入し、養殖中の真珠がへい死しました。(引用)

 一体なんでしょうねえ、この「大規模建設の工事」ってのは?
 太地町のサイトでは、同年「グリーンピア南紀オープン、浅間山園地完成」とあるくらい。既に売られたグリーンピアは、一応森浦湾を望む位置にはありますが。
 自然豊かで趣があることを森浦湾のキャッチフレーズにしている太地町、御用社会学者の秋道氏らは素朴に礼賛していましたが、伝統産業に被害を及ぼすような大規模な自然破壊が、厳然として太地町で引き起こされていたということです。

 狂信的な捕鯨擁護応援団たちが何を叫ぼうと、イルカ猟と真珠養殖の間に線を引くのは、伝統産業・文化に対する恣意的な差別に他なりません。
 何より問題なのは、資本主義経済の市場の原理、自然な時代の成り行きではなく、国・町が税金を使って無理やりこのご神体≠死守しようとしていることです。
 太地町は、近隣の町とともに海の自然を何よりも大切にするブルームに対し、「イルカ猟に一切口出しするな」と高慢な要求を突きつけました。
 その一方で、二つの都市を結ぶよすがに他ならなかった真珠養殖を、ブルームとは何の関係もない自然搾取娯楽ビジネスのために、滅ぼしてしまおうというのです。
 これは友好に対する裏切り以外の何物でもありません。
 ブルーム市と市民は、ただちに太地町に対して強く抗議を申し入れるべきです。

参考リンク:
−太地−ブルーム姉妹都市騒動の背景(拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/31722747.html
−民話が語る古式捕鯨の真実(〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/33259698.html
−NHK、久々に捕鯨擁護色全開のプロパガンダ番組を流す(〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/31093158.html



◇コントロール・シンドロームに陥った捕鯨ニッポン(おまけ)

■排水溝で1400ベクレル検出 大雨で流入か 福島第一 (10/17,朝日)
http://www.asahi.com/national/update/1017/TKY201310170092.html

 大きな誤解を生みそうな記事タイトル。これは1リットル当たりの数字。検査は一日置きでしょ。どれだけの量のストロンチウム90が海に流れ出てしまったのか、もはや見当もつかないということ。
 一体どこがコントロールでブロックなのやら。
 「目に見えない海に流れてくれてよかった」と考えている人たちも、おそらくいるのでしょうけれど・・・
 水産物の放射性物質検査は今後ストロンチウムまで必須にしなくては駄目です。
 私は食べないけど、知りませんよ? ていうか、ネコたちだって困るし・・・
 イルカ、クジラを始め、海の生き物たちはもう手遅れかもしれませんが・・・

 
 なお、横浜国大のシンポジウムについては、IKANが記事にまとめてくれましたので、そちらをご参照ください。

■海に関連するシンポジウムが|ika-net日記
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-2f26.html

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2013年10月02日

平和の祭典の前に、自然と動物たちに平和を!

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◆コアジサシの楽園・葛西臨海公園を壊さないで!
 都会のオアシス、葛西臨海公園の1/4を潰すカヌー競技場建設計画。絶滅危惧種を含む多くの野生動物を育む汽水域を保全できないようでは、東京は世界に顔向けできません! 東京では危急種、隣の千葉では絶滅危惧種のコアジサシも隣接する渚で営巣していますが、開発によって繁殖に影響が出る恐れも。渡り鳥の保護は、越冬地のオーストラリアをはじめ、世界に対して責任を負っていることをお忘れなく!


◆カラスを虐殺しないで!
 愛嬌ある仕草で人々の目を楽しませ、高度な社会性を備えたカラスは、スカベンジャーとして生態系のバランサーの役割を果たしてくれるありがたい存在。ゴミの後始末はニンゲンの責任なのに、駆除でごまかそうとする東京都は、知恵比べでカラスに負けてます!
※ コアジサシなどの野鳥の減少をカラスの所為にする向きもあるけど、捕食の影響なんて生息地・営巣地の破壊とは比べ物にならないよ!


◆沖縄と北限のジュゴンにも平和を!
 この国で平和の祭典を開催したいなら、平和と相容れない軍事基地のために、最も絶滅が危惧される北限のジュゴンの大切な住処を潰すのはやめて! 近隣諸国と仲良くできないなら、一体何のための五輪なの!?

◆イルカ猟・水族館展示をやめて!
 渡り鳥と同じく、広い海原を行き来する野生動物の保護管理は世界が決めること。経済的理由で地域の伝統文化・伝統産業を蔑ろにできる国が、海の野生動物を殺すことについてだけ文化を唱えても白々しいだけ。ご神体≠支えているのは、税金と水族館での生体展示。五輪開催に手を挙げる国として恥ずかしいよ!

◆南極の野生動物たちに平和を!
 世界一の飽食大国・食糧廃棄大国でありながら、美食を理由に南極の自然にこれ以上手を出すのはやめて! 日本が「南半球の自然も野生動物も俺たちのものだ!」なんてジャイアンなことを平気で叫び続けるなら、南半球のすべての国は東京五輪2020をボイコットしよう!


◆ヘイトスピーチを厳罰化し、排外主義者を撲滅して!
 同じ人間に向かって「殺せ!」「レイプしろ!」と叫ぶ狂信的な排外主義者のデモを認めてしまう、あまりにも時代遅れな都市で、五輪開催なんてできるはずないでしょ!? 外国人が安心して訪れることのできない街だと、世界に思いっきりアピールしてどうするの??

◆地震と原発のある国で五輪なんて無理っ!
 日本は地震・津波・火山と共存していくことしかできません。いつ来るかも正確に予測することなんてできないよ。海外から大勢の人たちを招くのであれば、原発推進の旗を降ろすのは大前提だよね!


    ***


 「ブロック」だの「コントロール」だのデタラメ三昧のプレゼンで強引に勝ち取った2020年の東京五輪開催。
 どうしてもどうしてもどーーーーーーーーしてもやりたいんだよね・・・・
 そんなにどーーしてもやりたいのであれば、やめるべきことをきっぱりやめていただきましょう。
 実質的な不利益を伴わない外圧は100%無意味です。捕鯨ニッポンの場合は逆効果。
 けれど・・ネタがあれば話は別です。
 歯に物が挟まったような言い方ではなく、はっきりと、強いメッセージを伝えましょう。遠慮は一切要りません。
 そして、特定のNGOや個人の枠にとらわれず、各自それぞれ個性的なメッセージを発信していきましょう。
 7年あります。


参考リンク:
−日本/東京が五輪開催国/都市に相応しくあるために(拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/75365093.html
−東京五輪、返上しませんか?(〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/74406344.html



 コントロール・シンドロームに陥った捕鯨ニッポン・その2として、横浜国大と朝日のシンポについて近々まとめる予定・・
 武力・核の保持、侵略が平和でなんてあり得ないように、命を奪って環境保護もへったくれもありゃしません。
 ニンゲンは自然をコントロールできる崇高な存在だという、とてつもない傲慢が蔓延りつつある状況は、何とかしないといけませんね・・・

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2013年09月29日

コントロール・シンドロームに陥った捕鯨ニッポン

◇風立ちぬ感想

 タダ券をもらったので「風立ちぬ」を観にいきました。
 うーん・・・
 宮崎氏には申し訳ないけど、ちょっと泣けんかった。
 自分の作品はどれも何度読んでも泣けるんだけど。。
 原作のプラモデル誌連載漫画、堀越二郎の伝記及び堀辰雄の同名小説についてある程度予備知識があれば、それなりに面白かったのだろうと思います。
 今までにない目新しい演出といえる部分は、「地震」「大人の恋愛」くらいだったかな。彼の場合、既に完成されすぎている部分もあるのでしょうが・・。宮崎駿氏はアニメ演出家としてはまさしく超一流で右に出る者のいない存在だと思うのですが、脚本は別の人間に任せたほうがいいように思うんですよね。制作スタイルとして無理なんでしょうけど。
 一言でまとめれば、伝記+サナトリウム文学をアニメ映画の形で表現したらこうなった、という感じなのでしょうか。
 まあ、そういう映画もあっていいと思うのですが……そういう前振りはなかったよね。
 これまでずっと、ジブリとスポンサーで入っている大手広告代理店等は、興行成績の数字を念頭に置いたプロモーションを展開してきたわけです。作品そのものと切り離して。今回は庵野氏の主役抜擢(人選は宮崎氏だというけど・・)とニンゲン効果音。
 ジブリの大罪の一つとしてしばしば挙げられる、プロの声優さんを起用しない方針については、筆者も以前から強い不満を覚えていたところ。絵コンテや動画を素人にやらせるのも、斬新な演出としてアリ、と言ってるのと同じだよね・・
 アニメ監督、クリエーターとしての庵野氏には、宮崎氏同様尊敬の念を奉っているのですが、声優としての起用はどう考えても大失敗としか思えませんでした。効果音も作品の雰囲気ぶち壊し。コメディやB級ホラーなら馴染んだかもしれませんけど。。

