2010年06月08日

クジラとジュゴンリンク署名・日米両首脳に提出/票買い捕鯨ODAの実態・英訳版/クジラの敵はオバマとラッド

◇クジラとジュゴンリンク署名・日米両首脳に提出

 米軍基地辺野古沖移設と南極海調査捕鯨の中止を求めるクジラとジュゴン・リンク署名ですが、5月18日の首相官邸提出に続き、6月4日にホワイトハウスにも提出いたしました。少々手違いがあり、大統領への提出が遅れたことをお詫びいたします。
 それにしても、5月1日の署名&断食期間中に当ブログで書いた予言の悪いほうが的中しちゃいましたね・・・・・
 官僚と族議員による古い政治の打破を掲げた民主・社民・国民新党による歴史的な政権交代がかない、「最低でも県外」発言の鳩山首相&「あの美しい海を埋め立てるのは如何なものか」発言の小沢幹事長という政治力も財力(……)もある最強タッグの新政権が生まれたはずではなかったのでしょうか?
 オバマ・鳩山会談で、青いバラを添えて贈った「trust me」というメッセージに込められた真意は、次のようなものではなかったのでしょうか?
「日米関係は防衛偏重の主従関係じゃなくて、温暖化や非核など様々な分野で協力し合う対等なパートナーだよ。自国の有権者である沖縄県民の意思を尊重し、共和党時代に増長した海兵隊用のプール付き豪邸や事故ってばっかりの殺人ヘリに思いやり予算をつぎ込むのをやめたからって、両国の培ってきた信頼関係はびくともしないよ。あんただって欧州のミサイル配備計画中止したり、原爆投下した国の大統領ながらエラそうに核廃絶論をぶったり、“Change”を看板にしてるじゃんか。時代遅れのアンポ一辺倒じゃなく、もっと関係を深化させていこうよ」
 昨年12月には、前与党のカビの生えた日米合意を白紙に戻し、結論を延ばすと宣言した首相に、多くの市民が精一杯エールを送ったはずです。筆者も官邸メルマガに登録しました。。名護市長選の勝利と平和を願う市民の思いが結集した9万人の県民集会により、これで辺野古沖に戻ってくる可能性は少なくとも50%、いや、30%は切ったはずだと確信もしました。「ウルトラCの腹案がある」との言葉に希望をつなぎ、最後の最後の最後まで信じておったのですが・・・・・・
 楽観的にすぎました。
 鯨肉嫌いということで鳩山氏には個人的に好感を抱いておったのですが、幻滅は否めません・・。28日に福島氏を切る代わりに、自分が辞めていれば、まだしもカッコがついたでしょうに。まあ、スケープゴートならぬスケープピジョンとして、基地移設問題に「ケリが着いた」ことにされると、それはそれで厄介だったけど・・。
 昨夏の衆院選で筆者が考慮したポイントは二点のみ、脱官僚政治主導と沖縄(平和と環境)でした。
 こども手当て? 社民の掲げた保育施設の充実等の具体的施策とは比べ物にならない、自治体の事務と財政負担を増やすだけで減税にも劣るバラマキでしかありません。本来こどもたちのために使われるカネが、食い物やらレジャーやら親のパチンコ代やら遊興費に充てられ、景気対策の口実に使われるのは、許しがたい欺瞞です。
 高速道路無料化? 財政難の折に暫定税率撤廃のほうは棚に上げたうえ、環境省の試算にもあるとおりCO2排出量を増やすばかりなのに、国民の感覚をマヒさせるだけ。フェリーや鉄道(高速除く)など、相対的に環境にやさしい公共交通機関にもしわ寄せを食らわせるだけで、いいことなんてありゃしません。さらに、首都圏の観光客目当てのキモイユルキャラとセットの歪んだ開発や、満たされることのない“横並びの豊カサ”への幻想を煽って、地域固有の伝統と自然を破壊し、税金を土建屋の飯の種にふんだんに供し続ける、コンクリート至上主義への逆戻りを正当化するのみ。
 そんな見え透いた“エサ”に目がくらんで票を投じたわけではありませんよ、選挙目当てと社民の政権離脱をなじった前原国交相殿。もともと保守色の強い貴殿や、捕鯨以外で米国にベッタリ擦り寄るベーコン岡田外相に対しても、鳩山氏が主導力を発揮して、野党時代に掲げた理念の実現に全力を尽くすものと信じたからです。
 当ブログのメインテーマである捕鯨問題についても、いきなり政策転換を求める気などありませんでしたが、この二点がまさに根っこの部分で共通しているが故に、政策INDEXにどう書かれようと、解決への道筋が見えてくると期待したからです。
