2012年06月09日

ここまで低い水産庁と捕鯨業者の放射能汚染に対する問題意識

◇調査捕鯨によって露になった、水産庁と捕鯨業者の原発事故・放射能汚染問題に対する意識の低さ

 詳細は以下のリンク先をご参照ください。よかったらお気に入りボタンを押しといてね〜

■ここまで低い水産庁と捕鯨業者の放射能汚染に対する問題意識
http://www.janjanblog.com/archives/73984


 筆者はSSの連中とは何の関係もないし、連中はでっきれーだと何度も説明したのですが、問い合わせに応じた国際課捕鯨情報企画官・竹越氏からは、筆者が日本国民であることすら疑われてしまいました。捕鯨に反対する者はすなわち非国民である、という認識なんですかね・・。シーシェパードの連中のバカげた活動が、国に市民への情報開示を拒む格好の口実を与えるばかりで、きわめて有害だということも改めてはっきりしましたが。
 そして、筆者が海洋生態系への影響を調べるうえでもより詳細な調査と情報提供が必要だと訴えても、まるで耳を貸してもらえません。生態系への影響に興味を持っているのは、全日本国民の中で私一人しかいないと言わんばかりの口ぶりでした。筆者以外の日本人は全員、環境への放射能の影響のことなどどうでもよく、食いもののことにしか興味がない──というのが、水産庁の認識なのです。驚くべきことに。
 水産庁は、海洋生態系へのクジラの影響を調べるという名目で、多額の税金を投じて調査捕鯨を行っています
 しかし、海洋生態系への放射能の影響を調べる必要はないというのです
 河北新報に非科学的な解説が掲載されていましたが、クジラを裁いて胃の中を見るだけでは、海洋生態系についてなど何もわかりゃしません。
 イカナゴ(成魚の地方名はメロウド、幼魚はコウナゴ)の資源動態に最も大きな影響を与えているのは、幼魚を食べるイカナゴの成魚。ベーコン脳の反反捕鯨論者には理解不能でしょうが、魚ではよくあることです。食害論には何の科学的根拠もありません。

■沿岸漁主力魚を捕食 仙台湾のミンククジラ 調査捕鯨(5/30,河北新報)
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/05/20120530t15010.htm
■沿岸調査捕鯨が日本の漁業の役に立つ!? んなアホな!!('09/5/28)
http://kkneko.sblo.jp/article/29420593.html

 クジラは海洋生態系の一部。漁業被害が明らかなエチゼンクラゲやナルトビエイでさえ、間違いなく海の生態系を構成している自然の一員なのです。生態系を狂わせている犯人はまぎれもなくニンゲン。
 科学的・論理的思考のできない水産庁の役人たちは、クジラのことをエイリアンだとでも思っているのかもしれませんが・・。「知能が高い動物がウンタラカンタラ」とわめき続けてるうちに、自己暗示にかかっちゃったのかしらね。。
 その一方で、福島の原発事故によって撒き散らされた放射性物質が、海の自然・野生動物たちにどのような影響をもたらしているか調べることには、ビタ一文カネを使う気がないのです。デタラメな捕獲調査には毎年毎年何十億円もの税金を注ぎ込んでいるにもかかわらず
 国の水産行政がここまでお粗末なのは、漁業者にとっても、海の自然にとっても、不幸なことでしかありません。


◇日本の終わり、ニンゲンの終わり

 本日6時からの会見をTVで見て、「野田は最悪だ・・・」とうめき声をあげた人が、日本人の過半数に上ることを、筆者としては信じたい気持ちです。
 他の国だったら間違いなく国民的大暴動が起き、そのまま政権が転覆していたはずだとも思いますが……。
 郵政なんてくだらないネタでできるガラガラポンが、はるかに重要な原発ではできない。
 311でさえ、日本は変われませんでした。
 限定稼働を明確に否定し、脱依存の方針さえなかったことに。
 メディアも人気首長もあっけなく霞ヶ関と経済界に屈服。
 Nステの姜氏のコメントにもあったけど、「日本は変わらない」という明確なメッセージを、世界に向けて強く発信してしまったわけです。
 石原のような右翼が台頭し、不経済・非合理な再処理に未だ拘る日本を見て、米国も首輪と鎖の具合を確かめているだろうとは思うんですが・・。
 世界に目を向ければ、まるで冷戦時代に逆戻りしたかのように、シリアの虐殺は止められず。
 リーマンショックを経ても、市場原理主義に逆戻り。
 米国は銃と核と宗教にまみれたイカレた国のまま。
 311後の日本が変われなかったのと同じように。
 ニンゲンという動物自体が、何も学べず、省みず、変われないということかもしれません。
 政治・経済ともお先真っ暗のこの国が、自然のしっぺ返しでか、自滅でか、遠くない日に破綻することは明らかですが、そのとき多大な迷惑を被るのは自然と動物たち。
 少なくとも、従来の考え方・手法では、悲劇を回避することはもう不可能。
 一体どうしたらいいんでしょうね・・・・
posted by カメクジラネコ at 01:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学系

2012年02月19日

調査捕鯨は不必要or商業捕鯨は不可能/コスト意識ゼロのたかり企業共同船舶

◇調査捕鯨は不必要or商業捕鯨は不可能、二つに一つ

本日は基本のおさらいです・・

JARPAの主たる目的の一つは、南極海ミンククジラの自然死亡率と個体数増加率の推定、生態系における同鯨種の解明であったが、「収集されたデータはIWCで援用されている科学的管理には一切必要のないデータであること、それどころか自然死亡率や個体数増加率、生態系における役割に関してはほとんど何も解明できていない、という厳しい評価を受けた」として、この科学を名目とする調査には科学的妥当性がほとんど全く認められないという極めて厳しい批判の声も日本国内の研究者からあがるに至っている。こうした見方に対して水産庁は「100点満点で50-60点がIWCの見方」とIWC科学委員会の結論を捉える一方、日本鯨類研究所は、12月ワークショップが「(JARPA)調査のデータセットは、海洋生態系における鯨類の役割のいくつかの側面を解明することを可能にし、十分な分析を行えば、科学小委員会の作業や南極の海洋生物資源の保存に関する条約など他の関連する機関の作業に重要な貢献をなす潜在性を有している」と結論したことを踏まえ、「日本の調査の目的は科学であり、商業捕鯨が再開したおり、その捕鯨を持続可能なものにするための科学なのである」としてJARPAの科学的妥当性を強く主張している。
JARPAにおける当初の主たる目的とは、自然死亡率の推定であった。しかしながら、現在の推定値に関する信頼区間は極めて広範囲なものとなっており、これらのパラメーターは現在のところ事実上不明である。より正確な自然死亡率推定を得るためには、商業捕獲と年齢に関するデータによることとなるが、これらに関する未解決の問題が幾つか存在している。1997年以降、海洋やオキアミに関する調査がなされてきたことを、科学委員会は歓迎するものである。また科学委員会としては、JARPAプログラムによって鯨体の状態と接餌に関連する多数のデータが得られた旨を合意するものである。しかしながら、JARPAレビューに提出された分析を鑑みた場合、生態系における南極海ミンククジラの果たす役割についての研究では、相対的に見てほとんど進展が見られなかったことは明白である。
結論として本科学委員会は、「JARPAプログラムはRMPの管理には必要ではないが、南半球におけるミンククジラの管理を改善させる潜在性を有している」とする1997年に開催されたワークショップの見解を支持するものである。
(国際捕鯨委員会/Wikipediaより引用)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%8D%95%E9%AF%A8%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A

 これはIWC-SC(国際捕鯨委員会科学委員会)における、日本の調査捕鯨計画に対する最終レビュー報告の内容。
 環境科学・生物学のリテラシーのある方であれば、一読して「ああ、調査捕鯨はかくもデタラメな代物だったのか・・」と嘆息されることでしょう。鯨研・日本の御用学者側が、胸を張りつつかな〜り情けないことを言っているのがつぶさに見て取れますね。
 補足すれば、散らかしっぱなしの部屋の片付け(収集しながら進んでいない膨大なデータの解析+"まだ"済んでいない"商業捕獲時代"のデータの解析)と、調査捕ペンギン/調査捕アザラシ/調査その他諸々を進めないことには、いっっつまでたっても「潜在性」のままで貢献なんぞできやしません。
 詳細は以下を参照。

−JARPAレビュー報告徹底検証
http://www.kkneko.com/jarpa.htm
−ペンギンバイオロギングVS調査捕鯨
http://kkneko.sblo.jp/article/46531519.html

 確立された安全な商業捕鯨管理方式であるRMP(改訂版管理方式)で、調査捕鯨が不要であることについては、上記のとおりIWC-SCにおいて合意が成立しています。
 日本政府が公海・南極海での調査捕鯨を正当化する根拠は、ICRW(国際捕鯨条約)で「認められた権利であるというもの。ところが、同条約に基づき設立された国際機関であるIWCに「必要性が認められたか」に言及することはありません。IWCが必要だと認めようが認めまいが、加盟国が勝手に行ってしまえる、というのが同条約8条の主旨だからです(経緯については以下の過去記事参照)。捕鯨ニッポンは国際条約・国際機関の権威を笠に着ながら、同じ条約機関を徹底的にコケにしているわけです・・

−実態に見合わないICRWは改正すべき
http://kkneko.sblo.jp/article/25798112.html

 で、「科学」であり、「有意義」だと。要は、国際的にコンセンサスが得られていない主観であり、しかも自己採点でさえ「50-60点」という代物。でもって、事情に疎いアホな閣僚が調査捕鯨自体が「文化」だなどとトンヌケた理由をここに付け加えるわけですが・・
 これまで鯨研・捕鯨協会は致死的研究の非致死的研究に対する優位性をしきりに強調してきましたしかし、致死的研究が、貴重な科学的資源をほんの一握りのスナップショットのために破壊し、大量の情報を喪失させてしまうきわめて粗雑な手法であるという認識が定着する一方で、非致死的調査はいままさに日進月歩の進歩を遂げているルネッサンス期にあり、コストもどんどん下がっています。さらに、致死的研究が優位と謳われる財政上のメリットについては、業界依存・癒着体質の温床となるだけで、しかも、研究機関の財政を安定的に支えるどころか、販売動向に振り回され、研究者まで販売員(ex.船団長まで務めたはずの西脇茂利氏・・)として駆り出され、広報活動に予算を注ぎ込まされた挙げ句、多額の赤字を抱えてヒーヒー言っている有様。
 
かたやフロンティアで新しい研究手法・技術開発に意欲を燃やす真の科学の徒、かたや「販売員を蔑むな!」とツイッターでウヨゴミツイートばっかりつぶやいてる哀しき鯨肉販売員。このギャップは如何ともしがたいですね・・
 そんな次第で、調査捕鯨はもはや「商業捕鯨を再開させるためだけの科学」となっているわけです。他の野生動物の生態研究ではまったく必要とされず、行われていない類の致死的研究である以上、なくて一向にかまわない代物であり、したがって科学性についてもその程度なのは自明の理だからです。


 が……「商業捕鯨を再開させるため」に、調査捕鯨は本当に必要なのでしょうか?
 繰り返しになりますが、RMPにおいて調査捕鯨は一切不要。
 なぜなら、RMPはフィードバック型の資源管理だからです。
 商業捕鯨が再開されないのは、IWC下でのRMS(改定管理体制)に合意が得られていないからです。つまり、机上の計算だけでない、過去の大乱獲を二度と再現させないためのチェック機能の持たせ方をめぐる双方の意見の相違。それが唯一の理由。
 一般に誤解があるかもしれませんが、「調査捕鯨のデータが集まっていないが故に商業捕鯨が再開されない」のではありません
 調査捕鯨は、商業捕鯨運用にまったく必要とされていないただの「参照情報」を集めているだけです。
 実際、捕獲枠の試算はされているのです。
 捕鯨協会では「100年間に20万頭(1年当たり2,000頭)」という数字、水研センターでは「平均3,202頭」という値を掲げています。

−IWC条約を愚弄する輩|日本捕鯨協会
http://www.whaling.jp/yakara/yakara04.html
−国際漁業資源の現況-平成22年度現況-49 クロミンククジラ 南極海−南半球|水産総合研究センター
http://kokushi.job.affrc.go.jp/H22/H22_49.html

 調査捕鯨のデータがいくら提供されようがされまいが(実際にはいつまでも潜在性しかないゴミのままですが・・)、IWC-SCは目視データに基づく情報をもとに捕獲枠を算出し、運用するだけです。何も変わりありません。
 もっとも、IDCR/SOWER(目視による鯨類探査計画)の結果、3周目のデータが2周目以前より大幅に下がるという不具合が生じたため、直近の個体数の数字について新たに合意を得ることが前提になりますが。つまり、調査捕鯨が必要とされないのに対し、日本が予算を切ってやめると言い出した目視調査の方はRMPにおいては不可欠であり、そちらの精度を上げて数字を出す必要があるのです。ちなみに、拙HPでも触れていますが、捕獲調査には目視調査のリソースを奪って精度を下げるという大きな欠陥があります。
 RMSが合意に達すれば、一連の問題はすべてクリアし、日本は商業捕鯨を再開できるのです。いま調査捕鯨を続けようが続けまいがまったく関係ないのです。
 ですから、RMS交渉の決裂を理由に、日本がIWCを脱退し、新組織を作り、そこで別途(都合のいい)管理方式・体制を確立したうえで商業捕鯨を再開することは、可能か否かは別にして、一応筋の通った行動だとはいえるでしょう。政府が口先で国民(のうちネトウヨ層)を騙すばかりで、一向にそれをしようとしないのは、もちろん裏の動機があるからですが。


 さて、上記の点を踏まえたうえで、日本の捕鯨サークル(水産庁・鯨研・共同船舶/捕鯨協会・族議員から成る運命共同体)側の主張が致命的な自己矛盾を抱えていることを、今から説明しましょう。
 仮に、日本の捕鯨賛成派が主張するように、調査捕鯨がRMP体制下の商業捕鯨に必要不可欠であるとするなら、実質的に商業捕鯨は不可能になってしまうのです。
 試算の前提となっているクロミンククジラの個体数76万頭は、いまやすでに「死んだ数字」も同然なのですが、この際目をつぶりましょう。
 上の試算値を用いれば、捕獲枠は2000ないし3200頭。といっても、これは南極海全6海区をすべて合計した数値
 実際には、日本がこれまで商業捕鯨を行ってきた実績があるのはW区とX区のみ。拡大されたJARPAUの実施海域はその両隣の海区半分ずつも含まれていますが、いずれにしろ1/3ないし1/2が日本の業者に割り当てられる捕獲枠ということになります。つまり、せいぜい千頭ないし千数百頭。それでも、日本が南極の生物資源をそこまで独占すればすさまじい拡張主義だとの謗りは免れないでしょうが・・
 ところが・・2000頭の試算を採用し操業海域を全体の1/3とした場合、実際に商業捕獲できる頭数はゼロになります。
 3200頭の試算値を用いて操業海域を全体の半分とした場合でも、750頭。つまり、現行の調査捕鯨の計画数より少なくなってしまうのです。
 なぜか?
 ま、わかる人はもうわかったでしょう。調査捕鯨がRMP下の商業捕鯨運用に引き続き必要だからです。
 目視では得られず調査捕鯨によって得られるのはポピュレーション、いわゆる人(鯨)口構成に関するデータ。それが活用されるハズだ、というのが推進派の主張です。ま、実際には捕獲枠の算出には要らんのですが・・
 調査捕鯨は建前上℃糟ケに影響を与えないことになっており、いまのクロミンククジラは一応ニュートラルな状態に置かれていることになっています。統計的な偏りをなくすために捕獲対象をランダムに選択している調査捕鯨と違い、商業捕鯨では自然死亡率が低く繁殖に直接寄与する成熟した個体が捕獲対象に選ばれます。
 捕獲対象にバイアスのかかる商業捕鯨が再開された場合には、個体群動態に変化をもたらさずにはおきません。繰り返しますが、RMPはフィードバック型の資源管理方式。資源の状態をきちんとモニタリングしてその結果を翌漁期に確実に反映させることを約束する方式だからこそ、環境保護派も「そんならまあいいでしょう」と受け入れたのです。チェック体制が整わなければ画餅になってしまいますが・・。商業捕鯨再開のめどがまったく経っていない現段階で=Aもしランダムサンプリングによる正確な年齢構成・年級群構成データが必須なのであれば、再開後は今以上に、再開されていない現在とは比較にならないほど、バイアスのかからない調査捕鯨によるモニタリングが必要不可欠となるのです。
 
