2014年04月13日

捕鯨ニッポンが最悪のドツボにはまる可能性

◇捕鯨ニッポン、最悪のドツボにはまる!?──ICJ完敗が外交にもたらす深刻な影響

 おかげさまで、前回の記事へのアクセスが掲載後1日で1万アクセスを突破しました。やはり、調査捕鯨国際裁判に対する皆さんの関心はそれだけ高いようです。
 マスコミ記者の方も、判決文中の例の箇所に着目してくれました。タイトルはちょっと変ですが(国際社会を前に建前を貫かれるのも困るし・・)、外国人技能実習制度の問題も例に挙げ、よくまとまっています。アナログ版でも掲載してほしいところ。


■調査捕鯨のオウンゴール 建前を貫く覚悟が大切 (4/13,日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO69790750S4A410C1TY7000/?dg=1


 日本政府も科学的調査を目的に掲げて調査捕鯨を実施してきた。だが本川長官の発言では別の目的がはっきりしている。本音と建前に当てはめるなら、科学的調査は建前で、鯨肉の安定供給が本音という構図だ。
 この使い分け自体が見苦しいのは言うまでもない。が、それに劣らず問題なのは、日本の捕鯨政策の責任者が公の場で、建前をないがしろにする本音を開陳したことだろう
 この発言の2年前、日本の調査捕鯨の実態は商業捕鯨だと主張するオーストラリアが、国際司法裁に中止を求めて提訴していた。係争中だったことを長官は知っていたはずで、ワキが甘いと言うしかない。周知の通り日本は豪州に敗れた。
(引用、強調筆者)
 
 この日経記事で「やっと出てきた」という感じですが、判決文とその波及効果について、きちんと冷静に分析したメディアがまだ少ないのは残念なことです。
 国際司法裁判所(ICJ)の公表したプレスリリースをわざわざ訳してくれたのは、律儀な反反捕鯨活動家君ですし、筆者も判決文のごく一部を紹介しただけにすぎません。本来なら、外務省/日本政府が率先して判決文全文の和訳版をホームページ上で公開し、広く国民に知らしめるべきだと思うんですけどね。鶴岡代表の冒頭と最終の口頭弁論はしっかり載っけてるんだし。
 まあ、これ以上恥をさらしたくないという気持ちもわからなくはありませんけど・・。でも、一流国際弁護士の高額報酬分を含め、多額の税金をつぎ込んだ国際裁判デビュー戦の試合結果≠ナある以上、敗因の分析も含めて国民に詳細に説明するのは国の義務のはず。
 ただ、そんな余裕すらないほど、彼らは切羽詰まった状況に追い込まれているのかもしれません。


■宮城沿岸などの調査捕鯨 実施か慎重に検討 (4/11,NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140411/k10013656931000.html


 これらの海域での調査捕鯨は、中止を命じた判決の直接の対象にはなっていません。
 しかし政府は、捕獲する頭数など調査の方法などによっては、今後、判決が適用される可能性があるとして調査方法の検証を始めており、予定通り調査捕鯨を実施するかどうか慎重に検討を進め、来週にも結論を出すことにしています。
(引用)


 皆さん、奇異に感じませんか?
 JARPNU(北西太平洋調査捕鯨)三陸沖沿岸調査の名目で行われるこの調査、事業主体は共同船舶ではなく、沿岸捕鯨事業者の組合に相当する地域捕鯨推進協会です。工船モラトリアム違反に該当する捕鯨母船・日新丸を運用するでもなく、操業場所もサンクチュアリ決議違反に当たる南緯60°以南の南極海からは遠い日本の二百海里内、目標捕獲数は60頭前後で対象種はミンククジラ1種のみですから、JARPAUで追及された対象種拡大・捕獲枠増大の問題も、相対的には大幅に小さいといえるでしょう。唯一引っかかるとすれば、胃内容物等の生態解明を目的とした調査手法について、非致死的な代替案を検証したかどうか。実際、バイオプシーによる脂肪酸解析という手法があり、この点は確かに突っ込まれても当然なのですが・・。
 いつも居丈高な水産庁が、内外の誰の目から見ても、少なくともかなりマシ≠ノ見える沿岸調査で、「慎重な検討」を強いられ、実施するかどうかさえ明言を避けたのには、それなりの理由があるはずです。

