2014年04月12日

ICJ敗訴の決め手は水産庁長官の自爆発言──国際裁判史上に汚名を刻み込まれた捕鯨ニッポン

◇ICJ敗訴の決め手は水産庁長官の自爆発言──国際裁判史上に汚名を刻み込まれた捕鯨ニッポン

■JUDGMENT|WHALING IN THE ANTARCTIC (AUSTRALIA v. JAPAN: NEW ZEALAND INTERVENING)
http://www.icj-cij.org/docket/files/148/18162.pdf

 国際司法裁判所(ICJ)の調査捕鯨訴訟、筆者も政府関係者に倣って判決文を精査しているところですが、読めば読むほど日本側に不利なことが明らかになってきた感じ。
 例えば、ICJが認めているのは、国際捕鯨取締条約(ICRW)8条に書かれた定義上の調査捕鯨のみで、第一期のJARPAについては本件の争点ではないと判断を完全に保留しています。双方の言い分を一応紹介したうえで、「今回の件とは関係ないから、あんたたちの意見の不一致にコートは取り合わないよ」といっているわけです。巷で言われているように、決して日本の調査捕鯨を認めたわけではありません(#99-108:ICJ判決文)。認めたのはIWCへの事務手続きだけ。

 The legality of JARPA is not at issue in this case. #99(p35)

Overall, the Parties disagree whether JARPA made a scientific contribution to the conservation and management of whales. The Court is not called upon to address that disagreement. #108(p37)


 また、非致死調査の検討がきわめて不十分だったことについては、AUS側の主張をそのまま認めており、「ザトウとナガスの致死調査なしでも一定の成果が挙がっているのに、なぜクロミンクで致死調査にこだわるのか?」と問題視しています。「ザトウとナガスを計画数どおりに殺せ(さ)なかったことが問題で、もっと増やしゃよかったんだ」という擁護派の主張は明らかに誤っています(:ICJ判決文)

The Court also notes Japan’s contention that it can rely on non-lethal methods to study humpback and fin whales to construct an ecosystem model. If this JARPA II research objective can be achieved through non-lethal methods, it suggests that there is no strict scientific necessity to use lethal methods in respect of this objective. #211(p62)

 その中で、敗訴を決定付けた日本側の致命的なポカを発見しました。


The use of lethal methods in JARPA II focuses almost exclusively on minke whales. As to the value of that species, the Court takes note of an October 2012 statement by the Director-General of Japan’s Fisheries Agency. Addressing the Subcommittee of the House of Representatives Committee on Audit and Oversight of Administration, he stated that minke whale meat is “prized because it is said to have a very good flavour and aroma when eaten as sashimi and the like”. Referring to JARPA II, he further stated that “the scientific whaling program in the Southern Ocean was necessary to achieve a stable supply of minke whale meat”. In light of these statements, the fact that nearly all lethal sampling under JARPA II concerns minke whales means that the distinction between high-value and low-value species, advanced by Japan as a basis for differentiating commercial whaling and whaling for purposes of scientific research, provides no support for the contention that JARPA II falls into the latter category.
  #197(p58)

 これはオーストラリア(AUS)側が昨年6/28の口頭弁論時に指摘してみせたもの。

■Public sitting held on Friday 28 June 2013, at 10 a.m., at the Peace Palace, President Tomka presiding, in the case concerning Whaling in the Antarctic (Australia v. Japan: New Zealand intervening)
http://www.icj-cij.org/docket/files/148/17400.pdf

60. As recently as October 2012, the Director of the JFA openly admitted to a Japanese Parliamentary Subcommittee that maintaining its purportedly “scientific” whaling program in the Southern Ocean was necessary to perpetuate the market in minke whale meat. (Tab 108):
“Minke whale meat is prized because it is said to have a very good flavour and aroma when eaten as sashimi and the like . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
[T]he scientific whaling program in the Southern Ocean was necessary to achieve a stable supply of minke whale meat.”12
 (p18)


 で、該当する国会答弁はこちら。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/025318020121023003.htm

第180回国会 決算行政監視委員会行政監視に関する小委員会 第3号(平成24年10月23日(火曜日))

