◇福島第一原発とクジラ(続き)
文科省のシミュレーションについて補足。前回述べたとおり、「4/12以降の放射性物質放出なし」との前提はとっくに崩れています。
シルトフェンスは拡散を遅らせるのみ。"仮設"の止水板や"猫砂"入り土嚢もまだ作業中。そもそも漏出箇所が確認された取水口側のピットだけなのか、甚だ疑問ですが。30km沖合の海水モニタリングの結果を見ても、観測点によりばらつきはあれ4/13日になっても半減期8日のヨウ素131の検出濃度にさほど変化はありません(同日の最高値は64.1Bq/L)。
「大気からの降下は考慮しない」の部分は、シミュレーションが出来ないためでしょうが、SPEEDIのデータを見ても、実際に高い濃度が観測されている陸上の北西方面と同じく、東向きに陸から海へと向かう風によって流される成分がかなり大きいことがわかります。海水表面に降下した化学物質は、プランクトンに非常に取り込まれやすく、そのまま食物網へ移行していきます。
ついでにいえば、今回の震災では大量の重油が海に流れましたし、瓦礫(相当量の有害物質を含むはず)は流出して1年後にはハワイに達し、その後いわゆる北太平洋のゴミベルト地帯に集まるという予測も。海の生態系にとっては二重・三重の被害といえるでしょう。瓦礫に関しては、特に海鳥、ウミガメ、鯨類への影響が懸念されます。
■福島第1原発:海水、ヨウ素濃度6500倍 2号機取水口 (4/17,毎日)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110417k0000m040093000c.html (リンク切れ)
これは直近の報道。保安院の見解のまま「シルトフェンスの効果」と伝えるメディアが多いようですが、ピットの海面上の流出はとっくに止まっているのに前日の6倍にいきなり濃度が上昇するのはおかしな話。止水板を設置した際に海底の砂泥中にいったん沈殿していた分が巻き上げられたのかもしれませんが、「半減期8日のヨウ素が長く滞留することは考えにくく、見えないところから漏れている可能性も否定できない」とする解説のほうがうなずけます。水ガラスにしろ止水板にしろ、実際にはやっつけ仕事で閉じ込め機能は限定的。
3/11の本震によってプレートに新たな張力が加わったため、早ければ1ヶ月以内にも大津波を引き起こすだけのM8級の地震が起こり得るとの報道もありました。2号機トレンチの高濃度汚染水については集中環境施設の修復が進まず移送作業が難航する中、水位が再び上昇。次の津波なり台風が来れば、いくら冷却用の電源を確保できたとしても、建屋やトレンチなど各所に溜まった汚染水はまた海洋中に拡散してしまうでしょう。高濃度汚染水がぎっしり入った集中環境施設やメガフロートを津波が直撃すれば、すさまじい量の放射性物質が一気に海に流れ出ることに。原子力に限っては、「最悪のケース」について想像力を逞しくさせたうえで、先手を打つことがどれだけ大事か、今回の事故で明らかになったはず。
◇最後の花見
今年も会いに行ってきました。
たぶん、今回が最後になるんだろうなあ・・・・
300歳の老木ということもあり、去年は花芽が少なくて心配だったのですが、養生も手伝って今年は元気に咲いてくれました。
けれど、福島第一からの放射性降下物が混じっているかと思うと、花吹雪の風流も半減。
都道府県別の放射線量で数字が発表されているのは市原ですが、ここから近い佐倉ではもっと高い値が出ていました。
スペースシャトルに積まれて宇宙線浴び(させられ)た桜が地上に戻ってから急成長した、という話がありましたが、放射能が強ければ開花時期がずれたり花びらの数が違ったりしてくるかな。
訪れるミツバチやムクドリなどの野鳥たちの方が影響はシビアだろうけど。
