2009年12月26日

穏健捕鯨批判派が穏健反反捕鯨派に転向?

◇反反捕鯨運動の内幕をここまでわかっている人を転向させてしまうSSはある意味スゴイ

■from911/USAレポート/冷泉彰彦・第440回 「クールジャパンの悲劇と再生」 (12/19,JMM)
http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report3_1875.html
■第41回 「追悼と熱狂の情念」 (6/1/'02)
http://www.jmm.co.jp/dynamic/report/report3_337.html
■第42回 「恐怖のたし算と引き算」 (6/8/'02)
http://www.jmm.co.jp/dynamic/report/report3_338.html

 7年前(IWC下関総会時)の過去2回は、「構造的問題」をある程度理解していたはずの作家の冷泉氏でしたが、米国在住だけあってSSの"Whale Wars"のインパクトが強すぎたんでしょうねぇ・・・
 やっぱりSSの連中は百害あって一利なし(怒)
 さて、冷泉殿。

 総論としていちいちごもっともな部分もあるのですが、捕鯨におけるモダンとポストモダン〜日本の中のモダンとポストモダンの切り分けが不十分に感じました。さらに一段高所からこの問題をながめるなら、シーシェパードの「鯨戦争」に代表されるメディアを駆使した商業主義的反捕鯨運動も、同様にNHKや産経新聞などのマスコミを動員した捕鯨サークル(鯨研・共同船舶・水産庁)主導のナショナリスティックな反反捕鯨運動も、ともに同根にすぎず、双方とも自己検証能力のなさを露呈しているのみではありませんか?
 昨今、日本の巷で叫ばれている「エコ」は、多分にイメージ先行であり、省エネ技術で先端を行く部分があったとしても、環境負荷低減を志向する社会基盤の整った、成熟したエコ先進国とは到底言いがたいのが実情です。コンビニ・自販機に代表される浪費大国、食品廃棄大国、リサイクル後進国、野生動物保護後進国、持続的漁業後進国、それが日本の現状です。「もののけ姫」や「ナウシカ」に描かれる世界は、対極をなす現実の日本に対する反動願望にすぎません。
 近代主義による伝統文化の侵蝕が、他の西欧諸国と比べても一段と激しいこの日本で、“外からの刺激”に対してのみ過剰に反応して“聖域”として祀り上げられるブンカとはこれいかに? さらに、「機能に偏りすぎた食文化(モダン)への反省」が最も出来ていないのは、食品廃棄大国(米国を抜いて世界一)にしてフードマイレージ大国(同じく世界一)となってしまった日本に他ならないのではありませんか?
 野生動物の価値はひとえに食べるのみにあらず、とりわけ南極・公海の自然が備える多様な価値を否定して、独善的に調査という名の捕鯨を強行しているのが日本であります。日本が捕獲を強行している南半球のクロミンククジラは、大手捕鯨企業が高々40年前に乱獲の代償として捕り始めたにすぎませんが、オーストラリアの二百海里内を回遊する野生動物でもあります。日本は世界110カ国が加盟するボン条約に加盟せず、国際法をすり抜ける非常に姑息なやり方でこれを行っているわけです。それはもはや文化多元主義とは相容れない、戦前の拡張主義を彷彿とさせる独善的な一国至上主義以外の何物でもありません。
 「クールジャパン」礼賛は、行き過ぎたモダニズムに対する反省に基づく転換期を迎えた欧米の反応といえ、そこにイメージと実態のあまりにかけ離れた日本、モダニズムの先端を突っ走り未だに反省の色がないこの国の「悲劇」があるのは、ご指摘のとおりです。
 成長を前提としない持続可能なシステム=「ポストモダン」の代表だったアイヌの伝統捕鯨は、日本が自ら潰してしまいました。明治期に起業家が海外の技術と資本を導入して始めた近代捕鯨は、自然を不可避的に収奪する乱獲漁業の最たるものであったことは歴史が証明しています。大手企業の南氷洋母船式捕鯨の直接の後継にして、多額の国庫補助金で赤字を埋め合わせるスタイルへと変貌を遂げた国策調査捕鯨こそは、「失敗したモダン」の象徴に他ならないでしょう。
 今回の記事は、西洋文化圏の人々であれば一読に値しましょうが、日本語圏の人々は第42回と第43回を再読し、発想を切り替えることから始めない限り、「再生」への道のりは遠いように思えますが。
 冷泉氏並びに訪問者の皆様には、以下のサイトもご参照いただきたいもんです。ガセネタ大好き鯨研のオトモダチ新聞ウヨ産経や同社のウヨ記者ブログを読んでジンマシンが出た方は、こちらで口直しを!