日本の主張どおりなら、ですよ。。ま、実際には今も要らんのですが・・
 商業捕獲用の割当分は、当然ながら、RMPで算出された枠から調査捕鯨による捕獲分を差っ引いた数字にならざるを得ないわけです。
 最小の試算では、枠を目いっぱい使いつぶしてしまうわけです。
 そして、最大でも計画どおりの調査捕鯨の捕獲数以下。ここ数年は、共同船舶の安全管理の不備による転落死亡事故や、SSCSの妨害を理由に、計画数未達で終わっていますが、商業捕鯨運用に欠かせない調査捕鯨を科学的に必要なだけこなすとすれば、商業捕鯨はそれ以下のレベルで我慢せざるを得なくなるのです。
 しかも、科学といいつつ、調査捕鯨の副産物は商売で利用していいことになっています。参入事業者は、多額の国庫補助金まで付く、そんなコンペを相手にすることになるのです。
 捕獲数が同水準であれば、当然スケールメリットは働きません。生産量自体を比較するなら、未成熟個体の比率が高い調査捕鯨より、業者のほうが歩留まりは若干上をいくでしょう。しかし、市場への出荷量が増え、他の食品と同じく正常な競争原理が働くハズなわけですから、売価がさらに抑えられて経営をますます圧迫することになります。何しろ、現行の調査捕鯨でさえ、大赤字を抱えて税金に依存しているのが現状ですからね・・。そして、参入企業の条件としては、母船を新造しキャッチャーも必要分確保する、それだけの莫大な設備投資をする相当の資金的余裕(あるいは銀行の信用)が不可欠。母船は捕獲水準を考慮すれば、現行の日新丸より多少積載容量に余裕を持たせる程度となるでしょう。大きすぎても損になるだけ。
 余談ですが、マルポール条約の規則改正で南極海を航行する船舶はA重油を使用することが定められ、いまの調査捕鯨船団も含め赤字をさらに拡大させるコストアップ要因となっています。クロミンクが逃げ込んでいるとされる氷海中で操業するには、二重船底も必要。
 元捕鯨官僚小松正之氏が説くマズい鯨肉の食感向上企画のために−50℃の超低温冷凍設備をすれば、それもまたコスト上昇につながります。永田町界隈の美食家連中に「旨くなった」と好評を得たところで、庶民からはさらに縁遠い超高級グルメになるだけ。新規事業者がエコを標榜して、SSCSを倣ってバイオ燃料を導入したり、アンモニア冷媒冷凍設備を導入すれば、それもまた大幅なコストにつながり、価格に跳ね返ります。ま、あり得ませんわな。
 結局、商業捕鯨が再開された場合でも、全国平均で年間50gの鯨肉消費量が、せいぜい100gに上がるか上がらないか。調査捕鯨と並行操業を余儀なくされるため、事業者はコストを圧縮できないまま、価格下落の圧力だけは受けることに。まさに焼け石に水というやつです。

−「"実質ゼロ"日本人の鯨肉消費の実態」
http://kkneko.com/shohi.htm

 一体採算が取れると判断する企業がいるでしょうか? 
 否。そんなバカな企業がいるはずもなし。
 母船を用意できるくらい懐に余裕のある企業なら、他のビジネスを選択しますよ。常識があれば。
 付け加えるなら、社会的公正性の観点からすれば、商業捕鯨が再開された時点で、調査捕鯨のコストはすべて業者にもたせるべきです。南極鯨肉だけを聖域として税金を注ぎ込み、それによって民間企業が利益をほしいままにすることなど、決して許されるべきことではありません。原発震災で被害を受け未だに再開のめども立たず(捕鯨サークルと異なり自らに罪なく!)負債に喘ぐ被災事業者、TPP推進で負担だけを強いられる他の一次産業従事者に配分し直すべし。それこそ、水産ODAを含めた過去の拠出分まで遡って、そこから利益を得る参入事業者から回収すべきでしょう。
 「大規模な捕鯨はもうありえない」とは水産庁・捕鯨協会も明言していること。皮肉にも、残された選択肢は高級ブランド嗜好品としての生き残り策しかなかったわけです。それももはや通用せず、在庫の山が積み上がる一方。再三指摘していることですが、いまや鯨肉は適正価格が存在しない異常な商材。昨年は出荷量がやや増えたとの指摘もありますが、それと引き換えに鯨研/共同船舶は巨額の赤字を抱えることになりました。つまり、需要・市場原理を完全に無視したなりふりかまわぬ出血サービスのツケが回ったということ。そのツケを連中はすべて国民に押し付けたわけですが・・。


 結論。
 調査捕鯨が必要なら、商業捕鯨は不可能に。
 商業捕鯨が必要なら、調査捕鯨が無用で、障害でさえあることを認めるしかない。

 もちろん、捕鯨サークルは論理的帰結を一切無視し、調査捕鯨の必要性を唱えながら、商業捕鯨再開を訴え続けるでしょう。いつまでも。いつまでも。
 彼らの本音は、税金で運用し続ける国営調査捕鯨の延命。だから、それでいいわけです。



◇コスト意識ゼロのたかり企業共同船舶

 会社員時代、筆者は某中央官庁に商品とサービスを納める事業に携わっておりました。いわゆる公共事業。お役所から仕事を受注してサラリーを得て、それで子供を食わしておりました。
 世間一般からは、税金で甘い汁を吸ってきた輩と白い目で見られ、後ろ指を差される、そういう会社に勤めておったわけです・・が・・
 「甘い汁」なんて冗談じゃありやせん(--;;
 霞ヶ関のお役人の非情なことときたらそりゃもう・・
 二言目には「カネがない」「コスト削れ」、でも、サービスの質は「落とすな」です。
 契約書にない、ボランティアの仕事まで要求されるわ・・企業に向かって利益率を開示しろだの・・無理難題ばっかり吹っかけられてきました(--;;
 こっちはグリーンピースでも何でもない、株主様に配当を出してナンボの商売でやってんのに。
 殺し文句は「てめえら国民の税金で飯食わせてもらってんだろ、コラ」ですよ・・
 といって、言うこときかないと、次の調達で落とされて仕事を他社に回されるだけですし・・
 民間企業を顧客にしている他のセクターと比べても、しんどいだけで、転属されるのは貧乏くじみたいなもんです・・
 まあね・・大半の職員は、月百時間超の残業もものともせず、真剣に国のことを考えて仕事してる真面目な人たちですわ。
 そして、公共事業ベンダーの社員も、みんな手抜きなんてしないで身を粉にして働いてるんですよ。ちゃんと。


 が・・本当に「甘い汁」を吸っている、どうしようもなく腐りきった企業も、中にはいるようですな・・・・
 そう、その名も株式会社共同船舶
 今年度の第三次補正予算で、調査捕鯨事業に対し約23億円が投じられることになりました。19億円の負債の穴埋めを目的としたものですが・・
 高速増殖炉もんじゅのストレステストに9億円もかかることに対し、市民から非難の声が上がっていますが、それと比べても倍以上の金額
 これほど多額の税金を投入してもらう立場にある以上、事業の受注者である鯨研/共同船舶は、体質を抜本的に見直し、1円に至るまで徹底的にコストを削る必要があるのはいうまでもないことです。まっとうな企業であれば当たり前のこと。
 100%無駄なコスト。
 そう、例えば──関係者に渡される「鯨肉土産」
 国に委託された科学調査事業でありながら、商業捕鯨時代から続いているというバカげた理由で自らに認めている、実にふざけた慣習。
GPの鯨肉横領疑惑訴訟の審判が終わるのを待ち構えていたかのような印象さえあります・・
 震災で多くの国民が困窮している最中、税金による救済策に頼った以上、このバカげた風習は直ちに全廃されなければなりません
 それすらもできないなら、共同船舶は芯まで腐敗しきったたかり屋以外の何者でもなし。
 公共事業を引き受ける資格なし。公共事業受注者の
 ふざけるな。
 カネ返せ。

posted by カメクジラネコ at 19:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学系

2011年11月20日

福島第一原発事故とクジラ(WWについて)

◇福島第一原発事故とクジラ(WWについて)

■捕鯨の灯、再び 石巻・鮎川港 (11/15,朝日)
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201111150700.html

 操業海域はイルカ・クジラウォッチング業者のある銚子の目と鼻の先、つまり石巻ブランドなどではありません。
 里海の利用という観点からいえば、零細沿岸漁業者の目の前でごっそり魚を掻っ攫っていく倣岸な沖合漁業者という構図が、そっくりそのまま適用されるわけですが・・
 ゴリラと同様、父系社会で繁殖から外れた高齢個体による養育行動なども見られ、非常に興味深い社会生態で知られるツチクジラ。気になるのは、福島沖で事故から半年後も1,000Bq/kg超 (Cs134/137)など、非常に高い放射性物質の濃度が検出されている底生性魚類がツチクジラの主食となっていること。銚子沖の群れも、秋頃 には常磐・三陸沖を経由して北海道沖合まで北上します。北海道・千葉など自治体の公開している測定結果は今のところND(不検出=検出限界以下)。計測実施主体が地域捕鯨協会&中央水研で、可食部が多いはずなのに内臓など測定部位に関する情報が一切ないのも気になりますけどねぇ・・
 ツッチーの生息域は深度500mないし1000mの深い大陸斜面のライン上なので、“まだ”出ていないのかもしれません。が、食物網を通じた拡散はゆっくりと進行していきます。夏に行われた東京海洋大学の調査では、ゴカイやクモヒトデで依然として高い水準にあるとのこと。クモヒトデがかなり高くなっているのは、同じスカベンジャータイプといっても基本デトリタス食のゴカイより屍肉食性がより強いためでしょう。海の深い部分にはもっと遅れて汚染が伝わっていくものと予想されます。
 重金属や有機塩素に対する感覚も同様に鈍く、水産庁の言うことを鵜呑みにして論語をブチブチ呟いていれば放射能の害はないと思い込んでいる捕鯨業者と消費者は、「よかった、これで安心だ」と心置きなく頬張るんでしょう。製法を考えると、濃縮されて値が上がらないか、タレでの測定もした方がいい気がしますが・・大きなお世話かしら?
 ま、不自然な捕食者の健康被害はあくまで自己責任なので、筆者の知ったこっちゃないのですが、やはり気になるのが海洋生態系への影響。誰が出荷停止をしてくれるでもなく、汚染された餌を食べて生きるしかない野生動物は、子供たちと同じく純然たる 原発事故の犠牲者。以前の記事でも書いたように、児童から出たBq/kgの値を食品の暫定規制値と比較するのは愚か者のやることです。
 ツチクジラよりもっと浅い海域を生息圏とし常磐沖を回遊ルートとするハンドウイルカやスナメリに対する影響はより深刻。スナメリはただでさえ危険な状態にある絶滅危惧種。10月にNGO主催のイベントが銚子で開かれていますが、たとえ業者が震災・津波被害から立ち直ったとしても、肝腎のウォッチング対象となる野生動物のほうが無事でいられるかどうか・・と暗澹たる思いに駆られてしまいま す。
 ウォッチング関連のイベントなどは、国内の野生動物に対する意識転換を促す活動として、意義がないとはいいません。が、それは本来息の長い活動を経て、10年、20年と時間をかけて少しずつ成果が見えはじめるもの。双方の譲歩のもとに調査捕鯨を段階的に削減し、十年毎に評価するという現実的な動きに対し、「けしからん」と異を唱える姿勢とは、むしろ対極に位置するアプローチです。
 捕鯨サークルは、「捕鯨と観鯨」の両立も以前から謳っています。曰く、「観光牧場でステーキを食べるのと何が違うのか?」と。実際、アイスランドでも日本でも、観ながら食べることに何の疑問・違和感も感じないという層は、残念ながら少なくないようです。筆者には、クジラであれ他の動物・野鳥であれ、そういうことの出来るヒトたちとはお近づきになりたかないですけど・・。
 標語に使われがちな里海という言葉も、「南極海は里海だ」と平気で豪語するとんでもない御用学者がいるように、むしろ業界は利用価値があると考えるでしょう。たとえ実態は地産地消に反するよその海への侵襲行為であったとしても。残念ながら現状では、南房総の外房捕鯨の「こどもたちに解剖を見学させるアプローチ」と、共存共栄路線の関係を歩むことになりかねません。
 イルカやクジラたちの本当の願いは、「どうぞ観に来てください」でも「どうぞ食べに来てください」でもなく、「どうかきれいな、元通りの海に戻してください」だと、筆者は思います──


◇アンケート集計結果

http://www.kkneko.com/cgi-bin/enq.cgi?id=kkneko

 ご協力いただいた皆様、ありがとうございましたm(_ _)m
 アクセス数は延べで約350件。
 賛成と反対の比率10:7を見ると、巷の業界・マスコミの偏向世論調査、あるいはTPPのそれと比べても、反対派がやや多いですな(笑)。もっとも、層の厚みを考えると、たった10件というのはかなり少ないと見るべきでしょう。反反捕鯨派の皆さんはなかなか賢明な方揃いのようで・・別にわざわざお答えいただいた方々が無思慮だと言ってるわけじゃないんですけど。。
 で、当コンテンツを残すか、削除するかの希望は9:8とほぼ拮抗。
 実はアンケートの組み方をちょっとマズッて、Q2−1〜3を必須回答項目にしなかったため、Q1とQ2のリンクが取れず(- -;; 賛成派用と反対派用、2種類用意しておくべきでしたね。残留が賛成派1名以上、反対派2名以上、ということだけしかわ かりません。「賛成反対云々より、日本の市民の多様な意見のひとつとして、残しておいたほうがよい」が6名いらっしゃいます が、ウヨガキと呼ぶのが失礼にあたる理性的な捕鯨賛成論者がいらっしゃらないとは限りませんし・・。残りの意見は、「市民の多様な意見はもう十分だから、ココは潰してかまわない」というところでしょうか。
 Q2−2も「気に入らない」のがどちらのサイドなのかわからないですね(--;; アホでした。反対派の意見はB1・B2に集約されるものと勝手に認識しておったのですが・・。
 Q3については、それぞれ多いと見るか少ないと見るか、訪問者の皆様の判断にお任せしたいと思います。SSと一緒にされるのはヤダと思っている人たちはいるかもしれませんが。Q3−2・B3がないと、返って同情したくなる気もしますね・・。本日の記事で、言い残しの多かったIFAW批判だけはしておきましたが、糧になる批判だったかどうかは、本人たち次第です。
 Q4、2ptはご愛嬌だからよいとして、6ptで同率1位エントリーの6コンテンツについて、まず評価いただいたことに対して改めて御礼申し上げます。原発事故関連記事がトップでないのは少々残念ですが。
 「ジュゴンとクジラ・署名プロジェクト」:これは必要でありながらまったく十分でないアプローチです。捕鯨問題に関わってき た内外のすべての団体が、真剣に反省すべき点だと思っています。「切り離したほうがいい」と判断している人たちが依然として 多いのでしょうが。ブログでは何度も書いてきましたが、筆者は動物の中でクジラが特に好きなわけではありません。捕鯨問題を 捕鯨問題特化で、他の文脈──環境、科学、動物福祉、食、政治、文化、国際化etc.と切り離して考えていいという見方・考え方は、筆者にはまったく出来ません。捕鯨に限らず、社会問題はすべてリンクしている、根っこは一つであるというのが筆者の不変 の認識です。捕鯨問題に関する発信をしてきた理由の一つは、投入されるエネルギーのバランス、国内で圧倒的に少なすぎ、海外 では不必要なまでに多すぎる点。そして、水産庁/捕鯨協会/国際PRが元CITES事務局長などを担いで展開してきた反反捕 鯨アプローチは、他の業界の手本となる輝かしい成功事例であり、反環境保護、反動物福祉、愛国・拡張主義のバイブル的存在・ 防波堤として、すべての問題の進展を遅らせている元凶であると同時に、逆の見方をすれば道を拓くための鍵でもある──という認識があったからです。“平等に殺せ”という、すべての自然、すべての命にとってマイナスでしかない非常に危険な思想が日本で蔓延っていることに対し、深い憂慮を覚えたからです。タイミングが遅かった、主催者への信任など、反省すべき点は多いですが、これは 「誰かがやらなければならないこと」、「誰もやっていない、やろうとしないこと」でした。「すでにやられている」「もっと優れたことがなされている」という人が多数であれば、筆者として言うことは何もありません。
 クジラたちを脅かす海の環境破壊:ステータスのある関係者・NGOが、もっと優れたコンテンツを提供すべきという一言に尽きるでしょう。主観を言えば、ホントろくなのがない(--;; 
 捕鯨と科学と価値判断:これも票を入れてくださった方々に感謝しております。残念ながら、批判派はすべて内外の別の科学者・権威のステータスに依存するアプローチを取ってしまっているため、そもそも科学とは、価値判断とは何なのか、市民の立場から物申すことが非常に軽んじられているのが現状。捕鯨問題に限らず、原発から何からそうですが。科学者は確かにプロですが、プロの基準がまた学会の都合で決まったり、結局玉石混交ですし、彼らが提供するのはあくまで参照情報なのです。殺すか生かすか科学が決める、そんな暴挙を許してはなりません。
 無価値に等しい調査捕鯨の科学性:上とセットで読んでいただきたい内容。筆者自身は検証に相当リソースを費やしたつもり。市民ブロガーの皆さん以外の連中は細かいツッコミをしないから、具体的にどこがどういう具合におかしいのかの判断が人任せなんだよねぇ・・
 間引き必要説の大ウソ:市民ブロガーの皆さんのほうがよっぽど目ウロコ快刀乱麻な解説が多いので、ぜひそちらをチェックしてください。
 捕鯨報道・マスメディアランキング:どうなんですかね。これも本来は曲がりなりにもジャーナリストと呼ばれる人の仕事だと思いますが・・。近年は報道の関心がさらに下がり論調も単調になってきたため、まとめ甲斐もなくなってきましたけど・・
 さて、最後の設問ですが・・オプティミストが13に対し、筆者と同じペシミストが4という結果に。なお、捕鯨賛成派の方は全員が「はい」とお答えになった模様です。筆者より若い方がペシミスティックだったりすると、それはそれで悲しいのですが・・。「はい」を投じた皆様に一言。楽観的な展望を持つためには、絶対必要な前提条件があります。現実から決して目を逸らさないこと、です。クジラや他の野生動物たちへの被曝の影響について、まったく無反応な世間に対し、筆者は深い失望を覚えました。事態は非常に深刻です。数年のうちに、悲惨な様相が次第に明らかになってくるでしょう。また、主体的に情報を収集しようとしなければ、それらの情報は水面下に隠されてしまうでしょう。
 原発・TPP・沖縄・・この国は何もかも悪い方向に向かっています。霞ヶ関も永田町も手の施しようがありません。目の隅で何も知らずに遊んでいるこどもたちの姿を捉えつつ、目に見えない放射線を、計測器片手に調べていると、放射能に対する恐怖というより、現実との乖離の感覚に、眩暈がするほどのやりきれなさを覚えます。物理的・生物学的な存在・ただの動物にすぎないニンゲンが、なおかつ万物の霊長であらんための、あるべき社会・目指すべき社会とは、あまりにも程遠い有様に。
 未来に希望を持っている人たち、若い世代に対しては、酷な要求かもしれません。でも、ごまかしはいけない。見たくないこと、自分の予想、思い描く理想と違うからといって。
 言葉やフィーリングは、ときに真実の姿を曇らせます。大体、そういうのは捕鯨サークル/国際PRの得意分野ですからね・・。エコ・動物フリーク層と感性の異なる人たちに対して、処方箋にはなりません。そして、現在は先方のほうが圧倒的多数派なのも残念ながら事実。
 「未来があるなどと思うな」と他人に強いる権利は、筆者にはありません。
 筆者に見つからなかった答え(それは少なくとも、すでに転がっているものでは絶対にない)を、これからの世代が見つける可能性がゼロだとも断言できません。
 ただ、前を向いて歩き続けたい人たちには、前「だけ」を見ないように、と忠言しておきます。そのために、当サイトはしばらく残しておくことにします。
 削除を熱望されていた反反捕鯨派の皆さんゴメンチャイ。予想より賢明な方々が多かったことには脱帽ですが。
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2011年07月05日

