2013年09月19日

イルカ嫌誤#hの非科学的・情緒的な珍説

◇五輪・原発に重なるリニア狂想曲

■リニア中央新幹線は脱原発より切実な話かも?|三軒茶屋ファクトリー
http://www.s-fac.co.jp/new/?p=2190
■夢の「リニア新幹線」は第二の原発か──着工まであと2年──
http://homepage2.nifty.com/kasida/social-matter/frame-linear2012wpb.htm
■リニアモーターカーの稼働には原発3〜5基分の電力が必要 ('12/6/5,週プレ)
http://news.livedoor.com/article/detail/6626117/
■リニア・市民ネット
http://www.gsn.jp/linear/logo.html
■電磁波の影響は?
http://web-asao.jp/hp/linear/%EF%BC%91%EF%BC%90%E9%9B%BB%E7%A3%81%E6%B3%A2%E3%81%AE%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E3%81%AF%EF%BC%9F%E3%80%80P9.pdf

■リニア中央新幹線に係る適切な環境影響審査のあり方に関する調査検討業務報告書|環境省/(株)プレック研究所
http://www.env.go.jp/policy/assess/4-1report/file/h24_02-01.pdf

静磁界については、線路脇ではバックグラウンドとなる地磁気の約4 倍、高架下では約0.4 倍の値となっている。(p28、引用)
今日までの研究からは、ICNIRP のガイドラインを下回るレベルで、電磁界が動物相に影響を及ぼすことを示す証拠はほとんど見出されていない。特に、電力線下で放牧されている牛に対する有害な影響は見出されていない。一方、1 kV/m を上回る電界内で昆虫の飛行能力が弱まることは知られているが、そのような影響が顕著に見られるのは、導電性の巣箱を電力線の直下に置かれたミツバチのみである。絶縁も接地もせずに導体を電界中に置くと、その導体は電荷を帯びて、動物、鳥類および昆虫類に傷を負わせたり、行動を混乱させたりする。(p33、引用)
結論:
陸域および水域生態系に対する電磁界のリスクを取り扱った研究の数は限られているが、それらの研究からは、極めて強力な発生源の近くでのいくつかの影響以外には、大きな環境影響の証拠はほとんどあるいは全く示されていない現在の知識によれば、人の健康を防護するためのICNIRP ガイドラインに定められた曝露制限値は環境も保護していると考えられる。(p34,引用)
リニア沿線の磁界の強さは0.2mT 程度であるが、地磁気(0.05mT)と比べると大きいため、地磁気を利用する動物(例:微生物、伝書鳩、ミツバチ)への影響が生じる可能性がある。例えば、沿線近くに養蜂家がいる場合など、実際に苦情が発生する可能性があるという点に留意した方がよいかもしれない。
(p39、引用)

 詳細は市民ネットはじめ上掲リンク先をご参照。
 原発3〜5基分の膨大な電力。新幹線より1時間早く着くってだけで(エスカレーター使って駅から地上に上がること考えれば、短縮できるのは30分もなさそう・・)。原発のない長野、岐阜、山梨が原発依存のお荷物を抱えることに。
 トンネルが貫通する南アルプスに生息する絶滅危惧種としてイヌワシなどが挙げられていますが、開発の影響もさることながら、やはり気になるのは強力な磁場が及ぼす野生生物への影響です。
 上の引用は環境省が建設コンサルに委託したアセスメントの資料(リンク6番目)。
 ネオニコチノイド系農薬にやられてしまっているミツバチたちと養蜂家さんが、さらに追い討ちをかけられる羽目になりそうです。野鳥への影響も証拠がないというだけで、本当にわかっているなどとはいえません。ここでも日本はEUとは真逆の、予防原則と対照的な不確実性の解釈、「疑わしきは開発の利益に」という原則を敷いてしまっているわけです。
 バックグラウンドの地磁気の4倍なんて、地磁気を行動の指針として利用している野鳥などが戸惑わないはずはありません。野生動物は「ニンゲンみたいにカシコくはない」んですから。本能を簡単に修正できるなら、いまごろとっくにリニアや原発を作ってるんじゃないですか?
 もし、そこまで野生動物が賢いと考えてるなら、狩猟は金輪際やめましょうよ・・・
 その下の電中研のは、野生動物への影響とは無縁なただの動物実験。でも、こういうとこで電力業界とのつながりはよくわかるよね・・
 「影響はないよ、だって証拠がないもん」
 このフレーズ、放射能から気候変動から内分泌撹乱物質から、一体どれほど繰り返し聞かされたことか。
 最初からわかるほど、すべてを厳密にコントロール≠ナきるほどニンゲンが利口なら、スペインや中国等での高速鉄道事故も、公害も、オゾン層破壊も、そして福島の原発事故も、決して起こりはしなかったはずですよ。

