2013年02月21日

南極海>>尖閣領海!? 日本の調査捕鯨強硬政策は狂っている

◇南極海>>尖閣領海!? 日本の調査捕鯨強硬政策は狂っている

■中国船に追われた 尖閣周辺の領海、日本漁船の船長証言 (2/21,朝日)
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201302200796.html


■シー・シェパード、「日本の捕鯨船に攻撃された」と主張 (2/21,CNN)
http://www.cnn.co.jp/world/35028524.html
■捕鯨めぐる衝突で日豪双方が提訴の構え、主張に食い違い (〃)
http://www.cnn.co.jp/world/35028562.html
■日本調査捕鯨一時中止発表 (2/21,日豪プレス)
http://nichigopress.jp/ausnews/world/47051/
■シー・シェパードの抗議船と日本の捕鯨母船が接触 (2/21,AFP)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2929814/10317754
■シー・シェパードの船が妨害 調査捕鯨船に被害 (2/20,NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130220/k10015657801000.html
■捕鯨妨害、許し難い=林農水相 (2/19,時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2013021900193
■捕鯨とクジラ保護 - Yahoo!ニュース
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/science/whales_and_whaling/


 今年は最後までプロレスなしでやってもらいたかったんですけどねぇ、やれやれ・・。
 他の国内各メディアの関連報道については、上掲のYahoo!ニュースまとめないしGoogleニュース検索をチェックしてみてください。
 先に一点補足しておきましょう。
 SSCS(シーシェパード)の妨害行動のターゲットになっている、日新丸の給油係≠ヘ韓国船籍のタンカー、サン・ローレル号です。AFP通信の記事では、船名も記事中できちんと明記されています。ところが、どういうわけか、国内メディアはどこも、船団の他の船と別扱いで「給油タンカー」とのみ伝えています。NHKに至っては、「別の船」・・(上掲リンク)。映像で英字の船名を読もうと思えば読めますが、一般のTV視聴者がいちいちチェックするはずもありませんし。
 これはおそらく、水産庁から「名前を出すな」という指示があったのでしょう。国策調査捕鯨事業で、共同船舶の下につく下請の形とはいえ、税金の一部が韓国の船会社に支払われていることが広く知れわたるのは、うまくないと考えたんでしょうね・・。
 衝突の経緯については、'10のアディ・ギル号の衝突沈没事故の際は詳細に検証しましたが、今回は触れません。前回の事故に関するAUS、NZ政府の見解は、上掲の日豪プレス記事をご参照。筆者がワトソン船長の立場だったらもっとうまく指示してますが・・(そうは言ってもプロレスはやっちゃいけませんけどね・・)。中国・新華社通信の「事故責任について双方が非難し合っている」という記述がいちばんニュートラルな取り上げ方といえるでしょう。

 ここで、一番上のリンクの朝日記事にお目通しいただきましょうか。捕鯨の捕の字もクジラのクの字も出てきませんが、公海調査捕鯨に直結するとても重大な内容が含まれています。皆さんはお気づきになりました?
 引用しながら、少し詳しく解説していきましょう。
 記事は、今月18日に尖閣諸島周辺の日本の領海≠ナ発生した、日本の漁船・八重山漁協の第11善幸丸と中国の海洋監視船2隻との接近トラブルを報じたもの。
 (反反捕鯨右翼に叩かれるのを承知で)あらかじめお断りしておきますが、尖閣諸島(釣魚島)問題に関しては、ほとぼりが冷めるまで日中双方が領有権について完全に棚上げし、船も飛行機も周辺に一切近づけないことが、最も理性的な、ニンゲンらしい解決の道だという立場です。残念ながら国内では少数意見ですが・・。そのうえで、同海域が日本の領海であるとの日本政府の公式見解を踏まえ、今回の事件を検証します。


 漁船の船長は中国公船に追い回されたと主張している。海上保安庁も中国公船と漁船との接近を確認しているが、「追跡中だったのかはっきりしない」としている。(引用)


 NHK等他メディアも指摘していますが、追跡されたのは疑いの余地がありませんね。漁船にはチェコの記者とカメラマンも搭乗、記録も取られたはず。調査捕鯨船は鯨研関係者がビデオをメディアに提供しているわけですが・・。朝日は、日本の海保巡視船による外国漁船への対応と同様に、中国監視船が日本の漁船を排除する行動に出た可能性がある、と解説しています。つまり、海保は政治問題化を避けるために、「追跡」と具体的に断定することを避けたわけです。筆者は賢明な判断だと思いますが・・。
 記事中では、海保から漁船に対し無線連絡による細かい指示があったことが記されています。これは何を意味しているのでしょう? 