ペンギンバイオロギングVS調査捕鯨/水産庁赤点(byガンツ先生)

◇PRもウソも水産庁の方がGPより何枚も上手だ

■水産庁の調査は本当にグリーンピースより信用できるのか?|JanJanBlog
http://www.janjanblog.com/archives/44625

 してやられました……。詳細は記事の方をチェックいただきたいと思いますが、値を出さないようにすべくテクニックを駆使した感があります。こういう切り抜け方に関しては、霞ヶ関の役人は本当に頭が切れますね。マスコミ/一般市民が注目しない以上、後はウヤムヤにどうとでも誤魔化せてしまうでしょう。β核種の測定が難しく時間がかかるのはいた仕方ありませんが、市民の関心はSr89の半減期より短かったようで・・残念なり(--;;
 6月1日、ちょうど前回の記事を入稿したタイミングで「ストロンチウム調査やります!」という朝日報道が飛び込んできたときは、「やるわきゃねえだろ」と頭から決め付けていたこともあり、本気で感心したんですけどね〜。霞ヶ関に生息するホモ・サピエンスの習性については、裏事情も含めそれなりに理解しているつもりでしたが、今回は判官ビーキだったようです・・
 環境NGOの体質の問題については、まあ実害はないといえるでしょう。しかし、水産庁はすべての国民に対して正しい情報を公開する責任義務を負っており、今回のように恣意的な情報操作の謗りも免れないほどズサンな調査で済ますことは決して許されません。検討などとお茶を濁してないで、実際に汚染が疑われるだけのサンプルをちゃんと使ってただちにやり直すべし!



◇殺さない科学VS殺す科学/ペンギンバイオロギングと調査捕鯨とでは月とスッポン

■南極昭和基地でのアデリーペンギンの生態調査|『どうぶつと動物園』('11夏号)
■第6回日本バイオロギング研究会シンポジウムin2010「バイオロギングによる極域動物研究の最前線」ワークショップ「動物の移動データ解析」講演要旨集|日本バイオロギング研究会・極地研
http://polaris.nipr.ac.jp/~penguin/Official/Personal/atak/Abstract_6thSympo.pdf

 これまでもいくつか紹介してきましたが、今回は日本の調査捕鯨の非科学性・劣位性に直結するネタ
 寄稿者は国立極地研・生物圏研究グループ准教授の高橋晃周氏。下のリンクは高橋氏らが行ったアデリーペンギンのバイオロギングの概要。ペンギンフリーク(ルックスではなく学術的興味のあるヒト!)は是非お読みいただくとして、以下関係する部分を引用・デコしておきます。


 近年、気候変動による野生生物への影響が多くの地域で報告されていますが、その影響が最も懸念されている地域の一つが南極です。南極に生息する生物は寒冷な環境に対してさまざまな適応をしているので、わずかな温度上昇でも、生物の活動に与える影響は大きいと予想されているからです。では実際に南極の生物たちに長期的な変化は見られているのでしょうか? じつは、この素朴な疑問に答えられるほど長い期間にわたって研究されている生物種は多くありません。そんななか、南極に生息するアデリーペンギンの個体数は、各国の南極観測隊に拠って継続的に調査されているため、生態系の変動を示す指標となるのではないかと期待されています。

 クジラ以外の野生動物にも、野生動物としてのクジラにも関心のない反反捕鯨ネトウヨ層を除き、環境問題に意識の高い方はすでにご存知の内容でしょうし、そうでない方もペンギンやアザラシやクジラたちの行く末を懸念されることでしょう。
 ここで赤字/青字部分にご注目。研究論文よりマスコミへのビデオ提供の方が本数が多そうな、どこぞの研究機関と違って、非常に謙虚な物言いですね。本稿で解説されているのですが、実際アデリーペンギンは南極圏生態系の変動を知るうえで非常に優れた、最適の指標動物といえるのです。
 なんてこと言うと、例の研究機関からイチャモンが付きそうですね〜。「『素朴な疑問に答えられるほど長い期間にわたって研究されている生物種は多くない』? いや、いるぞ!」と──
 最近は言葉さえ並べりゃいいと思ってでもいるのか、「生態系」「生態系」と連呼ばかりして、IDCR/SOWERの回数分周回遅れで生態系マイブームに酔ってるらしい鯨研。連中の生態系愛誤ぶりについては、以下の拙記事をご参照。とくに1番目は本件に直接絡むので必読。

−調査捕鯨の科学的理由を"後から"探し続ける鯨研
http://kkneko.sblo.jp/article/18846676.html
−調査捕鯨自体が否定した3つのトンデモ論
http://www.kkneko.com/jarpa.htm
−持続的利用原理主義すらデタラメだった!
http://www.kkneko.com/sus.htm

 それじゃあやってみますかね。アデリーペンギンVSクロミンククジラ。南極圏生態系指標動物としての栄冠に輝くのは果たしてどっち!?

<ラウンド1> 長期的でより精度の高い個体数データが取れている

 繁殖期に氷上のルッカリー(営巣地)で実測なり航空写真でカウントできるので、きわめて精度が高いうえ、営巣地毎の細かいデータの比較ができます。昭和基地周辺の営巣地では1960年代からセンサスが行われており、時系列に沿ったデータが提供されています。

 対するクジラは、海上・船上の目視によるほんの一握りの数字をもとにした完全な机上計算。発見率のパラメータ次第で2倍にも3倍にも。商業捕獲時代のデータはあてにならず、時系列的な比較はできません。さらに、国際鯨類探査10カ年計画(IDCR/SOWER)3周目の数字(そのまま比較すれば大幅減少)をめぐっては「氷の中に隠れたんだ!」とか言って日本側がごね、正確な数字がいつまで経っても出てこない始末。これで指標動物になどできるはずありません。
 第一ラウンドはアデリーペンギンの圧勝!
 ちなみに、アデリーペンギンの総個体数は推計261万番(つがい)とされ、レッドデータブック上では最も頑健という位置づけ。単位体重当りの摂餌量は低代謝のクジラとは比較になりません。主食はオキアミで、捕鯨ニッポンに言わせるなら、シロナガスクジラと競合して回復を妨げる「海のゴキブリ」。競合仮説には明確な科学的根拠がないとはいえ、時系列の正確なデータがないクロミンククジラと異なるのは、全体的には個体数に増加傾向が認められ、要因の一つとしてシロナガスやナガスなどの大型鯨類が商業捕鯨の乱獲(日本含む)によって激減したことが挙げられます。以下もご参照。

−ペンギンとクジラ
http://kkneko.sblo.jp/article/17209502.html
−アデリーペンギン|南極動物図鑑
http://polaris.nipr.ac.jp/~penguin/oogataHP/zukan/adelie/adelie.htm

<ラウンド2> 生態系の変動による応答速度が速い

 個体数の多さに加え、繁殖率もクジラとはもちろん比較になりません。毎年繁殖し通常1巣当り2卵でメスの性成熟年齢は4、5歳。クロミンクは1産1仔、性成熟するのに最低でも7年以上。そして、単位体重当り摂餌量の差も。こうした特性は、気候変動などの要因による環境変化に対し、より敏感に、より素早く反応が起こること、指標動物としてより適性があることを意味します。
 ただし、これはクジラが影響を受けにくいという意味ではなく、繁殖サイクルが長いクジラでは応答が出るまでに時差が生じ、とくに複合的な要因を見極めにくいということ。脂皮厚に関する鯨研のゴニョゴニョ論文を見ればわかるとおり。ちなみに、個体数が少ない猛禽や大型肉食獣は、食物連鎖の高位であることが「敏感さ」につながりますが、食物段階でいえばアデリーペンギンとクロミンクは同じ。
 というわけで、第2ラウンドもアデリーの勝ち!

<ラウンド3> 繁殖生態に関する情報が揃っている

 これはきわめて重要。ご存知のとおり、IWC科学委から繁殖海域と関連情報を取得しろとせっつかれても日本は無視し続けているため、事実上科学的データは白紙の状態。繁殖生態が詳細に掴めていなければ、指標生物にしようがありません。繁殖への影響を詳細に分析できないからです。
 もちろんアデリーペンギンの繁殖はその場で調査されているので、情報量はクロミンクの比ではありません。で、非常に興味深いことが明らかになっています。全体では増加傾向にありますが、南極半島部の営巣地では気候変動が主な原因と見られる個体数減少が起こっているのです。
 気温や海氷の状態の変化は、餌となるオキアミの量や分布の変化を通じてペンギンの繁殖に影響を及ぼします。これはとくにヒゲクジラの中で氷縁をニッチとするクロミンクも同様
 高橋氏によれば、今年の昭和基地周辺の営巣地では、トウゾクカモメさえ持て余すほど抱卵を中断して放棄された卵が見つかったとのこと。ペアは抱卵のため10日から2週間ずつ交代で巣を守り、パートナーが餌を取ってくるわけですが、十分な餌を確保できなかったことが原因とみられます。さらに、なぜ餌が捕れなかったかといえば、今年は基地周辺の氷が厚く張り出し、通常餌を捕るのにペンギンが利用するクラック(氷の裂け目)が営巣地周辺で発達せず、何十キロも氷上を歩かないと海に出られないような状況だったから。雛の孵化率は調査記録の中で最低の3割程度に留まったとのこと。
 こうしたきめ細かい分析が可能なのは、繁殖に関する科学的知見がきちんと得られているからこそ。鯨研の粗悪なガラクタ論文とは比較にならない成果が挙がっているのです。
 第3ラウンドもアデリーの完勝!

<ラウンド4> 殺さない調査のため影響を与えずに膨大な情報が得られる

 上掲リンクで紹介したとおり、バイオロギングはいままさに日進月歩の飛躍的な技術進歩を遂げている野生動物学のトレンド一方、調査捕鯨に代表される致死的調査は、一瞬のスナップショットのみ切り取って貴重な科学的データの宝庫を破壊してしまう、きわめて欠陥の多い手法
 調査捕鯨で国際的に評価されたのは、調査がはじまる前の外野の数学者による論文1本のみというあまりにも情けない始末。「生態系」がどうのと口実をコロコロ替えるだけで、中身は30年間何一つ変わりゃしません。耳垢をスライスしたり、牛の卵子とクジラの精子を掛け合わせるだのくだらん研究にサンプルだけ提供して、論文執筆者に名前を載せてもらったり。「ますますひどくなっている」という対外的評価は、あまりに対照的な非致死的研究の発展ぶりを考えれば当然といえるでしょう。
 アデリーペンギンではGPSデータを使って捕食行動を解析する努力がなされていますが、気候変動の影響を明確に関連付けるためには、詳細な行動記録のデータが欠かせません。鯨研の致死的調査からは机上の推論だけで一歩も先に進まず、南極圏生態系への影響を知りたい研究者と市民に必要な情報を提供できないのです。
 またしてもアデリーの勝ち!

<ラウンド5> 必要な科学的情報を得るためのコストが安い

 日本も含めて各国が競い合うように、クジラなど大型海棲動物を含むさまざまな野生動物を対象に、様々な調査研究が行われるようになり、個人の研究者・少人数のグループが個性的な調査に意欲的に取り組んでいます。データロガーは深海の水圧に耐えるものでも安ければ10万程度で手に入る時代に。
 副産物の収益で50億円前後の予算を賄い、それでも足が出て税金を10億円以上注ぎ込んでいる国家プロジェクトで、延々と1種だけ代わり映えしないケンキュウを続けるという日本の調査捕鯨は、まさに異常としかいいようがありません。
 財団法人の鯨研なのに対し、国立の極地研は、オゾン層観測からペンギンの生態まで、地学・天文・気象・生物と幅広い分野にまたがる国際的にも重要な研究を多く手がけていますが、年間の科学研究費補助金は3億円(’10、件数35件)。クジラオンリーで毎年10数億円出し続けるのはあまりにも馬鹿げた、他の分野の科学を愚弄する話だとさえいえるでしょう。 

<ラウンド6> 各国の協力によって国際調査が実施されており、
政治によって結果が左右されない

 業界と密接に癒着し副産物を市場に流し、調査計画まで恣意的に作られている状況では、データ自体が国際社会から信頼を得られません。南極圏生態系のモニタリングは、世界中のすべての国の利害が一致するはずの課題。各国の協力のもと、中立的な調査研究が保証されるべき。ペンギンの非致死的調査であれば、データにいちゃもんはどこからもきません。クジラに罪はありませんが・・。
 モニタリングの指標動物にしたいのであれば、最低でも調査計画にあたって海外に門戸を開くと共に、副産物販売をやめることが前提
 そーゆーわけで、アデリーペンギンVSクロミンククジラの指標動物対決は6:0で勝負アリ!



