2014年08月07日

クジラたちの海─the next age─☆オマケイラスト

挿絵3枚UPしました。
1作目は全章にイラストを付けたのですが、今作はもう息切れでこの辺が限界。。
どのシーンかは読んでみてください・・
ご感想お待ちしてますニャ〜m(_ _)m

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2014年04月18日

調査捕鯨継続なら、本川水産庁長官は更迭、林農相も辞任すべし!

◇調査捕鯨を継続するなら、林農相は本川水産庁長官を更迭し、自らも辞任せよ!──多額の税金をどぶに捨て、自ら敗訴を招いた大失策の責任を取ろうとしない厚顔無恥な捕鯨官僚&族議員


■第180回国会 決算行政監視委員会行政監視に関する小委員会 第3号(平成24年10月23日(火曜日))
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/025318020121023003.htm


○本川政府参考人
ミンクというのは、お刺身なんかにしたときに非常に香りとか味がいいということで、重宝されているものであります。 (中略)
したがって、ミンククジラを安定的に供給していくためにはやはり南氷洋での調査捕鯨が必要だった、そういうことをこれまで申し上げてきたわけでございます。
(引用、強調筆者)


 はあ・・読む度にため息が漏れますね。。
 上掲引用で略した部分では、売れ行きが悪くて在庫がかさんでいる北西太平洋産のイワシクジラやニタリクジラ(IKANニュース51号参照)、地元では干し肉の形で消費しており都心の料亭で刺身にするには向かないツチクジラについて説明されています。でもって、それじゃ永田町のグルメ議員らの舌を満足させられないから、「美味いミンクを食い続けるためにも、南極まで行って捕ってこなきゃ駄目だ!」という本音につながる形。むしろ、質問に立った議員たちに対し、「やっぱり南極でやるのが大事なんですよ、だって美味いミンク食べたいでしょ?」と媚を売る発言にも聞こえますね。食道楽垂涎の的、ナガスの尾の身にはさすがに触れてないけど・・。
 無論、本川長官の責任は免れようがありません。しかし、佐々木副大臣、小野寺氏をはじめ委員会に出席した十名余りの国会議員らも、「調査捕鯨の合法性に疑義をもたらしかねない重大な発言だ」と撤回・訂正を求めることをしなかった以上、当然彼らも同罪です。

■孤立無援の日本の「捕鯨」、どうすれば伝統漁業を残していけるのか|JBPRESS
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40449

私は水産庁の「鯨類捕獲調査に関する検討委員会」の委員として、捕鯨についての政策論議に関わったことがあるが、豪州の日本提訴について、水産行政に関わってきた人たちの見方は「盗人たけだけしい」といった認識で、日本が負けることはあり得ないという楽観論がほとんどだった。(引用、強調筆者)

 論者は朝日新聞石巻支局長を務めた「さかな記者」高成田亨氏。
 「水産行政に関わってきた人たち」にとってみれば、南極海、南半球、というより世界のクジラはぜーんぶ俺様のモノ。だから、彼らの目には、自分たちのクジラをオーストラリア人が横取りしようとしているかに見え、平気で盗人呼ばわりしているわけです。
 なんというジャイアンな性格!
 こういう感覚の人たちが長年にわたって日本の水産行政を牛耳ってきたとすれば、ウナギ、マグロが瀬戸際に追いやられるのも当然の成り行きでしょう。

■調査捕鯨のオウンゴール 建前を貫く覚悟が大切 (4/13,日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO69790750S4A410C1TY7000/?dg=1

 日本政府も科学的調査を目的に掲げて調査捕鯨を実施してきた。だが本川長官の発言では別の目的がはっきりしている。本音と建前に当てはめるなら、科学的調査は建前で、鯨肉の安定供給が本音という構図だ。
 この使い分け自体が見苦しいのは言うまでもない。が、それに劣らず問題なのは、日本の捕鯨政策の責任者が公の場で、建前をないがしろにする本音を開陳したことだろう。
(引用、強調筆者)

 浅はかさと傲慢さによって自ら墓穴を掘った完敗に近い敗訴。その決め手となった、水産庁トップの致命的な国会答弁は、国際司法裁判所(ICJ)の判決文の中にしっかりと記されました。日本は国際裁判史上前例を見ない恥ずかしい当事国として、永久にその名を歴史に刻みつけられてしまったのです(判決文#197,p58)。

■JUDGMENT|WHALING IN THE ANTARCTIC (AUSTRALIA v. JAPAN: NEW ZEALAND INTERVENING)
http://www.icj-cij.org/docket/files/148/18162.pdf

 一部の有識者、そして筆者をはじめICJの口頭弁論をウォッチした市民は、科学性の粗をパフォーマンスと論点外しで必死にごまかそうとする日本側の戦略を見て、「このままじゃ旗色がかなり悪いぞ」と昨年の段階から警告していました。その筆者らの予想さえ上回るほどの完敗の背景には、自らの非を認め、襟を正すという、人としては当たり前の能力が根本的に欠如した捕鯨サークルの恐るべき体質があったわけです。

■日本の調査捕鯨が国際司法裁判所で弾劾される日|天木直人氏 ('13/6/27,BLOGOS)
http://blogos.com/article/65118/
■ICJ調査捕鯨訴訟で日本は負ける|拙ブログ
http://kkneko.sblo.jp/article/70305216.html
http://www.kkneko.com/english/icj.htm
■調査捕鯨国際裁判敗訴は全て安倍と自民党捕鯨議連の責任|Togetter
http://togetter.com/li/650580

 この間政府関係者は、少なくともざっと一通り判決文に目を通しているはずで、この致命的な発言がしっかり入れられてしまったことも当然知っているはずです。
 ところが、敗訴の責任については、安倍首相が鶴岡代表を厳しく叱責するパフォーマンスのみで、すっかりうやむやにされてしまった感があります。知名度の高い国際弁護士数名に何千万円ものギャラを支払ったというのに。
 マスコミも、上掲のオンライン論説1本以外、本川長官と水産庁の重大な責任に触れた報道がひとつも見当たりません。
 TVは調査捕鯨が商業捕鯨に他ならなかったという事実を追認するように、鯨肉料理屋や客の怒りの声を流し続け、「このままでは伝統の食文化が・・」と危機感を煽るばかり。従来と何も変わらない捕鯨擁護論ばかりが伝えられ、ICJの判決の中身を詳細かつ冷静に分析する報道は皆無に等しい状態です。
 外務省の三段構えの戦術は、筆者ら捕鯨ウォッチャーの目には見苦しいものに映りました。それでも、公平性・公正性を世界で最も重んじるICJ判事たちの目を、本川長官の「ミンクは旨い!」発言からいかにして逸らすかという無理難題に対し、彼らはそれなりに善処したといえましょう。「自分たちは正しいのだから、負けるわけがない」と高を括り、建前と本音の使い分けさえできない自らの不始末を放置しながら、すべての戦略を外務省に丸投げした捕鯨サークル関係者や族議員には、他省の尻拭いに負われ、TPP交渉と掛け持ちで忙殺された外務官僚の苦労など理解できるはずもないでしょうが。

 ただ……一連の経緯からは、外務省がひたすら損な役回りだったかに見えますが、必ずしもそうとばかりは言えないかもしれません。
 レベルの低すぎる捕鯨官僚が負うべき責任を、外務省は自らの面目を思いっきり潰される形でかぶってやったわけです。当分の間、農水省/水産庁は、外務省に対して頭が上がらないでしょう。
 何しろ、水産庁長官の「ミンクは旨い」発言のせいで、「国際裁判初戦完敗」という永久に消えない屈辱を外務省に与え、看板に泥を塗ったも同然なのですから。
 農水省/水産庁は、外務省にあまりにも大きな借りを作ってしまいました。「クジラ」で。
 日豪EPA交渉で、直前にクジラで負けた相手でもあるAUSから、日本は対米交渉に有利なカードをも渡してもらいました。各所で指摘されるとおり、こちらのEPAについても、畜産農家やサトウキビ農家など、日本の農業者にとっては苦渋の選択を強いられる内容がいくつもあったようですが。
 ここのところ、靖国参拝や河野談話見直し等で米国の失望を買いまくり、今度のオバマ米大統領来日に際しても「国賓待遇なんて要らないから」と冷たい反応を返されるほど、ガタガタになった日米関係を修復することこそ、外務省にとって何よりも最優先すべき課題
 オバマ氏に対して、日本は相応の貢物を差し出す必要に迫られています。
 いま日本の手元にあって、大統領来訪中に差し出すことが可能なものは、2つしかありません。
 TPP日米交渉の大幅な進展、もしくは公海調査捕鯨からの撤退。
 TPPで米国の要求を丸呑みするならば、日本の一次産業従事者は、稲作農家、畜産農家以外も含め、一握りの起業家向きの人を除き、窮地に追いやられることになるでしょう。
 永田町では、捕鯨サークル主催の鯨肉パーティーを兼ねた族議員の決起集会が開かれ、衆参両院で調査捕鯨継続を求める決議を提出されました。TPPに関しても同様に5品目の聖域確保などを求める決議が出されましたが、威勢のよさでは「クジラ」が主食の「米」をも上回った感がありますね・・

 もうかる漁業補助金の超優遇をはじめ、捕鯨サークル最優先の陰で常に割を食わされ続けてきた沿岸漁業者の方々を含む、日本全国の一次産業従事者の皆さん。
 農水省/水産庁は、「クジラ」で取り返しのつかない愚策を犯したうえに、その責任をすべて外務省に押し付けてしまいました。
 外務省は「じゃあ、そういうことでかまいませんね?」と、米国にあなた方を売り渡すでしょう。彼らにとっては、それが省益にも重なる最大の国益にほかならないからです。
 いま、農水省/水産庁は、「クジラというご神体≠ウえ死守できれば、後はどうなろうと別にかまわない」という、驚くべき姿勢を示しつつあります。
 本川水産庁長官による「ミンクは旨い」発言が招いた国際裁判完敗の恥辱に対し、見て見ぬフリをする形で。そのあまりにも重大すぎる責任を一切負おうとしないことで。
 世界最高の国際司法機関から国際条約違反と断じられた擬装商業捕鯨である調査捕鯨を延命させんがために。
 当たり前のことですが、外務省は農業にしろ捕鯨産業にしろ、潰してやろうなどと考えているわけではありません。国際外交の場で日本にとって国益にかなう、最も有利な選択は、日米同盟を堅固に保つことだ──というのが、彼らの揺るぎない信条です。彼らにとって、農業あるいは捕鯨産業は、日米同盟の維持によって日本が生き延びるためなら、場合によっては差し出してかまわないカード≠ニいうこと。
 先の記事で最悪のドツボにはまる可能性について指摘したとおり、外務省サイドも調査捕鯨訴訟がまさかここまで完敗に至るとは考えていなかったと思われます。ただ、TPP交渉の進展が捗らない中、オバマ訪日とまさにぴったりのタイミングで、農水省を完全に抑えこめたことで、「棚からぼた餅ならぬクジラ」と、一部の外務関係者はほくそ笑んでいるのではないでしょうか?
 もし、族議員らの決議を慮って、日本政府が北西太平洋での調査捕鯨を強行するならば、米国への手土産はTPP/農業で確定です。日本の一次産業の未来も。美食の追求のために南極の野生動物を屠る行為とは対照的に、地域の風土と文化に密接に結び付き、環境保全にも一定の役割を果たしていたはずのこの国の農業は、米国のそれに似たビジネスの形でしか生き残れません。それはもはや、かけがえのない日本の伝統文化である農業とは相容れないものです。私たち日本人の魂のよりどころだった、日本の原風景である美しい農村も、失われていくばかりでしょう。

 本当にそれでいいのですか!?


 日米関係を大きく修復させ、なおかつ、日本が被る損失を圧倒的に小さくできるカードはあるのですよ。筆者ら少なからぬ日本国民にとっては、そもそもお荷物でしかなくメリットのほうがはるかに大きいものですが。
 確かに、識者が指摘したとおり、ICJから日本の調査捕鯨が違法認定された時点で、「南極海捕鯨からの撤退」というカードは失われてしまいました。裁判所に言われたことをただやるだけ、ではカードになりようがありません。
 しかし、ほんの少し上乗せするだけで、不人気の民主党オバマ政権を大いに喜ばせ、米国市民の日本に対する評価・好感度を一気に上昇させるのに十分なサプライズになるはずですよ。
 安倍首相が、オバマ大統領の隣で、世界に向かって「公海調査捕鯨からの完全撤退」を宣言するならば、同氏と日本の株は飛躍的に上昇することは間違いありません。
 お隣のいくつかの国には、面白くないと思う人もいるでしょう。けど、中国・韓国の市民だって、戦前の帝国主義を彷彿とさせる強硬な捕鯨政策を日本が改めるならば、見直す方も決して少なくはないはずです。


 日本の一次産業従事者の皆さん。
 独善的な捕鯨サークルの業界益のために、あなた方が犠牲になる必要はありません。なるべきではありません。
 もし、日本政府が公海調査捕鯨の続行を表明し、代わりに農業そのものを米国に差し出すならば、あなた方は一丸となって、外務省に頭が上がらなくなる原因を作った主犯である本川水産庁長官の更迭と、林農相の辞任を農水省に対して求めるべきです。
 また、海洋環境・野生動物に関心のある内外の市民は、ICJに対し米中韓三カ国共同で日本の北西太平洋調査捕鯨を提訴するよう働きかけるアクションが必要になってくるでしょう。

参考リンク:
■「鯨肉が売れない!」〜鯨研自らが公表した、入札結果の惨状〜|IKA-net
http://ika-net.jp/ja/ikan-activities/whaling/250-sluggish-sales-of-whale-meat
■ICJ敗訴の決め手は水産庁長官の自爆発言──国際裁判史上に汚名を刻み込まれた捕鯨ニッポン
http://kkneko.sblo.jp/article/92944419.html
■捕鯨ニッポンが最悪のドツボにはまる可能性
http://kkneko.sblo.jp/article/93046598.html

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2014年04月13日

捕鯨ニッポンが最悪のドツボにはまる可能性

◇捕鯨ニッポン、最悪のドツボにはまる!?──ICJ完敗が外交にもたらす深刻な影響

 おかげさまで、前回の記事へのアクセスが掲載後1日で1万アクセスを突破しました。やはり、調査捕鯨国際裁判に対する皆さんの関心はそれだけ高いようです。
 マスコミ記者の方も、判決文中の例の箇所に着目してくれました。タイトルはちょっと変ですが(国際社会を前に建前を貫かれるのも困るし・・)、外国人技能実習制度の問題も例に挙げ、よくまとまっています。アナログ版でも掲載してほしいところ。


■調査捕鯨のオウンゴール 建前を貫く覚悟が大切 (4/13,日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO69790750S4A410C1TY7000/?dg=1


 日本政府も科学的調査を目的に掲げて調査捕鯨を実施してきた。だが本川長官の発言では別の目的がはっきりしている。本音と建前に当てはめるなら、科学的調査は建前で、鯨肉の安定供給が本音という構図だ。
 この使い分け自体が見苦しいのは言うまでもない。が、それに劣らず問題なのは、日本の捕鯨政策の責任者が公の場で、建前をないがしろにする本音を開陳したことだろう
 この発言の2年前、日本の調査捕鯨の実態は商業捕鯨だと主張するオーストラリアが、国際司法裁に中止を求めて提訴していた。係争中だったことを長官は知っていたはずで、ワキが甘いと言うしかない。周知の通り日本は豪州に敗れた。
(引用、強調筆者)
 
 この日経記事で「やっと出てきた」という感じですが、判決文とその波及効果について、きちんと冷静に分析したメディアがまだ少ないのは残念なことです。
 国際司法裁判所(ICJ)の公表したプレスリリースをわざわざ訳してくれたのは、律儀な反反捕鯨活動家君ですし、筆者も判決文のごく一部を紹介しただけにすぎません。本来なら、外務省/日本政府が率先して判決文全文の和訳版をホームページ上で公開し、広く国民に知らしめるべきだと思うんですけどね。鶴岡代表の冒頭と最終の口頭弁論はしっかり載っけてるんだし。
 まあ、これ以上恥をさらしたくないという気持ちもわからなくはありませんけど・・。でも、一流国際弁護士の高額報酬分を含め、多額の税金をつぎ込んだ国際裁判デビュー戦の試合結果≠ナある以上、敗因の分析も含めて国民に詳細に説明するのは国の義務のはず。
 ただ、そんな余裕すらないほど、彼らは切羽詰まった状況に追い込まれているのかもしれません。


■宮城沿岸などの調査捕鯨 実施か慎重に検討 (4/11,NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140411/k10013656931000.html


 これらの海域での調査捕鯨は、中止を命じた判決の直接の対象にはなっていません。
 しかし政府は、捕獲する頭数など調査の方法などによっては、今後、判決が適用される可能性があるとして調査方法の検証を始めており、予定通り調査捕鯨を実施するかどうか慎重に検討を進め、来週にも結論を出すことにしています。
(引用)


 皆さん、奇異に感じませんか?
 JARPNU(北西太平洋調査捕鯨)三陸沖沿岸調査の名目で行われるこの調査、事業主体は共同船舶ではなく、沿岸捕鯨事業者の組合に相当する地域捕鯨推進協会です。工船モラトリアム違反に該当する捕鯨母船・日新丸を運用するでもなく、操業場所もサンクチュアリ決議違反に当たる南緯60°以南の南極海からは遠い日本の二百海里内、目標捕獲数は60頭前後で対象種はミンククジラ1種のみですから、JARPAUで追及された対象種拡大・捕獲枠増大の問題も、相対的には大幅に小さいといえるでしょう。唯一引っかかるとすれば、胃内容物等の生態解明を目的とした調査手法について、非致死的な代替案を検証したかどうか。実際、バイオプシーによる脂肪酸解析という手法があり、この点は確かに突っ込まれても当然なのですが・・。
 いつも居丈高な水産庁が、内外の誰の目から見ても、少なくともかなりマシ≠ノ見える沿岸調査で、「慎重な検討」を強いられ、実施するかどうかさえ明言を避けたのには、それなりの理由があるはずです。

 一方、それと対照的な反応を示したのがこちらの当事者。

■15年度以降に調査捕鯨再開へ 鯨研、米地裁に意見書提出 (4/14,共同)
http://www.47news.jp/CN/201404/CN2014041201001846.html


 日本政府は、捕獲頭数削減など計画内容を変更し15年度以降の再開を目指す考え。鯨研は内容の異なる計画で、15年度以降の調査捕鯨実施は、これまでの計画を対象にしたICJの判決に背くものではないと説明している。(引用)


 見出しの前半分だけ見ると、国際裁判にずっと注目してきた人たちはみなギョッとしたところでしょうが、これは明らかに鯨研の先走り。国際条約附表に基づき審査する国際捕鯨委員会(IWC)ではなく、一組織の事情で因縁の相手と争うことになった米国地裁に対して、「自分たちは再開したい! するつもりだ! するぞ!」という意見を送っただけ。
 そうでないはずがありません。当の水産庁が、ジリジリしながら待たされている沿岸捕鯨事業者に対し、直前まで実施を明言できないのですから。
 むしろ、水産庁トップの致命的な発言をはじめ、自業自得で調査捕鯨再開の可能性が刻一刻としぼんでいく中で、破れかぶれの反応を示した、というのが正解かも。族議員や外野の応援団が、シーシェパード(SSCS)とのプロレスに引っかけたSOS要請≠ノ応じ、南極海での続行のゴリ押しを手伝ってくれるものと、期待してのことでしょう。

 莫大な税金を投入して債務超過団体に転落した身を引き上げてもらった当事者が、どれほど「絶体絶命のピンチ」を叫ぼうと、国民も、合理的な現実主義者が多数を占めていいハズの政府関係者も、今回ばかりは「じゃあ、救済してあげる」と二つ返事で請け合える状況にあるとは、筆者は思いません。
 賢明にして優秀なる外務官僚諸兄は、きっとお気づきになられたでしょう。
 今回のほぼ完敗に近い敗訴が、日本の外交戦略に致命的な打撃をもたらす爆弾となりかねないことを。
 いざという場面で使うはずだったカードがゴミ屑と化し、代わりに敵の手に有用なカードを渡してしまったかもしれないことを。

