2010年01月09日

日本にとってICRW8条は人の命より重いのか/マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」(続)

◇捕鯨ニッポンにとってICRW8条は人の命より重いのか

■NZ外相:日本政府にも調査求める方針−捕鯨船と抗議船の衝突 (1/8,ブルームバーグ)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=a1ifiCtlAS9c
■豪とNZ政府が調査へ 日本の捕鯨船と抗議船衝突 (1/8,朝日)
http://www.asahi.com/international/update/0108/TKY201001080006.html (リンク切れ)
■第2昭南丸乗組員を告訴 「海賊行為」と米環境団体 (1/9,共同)
http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010010801000953.html
■反捕鯨団体、破損の妨害船を放棄か=ボーガンの矢を回収−水産庁 (1/8,時事)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100108-00000136-jij-pol (リンク切れ)
■<調査捕鯨>調査船と衝突した抗議船から矢 (1/8,毎日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100108-00000013-maiall-soci (リンク切れ)
■シー・シェパード船衝突、反日世論高まる豪 (1/7,読売)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100107-OYT1T01164.htm?from=main1 (リンク切れ)
■日本捕鯨船とSS船の衝突、両主張を報道も「五十歩百歩だ!」−中国 (1/8,サーチナ)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0108&f=national_0108_010.shtml
■〔NEWS〕 元水産庁次長が理事長の鯨研の調査捕鯨団監視船、第2昭南丸ごらんの 回避義務のある右舷方海上のシーシェパード抗議船に「体当たり攻撃(?)」 音響兵器(LAPD)も使用か? (1/7,机の上の空 大沼安史の個人新聞)
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2010/01/post-a885.html
■Operation Waltzing Matilda 5.2  (1/7,flagburner's blog(仮))
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/0f3882b2b3524bdd3c37d18a2ee5e282

 ま、「どちらも五十歩百歩だ」という第三者である中国の方の声が、正鵠を射ているんじゃないですかね・・・
 さて、捕鯨ニッポンとシー・シェパード(SS)双方の当事者の所為で、事がどんどん大きくなっている感のある第三次南極海捕鯨戦争。おかげさまで、当ブログへのアクセスも昨日(8日)は1223件、平常の3倍にまで膨れ上がる始末。このままでは日本とオーストラリアやNZなどの国々との間に深刻な外交上の亀裂を生じる事態に発展しかねない有様。豪ヘラルド・サン紙が緊急実施した世論調査で、「日本の捕鯨船団は即刻撤退すべきだ」という回答が8割以上に上るなど、既に両国の間の溝は決定的になりつつあるという見方も。
 なぜオージーの皆さん方がここまで怒るのか、SSのような暴力的な団体に寄付を投じる気になるほど腹を立てているのか、わからないとおっしゃる?
 かいつまんで説明するとですね──
「バカなオーストコリアだぜ。ICRW8条がある限り、おめえら何も文句言えねえんだよ。ざまあみろ、ギャハハハwwww」(ウヨガキ風に)
 ──てのが捕鯨ニッポンの態度だったからですよ。
 まだ説明が足りないという方は、この次のトピックで挙げたリンク先をご参照。
 岡田外相は8日の記者会見で「生命、財産を侵す極めて危険な行為であり、断固抗議したい」とコメントしていますが、事実を言えば、「極めて危険な行為(未遂)」に対して「極めて危険な行為(既遂)」で応じたということです。
 衝突の模様については、上掲の2つのブログで詳しく解説してくれています(動画リンク付き)。
 どちらサイドの映像を見ても、アディ・ギルが追い越し船ではなく横切り船であることは明白に思えます。SSの僚船からの映像はよりはっきりしていますが。まあ、この辺は場外で言い合いっこしても仕方のないこと。豪州かNZの捜査当局に双方から証拠資料をきっちり提出してもらい、裁判の結果を待つよりないでしょう。


>調査捕鯨の実施団体、財団法人日本鯨類研究所側が公表した、第2昭南丸側から撮影したビデオでも、アディ・ギル号は第2昭南丸進行方向の右舷側にあり、昭南丸側に回避義務がある。
>一方、シーシェパード側が公表したビデオを見ると、第2昭南丸は衝突前、まるでアディ・ギル号に狙いを定めるように舳先を右旋回させて突進し、ギリギリのところで左に舵を切っている。
>相手がいくら悪名(?)高きシーシェパードでも、これはどう見ても、第2昭南丸に非がある。
>日本は武士道の国。「日の丸」を背負って「調査捕鯨」なるものを続行するというなら、耐えがたきを耐え、あくまでもフェアプレーでのぞむのが筋ではないか?
(〜机の上の空)
>ついでに、衝突の後も Ady Gil 号に放水を続けているし。
>これだと、いくら『Ady Gil 号が急停止・急加速したのが事故の原因』と言い訳しても「調査捕鯨」団側が不利になるか。
(〜flagburner's blog(仮))