◇オマケ

 組織の立場・利益と、個人の心情・感情とは、はっきりと切り分けなければならないのですが、私たちはつい両者を混同したり、取り違えたりしてしまいがち。それもニンゲンという動物の多々ある欠陥の一つといえますが。カリスマ性を備えた人物を前面に立てることで、バックにある集団の論理をオブラートで包んでカモフラージュし、特に若い世代を惹き付ける戦術は、右も左も、赤も緑もなく、国境を越えた普遍性を持っています。
 池上彰の「いい質問ですね〜」にしても、渡部陽一の「戦場カメラマン」なる肩書きやスローテンポのしゃべりにしても、計算づくのキャラ設定であり、TVで顔を売るために用意された道具。蓋を開ければどちらも底の浅いこと浅いこと。ただの一夜漬けの知識を、お茶の間向けに噛み砕いて巧みに提供するテクニックに長けているだけ。たとえこどもじみたパフォーマンスであっても、電波に乗せられて届く単なる一方通行の映像にすぎなくとも、視聴者は一種の錯覚でしかない親近感・好感を覚え、果ては人柄と全然関係のないニュース>氛沛d要な細部が徹底的に削ぎ落とされ、特定の視点のみから論じられた解説>氛氓、中身を問いもせずにすんなりと受け入れるようになってしまう。それも、煎じ詰めれば帰属意識という、悲しい動物・ニンゲンに顕著な習性の故。
 そして、永田町・霞ヶ関も、演出装置であるマスメディアも、対極にあるはずのリベラル市民運動界隈も、結局のところ同じ力学法則に縛られているように思えてなりません。同じ土俵で戦う必要がある以上、如何ともしがたいことかもしれませんが……。
 この「ギョーカイ」でも双方で人気を博しているカリスマがいます。小松正之氏が「世界が選ぶ100人の日本人」にランクインしたのは、寝技をモットーとするこれまでの日本の外交官とは異なるタイプで、定着した日本人のイメージから離れてたという、ただそれだけの話です。何しろ言ってることはムチャクチャなんだから。石原と同レベルのアホ、P・ワトソンは言わずもがな。
 この社会性哺乳類の性癖・心理をより的確に把握し、誘導・操作できた方が勝者だとすれば、反反捕鯨世論をここまで育てあげてきた捕鯨サークルの圧倒的勝利。欧米に対する根深いルサンチマンを見事に引き出した国際PR/捕鯨協会は、クジラよりニンゲンという動物をまさに知り尽くした組織だったといえるでしょう。
 最近は、クジラに限らず原発から沖縄基地問題まで、ムードに流される傾向が一段と強くなった気がするこの頃。冷静に距離を置いて客観的に評価・分析する作業の方は、ますます蔑ろにされてますね・・・
posted by カメクジラネコ at 03:31| Comment(1) | TrackBack(0) | 自然科学系

2011年06月26日

水産庁はただちに調査捕鯨をやめ、調査捕ヨコエビをやれ!/捕鯨日本終了

 東電の発表のタイミングを考えると、そろそろ水産庁からストロンチウムの検査結果の報告があっていい頃合ですが・・・


◇水産庁はただちに調査捕鯨をやめ、調査捕ヨコエビをやれ!

■富山湾の異変とダム排砂問題:ヨコエビ|科学に佇む よしなごとかきこみ所
http://dormb.blog55.fc2.com/blog-entry-472.html
■第19回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『不可解な事実 〜黒部川ダム排砂問題〜』(制作:富山テレビ)|フジテレビ
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/fnsaward/19th/10-129.html
■ザ・ベストテレビ2011 − 第1部 − (6/25,NHKBSP)
https://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20110625-10-16056 (リンク切れ)

 富山テレビが制作した、民放連の報道ドキュメンタリー部門の最優秀賞受賞作。本放送は昨年夏、1月にフジで、つい先日NHKBSで紹介されました。電力会社・漁業者・社会のかかわりを深く考えさせられる、311後に改めて観る価値のある番組でした。
 予算が非常に限られたローカル局でも、優れたドキュメンタリーが作れるということを証明した一方、別部門で自画自賛したNHKは、財政云々以前にもはや社会派ドキュメンタリーを作る力量をすっかり喪くしてしまったようです。最近太地等捕鯨関連の番組ばっかり流してますが、当事者の一方の裏側を追及する姿勢は欠片もなし。視聴者にますますわかりにくいだけのCGばっか凝ってるしね・・。
 ともかくこの番組、捕鯨問題ウォッチャーは必見。直結する様々な問題が内包され、示唆に富んでいます。
 筆者自身の感想の一つは、「コクだったら大喜びしそうだなあ・・・」
 北西太平洋に生息するニシコククジラはヒゲ鯨類の中でも最も絶滅が危惧される種の一つ。絶滅寸前にまで追いやった責任があるのはロシア・韓国・そして日本(古式・近代とも)の捕鯨業者。かつては瀬戸内海に繁殖場を持っていたという説もありますが、生息数が十分だったら、ヨコエビを適当に除去する“益獣”の役割を果たしてくれたかもしれません。ご存知ない方のために解説すると、コククジラのエサの取り方はやや特殊で、海底の砂泥をふくんで中に棲むヨコエビやゴカイ等の小動物をヒゲで濾し取ります。まあ、ヘドロに含まれる有害物質にはやられちゃうかもしれないけど・・。
 それにしても、誰の目にも明らかなダム排砂と漁業被害の関連性について、御用学者の検討委員会は「因果関係は立証できない」の一点張り。訴訟は和解でうやむやに。
 番組をご覧になった方は、カレイに群がる肉食化した大量のヨコエビに、映像的にもショックを受けたでしょう。最初の県の水産試験場の調査では、ヨコエビの日周行動を把握しないまま、ちょっと採泥器ですくっただけで「いませんでした」と公式に大量生息を認めず。そうしたデータが紙の資料としてテーブルの上に並べられ、エライ先生方がそいつを眺めて“科学的な結論”をまとめるわけですね・・
 こういうのは諫早干拓事業・原発の温廃水問題にも通じる話。そして、疑わしきは弱者(零細沿岸漁民・海の生態系)ではなく、強者(電力会社・ゼネコン)の利益に」というのが、水産庁を含む日本政府による科学的不確実性の解釈だったわけです。
 そうなると奇妙なのは、トンデモクジラ食害論ですね。一部のホットスポットを除いて、海棲哺乳類と漁業との競合という珍妙な仮説は証明されていません。トドのケースのように、個体数減少が逆に漁業被害を拡大したという報告もあるわけです。黒部ダム排砂問題に関わった委員がJARPN2の計画書/報告書を読んだら、どういう感想を口にするか、是非聞きたいものですな・・。
 要するに、国(水産庁)にとって、捕鯨業界は電力会社・ゼネコンと同じ側に位置づけられる存在だった、というだけの話。
 赤松元農相は「害があるのはクジラぐらい」とあまりにも子供じみた非科学的発言をしましたが、エチゼンクラゲ、ナルトビエイ、バラスト外来生物、そしてヨコエビと、漁業に深刻な打撃を与えている生物は枚挙に暇がありません(それも元はといえば人為的な環境異変に基づくものと考えられますが)。ヨコエビの研究者は全国の水産試験場にほんの2、3人とのこと。バカげた調査捕鯨に投じられる補助金は、全額ヨコエビ研究に回して然るべき。日本の沿岸漁業者全体の利益のためにも。
 漁業者といってひとくくりにできないのは、富山湾のダム排砂問題においても同じ。関西電力は下流の内水面漁業者には補償金を払って口止めし、河口の外側の刺し網漁業者は無視という、漁業者分断の手法をとりました。こうすることで、補償を最少に抑えられるうえ、水産庁・全漁連とはお互い敵に回らずに済むわけです。原発の立地補償、温廃水養殖事業は、まさに共存を演出する手法の最たるものでした。重大事故が起こってから、全漁連・水産庁は東電に向かって拳を振り回すパフォーマンスをしてますが、放射能汚染そのものではなく風評被害というフレーズにすべてを丸め込もうとするのは、やはり沿岸漁民・海の自然をなおざりにし、原発維持・推進政策に乗っかっているからだといえるでしょう。
 考えてみれば、黒部ダムは水力発電、原発と対置される自然エネルギーに違いありませんが、いま注目されている小水力とは対照的に、事業の構造はむしろ原発に近い側の国家的プロジェクト・大規模開発事業でした。
 構図は小規模分散型・市民主導型自然エネルギー VS 一極集中自然征服型・経済至上主義型・政官民一体利権型《不自然》エネルギー
 漁業もやはり同じ。海・魚の立場を優先できる《自然に優しい漁業》 VS 捕鯨や遠洋巻網等の《自然収奪型漁業》という構図があり、国は常に後者を優遇してきたわけです。
 「乱獲につながるから」という理由で近代装備の導入を拒み、素潜りの伝統を頑なに守り続ける漁業者の鑑にして誉れ、海女漁は、深刻な高齢化・後継者不足に喘いでいます。小遣い稼ぎの位置づけで収入は低く、水産庁や全漁連にはなおざりにされてきました。魚を育む禁漁区を維持してきた沿岸漁民も産廃事業者の進出に頭を悩まされています。調査捕鯨に毎年多額の補助金を施し、資源管理・伝統漁業の落第生太地にばかり肩入れする水産庁ですが、真の伝統に忠実な全国の零細漁業者を真剣に守る姿勢は見受けられません。
 東北ではおりしも復興水産特区構想が持ち上がり、捕鯨推進のA級戦犯小松正之氏もエールを送っていますが、水産界の構造改革はノルウェー、あるいは豪州・NZ型の厳格な資源管理が先行していて初めて意味があります民の前に官が変わらないと話になりません。旧態依然とした乱獲体質に手をつけずに新規参入だけを促せば、良心的な沿岸漁業者は更に窮地に追い込まれ、素人が一次的に地先の海を荒らして撤退し従業員をほっぽり出す悲惨な結果を招くでしょう。それはまさに、今なお水産行政を牛耳る大手の前身となった捕鯨事業者が、全国であっという間にクジラを獲り尽くしたかつての惨状を、東北の海・魚全体で再現することに他なりません。同時に、わずかに残っているモラルとともに、水産業そのものが壊滅することを意味します。TPP推進派の政官財界は、一次産業がどうなろうと知ったこっちゃないのでしょうが。


◇捕鯨日本終了(ネタ)

■The Implementation of UNGA Resolutions 61/105 and 64/72 in the Management of Deep-Sea Fisheries on the High Seas (〜東北大石井氏のTweet)
http://www.stateoftheocean.org/pdfs/61105-Implemention-finalreport.pdf
■福島第一原発事故と海の野生動物への影響
http://kkneko.sblo.jp/article/44489047.html
■クジラたちを脅かす海の環境破壊
http://www.kkneko.com/osen.htm

 4/4にコウナゴのヨウ素・セシウムの濃度に関する報道発表があったとき、筆者は津波に押し流される家々や、1号機・3号機の爆発の映像を目の当たりにしたときに次ぐ、激しい衝撃を覚えました。そして、数日待ちましたが、この数字が野生のクジラたちを始めとする海の自然にとってどういうことを意味するのか、注意喚起する声がまったく聞こえてこないことに、3度目のショックを受けました。
 計算は科学者でなくてもできます(小学生でもできます)。検算も科学者でなくてもできます。仮定に基づく試算ですが、その数字が何を意味するのかは、やはり科学者でなくても理解できます。そうでなくてはなりません。
 名古屋COP10からまだ半年しか経っていないのに・・・・
 東北沿岸では津波によって保管されていたPCBも流出しました。イルカ・クジラ・アザラシ等の海棲動物たちには、放射能との二重のインパクトが与えられることになります。混獲・捕鯨と合わせればまさにトリプルダメージ
 IWC科学委では、鯨類を取り巻く環境異変についてどのように取り上げられているでしょう? WWFIは、氷縁で採餌するクロミンククジラはシロクマやイッカク、アデリーペンギンなどと同様、温暖化の影響をシビアに受けると指摘しています。繁殖率でも個体数でもクロミンクより圧倒的に上のアデリーペンギンですが、一部の営巣地では減少が始まり、警鐘を鳴らす研究者もいます。IDCR・SOWER3周目の減少も、あるいは気候変動と関連するかもしれません。
 非科学的な調査捕鯨への自画自賛評価と対照的に、そして先に取り上げたダム排砂・ヨコエビ問題と同様に、日本側の抵抗で気候変動の影響は資源管理に組み込まれていません。他人事のようにチラッと触れられるだけ。また、汚染についても──これは煙草や医療被曝ないし自然放射線と原発事故による放射能汚染との関係をめぐる議論に通じるものなのですが──「統計的に呑まれる」という一言で表現されるように、実は考慮されていないのです。実際には、有機塩素にしろ放射性物質による晩発性障害にしろ、死亡率の数字には含まれない、時差を伴った繁殖率低下という非常に深刻な影響を及ぼします。いざ影響が表面化したタイミングで捕獲を中止しても、長期的に回復せず、場合によっては生息数が減少し続けることも十分起こり得るのです。野生動物の絶滅は歴史的にも、しばしばこうした汚染や生息地破壊と直接的捕獲とのセットによって引き起こされてきたのです。

 原発も、捕鯨も、ニンゲンの傲慢さの象徴でした。
 自然の多様性、種の多様性を蔑ろにする人間中心主義。
 科学の力で、原子も南極の自然も管理できるという奢り。
 世界中に放射能を撒き散らしながら、なおも便利な生活、グルメを追求したいという身勝手。

 個人的には、福島第一原発事故の影響は、捕鯨なんぞよりはるかに重大だと認識しています。ただ、当のニンゲンの子供すら疫学的実験台にされつつある中、社会としては野生動物の命どころではないでしょう。そしてまた、撒き散らされた放射能を回収したり、被曝した野生動物に医療処置を施す術もありません。
 福島沖からかなり離れた海域で漁獲された回遊性魚種でも汚染がすでに発覚していますが、捕食者への影響が本格的に顕れるのは半年から1年後。クジラなど長寿命の動物に被曝の影響が出るのは数年後。そして、まだ事故は収束すらしていません。汚染水の処理もトラブル続きでギリギリの綱渡り状態。早晩処理が間に合わなくなって低濃度♂染水を排出するか、梅雨後半の大雨ないし台風で自然にあふれ出すかするでしょう。メルトスルーした核燃料の残滓は、岩盤と遮蔽版で囲う程度のことしかできず(それさえ東電は株価を気にして遅らせようとしてますが・・)、地殻変動や地下水の流れを考えると、プルトニウムの半減期に比べれば瞬きする間でしかない数百年さえ、もつ保証は何もありません。
 世界で最も多様な種が棲む海と賞賛された日本の海は、もう死亡宣告されたも同然です。
 ニンゲンは本当に、クジラにも牛にも犬にも猫にも及ばない、どんな動物にも及ばない、どうしようもなく愚かな動物です。
 それでも、何年先に再開できるかもわからずその間どうしたらいいかと途方に暮れている被災した農民・漁民をほったらかして、いつ甲状腺癌にかかるクジを引くかと怯える母子を差し置いて、何の罪もなくただ被害に苦しめられる野生動物に追い討ちをかけるような、愚かというよりとことん醜い見下げ果てた真似だけはしてほしくありません。日本人という以前に、ニンゲンとして。


 もうひとつ、原発と同じくニンゲンの愚かさの象徴が。
 日米両政府は米軍普天間基地の辺野古移転で合意。
 クジラたちを始めとする東北の海の野生動物たちと同様、沖縄のジュゴンもまた、ニンゲンの愚かさの犠牲にされようとしている。
 事故や恒常的汚染があっても原子力推進、事故や恒常的騒音被害があっても軍備増強。
 ニンゲンは本当に、クジラにもジュゴンにも犬にも猫にも及ばない、どんな動物にも及ばない、どうしようもなく愚かな動物です。本当に。

追記:
 最近なかった明るいニュースといわれる小笠原世界自然遺産登録について、ツイートをこっちにも再掲しときます・・
 勧告したのはIUCN。現地調査に入ったのは豪州の野生生物研究者。環境省は北半球のザトウクジラの繁殖海域としての重要性も挙げた。
 南半球ザトウ(島嶼系群の稀少性は小笠原・沖縄のザトウと同列)を政治カードにして卑劣な脅し≠かける真似を、日本政府は二度としちゃダメ!!