 政治とカネ? 民主党の自民党化ないし政権再交代を狙って情報操作に勤しんできたマスゴミは、あたかも鳩山退陣の主要な理由が沖縄ではなく、こっちであるかのように誘導しています。しかし、これは特定の党や個人の問題ではなく、「日本の政治」がずっと引きずってきた“構造”の話で、鳩山氏や小沢氏を非難するだけでは何ら解決しません。共産党以外はどこも一緒でしょ。。なぜか弟が野党にいる鳩山氏の場合、特定の業界・企業の利権と結び付いた汚職がらみのカネではなく、親の資産であればカワイイもんです。
 補助金を食い物にしてきた捕鯨サークルの方がよっぽど悪質。脱税の謗りを受けかねなくても、それを沖縄のためにフルに活用してさえくれるなら、多額の政治資金もグレーから真っ白な浄財に変わるわけで大いに結構! ──というのが筆者の感覚でした。彼がそれをしなかった今となっては、譲渡税を4倍は払ってほしいけどニャ!
 ただ・・単なる口先倒れに終わってしまった今でも、脱官僚・米国追従路線転換を堂々と掲げたはずの民主党に、それを実行する能力・地力がなかったとは、筆者には思えないのです。小沢氏・鳩山氏が、多少後ろ暗いところがあっても、集めたカネを効果的に投じてくれていれば・・。
 小沢氏らが自民党議員ら同様、名護市周辺の土地をリゾート転売用に購入していたという話は本当だったのかしら? あと、政権奪取以前から米国とのパイプを確保することはできたはずなのに──実際、衆院選前に米国側から探りが入っていたはずですが──なぜ全然できていなかったのでしょうか? それと、新人国会議員を引き連れた小沢氏の中国ツアーは、この春のタイミングでこそやるべきでした。県外移設に首を縦に振らない米国・オバマを、しばらく冷たくあしらったうえで。大体、日韓・日中で首脳会談した矢先に、アジアより米国を優先する理由で首相退陣じゃ、すごく失礼な話だよね。迷走の挙げ句、まったく無関係な北海道選出議員の方にまで連帯責任を唐突に求めた鳩山氏の終幕のドタバタぶりは、情けないの一言に尽きます・・
 そもそも外交的にも、今は沖縄への米軍基地集中・固定化を打ち砕くチャンスだったはず。それは他でもない、鳩山氏が辞任の場ですがりついたヘリクツ、辺野古移設を正当化した北朝鮮による韓国海軍艦沈没事件。社民・福島氏が解説したように、日本の安全と直結しない米国自身の戦略上の理由で、中東まで守備範囲にしている海兵隊を沖縄に駐留させたところで、朝鮮半島有事の際には佐世保の自衛艦に乗っていってもらうしかないわけです。主力部隊のグァムへの移転が決まっていることと合わせ、地理的に沖縄でナケレバナラナイ理由は何もないのですね。
 本当に対北朝鮮問題が理由なら、抑止力の点でも有事の機動性の点でも、韓国に置くのがむしろ合理的でしょう。第一、体制上の問題から、国民の不満の捌け口として、日米韓を相手に独自のロンリで挑発崖っぷち外交路線を続ける北朝鮮に、抑止力など無意味という以上に逆効果。万一暴発した場合に交戦の舞台になりえるのは半島なのです。日本はミサイルが飛んでくる可能性こそあれ、そのとき米海兵隊は沖縄にいようがどこにいようが、まるで役に立たないのですから。
 もっとも、当の韓国では対北強硬路線を掲げた与党が統一地方選で大敗退。何十人もの人命を奪われ、危機を肌で感じているはずの韓国市民は、「戦争より平和」「挑発による危機のエスカレートより粘り強い対話の継続」を選択したわけです。一応“人質”を取られている“建前”上、慎重論が大勢を占めても不思議はないはずなのに、なぜか核保有論まで飛び出す血気盛んなナショナリストが多い、お隣りのどっかの国とは対照的・・。
 ともあれ、対北朝鮮外交でカギを握っている中国に対し、失礼千万にも仮想敵国とみなす実質的な軍備増強に他ならない、辺野古の“新基地”建設の中止をカードとし、協力を取り付ける戦術は、十分可能だったはずです。主権・領土の相互尊重、相互不可侵、相互内政不干渉が明記された、相手を縛る物騒なアンポ条約とは一線を画する平和友好条約を締結したアジアの隣人同士、経済的にもお互い切っても切れない互恵関係にある国同士で、「資源を狙われるカモシレナイ」「侵略されるカモシレナイ」などと疑心暗鬼になってどうするのですか? それこそ、ネコにもイヌにもクジラにもサル(ヒト以外)にも劣る下等動物の貧相な発想です。