 映画を読んで感じたのは、宮崎氏の最後のわがまま
 筆者の好きな宮崎作品(アニメ作品)は、@ラピュタ、Aトトロ、Bナウシカ。後は、ルパン最終回やパンダコパンダ。数字をたたき出したその後の作品は、いずれもガッカリ感のほうが強いです・・
 ちなみに、原作で好きなのは「シュナの旅」と「もののけ姫」(映画は嫌い)。「ナウシカ」は終盤に入って宗教臭が強まったり、王蟲をバイオ工学の産物にしてしまったのがちょっと残念だった。テトも殺しちゃうし。。
 宮崎氏以外では「猫の恩返し」と「ぽんぽこ」。むしろ演出で宮崎氏に入って欲しかった。。
 これは筆者の勝手な想像にすぎませんが、映画ナウシカやルパン最終話(TV)は、作った本人は「青かった」と思っている節があるように感じました。筆者はそうは思わないんですけどね。むしろ=B
 メッセージ性を薄めてぼかして、わけのわからないものにして、勝手に視聴者に解釈させる(実はかなり素朴な教科書的回答が用意されているんだけど・・)中期以降の作品に対しては、返って幻滅感を覚えました。「もののけ」とか「千」とか「ポニョ」とかの辺り。だから、劇場には行かなかったんですけどね・・。
 今回の「風立ちぬ」は、本人はメッセージ性はないとおっしゃっていましたが、これまでの一連のジブリ作品に比べると、メッセージがはっきりと打ち出されていました。震災、復興、全体主義へ向かう風潮。二郎や本庄、カストルプ、カプローニらの、ほんの2、3の台詞の形で、しっかり示されていましたよ。短くでしたけど、強烈に。強烈すぎるくらいに。
 まあ、ちょっと青かった≠ゥもしれないです。強すぎたし、作品のエンターテイメント性との調和が取れていなかった部分は否めなかったかもしれません。ナウシカやラピュタに比べても。
 でも、爆発的にヒットした過去の一連の作品よりはマシだったかも。
 たぶん、宮崎氏自身自己矛盾だと思い続けておられるんでしょうけど。

 「風立ちぬ」を(大人の)恋愛モノとして見た場合、「純愛王道サナトリウム文学ってのはこういうもんなんだよ」というお約束≠あらかじめ頭に入れてない鑑賞者には、あまりにもシンプルでご都合すぎ、しょんぼりとしか言いようがありません。
 そして、堀越氏の伝記として見るならば、まさに宮崎氏のようなマニアならディティールに惹きつけられるでしょうが、人間ドラマ・伝記としては何よりも肝腎な部分、戦闘機を作った人間の悲劇性からは大きく焦点がはずれていました。設計者として真骨頂となる最も美しい飛行機であるべき零式を、敵のみならず搭乗員の命すらあえて奪う恐ろしい特攻兵器にされた苦悩、無念さが描かれず、思いっきり端折られてしまったのは、非常にもったいなく、やや尻切れトンボの印象にもつながりました。
 泣くだけなら、松任谷のエンディングだけで涙腺はそこそこ刺激されるでしょう。しかし、はたして「戦争に関わった技術者の心の痛み」に涙した人はいたでしょうか?
 その点については、批判の目を気にされた部分も確かにあったのでしょう。誤魔化すことを「要求」された部分も。長編アニメは1人じゃ作れませんからね・・。もちろん、それ以上に、鑑賞者各自が想像を膨らませてくれることに望みを託されたのでしょうが。

 残念ながら、いまの日本は驚くほど《想像力の欠如した社会》になってしまいました。
 想像を働かせるのは、ある意味脳をフル回転させる面倒な作業です。他者の用意したマニュアルに沿った模範回答を取り込み、自分の感想にしてしまう人が、今の時代、この国ではどれほど多いことか・・・
 実際に映画を観た人たちから「よかった」「感動した」という判を押したような感想ばかり聞くと、暗澹たる思いに駆られてしまいます・・
 だからこそ、筆者としては、むしろストレートに、これでもかとばかりに、汚く、醜い、血にまみれた「航空機開発の歴史」の負の側面にスポットライトを当てて欲しかったのです。逆に過剰なくらい描かれていた、「美しい純愛」の部分と釣り合いが取れるくらいには。
 聞こえてくる限り、最後の作品の出来栄えにご本人はある程度満足されているのでしょう。奥さんは不満だったという話だけど・・。
 純粋に作品に対する評価でいえば、筆者は高い点を付けられません。けれど、メッセージを前面に出す「青さ」に面映さを覚え、口では若い時代の作品を低く評価しながらも、実はメッセージ性とエンターテイメント性の狭間で揺れ動き、ずっと苦悩し続けていた宮崎監督らしさは感じました。
 歯の浮くような、あるいは鼻につくような、青いとさえ感じる、高い社会的なメッセージが気にならないほど、ずば抜けたエンターテイメント性を備えた作品でさえあるならば、どんどん発信していいというのが筆者の持論。
 それだけの優れた演出の才を備えた、稀有なクリエーターこそ宮崎氏だったと思うのです。残念ながら、実際には多くのジブリ作品が商業性を優先させられ、薄味の作品ばかりになってしまった感が否めませんが。
 結局最後まで宮崎氏のカラーに頼らざるを得ず、宮崎氏に匹敵する才能と、氏とは異なる強烈な個性をともに備えたクリエーターを発掘し、育てることのできなかったジブリの今後も、筆者としては気になるところ。


 そういえば、噛み付いてるヒトたちもいましたね。
 禁煙学会の批判については、筆者はもっともだと思いました。さすがに重度の結核患者の前で吸うのはいただけない。ほかにいくらでもやりようがあったという意味で、作品の本筋とは無関係な演出だし、これもヘビースモーカーの宮崎氏のわがままなんでしょうけど。
 「正論」の右翼らしいみっともない攻撃のほうは、「熱風」の憲法改正特集への当てつけなのが見え見えだったけどね〜。
 「戦闘機や戦艦を好む一方で戦争反対を主張する矛盾=v? 全ッ然OKですよ。
 筆者はあまりその属性はないのですが、別に嫌いでもありません。メカは描くのが苦手だからあんまり好きになれないだけ。
 殺しをやめて、戦争をやめて、博物館行きにして、たっぷり愛でればいいんですよ。いくらでも。そして、歴史は歴史。過去は過去。繰り返さなきゃいいんですよ。単に。メカフェチ、ミリオタ万々歳!
 いまこれから戦争そのものをやりさえしなければ。戦場に行かなければ。銃弾なり核兵器を積み、発射しなければ。命を奪わなければ。
 もちろん、「繰り返さないための反省」は日本という国が存続する限り決して怠ってはなりませんし、現状では戦争の準備の段階で環境汚染や税金の使い道の問題も厳然として発生しますけど・・
 それらはあくまでヒトの罪。メカの罪じゃありません。
 ニンゲンはもともと矛盾だらけの生き物です。想像を膨らませるのは自由。表現するのは自由。
 右翼のアホどもは何も矛盾を解消できているわけではありません。反反捕鯨論者のイカレた殺しの平等論≠ニそっくり同じで。
 創作、表現の場においては、徹底的に、とことん理想を追求するべきなのです。現実の枷を引きちぎって。
 萎縮を狙う国粋主義者たちがいくら脅しをかけようとも、妥協する必要など一切ありません。

 もちろん、それはアチラサイドのヒトたちについても同じですし、実際その手の作品が増加傾向にあるのを感じますが、人の命より国体を優先するような価値観の持ち主には、本物の感動を与えることなど決して出来はしないのですから、その点は筆者は楽観しています。
 宮崎作品の個性(アク)には筆者は少し肌が合わないところもあるのですが、はっきりと正論を言ってくれた宮崎氏らには、心から尊敬の念を覚えます。
 なぜなら、日本の著名人層・メディア人層の多くは、権威に迎合するか当たり障りのないことしか言わず、本当に必要な社会的発信をしたがらないから。それだけでも、応援したくなるというもの。
 また監督として次作を出してくれとか、そういうことを言う気はないけど。注文としては、やって欲しいのはむしろ、映画以外の表現への挑戦、後身を育てること、かな。
 ジブリについては、ラピュタのリメーク版とかどうかしら? 竜の巣への突入シーンとかゴリアテだけCG使って書き直して。興行的にはむしろペイすると思うんだけどなあ。まあ、宮崎氏は嫌がるだろうけど・・
 そうそう、ジブリさん、「平成狐合戦コンコン」なんてどうでしょうか?
 あと、「三獣使」も映像化すればエンターテイメント性の高い作品にきっと仕上がりますよ。ポケモンのプロダクションでもいいけど。ていうか、誰か作ってくれないかニャ〜。筆者の脳内だけじゃもったいないし・・・


参考リンク:
−風立ちぬ|ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8%E7%AB%8B%E3%81%A1%E3%81%AC_(%E5%AE%AE%E5%B4%8E%E9%A7%BF%E3%81%AE%E6%BC%AB%E7%94%BB)#cite_note-hochi-42



◇コントロール・シンドロームに陥った捕鯨ニッポン・その1─池上プロパガンダに見られる情報コントロール

■(池上彰の新聞ななめ読み)安倍首相の五輪招致演説 「ブロック」発言の意味は (9/27,朝日)
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201309260575.html