 確かにね。SSのやつらはどうしようもないアホですよ。しかし、FRP製のちんまい玩具じみたアディ・ギル号と、軍艦に次ぐ堅固さを誇る鋼鉄の第二昭南丸との関係は、誰がどう見たってダンプミニワゴン。トン数の差は28倍ですからね(712トンv.s.26トン)。しかも、自分たちが落水事故で船員を失ったあまりにも痛い経験を持ちながら、大破した船上の乗員に放水する様は常軌を逸しています。鯨研もよく海外メディアにまで自分から配信できるもの。やっぱり人命に対する感覚が相当マヒしているのと違いますか? さすが極右団体的研究機関。仮に陪審員裁判だったら全員一致でアウトでしょ。別の団体の鯨肉横領裁判で最高裁が日本の司法の特異性を示してしまったり、心証を悪くする材料にはホント事欠かないし・・
 今回SSのを一気にあげ、豪州の反捕鯨感情にを点けたのは、間違いなく捕鯨サークル。そのプッツンぶりもついに頂点に達したかと思いきや、意外な隠し玉を用意していました。ボウガンの矢を発見だそうで。見た目の凶悪さも殺傷力も捕鯨砲ほどじゃないですけどね。バイオプシー用なんじゃないですか?

 ま、SSの連中なら確かに持ってきかねませんが・・。そんな物騒な代物を南極海くんだりまで持ち込める容疑者は2者のみ。SSか、あるいは捕鯨サークルの自作自演か。

 なんで「めぼしいもんがないか海上を何時間もさらっている様子」をビデオに収めなかったの? まるでポイと投げてすぐ回収したみたいじゃん。
 ここで再度大沼さんのコメントを引用。


>第2昭南丸は衝突前、まるでアディ・ギル号に狙いを定めるように舳先を右旋回させて突進し、ギリギリのところで左に舵を切っている


 何しろ、“土産”の横領・横流し・脱税問題で発言をクルクル変えた信用のまったく置けない水産官僚ですし。捕鯨サークルの中枢にいる人物も世論操作担当の“PR演出家”も、相当のキレ者ときてますからね。衝突事故も、凶器の発見も、狙ってやったんじゃないの? 
 これも、どちらが用意したものかは、裁判で判定してもらうことにしましょう。ああ、そうそう、グレン・インウッドにこっそり調達させて送らせたりしないように。豪州の皆さんにはもう顔を覚えさせとかないとね。。
 いずれにしろ、SSを一方的に非難する資格など調査捕鯨船団側にはありません。


>「ボーガンは人に対する殺傷能力がある危険なもので、乗組員の殺傷さえ辞さない態度であることが強く疑われる」(鯨研)

 ほうほう・・摂氏0度の南極海洋上で大破した小型船に向けて放水を行い、「乗組員の殺傷さえ辞さない態度」疑いの余地もなく明確に示したのは一体どなたですか?
 暴力に対して国家的暴力をもって対抗するのが平和国家の仮面を被ったこの国の本性だと、世界中に知らしめてしまいましたね、ベーコン外相岡田殿。
 それにしても、SSは相変わらずアホだね。訴える先も理由もトンチンカン。お前さんたちは指名手配されたメンバーの首を日本の警察に差し出すのが先だよ。戦術的にも公平性を担保できるからね。ポール・ワトソンはバカすぎるので期待できんかもしれんけど・・
 日本人として言いたいことはただひとつ。

 
 税金を使った人殺しはやめなさい!! ふざけるなっ!!!!
 
 と言ってしまうと、さすがに公平じゃありませんね。
 オスプレイなんて化け物は日本に要らない。ボウガンどころじゃない。
 日米両政府&土木・防衛利権を貪るヒトたちへ。
 税金を使った人殺しはやめなさい!!! 