 最近増えた(国内メディアでの掲載頻度が・・)沖縄周辺への中国艦の出没も、世界中の海を我が物顔でうろつきまわってきた米国・ロシアの軍艦・潜水艦の真似。軍備増強も、対外的なキョウイを口実にした防衛産業の軍需利権のなせる業で、日米ロと変わりゃしません。国際条約に違反してるわけでもなし。これも主に米ロが言い出しっぺながら、軍艦は多くの海洋・船舶関連条約の適用除外。文句言われる/言える筋合いないでしょ。それこそ、ボン条約でも保護されているはずの自国の経済水域内を回遊している移動性野生動物を収奪されることに対して憤る南半球の国々の声に耳一つ貸さない、日本の調査捕鯨とまったく同じこと。不快で傲慢だけど、国際法上の違法性はないんですよ。ベーコン岡田外相殿、試しにICJにでも提訴したら?
 やや話が逸れましたが、要するに、対北朝鮮・対中国いずれも、安全保障の観点からすれば、米軍基地を辺野古沖・沖縄県内に移設する根拠はまったくなし。むしろ極東の平和と安定を妨げ緊張を高めるだけ。外交の米国依存一辺倒を見直し、アジア重視を掲げた民主党の党是にも、明確に反するもの──だったはずです。鳩山前政権が、周辺諸国の状況に目を配ることをまったくせずに、米国のご機嫌取りばかりに血道をあげさえしなければ、正しい選択を取り得たはずなのです。
 さて、菅新首相殿。とくに社民連時代の貴殿の政治スタイルには、比較的マシな政治家の印象を持っておりました。しかしながら、結局自民党時代と何ら変わらぬ日米合意を引き継ぐ限り、貴殿・貴党を支持することは一切しません。夏の参院選では、民主党にはゼッタイに票を入れません。国と国との約束なんて、「最低でも県外」と明言した選挙前の国民との約束の上位にくるものではありません。選挙前の威勢のよさはすっかり影を潜めて、「ユウシュウな官僚」の意のままに操縦されるカッコ悪い民主党の言うことなど、二度と信頼しません。するもんですか。
 日米合意の(再)白紙撤回がない限り。
 マスゴミはひた隠しにしていますが、市民ブロガーの皆さんも伝えてくれるとおり、沖縄の怒りは頂点に達しています。名護市長選で稲嶺氏が勝利し、現実派とされる仲井眞県知事も県民集会に参加、埋立には県知事の認可を必要とする以上、「県内移設はもはや現実的でない」とする意見が建設業界を含む沖縄県民の総意となったのは、まさに鳩山前首相・民主党の責任。責任は選挙で有権者の審判を仰ぐことで取ってもらう以外にありません。ここはひとつ韓国を見習いたいもの。
 この夏、沖縄県民の総意ははっきりと示されることでしょう。一人区の沖縄の改選議席数は1、昨夏は相乗りの統一候補が勝ちましたが、今回は「県内移設容認」でオシャカに。独自候補を立てたところで、民主党がここまで沖縄を裏切り、基地のない暮らしを求める人々の切なる願いを踏みにじり、信頼を完全に失った以上、党に留まって勝ち目があるなどと考えないほうがいいでしょう。沖縄の皆さんは、振興策の飴玉で地域社会を二分させ破壊する手口は、もう十分わかっていらっしゃるはず。罠にはまった名護市のシャッター街や高い失業率を見れば、そんな手にひっかかる方はもういないはず。ですから、「辺野古沖・沖縄県内移設絶対反対」を最大唯一の争点としたところで、何の問題もないと。ジュゴンのためにも、子供たちのためにも、まだ諦めるのは早いでしょう。マスゴミはただの一人区といって片付けるかもしれないけど・・。
 それならば、沖縄に負担を何もかも押し付けている本土の人間としても、乗っからないわけにはいきませんよね。どのみち衆院で民主が2/3を占めた今、今夏の参院選の結果がどう出ようが、かつてのねじれ国会の状況が再現するだけで、当面は与党が何でも強硬策で通すでしょうからね・・解散するまでは。
 民主党の参院改選組の議員さん。本当に沖縄の声・沖縄の悲劇を他人事としない国民の声を代弁する気があるのなら、離党して今回の選挙に臨むべきです。社民離脱で参院の過半数がギリギリ1人分しか維持できていない状況では、強い圧力がかかっているかもしれませんが・・。しかし、激戦区2人擁立をやめるくらいで済むなどとは決して思わないでいただきたい。比例で気になる方が1人いるんですが、本心を言えばもう党を抜けて欲しいなあ・・
 筆者ももちろん、貴重な一票を昨年のように無駄にはしません。筆者のところは民主は2人立てるみたいですが、揃って落ちて欲しいと本気で願っています。みんなの党は個人的に応援したい議員さんはいるけど、沖縄問題は駄目だっていうしなあ。。いまのところは比例が社民、選挙区が共産かなあ・・。保坂さんにはなんとしても復活してほしいニャ〜。まだ名前の出ていない無名の市民政党にするかもしんないけど・・