■汚染水浄化装置、22時間で試運転中断 福島第一原発 (9/28,朝日)
http://www.asahi.com/national/update/0928/TKY201309280038.html
■(耕論)止まらない汚染水 野村修也さん、阿部博之さん (9/27,朝日)
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201309260581.html
■安倍首相、再び「汚染水ブロック」 海へ流出続くなか 福島第一視察 (9/20,朝日)
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201309190662.html
■POLITICS/実態なき「ブロック」 汚染水「影響は港湾だけ」安倍首相は明言 福島第一視察 (9/20,朝日)
http://www.asahi.com/business/articles/TKY201309200284.html
■朝日新聞ツイッターで東京落選と誤報 IOC総会、直後に訂正 (9/10,朝日)
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201309090584.html

このとき朝日新聞のツイッター速報が「東京、落選しました」と報じましたが、(引用)
「フェロー」という聞きなれない肩書をそのまま記事で使っているため、この人がどういう地位にある人なのかわからず、どの程度重みのある発言か評価できないのが残念です。(引用)

 権力を監視し、チェックするのが本来のジャーナリストの役目。
 日本を代表するジャーナリストとしてTVに新聞に引っ張りだこの池上彰氏は、しかし、報道より誘導のプロといったほうがしっくりきます。
 池上氏は民主党政権時代は保守陣営から叩かれていたようですが、要は時の政権に擦り寄る風見鶏ということでしょう・・
 大勢につく迎合型の手法、茶の間に届けるネタに使っていいかどうかムードを読む感性が、この御仁の持ち味なのでしょうけど。
 27日の朝日に掲載されたオピニオンには、まさに氏の誘導のテクニックがいかんなく発揮されていました。
 タイトルが「新聞ななめ読み」となっていますが、安倍政権への批判の足をすくって安倍擁護にそっくり利用する手口は、「ななめ」というレベルではありません。記事をコケにされたに等しい朝日が、なぜこの御仁にこれだけの紙面を与えているのか不思議でなりません。
 しょうがないのでななめ読みのななめ読み≠「きましょうか・・・

 冒頭で落選誤報の件に触れ、真摯な謝罪を装って朝日をチクリと刺していますが(他紙もたたいてますけど)、朝日がツイッター上では数分後に削除、謝罪し、紙面でも記事で謝罪していることには触れていません。ここに池上氏のアンフェアぶりが露呈しています。
 「自分はすぐに謝ったし、ここでも謝ってるんだぞ、エッヘン♪」と胸を張るなら、引用文は「報じ、すぐに削除・謝罪しましたが」とするべきです。朝日の紙面を借りてるのにねえ・・
 意味のないパートですけど、ここで「早合点という恥ずかしい誤報」という言葉を伏線に使っているわけです。覚えておきましょう。
 少し飛ばして、池上氏がかなり行数を割いている「フェロー」について。フェローがどういうポジションか池上氏が知らないはずはありませんが、朝日の解説不足を指摘しながら自身が代わりに解説するわけでもありません。肩書きは東電が付けるもので、勝手にメディアが勝手に変えられるわけでもなし。
 一般読者は、たとえフェローが正確にどういう役職か知らなくても(日本語の役職だってそれは同じことです)、東電の人間がこう言ってるのかと受け止めますし、大事なのは内容。真っ先に地位に目が行き、その地位に基づいて発言の重みを斟酌する、池上彰のようなタイプの人間ばかりではないのですから。平の社員、下請けの作業員だろうと、重みのある発言だと市民は受け止めます。池上氏はきっと、ハッピー氏の指摘に重みなどまったく感じないのでしょうね・・・
 さて、ここからが重要。池上彰の真骨頂(?)誘導のテクニック。究極のミスリード。
以下、朝日の同氏論説からの引用。数字、強調は筆者。

@ あれっ、初めて聞いた話だぞ。
A やっぱり安倍首相の発言には根拠がないというわけです。
B これではまるで泥縄ではありませんか。
C これを「コントロール」や「ブロック」といえるのでしょうか。
D そうか、「汚染水をブロック」ではなく、「汚染水の影響をブロック」だったのですね。早合点した私がいけなかったのか……。

 @からCまでは、安倍IOC発言と汚染水問題をめぐる朝日報道に対する、一般の読者とさして変わらない感想を述べただけ。
 そして記事末にきて突然、朝日記事に「ふむふむ」と頷いていた読者を唖然とさせる、とんでもない誘導が行われます。
 多くの紙面を費やした朝日の汚染水問題の解説を読み、納得した読者の側に寄り添っていたかに見せかけていたのが、補足記事の一部を抜き出した上で、次の結論を提示して安倍擁護に回るわけです。
「いや〜、僕も、読者のみんなも、朝日の記者も、(恥ずかしい)早合点≠オちゃってたけどさぁ、安倍首相は本当はこう言いたかったんだね。目からウロコだね! 早合点した私がいけなかったんだよね!(お前らもだよ)」
 「汚染水」じゃなくて「汚染水の影響=vだからいいんだよ、と。
 これですべての疑問がすっきり解消されたといわんばかりに。
 びっくり!! もう見事なお手並みというほかありません。

 早合点していなかった読者が、池上氏のミスリード解説を読んで早合点≠キるといけませんから、再度文脈を整理してみましょうか。
 「The situation is under control」がスピーチで安倍氏が使用した言葉。その後質疑応答で「影響」とは口にしていますが、海外メディアのリポーターのインタビューに対しては、次のように答えたと報じられているわけです。
I explained about the water contamination in Fukushima and explained that the contaminated water was blocked.
 いちいち「影響」を入れるのが面倒くさかったのか、リポーターの側が聞き取れなかったのか知りませんが、少なくとも「ブロック」という言葉はこういう形で一人歩きしているということです。
 早合点≠オた世界中の人が恥ずかしいと思わなければならないのでしょうか? 安倍発言の真意をタダしく汲み取れなかったことを。
 それとも、早合点されかねない「ブロック」という言葉を安易に用いた安倍氏の首相としての資質を問うべきでしょうか?

 池上氏は、この論説を通じて、「後者じゃないんだ、前者なんだよ!」ということを言っているわけですが。
 「状況」も「影響」も、最もコントロールという言葉が似つかわしくない対象。定義・境界が明瞭でなく、受け取る人によって多義的な解釈が可能な代物。
 そもそも低線量被爆を含む放射能の人体への影響、生態系に及ぼす影響については、まだわからないことが山ほどあるのです。
 わかってないもんをどうやってコントロールするのでしょう!? ましてやブロックなどできるはずもなし。
 現在の科学でわかっている範囲では、直接ニンゲンの健康に「深刻な悪影響」(深刻≠熨椛ホ的な指標ですが)はないと考えられる──そう結論付ける人たちはいるでしょう。だからといって、「影響がない(影響を与えない)」という表現を用いるのは、子供でもわかることですが、日本語として明らかな誤りです。
 ブロックというのは、文字どおり「そこで止める」ということ。現状はだだ漏れしまくりで、どんどん拡散して薄まるから数字が低く見えるというだけ。生物圏に取り込まれた放射性物質が、どのような形で移動するか、まったくといっていいほど解明されていないのに、「影響をブロック」など出来るはずがないのです。
 それをないと言い切ってしまう、あまりにも単純素朴すぎる究極のオプティミズム。
 安倍氏が「コントロールできてると僕は思う! 信じる!」のは勝手。彼はコントロールの定義が世間とかけ離れているだけ。定義が合致しているのは、池上氏や擦り寄っているアホ右翼どもだけ。
 日本という国が、国民に、五輪関係者に、世界に対して、責任を負うことなどできるはずがありません。
 何をもって、どの範囲までをコントロール/ブロックと呼ぶのか。コントロール/ブロック出来ているか出来ていないかを誰が、どのような基準で判定するのか。出来なかった場合、誰が、どのような形で責任を負うのか。負えるのか。
 そうした問題に一切言及することなく、五輪欲しさのあまり、「The situation is under control」と言い、「Contaminated water is entirely blocked」と言てしまう、そんな恐ろしい人物を一国の首相に据えてしまっているのが日本なのです。
 追及するメディアの記事そのものを用いて政権批判を「ブロック」し、世論を「コントロール」しようとする──これほどまでの池上氏の熱意はむしろ、オピニオンリーダーとしての氏の立場を精一杯活用しようとする一つの勢力があるようにさえ思えてきます・・・

 原発・汚染水・リニアから、自然・野生動物・犬猫の命、そして一人ひとりの国民とその個人情報・表現の自由まで「コントロール」したがる、コントロール・シンドロームがいま、この国で蔓延しつつあります。
 こちらもそうした動きのひとつ。食文化御用学者加藤氏が何を言ったのかも気になるところですが。

−公開コロキアム「減る水産物、増える海獣−絶滅危惧の水産生物と持続可能な漁業−
http://www.cosie.ynu.ac.jp/news/94.html
http://d.hatena.ne.jp/hymatsuda/20130920/1379638672