 一方、それと対照的な反応を示したのがこちらの当事者。

■15年度以降に調査捕鯨再開へ 鯨研、米地裁に意見書提出 (4/14,共同)
http://www.47news.jp/CN/201404/CN2014041201001846.html


 日本政府は、捕獲頭数削減など計画内容を変更し15年度以降の再開を目指す考え。鯨研は内容の異なる計画で、15年度以降の調査捕鯨実施は、これまでの計画を対象にしたICJの判決に背くものではないと説明している。(引用)


 見出しの前半分だけ見ると、国際裁判にずっと注目してきた人たちはみなギョッとしたところでしょうが、これは明らかに鯨研の先走り。国際条約附表に基づき審査する国際捕鯨委員会(IWC)ではなく、一組織の事情で因縁の相手と争うことになった米国地裁に対して、「自分たちは再開したい! するつもりだ! するぞ!」という意見を送っただけ。
 そうでないはずがありません。当の水産庁が、ジリジリしながら待たされている沿岸捕鯨事業者に対し、直前まで実施を明言できないのですから。
 むしろ、水産庁トップの致命的な発言をはじめ、自業自得で調査捕鯨再開の可能性が刻一刻としぼんでいく中で、破れかぶれの反応を示した、というのが正解かも。族議員や外野の応援団が、シーシェパード(SSCS)とのプロレスに引っかけたSOS要請≠ノ応じ、南極海での続行のゴリ押しを手伝ってくれるものと、期待してのことでしょう。

 莫大な税金を投入して債務超過団体に転落した身を引き上げてもらった当事者が、どれほど「絶体絶命のピンチ」を叫ぼうと、国民も、合理的な現実主義者が多数を占めていいハズの政府関係者も、今回ばかりは「じゃあ、救済してあげる」と二つ返事で請け合える状況にあるとは、筆者は思いません。
 賢明にして優秀なる外務官僚諸兄は、きっとお気づきになられたでしょう。
 今回のほぼ完敗に近い敗訴が、日本の外交戦略に致命的な打撃をもたらす爆弾となりかねないことを。
 いざという場面で使うはずだったカードがゴミ屑と化し、代わりに敵の手に有用なカードを渡してしまったかもしれないことを。

 前回の続きになりますが、いま日本政府の頭を悩ませているのは、他の国からJARPNUまでICJに訴えられやしないか、ということです。
 最初に思いつく候補として米国を挙げ、なおかつ米国自身が提訴する可能性は高くないかもしれないと指摘しました。そして、他にも該当する国があると──。
 ここで、その2つの国を、仮にA国B国としておきましょう。
 そして、日本との間で懸案になっている問題を、A国とのT島問題B国とのS諸島問題として
おきましょう。
 ・・・・・・。
 バレバレな感じですが、まあいいよね(^^;;
 訴えるはずがない、とおっしゃる?
 そうとばかりも言えないことを、これから説明していきましょう。

 A国B国は、ともにIWCに加盟しています。そして、ともに北西太平洋に面しています。
 しかも、両国はユニークな位置づけにありました。日本の主張にそっくり右へ倣えしてきた、カリブ海、太平洋、アフリカの加盟国は、日本の水産ODAと引き換えにIWCの票を売っただけで、自分たちが南極海などで捕鯨を始める可能性はゼロです。そんな中で、A国とB国だけが、独自のスタンスを取っていたといえます。アイスランド、ノルウェー、デンマーク(フェロー諸島)、ロシアとは別に。
 ちなみに、ロシアが日本を訴える可能性もありますし、その戦略的意味合いもこれから述べるA国B国のそれに近いものがあるかもしれません。
 これまでのIWC報道では、二国はどちらかというと日本に同情的、と報じられてきました。しかし、この2国はただ自国で捕鯨を行う可能性を吟味していたにすぎません。潜在的捕鯨国というわけです。
 A国では現在でも地方で鯨肉が消費されており、主に問題の大きな混獲という形で提供されています。B国では現在捕鯨は行われていませんが、伝統捕鯨はありました。そもそも、日本に古式捕鯨の技術が伝わったのは同国からだったという説もあります。また、B国がある意味で最も商業捕鯨参入のポテンシャルが高い国であることも、日本国内の一部の関係筋が指摘しているところです。
 「捕鯨国同士はいつでも利害が一致する」というのは、もちろん意味のない前提です。他の産業を見ても、歴史を振り返ってみても。それは、現在南極海・母船式捕鯨になど興味のないノルウェーとアイスランドが、常に日本と同じスタンスだったわけではないことからも明らかでしょう。
 