○本川政府参考人
 少し補足をさせていただきます。
 被災前でありますが、調査捕鯨として大体八割、三千八百トン、七百トン前後をとってきておりますが、そのうち南極海が二千トンであります。ただ、これはミンククジラというものを中心にとっております。ミンクというのは、お刺身なんかにしたときに非常に香りとか味がいいということで、重宝されているものであります。
 それから、北西太平洋で千七百トン程度、二十二年はとっておりますが、そのうち百二十トンが沿岸の調査捕鯨であります。千五百トン強はいわゆる鯨類研究所がとっている鯨であります。ただ、こちらはイワシクジラとかニタリクジラというものを中心にとっております。
 それから、沿岸の小型捕鯨というのが二十二年で四百十七トン捕獲しておりますが、これはツチクジラという、イルカに非常に形が似た鯨でありまして、ジャーキーのような、干し肉になるようなものでございます。この前、鮎川に行かれたときに、鮎川の捕鯨の方がとっておられましたが、これはまさにツチクジラをとる業を営んでおられる方でありまして、この方が南氷洋でとられるミンククジラを扱うということはまずないのではないかなというふうに思っております。
 したがって、ミンククジラを安定的に供給していくためにはやはり南氷洋での調査捕鯨が必要だった、そういうことをこれまで申し上げてきたわけでございます。
 それから、今のデータにつきましては私どものホームページで公開させていただいております。積極的に提供申し上げなかったことについては申しわけないというふうに申し上げたいと思います。
(中略)
○小野寺小委員
 長官、これは誰が見たって今回違和感がありますよ。復興の予算でこうやってつけるというのはおかしい。だから、もうこれはだめということになるんだけれども、迷惑しているんだ、あなたのおかげで。
 誰が迷惑しているかというと、鯨産業の人全体が迷惑しているんですよ。こうやって、何か捕鯨がいかにも復興予算の流用の悪い人にとられてしまったら、捕鯨事業全体が困ってしまう。実際、この石巻地区だって、日本だって、やはり捕鯨というのは大事な文化ですよ。ですから、あなた方がそういう変なことをするから逆にこういうことに迷惑がかかるんだから、しっかり必要な予算はとっていく、しかも本予算でとっていく、それをはっきり言っていただきたい。
(引用、強調筆者)

 まあ・・誰がどう見たって、調査捕鯨が商業捕鯨に他ならないことを自ら白状しているとしか思えませんわな・・・
 とはいえ、ここで本川長官個人のうかつさを責めたてても始まりません。「そういうことをこれまで申し上げてきた」とは、歴代の水産庁長官が調査捕鯨についてそのように説明してきたことを意味するのですから。
 そして、質問に立った国会議員らも、「調査捕鯨に対する疑義を招きかねない問題発言だ」として撤回・修正を求めることなど誰もしていないわけです。風評被害≠心配して啖呵を切った代表的な捕鯨族議員、小野寺氏も含め。
 これは言わば、捕鯨サークルという組織の慢心からきた身から出たサビ

 このときの衆院委員会質疑は、東北大震災復興予算流用に関するもの。
 水産官僚だって、族議員に「何とかしろ」と尻をたたかれ、深刻な鯨研の赤字問題を解決するために復興予算に飛びついたんでしょうが・・。

■日本鯨類研究所(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%AF%A8%E9%A1%9E%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80

震災復興資金流用への批判
税金投入問題に派生する形で2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の震災復興資金のうち、石巻の復興の為として約23億円が調査事業費として計上され、うち18億円が調査捕鯨の費用に、5億円がシー・シェパード対策に使われた事実に対する批判があり、当の石巻市からも地元に恩恵がない、当地の関係者から調査捕鯨で捕った鯨は一頭も流通していないとされており。この件で衆院決算行政監視委員会の理事である自民党の平将明衆院議員は調査捕鯨の必要性を訴えられたが調査したら鯨肉の在庫は余っており、役所に嘘をつかれたと非難している。また、2012年10月23日の衆院決算行政監視委員会で、水産庁の本川一善長官は18億の調査捕鯨の費用で当時の8億7千万円の債務超過を解消してゼロにした旨を答弁した。尚、この件は最初に英豪メディアで取り上げられたものの、この報道を見て災害の義援金が使われたと誤解した人からの抗議が豪日本大使館に殺到した為、義援金使用に関しては否定のコメントを出した。
(引用、強調筆者)