去年も紹介したけど、戦時中危うく薪にされかけた名桜。
ニンゲンは本当にどこまでも愚かな動物だ。
コントロールなど出来もしないくせに、えばりくさって出来るフリをする。
木々たちのように何百年も生きることの出来ない、そうしたスケール観を持ち得ない短命な動物が、津波や地震の起きる可能性や廃棄物の処理のことを、考えずに済ませることの許されない技術に手を出しちゃならんのだ。
いま自粛の代名詞にされてる花見だけど、近隣から多くの方が訪れていました。
この時期設けられる臨時の駐車場は、桜の木からだいぶ離れた場所にあり、みんな歩いていきます。
私は自転車(風が強くて大変だった)。使ったのはデジカメのバッテリーの電気だけです。
近所の農家の皆さんが出店を開いて野菜や漬物やお餅を売っているだけで、自販機もありません。
で、写真はマンドラゴラ大集合・・ではありませぬ。
茶目っ気のある農家のおじさんが、大根で落書きしてたのさ。ナイスバディ・・なのか(汗)「3日前までは美人だったんだよ!」と繰り返していたけど・・
吉高の桜に負けず見事な松虫寺の枝垂れ桜も、今年は例年にも増して美しかった。
こっちは客がまったくおらず、入り口で筆者と逆順のコースを辿ろうとしていたおばさんに道を聞かれただけ。
もったいないなあと思いつつ、1人で堪能する贅沢を味わわせてもらうことに。
寺の向かう途中でサシバと思われる猛禽を発見。ヒバリにセッカにキジ、ウグイスと、声はいくらでも聞けたのですが、今回じっくり姿を見せてくれたのはハシボソさんとムクさんくらい。ハシボソはつがいで巣材を集めていました。
願わくば、バカなサルが退場してカラスたちの時代になってほしいもの。
けど、ゴミ問題の罪をなすりつけて虐殺してきた都知事は4選しちゃうし、原発周辺の被災地でもこの子たちはウロウロしているので、被曝も心配・・・
本来なら緑と寺社を楽しめる散策にはもってこいのフィールドなのだが、成田スカイアクセス線の走行音が耳障りで、長閑な雰囲気ぶち壊し。
JRに加え、京成電鉄だけで2本も成田空港と都心を結ぶ路線を作るというふざけた計画を強行し、北印旛沼に生息する稀少な野鳥サンカノゴイを犠牲にしたのは、環境派を売りにしていた前知事堂本。
ちなみに、松虫寺の近くには、原発下請け会社・関電工の営業所があったりします・・
以下は過去記事
(2010)
http://kkneko.sblo.jp/article/37285308.html
(2009)
http://kkneko.sblo.jp/article/28833920.html
(2008)
http://kkneko.sblo.jp/article/14961110.html
さて、福島第一に関しては、表面上大きな動きが見えなくなってきました。
安定するまでに要する数ヶ月なり数年の間、関係者が必要な作業をパーフェクトにこなせば、このまま大事故につながる可能性が徐々に減っていく・・のでしょう。そう祈りたいものです。
しかし、プライオリティの点で原子炉本体のより大規模な損傷を避けることが優先されている以上、海の放射能汚染が静かに進行し続ける事態は、当面変わらないように思います。
「事態の沈静化」は今後、安全宣言や「海は広いから薄まる」「濃縮しない」といったもっともらしい説明を駆使し、影響を「目に見えないところ」に追いやる作業へと移行していく・・のでしょう。
周辺の住民、とくにこどもたちの内部被曝についても警鐘が鳴らされていますが、事態が明らかになる頃には数年ないし十数年の歳月が流れている・・のでしょう。
責任は誰が取るのか、そもそも取れるのか、その時に議論してももう遅い。
にもかかわらず、地方選はこの結果。コクミン・シミンの原子力に対する不信と怒りがピークに達していたはずなのに。