◇昨日の続き・・

■マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」 (1/8,ころころにっき)
http://corocoro.txt-nifty.com/blog/2010/01/post-acd9.html
■捕鯨船衝突事故で回避義務を怠ったのはアディ・ギル号ではなく第二昭南丸だった (1/8,カナダde日本語)
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-1979.html
■マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」 (1/9,らち教)
http://blogs.yahoo.co.jp/avatar4649/60832780.html
■日本メディアの画一的閉鎖報道 (1/9,出版営業員ブログ)
http://blog.livedoor.jp/zin123/archives/1393257.html
■調査捕鯨VSシーシェパードより税金の使われ方を! (1/7,billabong)
http://www.mypress.jp/v2_writers/wallaby97/story/?story_id=1884636
■もう捕鯨なんてやめちゃえば (オーストラリア移住超具体的マニュアル★永住ビザから、現地生活、食べ物・料理情報満載サイト)
http://001.ausaki.com/archives/65269472.html
■マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」 (1/7,JANJAN)
http://www.janjannews.jp/archives/2188034.html (リンク切れ)
http://www.asyura2.com/10/senkyo77/msg/177.html
《捕鯨批判ブログ・リンク集》
http://www.kkneko.com/framel2.htm

 上掲記事にて、昨日の段階で日本人の誰かが必ず言っておかなくてはならないことは一通り述べたつもりです。記事をご覧の皆様には、良識ある日本人として問題認識を共有してくださるよう、重ねてお願い申し上げます。
 ・・と私がお願いするまでもなく、大勢の市民ブロガーの皆さんが意思表示をしてくださっていることを、大変頼もしく感じております。
 一番上のリンク、ころころにっきさんの記事をご一読。筆者の稚拙で読みづら〜い文章を、華麗かつ見事に要約していただいてしまいました。筆者はもう感謝感激雨アラレでございますm(_ _)m 
 おかげさまで、昨年末に拙HPの捕鯨批判ブログ・リンク集の登録サイトは200件を突破しました(当記事投稿時214件、NGO除く)。しかも、ここ数日でまたどんどん増えていっている感じです。まさに良識派の日本人ここにあり!ですニャ〜♪ 国+マスコミの大本営発表を鵜呑みにせず、自らの感性と理性で、冷静に問いかけ、常識的な回答を見出されているすべての皆様に感謝m(_ _)m
 バランス感覚の優れたブログの代表として、あっきーさんの記事をご紹介しておきます。「カナダde日本語」の美爾依さん、「らち教」のavatar4649さん、「出版営業員ブログ」のzin123さん、「billabong」のあずーるさんには記事紹介・TBをいただきました。
 flagburnerさん、marburg_aromatics_chemさん、Adarchismさんにも、常連ウォッチャーとしてマスメディアの2歩も3歩も先を行く視点を切り開いてもらっています。筆者にはマスコミ報道のチェックが関の山ですが。
 自サイトの差別発言を意図的に放置している日本捕鯨協会ではないけれど、外国人に対する差別意識に凝り固まったウヨガキブログや匿名掲示板の書き込みも陸のゴキブリ並に増殖している模様・・。これらの主張を見て私が感じるのは、「ああ・・残念ながらこの国には、相手の身になって考えることができないヒトたちがたくさんいるのだなあ・・」ということ。もうひとつ気になるのは、批判陣営の多様性とは対照的に、まるで版を押したように似たようなことばっかり書かれてるんだよねぇ・・。これが日本人の民族性だという結論に一足飛びにたどり着くことは、筆者はしません。流されやすい社会風土は情報リテラシーの不足に、コンプレックスの裏返しである異文化に対する優越感情は、歴史的に背負ってきたアイデンティティの喪失とその反動に起因するもの。一言で言えば、日本は民主主義がまだまだ未成熟な閉じた社会だということに尽きるのではないでしょうか。

 

◇お知らせ

 翻訳協力者が見つかりました。めろさん&みずさん多謝m(_ _)m
 今年のIWC年次総会までに、コンテンツの充実とともに、個人として打てる手を探っていきたいと思っています・・・