参考リンク:
−すみっち通信
http://sumichi7878.cocolog-nifty.com/blog/

 たくさんあるハイレベルのブログの一つ。本土の人間には沖縄問題について目からウロコ、いろいろ勉強になります。マスゴミ報道との隔たりには驚くばかり。日米の右サイドマスゴミ&ユウシキ者ら、ヨクシ論ファンダメンタリストらによるあまり巧みとも思えない誘導論調を、なぜ両政府がこれほどまでに気にするのか、そこが何より理解に苦しむところなんだけどね・・。国もメディアも国民をよっぽどバカにしてるってことだけは確かだけど・・・

 
 鳩山首相の投げ出しの弁じゃないけれど、筆者の「不徳の致すところ」で思うように数が集まらなかったリンク署名ですが、アプローチ自体は今後さらに広げていかなくてはならないと考えています。ジュゴンもクジラも深い関わりのある10月の名古屋COP10に向け、日本にはボン条約(CMS/移動性野生動物の種の保全に関する条約)の批准を、米国には生物多様性条約の批准を求めなくてはなりません。筆者が口酸っぱくして言ってもなかなか実効性があがらないのですが(汗)、みなさんもぜひ、この問題について真剣に考えてみてくださいm(_ _)m


◇クジラの敵はオバマとラッド

 鳩山氏は許す気こそなけれ、同情の余地もゼロではないのですが、オバマ米大統領に対してはまったく同情する気になれません。「辞任は専ら国内問題のせい」とは白々しいにも程があります。
 いままさに米国・メキシコ湾で、海洋環境問題に関心のある世界中の市民の話題となっている、1989年アラスカ沖でのエクソン・バルディーズ号事件をはるかに上回る規模の原油流出事故が発生、ペリカンなど多くの水鳥、ウミガメ、そしてイルカたちが犠牲になっています。当局の発表する数字(沿岸への漂着死体)はもちろん氷山の一角でしょう。
 海洋の高い生産性を支えているのは、逆説的ながら南極海を始めとする水温の低い高緯度の湧昇流域なのですが、ルイジアナからフロリダに至る湿地帯は生物多様性の宝庫ですし、メキシコ湾は先に取り沙汰されるタイセイヨウクロマグロの産卵海域であり、北大西洋に生息する鯨類の繁殖にも欠かせない場所。深海生態系も多くの未確認種を擁し、近年生物多様性上注目を集めているところ(無秩序乱獲が進む捕鯨ニッポン以外で・・)。
 1500mの深海で噴出する原油は、低代謝・低成長の深海生物群に計り知れない影響を与えることは間違いなく、しかも海鳥やアザラシなどのようにレスキューはおろか、その影響を確認することさえ不可能でしょう。事故発生率はこんなに小さいんだと、まるで鯨研の御用学者のように数字を並べる石油メジャーのBPですが、その万が一のはずの事故が実際に発生してしまったのです。予防原則の観点からいえば、こんな事業は商業捕鯨と同様に最初から認可されるべきではなかったのです。ましてや、事業者として環境上の未曾有の大惨事を招いた大企業が、責任を免れていいはずはありません。
 そのBPの責任問題に対する、奥歯に物が挟まったようなオバマ氏の奇妙な“冷めっぷり”が、事態を憂える米国市民でなくても、非常に引っかかるのですよね・・。中東依存脱却・エネルギー自給を目玉に、深海油田掘削事業を認可したのは、石油業界と懇ろにしていた前共和党政権のはずですが、一体なんだって庇い立てするんだか。「新しい分散剤を使えば環境上の影響はうんたらかんたら」などとお茶を濁すBPに任せっきりにしていた間にも、原油はとめどなく流出し続けたのです。陣頭指揮といっても、口先ばかりで及び腰の後手後手対応ぶりは、我が国の赤松農相の口蹄疫対応を彷彿とさせます。