 前回の続きになりますが、いま日本政府の頭を悩ませているのは、他の国からJARPNUまでICJに訴えられやしないか、ということです。
 最初に思いつく候補として米国を挙げ、なおかつ米国自身が提訴する可能性は高くないかもしれないと指摘しました。そして、他にも該当する国があると──。
 ここで、その2つの国を、仮にA国B国としておきましょう。
 そして、日本との間で懸案になっている問題を、A国とのT島問題B国とのS諸島問題として
おきましょう。
 ・・・・・・。
 バレバレな感じですが、まあいいよね(^^;;
 訴えるはずがない、とおっしゃる?
 そうとばかりも言えないことを、これから説明していきましょう。

 A国B国は、ともにIWCに加盟しています。そして、ともに北西太平洋に面しています。
 しかも、両国はユニークな位置づけにありました。日本の主張にそっくり右へ倣えしてきた、カリブ海、太平洋、アフリカの加盟国は、日本の水産ODAと引き換えにIWCの票を売っただけで、自分たちが南極海などで捕鯨を始める可能性はゼロです。そんな中で、A国とB国だけが、独自のスタンスを取っていたといえます。アイスランド、ノルウェー、デンマーク(フェロー諸島)、ロシアとは別に。
 ちなみに、ロシアが日本を訴える可能性もありますし、その戦略的意味合いもこれから述べるA国B国のそれに近いものがあるかもしれません。
 これまでのIWC報道では、二国はどちらかというと日本に同情的、と報じられてきました。しかし、この2国はただ自国で捕鯨を行う可能性を吟味していたにすぎません。潜在的捕鯨国というわけです。
 A国では現在でも地方で鯨肉が消費されており、主に問題の大きな混獲という形で提供されています。B国では現在捕鯨は行われていませんが、伝統捕鯨はありました。そもそも、日本に古式捕鯨の技術が伝わったのは同国からだったという説もあります。また、B国がある意味で最も商業捕鯨参入のポテンシャルが高い国であることも、日本国内の一部の関係筋が指摘しているところです。
 「捕鯨国同士はいつでも利害が一致する」というのは、もちろん意味のない前提です。他の産業を見ても、歴史を振り返ってみても。それは、現在南極海・母船式捕鯨になど興味のないノルウェーとアイスランドが、常に日本と同じスタンスだったわけではないことからも明らかでしょう。
 
実は、A国は日本と同じように「調査捕鯨をやりたい」と、IWCの場で表明したことさえあるのです。それはつい昨年のことでした。
 そして、内外の反発を受け、反対派の意見に真摯に耳を傾けたうえで、いったん出した宣言を引っ込めたのです。まさに捕鯨ニッポンとは対照的な振る舞い。捕鯨に限らず、ここまで大人の対応ができる政治家は、残念ながら今の日本にはいそうもありませんね・・。


■韓国の調査捕鯨参戦宣言が招いた波紋 (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/56904118.html
■韓国調査捕鯨断念報道 (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/67764403.html


 記事中に国名が入っちゃってますが、とりあえず気にしないでください。。。
 続いてB国ですが、IWCでの立場はやや日本よりだったものの、同国内では捕鯨に対しさまざまな意見が聞かれます。今回のICJ判決に対しても、日本に同情的な声から辛辣な批判まで多様な主張がある模様。ネットメディアの捕鯨報道に関する限り、B国は別に検閲などしておらず、日本よりむしろジャーナリズムの公平性が保たれているくらいかも・・。


■調査捕鯨に中止命令、中国では矛盾指摘の声も=中国版ツイッター|Searchina
http://news.searchina.net/id/1528607
■違法な捕鯨が暴き出す“日本人の腐った根性”―中国メディア|ZINHUA.JP
http://www.xinhua.jp/socioeconomy/photonews/379038/
■中国発捕鯨批判 (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/34860899.html 


 こちらも国名が入っちゃってますが、同じく気にしないでください。。。。
 では、両国が本当に日本を訴えられるのか、またその気があるかどうか。
 まずA国自身が国際的な批判を受けて調査捕鯨計画を撤回したにもかかわらず、AUS・NZとの裁判で違法認定された日本が、ほとんど同じ内容の大規模調査捕鯨をいけしゃあしゃあと北西太平洋で続行するとなれば、同国とその市民にとっては面白いはずがありません。
 しかも、おそらく同国の計画した調査捕鯨の内容は、近海に限った小規模なもので、少なくとも日本のJARPAUに比べればはるかに違法性が少なかったはずなのです。
 つまり、A国にはJARPNUをICJに訴える大義名分が十分にあるのです。
 そして、同じくB国にとっても、北西太平洋の資源を日本が事実上占有している状態に、いい顔をするはずはないでしょう。ICJが違法性を指摘した以上、B国がここぞとばかり追及しない道理はないわけです。
 今回の訴訟では、B国出身の判事も含まれていました。某週刊誌がどうでもいい記事を書いてるようですが。。
 また、A国はハーグで大使を傍聴させていたことを、捕鯨擁護記者が確認。

■元産経木村正人氏もやっぱりトホホ反反捕鯨記者 (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/73531621.html

 前回も指摘しましたが、両国が今回の日本とAUS・NZの訴訟の経緯を、細心の注意を払って見守っていたとしても、何ら不思議はありません。
 この訴訟への対応が、T島S諸島の問題を睨んだものだということは、当の日本政府関係者もマスコミも、あっけらかんと言いふらしていたわけです。聞いていないはずがないでしょう。


 両国とも、上記したとおり大義名分はあります。
 しかし、建前とはまったく別の理由で、日本を提訴することが大きな意味を持つと考えるかもしれません。日本が公にしていた裏の動機と同じく。
 ICJはすべての国連加盟国に開かれ、さまざまな国に活用されているとはいえ、訴訟コストはバカにはなりません。日本はこれまでICJで争ったどの国よりも、無駄金を投じたといえそうですけど・・。
 とはいえ、A、B両国は、その価値に十分見合う対価とみなすことでしょう。しかも、このケースに限っては、非常に低コストで済む可能性が高いわけです。事前提出資料はAUSのそれを参考にすればよく、後述するように、審議の準備の方は不要にさえなるかもしれません。
 また、AUSとNZのように、タッグを組むことも可能。むしろそのほうがお互いメリットになるでしょう。


 さて、A国B国が、「日本のJARPNUは国際捕鯨取締条約違反だ」とICJに訴えたとします。内容はAUSとほぼ同じ。
 この両国は、ICJに対して義務的管轄権受諾宣言を提出していません。
 ですから、AUS戦と異なり、日本はあっさりと逃げられます。AUSに対しては先決的抗弁を使う手法があり、そのほうが合理的だったのですが、その手続さえ不要です。
 確実に負けるとわかっているのですから、合理的に考えるなら、応訴しないで無視するのは当然のこと。
 しかし……そこで「日本は逃げたぞ!」と言われるわけです。
 国際司法裁判所に違法性を指摘されながら、間違いなく同様に違法な調査捕鯨を、対象外だという理由で別の場所で強行してしまう。判決に従うどころかICJの権威に泥を塗る、国際法規を重んじる精神など欠片も持ち合わせない国として、徹底的に批判されるでしょう。ついでに、相手がAUSのときは応じたのに、同じアジア諸国であれば無視する点も、一種の差別という謗りを免れないでしょう。
 話はそこで終わりません。
 今度は日本側がいよいよT島S諸島問題で両国を訴えようとしたとき、やはり彼らは同様に簡単に逃げることが可能です。
 しかし……そこで両国には格好の言い訳が与えられます。
「おあいこじゃん」
「先に逃げたのはそっちでしょ?」
「判決を守ろうとしない、調子のいい国の相手なんかしてられないよ」

 国際社会も、「まあ、どっちもどっちだね」という評価を下すでしょう。

 そもそも、日本政府が調査捕鯨裁判を、自国の絡む国際紛争(とりわけT島、S諸島)を処理するためにICJを活用するモデルケースとみなしたのは、次のような狙いとシナリオがあったからでした。
 本音では重要な国益だとは考えていないクジラで、引き分けに近い、あるいは実質勝訴といえる軽い#s訴を受け入れ、国際社会に対して自分たちが国際法規を尊重する模範的な優等国なのだということを精一杯アピールする。
 そして、本丸≠ナAB両国を土俵に引っ張り上げ、あるいは逃げられたとしても、そのことによって自分たちの正当性を声高に世界に知らしめる
──という。
 ところが、日本の思惑は大きく外れてしまいました。軽い#s訴で済むはずが、重い#s訴になってしまったのです。水産庁長官ら、捕鯨サークルのポカで。

 ここでもし、族議員や捕鯨サークルのわがままを受け入れ、JARPNUを小手先の変更で済ませたり、南極海での再開を強行するようなことになれば、国際社会から「なんだ、日本は口では守ると言いながら、判決に従う気なんて全然ないじゃないか」と強い批判を浴びるでしょう。優等生であることをアピールするはずが、脱法国家のイメージがさらに強化されてしまうのです。そうなれば、AB両国を睨んだ日本の戦略は台無しになってしまいます。
 逆に言うなら、日本からICJオプションを奪う、少なくともその効果を大きく減殺してしまえる非常に有効な手段を、日本はAB両国に対して与えてしまうことになります。

 日本には、両国のJARPNU提訴に対し、逃げずに受けて立つという選択も一応あります。AUSの提訴に対してそうしたように。
 しかし、その場合、200%負けが確実の茶番と化すわけです。 まさに究極の不合理。
 いくら高いギャラを積まれたって、海外の弁護士は絶対に日本の依頼に応じるはずもなし。免責事項がついても、看板に傷がつくのは誰だってごめんです。お人好しのワロー氏に代わって証人を引き受けてくれる海外の研究者なども、見つかりはしないでしょう。前回負けた京大の法学部教授他、代表団は全員日本人で構成するしかないでしょうね。
 顔ぶれは変わっても、ICJ判事たちはそれこそうんざりするでしょう。「AUSとの裁判で既に指摘されたことを、なぜ守ろうとしなかったのか?」と、日本が一段と厳しく責任を問われるのは間違いありません。
 内外のメディアはシラケるばっかり。欧米豪の市民は、特にクジラ好きでなくたってAB両国を応援するでしょう。各国政府も沈黙するしかなし。
男なら、負けると分かっていても戦わなければならないときがある(〜某昔のアニメ)! どうだ、逃げずに戦ってやったんだぞ、偉いだろ! もう1回、(領土で)尋常に勝負!!」
 満身創痍でそんな見得を切ってみせたって、ウケるのは国内のサブカル世代のネトウヨだけでしょうね・・。
 裁判に応じようと応じまいと、日本のイメージダウンは必至です。
 最近の日本の首相の猪突猛進ぶりに業を煮やしているAB両国にとっては、低リスクで得るものの大きい、検討に値する戦略だと思いませんか?

 

 正直、筆者自身は領土のことなんて知ったこっちゃありません。
 大切なのは、命、自然、そして平和。
 日中双方の識者が指摘するとおり、尖閣諸島の主権をめぐる問題で、両国にとって恩恵を最大化できる選択は「永久棚上げ」です。
 台湾との間で、水産資源管理の点では十分とはいえない、当の八重山の漁業者にも納得のいかない拙速な漁業協定を結べるくらいなら、日中台で公平・公正かつ厳格な資源管理に基づく漁業協定を結ぶべきであり、またそれは可能なはず。
 日中および米国が真剣に取り組むべきは、緊張緩和・軍縮のための膝詰めの交渉のはずです。
 韓国との間の歴史問題等にしても、未来志向といいつつ談話を見直そうとしたり、バカげた観測気球を打ち上げ続けたり、やってることは常に後ろ向きでは、米国に愛想をつかされて当たり前です。竹島は韓国が実質的な施政下に置いていますが、交渉の前提となるはずの慰安婦問題をはじめとする歴史認識で復古主義を前面に押し出すようでは、相手を硬化させるばかりで、対話が進むはずがありません。

 とはいえ、とくに保守主義の立場でなくとも、領土問題に関しては非常に強い関心をお持ちの方も少なくないでしょう。そんな諸兄のために、この問題をA国B国に利用されないようにするための対処法を提案したいと思います。
(「領土なんかより鯨肉のほうがずっと大事な国益だ!」と言えちゃうヒトたちには、筆者から申し上げることは何もありませんけど。。)
 日本が、自らの犯した重大な失策を埋め合わせる方法は、やはりひとつしかありません。
 国益としては(少なくとも領土に比べれば)実に瑣末でチッポケな、特定の事業者と癒着した官僚・族議員の利権のためでしかないクジラを、きっぱりとあきらめること。
 可及的速やかに、疑念を差し挟む余地がないほど判決を遵守するのがベター。要するに、一番手っ取り早いのは、公海からの完全撤退です。詳細は前回の記事をご参照。
 JARPNUをほとんど内容を変えずに今年強行したり(もう時間はあまり残されていませんが)、再来年の南極海での再開を宣言するなどは、もちろんもってのほか。
 そのとき日本は、クジラなんぞよりはるかに大きなものを失うことになるかもしれませんよ──。


 領土問題で、3国がお互いに頭を冷やしたうえで、罵り合いにならない実のある話し合いのテーブルに着くまでには、まだまだ長い時間を要することでしょう。
 日本はここで、最低限の自制心を、クジラから、今回のとても痛い敗訴から、真剣に学ぶべきです。


参考リンク:
−メディアが伝えぬ日本捕鯨の内幕 税を投じて友人なくす|WEDGH Infinity
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/721
−ICJ敗訴の決め手は水産庁長官の自爆発言──国際裁判史上に汚名を刻み込まれた捕鯨ニッポン (前回記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/92944419.html


 次回は今年の小笠原のザトウクジラの画像をお届けしますニャ〜

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2014年04月12日

ICJ敗訴の決め手は水産庁長官の自爆発言──国際裁判史上に汚名を刻み込まれた捕鯨ニッポン

◇ICJ敗訴の決め手は水産庁長官の自爆発言──国際裁判史上に汚名を刻み込まれた捕鯨ニッポン

■JUDGMENT|WHALING IN THE ANTARCTIC (AUSTRALIA v. JAPAN: NEW ZEALAND INTERVENING)
http://www.icj-cij.org/docket/files/148/18162.pdf

 国際司法裁判所(ICJ)の調査捕鯨訴訟、筆者も政府関係者に倣って判決文を精査しているところですが、読めば読むほど日本側に不利なことが明らかになってきた感じ。
 例えば、ICJが認めているのは、国際捕鯨取締条約(ICRW)8条に書かれた定義上の調査捕鯨のみで、第一期のJARPAについては本件の争点ではないと判断を完全に保留しています。双方の言い分を一応紹介したうえで、「今回の件とは関係ないから、あんたたちの意見の不一致にコートは取り合わないよ」といっているわけです。巷で言われているように、決して日本の調査捕鯨を認めたわけではありません(#99-108:ICJ判決文)。認めたのはIWCへの事務手続きだけ。

 The legality of JARPA is not at issue in this case. #99(p35)

Overall, the Parties disagree whether JARPA made a scientific contribution to the conservation and management of whales. The Court is not called upon to address that disagreement. #108(p37)


 また、非致死調査の検討がきわめて不十分だったことについては、AUS側の主張をそのまま認めており、「ザトウとナガスの致死調査なしでも一定の成果が挙がっているのに、なぜクロミンクで致死調査にこだわるのか?」と問題視しています。「ザトウとナガスを計画数どおりに殺せ(さ)なかったことが問題で、もっと増やしゃよかったんだ」という擁護派の主張は明らかに誤っています(:ICJ判決文)

The Court also notes Japan’s contention that it can rely on non-lethal methods to study humpback and fin whales to construct an ecosystem model. If this JARPA II research objective can be achieved through non-lethal methods, it suggests that there is no strict scientific necessity to use lethal methods in respect of this objective. #211(p62)

 その中で、敗訴を決定付けた日本側の致命的なポカを発見しました。


The use of lethal methods in JARPA II focuses almost exclusively on minke whales. As to the value of that species, the Court takes note of an October 2012 statement by the Director-General of Japan’s Fisheries Agency. Addressing the Subcommittee of the House of Representatives Committee on Audit and Oversight of Administration, he stated that minke whale meat is “prized because it is said to have a very good flavour and aroma when eaten as sashimi and the like”. Referring to JARPA II, he further stated that “the scientific whaling program in the Southern Ocean was necessary to achieve a stable supply of minke whale meat”. In light of these statements, the fact that nearly all lethal sampling under JARPA II concerns minke whales means that the distinction between high-value and low-value species, advanced by Japan as a basis for differentiating commercial whaling and whaling for purposes of scientific research, provides no support for the contention that JARPA II falls into the latter category.
  #197(p58)

 これはオーストラリア(AUS)側が昨年6/28の口頭弁論時に指摘してみせたもの。

■Public sitting held on Friday 28 June 2013, at 10 a.m., at the Peace Palace, President Tomka presiding, in the case concerning Whaling in the Antarctic (Australia v. Japan: New Zealand intervening)
http://www.icj-cij.org/docket/files/148/17400.pdf

60. As recently as October 2012, the Director of the JFA openly admitted to a Japanese Parliamentary Subcommittee that maintaining its purportedly “scientific” whaling program in the Southern Ocean was necessary to perpetuate the market in minke whale meat. (Tab 108):
“Minke whale meat is prized because it is said to have a very good flavour and aroma when eaten as sashimi and the like . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
[T]he scientific whaling program in the Southern Ocean was necessary to achieve a stable supply of minke whale meat.”12
 (p18)


 で、該当する国会答弁はこちら。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/025318020121023003.htm

第180回国会 決算行政監視委員会行政監視に関する小委員会 第3号(平成24年10月23日(火曜日))

○本川政府参考人
 少し補足をさせていただきます。
 被災前でありますが、調査捕鯨として大体八割、三千八百トン、七百トン前後をとってきておりますが、そのうち南極海が二千トンであります。ただ、これはミンククジラというものを中心にとっております。ミンクというのは、お刺身なんかにしたときに非常に香りとか味がいいということで、重宝されているものであります。
 それから、北西太平洋で千七百トン程度、二十二年はとっておりますが、そのうち百二十トンが沿岸の調査捕鯨であります。千五百トン強はいわゆる鯨類研究所がとっている鯨であります。ただ、こちらはイワシクジラとかニタリクジラというものを中心にとっております。
 それから、沿岸の小型捕鯨というのが二十二年で四百十七トン捕獲しておりますが、これはツチクジラという、イルカに非常に形が似た鯨でありまして、ジャーキーのような、干し肉になるようなものでございます。この前、鮎川に行かれたときに、鮎川の捕鯨の方がとっておられましたが、これはまさにツチクジラをとる業を営んでおられる方でありまして、この方が南氷洋でとられるミンククジラを扱うということはまずないのではないかなというふうに思っております。
 したがって、ミンククジラを安定的に供給していくためにはやはり南氷洋での調査捕鯨が必要だった、そういうことをこれまで申し上げてきたわけでございます。
 それから、今のデータにつきましては私どものホームページで公開させていただいております。積極的に提供申し上げなかったことについては申しわけないというふうに申し上げたいと思います。
(中略)
○小野寺小委員
 長官、これは誰が見たって今回違和感がありますよ。復興の予算でこうやってつけるというのはおかしい。だから、もうこれはだめということになるんだけれども、迷惑しているんだ、あなたのおかげで。
 誰が迷惑しているかというと、鯨産業の人全体が迷惑しているんですよ。こうやって、何か捕鯨がいかにも復興予算の流用の悪い人にとられてしまったら、捕鯨事業全体が困ってしまう。実際、この石巻地区だって、日本だって、やはり捕鯨というのは大事な文化ですよ。ですから、あなた方がそういう変なことをするから逆にこういうことに迷惑がかかるんだから、しっかり必要な予算はとっていく、しかも本予算でとっていく、それをはっきり言っていただきたい。
(引用、強調筆者)

 まあ・・誰がどう見たって、調査捕鯨が商業捕鯨に他ならないことを自ら白状しているとしか思えませんわな・・・
 とはいえ、ここで本川長官個人のうかつさを責めたてても始まりません。「そういうことをこれまで申し上げてきた」とは、歴代の水産庁長官が調査捕鯨についてそのように説明してきたことを意味するのですから。
 そして、質問に立った国会議員らも、「調査捕鯨に対する疑義を招きかねない問題発言だ」として撤回・修正を求めることなど誰もしていないわけです。風評被害≠心配して啖呵を切った代表的な捕鯨族議員、小野寺氏も含め。
 これは言わば、捕鯨サークルという組織の慢心からきた身から出たサビ

