◇オリンピック落選とクジラ
■東京五輪でないと地球滅亡!?石原節さく裂 (10/2,日刊スポーツ)
http://news.goo.ne.jp/article/nikkan/sports/p-sp-tp0-091002-0004.html
■敗因「政治的なもの」=東京招致委が帰国−16年五輪 (10/4,時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2009100400090
残念無念・・と思っている方が果たしてどれだけいるのか甚だ疑問だった、今回の2016年夏季五輪の東京落選。筆者の周辺は「ホッとした」という声が多数でした。もともと国民・都民の支持の低さで他の3候補とはかけ離れていた東京、焦ったJOCが後になって第三者の調査とはまったく違う支持率の数字を弾き出してみせましたが、捕鯨ヨイショお手盛り世論調査と同じく胡散臭さをバリバリに感じましたしね・・。15歳の少女がサプライズってのも、返って演出臭をプンプン感じます。国家的・組織的宣伝行為にこどもを動員するやり方がヤラシイんだよね。。選手だって、アウェイじゃ勝てないってんじゃ情けないと思わない?
コペンハーゲンでの鳩山首相の演説は上出来だったと思います。新鮮味の薄れてきたオバマ米大統領より得点が高かったのも道理でしょう。最下位になったら一番悶着になりそうな国に配慮しただけかもしんないけど。。ただ問題は、実態が伴っていなかったこと。
東京は、西欧・北欧の都市やサクラメントなどの米西海岸の都市のように、先進的な環境政策を掲げる都市とは、残念ながらいえません。高速道路の建設に待ったをかけたり、厳しい環境配慮をビルの建築基準に盛り込んだり、市街地から自動車を締め出して自転車と公共交通のみにしたりといった施策があるでもなし。住民が大切に守ってきた雑木林をマンション業者に便宜を図って切り売りしまくり、圏央道トンネルで山ぶち抜いて貴重な高尾の自然を傷つけ、野鳥を大量に駆除しておきながら、お祭りイベントでしかない植樹でごまかそうったって無理というもの。電気を湯水のように使い、膨大な食物を日々ゴミに変えていく浪費の象徴・自販機とコンビニで埋め尽くされた街を、他の都市にお手本として見習ってほしいとは思いません。しかも、「あまり“環境”の看板を前面に打ち出すと、地球温暖化対策に後ろ向きな中進国の機嫌を損ねる」なんて、どっちつかずの中途半端な姿勢では高評価につながるはずもなし。
それにしても、鳩山さんもお人がよろしい。「この人が首相になったら日本がダメになる」なんて平然とのたまっていた自民べったりのタカ派知事に頭を下げられたからといって、貴重な時間を割いて日程を組むことなどなかったでしょうに。もちろん、「行かない」と言えばブータラ文句を言われるのは判りきったことですけどね。だからといって、最初から負けると判っていても、あなたの所為にされるに決まってるじゃないですか。実際、鯨研のオトモダチ右翼新聞産経は「民主党の支援が遅かった所為だ」という批判の声をわざわざ報道。大政翼賛紙らしいといえばそれまでですが。
その鳩山首相を差し置いて自らトリを務め、自分のスピーチを絶賛した石原知事の感覚には相変わらずついていけません。上掲リンクのスポーツ紙記事によれば、決定前夜の懇親会で「16年が人類にとって最後の五輪になるかもしれない」と吠えたとか。4年置きがいきなり百年間隔にでもなったんですか? 地球温暖化トンデモ懐疑論の逆をいくトンデモな主張で、IPCCはじめ内外で気候変動問題にマジメに取り組んでいる研究者には甚だ迷惑な話。いずれにせよ、「だから東京にしろ」と脅迫めいた言辞を吐いてちゃ、さすがにどこの国の委員もそっぽを向くでしょう。スピーチの中でも、前回の東京五輪で発展したからどうのこうのと、世界のことがすっぽり頭から抜け落ちた自画自賛・我田引水ぶりを強烈に印象付けたご様子。鳩山演説を台無しにし、一番足を引っ張ったのは石原氏自身でしょ。
帰ってからも、勝った相手のオバマ氏をこき降ろしたり、「昔の自民党総裁選のような政治的な動きがあった」とかグチャグチャ愚痴ったり。確かに、IOCがどこまで脱サマランチ・サロンを果たせたのか疑問ではありますし(元会長本人いるし)、どこのテレビ局でも批判が陰を潜めているのは奇妙ですよ(“ドル箱”だから叩けないんだろうけど)。でも、そこで「力学を研究しないと」なんて本音口にしちゃオシマイでしょうに(--;;
もし氏の言うとおり、IOCが昔の自民党そっくりなんだったら、石原氏&JOCは当然勝てたでしょーしね。。。彼にとって今回の結果は“敗戦”だとのこと。ただのスポーツイベントなのに。彼も明らかに《自己中ウヨ症候群》にすっかり冒されちゃっていますね。あなたの所為で、日本国民・東京都民の「民度が低い」と思われちゃったんじゃないの?