 海保の任務は日本人の安全を守ること。だから危険な衝突が予測されれば回避という道を選ぶのは当然のことです。(引用〜『諸君!』'09/2)


 上掲は、ジャーナリスト富坂聰氏による捕鯨ルポルタージュ中の海保関係者へのインタビュー(リンクは下掲)。
 まさに海保は使命に忠実に従い、トラブル回避を最優先にし、中国公船から離れるように、逃げるように、漁船に対して細かい指示を与えたわけです。


 海保にはいつも「島に近づくな」と言われるが、この時は違った。(引用)


 この時は違ったというのは、島影に隠れろという意味にすぎません。要するに、いつも「島に近づくな」と言ってるわけですね。日本の領海なのに。ま、筆者は賢明だと思いますが・・。

 一時は目算で60mほどにまで迫られ、海保の巡視船「あかいし」が、中国公船との間に割って入る場面もあったという。(引用)


 SSCSは460m以内への接近でギャーギャー言われているわけですが・・。


 (石垣港に戻った後)海上保安官が尋ねてきて、「尖閣周辺にはなるべく行かないでください」と注意された。(引用)


 近場の漁師が、領海内で操業しようとしたら、「行かないでくれ」と注意されたのです。理由は上述のとおり、日本人の安全を守ることが最優先だからです。たとえ領海であっても。普通の漁師が生業としている漁であっても。ま、賢明な判断だと思いますけどね・・。
 いま、国を挙げて日本の領海だぞと声高に宣言している、問題が存在していない領海にすぐ近接している尖閣諸島周辺で、ふつうの漁業者が操業することに対し、安全を最優先して逃げる道を選び、近づかないようにと釘を刺したわけです。日本政府は。
 筆者は正しいと思いますよ。沈着冷静な、合理的判断だと思いますよ。
 しかし……尖閣以上に「なるべく行かないで」と注意すべきは、南極海ではないのですか??
 領海でもなんでもない、地球の裏側の南極の海では、それとまさに正反対のことをやっているわけです。この国は。
 中国の監視船とSSCSとは違う? つまり、中国相手だとビビッて逃げるに越したことはないが、相手がオーストラリアやチンピラ団体であれば高圧的に出てOKだと? コソコソ逃げ帰らせ、「なるべく行くな」という注意する代わりに、毎年7、8億円もの国家予算をつけてLRADやら警告弾やら放水砲も装備させ、威嚇的に追突の真似をさせることまでやらせていいのだとおっしゃる? そんなことを言われちゃ、海保はじめ尖閣関係者は甚だ不快だと思いますがね・・。
 林農相は「捕鯨船や乗組員に対する極めて危険な許し難い行為だ」と非難していますが(〜時事)、SSCSの妨害とはまったく無関係に、調査捕鯨事業の中で尊い人命は失われているのです。0度前後の氷付けの海で数分のうちに心臓麻痺を起こす南極海と異なり、尖閣の辺りならまだ数十時間漂流しても助かる見込みはあるでしょう。農相殿、日本の漁業者が領海内で漁ができない状態に対して、「妨害許すまじ」と言って円滑化事業予算をつけますか?
 自国の領海では、トラブルを招く前≠ノ、操業を中止させてでも引き揚げさせるという、賢明な判断ができていながら、なぜ南極ではそれが出来ないのですか?
 石垣の漁業者は守るに値しないと? 公海捕鯨は下っ端の漁民とは別格なのだと?
 それとも、南極海は尖閣周辺の領海とは比較にならないほど、地政学的に重要な、日本にとっての縄張りだということなのでしょうか?
 八重山の漁師と違い、共同船舶は国威を世界に知らしめる、南極という前線で戦う兵士の位置づけだから、ですか?
 でも、「儲かる漁業なんだから補助金ちょうだいよ」って言ってたよね・・・
 北と南の海で同時に起きた二つのトラブルは、日本の強硬的な調査捕鯨推進政策がどれほどとち狂ったものかを、浮き彫りにしたといえます。
 AUSが何を言おうとICJで訴えようとどうでもいいことです(米国はそうもいかないでしょうが・・)。私たち日本人の手で、このバカげた事業を潰さなければ、いずれこの国は計り知れない損害を被ることになるでしょう。


参考リンク:
−『正論』v.s.『諸君!』──保守系オピニオン誌の捕鯨関連記事 (拙ブログ)
http://kkneko.sblo.jp/article/28972939.html
−異常に高い調査捕鯨事業の死亡事故リスク (拙ブログ)
http://kkneko.sblo.jp/article/30992331.html
−異常に高い調査捕鯨事業の死亡事故リスク・2 (拙ブログ)
http://kkneko.sblo.jp/article/34484278.html



◇その他クジラ関連トピック・クリッピング


■今日はクジラ保護の日 (2/19,The Voice of Russia)
http://japanese.ruvr.ru/2013_02_19/105323295/


 ロシアの環境保護団体の動きを伝える記事。記事中に解説されていますが、ロシアは南極海で母船式捕鯨を行っていた最後の2つの国の1つ。先にやめただけエライといえますね。
 サハリンの研究グループの非致死的調査の記事も。サハリン周辺に生息するのは、主に日本の新旧の捕鯨によって絶滅寸前に追い込まれ、未だ危機を脱していないニシコククジラ。ただ、記事中の解説にある回遊ルートは東のコククジラですね・・。サハリンU中止については、コククジラやオオワシ等稀少な渡り鳥の生息地としての重要性に配慮された経緯があるのですが、鯨研の西脇販売員殿は「陰謀のせいだ!」と吠えております・・・
 とりあえず、北極圏開発にあたっては、鯨類はじめ野生動物の生息を脅かさないよう、十分配慮していただきたいものです。