−調査捕鯨は即刻中止すべし日本の評判を落とし、農林水産省と反捕鯨団体の懐を潤すだけ (12/24,JBPRESS)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2417
−調査捕鯨に関する記事 (12/25,IKAN)
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-f09d.html

 

◇捕鯨関連ブログご紹介

■産経新聞の捕鯨報道とは日本を被害者として描くことなのか? (12/23,ドイツ語好きのメモ)
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/folder/1500494.html

 エコ度ゼロ、エゴ度100ウヨ産経記事の背景を丁寧に解説してくれています。低温の環境で分解速度が遅い南極海でいったん流出事故が起これば、脆弱な生態系に甚大な被害を及ぼすという当たり前の文脈を理解していない四流メディアですね(--;; 人命まで失われた火災事故も引き起こしているオンボロ母船日新丸が非難の矛先が向けられるのは当然。ペンギンやクジラの糞などを食べているデトリタス食の底生生物群に対し、北半球の飽食大国捕鯨ニッポンが二重のリスクをもたらしているといえ、NZや豪州が怒るのも至極ごもっとも。日本人の税金で無理クリ回している非持続的産業はとっとと潰し、厳格な規制のもとで南半球諸国主導の持続的エコツーリズムを模索すべし。

■Peter Garrett's hypocracy? (12/25,flagburner's blog(仮))
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/336c07d60b49411aefc57a20f2784c62

 豪ギャレット環境相とSSワトソン船長のやりとりだそうです・・。ICJ提訴の問題点については、前回拙ブログで指摘。豪州政府・政治家の実効性に欠ける対応については、上掲米本氏の小論をご参照。「日本に資源を頼っている」という点は、筆者もflagburnerと同感で、あまりあてにできるこっちゃありませんね。。豪州にとって、市場としての重要性はすでに中国の方が高いのも事実ですが。より効果的な外交カードは安全保障。米国と連携して譲歩を引き出すことです。本気で外交的解決を目指すなら。

posted by カメクジラネコ at 02:29| Comment(2) | TrackBack(1) | 社会科学系
この記事へのコメント
記事の紹介、ありがとうございます。

産経の外信コラムは逆に、「産経の深謀遠慮」と言えますね。
つまり、船舶航行規制の話で、反・反捕鯨感情を増幅させるだけにとどまらず、「新捕鯨母船建造の世論作り」ということですね。

それにしても、批判対象だからといっても、正確な情報を伝えない態度は危険ですね。まあ、正確に伝えても、受け手が別の話に変えてしまうこともありますが。SSが捕鯨船団に投げつけた悪臭物質は「酪酸」ですが、「硫酸」と勘違い? している人もいますし。
Posted by marburg_aromatics_chem at 2009年12月27日 00:08
>marburg_aromatics_chemさん
サンケイといや、カリスマブロガーきっこさんとこでこぉんな記事もありましたニャ〜。。
【踊らされてる人たちへ】
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2009/12/post-67e8.html
【「産経新聞の記事は創作」と岡田外相】
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2009/12/post-039a.html
まさに三流軽薄新聞。。意図がバレバレで、「深謀遠慮」というか「浅謀近慮」ですね・・
これがまたウヨガキ君らの間で「耳の遠い老人の伝言ゲーム」と化していくんだからたまらんですわい(--;;
Posted by ネコ at 2009年12月27日 01:35
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Excerpt: 日本政府が行ってる「調査捕鯨」への抗議を続ける Sea Shepherd の総帥こと Paul Watson 船長が、数日前に Peter Garrett 豪環境相に対し公開書簡を送っていたとか。 ..
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