もう1回やったんだし、世界の国の主要都市が一巡するまで日本で2回もやらなくたって別にいいじゃん。大半の日本人はそう思っていらっしゃるはずです。よね? “景気回復効果”とやらの専ら土建屋にオイシイ“甘い汁”の話も、自分たちのことばかりしか考えていない何よりの証拠。南米初開催で、幾度も経済危機に見舞われながらG20の一角として頭角を表し、東京五輪時の日本のようにいま波に乗っているところのブラジル・リオを、素直に祝ってあげればいいでしょ。譲ってあげる代わりに、同国には環境負荷の少ない持続的成長路線を確約してもらい、日本が培った技術的なノウハウをリオ五輪で大いに活用してもらえばいいんです。それが成熟した国家・国民というもの。日本で支持率が低かったのは、むしろ国民の成熟度が高かったからで、音頭をとって無駄に税金を食いつぶした政治家だけが、未だに時代遅れのまま取り残されているってことですよ。
“次”については「民意に委ねる」と、弱気の声も聞かれる石原氏ですが、都民そっちのけの巨額の招致活動費や用地の取扱について、責任をとって辞職する考えはないご様子。「いずれ東京に限らずどこかでやりたい」ってどういう意味だろね(--;; ほんっとに懲りないヒトです。
そういや、任期途中で職をホッポリ出したお魚くん似の前横浜市長中田宏氏も、大赤字の開国博の責任を追及されているそうですが、保守系の自治体首長ってなんだかみぃんな似たタイプで似たパターンを辿ってるよね。。グッズの収益を当てにしてるらしいけど、閉幕後に売れるわけあるかいな。ついでに言うと、環境に配慮とかいってヘンな空調設備入れた割に、もうだいぶ前からウミガメやクジラなど海洋生物に有害なのでやめろとさんざん言われ自粛もされてきたはずの風船飛ばしイベントを閉幕式でやってしまったそうな。。いかにも捕鯨ヨイショ派で環境問題に無理解な中田氏の主導イベントらしいといえますが、魚やクジラたちの味方・元祖お魚くんだったら怒っちゃうよ。
さて。今回の五輪ネタは、「別に捕鯨とは直接関係ないじゃないか」と、皆さん思われるかもしれませんね。しかし、“環境”を看板に掲げた東京五輪招致の足を大きく引っ張った“戦犯”は,1人石原知事だけではなかったりします。7月にflagburnerさんが面白い記事を拾ってくれました。
■Tokyo 2016 is not "Green Olympic" (7/17,flagburner's blog)
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/52126dd3a0350abff196f097fd46d84d
そりゃね、前環境相ほかオージーの皆さんにとってみれば、南半球のかけがえのない野生動物を脅かす飽食三昧の北半球の国が「環境にヤサシイ」だなんてエコロジーならぬエゴロジー丸出しな主張を全開にしてりゃ、南大西洋をサンクチュアリにという提案をしている南米の候補の方を応援するでしょうよ。IOCの中では評価委員の1人、パラリンピック委員会代表の方が豪州出身ですし、投票権のある100名の中にもいらしたでしょう。鳩山首相演説の際、「環境」がただの掛け声でないことを世界に示すために調査捕鯨撤退を表明すれば、豪州以外も含め、票が動いたことは間違いなかったところ。それこそ本当にびっくり仰天のサプライズで、会場が満場の拍手で包まれたことでしょうに・・・。
“次”を目指して、環境立国として本当に世界に対して胸を張れるよう、今から表明したって遅くはないけれど・・
もうひとつ。捕鯨に多少関心がある方なら、この言葉を耳にされたことがあるでしょう。そう、捕鯨オリンピック。「紅海だより」のNAOKIさんが見事な解説を加えてくれています。過去の拙記事と合わせてご参照。
−捕鯨オリンピック (8/22,紅海だより)
http://inlinedive.seesaa.net/article/126206307.html
−五輪とクジラ (拙ブログ)
http://kkneko.sblo.jp/article/17766776.html
−五輪閉幕とクジラ (〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/18421107.html
−人権批判批判 (〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/13853677.html
−土俵から南極の海まで不祥事まみれの捕鯨ニッポン(その2) (〃)
htp://kkneko.sblo.jp/article/19203179.html
−やる夫で学ぶ近代捕鯨史−番外編− (拙HP)
http://www.kkneko.com/aa1.htm
オマケ:
−地球温暖化市民の本音|地球アゴラ (10/4 22:10-,NHK BS1)
http://www.nhk.or.jp/agora/
日本とは雲泥の差があるブラジル・クリチバの市民の高い環境意識と実践が取り上げられていました。さすがブラジル! 東京が勝てるわけなし。