 もっとも、オバマ政権は、狩猟好きの政敵のいる共和党の地盤にして、科学者の懸念するホッキョククジラ漁を続けているアラスカ州沖の海底油田掘削事業について、解禁する方針を今年打ち出したばかり。今回の事故で半年間の延期を余儀なくされたものの、日本の自民→民主と同じパターンの政官業癒着スイッチないし中間選挙対策じゃないの?と勘繰りたくもなります。BP側は、雇用を盾に責任回避の姿勢。「株主サマ第一」の市場原理主義のもと、どれだけ失業者が出ようとかまわないが、環境は二の次ってことですね・・。BPの株は当然ながら下がりまくってるようだけど・・・
 要するに、大統領が誰になろうと、アメリカは日本と並ぶ、ダブルスタンダードが大好きなエコ偽善大国ってことです。世界中の誰もがとっくに感じていることではあるけれど。北朝鮮と同レベルとしか思えない原理主義国家イスラエルの支援船拿捕・市民虐殺事件に対する姿勢もまた、平和・人権・民主主義における米国のダブルスタンダードぶりを象徴していますが。
 オバマ氏の“冷めっぷり”と言えば、筆者は日本人として、共和党人脈をそっくり受け継いだ米軍に対する、神経質なまでの気の遣いようを思い起こさざるを得ません。イラク撤退に代わる泥沼・対タリバン掃討作戦でのアフガンへの投入に負い目があるんでしょうけど、沖縄にツケを押し付けられる筋合いはありません。
 軍人への過剰な気配りとは裏腹に、沖縄県民・ジュゴンをはじめとする自然の叫び声をオバマ氏は無視しました。当方の企画した署名は、総数では千人あまりとはいえ、300人近い米国市民の皆さんに賛同をいただいています。SDCCさんの署名は3万人超、Care2企画の署名も1万2千人超。しかし、そうした市民の声は、彼の耳には何一つ入っていないかのようです。軍関係者の声にしか耳を傾ける気はないかのようです。
 お座なりの短期アセスでチャチャッとすませる防衛省に頭の上がらない日本の環境省と違って、厳しいうえに絶大な権限を与えられたEPA(米国環境保護局)が、海兵隊のグァム移転にケチをつければ多少は耳を貸すけれど、「どのみち思いやり予算をせしめられる子分の国じゃなくて、自分たちの国土の話だからいいや」という感覚なのでしょうか。まあ、NHPAさえ鼻であしらうようでは無理ないかもしれませんが・・。
 オバマ大統領は、国民受けのする抽象的なスローガンを掲げてトップの座に立ったものの──まさに日本の鳩山前首相と同じように──実際に世界の人々と痛みを共有しようとせず、理念/言葉だけが空回りして実効的な成果をろくに挙げられない未熟な政治家でした。そこも鳩山氏ほどじゃないけどよく似てますね・・・
 日本政府と結託して稀少な北限のジュゴンを絶滅に追いやろうとする、しかもよりによって国際ジュゴン年に鉄槌を振り下ろして彼らのとどめを指そうとする、米国政府・オバマ氏が、いくら調査捕鯨反対を唱えたところで、欠片も説得力がありません。
 彼はまさしく、日本の捕鯨サークルを利するだけの海洋環境・野生動物・クジラたちの敵です。
 日本の調査捕鯨への反対が、単なる大衆向けのポーズでないことを証明したければ、対等な同盟国であるはずの日本に強要した理不尽な辺野古沖移設合意をただちに取り消してください。


