2014年04月18日

調査捕鯨継続なら、本川水産庁長官は更迭、林農相も辞任すべし!

◇調査捕鯨を継続するなら、林農相は本川水産庁長官を更迭し、自らも辞任せよ!──多額の税金をどぶに捨て、自ら敗訴を招いた大失策の責任を取ろうとしない厚顔無恥な捕鯨官僚&族議員


■第180回国会 決算行政監視委員会行政監視に関する小委員会 第3号(平成24年10月23日(火曜日))
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/025318020121023003.htm


○本川政府参考人
ミンクというのは、お刺身なんかにしたときに非常に香りとか味がいいということで、重宝されているものであります。 (中略)
したがって、ミンククジラを安定的に供給していくためにはやはり南氷洋での調査捕鯨が必要だった、そういうことをこれまで申し上げてきたわけでございます。
(引用、強調筆者)


 はあ・・読む度にため息が漏れますね。。
 上掲引用で略した部分では、売れ行きが悪くて在庫がかさんでいる北西太平洋産のイワシクジラやニタリクジラ(IKANニュース51号参照)、地元では干し肉の形で消費しており都心の料亭で刺身にするには向かないツチクジラについて説明されています。でもって、それじゃ永田町のグルメ議員らの舌を満足させられないから、「美味いミンクを食い続けるためにも、南極まで行って捕ってこなきゃ駄目だ!」という本音につながる形。むしろ、質問に立った議員たちに対し、「やっぱり南極でやるのが大事なんですよ、だって美味いミンク食べたいでしょ?」と媚を売る発言にも聞こえますね。食道楽垂涎の的、ナガスの尾の身にはさすがに触れてないけど・・。
 無論、本川長官の責任は免れようがありません。しかし、佐々木副大臣、小野寺氏をはじめ委員会に出席した十名余りの国会議員らも、「調査捕鯨の合法性に疑義をもたらしかねない重大な発言だ」と撤回・訂正を求めることをしなかった以上、当然彼らも同罪です。

■孤立無援の日本の「捕鯨」、どうすれば伝統漁業を残していけるのか|JBPRESS
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40449

私は水産庁の「鯨類捕獲調査に関する検討委員会」の委員として、捕鯨についての政策論議に関わったことがあるが、豪州の日本提訴について、水産行政に関わってきた人たちの見方は「盗人たけだけしい」といった認識で、日本が負けることはあり得ないという楽観論がほとんどだった。(引用、強調筆者)

 論者は朝日新聞石巻支局長を務めた「さかな記者」高成田亨氏。
 「水産行政に関わってきた人たち」にとってみれば、南極海、南半球、というより世界のクジラはぜーんぶ俺様のモノ。だから、彼らの目には、自分たちのクジラをオーストラリア人が横取りしようとしているかに見え、平気で盗人呼ばわりしているわけです。
 なんというジャイアンな性格!
 こういう感覚の人たちが長年にわたって日本の水産行政を牛耳ってきたとすれば、ウナギ、マグロが瀬戸際に追いやられるのも当然の成り行きでしょう。

■調査捕鯨のオウンゴール 建前を貫く覚悟が大切 (4/13,日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO69790750S4A410C1TY7000/?dg=1

 日本政府も科学的調査を目的に掲げて調査捕鯨を実施してきた。だが本川長官の発言では別の目的がはっきりしている。本音と建前に当てはめるなら、科学的調査は建前で、鯨肉の安定供給が本音という構図だ。
 この使い分け自体が見苦しいのは言うまでもない。が、それに劣らず問題なのは、日本の捕鯨政策の責任者が公の場で、建前をないがしろにする本音を開陳したことだろう。
(引用、強調筆者)

 浅はかさと傲慢さによって自ら墓穴を掘った完敗に近い敗訴。その決め手となった、水産庁トップの致命的な国会答弁は、国際司法裁判所(ICJ)の判決文の中にしっかりと記されました。日本は国際裁判史上前例を見ない恥ずかしい当事国として、永久にその名を歴史に刻みつけられてしまったのです(判決文#197,p58)。

■JUDGMENT|WHALING IN THE ANTARCTIC (AUSTRALIA v. JAPAN: NEW ZEALAND INTERVENING)
http://www.icj-cij.org/docket/files/148/18162.pdf

 一部の有識者、そして筆者をはじめICJの口頭弁論をウォッチした市民は、科学性の粗をパフォーマンスと論点外しで必死にごまかそうとする日本側の戦略を見て、「このままじゃ旗色がかなり悪いぞ」と昨年の段階から警告していました。その筆者らの予想さえ上回るほどの完敗の背景には、自らの非を認め、襟を正すという、人としては当たり前の能力が根本的に欠如した捕鯨サークルの恐るべき体質があったわけです。