実は、A国は日本と同じように「調査捕鯨をやりたい」と、IWCの場で表明したことさえあるのです。それはつい昨年のことでした。
 そして、内外の反発を受け、反対派の意見に真摯に耳を傾けたうえで、いったん出した宣言を引っ込めたのです。まさに捕鯨ニッポンとは対照的な振る舞い。捕鯨に限らず、ここまで大人の対応ができる政治家は、残念ながら今の日本にはいそうもありませんね・・。


■韓国の調査捕鯨参戦宣言が招いた波紋 (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/56904118.html
■韓国調査捕鯨断念報道 (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/67764403.html


 記事中に国名が入っちゃってますが、とりあえず気にしないでください。。。
 続いてB国ですが、IWCでの立場はやや日本よりだったものの、同国内では捕鯨に対しさまざまな意見が聞かれます。今回のICJ判決に対しても、日本に同情的な声から辛辣な批判まで多様な主張がある模様。ネットメディアの捕鯨報道に関する限り、B国は別に検閲などしておらず、日本よりむしろジャーナリズムの公平性が保たれているくらいかも・・。


■調査捕鯨に中止命令、中国では矛盾指摘の声も=中国版ツイッター|Searchina
http://news.searchina.net/id/1528607
■違法な捕鯨が暴き出す“日本人の腐った根性”―中国メディア|ZINHUA.JP
http://www.xinhua.jp/socioeconomy/photonews/379038/
■中国発捕鯨批判 (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/34860899.html 


 こちらも国名が入っちゃってますが、同じく気にしないでください。。。。
 では、両国が本当に日本を訴えられるのか、またその気があるかどうか。
 まずA国自身が国際的な批判を受けて調査捕鯨計画を撤回したにもかかわらず、AUS・NZとの裁判で違法認定された日本が、ほとんど同じ内容の大規模調査捕鯨をいけしゃあしゃあと北西太平洋で続行するとなれば、同国とその市民にとっては面白いはずがありません。
 しかも、おそらく同国の計画した調査捕鯨の内容は、近海に限った小規模なもので、少なくとも日本のJARPAUに比べればはるかに違法性が少なかったはずなのです。
 つまり、A国にはJARPNUをICJに訴える大義名分が十分にあるのです。
 そして、同じくB国にとっても、北西太平洋の資源を日本が事実上占有している状態に、いい顔をするはずはないでしょう。ICJが違法性を指摘した以上、B国がここぞとばかり追及しない道理はないわけです。
 今回の訴訟では、B国出身の判事も含まれていました。某週刊誌がどうでもいい記事を書いてるようですが。。
 また、A国はハーグで大使を傍聴させていたことを、捕鯨擁護記者が確認。

■元産経木村正人氏もやっぱりトホホ反反捕鯨記者 (拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/73531621.html

 前回も指摘しましたが、両国が今回の日本とAUS・NZの訴訟の経緯を、細心の注意を払って見守っていたとしても、何ら不思議はありません。
 この訴訟への対応が、T島S諸島の問題を睨んだものだということは、当の日本政府関係者もマスコミも、あっけらかんと言いふらしていたわけです。聞いていないはずがないでしょう。