 このときの衆院委員会質疑は、東北大震災復興予算流用に関するもの。
 水産官僚だって、族議員に「何とかしろ」と尻をたたかれ、深刻な鯨研の赤字問題を解決するために復興予算に飛びついたんでしょうが・・。

■日本鯨類研究所(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%AF%A8%E9%A1%9E%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80

震災復興資金流用への批判
税金投入問題に派生する形で2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の震災復興資金のうち、石巻の復興の為として約23億円が調査事業費として計上され、うち18億円が調査捕鯨の費用に、5億円がシー・シェパード対策に使われた事実に対する批判があり、当の石巻市からも地元に恩恵がない、当地の関係者から調査捕鯨で捕った鯨は一頭も流通していないとされており。この件で衆院決算行政監視委員会の理事である自民党の平将明衆院議員は調査捕鯨の必要性を訴えられたが調査したら鯨肉の在庫は余っており、役所に嘘をつかれたと非難している。また、2012年10月23日の衆院決算行政監視委員会で、水産庁の本川一善長官は18億の調査捕鯨の費用で当時の8億7千万円の債務超過を解消してゼロにした旨を答弁した。尚、この件は最初に英豪メディアで取り上げられたものの、この報道を見て災害の義援金が使われたと誤解した人からの抗議が豪日本大使館に殺到した為、義援金使用に関しては否定のコメントを出した。
(引用、強調筆者)

 調査捕鯨の本質を最もわかりやすい形で、当事者の口から、国会という場で説明させたのは、まさに復興予算を平気で流用してしまう捕鯨サークルの体質でした。
 この問題が海外メディアに取り上げられたことで、AUS政府にも証拠として提供されることになったのでしょうね。
 ちなみに、AUS側の審議前の提出資料には含まれていないため、隠し玉として用意されたのでしょう。AUSの今回の提訴が、国内受けを狙った内向きのパフォーマンスではなく、本気で結果を出そうと知恵を絞った証ともいえますが。
 してみると、水産庁の最高職から自爆発言を引き出し、ICJに思い切った判決を下させるうえで大きな貢献を果たしたのは、ほかでもない、捕鯨サークルや国会議員たちを復興予算流用問題から逃れられない状況に追い込んだ日本国民、ということになるでしょう。具体的には、調査捕鯨に対して特に含むところがあったわけではなく、震災復興予算の使われ方への関心と公平な視点を持ち、調査捕鯨が聖域≠ニして見過ごされることをよしとしなかったジャーナリストと研究者、そして取り上げざるを得なくなった多くのマスコミ、「これはひどい」という正常な反応を示してくれた、被災地を始めとする全国の国民の皆さん。まさに殊勲賞ものですね。

 ほぼ完敗といえる敗訴に至った理由は、まず一義的には、演出によるイメージ戦略でもって不利な戦況を乗り越えようとした外務省の戦術のマズさにありました。しかし、勝ち目のない負け戦をあえて受けて立たせたのは、理をわきまえず「ともかく勝て!」とせっついた自民党捕鯨議連であり、TPP首席担当と兼任させる形でわざわざ外務官僚のエースを起用した安倍政権に他なりません。
 しかし、最初から勝ち目のない戦にしてしまった主因は、もちろん捕鯨サークル自身にあるわけです。責任の大きい個人の名を挙げるとするなら、自爆発言の本川一善現水産庁長官と、ICJ/AUS&NZにツッコミどころを山ほど提供したJARPAUを立案・主導した小松正之氏ということになるでしょう。AUSが口頭弁論で用意したプレゼン資料の中には、小松氏の「It's none of your business!(余計なお世話だ!)」発言や、「捕獲枠拡大のおかげで鯨肉が安価に提供できるようになった」と紹介する自著なども入っていました。クジラ本、山ほど書かれましたもんね・・。
 いずれにしても、こんなバカげた訴訟の負担を国民に強いた責めを負うべきは、族議員と歴代官僚を含む捕鯨サークルであることは間違いありません。

■調査捕鯨国際裁判敗訴は全て安倍と自民党捕鯨議連の責任|Togetterまとめ
http://togetter.com/li/650580


 さて……あるとき、とある国が何年もの間、赤道を越えた南極に向けてぶっ放し続けていたのは、人工衛星などではなく、国際条約に違反するミサイルだったと、世界で最も権威ある司法機関からきっぱりと駄目出しを受けました。
 ところが、「人工衛星か? ミサイルか?」が問われていたにもかかわらず、その国の中ではどういうわけか、「うちのミサイルは、中世の花火に歴史をたどれる美しい伝統技術だ! 南極に向かって打ち上げ続けろ!」というわけのわからない屁理屈をマスコミが盛んに流し続けています。国民の大多数が、「あれが花火でも人工衛星でもない、ミサイルだってことは、とっくにわかってたさ・・」とつぶやいているのに。
 前約束で、国際法を遵守する旨宣言した以上、「仕方ない、これ以上ミサイルを南極に飛ばすのはやめよう」と、現実に向き合う政府関係者も多い中、なおも「うるさい! 国際条約機関から脱退してでも、ともかくミサイルを南極に飛ばすんだっ!」と息巻いている人たちもいます・・

 一体日本は、そんな目も当てられない国だと、世界から白い目を向けられるようになってもいいのですか??

 アイルランドの提案、米国の打診、外部専門家を招き多くの関係者の時間と労力を注ぎ込んだIWCでの歩み寄り交渉──あたかもミサイル人工衛星と嘯き続ける近くの独裁国家と見まがうような、強硬な唯我独尊の姿勢を貫き、テーブルをひっくり返してきたのが、捕鯨ニッポンに他なりません。

 先日、地方紙の一紙で産経のポエムとは比較にならない、思わず読者をうならせる名コラムが掲載されました。以下はその一説。


 (デ・ソト提案に沿った交渉の)当時「南極海での調査捕鯨中止」は、日本にとって強力な交渉カードだった。もし、このカードを交渉で切っていれば、得られたものは大きかったはずだ。だが、今回の判決でこのカードの意味はなくなってしまった。(引用〜岐阜新聞・時言「捕鯨をめぐる幻の妥協」)


 指摘されているとおり、裁判所で国際条約違反と認定されてしまった時点で、日本は立場も、代わりに何かを要求する権利も、すべて完全に失ってしまったのです。その時点では、一定範囲の沿岸捕鯨を許容してもらえる余地もまだあったというのに。
 しかも、国際裁判至上にいつまでも汚名を刻み込まれる形で。

 日本が自らの愚策の果てに失った誇りを取り戻すには、一体どうすればいいのでしょう?
 なすべきことは、ひとつしかありません。
 それは、世界中の人々に対し、ミサイル人工衛星だとずーーっと偽り続けてきたことを、深々と頭を下げて心の底から謝ることです。
 何年も国際条約を破り続けてきたことが明らかになったのに、一言の謝罪もなく、「失望した」などと逆ギレしたうえ、一切のペナルティなしに済ませようとするのは、あまりにも虫が好すぎるんじゃありませんか?
 もし、日本との間で係争を抱えている国が、同じような振る舞いをしたなら、国内で増殖しつつある新世代のナショナリストたちはきっと、怒り狂って暴動を起こすことでしょうね・・・
 実際、政府関係者はICJでAUS・NZを迎え撃つにあたり、今回の訴訟対応を、対中国・対韓国の領土問題を念頭に置いたICJでの紛争処理のモデルケースとして捉えていると、臆面もなくメディアに語っていたわけです。最強布陣の必勝体制で臨み、負けるはずがないと高を括っていたからなのでしょうが。
 中国や韓国の人々はもちろん、今回のICJ判決を受けて日本がどのように振る舞うかに、非常に大きな関心をもって注目しているはずでしょう。

 無論、世界の日本に対する評価を気にするならば、口先だけの謝罪と反省で終わらせるわけにはいきません。国際社会に対して自らの犯した罪をきちんと償う必要があります。それを具体的に行動で示さなければなりません。

1.南極海からは即時、完全に撤退すること。
 一年間だけ休んだら再びクジラたちの楽園を脅かすべく舞い戻ろうなどとは、二度と金輪際考えないことです。

2.北西太平洋からは段階的に撤退すること。
 カードは失われてしまいました。南極海撤退だけで目こぼしをもらうことを、国際社会に乞うことはもうできません。
 AUS・NZ・米国等には、あらかじめお願いして了承を取り付けることが必要でしょう。現実的な観点から、各国には土下座しつつ、少しばかり猶予期間をいただきましょう。せいぜい3、4年の期間が目処でしょうね。
 その間に、市場縮小のロードマップを提示し、副産物≠セったハズのものの需給を調整するとともに、共同船舶の船員の一時補償と再雇用の支援を国が確実に行うこと。繰り返しになりますが、捕鯨批判派を含め、復興予算流用に厳しい目を向ける国民だって、誰一人文句を言いやしません。
 副産物≠ノついては、都市部の食通どもがネット通販で取り寄せていいものではありません。全量沿岸捕鯨地に回すべし。江戸時代から続くという意味では、資格があるのは太地と和田浦くらいですが、鮎川、釧路は含めていいでしょう。そして、東北の被災地を尻目に自分たちだけ20億の経済効果にありつこうとした、同情の余地など一片もない下関ではありますが、大マケにマケて一定の期間は認めてもいいでしょう。
 どーしてもどーしてもどーーーーしても鯨肉が食べたい!という人は、沿岸捕鯨地に出向いて、現地にさまざまな形でカネを落とし、地域経済に貢献することです。
 学校給食への活用などは無論禁止。こどもたちに食べさせるべきは、地産地消の究極のアンチテーゼというべき南極産の野生動物の肉などではなく、雑穀、地域野菜、地先の海で取れる小魚です。
 捕鯨協会/国際PRがでっち上げた虚飾の鯨肉食ブンカは、ドングリ、ヒトデ、ヒザラガイなどと同じ、地産地消の文化に反しない、身の丈にあった地域の食習慣の水準に回帰するべき。

3.沿岸捕鯨については、乱獲と規制違反の歴史に対する真摯な謝罪と反省を世界に表明したうえで、国際機関の厳格な管理のもと、小規模な地場利用の形で認めてもらうよう、お願いすること。
 今回のICJ判決報道の中で、和田の捕鯨会社は「罪悪感を伴うものにならなければいいが」などとコメントを寄せ、捕鯨業者でありながら日本の伝統捕鯨の精神の真髄を何も理解していないことを露呈してしまいました。あまりにも情けないことです。何のための供養碑だと思っているのだろう? 自分たちも先祖に倣ってやっていることは、形式だけのパフォーマンスにすぎないと思っているのでしょうか?
 また、太地は凝りもせずに次回IWC総会への外遊予算を確保したとのこと。国際会議への出席は、本当に必要ならば政府が費用をもって代表団に加えればいい話。視察に名を借りた地方自治体の議員・首長らの海外旅行は、市民オンブズマンの批判を浴びて久しいですが、どこ吹く風という感じですね。伝統の真珠養殖を潰して画餅の「鯨の海構想」を強引に推し進めることといい・・。太地はご神体への自縄自縛の状態から自らを解放しなくてはなりません。

4.イルカ猟については、追い込み猟を突きん棒猟に切り替えること。また、国連海洋法条約に則りIWCの管理下に置いたうえで、水産庁はデータが不足している対象種・個体群をきちんと調査し、厳格なPBRに基づく捕獲枠を設定しなおすこと。
 
捕鯨と同様、イルカ猟も国際法の観点から問題があることは明らか。イルカフリークの皆さんには申し訳ないと思いますが、筆者はここであえて、かなり譲歩した現実的な提案を示します。ガイアツで追い込まれる前にきちんと襟を正すことが生き残る唯一の道だと、関係者は胸に刻むべきです。


 いやだとおっしゃる? どーしてもどーしてもどーーーーしてもいやだと?
 日本はカードを失ったのですよ。そんな贅沢なことを言えた立場ではないのです。
 東北大石井准教授が指摘されていますが、JARPNU(北西太平洋調査捕鯨)は間違いなく、今回違法認定を受けたJARPAUと同様の問題を抱えています。NHKが報道したように、事業者も海域も船の規模も捕獲数も捕獲対象種も異なる沿岸調査にさえ、水産庁が慎重な検討を強いられているのは、もちろんそれが理由。もっとも、族議員の反発が少ない沿岸調査にしわ寄せをできる限り押し付け、共同船舶の母船式捕鯨の傷をなるべく少なく済ませようとの意図もあるのかもしれませんが・・。
 北太平洋の捕鯨に対して日本を訴える相手といったら、思いつくのはやっぱり米国。ただ、みなさんもご承知のとおり、日米関係は主軸となる貿易・防衛問題で重要な局面を迎えており、米国がクジラで日本にイチャモンをつける余裕はないかもしれません。
 なら安心だと思いますか?
 いや・・ワイルドカードも考えられます。
 もし、どこかの国どこかの国が、日本のJARPNUをICJに訴えたとしたら──日本はクジラよりはるかに大きなものを失うことになるかもしれませんよ?
 次回は、日本がはまりかねない最悪のドツボについて、詳細に検証してみたいと思います。
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2014年04月06日

今こそ南極海捕鯨から全面撤退のとき 日本政府は英断を!

 日本の調査捕鯨をめぐる国際裁判・日本VSオーストラリア&ニュージーランドに対する国際司法裁判所(ICJ)の判決が示されました。

■ICJ Press Release 2014/14
http://www.icj-cij.org/docket/files/148/18136.pdf
■JUDGMENT|WHALING IN THE ANTARCTIC (AUSTRALIA v. JAPAN: NEW ZEALAND INTERVENING)
http://www.icj-cij.org/docket/files/148/18162.pdf


 正直驚いています。ここまでの判決が出たことに。
 敗因については、直後に毎日が触れ、また3日には朝日が2面で大きな特集を組んでいます。毎日ブリュッセル支局の斎藤記者は以前かなり偏向した記事を書いたことがありますが、今回はとても冷静かつ的確にまとめてくれています。朝日の編集委員小山田記者は、今のマスコミの中では一番の捕鯨問題通の一人といえそう。これまでも興味深いネタを発掘してきてくれました。いつもミスリードの意図が見え見えな産経記事とは対照的に、記事自体は淡白で、そこはプロのジャーナリストならでは。


■叱責の首相・釈明する担当者…調査捕鯨、日本完敗の訳は (4/3,朝日)
 ※ アナログ版記事見出し:捕鯨外交 自信が裏目 「最強布陣にあぐら」
http://www.asahi.com/articles/ASG42630CG42UTFK01B.html


最低でも数千万円単位の弁護報酬を支払い、世界的権威の弁護士を雇った。完敗はあり得ないとなめていた」(政府関係者)と打ち明ける。(引用、強調筆者)
 欧米諸国では、日本に批判的な記事が目立つ。フランスのフィガロ紙は1日付で「日本は(商業)捕鯨を継続できるよう調査捕鯨プログラムを『でっち上げた』」ために豪州から訴えられたと批判的に報じた。米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は「判決は南半球のみが対象。クジラを守る戦いは終わっていない。日本は国際的な非難を待たず、すべての捕鯨をやめるべきだ」と同日付の社説で論じた。オランダのトラウ紙は同日付の記事で「中国との尖閣諸島の問題で日本は『国際法のもとで解決を』と強く主張している。ICJ判決を無視すれば、日本の外交的信頼に大きくマイナスになるだろう」とした。 (引用)

■調査捕鯨中止:「透明性欠いた」点、受け入れられず (3/31,毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20140401k0000m030115000c.html


 一方、捕鯨を批判する欧米やオセアニアとの外交交渉で捕鯨問題が常に障害となってきた事実は否定できない。日本が調査捕鯨を断念すれば、外交的には評価を受けることになりそうだ。(引用、強調筆者)

 その傍らで、戦前を髣髴とさせる大本営愛国放送と化しつつあるNHKは、今回の訴訟と関係ないハズの北西太平洋調査捕鯨の画像と主張を混ぜ込んで、実にえげつない誘導解説記事を出しています。主張自体デタラメですが・・。解説の解説≠ノついては下掲リンクをご参照。

■くらし☆解説 「調査捕鯨国際司法裁判所判決の意味は」 合瀬宏毅解説委員 (4/1,NHK)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/184379.html


 こちらはニュースですが、IWC副議長の傾聴に値するコメント。


■IWC副議長 捕鯨方法の抜本的見直しを (4/2,NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140402/k10013430391000.html


この中でシュメイ副議長は、「国際司法裁判所の判決は、IWCの加盟国の間で政治的な理由から停滞してきた議論の論点を中立的な立場から明確にした」として、判決を歓迎しました。
そのうえで、日本は現在のやり方のままでは調査捕鯨を続けられなくなったことを踏まえ「鯨を殺さないで行う調査をほかの国と連携して実施するなど、ほかの選択肢があると思う」と述べ、日本は調査捕鯨の方法の抜本的な見直しが必要だという考えを示しました。
(引用、強調筆者)


 今回の調査捕鯨国際裁判については、筆者も市民の皆さんとともに昨年6、7月に行われた口頭弁論を国連ウェブキャストで傍聴し、固唾を飲んで行方を見守ってきました。
 結果的には、筆者の予想(というより期待)にかなり近い判決となったわけです。
 当時の筆者が指摘した問題点と合わせ、判決を受けての筆者と多くの市民の皆さんの感想を、以下のまとめサイトで取り上げていただきました。
 マスコミ記事の細かいチェックまで、大変なまとめを引き受けてくれた富さんに改めて多謝m(_ _)m


■調査捕鯨国際裁判敗訴は全て安倍と自民党捕鯨議連の責任|Togetter
http://togetter.com/li/650580
■調査捕鯨の科学性を解体する|Togetter
http://togetter.com/li/486896
■ICJ調査捕鯨訴訟で日本は負ける|拙ブログ
http://twilog.org/kamekujiraneko
http://b.hatena.ne.jp/entry/kkneko.sblo.jp/article/70305216.html
■Japan will lose the legal suit on of whaling in the Antarctic at the ICJ|拙HP
http://www.kkneko.com/english/icj.htm


 裁判の結果が大きく報じられたこともあり、拙管理サイトにも大きな反響がありました。
 拙ホームページには3日に2100、ブログには2日に1900、3日に2500を超えるアクセスが。これは、ウヨガキ君たちが殺到した調査鯨肉横領(世間的には窃盗)事件のとき以上。はてなブックマークの方にも多くの皆さんに指定をいただいたところ(Ika-netブログのブクマはさらに1桁上ですが)。
 そして、まとめのほうはなんと3日間で驚きの28,000アクセス超え。お気に入り120、つぶやき回数も700以上。
 別の野生動物関連のコンテンツで1万以上の方のご訪問をいただいたことはありましたが、クジラ関連では新記録(^^;;
 数よりも驚いているのは、横領事件のときとは対照的に、非常に多くの方から筆者の指摘に対するご賛同、好意的な反応をいただいたことです。
 判決後のツイッターのタイムラインにも、座布団をみんなにサービスしたいほど名言・名句の数々が流れ、筆者としてはうれしい悲鳴をあげていた次第。

 やっぱりみんな、わかってたんだよね・・・本質を。

 その辺りの事情はマスコミに関してもいえるでしょう。これ以上捕鯨サークルをかばいだてすることが困難な状況になったことが、各紙の社説からもうかがえます。
 残念ながら、これまで精一杯応援してきた後ろめたさが尾を引いているのか、「大変だ、なんとかしなきゃマズイ!」と言いつつ、結論が不明瞭で歯にものが挟まったような言い方が多数。そのせいか、読売、朝日、日経、東京とも、社説に関しては論調が驚くほど似通ってしまっています。どちらかというと、声が大きい捕鯨擁護派に配慮してぼやかした印象。どれも食文化論や食害論、漁業規制脅威論などトホホな主張をこれまでどおり入れちゃってますね(--;; 一方で、過剰鯨肉在庫、収益悪化、復興予算流用問題など、「調査捕鯨に問題がある」ということも、ほとんどのところがはっきりと指摘しています。捕鯨報道のあり方としては、従来からのかなり大きな前進といえるでしょう。
 その中で、一歩リードといえるのが、毎日新聞と宮城県中心の地方紙・河北新報
 河北新報は沿岸捕鯨地である鮎川が圏内にあることから、これまで捕鯨擁護色の強い主張が目立っていました。むしろそれだけに、事態の厳しさも肌で感じたのでしょう。復興予算の流用が象徴するように、東北の沿岸捕鯨者と中央の公海捕鯨事業者との利害はときに相容れず、その際苦汁を味わわされてきたのはいつも沿岸でした。それはこの社説の文中からも明瞭に読み取れます。
 鹿児島の南日本新聞の社説も、冷静なトーンで良質な内容。

■社説:調査捕鯨で敗訴 南極海から撤退決断を (4/2,毎日)
http://mainichi.jp/opinion/news/20140402k0000m070169000c.html

食文化を守るために南極海で商業捕鯨を再開する必要性は乏しい。そのために年間数十億円の国費を使って調査を続ける意味はないだろう。政府は今回の判決を受け入れるとしながらも撤退の意思を明確にしていないが、もう決断すべきだ。(引用)

■調査捕鯨敗訴/「文化」守りつつ政策転換を (4/3,河北新報)
http://www.kahoku.co.jp/editorial/20140402_01.html

 ただ、今回の判決で捕鯨に向けられる視線が厳しくなるのは必至で、国際的な批判にさらされながら調査が続けられるかどうかは疑わしい。
 数年前、国際捕鯨委員会で日本が調査捕鯨を停止する代わりに、捕獲数を大幅削減した上で沿岸や南極海で事実上の商業捕鯨を認める案が出され、各国が前向きに議論したことがある。
 南極海の調査捕鯨から全面撤退し、その代わりに伝統文化とも深く関わる沿岸商業捕鯨の再開に道を開く案を提起する。そうした政策転換もあっていい。(引用、強調筆者)

■[調査捕鯨敗訴] 根本から見直す機会に (4/4,南日本新聞)
http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201404&storyid=55918

 そもそも捕鯨国と反捕鯨国の勢力が拮抗きっこうし、不毛な対立に終始しているIWCの現状をみると、商業捕鯨の再開は望めそうにない。国内では鯨肉離れが進み、ビジネスとして成り立つ見込みも薄い。
 捕鯨政策はとうに曲がり角にきていたといえる。今回の敗訴を根本から見直す機会にすべきだ。(引用)

 ただ一紙、ポエムを2日連続で声高に唱えた産経は、まあサンケイですから・・・

 インターネットメディアになると、熱烈な捕鯨サークル応援団のばら撒くゴミの割合がやや高くなり、サンケイと変わらず斜め方向に思いっきり捻じ曲がった解説もチラホラ。
 しかし、オンラインの論評の中でも、コラムニスト小田嶋氏のコラムが光っています。熱烈な鯨肉ファンに反発を受けることを覚悟のうえ、中途半端に彼らに媚びることなく、ストレートにご自身の考えを述べられており、若い世代を中心に、脳がベーコン化していない日本人の多数が共感を持てる内容です。日経BPのID持ってる方は必見!