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2011年06月14日

捕鯨推進の立役者・小松正之氏の本音/福島第一原発事故とクジラ(続)

◇捕鯨推進の立役者でGPともお友達の小松正之氏、てっきり水産改革の旗振り役だと思っていたが、元官僚の本音がポロリ

■小松正之氏、てっきり水産改革の旗振り役だと思っていたが、元官僚の本音がポロリ
http://togetter.com/li/148690
■持続的利用原理主義すらデタラメだった!(拙HP)
http://www.kkneko.com/sus.htm

 小松氏のオピニオンを読まれる方は、併せてご一読を。



◇福島第一原発とクジラ(そのいくつだったっけ)

■福島第一原子力発電所取水口付近で採取した海水中に含まれる放射性物質の核種分析の結果について(6月11日採取分) (6/12,東電)
href="http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110612h.pdf
■高濃度のストロンチウム検出 福島第一の地下水や海水 (6/13,朝日)
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201106120181.html
■福島第一原発事故と海の野生動物への影響
http://kkneko.sblo.jp/article/44489047.html
■ストロンチウム汚染を「正しく怖れる」ために|JanJanBlog
http://www.janjanblog.com/archives/41617
■なぜか放射能測定結果を発表しない水産庁 (YAHOO!BBS)
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834578&tid=a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa&sid=1834578&mid=54284 (リンク切れ)

 本日は福島第一原発のピットたまり水と海水の放射性ストロンチウム濃度が報道発表されました。採取日は5/16、やはり検出に一月近くかかりましたね。取水口北側付近で1,600Bq/L(Sr90)と7,700Bq/L(Sr89)。物理的半減期が同じくらい長期にわたるCs137とSr90の比はちょうど1割弱くらいですね。濃度と生物濃縮係数(魚体全体でCs100に対しSrは3程度)の比をもとに大雑把に試算してみましょう。コウナゴから検出された放射性物質のこれまでの最大値はCs(134+137)で14,400Bq/L、I131で12,000Bq/kg(いずれもいわき市沖、4/18と4/13)。Sr/Csの流出量比が一定との仮定で4月中旬まで遡った場合、コウナゴ中のSr(90)は21Bq/kgに。Sr90の内部被曝線量換算係数はCs137の倍ちょいくらいで、数字で単純に比較すれば影響はCsの1/300くらいに。
 ミンククジラが受ける累積被曝量(1ヶ月)としては、数百μSv程度ですかね。ただ、Srは妊娠メスや未成熟個体の感受性が高いので、仙台沖に回遊する未成熟個体への影響はもっと大きくなりかねません。ニンゲンの食品からの内部被曝を考える場合、核種の中ではセシウムの影響が桁外れに大きいといえそうですが、クジラなどの野生動物では半減期が短いヨウ素の影響もクリティカル。野生動物用の暫定規制値があるわけじゃないですから。水産庁は仙台沖の調査から逃避、釧路沖の調査も一握りで、データの出方を見ると真面目に取ってるのか疑わしいことこの上ないです。消費者でないので知ったこっちゃありませんが。JARPNUもクジラを含む生態系トータルの放射能調査に切り替えろと進言したのに、被災漁業者そっちのけでまた鯨肉在庫あぶれさせようとするし・・。
 たぶん数年後には、かなり深刻なダメージが表面化することになるでしょう。一応警告はしましたからね。
 今月1日に発表した小魚のSr調査の結果が出るのはおそらく来月頭くらいかと思われます。環境でも食品でも結構ですが、原発事故・放射能に関心をお持ちの方は、水産庁の約束を忘れずに覚えておきましょう。

 それにしても、311から3ヶ月。あっという間にも、長かったようにも思えますが、時間の流れ方がそれ以前とまったく違ってしまったという感覚は強く感じますね。TLを流れる原発関連のツイートもどんどん減り、市民の関心の減退は明らか・・・。ドカンといく可能性はかなり減ったと理解していいのでしょうが、大地震でプレートの歪みが新たに加わり、海溝の東側や関東周縁で連動型の大地震と津波が数ヶ月なり数年後に発生し、フクシマと汚染水に駄目押しの一撃を加える可能性もまだ残っているはず。政界のスッタモンダはもうどうでもいい感じだけど、大連立は最悪の選択肢、かといって菅も自然エネ(脱原発とは決して言わない)と原発推進双方に媚を売るとんでもない野郎だし。お先真っ暗。
 イタリアや台湾がうらやましいねえ・・・・


◇オマケ

 仕事の帰り、交通事故の現場に遭遇。被害者は猫。体温がまだ高かったので直前と思われ。まだ若いオスで、顔にかさぶたがいくつもあり、行動半径を拡げようとしていたのでしょう。黒白の雉柄で私の最初の子によく似ている。日本は車に(わがまま放題を許すという意味で)優しく、子供や年寄り、犬猫・野生動物たちのような弱者にはとことん冷たい社会ですな。ほっといてもボロ雑巾化するだけなので連れ帰ることに。近所の自治体ならすぐやる課が来てゴミ捨て場行きになるところ。通りがかりのおばさんがちょっぴり手を貸してくれました。うちの庭は動物の死体だらけでもう埋める場所もないんだがなあ(泣)
 捨てられた仔猫や落鳥した雛の保護なり、見込みさえあれば疲れも苦にならんが、墓堀の作業は肉体的にも精神的にもひたすら疲れるだけ。筆者はバリバリの唯物論者なので死体に興味はありませんが、亡骸を前にしていつも感じるのは、犀の目を誤った天に対する強い憎しみに近い感情です。震災で亡くなった幼い命(種を問わず)の場合も然り。愛娘を亡くした時のダーウィンの悲嘆に、筆者は強い共感を抱きます。
 ニンゲンは科学的にはただのサルの一種ですから、一度きりの自然現象としての生の意味には、種を問わず差はありません。そのうえでなお、命の重みには厳然たる格差が存在します。私たちニンゲンは暗黙のうちに、あるいは死刑や戦争の文脈では公然と、カタガキ/ステータス、ヒトガラ/ジントクに基づき、ヒトの命に線引きすることを自らに認めているわけですが、誰がいつ病気になったり、事故・災害に巻き込まれるか予想もつかない、自然な死の運命の公平性の前には、ニンゲンのやっていることが実にバカバカしい瑣末なことに思えてくるものです。津波の映像を目の当たりにして、ニンゲンが自然の前ではあまりにも無力なただのひ弱な動物にすぎないという冷厳たる事実を、思い知らされた方が多いはず。3ヶ月の間に、もうその感覚も忘れ去られようとしている気がしますが・・・
 傲慢なニンゲンの代表者である反反捕鯨論者の中には「動物の苦痛を軽減してはならない」と驚くべき主張を展開する狂信者までいます。驚くべきは、そこまで狂信的なニンゲンが一人に留まらないこと。扁桃核のサイズがでかいナショナリストタイプがよっぽど多いのかしら、この国は・・。
 国内の犬猫殺処分数を時間をかけてどうにか年間20万頭台にまで漕ぎ着け、いまようやく窒息死に等しい炭酸ガス殺処分を自治体レベルで見直すべく着手されてきている段階に差し掛かったところ。ところが、飽食・廃食大国の日本が南極でクジラを殺し続けるための担保として、IWCも日本の国内法規も含めた国際標準である動物福祉への配慮を一切拒み、ニンゲン以外のあらゆる動物に対する絶対的な生殺与奪の権利を求め、「好きなときに好きな動物を好きなだけ苦しめて殺せる状態にしておくことが正義だ」と声高らかに唱えることができる狂信者たちが、この国にはいるのです。筆者は戦慄を覚えます。
 もっとも、共存共栄型の運動団体にしたって、それぞれの支持者の受けを狙うパフォーマンスに徹してつるむ≠アとで、影響力を行使しようとしてきた点は同じ。綿密なマーケティングのもとにターゲットとなる顧客層のフィーリングを掴む、企業でもやり方は一緒。そして日本と豪州・米国とを問わず政治家も。
 進化史の過程で引き継いだ動物としての負の側面と、非動物的な後天性の固有の負の特性とが、スパイラル的に強化されていく。小松氏の言葉を借りれば、ニンゲンこそは地球のゴキブリだね。なんていったらゴキブリには大層失礼な話だね。
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2011年05月03日

福島第一原発事故とクジラ(その8)

◇福島第一原発事故とクジラ(その8)

■岡本太郎「明日の神話」に原発風刺画が追加される (5/1)
http://hara19.jp/archives/6327

 いいなあ、これ。こういうセンスは大好きじゃ。
 「日本もまだまだ捨てたもんじゃない」と、ほんのちょっぴり元気になれる。
 マスコミは悪質ないたずら、軽犯罪法違反などと叩いちょるが、核テロ電力会社とは比較にならんだろ。
 そもそも原爆をイメージして描かれた「明日の神話」。岡本画伯もやんやと喝采を送ってるだろうね。こういう人だもん。

塔の目の部分をヘルメット姿の男が占拠し、万博中止を訴えたアイジャック事件の際には狂喜して、居合わせたマスコミに対し「イカスねぇ。ダンスでも踊ったらよかろうに。自分の作品がこういう形で汚されてもかまわない。聖なるものは、常に汚されるという前提をもっているからね」と言った。(Wikipediaより引用)
 彼の心根を理解していない自治体に買われたり、NPOに管理されても、返って面白くないよねぇ。
 芸術は爆発ニャー!
 でも、水素爆発・核爆発は金輪際勘弁してくれい。


■原発、海水利用の冷却断念…外付け空冷装置に (5/2,読売)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110501-OYT1T00822.htm
■東電:空冷式冷却設備の導入検討−海水使わず汚染水流出を防止 (1) (5/2,Bloomberg)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920019&sid=aPQATkna51to

 水棺≠目指して1号機の注水量を増やしたものの、その後様子見、水位もわからず断念。相変わらずの場当たり対応。下の記事では、あたかも「海への汚染を防ぐため」に選択したかのような解説と東電のコメントがありますが、単に見込みが甘かっただけ。2号機は圧力抑制室に穴が開いており、現状では塞ぐ作業も当面不可能。格納容器内で水を回すことがそもそもできません。こうやって公定表がどんどん伸び伸びになっていきそうですね・・
 循環冷却方式では、汚染水の除染装置は仏アレバ社が提供する予定でした。処理費用はトン年当り2億円、今溜まってる6万トンの処理だけでも12兆円(予定では年間20万トン)かかるという話も・・。方式の変更には当然この辺の事情も絡んでいるのでしょう。来日した女CEOは自信満々だったけど、技術者の方は予断を避けてたし。
 アレバが救世主と自賛していたその除染装置、当のフランスでは深刻な海洋汚染を引き起こしていた模様。

■French System For Cleaning Fukushima Water Blamed For Leukemia, Polluted Beaches In Europe (4/25,Forbes)
http://blogs.forbes.com/jeffmcmahon/2011/04/25/french-plan-to-clean-fukushimas-radioactive-water-detailed-including-risks/

 読売記事では、トレンチにコンクリートで蓋をするとあります。津波対策も確かに重要ですが、移送作業も捗っていないのに、溜まり続ける高濃度の汚染水は今後どうするつもりなのか。
 そこで気になるのが海洋への流出。

http://twitter.com/#!/akof/status/62891924884963328
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110426j.pdf
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110429j.pdf

 4/24〜4/25にかけてのシルトフェンスの内側での測定値ですが、この方のご指摘のとおりI/Cs比が上がっており、更に4/28にかけてI131の値自体上昇傾向に。例のダダ漏れピット以外の箇所で新たな漏出があった可能性大。文科省の海洋拡散のシミュレーションは、あくまで「4月25 日以降新たな放射性物質を含む水の排出は0」との仮定に基づいたもの。バックグラウンドの汚染がずっと減らない状況がこのまま続くようだと、海の野生動物たちの身の上がますます心配になってきます・・。疎開も避難もできないしね。
 海洋汚染の拡がりを裏付ける報道も。

■根室沖カラフトマスからセシウム検出 基準値は下回る (04/28,北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/289078.html

 「基準値を下回る」とありますが、本来0.1Bq/kg以下でほとんど検出されないものが9.1Bq/kgとおよそ百倍にまで跳ね上がっています。根室沖(約45km)で、ですよ!? 自分の口に入るもの以外関心がない御仁には、海の自然がどうなろうと知ったこっちゃないのでしょうが・・
 しかし、そうとばかりも言っていられないようです。農水省・自治体が発表してきた食品中の放射性物質濃度、ホウレンソウ等の野菜は水で晒した後のデータであったことが判明。TVのニュースやワイドショーのキャスター、ゲスト解説者陣は、「さらに≠P0分の1になるから何の心配もない」とこともなげに吹聴してきましたが、これぞほんとの風評被害

■県産野菜の検査結果について|茨城県
http://www.pref.ibaraki.jp/hodo/press/11press/p110319.html
http://twitter.com/#!/team_nakagawa/status/50379482883825664

その他関連情報:
−福島第一原発事故の影響における海洋汚染と水産業 4/30-5/1
http://togetter.com/li/130473
−福島第一原子力発電所2号機5号機に昨年起こっていた事故をakofさんが指摘。
http://togetter.com/li/130539



 つづいてクジラに直結する話題。

■「2011年度 第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPN II) 沿岸域鯨類捕獲調査(春季釧路沖)」の開始について (4/19,水産庁)
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/enyou/110419.html
■東日本大震災:復興と伝統継承願う 宮城・石巻離れ、北海道・釧路で調査捕鯨 (4/26,毎日)
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20110426ddr041040003000c.html (リンク切れ)
■初日は悪天候で中止/釧路沖の調査捕鯨 (〃,釧路新聞)
http://www.news-kushiro.jp/news/20110426/201104261.html
■沿岸調査捕鯨の実施が被災地復興に本当に役立つのだろうか? (4/24,ドイツ語好きの科学者のメモ)
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/64348909.html

 釧路沖調査捕鯨は中身そのまま。「漁業資源に及ぼす影響」だあ? 放射能よりミンククジラの方が怖いとは、非科学的な風評被害もいいところ。北限のジュゴンや西日本のツキノワグマと同格のJストックまで捕らにゃ気が済まんという、捻じ曲がった根性もそのまんま。
 放射能検査が行われるのは最初の1頭のみ。これではまったく意味がありません。JARPA2の捕獲枠拡大には東電と同じ最初に数字ありきの統計マジックを駆使した天才官僚・御用学者は、なぜきちんとした試算をしなかったんでしょうね。予算の都合・・というより、情勢を見て取ってとりあえず付け足したポーズの項目としか思えません。
 しかし、鯨類に対する放射能汚染の影響調査はまさに緊急を要します調査場所を仙台沖に設定し、捕獲検体すべての全組織について、詳細に核種・濃度検査を行うべきでした。釧路等の業者が船を貸し出し、鮎川の業者が実施する形態がスジ。それであれば、筆者はたとえ捕殺数が60頭だろうが80頭だろうが諸手を挙げて全面的に賛同します。
 健全な船が残ってるなら、いっそのことGPJのモニタリングを手伝わした方が、よっぽど日本の水産業全体のためになったものを。GPの計画している調査の対象品目はかなり網羅的ですが、高次捕食者が抜けています。鯨肉試食会はえげつないナンセンスなイベントでしたが、水産庁とGPが一致協力して環境調査(大型捕食者のサンプリング含む)ができれば、日本の漁業者・水産物消費者にとっても、野生動物への影響を懸念する世界中の市民にとっても、非常に有益なはずなんですけどね・・

■緊急記事:福島第一原発事故とクジラ〜いちばんトバッチリを受けたのは海洋生態系 (拙過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/44181896.html

 ついでに、伝統継承の点では節操のない反面教師・捕鯨業者より水産業のお手本・海女漁の方がよほど深刻。被災地支援の観点は他のブロガーの方がまとめていますが、膨大な数いる被災漁業者の中での特定の捕鯨業者の優遇は、多額の助成を受けてきた原発立地自治体とそれ以外の避難地域住民との格差に、多少通じるものがあるかもしれませんね。

■津波に流された「北限の海女」の拠点
http://www.youtube.com/watch?v=BgSDHC5Dr7U


 ツイッター、理工系・社会科学系の一流スキルのユーザーが結構活用していて、要点が的確にまとめられた洗練された文章を拝見できるので、思ったより勉強になります。必要な情報だけ網に引っかかるようTLを調整することもある程度可能なところが利点。


◇福島第一原発事故と動物(続き)

 昨晩になって、唐突にこんなニュースが流れました。

■福島第1原発:警戒区域への一時帰宅 国が条件を大幅緩和 (5/1,毎日)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110502k0000m040091000c.html

ペットの持ち帰りは不可とするが、乗用車についてはスクリーニング拠点を設けて持ち帰れる機会を検討する(引用)
 まあ開いた口が塞がりませんね。「どうなってんだ!?」と思った人も多いでしょうが、案の定・・といった感も。
 前回、長期的な取り組みの方がはるかに大事だから、政治家の一過性のパフォーマンスに惑わされるなとは申しましたが、こういう場合は国会議員のセンセイ方に好きなだけ圧力をかけてよいです。口先だけ動物の味方を気取り、「動物フリークの単細胞なオバサン衆は層がそれなりに厚いし、ちょっと拳を振り回したフリをすれば票になる」とほくそ笑んでるヒトたちなのだから。
 ここで畜産について。
 動物福祉の観点からは、現在多くの農家が行っている飼料給餌を極端に制限するやり方は人道に反する明らかな過ちです。
 餌をやり、乳を搾って、"捨てれば"よいだけのこと。
 結局、「廃棄する手間とカネをかけられない」というのが理由。ついでに餌代も浮く、と。別に儲けるためではなくて、出荷できず経営が成り立たない事情はわかります。が・・「家族」「子供」に対する仕打ちじゃないでしょ、それは。本気で言ってるのだとしたら、ニンゲンの家族の境遇が心配だよ・・
 いまブータラ文句を垂れたところで詮ないことですが。
 根本的な問題が2つ。

・他の先進諸国と異なり、罰則等の拘束力がまったくない現行の法体系。そして、生産者・行政のみならず、すべての国民の動物福祉に対する意識があまりにもお粗末すぎること。国民のレベルが極端に低い状態で、財政事情とニンゲンの被災対応を脇に置いて、税金拠出を要求するのは無理な相談。

・一にも二にも、悪いのは原発です。


■放射線防護のための獣医療体制の整備
http://blog.canpan.info/torinohiroba/archive/994

福島原発事故警戒区域内に取り残された被災動物への対応は、原発事故による放射性物質による汚染、被曝の文脈の中で考えなくてはならないのですが、そういう視点が完全に欠如しています。(中略)何もしない日本政府、駆けつけてくれるアメリカさん、一生懸命救助しようとしている私達、冷淡(?)な緊急災害時動物救援本部、集めた義援金を全て出せ・・・てな、単細胞すぎる図式しかこの人達からは出てこないんですね。(引用、強調筆者)

 一部の動物福祉系国際NGOには、猛省を促したいと思います。


 友達だった近所のワンコが引っ越してしまって悲しい・・・

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2011年05月01日

福島第一原発事故とクジラ(その7)