 両国とも、上記したとおり大義名分はあります。
 しかし、建前とはまったく別の理由で、日本を提訴することが大きな意味を持つと考えるかもしれません。日本が公にしていた裏の動機と同じく。
 ICJはすべての国連加盟国に開かれ、さまざまな国に活用されているとはいえ、訴訟コストはバカにはなりません。日本はこれまでICJで争ったどの国よりも、無駄金を投じたといえそうですけど・・。
 とはいえ、A、B両国は、その価値に十分見合う対価とみなすことでしょう。しかも、このケースに限っては、非常に低コストで済む可能性が高いわけです。事前提出資料はAUSのそれを参考にすればよく、後述するように、審議の準備の方は不要にさえなるかもしれません。
 また、AUSとNZのように、タッグを組むことも可能。むしろそのほうがお互いメリットになるでしょう。


 さて、A国B国が、「日本のJARPNUは国際捕鯨取締条約違反だ」とICJに訴えたとします。内容はAUSとほぼ同じ。
 この両国は、ICJに対して義務的管轄権受諾宣言を提出していません。
 ですから、AUS戦と異なり、日本はあっさりと逃げられます。AUSに対しては先決的抗弁を使う手法があり、そのほうが合理的だったのですが、その手続さえ不要です。
 確実に負けるとわかっているのですから、合理的に考えるなら、応訴しないで無視するのは当然のこと。
 しかし……そこで「日本は逃げたぞ!」と言われるわけです。
 国際司法裁判所に違法性を指摘されながら、間違いなく同様に違法な調査捕鯨を、対象外だという理由で別の場所で強行してしまう。判決に従うどころかICJの権威に泥を塗る、国際法規を重んじる精神など欠片も持ち合わせない国として、徹底的に批判されるでしょう。ついでに、相手がAUSのときは応じたのに、同じアジア諸国であれば無視する点も、一種の差別という謗りを免れないでしょう。
 話はそこで終わりません。
 今度は日本側がいよいよT島S諸島問題で両国を訴えようとしたとき、やはり彼らは同様に簡単に逃げることが可能です。
 しかし……そこで両国には格好の言い訳が与えられます。
「おあいこじゃん」
「先に逃げたのはそっちでしょ?」
「判決を守ろうとしない、調子のいい国の相手なんかしてられないよ」

 国際社会も、「まあ、どっちもどっちだね」という評価を下すでしょう。

 そもそも、日本政府が調査捕鯨裁判を、自国の絡む国際紛争(とりわけT島、S諸島)を処理するためにICJを活用するモデルケースとみなしたのは、次のような狙いとシナリオがあったからでした。
 本音では重要な国益だとは考えていないクジラで、引き分けに近い、あるいは実質勝訴といえる軽い#s訴を受け入れ、国際社会に対して自分たちが国際法規を尊重する模範的な優等国なのだということを精一杯アピールする。
 そして、本丸≠ナAB両国を土俵に引っ張り上げ、あるいは逃げられたとしても、そのことによって自分たちの正当性を声高に世界に知らしめる
──という。
 ところが、日本の思惑は大きく外れてしまいました。軽い#s訴で済むはずが、重い#s訴になってしまったのです。水産庁長官ら、捕鯨サークルのポカで。

 ここでもし、族議員や捕鯨サークルのわがままを受け入れ、JARPNUを小手先の変更で済ませたり、南極海での再開を強行するようなことになれば、国際社会から「なんだ、日本は口では守ると言いながら、判決に従う気なんて全然ないじゃないか」と強い批判を浴びるでしょう。優等生であることをアピールするはずが、脱法国家のイメージがさらに強化されてしまうのです。そうなれば、AB両国を睨んだ日本の戦略は台無しになってしまいます。
 逆に言うなら、日本からICJオプションを奪う、少なくともその効果を大きく減殺してしまえる非常に有効な手段を、日本はAB両国に対して与えてしまうことになります。