参考リンク:
−安倍首相が五輪招致でついた「ウソ」 “汚染水は港湾内で完全にブロック” なんてありえない (9/8,水島宏明氏)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20130908-00027937/
-Japan Prime Minister’s Fiction vs. Fact: Fukushima contamination has never done any damage to Tokyo; Radioactive water at plant was “blocked” − Study: Tokyo was contaminated − Experts: Radioactive water is constantly flowing out to sea and almost impossible to stop | ENENEWS
http://enenews.com/japan-pm-fukushima-contamination-has-never-done-any-damage-to-tokyo-radioactive-water-at-plant-was-blocked-study-tokyo-was-contaminated-experts-radioactive-water-is-constantly-flowing-ou
−池上彰の反中プロパガンダ|世に倦む日日
http://critic6.blog63.fc2.com/blog-entry-396.html
−豪米戦略のターゲットは中国or捕鯨ニッポン?(拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/75815825.html
−コントロール下にあるのは言論とメディア
http://kkneko.sblo.jp/article/75670669.html
−日本/東京が五輪開催国/都市に相応しくあるために
http://kkneko.sblo.jp/article/75365093.html
−ミツバチとクジラ──科学のまやかしと予防原則
http://kkneko.sblo.jp/article/74729858.html
−東京五輪返上しませんか?
http://kkneko.sblo.jp/article/74406344.html
−オマケ・池上彰のキャラ設定
http://kkneko.sblo.jp/article/46531519.html
http://twitter.com/kamekujiraneko/status/319807027423629313

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2013年09月22日

ダイマッコウ考/「予告犯」の正しい読み方

※ 本日の記事はネタバレ注意です!
◇ダイマッコウ考

■鯨の王 藤崎慎吾・著|文芸春秋
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784163260006
■感想サイト
http://www.webdoku.jp/shinkan/0708/t_5.htm
http://blog.livedoor.jp/sintamanegi/archives/51240016.html
http://www.asahi-net.or.jp/~wf9r-tngc/kujiranoou.html

 日本発の本格的な海洋SFとして、SFファンにはぜひ手に取っていただきたい作品です。

 海という環境において、ヒトという陸棲哺乳類の種族は、完全にアウェイの立場にあるわけです。
 もっとも、現代を生きるヒトには、その認識すらないのかもしれません。
 「ほかの誰かが暮らしている世界なのだ」という自覚さえあれば、少しは遠慮が働いたというものでしょう。ここまで荒らし放題、汚し放題、壊し放題ということにはならなかったでしょう。
 その最たるものが、核のゴミ捨て場としての利用。そして軍事利用。

 この作品は、ヒトが海という自然とどのように向き合うべきか、今の付き合い方で本当にいいのか──という問題を、私たちに改めて気づかせてくれます。
 米海軍の潜水艦をも翻弄するダイマッコウという存在を介することで。
 この作品で筆者がとくに気に入っている点は、ニンゲンの知性と武力さえも上回る存在でありながら、ダイマッコウがあくまで野生動物らしさを失っていないこと。興醒めしがちな異なる知性≠ナはなく、クジラ(亜)目(下位の分類群は現存しないけど)の動物の一種としてすんなり受け入れることができたところ。
 放射性廃棄物を含む有害廃棄物の投棄、音響妨害のような問題にも、きっちりボリュームが割かれ、読者に考えさせる機会を与えてくれています。
 ハードSFとしての緻密な設定、海洋生物の描き方、コンタクトものとしての切り口の面でも、ドイツの作家の手になる「深海のイール」よりも、筆者としてはポイントが高かったです。

 きちんと読んだのは、実はつい先日(汗)
 これまでなかなか食指が動かなかったのは、主人公の無頼なアル中鯨類学者・須藤秀弘のモデルが、最近御用色が濃くなってしまった加藤氏だからなんですが(汗々) 名前も一字違いだし、どうしてもあの個性的なヒゲ面が思い浮かんじゃうんだよね(--;;
 それから、正直、テーマやSFネタの一部に拙作と被る部分もあり、筆者としてはかなり悔しい思いをしました(^^;;
 続編で気嚢ネタを出したのが、すっかり二番煎じになっちゃったし。。
 このままじゃ癪だし、筆者はハードSFファンなので、いくつかツッコミを入れたいと思います。藤崎先生のファンの皆様、ゴメンチャイm(_ _)m

 まずは気嚢ネタについて。
 今までダイマッコウが発見されなかった大きな理由は、呼吸のために海面に上がる必要がなかったから。そのために気嚢の特徴、アザラシでの事例をもとに水中仕様の肺≠ニいうアイディアを作者は考案されたわけです。筆者も読者の皆さん同様唸らされたのですが、実はひとつ大きな問題が。
 それは、進化史的な説明が(ほぼ)不可能だという点。
 動物がそれまでの水中生活から陸上生活へ移行するにあたって、酸素をどうやって取り込むかはとても大きなハードルでした。
 実際にどうやったかというと、浮き袋という元来別の機能を果たすための器官に、空気中の酸素も取り込める追加仕様≠加え、水中では鰓、陸上(乾燥期や水場間の移動)では肺という、両棲タイプの動物へとまず進化したわけです。その後淘汰圧が働き、フロンティアの陸上に生活の比重が移る過程で、呼吸のための器官もメインとサブが入れ替わることになったわけです。これが進化における呼吸器官スイッチの流れ。進化は常に、境界領域で起こり、一種のひらめきにも似た想定外の活用=A不可欠な機能に至る前のバックアップ的な活用≠フ過程が入るわけです。ID論者であればここは省けるんですけどね・・
 ダイマッコウの場合、肺という単一の器官を空中仕様から水中仕様へといっぺんに切り替える形になるため、進化の過程を考えるとやはり苦しいのかな、と。
 徐々に潜水時間を引き延ばす方向へ淘汰圧がかかったとして、いまは発声器官として使われている鼻道の気嚢に近い構造を水中の酸素を一時的に取り込む器官として発達した、という説明なら可能かもしれません。マッコウは鼻道に低温の海水を取り込み、脳油の比重を下げることで大深度への急速潜行を可能にしているという仮説があります。その前庭気嚢がやがて音響用から水中呼吸用への器官へとシフトしたとの説明はつくかも。ただ、それだとソナーや音響通信の性能は低下しちゃうかもしれないけど・・
 あと、マッコウより大きい強力な社会性の捕食者という位置づけを考えると、そこまでして深海に適応する必要性は高くなかったでしょう。餌の生産性、あるいはメガロドンのような天敵への対処にしても。ヒゲクジラの場合は高緯度に逃げることで対処し、それが長距離回遊の由来だと考えられています。メガロドンに逃げるために潜水時間を徐々に延ばすよりは、寒い海に逃げるか、大型化で対抗したほうが手っ取り早いだろうし、やはり深海への適応はコストがかかりすぎる気がします。
 余談ながら、気嚢は鳥類の大きな特徴のひとつといえる器官で、恐竜から続く進化の観点でも注目されてきたのだから、動物学者なら畑違いでも名前と概略的な機能は知っていていいこと。対談を見る限り、やっぱり加藤氏は動物<食文化学者だね。。。 
 もうひとつ、その須藤氏(加藤氏)の解説の間違い。
 「生きた化石」は形態・形質が祖先種とほぼ変わっていない原生種に対して用いる用語。ヒゲクジラもハクジラもダイマッコウも、ムカシクジラを共通祖先に抱く関係という意味では同じで、直系の子孫には違いありません。
 むしろ、マッコウとダイマッコウは、別の系統でありながら深海に適応したために、よく似た形態を有するようになった相似の典型といえるので、その辺の解説が欲しかったところ。
 それと、これだけのサイズで分布も広範に及んでいたなら、化石の形でやっぱり残ってしまうでしょうね。だから、分岐年代がそこまで遡っていたとしたら、やっぱり現代に未知の新種として発見されるのはちょっと苦しいかも。
 

 環境問題に関する部分で指摘しておきたいのは、核廃棄物に関して。
 超臨界二酸化炭素を用いた化学分解技術は実際に応用されていますが、ウランから酸素などの不純物を除去するためで、放射能の問題を解決するわけではありません。登場した多国籍企業がどれだけ悪質かって話だけど。
 原潜と海底基地の原子炉も、あのままでは確実に汚染源。海の原潜・核事故は、ロシアの原潜、タイコンデロガの水爆搭載艦載機をはじめ、実際起きているわけですが。
 近未来の設定といえる海底基地ですが、電力供給を原子炉でやるのは、燃料棒の交換などを考えるとかなり無茶かも。やっぱり温度差か波力が現実的かしら。核の問題を訴える意味であえてそういう設定にされたのだと思うけど。

 有人宇宙ステーションは極低重力という特有の実験環境が必要性につながっていますが、有人深海底基地のほうは、優れた潜水艇があったり、高圧実験環境が陸上で作れることもあり、コストに見合う必要性が見出せないかも。現状の洋上の母船で十分だから。
 ある意味で、科学性が恐ろしく低いのに税金をバカスカ拠出する調査捕鯨に近い存在といえちゃうかもしれません・・・