参考リンク:
−ミツバチとクジラ(拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/74729858.html



◇最悪なのは捕鯨ニッポンの生命観・自然観

■アザラシ食害、深刻 サケ漁被害、去年最悪に 絶滅危惧種、駆除に「待った」 (9/18,朝日夕環境面、リンクなし)

 それにしても、最近は朝日を含むマスコミが保護派の意見をまったく取り上げなくなりましたね・・。
 東京農大小林氏曰く「少なくとも600頭」
 総個体数がたった600頭程度の野生動物個体群を駆除≠ナきてしまう先進国が、一体捕鯨ニッポン以外あるでしょうか!? 国内で繁殖する唯一の稀少な海獣なのに。
 600頭ということは、わずか学校一つ分。ゼニガタアザラシの寿命は雄20年、雌30年ということですが、25年として1年級群の個体数は平均たったの24頭。まあ、ピラミッド型の年齢構成だから幼若個体ほど数は増えますが。混獲の被害に遭いやすいのも若い個体ですけど。
 毎年その1学級分以上の個体を「間引け」「殺せ」と言っているわけです。
 仮に〈毛なしのアザラシ〉もといヒトという種のうち、ニホンジンなる個体群が600匹いたとして、「毎年40匹殺したって別にかまわないだろう」と、あなたなら思えますか??
 以前にも指摘したことですが、不漁の影響はお天道さまであり、海であり、そこには乱獲や文明活動の影響という自業自得の部分も含まれるわけです。
 アザラシという弱い相手だけは「憂さ晴らし」できる──そんな万物の霊長にはおよそ相応しくない考えで、手っ取り早く駆除に走ろうとしていませんか?
 駆除すれば被害がなくなる、不漁がなくなるという科学的根拠はあるのですか?


参考リンク:
−クジラが問う311(拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/74221625.html



◇イルカ嫌誤#hの非科学的・情緒的な珍説


■イルカは高い知性とモラルを持つ平和的な動物では「ない」という調査結果 (9/14,BUZZUP)
http://buzzap.jp/news/20130914-dolphins-not-intelligent/
■Flipper is a thug! Scientists reveal that dolphins are NOT as clever as other animals and are more likely to fight with one another (9/12,DMG Media)
http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2415575/Scientists-reveal-dolphins-NOT-intelligent-likely-fight-other.html
http://ukcatalogue.oup.com/product/9780199660452.do#.UjnC9PiCiM9


■「イルカは名前で呼び合っている」、英研究 (7/23,AFP)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2957410/11072273
■イルカの記憶力、20年前の仲間を認識 (8/7,ナショジオ)
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20130807002


イルカは特徴的な信号を使ってコミュニケーションをとるけれど、警戒声や食物を発見した時の声を持っているようには見えません。これはその伝達手段が鶏ほどにも洗練されていないと言えます。(引用)