 で、クジラの敵に他ならないことを明確に示した首脳がもう一人。お馴染みオーストラリアのラッド首相。スミス外相、ギャレット環境相も合わせてやっぱ三バカトリオか。
 軍事的に密接な協力関係にある日米豪首脳3人がそろってダメっぷりを発揮してる感じですが・・・・

■豪国際司法裁判所提訴に日本応じる様子 (6/2,日豪プレス)
http://www.25today.com/news/2010/06/post_4557.php
■国際司法裁への提訴、良い面も=捕鯨問題で−豪学者 (6/2,時事)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201006/2010060200555
■マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」 (JANJAN)
http://www.janjannews.jp/archives/2188034.html (リンク切れ)
http://www.asyura2.com/10/senkyo77/msg/177.html
■日豪捕鯨会談は3バカトリオの内向け政治ショーで終わった(続き) (拙ブログ)
http://kkneko.sblo.jp/article/34240502.html

 すでに産経を始めとする日本マスコミのみならず、豪州国内メディアからも叩かれている豪労働党政権ですが、実際ラッド氏は確信犯で、選挙目当ての口実という見方は100%正しいと言わざるを得ません。
 IWC米国代表メディナ氏らもギャンブルと批判している豪州のICJ提訴問題については、過去記事で取り上げているとおり(4番目のリンク)。問題点はあまり変わっていないので、そちらをご参照。
 実際のところ、日本の調査捕鯨には当のICRW(国際捕鯨取締条約)からCITES(ワシントン条約)からマルポール条約からCORLEG条約から国際法上グレーの側面が多々あり、時事の豪ロスウェル氏や日本の東北大石井氏、法政大真田氏ら国際法に詳しい研究者が指摘するとおり(時事及びJANJAN記事)。
 のみならず、ロスウェル氏曰く「根拠があるはずだ」との自国の政府の方針に対する“推測”が当っているかどうかさえ、不安を感じざるを得ません。勝てる確率はミナミマグロ事件より低く、負けても一定の前進につながった同事件と同じ按配で、日本の態度を改めさせられるとは思えないうえ、IWCで決着を図るのをやめてICJに持ってった以上、同事件のように管轄するIWCに返されて進展につながることも期待できず。下手すると南極領有権問題を持ち出して、致命的な墓穴を掘りかねません。
 決定的な過ちは二点。まず、ICJ提訴は今月モロッコで開かれるIWC年次総会で、議長案で示された捕獲枠を中心とした駆け引きにおいて最大限活用されるべき“カード”だったはずなのに、開催直前(科学委は既に開催中)というまさしく最悪のタイミングでやっちったこと。日本はこれで「な〜んだ」と思うでしょうよ・・。米代表が怒るのもごもっとも。タイミングという点でいえば、もろ選挙対策でしかありません。野党自由党も、批判しながら提訴した場合は引き継ぐと言明しているし、さすがにオージーの皆さんにも見抜かれて効果がなかったようですが。
 問題のその2は、「南半球での捕鯨が日豪の良好な関係を妨げてる唯一の原因だ。やめてくれさえすれば劇的に改善する」と言わず、「捕鯨は経済その他両国の関係にまったく影響シマセン」と、恐ろしくバカなことを言っちまったことです。やっぱり日本にしちゃ「な〜んだ」ですよ。「じゃあ気にせず続けていいんですね」と。
 これでは、トムとジェリーじゃないけれど、いつまでも仲良くケンカし続けたいという意思表示の現れと受け止めざるをえません。日本の捕鯨サークルと手をつないで、南極のクジラを政治的な道具として延々と利用し続けましょうという。
 鳩山・赤松・岡田の日本の三バカトリオにもバッキャローと言いたいけど、彼らはまだしも正直(たぶん。外務・防衛・水産官僚の連中は別)。
 オバマとラッドは許せん! ふざけんな、バッキャロー!! 