■クジラの凱歌|小田嶋隆のア・ピース・オブ・警句
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20140403/262310/


 振り返ってみれば、当の捕鯨サークル・日本政府関係者も、筆者を含むウォッチャーにとっても、予想だにしなかった判決をICJが下した一番のポイントは、ここにあるのではないかと、筆者は思うのです。
 すなわち、私たち日本国民の大半が、程度はどうあれ、調査捕鯨がいかがわしい代物だと感じていた、ということ。
 いかに御用メディアのNHKや産経が、あたかも北朝鮮の統制報道のごとく、国内の捕鯨礼賛派の声ばかりを取り上げ、批判の声を封じ込めようとも、国民の大半が冷静に判決を受け止めるであろうことを、ICJ判事たちは確信していたのでしょう。


 翻って、本当に残念でならないのは、安倍首相と自民党捕鯨議連の反応です。詳細はTogetterをご参照。
 これでは本当に世界の恥

 族議員たちのぶち上げた脱退の主張は非現実的の一言に尽きますが、身内(票田)を意識したくだらないパフォーマンスによって、確定した司法判断にケチが付けられることはあってはなりません。

 これから日本に求められるのは、真摯な反省の姿勢です。
 かつて、米国が内々に持ちかけたり、IWCでも外部専門家を招いて歩み寄りが促されるたびに、日本は唯我独尊の姿勢を貫き、強硬に突っぱね続けてきました。
 日本国民にとっても決して小さくない財政負担を敷いた、科学を擬装した商業捕鯨の延命工作が、こうして脆くも崩れ去ったいま、潔く進退を決するのが、日本人らしさではないのですか?


 日本がやるべきことについて。
 まず、北西太平洋調査捕鯨(JARPNU)について、「今回の判決とは無関係」の一言で済ませず、JARPAUと同様の問題点が存在することは明らかなのですから、自らの手で徹底的に検証することです。本来なら休止が望ましいところですが、最低でも今漁期については大幅に捕獲数を削減すること
 もし、自制心を働かせ、エゴイスティックな振る舞いを改められなければ、そのときは、米国等に北太平洋での調査についてもICJの判断を仰ぐことになりかねませんよ。そしてまた、日本の脱法姿勢は、判事たちの心象をさらに一段と悪化させるであろうことは、想像に難くないでしょう。
 モラトリアム成立時と同じく、外圧によってしか解決できないとすれば、日本人としては無念の一言に尽きますが。
 そして、南極海からは完全に撤退すること。ICJで日本側証人のノルウェーの鯨類学者、ワロー氏が正直に「less than 10」と認めたとおり、また条約そのものが起草時に想定していたとおり、許容範囲は年間数頭です。
 「生態系の解明」を掲げ続けるのであれば、科学的にナンセンスな4鯨種モデルは放棄し、カニクイアザラシ等鰭脚類、ペンギン等海鳥各種、魚、イカ等を含むオキアミ捕食者について、等しい精度で致死ないし非致死の調査を行うこと。いま致死調査を優先する必要があるとは思いませんが・・
 ICJでもこれ見よがしに成果として自慢した、「クロミンククジラの脂皮厚減少の発見!」も、単一種のみの調査では、それがいかなる環境変化の応答なのかという肝腎な答えが得られません。STAP細胞と同じ
 有害物質汚染の調査も、「薄く広く」がこの分野の常識。GPJも声明で指摘していますが、本物の生態系調査・環境調査こそがいま南極圏で求められているのです。


 ようやく花道が用意されました。
 いまなら、「お疲れ様」と関係者の労をねぎらうことができます。
 日本は全国民の雇用が完全保障された共産主義国家ではありませんが、復興予算流用とは異なり、国が関係者に補償することに対しては、筆者のような捕鯨反対派も含め、異を唱える人は日本には一人もいないはずです
 いまなら、国際社会も「日本は英断を下した」と勇気を讃えることができます。
 これ以上、みっともない真似をするのは、世界にをさらすのは、終わりにしましょう。
 いまこそ南極海捕鯨から撤退を!

posted by カメクジラネコ at 21:53| Comment(8) | TrackBack(0) | 社会科学系

2014年03月29日

調査捕鯨に貢がされた「もうかる漁業」補助金

◇捕鯨ニッポンの深い闇──おかげでウハウハ、調査捕鯨に貢がされた「もうかる漁業」補助金

■Press Release 2014/13 The Court to deliver its Judgment on Monday 31 March 2014 at 10 a.m.
http://www.icj-cij.org/docket/files/148/18094.pdf

■土俵際の調査捕鯨 国際司法裁、31日判決 (3/26,朝日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11049088.html
■調査捕鯨、科学か商業か 国際司法裁、31日に判決 (3/28,日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2701Z_X20C14A3PP8000/
■Big threat to Japan whaling: Declining appetites | APMobile
http://m.apnews.com/ap/db_306485/contentdetail.htm?contentguid=cDVDpbVo

■そろそろそろそろ国際司法裁判所の判決が|ika-netブログ
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-2f85.html
■03/10/14 Campaign to Alert About Ruling of the Century for Whales
http://www.ccc-chile.org/articulo-15-1112-031014_campaign_to_alert_about_ruling_of_the_century_for_whales.html


 いよいよ秒読みの段階に入ったICJ(国際司法裁判所)調査捕鯨裁判・捕鯨ニッポンVSオーストラリア&ニュージーランド。
 26日の朝日はやや大きな扱いで、一般の読者がわかるよう、調査捕鯨の現状をコンパクトにまとめた記事になっています。
 一方、日経は朝日と趣向がガラリと異なり、判決の予想がメイン。残念ながら、少々認識不足というのが筆者が受けた印象。
 両記事へのツッコミについては拙ツイートをご参照いただくことにして、ここでは朝日記事にあった注目すべき情報について、取り上げたいと思います。
 それがこれ↓

省エネ漁業にする制度を「特例」として適用され、年45億円を12年度から3年間受け取る。(引用〜朝日記事)

 何しろ庶民には縁のない桁なので、どうにも頭がついていきませんけど、それでもこの数字に注目しないわけにはいきません。庶民としては。
 これまで調査捕鯨に対しては、SS対策を主な名目とした円滑化事業という呼称で予算がつけられていました。当初は年約3億円でしたが、やがて約8億円に、近年では年約11億円にまで膨らんでいます。
 ここに、東北大震災のあった2011年、被災地復興を名目とした補正予算に便乗する形で、調査捕鯨事業安定化推進費なる予算が付け加えられます。その額、約23億円
 震災復興予算の流用に対しては、従来から捕鯨問題に取り組んできた市民団体のみならず、これまで捕鯨に同情的だったはずのマスコミからも、いっせいに批判が巻き起こります。詳細はNGOの発信、拙過去記事をご参照。
 その後、捕鯨サークル(水産庁&鯨研/共同船舶)もさすがに懲りた──かと思いきや、あまり表沙汰にならないよう別のカネの出所を求めました。
 それが、漁業構造改革総合対策事業、いわゆるもうかる漁業&竢赴焉B
 その金額について詳細は不明でした。
 元水産参事官の言じゃないけど、環境テロリストの妨害を口実に、法制定前から特定ヒミツ扱いだっただけに、審査の過程は完全非公開。税金を元手にした基金であるにもかかわらず。
 23億でさんざんたたかれたのだから、引け目を感じて多くても10〜20億円くらいだろうと(それでも十分大きな金額ですけど)、筆者はにらんでいました。過去記事にあるとおり、当時の水産紙報道でも15〜20億円程度という見方。
 ところが、蓋を開けてみれば、流用で非難されたハズの震災復興予算23億円のほぼ2倍もの額。
 3年間のトータルの金額の間違いじゃないかと、最初は目を疑ったほどです。朝日の小山田記者はこれまでの実績もありますし、APの記事もこの金額を裏付ける格好ですから、間違いないでしょうけど。
 厚顔無恥も、ここまでくれば脱帽するしかありません。


 が・・実は驚くのはまだ早すぎるのです。
 東北の被災者をダシにし、彼らのために使われるべき税金を赤字解消というエゴイスティックな目的でふんだくった捕鯨サークルは、同様の手口で、またしても政治的な弱者を足蹴にしていたのです。
 他の犠牲者とは、他でもない中小の漁業者。
 苦境にある東北の沿岸漁業救済のために設けられた「がんばる漁業」に一部の事業を移した結果、60億円分の余剰が生じた件については、以前のブログ記事でも取り上げました。その空席の3/4が調査捕鯨に当てられたことが、今回発覚したわけです。
 以下はもうかる漁業の受付機関となっている水産庁の外郭団体、水産業・漁村活性化推進機構(水漁機構)の資料。下の二つは水産庁。


■平成21年度補正予算において設けられた基金の執行状況等について
 基金名:水産業体質強化総合対策事業基金|水漁機構
http://www.maff.go.jp/j/budget/pdf/1800225-1.pdf

■平成24年度水産関係予算概算決定と税制のポイント|水産庁
http://www.jfa.maff.go.jp/j/budget/pdf/24_point2.pdf
■漁業構造改革総合対策事業|水産庁
http://www.jfa.maff.go.jp/j/budget/23_hosei/pdf/111226_kouzou.pdf


 45億円に該当するものが見当たりませんが、上半期・下半期で分散したのかもしれません。4月の21億円と3月の24億円が足すと45億円。怪しいですね・・。事業実施者数を見ると、やや辻褄が合わない感じですけど。
 1事業者当りの平均補助金額はこの’12年度で5千5百万円ほど。鯨研/共同船舶への補助は単年度でその80倍
 最後のページに国庫補助金の総計がありますが、基金創設時の2009年度に積み立てられた額が約50億円。トータルで約500億円ほど。
 海面漁業生産の1%に満たない捕鯨業に分類される(ほんとは漁業じゃなく科学調査のハズだけど!)調査捕鯨への補助が、いかに大きな割合を占めるかがわかります。
 同支援事業の執行額は、'11年度の計約189億円から、翌'12年度には約174億円と15億円減。震災復興を目的とするがんばる漁業に移った分が60億円なので、その差は45億円
 ぴったりですね・・。
 KKPの話がまとまった1年前の4次補正で新たに積み増されたのが138億円
 45億×3年間で、135億円・・。
 はたして、要求時に調査捕鯨への梃入れまで念頭に置いていたのかはわかりませんけど・・。いずれにしろ、増資分が捕鯨サークルにほぼそっくり飲み込まれた格好です。
 その後、同基金への国庫からの増資は減っていきます。'12年は本予算・予備費・補正合わせて110億円、’13年は20億円+補正25億円。これも合わせて45億円になりますけど・・。
 一方で、沿岸漁業の体質強化のために設けられた水産業体質強化総合対策事業基金は'12年4月で廃止。漁場機能維持管理事業基金は'10年7月に廃止。
 八方塞がりの状況に喘いでいる沿岸の漁民を差し置いて、捕鯨サークルだけが破格の厚待遇を受けているということです。


 高齢化、燃料高騰、汚染に乱獲に温暖化、流通・小売業界との歪んだ関係、無知な消費者、無策の水産行政・・・・
 この現状を打破し、沿岸漁業の明日を切り開こうとする真摯な若者に、援助の手を差し伸べるのであれば、誰も文句はありません。
 しかし、残念ながら、水産庁が「漁業者のため」と嘯き、導入してきた基金や制度の運用状況を見る限り、本来必要とされる対象ではないところに、手厚い支援が施されているといわざるをえません。
 日本の水産業界・水産行政を堕落させた張本人たる捕鯨の亡霊がいつまでものさばり、それと引き換えに、海も、漁民も、未来がますます見えづらくなるばかり。
 国民、そして漁業者の皆さん、このような不公正を本当に許していいのですか?


 
 朝日記事の指摘したように土俵際の崖っぷちにまで追い詰められた日本の公海調査捕鯨、結果はICJの判決次第ですが、赤字のほぼ9割を国に肩代わりさせることまで平然とやってのける捕鯨サークルのこと、正直筆者は不安を拭えません。気がかりなのは、農相の地盤下関市を中心にした母船更改につながる動きですが・・
 プルトニウムとクジラの闇については、拙小説『クジラたちの海』の続編『the next age』の七央人編を中心に詳細に描いたつもりですが、現実はフィクションをとっくに超えてしまっているかもしれません・・・


参考リンク:
−漁船漁業構造改革の検証|東京海洋大学・濱田氏
http://www.gyokei.sakura.ne.jp/D.P/Vol4/No4_1.pdf
−r氏提供情報|Yahoo!BBS
http://textream.yahoo.co.jp/message/1834578/a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa?comment=68731
−マスコミが伝えきれない調査捕鯨への復興予算流用問題(拙HP)
http://www.kkneko.com/ryuyo.htm
−東北の被災地を足蹴に復興予算をせしめた厚顔無恥な捕鯨サークル(拙ブログ)
http://kkneko.sblo.jp/article/59017147.html
−調査捕鯨の正体は「儲かってないけど儲けたい商業捕鯨」だった(〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/58981151.html
−拙ツイログ
http://twilog.org/kamekujiraneko

posted by カメクジラネコ at 22:13| Comment(10) | TrackBack(0) | 社会科学系

2014年02月10日

米大使ツイート騒動/フォアグラとクジラ/都知事選とクジラ

◇反反捕鯨祭りで終わり? 米大使イルカ猟反対ツイートのその後

■キャロライン・ケネディ駐日米国大使のツイート
http://twilog.org/CarolineKennedy/date-140118


 先月1月18日に発信された、ケネディ駐日大使のツイート。
 騒ぐだけ騒がれたけど、議論らしい議論は何もなく、ただお互いに言いたいことを言い合っただけに終わっちゃった感がありますね。ディベートの最も悪いお手本というところでしょうか・・

 当の大使のアカウントは、五輪等のイベントもあるけど、1月末以降更新なし。もともとツイートの頻度はそれほど高くないですけど。もしかしたら嫌気が差したかも? 日本語のツイートがセットになっているので、作業は大使館の秘書の方がなさってたんでしょうけど。
 ツイッターに対するウンザリ感もさることながら、大統領選への貢献の論功行賞ともささやかれた駐日大使職が、こんなに割の合わない仕事だとは思わなかったかもしれませんね。
 日米の接着剤として過剰な期待を主に日本側から押し付けられる一方、ちょっと気に入らないことを口にすれば、途端に掌を返したように噛み付いてくる──そうした日本人の気質・民族性(?)にじかに触れたことで、いままで抱いていた好感度が一気にダウンしてしまったかも
 ただひたすらいいところを褒めそやしてくれればいいのだ。悪い部分に目を留め、ほじくり返すような真似は、誰も頼んじゃいないんだ──日本が米国に対して求めているのは、お互いに悪いことを諌め合い、相手の批判にも真摯に耳を傾けることのできる真の友人関係≠ナはなく、まさに表面的なオトモダチ≠フ関係だということを、少なくともケネディ大使個人は薄々感じ取ったのではないでしょうか?
 大使に向かって浴びせられた罵詈雑言が、日本人を代表する意見ではなく、国家とメディアに踊らされたニホンジン≠フ声にすぎないことを、せめて彼女が理解してくれればいいのですけど・・・
 もっとも、かくいう筆者も、ツイッターで彼女に注文を付けた1人だったりしますが(--;;

 さて、話を戻しますが、「お互い言いたいことだけ言い合った」状況を、環境外交がご専門の東北大石井敦准教授が的確に指摘されています。


■石井氏のツイート
https://twitter.com/ishii_atsushi/status/426586862493245441


大使が指摘している「非人道性」についての議論がほとんど聞かれないのは非常に残念です。これでは真摯な議論ができません。やはり「ニッポンには対話がない」のか(引用、強調筆者)


 確かに、マスコミ・著名人のレベルになると、動物福祉問題についての議論はもう可聴域外≠ニいう感じで完全にスルーされていますね。
 多少なりとも踏み込んだ意見を表明しているのは、むしろ一般のネット市民のほうでしょうか。

■【イルカ漁】ケネディ駐日大使のつぶやきから考えた「人道的な屠殺」という問題|トゥゲッター
http://togetter.com/li/618222#c1353011

「それなら家畜を殺すと きはいいのかよ」という非難がなされ、この説明に宗教や文化的な違いを上げることがこれはそのままだと間違っていると思う。
近代以降は動物愛護意識の向上以外にも作業環境の改善や 肉質の向上などのために過度に動物を苦しめるような屠殺法は忌避され、なるべく一撃で仕留める屠殺法が各国で取 られている。
以上の観点からイルカの追い込み漁を見ると、「明らかに 意識がある状態で苦しみを与える形で殺している」という点家畜の屠殺に比べて多くの苦しみを与えている≒非人道的な狩猟法という非難はまぬがれそうもない。
(引用)

 もっとも、この辺りは、工場畜産や動物実験、犬猫の殺処分問題に関心のある方々にすれば、「何を今更」と首を振るレベルではあるでしょう。
 屠殺については環境省のガイドラインまで引っ張っていますね。しかし、そこまでたどり着きながら、人道性の議論がなぜ先進国で具体的な法整備の段階まで推し進められたのか、追求するところまでいかなかったのは残念なこと。その後は反反捕鯨派の主張に重なる「価値観の違い論」に逸れており、認識不足のまま終わってしまっています。
 作成者は工学系の学生の方。他のまとめやツイートからは、脱原発に懐疑的なちょっとシニカル保守の属性が入っているのがうかがえますが。