 工学では超音波兵器ネタ。
 基地や船内への攻撃は、水中・金属隔壁・内部の空気というインピーダンスの差が非常に大きい三層構造だと、反射・吸収による減耗がかなり大きくなるように思います。直角に当てると自分に跳ね返って危険だし、角度を付けると余計入射しないし。
 位置を探るエコロケーション用ソナーの方は、当然攻撃用ソナーより出力を絞らなければいけませんが、低周波は指向性が低く精度が粗くなります。船内のニンゲンの器官に照準を定めるのはやっぱり厳しいんじゃないかしら。
 逆に、ニンゲン側も、体表の斑紋・傷の位置や形状、数などを主な指標とする個体識別は、基本的に視覚に頼るため、音響ソナーの分解能・反射映像でそれをやろうとするのはちょっと無理かなあと。
 低い出力でより効果を上げる方法の一つは、隔壁に頭部を接触させる方法。それと、小説内でも使われていた複数個体で焦点を合わせるやり方。まさに知能・コミュニケーション能力の発達したダイマッコウならではの協調攻撃ですね。後は、ブリンの「ガイア」にあった(こっちは重力波だけど)周波数を対象の固有振動に合わせる方法。音を吸収するゴムのような素材を過負荷にして発火させる手などもありそう。
 なんて、これじゃまるでニンゲンよりダイマッコウを応援してるみたいだけど。。。
 ちなみに、拙作に登場するネオシャチ・ネオマッコウらが使う超音波レーザーなんか、昔のロボットアニメの必殺技のレベルだからニャ〜(汗) 大体、レーザーって原子のエネルギー遷移を利用して発生させる位相の揃った単色の光(電磁波)のことですもんね。。
 ごまかしの利くファンタジーしか描けない筆者としては、これ以上のツッコミはやっぱりできませんね(^^;;


 8月末には『深海大戦』が刊行。藤崎先生の今後の作品にぜひ注目していきたいと思います。


参考リンク:
−深海大戦|角川書店
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201103000949



◇リンチ殺人テロを賞賛する凶悪反反捕鯨漫画「予告犯」の正しい読み方


■予告犯|ジャンプ改Web
http://jumpx.jp/w/yokoku/special.html
■予告犯|ウィキペディアJP
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%88%E5%91%8A%E7%8A%AF


■Tsunami|シー・シェパード(SSCS)元代表ポール・ワトソン氏のフェイスブック
https://www.facebook.com/captpaulwatson/posts/10150154562665932
■石原都知事  天罰発言|ユーチューブ
http://www.youtube.com/watch?v=-0yM309YxKk
■石原都知事「アニメエキスポ震災で全部パーになった。ざまあみろ。」 |〃
http://www.youtube.com/watch?v=jYjiR4DnICY
■石原知事「津波は天罰、我欲を洗い落とす必要」 ('11/3/14,読売)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110314-OYT1T00740.htm
■石原"不謹"慎太郎の「津波は天罰」という妄言を批判する|松永英明氏 ('11/3/15,BLOGOS)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110314-OYT1T00740.htm
■よみがえる「天譴論」〜石原天罰発言の超克|Kousyoublog
http://kousyoublog.jp/?eid=2569


東京都の石原慎太郎知事(78)は14日、東日本巨大地震に関連し、「津波をうまく利用して『我欲』を洗い落とす必要がある」「これはやっぱり天罰」などと述べた。(引用〜読売)
しかし、こちらの解釈を行なうならば、石原都知事はポピュリズムや我欲批判をするのに「天罰」というような被災者感情を無視した言葉を発すること自体が不要であったはずだ。被災者感情(あるいは被災地に親族や友人知人がいる人たちの思い、あるいはあの被災の映像を見て一人でも多く助かってほしいという願い)を踏みにじる言葉であることは言うまでもない。村井嘉浩・宮城県知事も「塗炭の苦しみを味わっている被災者がいることを常に考え、おもんぱかった発言をして頂きたい」と発言したと報じられている。
「津波で我欲を洗い流せ」と言ったら、津波の被災者は洗い流された「我欲」という連想が働いて当然である。そういうことに思いが至らない石原の言葉づかいにはまったく賛同できる余地がない。
そこでもう一つの読解が可能である。石原は本当に天罰だと思っている、と。
古い考え方では「為政者が悪政をするから災害が起こる」という考え方、大正の関東大震災の際には「民衆が堕落したから災害が起こった」という考え方が流行したという。つまり、ノアの大洪水のように、大災害が起こったのは堕落した人類を懲らしめるためだという思想である。
石原の場合、民主党ではなく日本人への天罰だと言い切っているので、関東大震災後の民衆堕落批判としての「天譴論」に当てはまるといえよう。
こう言い換えればわかりやすいだろうか。石原慎太郎は「煩悩にまみれた日本人へのカルマ落としとしてこの大震災が起こったのだ。だから日本人は悔い改め、石原慎太郎を支持しなければならない」と主張したのである。
(引用〜BLOGOS)


 以前のブログでボロクソにけなしたら、この作品を擁護するクレームをいただきました。。
 ので、さらに詳細なツッコミを入れておきたいと思います。

 まず、集英社・筒井氏によってほぼ特定される形で、具体的にパロディにされた元ネタのSSCS・ワトソン氏の詩について。
 最初に、筆者はSSCSのやり方を支持しておらず、ワトソン氏も個人的に嫌いなタイプだとお断りおきましょう。もうひとつ、私の作品でも環境保護団体・(一部の)反捕鯨運動に対するかなり痛烈な風刺を取り入れています。
 作品中のシー・ガーディアンなる団体の代表はボブ・パーカー。スペル一字違いのボブ・バーカーは実際のSSCSの船名であり、同団体の大口スポンサーである著名なTV司会者の実名。日本のSSCSたたき動画では「バ」ではなく「パ」の誤表記も多く見られます。
 筒井氏が勘違いでニコ動を真に受け「パ」にしたのか、狙って一字変えたのかは定かでありませんが・・
 さて、リンクのワトソンのフェイスブック、詩の原文そのものを見ればわかるとおり、彼の詩には「天罰だ」とも「ざまあみろ」とも一字も書かれてはいません。
 日本、東北等固有の地名も含まれてません。ま、311に書いた以上、特定の津波にインスピレーションを受けて書いた詩であることはまず間違いないでしょうけど。
 詩の中にはポセイドンという単語が一度使われるだけ。
 天罰というのは、もし発言者が字義通りの意味をこめているとすれば、その人物の宗教観・信教・道徳観の反映であるはずです。
 ワトソン氏は伝え聞く限り、プロテスタントでもカトリックでもありません。どうやら日本の八百万信仰や先住民族のアニミズムに共感しているようですね。
 仮に隠れキリスト教徒だとすれば、ポセイドンなんて異教の神の名前が出てくるわけありません。といって、ギリシャ神話の世界を真に受け、ゼウスやポセイドンを信仰しているわけでも当然ありますまい・・
 ギリシア神話に慣れ親しんだヒトであれば、これは比ゆ的表現としてあり得るでしょう。実際、メジャーなギリシャ神話のメジャーな登場人(神)物なんですから。
 確かに、古代の人々、信仰心の厚いヒトは、普通に津波や地震、噴火を神の天罰だと思い込むでしょう。「思うこと」を他人が否定しても意味はないわけです。それは、相手の信仰や信条、価値観の否定でしかありません。
 ワトソンが日本に悪意を抱いているかどうか、災害に見舞われたことで「ざまあみろ」と思っているのかどうか──それは他人には決してわかりようがないことですが──いずれにしても、それは本人の良心の問題です。
 ワトソンの失言を「ざまあみろ」と思ってここぞとばかり攻撃して愉悦に浸っている反反捕鯨論者が山ほどいたとしても、それがこのアホどもの人間性の問題にすぎないのと同じこと。
 筆者の目には、「天災の前では高度な文明を発達させたニンゲンといえど無力な存在だ」という嘆きの詩というふうにも受け取れます。
 日本の反反捕鯨論者でも、SSCS支持者でもない、捕鯨問題に関して特定の意見を持たない世界中のニュートラルな人たちにこの詩の感想を尋ねれば、おそらく7、8割方筆者と同じ答えが返ってくるだろうと思いますけどね。
 繰り返しますが、本人がどう思っているかは、本人しかわからないことです。しかるべき立場の人物が、しかるべき場で発言した「言葉そのもの」ではなく、含むところのある他人が「言葉」の裏を勝手に勘繰ってあれこれ議論するのはナンセンスです。
 「この詩は『東北大震災は天罰だ、自業自得だ、ざまあみろ』と言いたいに違いない!」との主張は、そういった主張をしているヒトたちの純粋な主観です。自分の物差しで他人の内面を決め付けることしかできない、一部の狂信的な反反捕鯨論者たちの。
 詩というのは得てしてそういうものです。作者の意図をそっくり受け取る必要もありませんし、読者が想像をたくましくするのも自由ですけどね・・
 無神経だと思うヒトはいるでしょう。特に実際に被害に遭われた方は。
 しかし、文字どおりの天罰発言が、記者会見の席上ではっきりと「天罰」の二文字を明言する形で、ニュースで聞くだけの外国人と異なる日本の首都の首長の口からあったとするならば、話はまったく違ってきます。
 それも、表現力、想像力ともに日本で最も磨かれた人物であっていい、言葉・日本語の使い方が誰よりも洗練されているはずの、それが可能であって当然の、日本の売れっ子作家であったとするならば。
 石原氏の天罰発言がいかに#災者のみならず日本人全体を傷つけるものだったかについては、松永氏のブログ記事で詳細かつ適切に論じられているので、そちらをお読みいただくことにしましょう。
 ポール・ワトソンの無神経さの程度は、明らかに日本人・政治家・作家であるところの石原慎太郎元都知事には遠くはるかに及びません。
 当事者とそうでない者の感覚の違いというのは、「国籍によらず」共通です。
 ワトソンの詩について取り上げた日本のマスコミは産経のみ(記者は佐々木氏)。本人と日本の狂信的な反反捕鯨論者たちがネットでは広めましたが。
 一方、石原発言は各マスコミにそれなりに大きく取り上げられました。ネットでも。こちらでは支持者層もいましたけど。。
 「天罰発言」そのものをもしパロディとして取り入れるとするなら、ニュートラルな表現者/メディアであれば、対象は石原元都知事にしかなり得ないでしょう。まあ、両方知っていれば、石原とワトソンを9:1くらいでミックスした登場人物を作るのもアリでしょうけど。
 「予告犯」作者の筒井氏と、集英社の「ジャンプ改」筒井氏担当編集者は、石原発言に関する報道を知らないほど、新聞・テレビ・インターネットから隔絶された環境にいたのでしょうか? でもって、ワトソンだけはファンでフェイスブックで友達申請でもしてた??
 ありえませんわな。耳をまったくふさいでいたら、この作品自体成立しなかったでしょう。いくら中身がボロボロのガラクタだろうと。
 つまり、筒井氏はとんでもない色眼鏡の持ち主なのです。
 石原の天罰発言は、筒井氏の脳を右から左へとすり抜けていったのです。
 『予告犯』作者筒井氏(及びこの作品中の登場人物たち)が許せないのは、「津波は天罰」と発言した外国人のみなのです。
 ほかに何か理由がある? 別に他の属性でもいいんだけどさ。いずれにしろ、石原はスルーでOKなんだよね、この筒井という作家、集英社という出版社は。
 実在の事件・団体・個人を読者の大多数が特定できるほど、あまりにも具体的にすぎる内容を、ここまで偏った形で取り上げるのは、作者・掲載誌・出版社の思想・信条の反映と受け止める以外ないでしょう。
 あるいは、石原をパロディにして名誉毀損で訴えられるのは怖いけど、ワトソンなら集英社及び筒井氏を訴えることはまず考えられないから、いくらでもネタにしてしまえるという判断が、作者と編集者/編集長の間にあったのでしょうか?
 だとすれば、卑屈な意気地なしの謗りは免れないでしょう。
 ちなみに、威力業務妨害で指名手配を受けているワトソンは、日本に上陸した日本の警察によって逮捕される可能性が高いわけですが、海外で彼を逮捕する義務が生じるのは、日本との間で犯罪人引渡し条約を締結している米国と韓国だけなんですよね。
 フランス等でもこの「予告犯」は同国語版が刊行されているということですが、そちらでワトソンが集英社・筒井氏に対して、ほぼ特定できる形で勝手に犯罪被害者にさせられ、団体・個人を名誉を傷つけられたと訴えたら、その国の名誉毀損罪に該当する罪で刑事・民事告訴に至る可能性もゼロではないでしょうね。日本では『石に泳ぐ魚』の判例もありますし。