◇票買い“捕鯨ODA”の実態・英訳版(一部)公開!

−Why the Japanese government grant a first priority on foreign policy for pro-whaling!?
(2) Significant "Aid Inequality" Among Pro-whaling and Non Pro-whaling Countries
http://www.kkneko.com/english/oda2e.htm
http://www.kkneko.com/english/index.htm
−捕鯨推進は日本の外交プライオリティbP!?(1)〜(5)
http://www.kkneko.com/oda1.htm

 “捕鯨ODA”の際立った援助格差と、異常な調達の実態を明らかにした「捕鯨推進は日本の外交プライオリティbP!?」、懸案だった英訳版(一部)がようやく出来上がりました。
 当初は全編翻訳を依頼する予定だったのですが、予算と時間不足で海外へのインパクトの大きい(2)を先行公開(汗)。(1)はGoogle翻訳を借りて筆者が適当に訳してます(汗々)。英語圏にリレーションをお持ちの方は、ぜひ告知にご協力くださいm(_ _)m 世界中の、とりわけ日本のODA戦略の“裏”を第三世界の人々に知っておいていただく“べき”内容です。難度の高い翻訳作業をこなしていただいたCFTの皆様、本当にお疲れ様でしたm(_ _)m
 日本語版の方も情報の周知を引き続きヨロシクm(_ _)m データソースは昨年発行の外務省資料ですが、マスコミがまったく追及していないため、問題点は何一つ改善されていません。不透明・不公正性の高さが従来から指摘されてきた、国民の目の届かないハコモノ公共事業・ODAの中でも、水産ODA≒捕鯨ODAの突出した落札率の高さなど、資料は捕鯨をめぐる官業の癒着・もたれ合いが強く臭わせる一連の数字を提示しています。
 第1次事業仕分けの対象になり、民主党の野党時代にも追及されたズサンな事業内容が赤裸々になりながら、でも“マスゴミ”は米軍基地問題の裏側と同様に話題にすることを避け、ベーコン岡田外相に庇われて、その後のフォローもなされていない海外漁業協力財団や、第2次事業仕分けの候補に挙げられながらも、やはり“聖域扱い”で洩れてしまったマリノフォーラム21など、天下り官僚OBの巣食う外郭団体は、まさしく捕鯨サークルの裏方にして元締め。小沢前民主党幹事長の「政治とカネ」をめぐる疑惑の一端を担った、あの西松建設に代表される水産コンサル/ゼネコン業界に、"コクエキ"を口実にあまりに美味しすぎる仕事を与え続けることで、結託した官僚たちにも美味しいポストが用意されてきたわけです。
 長い年月をかけ親密な関係を構築してきた自民党の捕鯨議連とは異なり、農政に関しては素人に近いフレッシュ農相として起用されたはいいものの、瞬く間に官僚からウンチクをしっかり刷り込まれ、威勢よくトンデモ食害論やらジンシュサベツ論を唱える俄か族議員と化した赤松“前”農相も、捕鯨サークルの立役者として癒着の構図にどっぷり浸かってしまった格好に(本人に自覚があったか否かはさておき・・)。その赤松氏、農相の立場でIWC総会に出席して一言申すとの宣戦布告は実りませんでしたが、宮崎/全国の畜産農家の苦境もそっちのけで、悠々と捕鯨親善外遊に出かけたことは明らか。「口蹄疫対応よりカストロへの挨拶を優先した」なんて、真相からはかけ離れたトンチンカンな記事を出してた右系週刊誌もあったけど、マスコミなら“正しいツッコミ”を入れてもらいたいものです・・・