 当該まとめに対しては、念のため筆者が補足を付け加えておきましたが、以下は一次ソース、当事者である太地発の情報です。

■和歌山県太地町のいるか追い込み漁業における捕殺方法の改善(水産総合研究センター遠洋水産研究所、太地町漁協)|太地漁協スーパー
http://www.cypress.ne.jp/jf-taiji/geiruihosatu.pdf

致死の判定基準は、作業者の便宜から運動と呼吸の停止とした。(引用、強調筆者)
脊髄切断法の開発者は楔による血液の体内保持は致死を遅くする恐れがあると指摘している。今後フェローと同じ指標(散瞳)で致死時間を再検討する必要はあろう。(引用、強調筆者)

表1 捕殺に要した時間
スジイルカ 
槍+脊髄切断 例数4 捕殺時間:最短5秒 最長30秒 平均17.5秒 (従来法 例数1 捕殺時間:300秒) (引用、強調筆者)

 脊髄切断法は2000年にフェロー諸島に倣って太地でも導入が試みられましたが、スジイルカ、マダライルカ、カマイルカ等には適用できませんでした。スジイルカについては、2008年にやっと脊髄切断法に切り替えられます。ただし、表に示されるとおり、この時点では槍を併用していました。水研センターの公表している「国際漁業資源の動向」中でも明記されていますが。
 2009年には、岩場をビニールシートで覆い、そこへ追い上げて保定することで、完全適用≠ナきたと謳っています。槍を併用せずに済んだかどうか言及はありません。そして何より、その完全適用に基づいた捕殺時間のデータは示されていないのです。2008年の捕殺時間のデータもわずか4例にすぎず、この数字に意味があるとは到底言えないのですが。
 おそらく槍の使用はやめたんでしょうが、代わりにわざわざ切断創に楔を打ち込んでいます。上掲リンク資料に画像がありますが、金槌で後頭部にパックリ開いた傷口に楔を当てて、ガンガン叩き込んでますね・・。まるでB級ホラー映画。まあ、他の犬猫の殺処分にしろ、家畜の屠殺や狩猟時の処理にしろ、「どうせ同じだ」と目に映るヒト、それらすべてに対して何も感じず、歓迎すらしてしまうヒトもいるのでしょうが、筆者としてはそうした不感症のニンゲンがほんの一握りにすぎないことを祈るばかりです。
 左側の画像に、「水中で落とした際の目印」となる浮きも示されています。皮膚を切り裂いた後の傷口、柔らかい皮下の組織に直接打ち込むのですから、しっかり固定されるはずがありません。少なくとも木材に釘を打つほどには。ビニールシートの上に追い上げるのに、それでも水中でなくす可能性が否定できないわけです。どの程度固定されるのか、その精度についても一切言及がありません。やっぱり暴れて弾き飛ばされる可能性があるから、でしょうかね? 作業者が押さえ込むのであれば、槍を使うのと作業の危険性はさして変わらないでしょう。
 致死時間の計測の仕方にも問題があります。心拍・呼吸の停止は、実際にはその前から微弱かつ変則的になっているので、測定者にとって判定するのは容易ではありません。瞳孔散大・対光反射の確認の方がより明瞭。通常はその3つを指標にしているわけです。皆さんもわかると思いますけど、これはヒトという哺乳動物でもまったく一緒なので、獣医方面のみならず医師の方にとっても常識の話。運動に至っては論外。組織が厚い大型動物の場合、心拍・呼吸判定の難易度はもっと上がることでしょう。そのうえ、イルカは潜水するのでただでさえ呼吸間隔が変則的で長いのです。
 しかし、太地ではこのわずかなデータを正確に測定することさえ、「作業者の便宜」を優先して渋ってしまいました。要は面倒臭がった、ということです。

 上掲のとおり、調査に当たった当の水産庁の外郭組織・水研センターの職員すらも問題点を挙げざるを得なかったわけですが、彼らがあえて触れなかった点についても、指摘しておかなければなりません。
 太地と並んで世界から非難を浴びているフェロー諸島ですが、渋々、かなり遅れて、中途半端な形で導入を図った日本の太地と異なり、脊髄切断法の開発や致死時間の測定指標について、曲がりなりにも動物福祉に配慮する姿勢を示そうとしたわけです。その理由は、各加盟国も国際機関としても動物福祉に関して厳しい法規制を進めてきたEUの一員であるデンマークの自治領ということもあるでしょう。

 以下はCNNのインタビューに対する安倍首相のコメント。

■安倍首相、イルカ漁を語る (1/24,CNN)
http://www.cnn.co.jp/world/35043008.html?tag=top;topStories

漁の仕方については、「相当な工夫がなされているという風に聞いている。この漁についても、あるいは漁獲方法についても、厳格に管理されている」と述べた。(引用)
 東京五輪招致の際の、例の原発事故・汚染水に関する「アンダーコントロール」とまったく同質の発言ですね。何も知らずに、官僚に渡されたメモの通りに回答しているだけにすぎないわけです。現地に視察に行って、東電の担当者にブロックできる港湾の範囲を教えてもらうのと同じように、太地の組合からイルカの苦痛の「コントロール」、放血の「コントロール」について説明を受ける気は、彼にはないでしょうけど・・


 動物福祉面を考慮した屠殺法を開発したフェロー諸島の関係者が「致死を遅くする恐れがある」と指摘する楔による放血制御を、なぜ太地はあえてやったのでしょうか?
 ひとつはっきり言っておかなければならないのは、楔による放血制御は動物福祉上の配慮とは一切無関係だということです。太地のライバル(?)にあたるフェロー諸島の関係者が、「むしろ逆だ」とはっきり言うほどなのですから。
 水研センターの担当者は「海面の血液による汚染防止や血液の工業的利活用の可能性を拓いた」と理由を挙げています。
 かつては捕鯨会社に対する漁民の焼き討ち事件が発生したように、温血動物の大量の血液が海水の停滞しやすい港湾に流れ込むことは、まさに「海洋汚染」に他なりません。捕鯨会社はまさに汚染水を垂れ流す汚染物質排出事業者、公害企業だったわけです。
 もっとも、こんな楔が完全に′潔tの流出を止められるはずもなく、汚染防止の効果は程度の問題にすぎません。BOD・CODを計測してデータを比較すれば、多少は説得力があるんでしょうけどね。ついでにいえば、海を汚すことで直接被害を受けるのは太地の漁業者です。水質の影響をもろに受ける伝統の真珠養殖業は、三軒町長によって引導を渡されることになったので、もう関係ないということになるんでしょうが・・。
 工業的利活用の可能性≠ノ至っては、コストを無視した非現実的な画餅にすぎません。家畜の血液は従来残滓、つまり産業廃棄物として金をかけて処理されてきたため、コストを浮かすために有効活用が求められ、ときに肥料に回されることもあります。ただし、獣臭・魚臭の除去がネックとなり、良質な肥料として重宝されるものではありません。さらに、その工程自体がコストに跳ね返ります。太地の組合が事業としてイルカ肥料≠売り出したとして、一体買う農家がいるでしょうか? 収支を考えれば、ビジネスとして成り立つはずもないわけです。
 まあ、当の捕鯨サークルが、過年度在庫が積み上がっている鯨肉在庫事情を公文書中で正直に告白してすら、未だに鯨肉が売れているという都市伝説≠ノしがみついている経済音痴の反反捕鯨論者たちには、理解できなくても仕方がないでしょうが。。
 とはいえ、「鯨体の完全利用」などと高々と謳いながら、実際には完全利用など全然出来てなどいなかった事実を示す、これも明らかな証拠の一つといえるでしょう。水銀まみれだから仕方ないとはいえ、腎臓・肝臓は産業廃棄物ですし。太地はイルカやゴンドウの頭骨を沖合に投棄して、海上保安庁に不法海洋投棄との指摘を受けたことさえあります。

 では、なぜ太地は放血を制御をしたいのでしょう? 致死時間の測定さえ「作業者の便宜」を優先して渋るヒトたちが、「太地の海を汚すな」なんて誰からも頼まれていないのに、余計な手間をかけようとするのでしょうか?

 皆さんなら、説明しなくてもおわかりでしょう。
 海面がイルカたちの血で染まる様、その映像が内外に流出して一般の人々の目に触れることを、彼らは阻止したかったわけです。つまり、イメージの悪化≠恐れたのです。


 太地のイルカ猟関係者とその応援団は、「苦痛を長引かせるのはかわいそうだから、少しでも早く楽にしてあげよう」と考える、感じる能力がすっぽり抜け落ちてしまっているのです。
 「俺たちは命をいただいてるんだ! 供養塔も建ててるんだ! 文句あっか!!」
 これが太地のイルカ猟なのです。そして、若者を中心に多くの日本人が、彼らを日本の輝かしい伝統を体現する選ばれし人々であるかの如く、熱烈に崇拝・賛美しているわけです。
 人道性の問題を置き去りにしたまま。

 まあ上掲のまとめサイトの一番下のコメントを御覧なさいな。。


したり顔の白人共腹立つ。俺激おこ(引用)


 脳の髄までマチズモに毒された、彼ら狂信的な反反捕鯨ネトウヨ君たちにとって、捕鯨・イルカ猟はまさにご神体というわけです。
 「尖閣や竹島の領土問題、靖国参拝と同じく、日本という国にとって絶対に譲れない一線なのだ。米国大使はその逆鱗に触れ、日本人の怒りを勝ったのだ」──そのようなメッセージを、彼らは堂々と世界に向かって発信してしまったわけです。
 ケネディ大使ご本人は、顔を顰めたかもしれませんが、イルカ猟を批判したことでしたり顔などするはずがないでしょうに・・。

 太地のイルカ猟の問題点については、NGOが以下の声明で簡潔に要領よく説明してくれています。

■太地のイルカ猟に関する声明|イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク(IKAN)
http://ika-net.jp/ja/ikan-activities/coastal-small-whales/292-statement2014-taiji-dolphine-hunting


 日本の環境省は、動物の福祉に関して「動物の愛護と管理に関する法律」で管理を行っています。しかし、この動愛法においては、海の生物のほとんどが環境省の管轄外であることから、鯨類捕獲に関しては動愛法の対象とはなっていません。この違いは、きわめて政治的、経済的な見地からもたらされたものです。環境省の福祉基準を鯨類にも当てはめることは、イルカ捕獲の非人道性への検証となると思われます。(引用)

 捕鯨の人道性の側面に関わる、日本の動物愛護法の問題点については、以下で筆者が詳細に指摘していますので、合わせてご参照。

■動愛法改正関連パブコメ|拙ブログ過去記事
http://kkneko.sblo.jp/article/70657008.html

 このほか古式〜近代捕鯨史、太地のイルカ猟の社会学的側面については、下掲の参考リンクに示した過去記事もご参照。

 さて、イルカを含む鯨類は国連海洋法に定められるとおり、本来なら国際機関の管理下に置かれるべき対象です。
 今では顧みる人もいなくなったドングリ食や、水産庁に抑圧されているアイヌのサケ漁とは異なり、きわめて歴史が浅いうえに持続性をまったく確立できなかった太地の捕鯨・イルカ猟をして、不可侵のデントウと崇めると同時に、ヒト以外の動物の取り扱いの人道性、動物福祉に関する議論をバッサリ切り捨ててしまう──国際社会で広く認知されている価値観を全否定し、「特殊なブンカの存在とその絶対的優位性を認めよ」という突飛な価値観を世界に押し付けようとする日本。
 「これこそが日本なのだ、日本人なのだ」というイメージが、世界中の人々に改めて植え付けられてしまったのです。
 今回のケネディ駐日大使のツイートがきっかけで。

 日本出身のエンターテイナーとして、日米両国民に対して高い発信力を持つオノ・ヨーコ氏も、以下のとおり強い憂慮を示されています。

■オノ・ヨーコさん、イルカの追い込み漁に訴え (1/20,AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3006905

 オノさんは「(イルカの追い込み漁は)中国やインド、ロシアといった大国やその子どもたちに、日本を悪く言う口実を与えてしまう。簡単なことではないと思うが、私たちの国の力をそぐ機会を常に探している、多くの強国に囲まれた日本の将来の安全のためにどうか考えてほしい。政治的に非常に敏感な今、(追い込み漁は)世界の子どもたちに日本人を嫌わせる」と述べている。
 また「何年も、何十年も私たちは、日本に対する真の理解を世界から得るために懸命に努力してきた。しかし今、享受しているものは、文字通り1日にして壊れ得るものだ。原発事故の後の私たちの国の不安定な状況をかんがみてほしい」とも述べた。
(引用、強調筆者)

 しかし、本当にそうなのでしょうか?
 まず、日本の異常性≠伝えるメッセージを積極的に発信したのは、明らかに過剰反応を示した日本側でした。その点、映画『ザ・コーブ』公開のときとも状況は少し異なるでしょう。

 確かに、「これはケネディ大使の打ち上げた一種の観測気球≠セった」との推測も成り立つかもしれません。日本の民主主義の成熟度、国際感覚を測るための。
 後述する識者も指摘していますが、ツイート1つに対してオーバーヒートを起こさず、さりげなくかわすことが出来ていたなら、まだしも及第点といえたでしょう。
 しかし、日本が示したのは、まさに最悪の反応と呼べるものでした。
 中国・韓国を敵視し、米国に対して「オトモダチなんだからこっちの味方をしてくれ」としきりにねだりながら、その中国・韓国に対するのと何一つ変わらない敵意を平気で剥き出しにしてしまう。
 相手が隣国だろうが国防上のパトロンだろうが、エゴをコントロール≠ナきない唯我独尊の国民性(?)をあらわにしてしまったのです。

 より重要なのは、はたしてこのイルカ猟賛美が日本人の総意なのか? 本当に日本人の大多数が、捕鯨・イルカ猟を自国のアイデンティティと同一視しているのか?──という点です。
 これは、歴史認識や靖国参拝等をめぐる議論において、安倍氏・橋下氏・石原氏・田母神氏の主張に代表されるウルトラナショナリズムと国民の感覚との間にズレがないのか? それとも、ごく一握りのヒトたちの過激な思想にすぎないのか?──という問題とも重なってきます。

■安倍首相が「イルカ漁」に言及 日本は海外からはどのように見られているのか|ハフィントンポスト
http://www.huffingtonpost.jp/2014/01/25/shinzo-abe-dolphin_n_4663655.html
■米国人にとっての捕鯨・イルカ漁|中島聡氏/BLOGOS
http://blogos.com/article/78897/
■コラムニスト・小田嶋隆氏のツイート
http://twilog.org/tako_ashi/date-140125
■現代史研究家・山崎雅弘氏のツイート
http://twilog.org/mas__yamazaki/date-140120
■三重大水産学者・勝川俊雄氏のツイート
http://twilog.org/katukawa/date-140131
http://twilog.org/katukawa/date-140203
■【島人の目】日本のイルカ漁 (2/7,琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-219207-storytopic-1.html

 このとおり、日本人全体が諸手を挙げてイルカ猟に賛成しているなんて、そんなバカな話はありません。日本でも民主主義、言論の自由はまだ何とか機能しているといえそうです。
 筆者は主な意見の一部をピックアップしただけですが。一般のツイッターユーザーの方々の意見も、himiさんが丁寧に拾ってくれています。
 おそらく、一般の日本人の大半はほとんど関心を持っていないでしょう。そして、イルカ猟に賛成している人々の多くは、漠然とした認識しか持たず、欧米に対するかすかなコンプレックス・被差別意識から、動物福祉について深い考えもないまま、牛やカンガルーと比較する浅薄な主張にうっかり同調してしまっただけに違いありません。熱烈に支持しているのは、在特会のような極右に重なる一握りのネトウヨ層だけでしょう。
 もっとも、慰安婦銅像撤去署名(主導したのは日本の反反捕鯨運動の強力な助っ人、テキサス親父殿ですけど・・)や、雪にもめげず元航空幕僚長氏に票を投じにいった東京都の20代が示すとおり、彼らのすさまじいエネルギーは侮れませんが・・。

 そして、以下のようなご意見も。

https://twitter.com/kabutoyama_taro/status/426368546126327809
鯨問題だと結構なインテリでさえ橋下化(「慰安婦制度は日本だけじゃない」)するから不思議だ。(引用、強調筆者)

 著名人や鬱屈した若者世代が、最も大切な同盟国・米国に向かって声を大に叫んでしまうのは、一体何故でしょう?
 彼らを煽動している犯人は、「日本人=愛捕鯨」との誤った認識を世界に植え付けようと画策した犯人とも符号するはず。
 みなさんはもうおわかりですよね。そう、マスコミ。国際PRの時代から、世論操作はお手のもの。

 ここで少し、内外のメディアの反応を見てみることにしましょう。

■US ambassador Kennedy draws nationalist ire with tweet condemning Japan dolphin slaughter (1/20,South China Morning Post)
http://www.scmp.com/news/asia/article/1409735/us-envoy-touches-nerves-after-tweeting-concern-japan-dolphin-slaughter

 上掲は香港の南華早報。ある意味で、日本からも米国からも等距離の視点を一番提供してくれそうなとこですね。
 香港メディアが中立軸からどれくらい日本もしくは米国よりにブレるか、筆者としては非常に気がかりだったのですが、中身は至ってニュートラルなもの。双方の主張を並列で扱っています。日本側の主張に軍配を挙げるような偏向記事にはなっておらず、安心しました。
 もっとも、記事中で大使館職員がわざわざ要らないコメントを出しているのは、捕鯨論争の文脈を十分に理解してない感じですが・・

 一方、下はブルームバーグのオピニオン記事。評者個人の意見ですが、日本側を思いっきりヨイショ。
 ネオコン・テキサス親父殿の存在が示すように、日本と同様米国でも捕鯨に関する意見が多様であったとしても、そのこと自体は何の不思議もありません。
 ただ、なんとも奇妙なのは、言ってることが捕鯨サークルの主張の引き写しになっていることです。

■Whaling Ban Befuddles U.S. (2/8,Bloomberg)
http://www.bloomberg.com/news/2014-02-07/outdated-whaling-ban-befuddles-u-s-.html

 ヒントはここにありました。

■イルカ漁・捕鯨と外交 米大使ツイートの波紋 (2/5,プライムニュース|BSフジ)
http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d140205_0
http://twilog.org/kamekujiraneko/date-140206
http://twilog.org/kamekujiraneko/date-140207

 鯨研の役員に関係者を送り、捕鯨サークルと長年蜜月関係にあった御用新聞・産経の系列・BSフジの報道番組。出席者は鶴保庸介参議院議員(自民党和歌山選挙区選出)、藤崎一郎前駐米大使、お馴染みMr.捕鯨問題・小松正之氏(国際東アジア研究センター)、唯一批判者側(といってもほとんど中立に近いけど・・)の立場で招かれた東大の日本文学教授ロバート・キャンベル氏。日本通で知られるキャンベル氏ですが、とかく肌の色で見られがちな日本社会で、批判者がガイジン1人のみなのは、さすが産経系列というべきか。
 討論のまとめの部分で、前中米大使の藤崎氏が「見えない広報」というわかりやすいフリップを掲げながら、海外メディアのオピニオンリーダーに接触する布教活動について、かなり露骨に語ってくれています。
 要は、国際PR〜捕鯨協会が日本の新聞等の論説委員に対して行った働きかけを、海外でも展開したというわけです。国費・外交官を使って。
 上記のほか、北米局長まで務めた元外務官僚の藤崎氏は、日本語だから大丈夫と思って気が緩んだのか、割と赤裸々に本音の一部を語ってくれました。
 気になるのは、最後に掲げた「当然視しない」「気を遣って感謝の気持ちを忘れない」との発言。
 藤崎殿、それって自戒の意味を込められたのですか? なら、筆者も同感ですがね・・。それとも、ひょっとして米国に対するアテツケのつもりでした?
 「何でも米国の言いなりになると思うなよ」「思イヤリ予算だって貢いでやってるし、今度沖縄にも基地作らせてやるの、忘れたわけじゃあるめーな?」──それが、米国との外交交渉を担当した外交官トップの認識だったという理解でいいのですか?
 米国政府関係者は、こんな番組なんて見やしないだろうと、高を括られたのかもしれませんけど・・・。
 小松氏は残念ながら相変わらずで、自説を曲げませんでしたが、フリップで「対話と敬意」を掲げたように、以前よりわずかに丸くなったかも。対話については、藤崎氏ら後に続く外交官にお手本を示した、押しの強いプレゼン≠もって対話のつもりなんでしょうけど。。
 そして族議員を代表する鶴保氏。素朴な捕鯨ニッポン性善説にしがみついている鶴保氏には、ニコル氏が目撃した太地の捕鯨業者の規制違反など目に映らないのでしょう。
 最後のフリップ「来て見て」に至ってはもうムチャクチャですね。SSCSその他の人たちは、実際に「見るために来て」いるのではないの? 「来て、食って、金を落として、でも都合の悪いところは見ないでってのが太地の本音でしょうに。
 キャンベル氏は大変示唆に富む指摘をいくつもしてくれました。
 米国内の反応については、「大使のただのツイート1件に対してではなく、それに対する日本側の過剰反応に驚いている」
 米国の駐中大使の抑制ぶりとケネディ発言を対比したのも、非常に興味深かったです。むしろ、靖国参拝をはじめとする安倍政権の極度の右傾化に対し、対中バランスを考慮して直言できない状況で、ケネディ大使は仕方なくイルカ猟でチクリと警告した──という見方も成り立つかもしれません。
 番組ではサラリと流され、他の論者も聞き流しましたが、「日本人の中にも、こういう漁の仕方を考え直そうという意見もある」とも。
 それにしても、キャンベル氏がコメントするたびに、刺すような目つきで睨みつける鶴保氏の顔がそのまま放映されており(前半14分13秒、後半14分10秒)、筆者は正直背筋が寒くなりました。。。。和歌山県の有権者は要チェック。
 ちなみに上掲動画公開は期間限定とのこと。拙ツイログもご参照。


 安倍政権に変わってから、マスコミに対する締め付けは倍化し、いまやNHKまで産経化する危機的状況に。捕鯨サークルも右傾化の流れにうまく便乗しようと考えているかもしれません。
 しかし、中韓アジアに対する優越感を歴史の修正で、欧米/白人に対する優越感を反反捕鯨で満たそうとする振る舞いは、日本の孤立化をより一層招くだけです
 米国は見ています。世界の市民は見ています。多くの日本人も、「これはおかしい」と気づいています。
 日本の真の理解者になってくれるであろう、ケネディ大使やキャンベル氏らに、これ以上愛想を尽かされないよう、真剣に自省したほうがいいと思いませんか?