日本国民の大多数は、公共放送、あるいはその他のマスコミの言うことを額面どおりに受け取るヒトで占められています。
テレビがいつものお笑い番組を映し、電車がダイヤどおりに運行し、街がいつもの賑わいを見せはじめたことに、「これでようやく日常に戻れる」と安堵を覚えているヒトが。手っ取り早く不安を解消してくれる、その「装い」を提供してくれる、よりどころになってくれる存在を求め、すがりついてしまうヒトが。
後のことはおえらいさんに任せよう、石原慎太郎や池上彰のような、ハキハキ物を言う頼りがいのある人物たちに任せようと、自分で考えることをやめてしまうヒトが。
国家やカリスマに対する信頼、帰属することへの安心感は、イヌ・オオカミの順位制、あるいは他のサルの仲間の社会性とは似て非なるものではあれ、間違いなくニンゲンという動物種に顕著に示される特徴のひとつ・・なのでしょう。
チェルノブイリを止められず、フクシマもまた止められなかった。
市民派、脱原発サイドはリスタート、リセットだというけれど、相手方は「咽喉元過ぎて熱さ忘れる」のを待っているだけ。
「ややこしい問題」をすっ飛ばし、放射能をレントゲンと比較してみせ、「快適な生活」だの「エコ」だのフレーズをうまく並べて、テレビ・新聞とタレントの宣伝力を総動員すれば、その他大勢を元通りの鞘に収めるのは簡単なこと。「レスキュー隊よくがんばった」とハンカチを取り出すだけで、コロリとひっかかるくらいなんだもの。
政官財のタッグを覆す、実効性のある方策はあるのでしょうか? そのロードマップは? リソースで圧倒的に差がある相手方の戦術のシミュレーションは?
1万人のデモを毎月繰り返せば、2ヶ月後、3ヶ月後に2倍、3倍と増えていくだろうか?
残念ながら逆でしょう。ニンゲンは動物。慣れる。テンションは下がる。100%確実に。
有名大学出の官僚・政治家・学者たち、演出の巧みなマスコミ人、有識者と呼ばれる人たち。事実やスキルではなく、カタガキやヒトガラに魅了されて動くのがニンゲンという動物。
捕鯨サークルも、SSCSや、捕鯨サークルとの共存共栄が続く状態を「クジラの大勝利」と高らかに宣言したりした一部の共存共栄団体も、小原子力村そのもの。
以下は震災からおとなしかった(石巻に寄ったタイミングでSSCSの妨害ネタを出しただけ)鯨研の直近のプレスリリース。
■2010/11年南極海鯨類捕獲調査で得られた調査副産物の販売について (4/15,ICR)
http://www.icrwhale.org/110415ReleaseJp.htm
「国民各層にできる限り安価な鯨肉の提供を行うべく製造原価の削減を図り、価格転嫁を避けました。」(引用)
・・・。いままでずっと製造原価削減の努力を怠って価格転嫁してきたっていってるの??
これはむしろ捕鯨応援団の皆さんが怒るべきことだと思いますけどね・・・
一方、欧米の運動方針と理念をそのまま持ち込んだだけの動物愛護(誤)系団体の中には、非常に深刻な野生動物への放射能汚染より、命と自然をどのように生かし、守るかということより、よりによって家畜たちの安楽"死"に税金その他のリソースを注ぎ込めと、大方の日本国民が首を傾げる運動を展開しているところもある模様。被災していない自治体での口蹄疫対応がどれほど行政にとって負担だったか、そんな簡単なことさえ考えられない。新たな計画的避難区域のために家畜の移送も、現在政府・自治体の側で検討されていますが、その前に「さっさと積極的アンラク死させろ」とすぐに殺しに飛びつく、いかにもキリスト教的な「神に遣わされたニンゲンの僕に対する配慮」という感覚。
◇◇◇
サクラは何も語らず、ただ年毎の務めを果たすのみ。
クジラは何も知らず、汚れた魚を食べ続けるのみ。
カラスはニンゲンのあまりの愚かさをただ嘲うのみ。