2010年02月06日

不勉強な赤松農相・2/日本にとって捕鯨情報戦争は人の安全より重いのか

◇不勉強な農相赤松氏のトンチンカンぶり・その2

■赤松農林水産大臣記者会見概要・2月5日|農水省HP
−オランダにおける捕鯨妨害船船籍剥奪のための法改正の動きについて
http://www.maff.go.jp/j/press-conf/min/100205.html


昨日も、ニュージランドの貿易大臣に、僕はこちら(国会)で出られなかったので、急きょ、郡司(副大臣)さんに代わってもらって、それもよく話をしましたし、この間、皆さんに報告したように、オーストラリアの大臣にも、直接、僕の名前でビデオも送りましたし、いろいろな世論作りをやりながら、多少、以前よりは、こういう、私どもの捕鯨調査活動にも理解を少しづつ得てきたなと。
シー・シェパードって、やっぱり、ちょっと、あれやりすぎだよねということが、他の国にも理解をしてこられたのだと思います。まあ、あとは、もっと基本のところを、やっぱり変えないといけないので、私どもとしては、IWC(国際捕鯨委員会)の総会に、許されれば、私自身が出て新たな提案もきちっとして、特に、日本の沿岸の商業捕鯨を認めさせると、ミンククジラのですね、その代わり、一定程度、南太平洋の方のサンクチュアリを作るだとか、あるいは、今の調査捕鯨のあり方をもう少し見直すとかいうような妥協案も含めながら、今の4分の3では、何をやったって全然変わりませんから、そういうことを、アメリカも含めて、今、いろいろ相談をしながら、何とかそれで4分の3集められるように努力をしていると。
ただ、アイスランドとノルウェーが、なかなかきついものですから「俺たちは、今までどおりやりたいんだ」みたいなところがちょっとあるんで、そういう人たちも含めて、今、いろいろ説得の努力をしているというところですね。
(引用)

 2日の会見と同じく溜息が出るトンチンカンぶりです・・・
 まず、記者が質問したオランダのSS船籍剥奪に向けた法改正の件は、今期の南極海捕鯨戦争≠ェ勃発する前の昨年12月10日に読売等がすでに報道している、一連の流れに沿ったものでしかありません。一昨年に威力業務妨害でSSのメンバーを国際指名手配し、これをカードに日本政府側が各国に圧力をかけてきたのは事実です。しかし、そもそもIWCで再三にわたって全会一致で非難勧告が出されてきたとおり、IWC加盟国政府でSSの妨害活動を公然と認めるところは一国も存在しません。これじゃまるで、赤松氏がオランダの国会議員全員に衝突ビデオを送りまくるとかしたおかげで、ようやく議案提出にこぎつけたみたいだよねぇ〜。。
 大体、赤松農相がオーストラリアの貿易相に衝突ビデオを送ることで、どこをどうしたら「捕鯨調査活動への理解」につながるというのでしょう? 衝突ビデオに捕獲調査の科学的意義が映ってるのですか? ズレまくりもいいところ。クリーン貿易相も、会見時に顔には出せなかっただけで、さぞかし辟易したことでしょうね・・

−シーシェパードをぶっつぶせ! (拙ブログ)
http://kkneko.sblo.jp/article/34155590.html

 2回の会見からわかるのは、赤松氏が自分でも勉強せず、捕鯨担当官僚に手取り足取りのレクチャーを受けながらそれさえもまともに理解できずにいるということです。
南太平洋の方のサンクチュアリを作るだとか」という発言は、IWC日本政府代表である水研センター長・中松氏らが唱える「南大西洋サンクチュアリ容認」を聞き違えただけだと思われます。まあ確かに、豪・NZから見れば、反反捕鯨論者の好きな「差別」以外の何物でもないでしょうけど・・。

 デソト−ホガース提案を葬り去って1年間の努力を水泡に帰させた責任の大半は、ホガース前議長の指摘するとおり北朝鮮じみた日本の強硬姿勢にあるわけで、いまさらそれを蒸し返して「新しい提案」とは実に聞いて呆れます。

−捕鯨問題で「日本はもっと譲歩すべき」、来月退任のホガースIWC議長 ('09/5/21,AFP)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2604547/4173716

 しかも、自分たちにとって無関係な南極のことなどどうでもいい(むしろさっさとやめてもらった方が買ってもらえると思っている)ノルウェーとアイスランドを担ぎ出し、「日本が強硬派をなだめているんだ」とあたかも中間派を装うかのような発言をするに至っては、返す言葉もありません。この点については、marburg_aromatics_chemさんがバッサリ斬るコメントを寄せてくれています。