 さて、この漫画の内容の稚拙さについても指摘しておきましょうか。一応個人の感想としてですが。
 日本の警察のサイバー担当部署が手も足も出ないほど優れた一流のハッカーなら、黴の生えた誰もが知ってるチャチなツールを使ったり、ネカフェを踏み台になんかしないよね・・。すぐ足がつきます。
 莫大の予算と人員をかけ、ネカフェのチェーンまで特定しながら、指名手配のポスターで気づいた一般人に犯人を逃がされるシチュエーションもあり得ません。店舗の前で最初から£」ってるでしょうに。アホかいな。
 ジャンルとしては警察漫画なんでしょうが、警視庁を恐ろしく無能な存在として書いているに等しいです。現実味がまったくありません。被害者の相談を受けて「捕鯨文化論」をぶつ警察官もいないけどね・・
 当然ながら、登場する被災者は凶悪犯罪者を匿った犯人隠避の罪で問われなければなりません。この作品は、被災者の感情を前面に押し出す形で作中のモチーフとして利用したうえ、被災者を凶悪なリンチ殺人犯の共犯者として扱った漫画なのです。
 さて、シーガーディアンなる架空の反捕鯨団体に対して行ったのは、脅迫とPCの乗っ取り、さらし。
 これ、脅迫罪、不正アクセス防止法違反、名誉毀損罪、威力業務妨害罪等に該当するでしょう。シーガーディアン及びボブ・パーカーに対する。
 犯行が行われた状況によっては、出身のカナダなり団体本部のある国で同罪に該当する罪が適用されます。ここで仮に米国とすると、米国の司法当局が捜査に着手し、IPCOを通じて日本の捜査当局に協力の要請があることになります。日本の警察は「へい、かしこまりやした」と米国の指示通りに粛々と犯人を逮捕し、米国に送致することになるでしょう。それでおしまい。


 この作品の最悪の部分は反反捕鯨ネタではありません。
 前述のとおり、筆者はSSCSがボロクソに叩かれたところで別にどうでもいいですし。
 その問題点については、この作品を読んだすべての読者、そして人権・死刑問題、あるいはテロ問題に取り組んでいる人々に対して、強い警鐘を鳴らす必要を切実に感じます。こんなガラクタ漫画が日本で読まれているという状況に対し。
 実は、この作品の最終回について、筆者はある予想を立てていたのです。
 まあ、1割くらいは認めてやってもいいかなあという感覚で。
 主人公のシンブンシが、自らの手で人を殺めたことに対する罪悪感に苛まれ、自滅するというパターンを。
 初回で、この主人公らは、凄惨なリンチ殺人を実行しました。自分自身があたかも法の執行者であるかのように振る舞ったのです。
 相手は日雇、外国人労働者をこき使っていた工事現場監督。労基関係の法規はいくつか破ったでしょう。ただ、この人物は病死した外国人労働者の死体を遺棄させようとしただけです。
 日本に低賃金労働者を提供しているアジアの国の格差、元請と下請の関係、この国における外国人の人権問題、様々な社会的背景があったはずなのです。
 彼がそうした人物になったのは、生まれつきでも、100%彼個人の責任でもないはずなのです。それは司法の場においては考慮されること。
 何より、ステレオタイプの悪役、単細胞の読者には殺してもすっきり溜飲が下るようなキャラとして描かれている、間違いなくニンゲンでありながら人間味が感じられないこの現場監督にも、生い立ちがあり、妻や子供、家族がいたでしょう。
 そのことに気づき、自分が人の命を奪ったことに対する罪悪感が日増しに大きくなっていき──まともなニンゲンであればそれは当たり前の心理のはずですが──計画犯罪の遂行に支障を来し、あるいは自ら罪を償おうとする衝動に駆られる。
 そういうパターンの展開を、ほんのちょっぴりは期待≠オていたのです。
 悪い奴に相応しい最期だったなとか、悪人だからって自分で決め付けて殺したり制裁したら、やっぱり自分に跳ね返るもんだよなとか、ありきたりではあるけど、読者が人間性・常識の枠からはみ出ない薬≠ニしての価値を、ほんのわずかであっても示してくれるだろうと。
 最低限、そのくらいの尻拭いはしてくれるのだろうと。漫画表現者として。プロのクリエーターとして。大手出版社として。

 見事に裏切られました。
 最終回、この主人公は正義の行いの末殉死するという展開でした。
 罪を憎むはずの警察官からも、あたかも高潔な人物であるかのように悼まれます
 日本は一応先進国の中で数少ない、死刑容認国です。しかし、人を殺していいことになっているのは国だけです。一応。
 警察のニンゲンが、好感≠抱いてどうすんの??
 身勝手で独善的な正義≠フ感覚に酔い痴れ、よってたかって凶悪残忍な人殺しを行ったリンチ殺人犯が、この作品では正義の殉教者として最後の最後まで美化されたままで終わってしまったのです。
 心の底から驚きました。震えが走りました。
 逆に「感動した」という感想があるともまったく思えないけど。もしそんな読者がいたとしたら、本当に世も末だよ・・・
 SSCSあるいは架空のシーガーディアンとも異なる、正真正銘のテロリスト。日本の法律上のテロの定義は前回の記事で紹介したとおりですが。
 正義≠フためには人殺しさえ自らに許してしまう。狂った犯罪者。まさにカルト集団。
 フィクションの中だけのお話なら、まだ笑って済ませられたかもしれません。
 残念ながら、戦前の日本の軍国主義、現代でもサリン事件を引き起こしたカルトや一部のイスラム過激派が示すとおり、自分たちの定義した正義≠フ名の下にヒトの命を奪ってしまう狂信者たちは現実に存在するわけですが。

 前回の批判でも述べましたが、別にいいんですよ? どれほどくだらない漫画を描き、世に問おうと。
 ただし、くだらない漫画は、どうしようもないガラクタだ、クズ漫画だとさんざんに叩かれ、さっぱり売れずに終わるのが健全な社会というものです。ニッチ市場くらいはつかめるかもしれませんが。
 もし、この漫画が売れているとしたら、それは日本の社会がまさに末期症状を呈していることを意味しているといえるでしょう。
 恐ろしいことです。
 想像力の欠如。
 想像力の欠如した作家と、想像力の欠如した編集者・出版社と、想像力の欠如した読者によるコラボレーション。
 悪人がなぜ悪人になったのか、なぜ罪が引き起こされたのか、その背景に思いをめぐらせる想像力が欠如したまま、悪に死という制裁を加えることを単純に善≠ニし、正義≠ニし、クライマックスではその正義≠フ執行者を殉教させて偶像化してしまう。
 それが、ブラックな不条理ギャグ漫画としてでもなく、社会派漫画として社会に受け入れられてしまう。まさに社会の不条理。