■“上限”  (さあ!諸君!捕鯨問題だ!)
http://textream.yahoo.co.jp/message/1834578/a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa?comment=62252


 儲かる漁業補助金を受けるため、KKP(クジラ改善プロジェクト)なる経営改善プログラムが用意され、年間生産量の妥当なラインを設定されてしまった′フの苦しい弁明のお話。
 +−が付く上限がどこにあるんじゃ!!!
 日本語として正しい使い方をするなら、上限はミンク935頭ということになりますけどね。
 科学としても、(日本語)文化の点でも、ここまでお粗末なのが調査捕鯨なのです。

posted by カメクジラネコ at 23:04| Comment(5) | TrackBack(0) | 社会科学系
この記事へのコメント
;SSCS(シーシェパード)の妨害行動のターゲットになっている、日新丸の給油係≠ヘ韓国船籍のタンカー、サン・ローレル号

私はこれが最重要問題だと思います。2012末、韓国は日本が誤魔化している「調査捕鯨」を殺さない調査に変更して国際的に高い評価を受けました。情報操作によって、日本主要メディアでは国籍につて触れていませんでした。韓国国民からも日本捕鯨サポートとなれば、声が上がっても良いものですが、、。情報操作が国民の捕鯨問題論じる場を奪い、完全に止めてしまっています。一国としてこれは大罪です。日本は中国の情報操作についてコメントなど出来ません。
Posted by time at 2013年02月25日 11:31
>timeさん

おっしゃるとおり、中国のことなどとても言えませんね。
ご指摘いただいたように、韓国は調査捕鯨計画を撤回しましたから、比較されるのを嫌ったこともあるかもしれませんね。
サン・ローレル号の問題については、以下のブログ記事で詳細に取り上げていただいていますので、ご参照ください。

http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/a48ab31113736835c4fa6a9d046d113b
Posted by ネコ at 2013年02月26日 00:02
地上デジタルの導入に伴い、大きく思惑が外れNHK解約者が増えました。この神様tv世代が次世代と移行している事を肌で感じます。ネット上でも従来主要メディアが躍起になり、青筋を立てながら、ある特定地域の過去の栄華を取り戻す(継続)べく、さも日本持論として海外に「伝統」「食生活」として「捕鯨問題」を伝達しているようですが、違うんじゃないですかね。10年前とは必ず違う。皮肉にもIT革命を促進して足を掬われているのでは?
このブログの作者の膨大な資料と努力と時間に私は心より、敬意を払います。官僚が仕事してくれないから、内閣が卑屈になり、結局、元の鞘に戻り、一見、栄華を取り戻したと錯覚しているのは、昭和残党と先生方だけなのでは?
今、時間は機を確実に待っています。やがて、「捕鯨反対」の党が必ず立ち上げられるか、起死回生「反捕鯨」を公約とする党が出てくるかもしれません。昭和のヒステリー捕鯨信者の脂ぎった先生方
の恫喝に脅え、鳴りを潜めていますが、結構「捕鯨?何故やるの?」って考えている方結構多いですよ。もうすぐです!必ず、波が来ます。もうすぐさ。。。。
Posted by time at 2013年02月26日 10:11
ps.
中国が南氷洋の現在勃発している問題に介入したがってます。usaは現首相になってから、ドルが急騰しましたから、見て見ぬ姿勢かな。余り、傍観していると環境団体が黙っていないでしょうが、。オーストラリアは現政権は米国に歩調を合わせるしかないでしょうが、鼻先で、海上自衛隊が保有する砕氷艦が導入されたのでは、これもまた、国民感情に油を注ぎます。海上自衛隊保有ってことが問題に上がるでしょう。日本国民は鯨食べず、欧米同様家畜を消費しているんですから、「食文化」って説得力ないでしょ。「伝統文化」って言うなら、手漕ぎ船で漁しなさいよ。主要メディアもみっともないですよ。原発事故で国民から信用なくしてるんですから、益々、「笑い」「食べ物」「アイドル」「ワイドショー」ではもう、国民は騙せないですよ。もう。昭和力道山tv神様時代から脱皮しなきゃ、頭悪すぎるでしょ。いい加減。
Posted by time at 2013年02月26日 10:26
>timeさん

調査捕鯨はいよいよ国営化を目指す動きも具体的になってきたようです。
「何故やるの?」と多くの国民が首を傾げているとのご指摘はそのとおりだと思いますが、政官業の結束はむしろ強まっているように見えます。対抗する政治的勢力が出てくるかとなると、私は悲観的です。脱原発でさえまとまらないのですし・・
Posted by ネコ at 2013年02月27日 01:05
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