赤松農相はIWCで新しい提案をするようですが、会見を読むと、どうも日本だけが妥協を目指した正論を言い、商業捕鯨国と反捕鯨国の板挟みに遭っていると言いたいように思えます。
いつものように、「日本が具体的な妥協案を提案したのに、反捕鯨国の強硬な反対にあって潰された」と宣伝するため、今から破たんシナリオを準備しているだけでしょう。
「アイスランドとノルウェーがきつい」とは責任転嫁ですね。
一番きついのは、日本国内の捕鯨圧力団体・捕鯨支持者たちです。
一年にわずか1か月暴れるだけのSSや、二週間笑い物にされるIWC総会よりも、年中圧力をかけてくる国内グループの方がやっかいです。
アイスランドは日本のためにナガスクジラ肉を1500トンも準備しているのに、赤松農相の発言は失礼ですね。調査捕鯨副産物が品薄になったとしても、どこかの老舗料亭でハリハリ鍋を堪能できるのも、アイスランドが輸出してくれるおかげですし。


 化学者さんがおっしゃるとおり、現実的な妥協を妨げる唯一の障害となっているのは、原理主義的捕鯨推進論に頑なに固執し続ける日本国内の捕鯨サークルからの内圧に他なりません。

 赤松殿、ごまかさずにちゃんと正直に白状したらどうですか? 「俺たちは、今までどおりやりたいんだ」と吠えているのは、一体全体どこのだれですか??

ところが、5日の会見を受けたTBSや朝日などの各マスコミは、不勉強な赤松氏の無関係な発言を削いだうえで、「調査捕鯨縮小・見直し提案」と題して報道。

−日本、調査捕鯨縮小を提案へ 沿岸捕鯨再開と引き換え (2/5,朝日)
http://www.asahi.com/politics/update/0206/TKY201002050579.html (リンク切れ)
−南極海の調査捕鯨、見直し提案で調整 (2/6,TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4349800.html (リンク切れ)

 おそらく赤松氏は、この後強硬な捕鯨サークル関係筋の突き上げを食らい、6月のモロッコ会合に出席することはたぶんないでしょう。先月12日に農相は「自分が直々に乗り込んでいってIWCを変えてやるんだぁ」的にずいぶんと勇ましいことをまくしたてていましたが、今回の会見での「許されれば、私自身が出て」という発言からは、まるで誰かにお伺いを立てないと出席できないかのような、奇妙な軌道修正の跡が伺えます。どうせ「日程が合わない」とかいくらでも理由は付けられますからね・・
 それにしても、こういうときの捕鯨サークル側の動きは実に迅速です。

−調査捕鯨母船にレーザー光線 南極海でシー・シェパード (2/6,時事)
http://www.asahi.com/national/update/0206/TKY201002060224.html (リンク切れ)
−日本の調査捕鯨船にレーザー光線 シー・シェパードの抗議船 (2/6,共同)
http://www.47news.jp/CN/201002/CN2010020601000329.html
−反捕鯨団体がまた調査妨害=水産庁 (2/6,時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010020600279 (リンク切れ)
−シー・シェパードまた妨害 調査捕鯨船にレーザー光線、乗員失明の恐れも (2/6,産経)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100206/crm1002061633019-n1.htm (リンク切れ)

 リレーションのある産経や時事だけでなく、共同や朝日などに対しても「どうか頼むから載せてくれ!」と水産庁・鯨研が強く哀願したのでしょう。実際にはレーザー光線による妨害は今期に入ってからずっと続けられており、6日付けの記事として扱われる要素は皆無。先月朝日が伝えた太地町住民の高濃度水銀発覚報道に対する気色の悪いプレスリリース反撃と同様に、朝日やTBSに今回「縮小」を伝えられてしまったことで、世論の反応に対して極度に敏感になっている様子がうかがえます。

 以下のflagburnerさんの記事もご参照。

Operation Waltzing Matilda 7.0 (2/6,flagburner's blog(仮))
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/0485475b33f8400f1f39b1a5fb76c85d


◇日本にとって捕鯨情報戦争は人の安全より重いのか

 こういう場合の正しい対処法は、乗員の安全を最優先して失明の危険を回避するために作業を中止し、後で粛々とSSに対する法的措置を講じることです。危険な作業を乗員に無理やり続けさせ、“絵”を撮ってプロパガンダに利用することではありません

■マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」 (10/7,JANJAN)
http://www.janjannews.jp/archives/2188034.html (リンク切れ)
http://www.asyura2.com/10/senkyo77/msg/177.html
■日本にとって国際捕鯨取締条約8条は人の命より重いのか (拙ブログ)
http://kkneko.sblo.jp/article/34634374.html

posted by カメクジラネコ at 18:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系
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