 実に恐ろしい。
 集英社、少年ジャンプは「はだしのゲン」を出せたところなのにね。一年で打ち切りとはいえ。
 ざっとネットを見回しても、まともな批判がろくに見当たらないのが、余計怖いんですよね・・
 筆者としては、若い世代がこの『予告犯』を正しく読んで≠ュれることをひたすら願うばかりです──



◇口直しに「銀の匙」!

http://www.shogakukan.co.jp/pr/ginsaji/

 さすがは本物のエンターテイナー荒川弘氏。
 正真正銘の社会派漫画として、常識に真っ向から挑む作品。
 豚丼のエピソード、殺しの正当化が命の授業≠セと勘違いしてる大人たちと違い、主人公はあくまで答えを出さず悩み続けます。読者に、子供たち自らの意思にその答えを託します。
 これこそが本物の表現者。
 まあ、動物福祉的にはかなーり問題のあるばんえい競馬のヨイショなど、パーフェクトじゃありませんが。
 8巻p82、p83、ストレートですが、活動家や市民団体がどんなに頑張って、口を酸っぱくして説教しようとしたところで、やはりここまでたくさんの人の胸に染みこむメッセージにはなりません。
 この酪農家の借金の構図、背景を簡潔明瞭に説明しましょう。
 日本の一次産業が、農家・漁師を借金漬けで首が回らなくするスタイルを取るようになってしまったのは、命より金を優先せざるを得なくなったのは、JAと全漁連の所為です。
 そして、霞ヶ関と自民党の所為です。
 その背後で蠢いているのは米国。
 日本の一次産業をすっかり駄目にしてしまったのは彼らです。
 ついでに、カニで一攫千金を狙うヒトが増えれば、カニの資源が細るだけ・・

参考リンク:
−捕鯨カルチャーDB(拙HP)
http://www.kkneko.com/culturedb.htm
−コントロール下にあるのは言論とメディア(拙過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/75670669.html
−本日は捕鯨問題からちょっぴり離れてオタクな話題・・・(〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/33169420.html
−命の授業関連ツイート
http://twilog.org/kamekujiraneko/date-130305

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2013年09月21日

NHKと産経の奇妙な「ロシアv.s.GP」報道

 先にHP更新のお知らせから。

■捕鯨カルチャーDB
http://www.kkneko.com/culturedb.htm


 久しぶりにネカフェで追加ネタを仕入れてきました。
 追加は「鯨の王」(+2)、「青の祓魔師」(+1)、「波打際のむろみさん」(−3)、そして以前の記事でファンからクレームコメントが付いた「予告犯」(−3)。
 「青の祓魔師」で筆者の一番お気に入りキャラはもちろんクロちゃんだニャ〜。次点が神木の使役する白狐。
 「予告犯」は単なる反反捕鯨という以上のトンデモナイ問題作(本当なら−300点くらいにしたいところ)。「鯨の王」のダイマッコウ考、「予告犯」詳細な批判については、次回の記事でまとめます。
 あと、なぜかニャガトへのアクセスが急増・・
 ということで、本日はニュースネタの解説をば。


◇NHKと産経佐々木氏のトンチンカンな「ロシアv.s.GP」報道


■ロシアでグリーンピース活動家逮捕、海上石油掘削基地に侵入 (9/19,AFP)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2969167/11368546
■ロシア武装部隊が乗員を船に監禁 グリーンピース発表 (9/20,AFP)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2969444/11377870 
■Russia's Arctic: Mission to protect wildlife (8/26,BBC)
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-23794232
■Russia 'seizes' Greenpeace ship after Arctic rig protest (9/20,BBC)
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-24170129


■北極海でロシアがグリーンピースの船を連行した本当の理由。ロシアのダブルスタンダード外交|GPJ
http://blogos.com/article/70365/
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/dblog/blog/46705/


https://www.facebook.com/SeaShepherdCoveGuardiansOfficialPage/posts/239976266152611

http://textream.yahoo.co.jp/message/1834578/a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa?comment=65017


■ロシア グリーンピースの船を拿捕 (9/21,NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130921/k10014714631000.html
■クジラ保護で地震探査延期 サハリン2の事業主体 ('09/4/28,共同)
http://www.47news.jp/CN/200904/CN2009042801000820.html
■ロシア:サハリン−2問題をどう見るか?|JOGMEC
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0612_out_j_ru_sakhalin2.pdf&id=7
■サハリンII問題リンク集
http://homepage2.nifty.com/birding/hogo/sakhalin.html

ロシア政府とグリーンピースは、かつて、日本の大手商社など外国資本がサハリン沖で進めていた石油ガス開発プロジェクト「サハリン2」については、足並みをそろえて環境問題を追及しましたが、北極圏開発では、ロシア政府がグリーンピースの抗議行動を押さえつけようとする姿勢がうかがえます。(引用〜NHK)

・日本側報道においては、環境問題を口実にしたロシア政府による管理強化・資源統制、更にはガスプロムのサハリン−2参加問題での揺さぶり、PS契約破棄の画策といった憶測がなされた。しかし、ガスプロムの参加とPS契約下でのコスト・オーバーランの処理問題に関しては2005年の7月から議論されていることであり、2006年夏に発生した環境問題と結びつけるのは無理がある。
・環境問題に関しては、既に10月20日、サハリン・エナジー側が改善を約する書簡を天然資源省に提出して問題は解決に向かいつつあり、事業の停止や大幅な遅延は避けられる見込みである。
・ロシアの政策において環境保護は高い優先度を持っており、東シベリア・パイプラインの例に見るように、環境問題を理由に大きな計画変更がなされることがある。これは、寒冷地が環境破壊に非常に脆弱であるという、現実的な問題から来ている。
何故、2006年の8月に大きな問題となったかといえば、この時の査察でパイプライン建設現場での著しい環境破壊が明らかになったという事実に尽きる。
今回のサハリン−2に関する問題は、石油・ガスパイプラインの建設現場における著しい環境破壊と、同プロジェクトで持ち上がったコスト・オーバーランのPS契約下での負担の不平等、そしてガスプロムの参加問題の3要素が意図的に結びつけられて報道されている。
しかし、中核的な問題はあくまで環境問題である。他の2つの要素に、環境問題が影響を与えることはあっても、それは結果であって、一部の報道にあるような「目的」ではない。
(引用〜JOGMEC)

■露沿岸警備隊、グリーンピース活動家2人を拘束 (9/20,産経)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130920/erp13092021210007-n1.htm
■グリーンピース、テロ行為で立件か?ロシア石油掘削基地抗議で|Cool Cool Japan !!!
http://sasakima.iza.ne.jp/blog/entry/3189367/

沿岸警備隊は数回、威嚇砲撃したが、船は停止しなかった。(引用〜産経)
アークティック号は、かつてグリーンピースが南極海の調査捕鯨船団への妨害活動を行っていたときに、南極海に派遣された船です。
アークティック号は、日本の捕鯨船と衝突し、国際的な問題になったことがあります。
グリーンピースはこうして、ターゲットに近づき、メッセージの横断幕を持って、活動家が抗議しているという写真を収める活動を行います
グリーンピースのクミ・ナイドゥ事務局長は「平和的な反乱だ」として、露当局の対応を批判しています。
一方、ロシア連邦保安庁(FSB)の担当者は、露メディアに「活動家はテロ行為の罪で立件される可能性がある」と述べました。
ロシアでは反体制派やNGOへの取り締まりが集中的に行われており、今回のグリーンピース活動家の捜査にも、こうした社会の雰囲気が反映されているような印象を持ちます。
(引用〜佐々木記者個人ブログ)

 プーチン大統領の息のかかった巨大な半国営企業ガスプロムの石油掘削事業により、北極海の自然に影響を与えるとしておなじみの国際環境保護団体が抗議活動を実施、武装したロシア警備隊に拘束された事件。詳細はGPの発信、AFPの報道をご参照。
 BBC記事(リンク3番目)で、予備探査が行われた場所のすぐ近くにあるセイウチホッキョクグマの繁殖コロニーでの調査に同行取材した模様が伝えられています。これは調査捕鯨と対照的な非致死のいわゆるバイオプシー。WWFの研究者は、気候変動の影響とともに、同海域の石油・天然ガス資源探査・掘削事業は二つの種の存続にとって大きな脅威になると指摘しています。記事中では3つ目のダメージとなり得る北極航路の問題にも触れています。
 GPも福島の原発事故やフロリダ沖のBPの油田事故を例に挙げていますが、北極・南極・深海は自然の聖域としてヒトが手を出すことを厳に戒めるべき。生態系自体が脆弱なうえに不明な部分が多く、回復がそれだけ困難になるからです。何より、予防≠ナきず悲劇が起きた厳然たる事実≠ェあるわけですし。
 未だに覇権主義が色濃いことを伺わせるロシアの強権的な姿勢には困ったもの。銃を突きつけるマフィアじみた拿捕の様子が全世界に流されれば、海外の市民から大きな反発の声があがるのは必至ですが、国内のメディアはコントロールできてるから大丈夫、というつもりなのでしょうか? この辺は日本の捕鯨関連の政府対応と報道によく似てますけど・・・