posted by カメクジラネコ at 04:10| Comment(6) | TrackBack(3) | 社会科学系
この記事へのコメント
おっしゃるとおりですね
利権の固まりであるジャスコ岡田、またまた利権の固まりである汚沢幹事長、脱税総理の問題意識の低さはあきれるばかりです。
政権交代したのに全く意味がありません。
今回のSSへの対応を主要課題として、即刻の衆院解散をして国民の意見を聞くべきですね
Posted by 石川直角 at 2010年01月10日 15:04
日本はもっとも上手く行った社会主義国と評されているという、ソースは良くわからないけれど、やけに説得力のある話を思い出しました。
この南極の無駄な争いはどっちもどっちというか、双方面子と利益で活動している上に、潰し合い以外の選択肢以外選ぶ気もない状態って、どう転んでも救いのない事態にしか進まない気がするんですが・・・。
あと、シーシェパードのあの変な船は今にして思えば、速度の為に強度を犠牲にしたような船なので、危機回避の為に極力いざこざを避けるというのが正しい使い方だったような気が・・・。
Posted by 猫玉 at 2010年01月10日 23:57
kknekoさんご本人がJanJanの市民記者カメクジラネコ氏だったとは驚きました。

第二昭南丸は抗議船を妨害するために追加された妨害船とわかるなど、
たいへん真実を知ることができました。

ベーコン岡田は早く首を切ってほしいですね。
ただ、悪の捕鯨をやめさせる正義の政治家は日本にいるんでしょうか。
グリーンピースやシーシェパードに期待するしかないと思います。

kknekoさんはグリーンピースに近いように思いますが、
僕はシーシェパードでもものたりません。
Posted by avatar4649 at 2010年01月11日 00:04
>石川直角さん

ご訪問&ご意見ありがとうございます。
ほんとに、一体何のために政権交代を支持したんだと、がっくりきますよね(--;;;;

>猫玉さん

捕鯨から干拓から巨大ダムから、政官業一体となった極限非効率なシステムを完成させたユートピア的(一部のヒトには)共産国家なのかも(^^;;
>救いのない事態
去年当りは一抹の光が見えたかに思ったんですけどね(--;; なんかいろいろ悪い方へ転びそうで・・・参りました。。
公平に見れば、SSも狙ってやった可能性は否定できないと思いますけどね。。そういう意味では本当にどうしようもない連中です。ただ、国際条約上どう判断されるかはまた別という話で。そこはICRW8条とまったく同じということですわ。

>avatar4649さん

どもですニャ〜。名前は縮めただけです(^^;; 
>ベーコン岡田は早く首を切ってほしいですね
まったく同感・・
確かに、日本国内は反反捕鯨ナショナリズムにシフトしすぎているので、もっとラディカルなスタンスに立った方がバランスは取れるのかもしれませんけどね。。ただ、捕鯨サークルは「内対外」という構図を作って世論を誘導する巧みな戦略を敷き大成功を収めましたから、残念ながら海外のNGOにあまり多くは期待できないと感じます。なんか上手い手はないもんか・・
Posted by ネコ at 2010年01月11日 02:11
YouTube - Footage from the Ady Gil, right before its ramming by the Shonan Maru No. 2
http://www.youtube.com/watch?v=GfGM-LzGKjc

第2昭南丸の方が完全にアディ・ギル号に向かって進路を変えて、
故意に狙って体当たりしているのがわかるビデオがでてきました。

アディ・ギル号に故意はまったくなかったことがはっきりわかります。

日本政府・第2昭南丸側が説明していた衝突状況が、
まったく嘘だったことわかるビデオがあって、
日本政府・第2昭南丸は、まずいことになったと内心恐れているんではないでしょうか。
Posted by avatar4649 at 2010年01月11日 21:16
>avatar4649さん

海外で司法判断が下されれば不利になるのはわかりきったことけどね・・。いかに国内世論をだまして味方につけるかに専念するかも。。“上”が広義国益と狭義国益をきちんと見定め、的確な判断を下すことが要求されますが、問題はベーコン岡田外相ですね(--;;
本日ご紹介した大沼さんのブログもぜひ読んでみてください。
Posted by ネコ at 2010年01月12日 04:49
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Operation Waltzing Matilda 5.2
Excerpt: 短い記事になるが、Ady Gil 号と第二昭南丸の衝突に関する話の映像を紹介しておく。
Weblog: flagburner's blog(仮)
Tracked: 2010-01-09 19:51

マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」
Excerpt: http://www.janjannews.jp/archives/2188034.html マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」 {{{ 国内報道はいずれも、調査捕鯨の実施主体..
Weblog: らち教
Tracked: 2010-01-11 00:07

日本鯨類研究所も仕分け作業に
Excerpt: このところ連日お知らせしているヘラルド・サン紙の「日本は捕鯨船を南極海から撤退させるべきかというアンケート」だけど、ついに、「ノー...
Weblog: カナダde日本語
Tracked: 2010-01-11 13:04