 反抗期の小児のようにダダをこね続けるなら、必ず大きなツケとなって跳ね返ってくることでしょう。
 たかがクジラで、たかが鯨肉で、真の友人を失うのは、あまりにも愚かなことです。


参考リンク:
−捕鯨の町・太地は原発推進電力会社にそっくり|拙ブログ過去記事
http://kkneko.sblo.jp/article/78450287.html
−「The Cove」騒動と捕鯨の町|〃
http://kkneko.sblo.jp/article/36872863.html
−民話が語る古式捕鯨の真実|〃
http://kkneko.sblo.jp/article/33259698.html
−捕鯨のメッカ太地のイルカ漁V.S.「THE COVE」|〃
http://kkneko.sblo.jp/article/33105405.html
−捕鯨のメッカ太地のイルカ漁V.S.「THE COVE」2|〃
http://kkneko.sblo.jp/article/33346665.html
−太地−ブルーム姉妹都市騒動の背景|〃
http://kkneko.sblo.jp/article/31722747.html
−NHK、久々に捕鯨擁護色全開のプロパガンダ番組を流す|〃
http://kkneko.sblo.jp/article/31093158.html
−太地の捕鯨は中国産!? 捕鯨史の真相|〃
http://kkneko.sblo.jp/article/18025105.html



◇ユネスコ、捕鯨問題については沈黙〜フォアグラとクジラ


■An Open Letter to UNESCO about the Registration of "Washoku"
http://www.kkneko.com/english/unesco.htm
■「和食」の無形文化遺産登録に関するユネスコへの公開質問状
http://www.kkneko.com/unescoj.htm
■ユネスコさん、捕鯨も世界遺産「ワショク」にブッコミでOKなのですか!?
http://kkneko.sblo.jp/article/84796741.html


 個人ブロガーの方から、公開質問状へのご賛同をいただきました。Lさん、多謝m(_ _)m
 一ヶ月待ちましたが、残念ながらユネスコからの回答はなし。うちのサイトにはユネスコのIPアドレスからこっそり20回ほどアクセスがあったんですけど。。
 いくつか国際的な反捕鯨団体・動物福祉団体から問い合わせはいただいたのですが、皆さん抱えている問題で手一杯なのと、ワショクの実態がなかなか伝わりにくいこともあって、なかなか一定以上の理解はいただけないようで・・。
 残念ながら、出直すしかなさそうです。


 もっとも、クジラとジュゴン・リンク署名と同様、このアプローチが重要なのは変わりありません。
 クジラ・イルカにとっても。すべての動物・自然にとっても。

 期を合わせるように起こったフォアグラ弁当騒動。仕掛けたのは日本の老舗の動物権団体。


■「フォアグラ」はコンプライアンスの問題|オルタナ
http://www.alterna.co.jp/12514
■「フォアグラの飼育は残酷」と抗議する人たちは「非常識」なのだろうか?
http://fujipon.hatenablog.com/entry/2014/01/25/170122


 上の要領を得たオルタナ編集長のコラムも、下の個人ブロガーさんの率直な意見も、イルカ猟反対大使ツイート騒動と同じく、国内の多様な見方を反映するものといえるでしょう。
 ツイッター等における賛否の議論では、ほぼそのままフォアグラ弁当支持=反反捕鯨=反動物愛護という構図が見受けられましたが。

 当然のように捕鯨・イルカ猟問題が引き合いにされましたが、まさにこの問題はリンクしています。
 上掲トピックの太地イルカ猟に関する人道性の議論は、そのまま多くの国で生産・販売等に法的な禁止措置が取られているフォアグラをめぐる議論に重なってきます。
 どちらにもお墨付きを与えているのが、ユネスコという権威ある国際機関である以上、各方面からより厳しく糾弾されて然るべきです。世界遺産審査にあたっての情報の透明性や公平性、公正性についても検証が求められるところ。
 ユネスコさん。包括的に生態系全体を保護し、捕獲等の産業利用を規制するサンクチュアリ型の自然保護のアプローチに普遍的な価値を与えたのは、貴機関の世界遺産の取り組みによるところが大きいでしょう。その意味で、生態系や野生動物保護において貴機関が果たす役割を、筆者は評価してきました。
 しかし、このままではユネスコは動物の敵です。世界の人々にそのように認知されてもかまわないのですか?



◇都知事選とクジラ


 宇都宮氏、残念でした。
 名護では風が吹いたけど、東京は雪に封じられた?
 それにしても、低い投票率には溜息を禁じ得ません。
 組織票、無関心。
 既得権益を守ろうとする壁が、いかに分厚いものかを示してもいるのでしょうが。中でも大きな役割を果たしているのはマスコミですけど・・


 蓋を開ければ、宇都宮氏が細川氏と僅差で2位。足しても舛添氏には届きませんし、細川氏が断念していても、その分はやはり宇都宮氏と舛添氏に分散するだけだったでしょうけど。 
 マスコミの出口調査がどの程度正確に実態を反映しているのか、首を捻りたくなる部分もありますが、若い世代の共産党アレルギーはそれほど強くはなさそう。偏狭なナショナリズムに対するアレルギーが、左に対するそれよりもっと強くていいと思うのだけど。政策が一致する家入氏タイプのパートナーが現れてくれれば、もう少し結果が違ったかもしれませんね。
 小泉氏は、今回の都知事選ではなく、先回の衆院選、遅くとも参院選の段階で、旗を掲げて自民党と民主党をぶっ壊すべきでした。
 脱原発票を足しても届かないといった見方もありますが、言うまでもなく間違いです。
 311以来、原発に嫌気が差した人で、舛添氏の「脱原発依存」という主張を素朴に真に受けた方も、きっと多くいたに違いありません。
 ただ、推進メディアの「それ見たことか」報道が端的に示すとおり、与党と電力業界を喜ばせた舛添氏が、東京を原発に依存しないで済む街へと生まれ変わらせることなど、できるはずないでしょうに。
 そして、細川氏が仮に当選していたとしても、即時全廃どころか、脱依存すら達成できなかったことでしょう。
 なぜなら、原発は、私たちを取り巻く社会のさまざまな問題と切っても切り離せないからです。
 私たちニンゲンの社会が、自然・命を征服し、コントロールする方向へ向かうか。それとも、ニンゲンが動物の一種にすぎず、自然の一部にすぎないという事実をわきまえ、自らをコントロールする術を身に付け、暴君として君臨するのではなく、慎ましく生きる道を選択するか。
 福島の原発事故は、まさにその問いを私たちに突きつけているからです。

 捕鯨問題はもちろん都知事選の争点にはなり得ません。原発問題と同じく、決して無関係とはいえないけれど。
 ただ、大きな共通項があります。
 昨年夏以降明らかになったストロンチウム汚染隠し問題も何のその、「アンダーコントロール」と世界に向かって大嘘を吐いた安倍首相らは再稼動に向けて突っ走ろうとしています。彼らの無神経さは、弱者から公平に°zい上げ、政官業学報の強固なリレーションに加わった一部の人々のみが富を享受できるシステムにそのままつながっています。南極の自然を支配し、制御することが可能だと信じ込むことも、原子核の扉をこじ開けて無尽蔵に富を引き出せるとの幻想に浸るのも、根っこはすべて同じです。共存する以外にない近隣諸国、在日外国人の人々、あるいは沖縄に対する高慢な姿勢は、そのまま声なき自然、動物たちに対する横暴の数々とも重なっています。

 原発・エネルギー政策は、最重要課題といってもいいでしょう。東京都にとっても。五輪のような一過性のお祭り騒ぎと比べても。
 しかし同時に、原発問題はシングルイシューではあり得ません。
 ヘイトスピーチから葛西臨海公園開発、戦略特区問題に至るまで、すべてはリンクしています。

 日本の社会は根から腐りかけています。
 そのことを象徴しているのが、原発に他なりません。

 だからこそ、原発は最重要テーマであるべきでした。なおかつ、シングルイシューにもすべきではありませんでした。
 根が腐っているにもかかわらず、枝葉を勢いよく伸ばし、その先に黄金の実を付けることが可能なのだと嘯く、稀代のペテン師たちの言葉に、これ以上騙されてはならなかったのです。
 最初から脱原発の姿勢を明確に掲げ、なおかつ総合的な政策をきちんと提示していた候補者は1人だけだったことに、気づかれていた都民の方も少なくなかったはず。
 もう1回悲劇が起こらないと思い知ることができないほど、日本人が愚かだとは思いたくないのですが・・・・

posted by カメクジラネコ at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系

2014年01月08日

ユネスコさん、捕鯨も世界遺産「ワショク」にブッコミでOKなのですか!?

◇ユネスコさん、捕鯨も世界遺産「ワショク」にブッコミでOKなのですか!?

■An Open Letter to UNESCO about the Registration of "Washoku"
http://www.kkneko.com/english/unesco.htm
■「和食」の無形文化遺産登録に関するユネスコへの公開質問状
http://www.kkneko.com/unescoj.htm


■日本の食文化から見た鯨肉食
http://www.kkneko.com/bunka.htm
■日本の鯨肉食の歴史的変遷
http://www.kkneko.com/rekishi.htm


■世界の食料、3分の1廃棄=年13億トン、スイスのGDP超−国連報告 ('13/9/11,時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201309/2013091100949
■Food wastage footprint: Impacts on natural resources - Summary report - i3347e.pdf
http://www.fao.org/docrep/018/i3347e/i3347e.pdf


報告書によると、最悪の廃棄地域は日中韓を含む「産業化されたアジア」。1人当たり年平均100キロ以上の野菜、コメを中心とする約80キロの穀類を廃棄しているという。また、北米・南米の食肉産業やアジア、欧州、中南米における果物の廃棄問題も指摘されている。
 記者会見したダシルバ事務局長は、野菜の見た目の悪さを気にして購入を控える先進国の「ばかげた消費行動」を問題視するとともに、食品の賞味期限の厳格な順守が膨大な食料廃棄の原因になっていると述べた。(引用〜時事記事)


■検出農薬の毒性評価誤る=「甘い基準で判断」社長謝罪−厚労省が指摘・マルハニチロ ('13/12/31,WSJ)
http://jp.wsj.com/article/JJ11293907307504204705320307238291438301685.html
■コロッケ衣から農薬、基準の260万倍 マルハ系冷食 (1/7,日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0700S_X00C14A1000000/
■食品に混入された有機リン農薬「マラチオン」の”毒性”について自ら調べないマスコミ|水島宏明氏/BLOGOS
http://blogos.com/outline/77167/
■ウナギ偽装の神港魚類(マルハグループ)と捕鯨 (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/29291235.html

 本題に入る前に、まずは関連する2つのトピックについて。

 FAOの報告は9月の報道がツイートで流れてきたのですが、同じ国連機関・ユネスコの審査委員の目に触れなかったのは残念です。
 上掲リンクのとおり、「最悪の廃棄地域は日中韓」。こういうとこでは実に仲良しでんな・・・
 もっとも、食糧廃棄増の根本原因=FAO事務局長いわく「ばかえた消費行動」が、主にどの国の実態を指しているかは、皆さんは説明するまでもないでしょうね。そう、まさに飽食ニッポンの《モッタイナクテOK》ブンカに他なりません。
 JA・食品業界とマスコミが消費者を長年誘導して築き上げた、見た目に徹底的にこだわる潔癖神経症の感覚。生産の現場とますます切り離されていく食卓。人口1人当りの食料廃棄量は公式の数字だけでも世界一ながら、その影にはさらに日本特有の膨大な無駄≠ェ潜んでいるのです。その恥ずかしい先シン国%本の飽食・廃食ブンカが輸出されたことで、中韓等が後追いする形となっているわけです。拙ブログでは従前から指摘してきましたけど、人口13億の中国が日本を真似たとしたら、マジでとんでもないことになりますよね・・・

 もう一点のマルハニチロ冷食農薬混入事件の方は、被害がどんどん拡大する様相を呈していますが・・
 製造した子会社の方は風評被害≠ナ苦境に立たされているとのこと。しかし、問われるべきはむしろ、親会社マルハニチロ・ホールディングスの体質ではないでしょうか。一連の対応のマズさからは、早期に風評被害≠阻止して事態の沈静化を図ろうとし、結局失敗したという印象をぬぐえません。
 この事件、おそらくどこかの工程で内部事情に詳しい何者かが意図的に混入した可能性が高いと思われますが、中国産ギョーザと同様(?)メーカーは一応被害者の立場とはいえるでしょう。しかし、マルハニチロは「食べても健康に影響なし」との説明で自ら墓穴を掘りました。
 「ARfD(急性参照用量)に関する知識がなかった」との言い訳は、本来食品メーカーとしては恥ずべきこと。一方でLD50(実験動物半数致死量)の数字を引っ張り出しておきながら、そっちの「知識がない」という弁明にも首をかしげますが。結局、消費者の健康への安全性より、投資家を意識した企業イメージの悪化を恐れる余り、こうした守りの姿勢≠ノ終始したといえるでしょう。
 思い出すのは、調査鯨肉横領/窃盗事件をめぐり、二転三転した共同船舶(マルハニチロから切り離され、競合他社の同部門と統合された最後の商業捕鯨会社が前身)社長らの弁明。あるいは、まさに世界遺産登録とかぶった食品表示偽装の各ホテルチェーンによる「知らなかった」との言い訳や、国をあげての放射能風評被害<Lャンペーンにも通じるものがあるといえます。
 しかも、リンク先にあるとおり、背景には農薬ムラの問題も。この国の社会は、放射能にも農薬にも鈍感な消費者をあえて育ててきたわけです。関連する産業界の利益(癒着した官庁の省益も含む)を最大化するために。それもまた、歪みに歪みきった日本の食ブンカそのものといえるでしょう。
 それにしても、元捕鯨会社のマルハニチロ関連の食の安全トピックが、ネオニコチノイド問題がいま取り沙汰されている農薬ムラへとつながっていくのは、一体何の因果でしょうね・・・・

 さて、日本が世界に評価されるほど、伝統に裏打ちされた食に対する意識を供えているなら、世界に冠たる食料廃棄大国になるはずがありません。
 日本の社会において伝統食文化が高い位置づけを与えられていたなら、(犯罪を防ぐのは無理にしろ)食品関連企業が消費者・国民に対してかくも不誠実で見苦しい言い訳をすることもなかったはずです。
 違いますか?

 そういう次第で、昨日ユネスコ宛に質問状を送りました。英文・日本文ともHPに掲載してありますが(上掲リンク)、日本語バージョンを当記事にも張っておきます。
 ユネスコへの国をあげたロビイングについては、リンク先の報道などをご参照いただきたいと思いますが、「活け造り」問題について少々補足を。
 動物福祉(AW:Animal Welfare)の立場にしろ、動物の権利(AR:Animal Right)の立場にしろ、主要な関心対象は主として鳥類・哺乳類ですが、魚についても議論はあるわけです。無脊椎動物でも、長寿のロブスターの保護を求める運動が話題にされたり。
 これらは主としてAWの観点からの人道的捕殺の議論であり、ひらたく言えば「ニンゲンが万物の霊長である以上、《必要》以上に、むやみやたらとより多くの苦痛を与えたり、苦痛を長引かせることはやめましょうよ。たとえ魚やイカであっても」という話です。
 無論、貝もエビカニも消費する文化圏を問わず生きたまま茹でるケースが多いですし(二枚貝まではOKとシンガー氏は述べてますけど・・)、言い出せばきりがない話ではあります。しかし、「きりがない」といって苦痛に対する配慮を一切なしですませるのは、やはり万物の霊長にあらざる振る舞いでしょう。
 そして、中には度を越えて残虐なものもあります。
 日本人が世界に後ろめたさを感じずにはおれない(あるいはそうあるべき)奇怪な風習。
 「生きるために仕方なく」という意味での《必要性》は微塵もありません。
 西欧発の工業文明が到達して間もない、資本主義経済が浸透していない、未開に等しい地の少数民族の風習というわけでもありません。
 万札を払って上がる座敷の上や、他のサービスはすべて西洋流の一等級のホテルで繰り広げられる、不可解きわまる儀式=B
 美食の求道のための、意味のない、あまりにも無駄な残虐性。
 新鮮さのアピール? 活け造り以外の水産食品は鮮度が悪いんですか? バカバカしい。

 正直、筆者は活け造り問題についてはこれまで目をつぶってきましたし、今後もそのつもりでいました。
 今回のワショク世界遺産登録さえなければ。
 年端のいかない子供たちの多くは、初めて目にしたとき「ぎゃあ」と声をあげ、顔をしかめ、泣き出す子さえいるでしょう。
 しかし、大人たちは笑ってオトナの屁理屈でこどもをなだめるばかり。その子らも大人になるまでには感覚がマヒし、受け入れるようになってしまうという寸法です。
 それでも、命をむやみやたらにいたぶることに快感を覚える層が、現代の若者で多数派を占めるとは思いません。
 これまでに廃れてきた数々のナンセンスな因習のように、あるいはまだ潰れていないけれどもその過程にあるといっていい割礼や煙草などと同様に、時代の流れの中で消えていく代物だと。むしろことさらつっつかずに放置していたほうが、廃れるのも早いに違いないと。そう思っていたからです。
 しかし──ワショクに対してユネスコ・世界がお墨付きを与えるということになれば、話は別です。

 確かに、同じ脊椎動物といっても分岐年代をはるかに遡る、縁の遠い魚、「たかが魚」かもしれません。
 しかし、たとえ「たかが魚」であってもここまで平然といたぶれるからこそ=A犬猫の炭酸ガス窒息死をもって安楽死とみなす主張が罷り通るのだと、動物(ニンゲンもその一種であるところの)の苦痛に対し、日本人はそこまで無頓着になれるのだと、そうした見方を肯定することになりかねません。
 地球の裏側の南極海でまでクジラを殺し、犬猫を大量に窒息死処分し、世界の食糧援助を上回る膨大な食糧を廃棄する、命に対する冷淡さで抜きんでている国において、「活け造り」を楽しむ&酪Kが存在することは、はたして偶然の符合と言い切れるでしょうか?