 調査捕鯨の本質を最もわかりやすい形で、当事者の口から、国会という場で説明させたのは、まさに復興予算を平気で流用してしまう捕鯨サークルの体質でした。
 この問題が海外メディアに取り上げられたことで、AUS政府にも証拠として提供されることになったのでしょうね。
 ちなみに、AUS側の審議前の提出資料には含まれていないため、隠し玉として用意されたのでしょう。AUSの今回の提訴が、国内受けを狙った内向きのパフォーマンスではなく、本気で結果を出そうと知恵を絞った証ともいえますが。
 してみると、水産庁の最高職から自爆発言を引き出し、ICJに思い切った判決を下させるうえで大きな貢献を果たしたのは、ほかでもない、捕鯨サークルや国会議員たちを復興予算流用問題から逃れられない状況に追い込んだ日本国民、ということになるでしょう。具体的には、調査捕鯨に対して特に含むところがあったわけではなく、震災復興予算の使われ方への関心と公平な視点を持ち、調査捕鯨が聖域≠ニして見過ごされることをよしとしなかったジャーナリストと研究者、そして取り上げざるを得なくなった多くのマスコミ、「これはひどい」という正常な反応を示してくれた、被災地を始めとする全国の国民の皆さん。まさに殊勲賞ものですね。

 ほぼ完敗といえる敗訴に至った理由は、まず一義的には、演出によるイメージ戦略でもって不利な戦況を乗り越えようとした外務省の戦術のマズさにありました。しかし、勝ち目のない負け戦をあえて受けて立たせたのは、理をわきまえず「ともかく勝て!」とせっついた自民党捕鯨議連であり、TPP首席担当と兼任させる形でわざわざ外務官僚のエースを起用した安倍政権に他なりません。
 しかし、最初から勝ち目のない戦にしてしまった主因は、もちろん捕鯨サークル自身にあるわけです。責任の大きい個人の名を挙げるとするなら、自爆発言の本川一善現水産庁長官と、ICJ/AUS&NZにツッコミどころを山ほど提供したJARPAUを立案・主導した小松正之氏ということになるでしょう。AUSが口頭弁論で用意したプレゼン資料の中には、小松氏の「It's none of your business!(余計なお世話だ!)」発言や、「捕獲枠拡大のおかげで鯨肉が安価に提供できるようになった」と紹介する自著なども入っていました。クジラ本、山ほど書かれましたもんね・・。
 いずれにしても、こんなバカげた訴訟の負担を国民に強いた責めを負うべきは、族議員と歴代官僚を含む捕鯨サークルであることは間違いありません。

■調査捕鯨国際裁判敗訴は全て安倍と自民党捕鯨議連の責任|Togetterまとめ
http://togetter.com/li/650580


 さて……あるとき、とある国が何年もの間、赤道を越えた南極に向けてぶっ放し続けていたのは、人工衛星などではなく、国際条約に違反するミサイルだったと、世界で最も権威ある司法機関からきっぱりと駄目出しを受けました。
 ところが、「人工衛星か? ミサイルか?」が問われていたにもかかわらず、その国の中ではどういうわけか、「うちのミサイルは、中世の花火に歴史をたどれる美しい伝統技術だ! 南極に向かって打ち上げ続けろ!」というわけのわからない屁理屈をマスコミが盛んに流し続けています。国民の大多数が、「あれが花火でも人工衛星でもない、ミサイルだってことは、とっくにわかってたさ・・」とつぶやいているのに。
 前約束で、国際法を遵守する旨宣言した以上、「仕方ない、これ以上ミサイルを南極に飛ばすのはやめよう」と、現実に向き合う政府関係者も多い中、なおも「うるさい! 国際条約機関から脱退してでも、ともかくミサイルを南極に飛ばすんだっ!」と息巻いている人たちもいます・・

 一体日本は、そんな目も当てられない国だと、世界から白い目を向けられるようになってもいいのですか??

 アイルランドの提案、米国の打診、外部専門家を招き多くの関係者の時間と労力を注ぎ込んだIWCでの歩み寄り交渉──あたかもミサイル人工衛星と嘯き続ける近くの独裁国家と見まがうような、強硬な唯我独尊の姿勢を貫き、テーブルをひっくり返してきたのが、捕鯨ニッポンに他なりません。

 先日、地方紙の一紙で産経のポエムとは比較にならない、思わず読者をうならせる名コラムが掲載されました。以下はその一説。


 (デ・ソト提案に沿った交渉の)当時「南極海での調査捕鯨中止」は、日本にとって強力な交渉カードだった。もし、このカードを交渉で切っていれば、得られたものは大きかったはずだ。だが、今回の判決でこのカードの意味はなくなってしまった。(引用〜岐阜新聞・時言「捕鯨をめぐる幻の妥協」)


 指摘されているとおり、裁判所で国際条約違反と認定されてしまった時点で、日本は立場も、代わりに何かを要求する権利も、すべて完全に失ってしまったのです。その時点では、一定範囲の沿岸捕鯨を許容してもらえる余地もまだあったというのに。
 しかも、国際裁判至上にいつまでも汚名を刻み込まれる形で。