◇福島第一原発事故とクジラ(その7)

■小佐古参与が抗議の辞意 子供の被曝基準「容認できぬ」(4/29,朝日)
http://www.asahi.com/politics/update/0429/TKY201104290314.html (リンク切れ)

 放射線医学の権威、東大小佐古氏が内閣参与を辞任。この地位にまで上り詰めた人物としては、たいした根性。原爆症認定訴訟で政府の擁護に回った御用学者の一人、との指摘もありますが、自らの不利益を覚悟で、NHK、サンケイ、読売等の大本営メディアに無理やり書かせた功績は高く買ってあげたいもの。
 それにしても、貧乏クジひいた細野氏や、未だ陣営をしっかり守っている御用学者らのコメントは、いかにも優秀なエリートらしい、霞ヶ関流の計算し尽くされた作文という感じですね。いわく、科学的合理性は自分達の側にある。これが最終決定である。でも、「子供たちを守れ」との市民の声を全否定することは避け、努力します、と(保証は一切しない)。いやはや、惚れ惚れします。水産庁の森下参事官なら、文案を練った経産省の同僚を見習いたいと思うかもしれませんね。それとも、「俺のが上だ」と思うかしら・・。
 一方、細野氏や官僚、学者連が注意深い巧妙な発言をしているのに比べ、菅氏はいつもながらの答弁。これほど自己保身の見苦しい言い訳ばかり繰り返す御仁は、歴代首相の中でも記憶にありません。
「20mSvまで被ばくしても構わないなどと言っているわけではなく」(枝野氏)
 なら、一体いくらまでなら被曝してかまわんのでしょうか? それが基準値じゃないのですか? 「いくらまでなら被曝して構わないのか」政府が決めた数字を出してくださいよ。
 菅氏や枝野氏、細野氏らの発言からは、生活感がまったく感じられません。
 洗濯干せない。お布団も干せない。天気がいい日に部屋の空気を入れ替えることもできない。畑いじりもできない。子供を外で遊ばせられない。ワンコの散歩もできない。
 ニンゲンらしい生活ができない。「健康で文化的な最低限度の生活」ができない。
 国会議員全員、憲法25条を読み返すべきです。
 同じく中部大武田氏も、元原子力安全委の立場ながら、政府の対応に対してかなり猛烈に異を唱えていらっしゃいます。

■超・ねじれ思考 児童の被ばくは多い方が良い??
http://takedanet.com/2011/04/post_b591.html

 学≠ナは離反者が増えてきたし、この調子で一定の権威・立場からの賛同表明が増え、層としての厚みを持つようになれば、一縷の望みはあるかもしれませんね。政≠ナいえば、共産党から河野氏、橋下氏まで、他の問題を全て棚上げにした大同団結をなんとかお願いしたいもの。いちばん壁が厚くて厄介なのは報≠ゥもしれませんが。とりあえず毎日と東京を応援しようかしら。ステータスにすがるのは個人的に癪だけど、ニンゲンがそういう動物なのだからこの際仕方ないですね・・・

参考リンク:
■捕鯨と科学と価値判断 (拙HP)
http://www.kkneko.com/kagaku.htm

 (その3)でお伝えした水素爆発回避の問題、どうやら1号機爆発の後、2号機の外壁開口までは着手したが、結局3号機の建屋爆発阻止は間に合わなかった、というのが真相の模様。それと、4号機で問題が生じたのは原子炉本体ではなく使用済燃料プールの方でしたが、やはり水素爆発があった可能性は高いと保安院報告にもあります。被覆管のジルコニウムの融点は1800度以上(単体)ということで、初期にTVに登場した御用学者や解説員たちは水素発生のメカニズムについて「よおわからん」という説明をしていましたが、放射線やら塩分やら諸々の理由から、もっと低温で腐蝕が急激に進んだのか。それとも、千数百度まで燃料棒の温度が上昇するほど、凄まじい火災が発生していた、という理解でよいんでしょうかね。容器に収納されていなかったのだから、プールの水は全部蒸発しちゃってて不思議はないはずですが、それについては隣の水槽の隔壁が壊れて偶然$が燃料プールの方に入り、辛くも空焚き状態を免れたという説が有力だとのこと。ツイッターでは「カミカゼ」とまで言われてるようで。
 ドラッカー曰く「二度起した失敗を三度繰り返しちゃならん」てのが経営者の哲学ですが、原子力は一度のミスも許されません。「ミスは絶対起こらない」と言って国民(とりわけ立地自治体の住民)を騙してきた政府・電力会社・御用マスコミですが、最近はミスを前提としても国民を納得させられると奇妙な自信(?)を付けているようにも感じます。要警戒。

 クジラたち海洋生態系関連では、文科省が放射性物質の拡散予測の更新版を公表。

■海域における放射能濃度のシミュレーション:文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1304938.htm (リンク切れ)

 (その4)との関連で補足しましょう。16日と29日、2つのバージョンの5月1日時点のシミュレーションの図を比較してみてください(16日版は図3−3、29日晩は図3−1です。紛らわしいニャ・・統一してくれ!)。お気づきになりましたか? 灰色の濃い部分の面積がより大きくなっていることに。
多少誤魔化しの意図も感じられる記述ですが、両者の違いは放射性物質の流出の停止時期の仮定です。もちろん、暫定版より流出量が増えた29日版の方がより正確ということです。もう一点、29日版ではなぜかこのタイミングでセシウムを134と137の二通りに分かれました・・。実際の線量についてはヨウ素131も含めて全部足さないといけないわけですが。
 で、筆者が作成した図は4月15日の予測分をベースにしたもの。ここでいえることは、4月いっぱいは常磐沖から仙台湾にかけての海域で相当濃度が高い状態が続いていた可能性が大だということです。筆者は1ヶ月当りの被曝の概算の見積もりを提示しましたが、外れてくれることを祈りたい気持ちです。

■福島第一原発事故と海の野生動物への影響
http://kkneko.sblo.jp/article/44489047.html

 後は、トレンチの汚染水の水位が徐々に上昇しているのが気になるところ。入梅までに循環冷却が間に合うかどうか。周辺の瓦礫の線量やロボットカメラの映像などを見る限り、状況はきわめてシビアなように思えます。急いでやらせて作業員の方々の被曝管理を疎かにされても困るし・・。

■日本政府にお願い「虹の戦士号に福島沖での調査許可を!」
http://www.greenpeace.org/japan/ja/Action/rainbow/

この調査では、海水、底質、海棲生物(魚、海藻、貝類を含む)のサンプリングを広範囲に行い、放射能汚染の測定と核種分析を行うことを計画しています。(引用)


 とのこと。いま一番必要な調査。重要なのは沿岸生態系のモニタリングなので、日本政府が渋々了承した領海外だけでは意味なし。GPは「鯨肉試食会」など、効果がなく馬鹿げている上にセンス最悪のパフォーマンスをやりがちなので筆者は大嫌いなのですが、背に腹で押しておきました。まだの方はクリックしといて頂戴。

■米軍が東北沖にブイ投下 汚染水移動調査 (4/29,TV朝日)
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210429029.html

 日米両政府に嫌われているGPの申し出に対し、まるであてつけるかのよーなタイミングで「米軍が協力」なんてマスコミに流れてますが、やってることは沖にブイを7つばかりほん投げるだけ。調査の内容は次元が違います。「ダイジョーブ、トモダチ。汚染ナイネ。コレデ安心ネ」と誤魔化されてオシマイということになりかねません。
 NGOには政府・大企業の上をいく抜け目なさ、狡猾さが求められるということでしょうか。悲しいことですが・・

■風評被害防止へ日米協力 外相会談で方針一致 (4/30,朝日)
http://www.asahi.com/politics/update/0430/TKY201104300121.html

風評被害に日米が協力して対応する方針で一致(引用)


 放射能被害に日米が協力して対応する方針で一致、じゃないの???
 風評ってヘンな日本語だよね・・。英語だとrumorになると。ゴシップに近いニュアンスじゃないの?  トモダチ、要ラナイデース。銃と宗教の国なんぞと友情を深めたくないッス。友民党かよ!
 しかも、ドサクサまぎれにV字案にまで戻しやがった。
 瓦礫と一緒に沖縄の基地も全部きれいさっぱり撤去してくれい!


◇福島第一原発と動物たち

 前回の記事について、いくつか補足いたします。
 まず、産業動物と犬猫、震災と原発震災の被災地は切り分けて考えてください。
 以下は農水省の福島派遣の畜産担当者の方のツイッター。

http://twitter.com/#!/hideoharada/status/62124780085714944

 私も常識的な判断だと思います。そして、行政に「助けろ」と要請する側が《非常識》というふうに世間に受け取られることを恐れます。日数が経って単位時間当りの放出量、ヨウ素の残留については減ってはきているでしょうが、動物救済を要請している側の被曝に対する認識はあまりに低すぎます。
 それと、自民・民主議員が何人か意見表明をしていますが、コストのかからない集票パフォーマンスです。動物に熱心な層はいいカモだと思われてます。
 阪神・中越である程度NPOによるサポートの仕組みはできたはずですし、動物の問題に真剣に取り組んでいる方々は、当座のイベントに振り回されないように願います。生体販売規制の問題に無頓着だったり、ペット税を提唱するような政治家・政党を、間違っても応援しないように。長期的な政策、「日常的な扱いの改善」と「犠牲の削減」の方がはるかに重要。
 何よりも、今回動物たちを苦しめることになった真の元凶は原発だということを理解してください。
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2011年04月28日

福島第一原発とクジラ(その6)

◇福島第一原発とクジラ(その6)

非常に気になる記事。

■鳥に現れた異常、チェルノブイリと動物 (4/26,ナショジオ日本語版)
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2011042603
■哺乳類への影響、チェルノブイリと動物 (〃)
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2011042604

 チェルノブイリでもセラフィールドでも、野生動物や家畜の間で奇形などかなり不気味な被害が拡がっていたことは知られていました。それが日本の市民に必ずしも伝わってこなかった理由のひとつは、捕鯨とまったく同じパターンでマスコミによる情報遮断。もうひとつには、科学的に因果関係が立証されなかったから……ではなく、立証するための必要十分な検証作業がきちんとなされなかったためでした。
 以前にも述べましたが、日本列島は種類の上でも数の上でもたくさんの渡り鳥が北と南双方から集まってくる、いわば鳥たちにとっての交通の要衝=B筆者の家からも程近い印旛沼、手賀沼、手賀沼、霞ヶ浦などの休憩地を目指して渡ってくる鳥たちも、多くが常磐上空を通過します。ニンゲンの子供は、一応国が水道水やら食品やらの諸々の摂取・出荷基準を定め(あてにならんけど)、最低でも親が注意を払い被曝を最小限に食い止めることもできましょう。しかし、野生動物は感知できない放射能にまったく無防備。とても、心配です(某戦場カメラマン風に)。
 クジラを始めとする海の野生動物たちの場合、陸上の野生動物・野鳥以上に、文字通り水面下で、人知れず汚染が進行していくでしょう。正直に言えば、フクシマに比べれば捕鯨の影響など取るに足りません。もちろん、晩発性の繁殖率低下のリスクを無視する現行の管理体制下で、大規模な調査捕鯨なり再開商業捕鯨が(太地とは対照的な節度ある沿岸漁業者の被災者も無視して・・)推進されることになれば、クジラたちの受けるダメージは致命的になりかねませんが。
 そうなると、気になるのが目下の汚染進行の度合。

■福島原発周辺の海水(表層)の放射性物質濃度
http://atmc.jp/plant_sea/under/

 JAMSTECの白鳳丸のモニタリングの結果、4/21は全部未検出。事実として新たな漏出がほとんどないということであれば、一先ず好材料と捉えるべきなのでしょう。
 ただ、半減期8日のヨウ素131についてはともかく、セシウムまで未検ってのはちと引っかかりますね。海底に速やかに沈殿したか、それとも御用学者連中の指摘が的中し、あっという間に海洋全体に行き渡って薄まったのか。もっとも、文科省のシミュレーションは、主に海流による拡散スピードの予測ですから、大きくはずれることはないはずなんですけどね・・。ひたちや北茨城のイカナゴの大きな値を考えると、予想以上に生物圏に多く取り込まれた可能性も否定できません。Cs137の半減期は30年、消えたわけではないのです。原発から30kmよりさらに遠くで、イカナゴや海鳥やクジラの体内で、絶えず崩壊して、放射線を出し続けているのです。
 いまさっき最新のデータをチェックしたら、4/25日分では観測点4と10でしっかり出てますね。汚染物質が単純に希釈されず、やはり水の流れ方次第で濃度に差が出てくるということでしょうね。煙草の煙の広がりをイメージすればわかりやすいかも。
 で、そのイカナゴですが、4/18採取分以降、農水省からアップデートがリリースされず。実にふざけた話です。定期的にモニタリングしないでどうするのでしょう!?
 検査の実施主体となっている水産庁の放射能調査グループは、今春組織改編があったばかりの中央水研内。バタバタしているところにこの事態で、この間多忙を極めているとの話はうかがってますし、職員の皆さんを責めるつもりはありません。が、サンプリングの対象選定には疑問を覚えざるを得ません。イカナゴを捕食するスズキについては、農水省の資料中にあるのは東京湾(船橋)のが二つと銚子産の流通品を新潟で検査したものだけ。東電と同じで、直接の責任者の顔が見えてこないんですよねぇ・・。
 と思ってたら、今日(4/27)になってようやく更新されました(採取日時は前日4/26)。ヨウ素はそこそこ減っていますが、Cs(134と137の合計)で3,200Bq/kgと依然として高濃度。ただ、ヨウ素はいいとして、セシウムの方も18日採取分(14,400Bq/kg)と比べると落ち方が著しいですね。海水魚の生物学的半減期(約50日以上)を考慮しても。採取場所の違いか、もともとむらが大きいと考えるべきか。
 ともかく、出荷規制がかかったとしても、モニタリングは1週間以内の間隔できっちりやってください!

−全国の食品の放射能調査データ
http://atmc.jp/food/
−食品中の放射性物質の検査結果|農水省
http://www.maff.go.jp/noutiku_eikyo/mhlw3.html

 ちなみに、先ごろ刊行された『減ったマイワシ、増えるマサバ』(谷津明彦/渡辺千夏子/共著、成山堂書店)では、イカナゴ漁はTAC管理の数少ない成功例として紹介されています。日本の漁業の中では資源管理の優等生だったのに(過剰漁獲の経験を経た上で、ですが)、甘い汁を吸ってきた一部水産関係者とは裏腹に、原発の所為で彼らが憂き目を見るのは、確かに理不尽な話ですね。
 TACといえば、「長いものには巻かれない」がモットーの三重大勝川准教授、最近ツイッターで原発推進に加担してきた水産業界の体質批判のボルテージが上がってる模様。あんまり激しいと、ますますお呼びがかからなくなるんじゃないかしらん? まあ外野の余計なお世話でしょうが・・
 水産業は零細沿岸を除くと、官民がシームレスにつながっており、かつては大手水産/捕鯨会社の取締役クラスと次官級の水産官僚、外郭団体の理事らが「かぶっていて当たり前」という土壌でした。その点はまさしく、天下りで緊密に結ばれた東電と経産省の関係に酷似しています。全漁連配下の個別の漁業者も、そういった原発推進〜大手乱獲事業者優遇の構造にたぐりこまれ、巻かれていたのは紛れもない事実。その全漁連の会長が、TVカメラの前で東電に対して誰よりも居丈高なパフォーマンスをこれ見よがしに披露しているのを見ると、苦々しい思いで一杯になります。
 余談になりますが、上掲の『減ったマイワシ、増えるマサバ』、勝川氏ほどラディカルではないにしろ、一応ノルウェーの事例も紹介されてたり、昨今の漁業資源管理の全体像がわかりやすく解説されてます。蛇足のコーナーでミンクの胃内容物がまたぞろ引き合いにされ(またか!という感じだけど)、資料としての格を落としているのは残念な限り。
 繁殖率の非常に低い鯨類が変動の激しい海洋環境で成功できたのは、ゼネラリスト戦略のおかげで、利用しやすい資源を利用するというのはあったりまえの話。ま、逆だったらそれなりに面白いネタでしたけどね。そういう意味で、調査捕鯨の研究成果はまったくのゴミ。科学研究予算は「わからないこと」「大事なこと」を解明する目的に投じられるべきで、「わかりきったどうでもいいくだらないこと」のために使われるべきではありません。実際には、命題が何かは当事者にとってもどうでもよく、目当ては副産物なわけだけど・・。
 もう一点、イカナゴは養殖用にもなっているので、養殖餌の基準値設定、今後の解禁のタイミング、モニタリングについても注意が必要。水族館の魚たちの汚染・被曝は・・業界で検討したほうがいいのかもね、食わないにしろ・・

−『減ったマイワシ、増えるマサバ―わかりやすい資源変動のしくみ』
http://www.seizando.co.jp/index.php?main_page=product_info&products_id=1153