 もちろん、欧米あるいは中国も五十歩百歩の部分はあります。そもそもフランス料理もね・・登録されるべきではなかったと思いますよ・・・
 筆者は日本人であるが故に、日本人の徳性として、自国・自民族により厳しい目を持ちたいと思いますけど。。
 付け加えるなら、筆者にも他の日本人の皆さんと同様、「和食にも(相対的に)いい面はある」と胸を張って訴えたい気持ちもあります。相対的には、やはり台湾の素食に負けちゃいますけど。。
 しかし、「アンダーコントロール!」と世界を騙してせしめた2020五輪東京開催決定の経緯を見ればわかるとおり、いまの日本には「自らへの戒めとする」能力が根底から失われてしまいました。311で傷ついた日本を慮って世界がエールを送ると、ただひたすら天狗になるばかりの幼稚でわがまな国家になってしまいました。大変残念なことに。
 何しろ、ユネスコに強力に働きかけた農水省と食品業界は、自分たちの商売のことしか考えていないのです。

 そしてまた、便乗するヒトたちも出てくるでしょう。
 すでに「ユネスコが捕鯨を認めた!」との声もチラホラとあがっています。いまのところは一握りの狂信的な反反捕鯨カルトだけですが。
 しかし、IWC(国際捕鯨委員会)年次会議等の場において、日本の代表団はきっと「ワショク」に言及するに違いありません。森下大明神は「文化に興味ない」とおっしゃいましたけど、他のメンバーが口にするに決まってます。もちろん、国内のヨイショ著名人や族議員たちも。

 荒んだ日本の食の実情を知っている日本人なら、「和食を世界遺産に」と持ち上げられれば、誰でも良心の呵責を、恥ずかしさを覚えずにはいられないはず。
 あるいは、後ろめたさすら感じないほど、日本人の伝統的な食(=命)に対する認識は堕落しきってしまったのでしょうか?

 そうではないことを世界に示すために、皆さんもぜひ、日本人としてユネスコ宛にメッセージを送ってください。海外の人たちに、「そんなに持ち上げられると、実はとても心苦しい」という率直な気持ちを伝えてください。
 賛同人・賛同団体も募集しております。CFTさん多謝m(_ _)m
 また、筆者はチクリとやらずにいられない性格ですが、もっとソフトなアプローチもあっていいでしょう。五輪と同じく。

 こんなことを言うと、11万票を集めてネトウヨと翼賛メディアに感謝されたテキサス親父氏や、反反捕鯨カルトのメンバーたちもせっせと圧力をかけようとするかもしれませんねぇ・・
 どうぞどうぞお好きなようにやっちゃってください。
 貴方方が「捕鯨は歴とした和食の一部だ、ユネスコは正しい! うろたえるな!」と抗議してくれれば、彼らはきっと自分たちが大きな過ちを犯したことに気づくでしょうから・・・・

 今回の公開質問状に関しては、現実的・合理的かつ明確なゴールを設定してあります。
 この際、ユネスコにはぜひはっきりと答えていただきましょう。

参考リンク:
−捕鯨・鯨肉食は世界に通用する文化? (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/29027433.html


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「和食」の無形文化遺産登録に関するユネスコへの公開質問状


  昨年12月、アゼルバイジャンで開かれた貴国連教育科学文化機関(ユネスコ)の政府間委員会にて、日本が申請していた「和食」が世界無形文化遺産として正式に登録されました。この登録はさまざまな分野、とりわけ環境保護と動物福祉における国際的な議論に大きな波紋を引き起こすものであり、私たちはその影響をとても憂慮しています。

  ウナギやマグロ等、高度海洋性魚種に関しては、国連海洋法条約の規定により国際機関に資源管理が委ねられています。しかし、近年は過剰漁獲による資源減少が懸念されています。過剰漁獲を招いている大きな要因のひとつが、一大消費国である日本の「和食」であることは疑いの余地がありません。日本の農水省は、今回の世界遺産登録をバネに、「和食」を国際的に普及・推進する方針を打ち出しています。今後、これらの魚種の消費が、文化のかけ声のもとに際限なく拡大することになれば、漁業資源にさらなる圧迫を加えることは必至です。
  現在、国際捕鯨取締条約のもとで商業捕鯨は禁止されております。しかし、学術的価値が高く、包括的な環境保全の必要性が国際的に広く認知されている南極圏において、日本政府は事実上の商業捕鯨に匹敵する調査捕鯨を継続しています。日本国内では、今回の貴機関の「和食」世界遺産登録を受け、「捕鯨・鯨肉食が国際機関に文化として認められた」とする声がすでに上がっています。
  今日、国際社会においては、産業動物・愛護動物・野生動物の人道的取扱を求める声が高まっています。欧州評議会、国際経済協力開発機構、世界保健機関等の国際機関においても、動物福祉の観点から一定の基準や規制が導入されているところです。ほかでもない貴ユネスコにおいても、動物実験における福祉基準が設けられているのは、ご承知のとおりです。
  世界の食にまつわる習慣の中には、台湾の素食のように、動物福祉の理念が盛り込まれたものも存在します。一方、その対極にあるのが一部の和食です。中には、世界でも例を見ないほど動物福祉への配慮を著しく欠くものが含まれています。和食のひとつである「活け造り」は、切り刻んだ魚やイカ等をわざと生かしたまま食客に提供するものです。また、同じく「踊り食い」は生きたまま呑み込み、胃の中で動くさまを一種のパフォーマンスとして楽しむものです。
  日本の農水省は、化学調味料メーカーをはじめとする食品業界とともに、日本食・食材のブランド価値を高め、輸出を振興する目的のもと、多額の予算を投じ、「和食」世界遺産登録を目指し、貴機関や諸外国に対するロビイングを行ってきました。日本国内の新聞は、今回の「和食」登録に際し、事前審査を行う補助機関のメンバーとして、本来ならアジア地域代表としてアフガニスタンの委員が採用されるべきところ、石仏修復・援助と引き換えに、日本から委員が送られることになったと伝えています。こうした政治的アプローチは、国際的な公平性、道義性の観点からいかがなものでしょうか。
  今回の決定に関する貴機関の対応について、以下のとおり質問し、回答を求めます。



1.「和食」登録の審査にあたって、環境保護の観点、環境に与える影響について考慮されましたか。考慮された場合は、具体的な内容をお答えください。

2.「和食」登録の審査にあたって、動物福祉の観点について考慮されましたか。考慮された場合は、具体的な内容をお答えください。

3.今回の「和食」登録とそれによる普及・推進活動が、高度回遊性魚種の資源に与える影響について、どのような認識をお持ちか、お答えください。

4.調査捕鯨とイルカ猟は、今回世界遺産に登録された和食に含まれる、貴機関によって認定された文化なのですか。「ユネスコが日本の捕鯨にお墨付きを与えた」とする日本国内の声について、貴機関としての公式な見解をお聞かせください。

5.「活け造り」等について、また貴機関の世界遺産登録における動物福祉面の取り扱いについて、公式の見解をお聞かせください。


以上

カメクジラネコ

賛同団体
Choices for Tomorrow (CFT)


参考:
- CIOMS and ICLAS release the new International Guiding Principles for Biomedical Research Involving Animals
http://www.cioms.ch/index.php/component/content/article/12-newsflash/227-cioms-and-iclas-release-the-new-international-guiding-principles-for-biomedical-research-involving-animals
 - Gateway to Farm Animal Welfare
http://www.fao.org/ag/againfo/themes/animal-welfare/aw-abthegat/aw-whaistgate/en/
 - Bureaucrats seek to pick winners with $1 billion 'Cool Japan' Fund
http://www.reuters.com/article/2013/11/24/us-japan-cool-idUSBRE9AN0JB20131124
 - Two-thirds of department stores in Japan misrepresenting food: industry
http://www.japantimes.co.jp/news/2013/11/29/national/two-thirds-of-department-stores-in-japan-misrepresenting-food-industry/#.UrCLt_iCiM-
- 「和食」登録、農水省が先導 農村振興・輸出拡大狙う ユネスコ無形文化遺産に
http://www.asahi.com/articles/TKY201312050551.html
 - Farm ministry's efforts key in 'washoku' being added to UNESCO list
http://ajw.asahi.com/article/economy/business/AJ201312070010

 
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2013年12月29日

捕鯨外交が暗示していたアベイズムの闇

◇捕鯨ニッポン、いよいよ終了≠フ危機!? 捕鯨外交が暗示していたアベイズムの闇

 南極海でのスッタモンダが瑣末事に思える今日この頃ですが、まずは直近の捕鯨関連ニュースをおさらい。


■反捕鯨団体、危険行為自重を=米豪など4カ国が共同声明 (12/20,時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201312/2013122000626
■捕鯨巡る衝突を監視、豪政府が航空機派遣 (12/24,日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO64484680T21C13A2CR8000/
■豪政府、日本の捕鯨船団とシー・シェパードを上空から監視 (12/22,AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3005502

 



 1本目の時事の配信記事はタイトルがおかしいですね。「双方に自重」ですよ・・。まあ、沖縄反対10人のホラ吹き産経よかマシですけど。。
 まあ、そうはいっても、今年はノルウェーからのミンク輸入報道が示すとおり、南極海プロレスの対戦相手であるSSCS(シー・シェパード)の援けを借りた、足掛け数年の大減産の甲斐(?)あって、溜まりに溜まった鯨肉在庫がようやく解消されたと考えられますから、逃げの一手だった昨年までとは状況が異なります。
 加えてここへ来て、アベノミクスや五輪誘致、大判振る舞いの公共事業復活といった金糸綴りの派手な装いの下から、特定秘密保護法の強行採決をはじめとする安倍政権のドス黒い正体が露骨に顔を出してきました。まあ、先の国政選挙で自民党に投票しなかった人はみなわかってたことでしょうが・・


 今冬の南極海は、いつにもまして危険かもしれません。


 調査捕鯨事業の中で、船舶火災や転落事故により亡くなった方はこれまでにもいますが、戦争≠フ犠牲者が出ないとも限りません。
 日本が「円滑化事業」の名目のもと、税金で装備させた音響兵器LRADや放水砲は、極寒の南極海で使用されればヒトを殺せる代物なのです。
 しかも、過去の船団長が海保の職員に対して「いつ機関銃が火を噴くんですか?」とせっつくほど、捕鯨関係者の人命に対する感覚は希薄なのです。
 AUS(オーストラリア)は衝突を防止すべく監視航空機を派遣する旨発表しましたが、はたして空からの監視だけで十分な抑止力になるか、一抹の不安がよぎります。本来ならば、ヒト同士の醜い争いの監視ではなく、野生動物の科学的調査のために、こうしたリソースは振り向けられるべきなのですが・・


 勇ましい言葉を連発する安倍首相と彼を素朴に礼賛する右翼たちは、南極海というお国の最前線≠ナ闘う兵士たち≠ェ、お高くとまった白人たちの組織に対し、背を向けずに闘う姿を待ち望んでいる気がしてなりません。
 「アンダーコントロール」「第三者的」と日本語をことごとく破壊してきた安倍首相は、A級戦犯が合祀された靖国参拝の口実に「恒久平和」を謳うことすら出来てしまう人物です。彼ならば、大東亜共栄圏の建設を目指した先の戦争を、平和≠フ実現の名のもとに美化することも容易でしょう。「神のクニ、美しいクニ、ニッポンがすべてを統べ、恩寵を授けることによってこそ、世界平和が達成されるのだ」と、本気で信じてしまっているに違いありません。
 外交の常識を無視し、国際政治の文脈を理解できず、しようともせず、自らの行動を律する能力がない狂信的な指導者とは、すなわちファシスト以外の何者でもないでしょう。
 反反捕鯨論者たちにとっての公海・南極海とそこに棲む野生動物の位置づけは、かつての超拡張主義者にとってのアジア諸国とそっくり重なります。欧米アングロサクソン・白人の、ではなく、アジアないしクジラに対し特権を有する存在たる日本人のものだと。自分たちの「アンダー・コントロール」であるべきだ、と。
 気候変動や地球規模の化学物質汚染、大規模遠洋漁業による水産資源の乱獲といった新たな問題に対処するには、現行のシステムでは海へのアクセスのない国、声を持たない将来の世代にとって公平性を担保することが不十分であることが明らかです。とりわけ、豊かすぎる北半球の飽食国家が、南半球の、それも脆弱で固有性の高い南極の自然を収奪することの正当性が問われています。
 日本のジゾクテキリヨウ教は、まさに時代に逆行するものです。超拡張主義的資源ナショナリズムの一方的押し付けに他なりません。

 富士山とワショクの世界遺産登録、2020東京五輪開催と、この1年、国際社会は日本に善意のエールを送り続けてきました。311の大震災と原発事故で傷ついた日本が再起できるようにと願いを込めて。
 大きな過ちでした。

 日本国民の多くが、沖縄・広島・長崎・東京を含む太平洋の過去の惨禍と、それを引き起こした責任を胸に刻み、「二度と過ちを繰り返さない」と誓っています。
 しかし、過ちを繰り返すことを熱望している人たちも一部にはいます。彼らが「繰り返すまい」と胸の内で誓っているのは、「敗戦」「米国への敗北」なのです。
 残念ながら、日本はドイツではありません。日本人としては耐え難い屈辱ですが。
 戦後2/3世紀を経たいまなお、脳が化石化した連中が政治の中枢に居座り続け、国中を覆った311後の閉塞感・悲壮感に便乗し、一気に勢力を盛り返したのです。
 311によって、この国の羅針盤は未来へのパラダイムシフトを指し示す代わりに、愚かな過去へと船の舳先を向けさせてしまったのです。

 安倍首相のとち狂った復古主義者としてのアピールを受け、米国大使館、続いて国務省が「失望」という異例のコメントを発表しました。
 前回、米国に耳の痛い諌言を受け、お腹が痛くなって途中で放り出したおぼっちゃま首相は、「辺野古移設という特大プレゼントをくれてやったんだから、これで俺がやりたいことをやっても大目に見てもらえるぞ」と浅はかにも考えたのでしょう。

 しかし、米国さん。日本の本質、言葉の空疎さは、とっくに見抜けてよかったはずですよ。
 北朝鮮とまさに等しく、抑制とバランスが働かない国であることを。
 IWC(国際捕鯨委員会)において、外部から外交調停の専門家を招いて日豪間の歩み寄りを促した一連の交渉で、日本がいかにエゴを剥き出しにしてきたか、貴国は見てきたはずです。
 自国企業の進出と引き換えの援助という、原始的な手法以外およそ高度な戦術・戦略と無縁な日本の外交が、IWCやCITES、ICJといった場において突然、強かさというにはエグすぎる手練手管を使用し、権益確保に固執する様を見て、貴国は察することができたはずです。 
 戦前と何一つ変わらない唯我独尊の気質が残存していることに、貴国は気づいてよかったはずです。
 一部承知している人たちは確かにいたはずですが、「まさかそんなことはあるまい」と、あるいは「米国が適切に導いてやることで、国際社会で責任を果たせる成熟した国家になれるはずだ」と、楽観的な見方が主流だったことが、今日の「失望」につながったのは否めません。
 もちろん、軍需産業をはじめとする米国企業の短期的利益のために、目を瞑っていた部分もあるでしょうが。

 日本や中国と同様、一つの国という言葉でくくれるわけではないことを承知のうえで言えば、米国は愚かでした。
 一番のオトモダチ、日本をコントロールしようと目論み、失敗しました。
 かつて牙を向いて襲いかかって猛犬(ワンコたちゴメンm(_ _)m)を、安保の鎖でつなぎ、餌をたっぷり与え、徹底的にしつけようとしました。共産圏から極東の砦を守る優秀な番犬にしようと、軍事力・原子力という危険な骨を与えてまで。その結果、尻尾を振って何でも言うことを聞く忠犬に仕立てることができた、そう思い込んでいました。
 しかし、まだ骨が浮く状態だった頃に与えた南極産鯨肉の器だけは、主人がいくら返すように説得しても、うなり声を立てて決して返そうとはしませんでした。
 そのとき、瞳の奥に灯っている狂気に気づくべきだったのです。

 
 米国の責任はあまりにも重く、「失望」の一言で済まされる話ではありません。
 首相と国民との間で、まるでイオンをコントロールする細胞膜の如き「情報の壁」を築いたマスコミの責任も。
 しかし、戦後最悪の首相を選んでしまった最大の責任があるのは有権者、日本の国民です。
 あまりにも都合のよすぎるバラ色の未来を提示され、うかうかと乗っかってしまったのが、たとえ悲劇に見舞われた後だったとしても。疑うことに疲れ、つい信じ込んでしまったとしても。

 真っ黒な真実を真っ白な虚飾で覆い隠す便利なコトバ、「アンダーコントロール」にすべてが示されています。

■継ぎ目の止水材劣化か=タンクせき225トン漏水−福島第1 (12/27,時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013122700848
■海側井戸で210万ベクレル=最高値を更新−福島第1 (12/27,時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013122700846

 当事者の東電すら「劣化は想定していなかった」「詳しい原因は分かっていない」というほどの悲惨な状況を指して、「アンダーコントロール」と言えてしまうほど、とてつもなく愚かな指導者なのです。
 「アンダーコントロールではありませんでした。ごめんなさいm(_ _)m」と世界に向けて平身低頭謝罪することのできない、どうしようもなく不誠実な指導者なのです。

 来年早々に行われる重要な選挙、名護市長選、都知事選で、必ず自民党(公明・維新・みんなも)にノーを突きつけましょう。
 ここで安倍政権にイエスの答えを出せば、日本は今度こそ本当に、本当に終わってしまいます。世界中の罪のない人々と自然、動物たちを巻き添えにして。



◇お知らせ

 年内に想定していた某アクションですが、諸事情により延ばします。おそらく来月上旬になりそう。別件も重なるけど(--;;

posted by カメクジラネコ at 02:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系

2013年12月15日

鳥獣保護法・狩猟適正化答申案パブコメ

■「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について(答申素案)」に対する意見の募集について(パブリックコメント) (お知らせ)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=17387


 今月17日が期限です。皆さんも環境省に意見を送りましょう。
 NGOのコピペでもいいけれど、短くてもいいから、なるべく自分自身の言葉でメッセージを伝えるようにましょう。
 
 
筆者もジュゴンから犬猫、特定秘密まで、国や自治体に意見を送ってきましたが、たとえヘンテコでも、あまり他人の意見に流されず(むしろ補完することを意識して)、自分の考えを述べてきたつもりです。
 パブコメの意義は、「国民の意見の多様さ」を行政が把握することにあります。賛成派VS反対派の動員票取り合戦にしちゃいけません・・。日本のパブコメは、残念ながらそういう要素が大きく、だから悲観的にもなるのだけど・・
 けれど本当は、少数意見、民意の多様性に配慮し、行政が自らを律するためにこそ、パブコメという制度があるハズなんだよね。選挙とは別の形で民意を活かすために。

(以下、筆者の送付意見)

   〜 〜 〜

意見:

1 該当箇所
 1ページ5、6行


2 意見内容
 狩猟史についてバランスの取れた記述にする。もしくは全文削除すること。


3 理由
 被害防止以外の目的による捕獲(権力者による鷹狩等)、捕獲の禁止、保護・禁忌の理念、明治期の乱獲と絶滅・激減等に関する記述がない。日本の狩猟史の概要説明としては、あまりにも短絡的な表現であり、国民の誤解を招く恐れがあるため、この内容であれば記載の必要はない。


----
1 該当箇所
 1ページ14行


2 意見内容
 「急速な個体数増加と分布拡大が起こっ」た原因を明記すること。


3 理由
 個体数増加と分布拡大が起こった要因については、オオカミの絶滅、長期的な視野を欠いた戦後の拡大造林政策とその後の放置、過疎化により中山間地域の伝統農林業・コミュニティが崩壊し、バッファーとなる里山の維持管理が困難になった等が挙げられる。きちんと明記するべき。国民の著しい誤解(野生動物は自然のままでも人間がコントロールしなければ急増するものだ等)を招く恐れがある。