 日本が自らの愚策の果てに失った誇りを取り戻すには、一体どうすればいいのでしょう?
 なすべきことは、ひとつしかありません。
 それは、世界中の人々に対し、ミサイル人工衛星だとずーーっと偽り続けてきたことを、深々と頭を下げて心の底から謝ることです。
 何年も国際条約を破り続けてきたことが明らかになったのに、一言の謝罪もなく、「失望した」などと逆ギレしたうえ、一切のペナルティなしに済ませようとするのは、あまりにも虫が好すぎるんじゃありませんか?
 もし、日本との間で係争を抱えている国が、同じような振る舞いをしたなら、国内で増殖しつつある新世代のナショナリストたちはきっと、怒り狂って暴動を起こすことでしょうね・・・
 実際、政府関係者はICJでAUS・NZを迎え撃つにあたり、今回の訴訟対応を、対中国・対韓国の領土問題を念頭に置いたICJでの紛争処理のモデルケースとして捉えていると、臆面もなくメディアに語っていたわけです。最強布陣の必勝体制で臨み、負けるはずがないと高を括っていたからなのでしょうが。
 中国や韓国の人々はもちろん、今回のICJ判決を受けて日本がどのように振る舞うかに、非常に大きな関心をもって注目しているはずでしょう。

 無論、世界の日本に対する評価を気にするならば、口先だけの謝罪と反省で終わらせるわけにはいきません。国際社会に対して自らの犯した罪をきちんと償う必要があります。それを具体的に行動で示さなければなりません。

1.南極海からは即時、完全に撤退すること。
 一年間だけ休んだら再びクジラたちの楽園を脅かすべく舞い戻ろうなどとは、二度と金輪際考えないことです。

2.北西太平洋からは段階的に撤退すること。
 カードは失われてしまいました。南極海撤退だけで目こぼしをもらうことを、国際社会に乞うことはもうできません。
 AUS・NZ・米国等には、あらかじめお願いして了承を取り付けることが必要でしょう。現実的な観点から、各国には土下座しつつ、少しばかり猶予期間をいただきましょう。せいぜい3、4年の期間が目処でしょうね。
 その間に、市場縮小のロードマップを提示し、副産物≠セったハズのものの需給を調整するとともに、共同船舶の船員の一時補償と再雇用の支援を国が確実に行うこと。繰り返しになりますが、捕鯨批判派を含め、復興予算流用に厳しい目を向ける国民だって、誰一人文句を言いやしません。
 副産物≠ノついては、都市部の食通どもがネット通販で取り寄せていいものではありません。全量沿岸捕鯨地に回すべし。江戸時代から続くという意味では、資格があるのは太地と和田浦くらいですが、鮎川、釧路は含めていいでしょう。そして、東北の被災地を尻目に自分たちだけ20億の経済効果にありつこうとした、同情の余地など一片もない下関ではありますが、大マケにマケて一定の期間は認めてもいいでしょう。
 どーしてもどーしてもどーーーーしても鯨肉が食べたい!という人は、沿岸捕鯨地に出向いて、現地にさまざまな形でカネを落とし、地域経済に貢献することです。
 学校給食への活用などは無論禁止。こどもたちに食べさせるべきは、地産地消の究極のアンチテーゼというべき南極産の野生動物の肉などではなく、雑穀、地域野菜、地先の海で取れる小魚です。
 捕鯨協会/国際PRがでっち上げた虚飾の鯨肉食ブンカは、ドングリ、ヒトデ、ヒザラガイなどと同じ、地産地消の文化に反しない、身の丈にあった地域の食習慣の水準に回帰するべき。

3.沿岸捕鯨については、乱獲と規制違反の歴史に対する真摯な謝罪と反省を世界に表明したうえで、国際機関の厳格な管理のもと、小規模な地場利用の形で認めてもらうよう、お願いすること。
 今回のICJ判決報道の中で、和田の捕鯨会社は「罪悪感を伴うものにならなければいいが」などとコメントを寄せ、捕鯨業者でありながら日本の伝統捕鯨の精神の真髄を何も理解していないことを露呈してしまいました。あまりにも情けないことです。何のための供養碑だと思っているのだろう? 自分たちも先祖に倣ってやっていることは、形式だけのパフォーマンスにすぎないと思っているのでしょうか?
 また、太地は凝りもせずに次回IWC総会への外遊予算を確保したとのこと。国際会議への出席は、本当に必要ならば政府が費用をもって代表団に加えればいい話。視察に名を借りた地方自治体の議員・首長らの海外旅行は、市民オンブズマンの批判を浴びて久しいですが、どこ吹く風という感じですね。伝統の真珠養殖を潰して画餅の「鯨の海構想」を強引に推し進めることといい・・。太地はご神体への自縄自縛の状態から自らを解放しなくてはなりません。