 イカナゴ漁については過去記事もご参照。

−沿岸調査捕鯨が日本の漁業の役に立つ!? んなアホな!!
http://kkneko.sblo.jp/article/29420593.html
−持続的利用原理主義すらデタラメだった!
http://www.kkneko.com/sus.htm


◇福島第一原発とニンゲン

 エネパネ、5千人ですか・・。2週間前の国分寺よりさらに減ったね。筆者の想像以上に。
 今年はアースデイも花見以上に自粛・緊縮モードだったようで。3・11以前は、関東でもちっとはベジが盛り上がるかとほのかに期待もしたのですが。人づてに聞いたところでは、動物系の企画は大幅減、ニコル氏が鹿肉カレーの出店で目立ってたとのこと・・。
 筆者は余裕がなく(カネもないけど)、どちらも行ってませんが。
 子供の線量基準20mSvへの改悪反対署名、申し訳ないが、こちらもしてません。主旨には120%賛成ですが。
 自分に(ニンゲンの、生きた)子供がいないから、でも、自分の企画した署名がまったくふるわなかったから、でも、ないです。それにしても少ないね・・・
 現実的に140%不可能です。福島県軒並み避難区域に設定? それとも学童疎開?
 やるはずないっしょ。出来っこないっしょ。そもそも何故変更されたかを考えてください。
 日本政府には、子供たちを守る、その「能力」がないということです。誰の目から見ても明白に。
 親が守るしかないでしょう。
 国家という権威に一切頼らずに。
 私たちはいままさにそういう時代に生きているということです。

 もうはるか昔の出来事のような気がしますが、一昨年の夏、筆者は柄にもなく民主党中心の政権交替に期待をしました。
 純度100%のニヒリスト、ペシミストであったら、そもそも提言型ブログなんてやってません。落書きだけして遊んでます。
 鳩山が街に来るというんで、わざわざ足を運んで聞きにいきましたよ。その演説の中身はほとんど官僚批判で占められていましたっけ。まったく、時間を無駄にしました・・・
 筆者が「最後に」民主党に票を投じたのは、「脱官僚」「沖縄」が理由でした。「子供手当て」「高速無料化」などというくだらないバラマキ、客寄せゴミフェストを最優先事項と考え、貴重な一票を投じた国民がいるとは、筆者には思えません。
 誰も最初から、一足飛びに完璧な結果を要求などしません。十中二、三でも、あるいは一でさえ、前進が見られればよかったのですが・・。
 無能な民主党が、マスコミと結託した霞ヶ関勢力にねじ伏せられるまで、ほんとにあっという間でしたね・・。政官民癒着で長年血税にたかってきた寄生型産業の代名詞ゼネコンもすっかり息を吹き返し、公共事業批判は今じゃたまに小沢ネタでちょろっと出るだけ。いつの間にやら霞ヶ関叩き自体が封印されるご時世に。
 まだ民主党が惜敗のレベルだったら、芽を完全に潰されることもなかったろうに。
 そして3・11後。
 地方選の結果に、筆者はまた性懲りもなく、ほんのかすかな希望を抱きました。
 蓋を開ければ石原圧勝・・・。辛勝ですらなし。全体では脱原発は争点にさえならず、トータルの議席数としては後退、などと推進紙に報じられてしまいました。かろうじて保坂氏だけ面目を保った格好。
 もちろん、準備期間がなかったのも事実ですが、「風」はそよとも吹かず。いつものパターンの知事選でも、共産がそれなりに票を伸ばしたって不思議じゃなかろう、と筆者は思ってたんですけどねえ・・。楽観的すぎました。
 小泉劇場の「郵政民営化」、鳩山劇場の「脱官僚」、最近なら「消費税」に「減税」。国民にしてみれば毎度毎度ハメられるパターンではあるけれど、結局大多数の国民は候補者の政策をいちいちチェックし総合的に判断しているわけでもなく、決め手となるのはわかりやすさってことですね。だとすれば、「脱原発」vs「原発推進」に対立軸を一元化した選挙もあっていいはず。いちばん風が吹いていいはずのこのタイミングで、なぜそれが起こら/せなかったのだろう?
 こういうときには、何か大きいもの、頼もしく見えるものにすがりたくなるんだねえ、ニンゲンという哺乳動物は・・・これも繰り返しだけど、ブツブツ・・

 筆者はいま、残り1%の楽観が、0.1%に、さらに0.01%にまで落ち込んでる次第なり・・
 西欧・北欧型の社会民主主義は、多様な民族・多様な価値観の間で揉まれた歴史の賜物、それでさえ成熟したとは到底いえない。それを日本に持ち込むのは無理でしょう。少なくとも相当に時間がかかる。移民を受け入れ、壁を徹底的に取り払わんと駄目だし、それが出来るとも思えない。
 日本の市民運動の手法と層の属性はこちらに近いが、市民と言いながら事実上のマイノリティ。毛色を変えたくらいでそこから脱け出せるとも思わない。
 0.01%はとりあえず孫正義にかけようかニャ・・
 要するに、必要なのは脱原発のメジャー化路線。まず梅崎義人に負けない広報担当ブレインを確保。で、宮根誠司や池上彰、ジャパネット高田の社長さん並に口達者な宣伝マン・話術に長けた広告塔を育てあげること。
 後は・・そうだね、AKBならぬDGP48とか、その手のアイドル・タレントを養成。EXILEやジャニーズ系もいるか。スポーツマンや文化人も。斉藤和義や山本太郎、ケン&マコでもいいんだけど(失礼)、あくまでミーハーで。事務所を作るとこから始めないと駄目だろけど。脱原発を軽く、朗らかに、話のついでにさりげなく語ってもらい、若い世代をリードしましょう。飴を使って、懇切丁寧、サービス精神旺盛に。
 媒体もだね。堀江氏じゃないけど、TV局の買収はもう無理だから、ネットを早急にTVに対抗できるメディアに育てあげるしかないか。現状では、マスコミに誘導される世論に比べりゃツイッターもプチメディア。それでも、社会民主主義の成熟を待つよりか早いでしょう。
 ニンゲンとは、内容ではなく雰囲気、話者のオーラ(?)で、ヒトガラやカタガキで物事を判断する、悲しいサガを背負った動物。ならば、その悲しい現実に合わせるよりない。日本で実効的な成果を本気で挙げるつもりなら。人権問題等と異なり、多数派になることは必要条件(十分じゃない)。
 そゆわけで、孫さん頼んだぞい! お父さんCMのセンスが筆者は大嫌いなんだけど、東電が株持ってるKDDIよりソフトバンク応援するよ!
 一応真面目です。ていうかな・・これで駄目なら筆者は完全なペシミストになりますわい。


 習慣的に適当にウォッチしているとはいえ、筆者にとってはプライオリティの下がった捕鯨問題ですが、要点は同じ。
 筆者個人はジュゴンとクジラのバーター、ボン条約と多様性条約のバーターは絶対に必要だと考えます。余裕も力もなくアプローチは失敗に終わりましたが。日本に最大の譲歩をうまく引き出させる重大な責任を負っているのは米豪政府。ホッキョククジラの捕獲枠削減を渋ったり、パフォーマンスに過ぎないICJ提訴に拘ったり、内向きの論理でしか行動しない両国。真剣に強い圧力をかけるべきところと、妥協すべきところを、完全に履き違えているのは残念なことです。
 そして、何よりけしからんのは、出来すぎだったモラトリアムの栄光にすがり、捕鯨サークルと共存共栄の逆予定調和路線を邁進する逆予定調和団体です。30年前同様、日本を力づくで押さえ込めると信じ込むバカなガイジンどもと、便乗している一部の日本人関係者。必要なのは、具体的な戦略・ロードマップを提示でき、持てるスキルを最大のパフォーマンスで発揮して実効性のある結果を勝ち獲ることのできる優秀な人材なのに。ここでいう、必要とされる優秀さとは、組織のマネジメント・コーディネートのスキルとともにプロモーターとしての能力。残念ながら、この先がズレていくのだけど・・
 マネジメントといえば、出版厳冬期を象徴するような硬派ダイヤモンドが当てた『もしドラ』。NGOでも企業でも外資系で先行していた常識、ですけどね・・。企業の行動原理は1に株主、2に株主、3、4がなくて、5に(大口)顧客。求められる「真摯さ」はあくまで株主に対するもの。パフォーマンスを上げるための人の扱い方のノウハウ、その究極の目的は株主への配当。社会一般に当てはめようとすると、ちっとおかしくなる。高校の野球部でもそうだけど・・。
 組織・事業の定義、「顧客が決める」というところから乖離が生じ始める。本来であれば、商業捕鯨の停止等の「実効的な成果」であるべきですが、それじゃ組織が立ち行かない。走らない。NGOにとって事業存続の柱は寄付、企業でいうところの顧客に該当するターゲットが寄付者。顧客満足度を上げ続けることが至上命題になってくる。東北大石井氏の指摘するところの逆予定調和の元凶。
 SSCSのワトソンは、捕鯨協会/国際PRほどでないにしろ、そこそこ優秀な、賢いプロモーターといえるのでしょう。非暴力を売りにする他の団体は、カラーを変え、ニッチ・ブランドとして存続しているといえる状況。組織の存続・職員を持続的に食わせていくことが至上命題になれば、何一つ成果が挙がっていない状況を「クジラの大勝利」などと平気で謳い、実績のように見せかけ、寄付を募り続けることもできるということです。当のクジラにとっては何の益もない話。
 こうしたタカリ屋団体と持ちつ持たれつ、両輪の関係にある捕鯨サークルですが、今年は誤算があったようです。支持層がマンネリ化するばかりで(先鋭化はしてるけど・・)広がらない状況を打破しようと、「SSCSに負けちゃったよ〜」と同情を買うナショナリズムヒートアップ作戦に出ました。もともと博打といえたでしょうが。結果は、サンケイ読者層レベルの爬虫類脳優位層をますます激昂させるのに成功したものの、メディア露出はSSCS南極進出デットヒート時より低調。
 さて、水産庁は推進派だけの密室会議を開き、今後の調査捕鯨のあり方について、答えを出そうとしている模様。近々開かれる年次総会を前にしてのことでしょうが、震災・原発事故の最中にドサクサ紛れでやってる感も拭えません。東北で被災したたくさんの漁業者を放っておいて、世界中の市民が差し伸べてくれた支援の手も忘れて、クジラたち海の生き物たちの海を放射能まみれにしておきながら、まだ南極の自然を食い物にし続けたいのでしょうか?

■「第1回 鯨類捕獲調査のあり方に関する検討委員会」の開催について
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/enyou/110420.html



◇福島第一原発と家畜(前回の続き)


 現状では、計画的避難区域内の家畜をともかく避難させる(殺さずに!)のが精一杯でしょう。
 殺される数より殺し方の程度を優先し、税金をかけさせたり、果ては人命を危険にさらそうという主張に、一体誰が耳を貸すというのでしょうか。
 筆者自身は、犬猫の命を自分より重くおくこともまったくやぶさかではありません。科学的にはまったく等価なのだから。しかし、そんな要求を公務員・納税者・マスコミに押し付けられるわけもないのです。
 長期的課題に引き続き取り組み、世間一般の感覚・レベルを引き上げるのが先。突発的事態に右往左往するのはナンセンス。
 安楽死を完全否定はしませんが、舶来主導の国内NGO含め、その優先順位はあくまで西洋の価値観に基づいています。
 犬猫の例でいえば、確かに炭酸ガス窒息死処分は日本の悪しき後進性に他なりませんが、だからといって5、600万の命をいとも簡単に薬殺する米国型を目指すのは筋違い。日本の伝統に相反します。松虫姫の牛が泣きます。
 ベジ人口3割の台湾やレバノンを見習い、その上を目指しましょう。犠牲そのものを減らしましょう。
 網取式なりアイヌの弓矢式で、年に10頭かそこらのクジラを殺して「いただく」ことを、筆者はまったく否定する気はありません。ぜひやっていただきたい。マクドやケンタッキーを国外追放にするのとセットにして・・
 「命を大切にすること」にかけて、日本が口先だけでなく世界中のどこの国よりも自慢できる国になれば、松虫姫も牛も、さぞ喜ぶことでしょう。



◇オマケ1

■米国の宗教右派と中東政策|ちきゅう座
http://chikyuza.net/n/archives/5771

 福音主義者1億か・・中国より米国の方がよっぽど怖えよ・・
 筆者は小松正之氏に代表されるデタラメな持続的利用教原理主義者が大嫌いですが、進化の事実を否定する宗教原理主義者は輪をかけて嫌いです。生理的に耐えられません。本当に死ぬほど嫌いです。
 この連中は、聖書という紙に書かれたもの、ただのフィクション(フィクションとして見る限り素晴らしい作品、なんでしょうが・・)を100%真に受け、豪勢な寄付で建てられた教会で繰り広げられるエンターティナー牧師のパフォーマンスに魅了される連中。自然や命に対する日々のダイレクトな観察、自らの原体験の中で醸成された価値観、ではありません。贅沢な文明生活の中で漠然と不安を感じ、フィクションの産物にすがりついているだけ。妊娠中絶否定にすさまじいエネルギーを注ぎ込みながら、生まれてきた命については銃で殺してもノープロブレム。理解不能。
 リベラリストと保守主義者の脳の構造の差が話題になりましたが、無神論者、少なくとも他宗教との共存が可能な穏健派、原理主義者の脳の構造を調べたら、さぞかし面白いデータが得られるでしょうね・・・
 確かに、日本の獣医も安楽死をすぐに勧める同レベルの連中は多いのですが、不治の病にかかっても本人(犬猫)が闘い続ける、生き続ける選択をする限りそれを尊重する日本人がそれなりの数いるのに比べ、いとも簡単に安楽死を選ぶ米国人のどれだけ多いことか。
 ニンゲンの胎児・妊婦と動物の扱いの差を見れば、彼らの神経のイカレぶりがわかるというもの。日本にもすっかり浸透してしまい、インフォームド・コンセントに反する主張を展開する団体が多数派になっていますが、不妊去勢手術はメリットばかりではありません。
 少々過激ですが、以下のサイトもご参照。過激といっても、「反対するヒトは知能が低い」などと平然と豪語する、イカレた銃と宗教の国に馴染んでるドクターキリコばりのすさまじい獣医に比べればはるかにマシだけど・・

−愛犬問題
http://plaza.rakuten.co.jp/aikentotozan/

 私はただの動物の一個体です。それで結構。大いに満足。お前らの定義した二次創作物的ニンゲンに分類されるのは反吐が出る。
 捕鯨も畜産も生体販売業者も、全部つぶしましょう。宗教は自分の胸の中で祈るだけにしてくれ。
 ・・・生きてる間に叶う夢じゃないねえ。
 脱原発やベジのミームはとことん弱い。福音派・捕鯨教・プルトニウム教のミームは最強。
 勝ち目ないなあ、これじゃ・・・・



◇オマケ2

■若冲ミラクルワールド|NHK BSプレミアム
http://www.nhk.or.jp/artbs/jakuchu/index.html

 伊藤若冲、前にも言ったけどファンなのだ。
 彼は屋台のヒヨコを引き取って育てた、日本のベジ界の著名人・歴史人物としても有名なり。
 それにしても制作者とゲスト、腹立つな・・。わかってたのはやっぱり岩合氏だけだわ。
 若冲はトリックなんか使いません。本人聞いたらびっくりするだろ。
 彼はただ、絵を描くことが好きだったのですよ。生き物が好きだったのですよ。とりわけ鶏さんが大の大好きだったのですよ。
 んでもって、何にも縛られず自由に、徹底的に、心ゆくまで描きたかったのですよ。
 若冲は言ってみれば博物マニア。共通属性のアーティストを上げるとすれば手塚治虫とか。
 観てわからんのか?
 こういう番組は絵心のないやつに作らせちゃいかん。かなり前からだけど、NHKの番組は視聴率気にしないからか感覚のズレたディレクターがワンマンで仕切ってるうえに、予算削って相応の監修者を入れてない(入れても聞く耳持たない)んだろね。
 いちばん腹立ったこと。あれはムクドリモドキじゃねえ、カササギだっつーの! 他も間違いだらけ。米の動物園の飼育員の所為じゃない、そもそも聞くのが間違い。NHKのバッキャロー!
 当時知識のなかった世界中のありとあらゆる生き物を彼に見せて、描いてもらいたかったよね。図鑑とか。
 

 放射能の所為で頭が痛いし体もだるいよ。
 御用学者がストレスだから気にするな、安心しろと盛んに喧伝しているが、要するに風評被害も立派な健康被害ってことだよね。ICRPはそれを理由に基準値をより厳格にすべき。核アレルギーの日本人は2倍厳しくていい。