 日本のニュースサイトもいい加減ですが、これは元記事が科学論文の紹介の体裁をなしていないうえ、どうやら紹介されている研究者も間違いなく四流といっていいでしょう。一連のコメントが正しいとすれば。
 まず、およそどんな動物であれ行動には大きな個体差がつきものです。生態・形態的な理由で取る定型的行動は別にして、社会行動の研究において「種の行動」などという言い方をすることはありません。社会行動は異なる個体の行動と相互作用の集積なのです。その意味で、「種の行動」なんてものは存在しないのです。
 「知性」だの「平和的」だのといったフレーズに対しては、研究者はただ距離を置きさえすればいい話で、肯定するのも、そして否定するのも、大きな過ちです。それらは個体間でも、種間でも、一本の物差しで測れるものではありません。優劣を決めるものではないのです。
 この研究は、たまたま観察された特定の個体の行動事例を扱ったものにすぎず、広く見られるものでさえないわけですが。
 ネズミイルカ殺しについては、チンパンジーや大型ネコ類における他のサル目(ネコ目)殺し、他の群の幼若個体に対するカニバリズムに比べて、とりたてて異常な行動とはいえません。ヒトの行動の前ではすべての野生動物の行動はかすんで見えますけど・・。ひとつ、行動の背景について調査研究する能力がこの研究者に備わっていないということはいえるでしょう。少なくとも、科学的な論拠を出す前に一般向けメディアにセンセーショナルに取り上げさせたことは、見出しやコメントからも明らか。狙ったんでしょうね。
 ニワトリの社会行動とイルカの社会行動が異なるのは当たり前です。
 野生のイルカでの署名コールについては、最近科学誌で報道されたもので、カラスやゾウなど音声を用いた高度なコミュニケーションを行う種では可能性はあるものの、はっきりと認められたのは初めて。だから、イルカのみならず野生動物全般・エソロジーフリークの興味を掻き立てたわけですが。残念ながら、ニワトリにはもちろんありません。
 この段階でいえることは、イルカとニワトリの社会行動が「異なる」ということだけです。圧倒的多数の行動学・社会生態学研究者は、対象自身による個体識別・自他の区別を意味する署名コールのほうが、きわめて興味深い高度な社会行動であることを認めるでしょうが。
 しかし、引用部分のコメントからは、このジャスティン・グレッグなる研究者がおよそ分析的な視点・観察力を持ち合わせていないことがはっきりと見て取れます。
 大体、警戒・餌の発見を知らせる主に音声を用いたサインは、ニワトリに限らずかなり多くの動物に見られます。社会性の低い動物が、社会的な動機を持たないまま発信して、他の個体の行動を惹起する形での社会行動につながっているケースが多々ありますが。
 個体群特有の文化的行動のケースも含め、シャチを含むイルカ・クジラは非常に協調的な狩・漁を行います。鰭を用いたサインやアイコンタクトもありますから、音声ばかりとは限りませんが、漁にあたって個体間で情報交換を行っているのは明々白々です。
 イルカも当然警戒行動を取り、親子や群れで状況に応じて協調した行動を取ります。その際にも音声による情報伝達があることは間違いありません。
状況によっては音声以外のサインも使われるでしょうが。
 バリエーションが豊富で複雑すぎるうえ、野生下ではシチュエーションの判断もニンゲンの研究者側が特定できないため(飼育下では逆に単純化されすぎ実態からかけ離れてしまうわけですが)、十分に研究しきれていないのが実際のところ。
 なんですか? それともイルカはテレパシーでも使ってるっていうんですか、グレッグ殿?
 非科学的もいいところ。どこのカルトだよ・・・
 動物の味方の方が、「この研究結果からイルカを低俗な生き物であるかのように蔑む気にはとてもなれません」とおっしゃってくれてますが、筆者もまったく同感です。