■日本の調査捕鯨が国際司法裁判所で弾劾される日|天木直人氏 ('13/6/27,BLOGOS)
http://blogos.com/article/65118/
■ICJ調査捕鯨訴訟で日本は負ける|拙ブログ
http://kkneko.sblo.jp/article/70305216.html
http://www.kkneko.com/english/icj.htm
■調査捕鯨国際裁判敗訴は全て安倍と自民党捕鯨議連の責任|Togetter
http://togetter.com/li/650580

 この間政府関係者は、少なくともざっと一通り判決文に目を通しているはずで、この致命的な発言がしっかり入れられてしまったことも当然知っているはずです。
 ところが、敗訴の責任については、安倍首相が鶴岡代表を厳しく叱責するパフォーマンスのみで、すっかりうやむやにされてしまった感があります。知名度の高い国際弁護士数名に何千万円ものギャラを支払ったというのに。
 マスコミも、上掲のオンライン論説1本以外、本川長官と水産庁の重大な責任に触れた報道がひとつも見当たりません。
 TVは調査捕鯨が商業捕鯨に他ならなかったという事実を追認するように、鯨肉料理屋や客の怒りの声を流し続け、「このままでは伝統の食文化が・・」と危機感を煽るばかり。従来と何も変わらない捕鯨擁護論ばかりが伝えられ、ICJの判決の中身を詳細かつ冷静に分析する報道は皆無に等しい状態です。
 外務省の三段構えの戦術は、筆者ら捕鯨ウォッチャーの目には見苦しいものに映りました。それでも、公平性・公正性を世界で最も重んじるICJ判事たちの目を、本川長官の「ミンクは旨い!」発言からいかにして逸らすかという無理難題に対し、彼らはそれなりに善処したといえましょう。「自分たちは正しいのだから、負けるわけがない」と高を括り、建前と本音の使い分けさえできない自らの不始末を放置しながら、すべての戦略を外務省に丸投げした捕鯨サークル関係者や族議員には、他省の尻拭いに負われ、TPP交渉と掛け持ちで忙殺された外務官僚の苦労など理解できるはずもないでしょうが。

 ただ……一連の経緯からは、外務省がひたすら損な役回りだったかに見えますが、必ずしもそうとばかりは言えないかもしれません。
 レベルの低すぎる捕鯨官僚が負うべき責任を、外務省は自らの面目を思いっきり潰される形でかぶってやったわけです。当分の間、農水省/水産庁は、外務省に対して頭が上がらないでしょう。
 何しろ、水産庁長官の「ミンクは旨い」発言のせいで、「国際裁判初戦完敗」という永久に消えない屈辱を外務省に与え、看板に泥を塗ったも同然なのですから。
 農水省/水産庁は、外務省にあまりにも大きな借りを作ってしまいました。「クジラ」で。
 日豪EPA交渉で、直前にクジラで負けた相手でもあるAUSから、日本は対米交渉に有利なカードをも渡してもらいました。各所で指摘されるとおり、こちらのEPAについても、畜産農家やサトウキビ農家など、日本の農業者にとっては苦渋の選択を強いられる内容がいくつもあったようですが。
 ここのところ、靖国参拝や河野談話見直し等で米国の失望を買いまくり、今度のオバマ米大統領来日に際しても「国賓待遇なんて要らないから」と冷たい反応を返されるほど、ガタガタになった日米関係を修復することこそ、外務省にとって何よりも最優先すべき課題
 オバマ氏に対して、日本は相応の貢物を差し出す必要に迫られています。
 いま日本の手元にあって、大統領来訪中に差し出すことが可能なものは、2つしかありません。
 TPP日米交渉の大幅な進展、もしくは公海調査捕鯨からの撤退。
 TPPで米国の要求を丸呑みするならば、日本の一次産業従事者は、稲作農家、畜産農家以外も含め、一握りの起業家向きの人を除き、窮地に追いやられることになるでしょう。
 永田町では、捕鯨サークル主催の鯨肉パーティーを兼ねた族議員の決起集会が開かれ、衆参両院で調査捕鯨継続を求める決議を提出されました。TPPに関しても同様に5品目の聖域確保などを求める決議が出されましたが、威勢のよさでは「クジラ」が主食の「米」をも上回った感がありますね・・