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2011年04月22日

福島第一原発事故と海の野生動物への影響

◇福島第一原発事故と海の野生動物への影響

※JanJanBrog記事をこちらに引っ越しました。

 元データについては、目下のところコウナゴから検出された最大値である4/13、4/18の値を提示しています。鯨肉のセシウム濃度の方は、4/17観測地点5の83.3Bq/Lを使いましたが、4/15観測地点5の186Bq/Lをもとにすると55,800Bq/kgに。このポイントの数値はいったん下がりましたが、観測地点6の方では未だに30Bq/L台で、放出・減衰量というより海況によるのでしょう。

■福島第一原発事故と海の野生動物への影響
http://www.janjanblog.com/archives/37002 (リンク切れ)

 福島第一原発事故の発生から1ヶ月余り、農産物・水産物の放射能汚染が深刻な様相を呈している。4月4日、北茨城沖で採取されたコウナゴから4,080Bq/kgの放射性ヨウ素、447Bq/kgの放射性セシウムが検出された。さらに、いわき沖で採取されたコウナゴからは、4月13日に12,000Bq/kgの放射性ヨウ素及び12,500Bq/kgの放射性セシウムが、4月18日に3,900Bq/kgの放射性ヨウ素及び14,400Bq/kgの放射性セシウムが検出されている。それらのコウナゴから検出された放射性物質の最大値は、放射性ヨウ素で国の定める暫定規制値の6倍、同じく放射性セシウムで29倍にも上る。

  被害を被るのは人間ばかりではない。コウナゴ(イカナゴの幼魚)は食物連鎖の下層に位置する代表的な表層魚の一種である。イカナゴの捕食者には、ヒラメやマダラ、スズキなどの大型魚類、カモメやウ、ウミガラスなど多くの海鳥類、キタオットセイなどの鰭脚類、そして鯨類が含まれる。
  常磐沖には多くの鯨類が回遊しているが、コウナゴを主食とする種もいる。中でも、鹿島灘で小さな群れが観察されてきた絶滅危惧種のスナメリと、仙台湾で沿岸捕獲調査が実施されてきたミンククジラへの影響がとくに懸念される。ちなみに、放射線が動物に与える健康被害については、種の違いよりも性差や年齢差の方が大きいといわれる。さらに、イカナゴは砂地の海底で夏眠する習性があるため、放射能だけでなく津波の被害によっても激減しており、捕食する動物への影響は大きい。
  野生動物の中でも鯨類は寿命が非常に長く、性成熟に達するまでの年齢も高い。寿命の比較的短い他の野生動物に比べ、放射線による発ガンの影響は深刻だ。甲状腺ガンについては、人間では致死率が低いとされるが、海の野生動物の場合は医療行為を受けられるわけでもなく、事情が異なる。もともと繁殖率が低いため、放射線による不妊等の生殖障害の影響や、授乳による母子間汚染も懸念される。
  現在、商業捕鯨は国際委員会により一時停止の措置がとられ、日本政府の委託による調査捕鯨のみが行われている。また、沿岸では定置網での混獲の形で年間100頭を超えるクジラが死亡している。繁殖率の低いデリケートな野生動物の利用の是非をめぐっては議論があるが、海の環境が健全に保たれることが最低限大前提となる。放射能による発ガンや生殖障害による繁殖率の低下は、捕獲によるダメージから立ち直る回復力を奪い、捕鯨継続の大前提が突き崩されることを意味する。
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 上の図は、4月12日に文部科学省が発表した、福島第一原発からの放射性セシウムの海洋への拡散予測と、過去の沿岸調査捕鯨のデータを重ね合わせたものである(出典:文部科学省及び日本鯨類研究所)。紫色は海水の基準値である90Bq/Lを越える海域。放射性物質の濃度の高い海域は、奇しくもコウナゴとその捕食者の分布と重なっている。コウナゴは春のこの時期に仙台湾周辺に集まってくる成長期の若いクジラの主食となっている。文科省のシミュレーションは「4月12日以降は(放射性物質の)排出が停止」との前提に基づいているが、止水板設置などの当座の対策が取られた後も、沖合で採取された海水の分析結果は高い数値を示し続けている。現在のところコウナゴ以外の魚貝類からは高い濃度の放射性物質が検出されていないとのことだが、大型の魚への影響が現れるまでに半年から1年かかるとの見方もある。また、セシウム137の半減期は30年と非常に長い。
  別の角度で見てみよう。4月17日に福島第一原発の沖合30kmの地点で測定された放射性セシウム137の濃度は83.3Bq/L。IAEAの資料によれば、鯨類の筋肉中のセシウムの生体濃縮係数は300倍となっている。単純に当てはめれば、鯨肉中の放射性セシウムの濃度は24,990Bq/kgとなる。もう一度上の図をご覧いただきたい。施設内の各所から地下水や海への汚染水の流出が完全に止まらない限り、放射性物質が今後食物網を通じて海洋生態系全体に拡がり、蓄積していく可能性は否定できない。
  日本政府及び東京電力は、食品汚染に関して「ただちに人体に影響を及ぼす数値ではない」との説明をこの間ずっと繰り返してきた。販売規制や摂取制限は、野生動物たちにとってはまったく意味をなさない。放射能が目でも匂いでもわからないのは、動物たちも一緒である。生物多様性条約締約国会議・名古屋COP10が国内で開かれてから、まだ半年しか経っていない。世界中のどこの国々よりも海の恩恵に頼ってきた私たち日本人は、同じ海に住まう生きものたちへの影響について、もっと真剣に配慮してもよいのではないか。
  東北地方には、魚たちを育てる禁漁区を設けたり、モラトリアムをきっちり遵守したり、乱獲につながる近代技術の導入を自ら拒み伝統的手法を守ってきた、まさに世界に誇れる素晴らしい漁業者の皆さんが大勢おられる。今回の震災では、とりわけそうした零細な沿岸漁業者ほど甚大な被害を被られたことに胸が痛む。一方で、原発推進に長年加担してきた政治力のある漁業団体は、原発震災の部分に関する限り、被害者面だけできる立場にはない。漁業の再生・復興は、「原発と共存」する従来の資源収奪型に戻すのではなく、「海の自然と共存」する漁業へと新たに生まれ変わる形で行われるべきだろう。
  余談になるが、コウナゴの最も主要な捕食者はメロウド(コウナゴの成魚)である。科学的根拠の乏しい鯨食害論を真に受けがちな反反捕鯨論者を中心に、「コウナゴを一番多く食べるのはクジラ」との風説が流布されているようなので、念のため。
  なお、試算や詳細な鯨類等への影響については、下記のリンクを参照されたい。
−食品中の放射性物質の検査結果(厚生労働省報道発表資料)
http://www.maff.go.jp/noutiku_eikyo/mhlw3.html
−海域における放射能濃度のシミュレーションについて(文部科学省報道発表資料)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/04/12/1304939_0412.pdf (リンク切れ)
−Sediment Distribution Coefficients and Concentration Factors for Biota in the Marine Environment(IAEA,2004)
http://www-pub.iaea.org/MTCD/publications/PDF/TRS422_web.pdf

※ 追記1
 震災の影響で昨年中止されていた三陸沖調査捕鯨(実施主体は地域捕鯨推進協会)が、本年度は実施に移され、既に石巻市場に副産物である鯨肉が出荷されている。放射能検査については、1検体で筋肉中のセシウム137の値が0.7Bq/kgと一応低い値になっている。イカナゴ自体が地震・津波の影響を強く受けたこともあり、イサダ等他の餌生物が利用されたことなども理由としては考えられる。ただ、現在捕獲・検査されている対象は、記事中に図示したように過去の三陸沖調査捕鯨で対象とされてきた仙台湾に集まる群れではなく、鮎川から北北東の南三陸町沖合で捕獲されたものである点も注意されたい。今後も値が提示されたサンプルの性・年齢・採集海域など詳細な情報に注視する必要がある。
 問題は、この値が十分に低い、影響がないといえるかどうかだ。水産庁・関係者はあくまで食品としての安全性の視点しか持ち合わせていない。児童の尿中から検出された放射性セシウムが数Bq/lで水道水や食品の規制値より低いからと、胸を撫で下ろす親はおるまい。猛禽、水鳥、鰭脚類、鯨類等、寿命が長い高次捕食者への被曝の影響に対しては、決して警戒を怠ってはならない。
 河北新報の記事を読むと「ミンククジラが海の生態系に及ぼす影響を探るため」と、まるでクジラや放射能や重金属などニンゲンの文明由来の廃棄物であるかのような書きぶりだが、もちろんクジラはすべての海洋生物と同じく生態系を構成する自然の一部であり、あまりにも馬鹿げた表現といわざるを得ない。エチゼンクラゲやナルトビエイなどの「有害海棲生物」とさえ比較にならないほど、漁業と海洋生態系に甚大な被害を及ぼしたのは、もちろん福島第一原発事故であり、分を弁えず誤った政策を選択した日本という国、ニンゲンという愚かな動物である。復興も道半ばで財政破綻寸前のこの国に、環境影響評価・科学研究予算配分についてここまで優先順位をひっくり返すような余裕はないはずである。記者個人は鯨類の致死的調査も必要だとの立場であるが、それはあくまで放射能による海洋生態系への影響を調べる包括的な調査の一環としてであり、現行の副産物ありきの三陸沖調査捕鯨はまったくその体裁をなしていない。調査は汚染がより懸念される海域を中心に、鯨類以外も含め対象種を幅広く設定し、セシウム以外の放射性元素、筋肉以外の部位についても、徹底的に行われるべきである。(2012年4月22日)

−2年ぶり調査捕鯨 ミンク初の水揚げ 石巻・鮎川(河北新報・4月17日)
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/04/20120417t15008.htm (リンク切れ)
−放射能影響調査等における水産物の放射性セシウム及びヨウ素濃度の測定結果(水産総合研究センター ・4月18日)
http://www.fra.affrc.go.jp/eq/result_Cs_I.pdf

※ 追記2 
 2013年3月30日に、飯舘村放射能エコロジー研究会主催のシンポジウムが開かれ、福島周辺の野生動物の異常が報告された。
 福島市内のニホンザルの調査結果によれば、被爆量は外部被爆年間数mSv、内部被爆10mGy程度であるが、白血球の大幅な減少などが見られるとのこと。
 記事中に提示した、高濃度の放射性物質を含むイカナゴを1ヶ月間摂取したと仮定した場合、ミンククジラ、スナメリともに、その内部被爆量は数十mSvに及ぶ可能性がある。
 ニホンザルと同様の異常が起きていないか、詳細な調査が求められる。(2013年4月12日)

−福島原発周辺で「動植物異常」相次ぐ(東洋経済オンライン)
http://toyokeizai.net/articles/-/13516?page=5



◇原発・捕鯨関連ニュースクリッピング

 海洋汚染に関わるニュースが出回ってますね。

■高濃度汚染水、海洋流出は4700兆ベクレル 福島2号機 東電推定、通常制限量の2万倍 (4/21,日経)
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819595E0E3E2E2938DE0E3E2E6E0E2E3E39F9FE2E2E2E2 (リンク切れ)
■海に流れた汚染水、4700兆ベクレル 低濃度の3万倍 (〃,朝日)
http://www.asahi.com/national/update/0421/TKY201104210192.html (リンク切れ)

 日経記事の解説の方が述べているとおり、前提がおかしい気がしますね。クラックが出来たのは本震か最大余震の時でしょうし、トレンチにほぼ満杯になっていたのを発見したのは先月27日(これも直前まで空だったとは考えにくい)、1日にいきなり発見したのは、それまでピットの方向に線量計を向けなかったからでは? むしろ作業員の被曝管理がきちんと出来ているのか不安になります。こういう場合、安全を見越して最少ではなく最大の推計値をきちんと出してほしいものですね。
 それにしても目が回る数字。日経、毎日、東京に比べ朝日はツッコミがイマイチ。NHKに至っては、「750万倍が1200倍に減ってよかったー」といわんばかり。前回の記事で別の場所から漏れている可能性が大なのは指摘しましたが、保安院の言うとおり、取水口側のすさまじいダダ漏れが止まり、急場しのぎとはいえ諸々の対策を講じて影響が最小限に留まっていることを祈りたいものです。

■福島原発の放射性物質、「生態系濃縮」が始まった? (4/6,中央日報)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=138870&servcode=300&sectcode=300

 韓国メディアの方がきちんと伝えてるね・・。ノルウェーの研究所の件、ソースはここですね。

■Bioaccumulation of 137Cs in pelagic food webs in the Norwegian and Barents Seas
http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6VB2-47426JM-7&_user=1227244&_coverDate=12/31/2003&_rdoc=1&_fmt=high&_orig=gateway&_origin=gateway&_sort=d&_docanchor=&view=c&_acct=C000049104&_version=1&_urlVersion=0&_userid=1227244&md5=a9f65b9530557556c7c09ad9bb65b79e&searchtype=a
http://twitter.com/#!/katukawa/status/56204969103200256

 ネズミイルカの生物濃縮は165倍とありますが、この数字は餌生物によって左右されると見るべきでしょう。オキアミとの記述がありますが、バレンツ海のネズミイルカはたぶんニシンやシシャモ、底魚、イカ等が主食でしょう。甲殻類や頭足類の方が魚類よりCsの濃縮係数は低く、元のコウナゴがすさまじい濃度になっているのでスナメリやミンクなどはやはり心配になります。ちなみに、186Bq/Lを165倍すれば30,690Bq/kg。気がかりなのは当の野生動物と生態系への影響で、不自然な鯨肉の捕食者はどうでもいい・・といいたいとこですが、ヒトの成熟個体はともかく、この値は暫定規制値の61倍。より厳格なEUの乳児食品基準値と比較すれば153倍です。IAEAの濃縮係数を用いた上の数字とEUの乳児基準との比は279倍・・。

■平静を取り戻しつつあるコートジボワール、新政権が初閣議 (4/20,AFP)
http://www.afpbb.com/article/politics/2796346/7110404?utm_source=afpbb&utm_medium=topics&utm_campaign=txt_topics
<blockquote><script type="text/javascript" src="http://jss.afpbb.com/sdata/newsdelivery/sblo/js/sjis/7110000/ad2b203044cba0dec5f6e44c09199e36.js" charset="Shift_JIS"></script></blockquote>

 大使館封鎖で日本でも突然話題に上ったアフリカのコートジボワール。
 国名を聞いても日本との関係、とりわけクジラ/捕鯨・水産ゼネコン利権との関係がピンとこないという方(普通の日本人はほとんどそうでしょう・)は以下の2本の記事をご参照。

■捕鯨推進は日本の外交プライオリティbP!? (3)日本に捕鯨支持という踏絵≠踏まされる開発途上国 (拙HP)
http://www.kkneko.com/oda3.htm
■日本 捕鯨解禁のため、賄賂と女性を使って小国を買収 ('10/6/29,人民網日本語版)
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2010-06/29/content_20378228.htm

 仏の過干渉がいいとは言いませんが、えげつなさの点で日本のIWC票買い援助にはかないません。内紛の真っ只中の2006年、鯨肉大好き・自民党捕鯨議連の山際元衆院議員が何故か足を運んでいますが、民主化や部族対立の調停に一体どれだけの役割を果たせたんでしょうかね? 白人との対抗意識に燃えた国による、結局同じ「上から目線」での援助ではなく、無国籍の市民の手になる草の根援助でしか民主化の道は切り開けないのではありませんか? 以下はコートジボワール大使岡村氏のブログから引用。

■コートジボワール日誌
http://blog.goo.ne.jp/zoge1/e/635242cf53180a6d1f1a90f5800fcb91


そして、今回の事態に、アフリカ諸国が一番激しく反発している、という事実です。アフリカでせっかく定着しつつある、民主主義と平和と、そして繁栄への道を、コートジボワールが台無しにしている。そのことへの、アフリカ諸国の人々の強い怒りです。
(引用)

■福島第1原発:牛に「ごめん」 警戒区域化で最後の世話 (4/21,毎日)
http://mainichi.jp/select/today/news/20110422k0000m040122000c.html

 畜産農家の皆さん、一時帰宅の折には家畜は畜舎から解放してきてください。どのみち出荷できないんだから。法律改正も、どこぞの連中がギャーギャー吠えてる安楽死の人員・薬剤その他の手配も、その後の処分も間に合うわけなし。そもそも一時帰宅でそんな時間なし。現地には既に野良牛さんも結構な数見られるようで、むしろ先に解放したヒトたちを筆者としては誉めたいです。後のこと、今考えてもしょうがないですよ。誰もが予想はつくと思うけど・・。
 被曝は避けられないけど、束の間であっても自由に生きて自由に死ぬ方が、この子たちにとってはマシかもしれないね・・・。筆者の郷里には、奈良時代に共に行脚した姫との別れを悲嘆して入水自殺した牛の物語が伝わっています。今と違って純粋なパートナーだった時代の、日本人が動物たちと目線を近しくしていた頃の話。どのみち殺して金にかえるだけの私有財産としか見ていないニンゲンとの別れを、嘆き悲しむ牛もいなかろう。
 野良牛や野良ワンコが闊歩し、ときどきヘンなカッコした二足歩行動物が出入りする放射能汚染地帯──なんともシュールな絵です。
posted by カメクジラネコ at 02:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学系