 内外の科学界のスキャンダルの多くは、定説を覆す突飛な異説をぶち上げ、注目を集めようとするもの。データが全然揃ってなかったり盗用だったりして、後でツッコまれるのがお決まりのパターンですけど。
 非科学的なフレーズ満載のコメントばかりで、まさに色眼鏡を通してしかイルカを眺めることのできない人物。研究対象の動物に対して驚くべきすさまじい偏見を持っている時点で、この人物が尊敬に値するまともな行動学研究者とは到底思えません。
 一体誰がこの研究チーム、プロジェクトにを出しているのかは、少々気になりますけどね・・・
 ここでちょっと直前にAFPで取り上げられた3番目の記事をご覧いただきましょうか。この研究をてがけたステファニー・キング氏は、なんとグレッグ氏と同じ英セント・アンドリューズ大学出身なのです。ニワトリを引っ張り出して当てつけている署名コールってのはまさにこの話。
 少なくとも、まったく肌が合わず、同じ学内でも角突き合わせているんでしょうね・・・
 研究者が本当に「知性的」で「平和的」な動物なのか、疑いたくもなるというもの。
 もっとも、著書のレビューを書いているのは動物福祉の専門家であるマリアン・ドーキンス氏(リチャード・ドーキンスの元奥さん)ですから、「客寄せの刺激的なコメント」だけで、研究内容自体はおそらく一応ニュートラルなのでしょう。
 いずれにしろ、グレッグ氏の「まとめ」には、キング氏の明らかにした新しい知見ほどの価値はありません。

 チンパンジーやゴリラなどヒト科の他の動物、カラス、ゾウ、そして鯨類などコミュニケーション能力の発達した高度な社会性を持つ野生動物の行動学的研究は、人類に大きな知見をもたらしてくれます。それはヒトが動物であり、とりわけ社会性動物だからです。
 ニンゲンの文化や社会を研究するためには、異なる社会を営む動物の社会の仕組みを知ることが必要です。だからこそ、言語や音楽の起源をザトウクジラや十姉妹から探ろうとする試みがなされたりするわけです。
 さて、内外の記事とその反応が意味するのは何かといえば、野生動物の行動や生態などどうでもよく、「ヒトとイルカとニワトリを並べたら、どれが一番頭がいいか?」などいうバカげた無意味な比較にしか関心がない、「エッヘン、もちろんニンゲンサマさ。一番バカなのはイルカどもだぜ」などと胸を張りたがるどうしようもないヒトたちが、残念ながら洋の東西を問わずいるということ・・・
 しかし、動物をひたすらけなすことにエネルギーを費やす動物嫌悪派、反反捕鯨派たちには、イルカの知性もニワトリの知性も、そしてヒトの知性すらも理解することなどできはしないでしょう。中にはベーコン脳どころか、「良質なタンパク質」だの「男は肉を食わなきゃいかん」だのと肉食信仰に取り憑かれ、脳が髄まで筋肉でできてるような精神マッチョたちもいるけど・・。
 残念ながら、このような取り上げ方では、その手の日本の反反捕鯨論者にネタを与え、イルカ・野生動物のみならず行動学研究そのものを貶めるばかりです。
 もちろん、ニワトリは平和的で知的でやさしいですよ。日本のベジ有名人として知られる絵師の伊藤若冲はニワトリフリークで、出店で売られてたひよこを連れて帰ってきて育ててニワトリばっかり描いてたんだよね。
 イルカであれニワトリであれ、命をむやみやたらに貪ることを厳に戒めるのが、日本人本来の動物観・生命観であったはずなのですが・・・

参考リンク:
−あなたはそれでも「ザトウを殺させろ」と南半球の人たちを脅しますか?(拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/72321767.html



◇ダイオウイカばっかり愛誤する捕鯨ニッポン


■(ニュースQ3)ダイオウイカがブームとは、これいかに (9/17,朝日)
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201309170699.html?ref=com_fbox_d2


 知的なイルカやイカの上をいく商売上手なNHK。
 番組自体はとても優れたものでしたし、筆者も好きですし、ダイオウイカと彼らが住まう海を愛するのは結構なことなんですけど・・儲かったんなら保護と研究のために還元したら?

参考リンク:
−シーシェパードとダイオウイカ(拙ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/24090035.html

posted by カメクジラネコ at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学系
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