4.イルカ猟については、追い込み猟を突きん棒猟に切り替えること。また、国連海洋法条約に則りIWCの管理下に置いたうえで、水産庁はデータが不足している対象種・個体群をきちんと調査し、厳格なPBRに基づく捕獲枠を設定しなおすこと。
 
捕鯨と同様、イルカ猟も国際法の観点から問題があることは明らか。イルカフリークの皆さんには申し訳ないと思いますが、筆者はここであえて、かなり譲歩した現実的な提案を示します。ガイアツで追い込まれる前にきちんと襟を正すことが生き残る唯一の道だと、関係者は胸に刻むべきです。


 いやだとおっしゃる? どーしてもどーしてもどーーーーしてもいやだと?
 日本はカードを失ったのですよ。そんな贅沢なことを言えた立場ではないのです。
 東北大石井准教授が指摘されていますが、JARPNU(北西太平洋調査捕鯨)は間違いなく、今回違法認定を受けたJARPAUと同様の問題を抱えています。NHKが報道したように、事業者も海域も船の規模も捕獲数も捕獲対象種も異なる沿岸調査にさえ、水産庁が慎重な検討を強いられているのは、もちろんそれが理由。もっとも、族議員の反発が少ない沿岸調査にしわ寄せをできる限り押し付け、共同船舶の母船式捕鯨の傷をなるべく少なく済ませようとの意図もあるのかもしれませんが・・。
 北太平洋の捕鯨に対して日本を訴える相手といったら、思いつくのはやっぱり米国。ただ、みなさんもご承知のとおり、日米関係は主軸となる貿易・防衛問題で重要な局面を迎えており、米国がクジラで日本にイチャモンをつける余裕はないかもしれません。
 なら安心だと思いますか?
 いや・・ワイルドカードも考えられます。
 もし、どこかの国どこかの国が、日本のJARPNUをICJに訴えたとしたら──日本はクジラよりはるかに大きなものを失うことになるかもしれませんよ?
 次回は、日本がはまりかねない最悪のドツボについて、詳細に検証してみたいと思います。
posted by カメクジラネコ at 20:01| Comment(4) | TrackBack(0) | 社会科学系
この記事へのコメント
生憎ですが、ミサイルではなく人工衛星です
でないと、日本が大陸間弾道弾を持っていることになります
何を言ってるんですか、あなたは?
Posted by るくるく at 2014年04月13日 13:29
るくるくさんへ。
えーと、ミサイル云々のたとえ話で、特定の国は出ていませんね。あくまで「とある国」という以上のものではありません。もちろん某国を想起させる書きかたですが、特定されてはいません。
たとえ話なのですから、たとえが分かれば問題ないでしょう。
注意深く読めばわかると思います。老婆心ながら。
Posted by maangie at 2014年04月13日 21:36
かなり一方的な記事だね。捕鯨することのメリットと捕鯨をやめることのデメリットに触れられていない。調査捕鯨名目の肉が副産物として出回っていることはしょうがないと思うが、流通目的で調査捕鯨することは間違っているのは同意する。よって調査捕鯨枠を削るのは妥当だが調査禁止は行き過ぎ。希少生物ゆえに調査しないならば本当に希少かはわからなくなる。ないとは思うが米豪新のダブスタと文化への無理解ゆえに脱退し、某半島国家のような違法操業を始めたらどうする気なのだろうか。
Posted by 子犬 at 2014年04月14日 20:26
>子犬さん

私はNHKや大手新聞社じゃありませんから、一方的なのは大目に見てくださいな。
メリットについては推進派が山ほど発信してますし(間違いも多いけど・・)、このくらいでないと日本国内で流通する情報のバランスが保てないわけです。むしろ依然として圧倒的に不足していると思いますよ、デメリットの情報が。
私もICJも、調査捕鯨禁止とまでは言っていません。私の基準は「less than 10」です(ナガス、シロナガス、セミなどは1頭だろうと駄目だけど)。

>希少生物ゆえに調査しないならば本当に希少かはわからなくなる。
その心配はしなくても大丈夫です。IUCNのレッドリストは、クジラも含めすべて致死調査なしで作れます。ご安心を。
日本では商業捕鯨をやってた頃から悪質な規制違反がまかり通っていましたが、脱退して違法操業したら、ならず者国家認定されて制裁を受けるだけです。
Posted by ネコ at 2014年04月14日 21:44
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