----
1 該当箇所
 1ページ21、22行

2 意見内容
 「従来の保護のための施策から(中略)施策への転換が不可欠である」を「従来の保護および管理の施策について慎重に見直すことが必要である」に改める。

3 理由
 従来、保護一辺倒の施策が行われてきたわけではない。保護と管理は最低でも並行して進められるべき政策の両輪である。問題は、PDCAサイクルが機能していない、広域管理の認識に欠けていた等、個々の施策の運用に欠陥があったことに起因しており、保護施策そのものが誤っていたわけではない。

----
1 該当箇所
 1ページ21、22行

2 意見内容
 削除すること。

3 理由
 生物多様性国家戦略に掲げる自然共生社会の実現は、既存の開発・公共事業のあり方の再検討、価値観の再構築に主眼を置くべきものであり、生物多様性に配慮する開発が未だ主流となっていないわが国の現状を顧みるなら、鳥獣管理をもって多様性に資するとの表現は、やはり国民に大きな誤解を招く恐れがある。

----
1 該当箇所
 2ページ6〜8行

2 意見内容
 「これらは概ね種の保存法等により保護が図られており、(中略)状況は概ね横ばいである」とあるが、「多くの種が依然として厳しい状況にあり、レッドリストは直接的な法的効果を持たないため、引き続き保護のための施策の強化が求められている」旨付け加えること。

3 理由
 環境省の発表した第4次レッドリストを見る限り、適切な保護施策により改善が図られた状況とはいえない。哺乳類では、新たに8種・個体群がリストに追加された一方、種数が横ばいに見えるのは亜種の統合によるもので、個体数推移の評価に基づくものではない。鳥類においても、11種・個体群が新規追加されたが、外れたのは迷鳥と判断された2種のみである。そもそも、絶滅危惧からの改善を図ることが法の趣旨である。この記述では、「保護施策は十分でもう必要ない」との、著しい誤解を国民に与える恐れがある。
 なお、上記は平成24年8月28日の環境省の報道発表にて使われている表現に基づく。

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1 該当箇所
 2ページ11〜20行


2 意見内容
 削除すること。


3 理由
 環境省の生物多様性情報システム(J-IBIS)にて公開されている特定哺乳類生息状況調査報告書(平成23年) によれば、中大型哺乳類5種における既存情報と階層ベイズ法による推定値との間には、きわめて大きな開きがある。階層ベイズ法の性質について詳細な解説を答申に含めることができないなら、偏った参照情報を与えることになり、国民の誤解を招く恐れがある。


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1 該当箇所
 2ページ25行


2 意見内容
 農林水産業に対する被害とそのコストの相対的な割合を明記し、国民に可視化できるようにすること。


3 理由
 気象・天候被害、為替変動による燃油等の高騰、TPP加入による影響等によるコストも列記すべき。コストの数字については、国民の理解を得るためにも相対的な評価が必要である。


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1 該当箇所
 2ページ25〜27行

2 意見内容
 「数字に現れない被害」は削除するか、「数字に現れない効用」について併記すること。
 営農意欲の低下・耕作放棄地増加を招く他の要因についても明記し、その比率について検証すること。

3 理由
 法改正・予算運用の根拠とするにはきわめて不十分かつ公正を欠くあいまいな記述であり、官庁作成の文書の体をなしていない。

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1 該当箇所
 2ページ29〜31行

2 意見内容
 「社会が直接的な被害のコストも負担」との記述は削除するか、具体的な数字を算出し、明記すること。

3 理由
 法制の見直し・予算執行の根拠とするにはきわめて不十分かつ公正を欠くあいまいな記述であり、官庁作成の文書の体をなしていない。
 「被害を防止するための予算や労力」/「鳥獣被害防止総合対策交付金」については、農協組織等への外国産品との価格差対策その他の名目で支給されるすべての交付金の金額を併せて提示し、鳥獣被害防止が占める比率を国民に可視化できるようにすべき。また、農林水産業の防災を名目とする国・各自治体の整備事業のコストも合わせて明示すべき。

----
1 該当箇所
 2ページ40行〜3ページ1行

2 意見内容
 「重要な景観構成要素」以下を削除すること。

3 理由
 わが国では未だ、重要な景観構成要素である自然景観に十分配慮した開発がなされているといえない。お花畑の消失に関しては、盗掘や踏み荒らし行為等、観光客の増加とモラル低下の影響も決して無視できない。植生への影響に関しては気候変動も大きく、昨今の気候変動枠組条約における日本政府の後退姿勢は理解に苦しむ。
 こうした表現は、あたかもニホンジカが日本の生態系に影響を与えている最大の要因であるかの如き、きわめて重大な誤解を招く恐れがある。

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1 該当箇所
 3ページ6〜8行

2 意見内容
 具体的な件数と増減傾向をあげるか、削除すること。また、日本に限った話ではまったくないので、海外の事例と行政の対応を紹介すること。

3 理由
 法制の見直し・予算執行の根拠とするにはきわめて不十分かつ公正を欠くあいまいな記述であり、官庁作成の文書の体をなしていない。

----
1 該当箇所
 3ページ8〜11行

2 意見内容
 「さらに」以降を削除すること。もしくは、投資対効果を明示し、評価が誤っていた場合の省としての責任の取り方も明示すること。

3 理由
 従来の護岸・ダム一辺倒の硬直した治水等防災事業のあり方が見直されている中で、こうした根拠薄弱な主張をほかでもない環境省が展開することに対しては、深い憂慮を覚える。具体的根拠ひとつ示さず、「激甚」との表現を用いることは認容の限度を超える。

----
1 該当箇所
 3ページ33〜36行

2 意見内容
 「例えば」以降を保護管理の成果に書き直すこと。

3 理由
 「一定の成果が上がっている」としながら、挙げられているのは捕獲数である。捕獲数は「科学的・計画的な保護管理」の過程であって成果・目標ではない。地域個体群の安定等、あくまでも保護管理における「一定の成果」を示すこと。無論、成果につながっていないのであれば、すべて削除すべき。

----
1 該当箇所
 3ページ37〜4ページ6行

2 意見内容
 特定計画の運用の評価について、全面的に書き直すこと。

3 理由
 5年後の評価であればいざ知らず、平成11年に設けられた措置の評価としては「目標設定の方法や目標達成の手段に課題」等、あまりにずさんな内容に愕然とする。都都道府県に管理を一任する特定計画に関しては、当初から多くの問題が指摘されていたはずであり、14年経って目標設定云々、「実行力の発揮が求められる」等の結論が述べられること自体、環境省の無策の表れと国民に受け止められても仕方がない。
 7行目以降の特措法に関しても、国に倣いさらに下位自治体に責任を押し付ける形になった点は否めず、「連携が十分でないとの指摘」等の表現は無責任の謗りを免かれない。

----
1 該当箇所
 4ページ17〜40行

2 意見内容
 全面的に書き直すこと。

3 理由
 積極的捕獲はあくまで特定の種に対する例外的措置であり、保護が施策の基本であることに変わりはない。
 環境収容力に見合った個体数調整は、この例外的措置に位置づけられる。科学的根拠に基づくとはいえ、すでに積極的な人為管理の範疇に含まれる。保護に位置づけられるものではない。
 「環境収容力内の生息密度であっても、深刻な被害が生じている」のは、適正水準の評価に過ちがあるか、被害につながる他の要因があるか、いずれかと考えられる。にもかかわらず、そうした検証が不十分なまま、当座の被害に対する対症療法の形で、「実態としてもそういった意識で管理」(31行)が行われているとすれば、それはもはや科学の敗北というべき由々しき事態である。
 必要なのは、基本をねじまげ、積極姿勢をアピールすることではない。長期間課題を放置し続けた責任について、しっかり検証し、反省することなくしては、鳥獣管理の充実を謳ったところで画餅と化す恐れがある。

----
1 該当箇所
 5ページ3〜21行

2 意見内容
 制度設計、運用の欠陥について明記すること。

3 理由
 野生動物の保護管理は、国が積極的に関与すべき、包括的・統合的管理が必要な領域である。地方自治体に丸投げし、バラバラな運用がなされたことで、越境する野生動物の広域管理に支障を来たすなど、特措法には大きな問題があったことが明らかになっている。「役立っていることもあり、逆もあり得る」(15行)とあるが、効果的・効率的な運用とは到底言い難い。合理的な連携体制を構築するにあたって、指針・制度の統一、明確化や責任・支出の一元化は避けて通れない。
 野生動物はたとえ分布の狭い種や地域個体群であっても、時代に引き継ぐべき国民の共有財産であるとの認識のもと、国がイニシアチブを取る形に制度を改める必要がある。

----
1 該当箇所
 5ページ24行〜6ページ2行

2 意見内容
 削除すること。もしくは、名称を「駆除に関する役割」に改めること。

3 理由
 該当箇所の記述は被害に対する単なる応答にすぎず、個体群管理ではない。個体群管理とは、科学的根拠に基づき個体群を一定の水準に保つ管理手法を指す。個々の名目でバラバラに駆除事業を行っていること自体、個体群管理の趣旨に反する。

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1 該当箇所
 5ページ18〜28行

2 意見内容
 記述は適切だが、被害防除の役割が答申全体を通じて過小評価されており、位置づけの見直しが必要。

3 理由
 「防護柵の設置や放置された農作物等の除去等による被害防除は、被害の未然の防止のみならず、適切に行うことで鳥獣の個体数抑制にもつながることから、個体群管理にとっても重要」とあるが、被害防除への取り組みが十分に、効果的に行われていないことが被害の拡大の根本にある。
 国による専門家の配備、NGOの支援や民間ボランティアの活用も取り入れ、実効性・効率性・持続性の観点から被害防除対策の情報共有・指導を図ることで、結果として被害と社会的コストの低減も可能となるはずである。まず地域間で連携の取れた効率的な被害防除施策を強化したうえで、科学的評価を踏まえた例外的な個体数調整の措置が図られるべきである。

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1 該当箇所
 6ページ32〜34行

2 意見内容
 記述を見直すこと。とくに「目的として行うことは難しく」の部分。

3 理由
 「公益」が個体群管理の名目として通用するのであれば、生息環境管理に通用しない理由はない。
 むしろ、従来土地利用のあり方に「野生動物の保護管理」の視点が欠けていたことに問題がある。「難しい」などと及び腰にならず、環境省が主導権を発揮すべき。

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1 該当箇所
 7ページ1行〜8ページ8行

2 意見内容
 全面的に書き直すこと。
 制度導入の負の側面について検証し、記述すること。認定制度の創設に伴う新たなコスト負担についても明記すること。

3 理由
 捕獲体制の構築が事業者に任せることでなぜ効果的になるのか、言及がない。
 複数の駆除会社を養成し、入札を行い、競争させることで低コストの駆除が行えるとの認識なのか。
 あるいは、副産物を利用した複合経営などで合理化を図ることをイメージしているのか。駆除を一種のビジネスとした場合、収益の安定という事業者の利益と、年毎の環境変動に応じた科学的管理との間で摩擦が生じかねない。とくに、モニタリングを駆除事業者に委託することには、中立性・客観性の観点から大きな疑問が残る。
 また、認定のための審査・研修の体制や機関と人員・予算について言及がない。認定機関を環境省所管の特殊法人とする場合、駆除事業が公共事業の性格を帯び、駆除会社・公益法人・環境省それぞれの責任が不明確になり、情報が不透明になり、行政の無駄につながる恐れがある。

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1 該当箇所
 7ページ29〜35行

2 意見内容
 「これまでの捕獲体制を否定するものではないことを強調したい。これまでの捕獲実績は評価されるべきものであるが」は削除すること。

3 理由
 無意味な記述であるため。

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1 該当箇所
 8ページ13〜15行

2 意見内容
 「さらに(中略)寄与する」の記述を削除すること。

3 理由
 次段で「検討すべき課題が多くある」とあるが、これらはむしろ、現行の許可を必要としない農林業者自らによるわな猟の抱えている問題に対する指摘にほかならない。進めるべきは法の抜け穴となっている無許可捕獲の実態の正確な把握と規制強化であり、規制緩和ではない。

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1 該当箇所
 8ページ25〜26行

2 意見内容
 削除すること。

3 理由
 前項とともに、「安易なわな猟の増加はトラブルを増加させる」との声が狩猟従事者からも上がっている。単に捕獲従事者を増やすことのみを企図し、取得年齢を引き下げることは、技術を十分に体得していない未熟な狩猟者の増加につながりかねない。

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1 該当箇所
 8ページ32〜9ページ14行

2 意見内容
 矛盾する記述なので、全面的に書き換えること。

3 理由
 「特定計画における(中略)狩猟規制の緩和のみである」とあるが、ニホンジカはそもそも当該特定計画の対象であり、計画は個体群管理を目指して制定されたはずである。次の文(ニホンジカ等の〜仕組みが必要である)につながっていない。特定計画がそのための仕組みとなっていなかったのであれば、その旨明記するとともに原因を解析すべきある。
 38行以下の「具体的には(中略)捕獲等にかかる規制緩和を行うことが考えられる」の文も、「特定計画におけるニホンジカの狩猟規制の緩和」がそれに該当しないというのであれば、日本語として明らかに矛盾した表現になっている。
 9ページ2行「緩和の内容としては」以降も、狩猟規制の緩和そのものである。
 特定計画における狩猟規制の緩和が不十分であり、新規に追加の措置が必要ということであれば、その旨具体的に明記すべきである。
 一連の表現からは、何が狩猟規制の緩和で何がそうでないのか、緩和に問題があったのか、緩和だけだったから問題だったのか、緩和の追加措置が必要なのか、緩和以外の措置が求められるのかがわからず、まったく要領を得ない文章になってしまっている。

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1 該当箇所
 9ページ2〜6行

2 意見内容
 捕獲個体の放置の禁止の緩和の下りを削除すること。

3 理由
 「やむを得ず放置する場合」とあるが、やむを得ないとの判断はどのタイミングで行われるのか。個々の自治体による捕殺許可の段階でか。捕獲事業者が捕殺した後、搬出が不可能と判断するケースも含まれるのか。後者であれば、「鉛断を使用していないこと」を条件とし得ない。鉛弾の使用を全面禁止するか、少なくとも個体数管理事業における鉛弾使用を禁止する措置を講じるのでなければ意味がない。さもなければ、放置の禁止の緩和措置は賢明とは言い難い。
 鉛弾使用については、(10)@で、もっと踏み込んだ形で詳細に論じた方がよい。

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1 該当箇所
 9ページ7〜12行 

2 意見内容
 詳細な解説にするか、呼称の紹介にとどめること。

3 理由
 シャープシューティングを指す記述と思われるが、「夜間」の捕獲だから効果をあげているわけではない。日本の現場での課題もこの指摘にとどまらない。

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1 該当箇所
 10ページ22〜26行

2 意見内容
 「期待されており」を削除し、鳥獣保護員への負担へも言及し、課題も明記すること。

3 理由
 鳥獣保護員は保護を基本とした「従来の」施策に則り、運用されてきた経緯がある。鳥獣保護員の活用については、関与の仕方について熟慮する必要がある。本来業務に支障を来したり、保護員としての資質が鳥獣管理本意で求められ、変質することがないよう、慎重な配慮が欠かせない。第三者的立場から事業者のモニタリングや捕獲計画を検証し、問題があれば反映させる仕組みを作れば、有効に機能するとは考えられる。

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1 該当箇所
 10ページ28〜11ページ6行

2 意見内容
 必要な記述だが、被害防除と同様、答申における位置づけが弱すぎるため、再考を求める。

3 理由
 10ページ38、39行の記述は、状況を改善するために必要な、適切で効率的な鳥獣管理の前提であり、答申の中で強調されるべき。本来であれば、調査研究を推進し、情報を収集し、評価手法を確立したうえで、最適な管理手法を実行に移すことが望まれる。
 被害に対する不満を一時的に和らげる目的で、見切り発車的に方針を転換し、鳥獣管理を推進することは、合理的な環境施策とは言い難く、国民の負担を増やすだけになりかねない。

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1 該当箇所
 11ページ8〜24行

2 意見内容
 問題点を列挙する形で大幅に書き換えること。 とくに17行「肯定されるべきものである」は削除すること。

3 理由
 一般狩猟の促進を単純に推し進めることは、狩猟管理のための社会的なコスト負担増につながる。厳格な狩猟管理がなされなければ、科学的な個体群管理に齟齬を来し、狩猟下での人身事故が増え、猟銃を用いた犯罪の増加を招く恐れがある。
 16行「自然と人との関わり方」は多様であり、個人の価値観に基づくものである。そのうちの特定の一部の利用の形態のみをことさらに強調し、国が国民に対して押し付けるべきではない。
 20行「利便性の向上」は、質の低い狩猟者の増加とそれによって引き起こされるさまざまなトラブル、重大な社会的リスクの増大につながり得る。
 同じく「経済的負担の軽減」は、行政による肩代わりを意味するのであれば、一部の層の趣味のために国民の経済負担を増加させることにつながり、公平性の観点からも容認できない。それであれば、同等の予算を調査研究の推進・評価手法の確立・専門技術者の養成・被害防除のためにこそ振り向けるべきである。

 
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1 該当箇所
 11ページ26行〜12ページ1行

2 意見内容
 全文削除すること。

3 理由
 32行「科学的根拠を丁寧に説明する」とあるが、4ページの記述に関して指摘したとおり、この答申においてすら科学的・合理的な管理の考え方に破綻が見られる。
 駆除個体の放置やそれにかかる対策の問題等が周知されず、命が粗末にされている実態を国民が自覚できていない状況で、「感謝の気持ちをはぐくむ」などと、耳障りのよいキャッチコピーで真実を覆い隠す啓蒙活動を国・行政機関が推進することは、国民を欺く行為に他ならない。
 36行「多面的な恩恵」とあるが、問題を引き起こしている在来の野生動物も、本来豊かな自然環境の一部であり、まさに恩恵そのものである。
 生態系の歯車が狂った背景についての真摯な説明、とりわけ過去の誤った政策の結果に対する反省なくして、社会の最弱者といえる野生動物の命を奪うことを正当化することは許されない。
 捕殺を全否定するものではないが、謙虚さのかけらもない一方的な礼賛は、日本人・日本国民として道義的にも認められない。
 児童を対象にした学校での啓発活動を含めるのであれば、なおさらである。

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1 該当箇所
 12ページ3〜13行

2 意見内容
 (8)と統合した上で、(9)の内容を主文とすること。

3 理由
 8行「どのような関係を作っていくべきか」とあるが、前節(8)で短絡的な結論が述べられており、きわめて不可解である。
 (9)こそが問題の核心であり、議論による合意形成の過程を踏まえたうえで、具体的な施策に反映させるのが本来行政のやるべき仕事である。

 
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1 該当箇所
 12ページ16〜22行

2 意見内容
 (7)「一般狩猟の促進」と整合性が取れないため、同節の内容を大幅に書き換えること。

3 理由
 鉛弾の使用全面禁止は狩猟普及の最低限の前提であるべき。非鉛弾の普及を待たずに鳥獣管理を推進した場合の生態系への影響について、シミュレーションすることを求める。

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1 該当箇所
 12ページ23〜26行

2 意見内容
 9ページの意見で述べたとおり、放置の緩和と鉛弾の使用禁止措置の整合性を取ること。

3 理由
 9ページの意見に同じ。

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1 該当箇所
 12ページ35行〜13ページ4行

2 意見内容
 外来鳥獣の取扱については、早急に役割の整理、一元化を進める旨付け加えること。

3 理由
 一種の二重行政であり、被害防除のための予算が限られている中では、許されることではない。 

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1 該当箇所
 13ページ6〜13行

2 意見内容
 80条の適応除外について検討する旨、記述すること。

3 理由
 スナメリ等、近年水産資源としての利用実績のないクジラ目の種に関しては、水産資源の視点からのみしか管理を行わない水産庁を主務官庁としていては適切な保護管理が不可能である。
 また、他の鯨類についても、狩猟管理と被害防除・鳥獣管理のノウハウを持つ環境省が、野生哺乳類として整合性のある保護管理施策を講じることが望ましい。

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 正直えらい疲れました(--;;
 意図したわけではないけど、ほとんど真っ赤っか。。。
 筆者の指摘にも、おそらくいろいろ穴があると思いますが。
 特定秘密保護法じゃないけど、最近官僚の作る文章がどんどんいい加減になってないかしらん?
 環境省、もっとしゃんとして!!

posted by カメクジラネコ at 02:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系