 もうかる漁業補助金の超優遇をはじめ、捕鯨サークル最優先の陰で常に割を食わされ続けてきた沿岸漁業者の方々を含む、日本全国の一次産業従事者の皆さん。
 農水省/水産庁は、「クジラ」で取り返しのつかない愚策を犯したうえに、その責任をすべて外務省に押し付けてしまいました。
 外務省は「じゃあ、そういうことでかまいませんね?」と、米国にあなた方を売り渡すでしょう。彼らにとっては、それが省益にも重なる最大の国益にほかならないからです。
 いま、農水省/水産庁は、「クジラというご神体≠ウえ死守できれば、後はどうなろうと別にかまわない」という、驚くべき姿勢を示しつつあります。
 本川水産庁長官による「ミンクは旨い」発言が招いた国際裁判完敗の恥辱に対し、見て見ぬフリをする形で。そのあまりにも重大すぎる責任を一切負おうとしないことで。
 世界最高の国際司法機関から国際条約違反と断じられた擬装商業捕鯨である調査捕鯨を延命させんがために。
 当たり前のことですが、外務省は農業にしろ捕鯨産業にしろ、潰してやろうなどと考えているわけではありません。国際外交の場で日本にとって国益にかなう、最も有利な選択は、日米同盟を堅固に保つことだ──というのが、彼らの揺るぎない信条です。彼らにとって、農業あるいは捕鯨産業は、日米同盟の維持によって日本が生き延びるためなら、場合によっては差し出してかまわないカード≠ニいうこと。
 先の記事で最悪のドツボにはまる可能性について指摘したとおり、外務省サイドも調査捕鯨訴訟がまさかここまで完敗に至るとは考えていなかったと思われます。ただ、TPP交渉の進展が捗らない中、オバマ訪日とまさにぴったりのタイミングで、農水省を完全に抑えこめたことで、「棚からぼた餅ならぬクジラ」と、一部の外務関係者はほくそ笑んでいるのではないでしょうか?
 もし、族議員らの決議を慮って、日本政府が北西太平洋での調査捕鯨を強行するならば、米国への手土産はTPP/農業で確定です。日本の一次産業の未来も。美食の追求のために南極の野生動物を屠る行為とは対照的に、地域の風土と文化に密接に結び付き、環境保全にも一定の役割を果たしていたはずのこの国の農業は、米国のそれに似たビジネスの形でしか生き残れません。それはもはや、かけがえのない日本の伝統文化である農業とは相容れないものです。私たち日本人の魂のよりどころだった、日本の原風景である美しい農村も、失われていくばかりでしょう。

 本当にそれでいいのですか!?


 日米関係を大きく修復させ、なおかつ、日本が被る損失を圧倒的に小さくできるカードはあるのですよ。筆者ら少なからぬ日本国民にとっては、そもそもお荷物でしかなくメリットのほうがはるかに大きいものですが。
 確かに、識者が指摘したとおり、ICJから日本の調査捕鯨が違法認定された時点で、「南極海捕鯨からの撤退」というカードは失われてしまいました。裁判所に言われたことをただやるだけ、ではカードになりようがありません。
 しかし、ほんの少し上乗せするだけで、不人気の民主党オバマ政権を大いに喜ばせ、米国市民の日本に対する評価・好感度を一気に上昇させるのに十分なサプライズになるはずですよ。
 安倍首相が、オバマ大統領の隣で、世界に向かって「公海調査捕鯨からの完全撤退」を宣言するならば、同氏と日本の株は飛躍的に上昇することは間違いありません。
 お隣のいくつかの国には、面白くないと思う人もいるでしょう。けど、中国・韓国の市民だって、戦前の帝国主義を彷彿とさせる強硬な捕鯨政策を日本が改めるならば、見直す方も決して少なくはないはずです。


 日本の一次産業従事者の皆さん。
 独善的な捕鯨サークルの業界益のために、あなた方が犠牲になる必要はありません。なるべきではありません。
 もし、日本政府が公海調査捕鯨の続行を表明し、代わりに農業そのものを米国に差し出すならば、あなた方は一丸となって、外務省に頭が上がらなくなる原因を作った主犯である本川水産庁長官の更迭と、林農相の辞任を農水省に対して求めるべきです。
 また、海洋環境・野生動物に関心のある内外の市民は、ICJに対し米中韓三カ国共同で日本の北西太平洋調査捕鯨を提訴するよう働きかけるアクションが必要になってくるでしょう。

参考リンク:
■「鯨肉が売れない!」〜鯨研自らが公表した、入札結果の惨状〜|IKA-net
http://ika-net.jp/ja/ikan-activities/whaling/250-sluggish-sales-of-whale-meat
■ICJ敗訴の決め手は水産庁長官の自爆発言──国際裁判史上に汚名を刻み込まれた捕鯨ニッポン
http://kkneko.sblo.jp/article/92944419.html
■捕鯨ニッポンが最悪のドツボにはまる可能性
http://kkneko.sblo.jp/article/93046598.html

posted by カメクジラネコ at 01:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系
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