 日本には、両国のJARPNU提訴に対し、逃げずに受けて立つという選択も一応あります。AUSの提訴に対してそうしたように。
 しかし、その場合、200%負けが確実の茶番と化すわけです。 まさに究極の不合理。
 いくら高いギャラを積まれたって、海外の弁護士は絶対に日本の依頼に応じるはずもなし。免責事項がついても、看板に傷がつくのは誰だってごめんです。お人好しのワロー氏に代わって証人を引き受けてくれる海外の研究者なども、見つかりはしないでしょう。前回負けた京大の法学部教授他、代表団は全員日本人で構成するしかないでしょうね。
 顔ぶれは変わっても、ICJ判事たちはそれこそうんざりするでしょう。「AUSとの裁判で既に指摘されたことを、なぜ守ろうとしなかったのか?」と、日本が一段と厳しく責任を問われるのは間違いありません。
 内外のメディアはシラケるばっかり。欧米豪の市民は、特にクジラ好きでなくたってAB両国を応援するでしょう。各国政府も沈黙するしかなし。
男なら、負けると分かっていても戦わなければならないときがある(〜某昔のアニメ)! どうだ、逃げずに戦ってやったんだぞ、偉いだろ! もう1回、(領土で)尋常に勝負!!」
 満身創痍でそんな見得を切ってみせたって、ウケるのは国内のサブカル世代のネトウヨだけでしょうね・・。
 裁判に応じようと応じまいと、日本のイメージダウンは必至です。
 最近の日本の首相の猪突猛進ぶりに業を煮やしているAB両国にとっては、低リスクで得るものの大きい、検討に値する戦略だと思いませんか?

 

 正直、筆者自身は領土のことなんて知ったこっちゃありません。
 大切なのは、命、自然、そして平和。
 日中双方の識者が指摘するとおり、尖閣諸島の主権をめぐる問題で、両国にとって恩恵を最大化できる選択は「永久棚上げ」です。
 台湾との間で、水産資源管理の点では十分とはいえない、当の八重山の漁業者にも納得のいかない拙速な漁業協定を結べるくらいなら、日中台で公平・公正かつ厳格な資源管理に基づく漁業協定を結ぶべきであり、またそれは可能なはず。
 日中および米国が真剣に取り組むべきは、緊張緩和・軍縮のための膝詰めの交渉のはずです。
 韓国との間の歴史問題等にしても、未来志向といいつつ談話を見直そうとしたり、バカげた観測気球を打ち上げ続けたり、やってることは常に後ろ向きでは、米国に愛想をつかされて当たり前です。竹島は韓国が実質的な施政下に置いていますが、交渉の前提となるはずの慰安婦問題をはじめとする歴史認識で復古主義を前面に押し出すようでは、相手を硬化させるばかりで、対話が進むはずがありません。

 とはいえ、とくに保守主義の立場でなくとも、領土問題に関しては非常に強い関心をお持ちの方も少なくないでしょう。そんな諸兄のために、この問題をA国B国に利用されないようにするための対処法を提案したいと思います。
(「領土なんかより鯨肉のほうがずっと大事な国益だ!」と言えちゃうヒトたちには、筆者から申し上げることは何もありませんけど。。)
 日本が、自らの犯した重大な失策を埋め合わせる方法は、やはりひとつしかありません。
 国益としては(少なくとも領土に比べれば)実に瑣末でチッポケな、特定の事業者と癒着した官僚・族議員の利権のためでしかないクジラを、きっぱりとあきらめること。
 可及的速やかに、疑念を差し挟む余地がないほど判決を遵守するのがベター。要するに、一番手っ取り早いのは、公海からの完全撤退です。詳細は前回の記事をご参照。
 JARPNUをほとんど内容を変えずに今年強行したり(もう時間はあまり残されていませんが)、再来年の南極海での再開を宣言するなどは、もちろんもってのほか。
 そのとき日本は、クジラなんぞよりはるかに大きなものを失うことになるかもしれませんよ──。


 領土問題で、3国がお互いに頭を冷やしたうえで、罵り合いにならない実のある話し合いのテーブルに着くまでには、まだまだ長い時間を要することでしょう。
 日本はここで、最低限の自制心を、クジラから、今回のとても痛い敗訴から、真剣に学ぶべきです。


参考リンク:
−メディアが伝えぬ日本捕鯨の内幕 税を投じて友人なくす|WEDGH Infinity
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/721
−ICJ敗訴の決め手は水産庁長官の自爆発言──国際裁判史上に汚名を刻み込まれた捕鯨ニッポン (前回記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/92944419.html


 次回は今年の小笠原のザトウクジラの画像をお届けしますニャ〜

posted by カメクジラネコ at 19:06| Comment(0) | TrackBack(1) | 社会科学系
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