 

◇オマケ

■建造物侵入 ウアルカイシ容疑者を釈放 警視庁 (6/6,毎日・読売)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100606-00000008-maip-soci (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100606-00000545-yom-soci (リンク切れ)

 現行犯逮捕ながら拘置されずに即釈放。在宅で任意聴取。
 どっかのNPOのお2人の扱いとはとんでもない違いですね。
 別に拘置しろっつってんじゃないですよ。
 日本の司法機関がどれだけ恣意的・政治的かっつー話です。 
 8日結審。控訴・・かなあ・・

 

◇オマケ2

 「The Cove」上映中止問題を受け、「極右のメッカと化した太地」という記事も書く予定でしたが、時間なし(--;; 過去記事をご参照のほどをm(_ _)m

■捕鯨のメッカ太地のイルカ漁V.S.「THE COVE」
http://kkneko.sblo.jp/article/33105405.html
■「THE COVE」では伝えきれない太地捕鯨&イルカ漁のダメっぷり2
http://kkneko.sblo.jp/article/33346665.html
■「The Cove」騒動と捕鯨の町/鯨研のイタすぎる布教活動
http://kkneko.sblo.jp/article/36872863.html

 今回のIWC総会ではとくにウォッチしません(たぶん)。
 上掲したODA記事と脱法調査捕鯨問題、特設リンク集と合わせて以下の記事に目を通しておいてね! 下の二つで提起した問題は、本来ならIWC上で真剣に吟味されるべき内容。

■持続的利用原理主義すらデタラメだった! (拙HP)
http://www.kkneko.com/sus.htm
■グラフで解く"捕鯨汚染"〜日本の捕鯨が南極のクロミンククジラを絶滅に導く最悪のシナリオ〜 (拙HP)
http://www.kkneko.com/cd2.htm
■捕鯨は森林破壊に勝る環境破壊!!(続) (拙ブログ)
http://kkneko.sblo.jp/article/36133867.html

 内容より耳に心地よい単純素朴で刺激的なキャッチコピーもしくはキャラで判断しがちな、ニンゲンという社会性哺乳類の不合理性をまざまざと痛感する今日このごろ・・・・

 ついでに署名活動・断食・翻訳で金欠の激貧ですニャ〜(--;; 国庫補助金もらって商売して、そのうえワンコイン募金までかき集めてる連中と違って、ぜーんぶ持ち出しの自腹だし。
 そゆわけで、小説改訂版・英訳版・新作群の企画を引き受けてくれる出版社と協力絵師さんを引き続き募集中m(_ _)m

posted by カメクジラネコ at 04:47| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会科学系
この記事へのコメント
黙れや、あんた。
口だけなら誰でも言えるやろが?
民主党は精一杯努力した結果があれなんだ。
ならば、我々国民も批判をせずに受け止めるべきだろが?
「よくやった」「よくがんばった、鳩山」
そういう言葉が必要なんだぞ、政治家には。
そういった言葉なしに民主党は成長していかない。
あんたは非国民だな、民主党ほど国のことを考えている政党はないぞ
クジラやその他動物に関しても、同様だ
民主党は愛護にかなりの力を入れている。
その政党を応援しないお前はなんだ?

そういう馬鹿な奴は政治に口を出すな。
民主党は今までの政党で最高だ。
まったく気分を害してくれたな?
Posted by Nagoya at 2010年06月08日 17:21
>Nagoyaさん 「精一杯努力した結果がアレなんだから批判するな」??? こいつはたまげた。実行しないで努力だけなんて政治家や政党は要らねッス。 もっとも、沖縄県民の皆さんの中に、鳩山民主党が精一杯努力したと思ってる方がいるとはとても思えませんが・・ よそのブログに「黙れや」とまでシンパに書かせるようじゃ民主党もオシマイだニャ。けど、さすがにそこまで堕ちちゃいないんでねえの?
Posted by ネコ at 2010年06月12日 00:55
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