 その日本、海外では大きなニュースになっていますが、対照的に国内での報道は少なく、内容も変。NHKと産経だから仕方ないけど。。。
 捕鯨翼賛報道に最も執心しているマスコミ2社だけしか注目しないとなると、日本国内では公平な情報が伝わることはおよそ期待できません。他社は何やってんでしょうね?
 背景の問題をとりあえず無視すれば、外国人活動家・外国船籍船による禁止海域、建造物への不法侵入ということで、香港活動家の尖閣諸島上陸と拘束・強制送還(不起訴のままでしたが)に通じる部分もありますし、何しろ北方領土係争の相手であるロシアの話なのですから、日本国民の関心事とはいえるはずです。たとえ北極の自然保護への関心が低かろうと。
 とりあえずNHK・産経両報道のおかしな部分をツッコんでおきましょう。

 NHKは最後の一段まで淡々と事実を伝えるのみでしたが、突然突拍子もない論説をぶちはじめます。それが上掲の引用。
 まず日本語が変ですね。「足並みをそろえて環境問題を追及した」??? 冗談言っちゃいけません。
 サハリン2に関しては、鯨研の販売員殿のツイートもあったりして、筆者もブログやツイッターで幾度か取り上げているところ。
 もともとはロシア政府自体が極東開発の一環として外国資本を呼び込もうと国際入札を行いプロジェクトがスタートしたのです。資本率は下がっても、その後も共同出資プロジェクトのまま。待ったをかけたのは管轄する天然資源省内の一部局。グリーンピースは問題を指摘した多数のNGOの一つというだけ。
 JOGMECの資料に詳しい解説がありますが、権益の配分をめぐってシェルとガスプロムとの間で綱引きがあったものの、アセスの不備やパイプライン事故等に基づく監督局の工事中断指示とは無関係。穿った見方の出所は実はロシア国内で、日経をはじめとする日本のマスコミがそれを借用し、国内で陰謀論が流行した次第。
環境問題の観点からの批判はGPに限らず、WWF、IUCNをはじめとする多くのNGOからあがっていました。日本野鳥の会など、国内のNGOからもです。ニシコククジラばかりでなく、日本に渡ってくるオオワシなど稀少な野鳥への影響も懸念されていたからです。
 大体追及≠チてのは、汚職とか不祥事に対して使う用語だよね。復興予算の流用とか、調査捕鯨のくせに儲かる漁業名目で補助金を赤字穴埋に使っちゃったりするのを追及≠キるってのはわかるけどさ・・・
 この文章ではまるで、ロシア政府とグリーンピースが結託して日本企業を罠にはめ、後で仲たがいしたみたいじゃないですか・・・
 ただ、この記事を書かせたNHKの相応の立場のニンゲンは、明らかに本気で陰謀説≠信じているかに見えますね・・・
 もちろん、サハリンやバイカル周辺のパイプライン問題のときと違い、ガスプロムによる北極圏開発だけは環境への配慮を求める声を無視するロシア政府の姿勢は糾弾に値します。
 きわめて残念なのは、NHKの報道がロシア・プーチンの身贔屓に対する単なる当てつけ≠ノしかなっていないことです。
 北極圏もサハリン同様脆弱で、開発に際して慎重な配慮が必要なのであり、だからこそ<鴻Vア政府のダブスタはいただけない──そうした問題提起には程遠い解説です。
 これでは、「サハリンでもビョウドウに♀ツ境への配慮なんかしないで開発させなかったのはサベツ≠セ!」という怨恨の声にしか聞こえません。
 要するに、NHKというマスコミは、環境問題に関心を持つ市民と認識を共有する気も、環境問題への理解を視聴者に広める啓蒙の役割を担う気も端からないということ。

 一方の産経、記事を書いたのはご存知佐々木氏。ロシア支局担当、環境テロ≠ェご専門のようなので、今回の記事を書いてもらうにはうってつけ(?)だったんでしょうが、記事は200字もない短信のうえ、佐々木記者の主観では引用した一文が一連の事件で最も注目すべき点だったようで・・
 で、自ブログではタイトルに「テロ」の一語をわざわざ入れています。
 自著があるからでしょうが、つくづくテロという用語が好きですね、佐々木記者は。
 テロの定義は国によってさまざま。先日の秘密保全法案では以下のとおり。元は自衛隊法81条の2第1項。


政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊する行為を行う活動(引用)


−(別紙)特定秘密の保護に関する法律案の概要
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000103648


 もちろん、ロシアの定義は日本のそれと異なり、それ故に「テロ行為の可能性で立件される可能性がある」(引用)と露メディア(佐々木氏ではなく・・)に述べたのでしょうね。
 日本で法律上定義されるところのテロ行為は、特定の動機による殺人・傷害・器物損壊罪に相当するもので、今回のGPのアクションのような建造物侵入ではテロとして位置づけられないということになるでしょう。たぶん。
 海外のメディアがまったく注目しない斬り口を見つけ出す佐々木記者の感性は、実にたいしたものだといつもながら感心します。もっとも、佐々木氏は、「日本とロシアでテロの定義が違う」ということを訴えるために、このセンセーショナルな見出しを付けたわけではなさそうですね・・。
 あと、GPのアークティック・サンライズ号の略称をアークティック号にするのは変ですね。縮めるならAS号とでもすればいいのに。
 そのAS号について、佐々木氏が一行だけ触れている、調査捕鯨母船日新丸との衝突事故については、国際条約上日新丸側・すなわち日本側に非がある可能性が濃厚です。
 
鯨研のサイトでは、なぜかGP船との衝突問題についてのページが英語のみ。COLREG条約の文字は一字もなし。公海上の船舶の衝突事故については、刑事手続の権限があるのは船籍国となっていますが、海難審判を開くには当事者双方の同意が必要。一応当てられた側の鯨研は訴えられるはずなんですけどねえ、自分たちが正しければ。もちろん、GP側は必ず応じたはずですよ。
 ま、そういうわけで誤魔化されてしまったわけです。詳細は以下もご参照。

−グリーンピース 捕鯨反対は「日本人差別」が根底 |そうなのかな
http://huhcanitbetrue.blogspot.jp/2008/01/blog-post_9710.html
−アークティック・サンライズ号衝突の経緯(拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/34240502.html


 その下の表現は、まるでGPの活動が横断幕と写真にあると言いたげ。キャンペーンの9割は下地となる地道な調査活動です。どこのNGOであれ。まあ、SSCSなど逆予定調和系の団体では数字の比率が違ってくるでしょうけど。それよりむしろ、研究機関のはずの鯨研のほうが、写真や動画を用いた副産物ないしプロレス興行のPR活動をメインにしているように見えるんですけどね・・・
 続いて「反乱」なる事務局長の言葉、これも露メディアからの引用でしょうか? 本人が直接インタビューしたのでしょうか? 記者のくせに本っ当にいい加減な書き方だね・・・
 AFPでは、GP側の声明として、「『平和的な抗議』に対する不相応な実力行使」(引用)と紹介しています。
 「反乱」なんて物騒な台詞を本当にGP事務局長が口にしたんですか、佐々木殿? 原語ではなんと? 発言はどこで? いつ? 誰に対して? どういう質問に対する答えだったのですか?
 どこの独裁国カマリアだよ・・
 見出しに使った「立件の可能性」も、相変わらず他メディアからの引き写し。
 ところで、GPコピーライトの写真をバシバシ使ってますが、これってGPがプレスに対して提供したものじゃないの? 産経新聞なら一応OKするんだろうけど、そちらもよく見たら写真はロイターの配信だよね?
 佐々木殿、コピーライトの表記はあるけど、勤務先の新聞ではなく個人ブログで使用する旨、ちゃんとGPに伝えて了承をもらったの??
 GPのスタッフは確かにお人好しすぎるけど、これが鯨研だったら、ぜっっったい貸してないよ。。。
 最後の段落には、佐々木氏の個人的な印象≠ェ述べられています。GP側に同情的にも見えますが、産経記事では一言も触れてないよね・・
 いずれにしろ、背景についての分析にしては短すぎ。本当にジャーナリストとは思えない記事です。
 ロシア支局の新聞記者なら、「反体制派やNGOへの取り締まり」の具体的な事例、「社会の雰囲気」を具体的に伝える市民の声や感想などをきちんと取材し、まともな記事の形にすればよかったんじゃないですか?


参考リンク:
−米国海洋法条約未加盟を知らない佐々木正明
http://textream.yahoo.co.jp/message/1834578/a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa?comment=62399
−海賊取締法関連拙ツイート
http://twilog.org/kamekujiraneko/date-130412
−御用新聞のトホホ記者・佐々木氏の珍解説(拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/70152801.html
−元産経木村正人氏もやっぱりトホホ反反捕鯨記者(〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/73531621.html

posted by カメクジラネコ at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系