ついでに台湾素食バンザイだニャ〜♪ インチキエコの鯨肉食ブンカは立つ瀬なし。
◇ギニア軍事クーデターと捕鯨票買い水産援助
■軍事政権への抗議デモに発砲、87人死亡 ギニア (9/29,AFP)
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2647757/4684374
■ギニア、軍による新たな発砲で3人が死亡 負傷者の拉致も (9/30,〃)
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2647779/4691650
■ギニア軍事政権、デモ隊に発砲…死傷者多数 (9/30,読売)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090930-00000852-yom-int (リンク切れ)
五輪の話の続きですが、今回の開催地決定に投票資格のある百名余りのIOC委員の中で、投票を棄権した方がいました。その1人はギニア出身の方。
第三世界の動向に関心のある方であればもうお気づきでしょう。上掲リンク報道のとおり、ギニアはいまたいへんなことになっているのです。同国では昨年末のクーデターで軍事政権が樹立、今回大統領の居座りに抗議した市民の抗議デモを軍が鎮圧、多数の死傷者を出しているのです。軍による殺人や暴行が横行しているとの情報も。
日本では外交ベタ記事扱いですが、旧宗主国で同国への最大援助国でもあるフランスではメディアが大々的に取り上げ、政府は「暴力による弾圧」として非難し、ギニアとの軍事協力関係を停止したとのこと。非民主的な軍事政権による市民の弾圧・人権侵害はあってはならないことで、当然の対応といえます。
日本の外務省もこの件に関して以下の声明を発表しました。国際社会と共同歩調をとる姿勢は評価できます。
■ギニアにおける暫定軍事「政府」への反対運動に対する軍及び治安部隊による武力制圧について (9/30,外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/21/dga_0930.html
が・・問題が残っています。カネ、つまり援助について。
ギニアに対しては、ちょうど軍事クーデターの直前に当たる昨年9月15日に援助に関する政府間の公文交換が行われました。中味はブルビネ零細漁港改善計画。これ、いわゆる捕鯨票買い水産ODAなんですね。
実は、ギニアは「西アフリカでの日本の代弁者」と外務省が持ち上げる捕鯨ニッポン支持連合のリーダー的存在。「IWCに加盟して日本を応援したら、こぉんなにセンセイからご褒美がもらえるんですよ」という“模範生”の役割を担っている国。そのため、ギニアに対して振る舞われているODA額は抜きん出て多く、1998年から2008年までの11年間に6回分計34億円もの金額が拠出されています。これは同じく熱心な捕鯨サポーターでモロッコ(親分ニッポンに輸出するためにタコを乱獲した持続的漁業の劣等生ですが・・)の44億円に次いで第2位。昨年のブルビネ漁港の案件は3億2100万円、前年の2007年にもやはり同じ事業で4億4800万円が支払われています。実際には私たちの税金は、たいてい事業を引き受ける捕鯨ヨイショ外郭団体にして天下り水産官僚の受け入れ先である海外水産コンサルタンツ協会の会員コンサル・ゼネコン企業の懐に入るんですけどね・・。捕鯨擁護運動を熱心に行っている同協会に関しては、民主党牧山参院議員による委員会質疑の中で、きわめてずさんで不明朗な会計処理を行っていたことが発覚しています。
援助対象国の選定に当たっては、日本との漁業分野における友好関係を考慮している。
これは、ODA白書に記載されている、日本のODA(政府開発援助)の中でも例のない水産ODAの突出した異常性を示す文言。本来水産ODAは、貧困と技術・知識の不足のために本当に困っている開発途上国の漁民のために供じられるべきもの。漁業の遅れた国ではなく、IWCで味方になるという便宜と引き換えに行われる著しく偏向した日本の水産ODAは、開発援助の精神に真っ向から反するものです。OECDのDAC委員会が、水産分野への援助不足を指摘しているのは、そのような役立たずのニセモノの捕鯨援助ではなく、本来投じられるべき本物の水産ODAが全然足りてないという意味。匿名掲示板で吠えているおバカなウヨガキ君たちは、そこのところを何もわかっていないようですが・・。
ギニアへの援助額で1位と2位の米・仏ですが(2006年)、これはアフリカ重視の表れであると同時に旧植民地国に対する旧宗主国としての責任に基づくもの。公平・公正・被援助国の主体性の原則に逆行する化石じみた日本の捕鯨ODAとはまったくの別物。今回のギニアの非民主的な動きに対し、他のDAC諸国は軍事政権への圧力の一環として援助の縮小・停止に向けて動くことでしょう。そして問題は、ODAデータブックの記述(担当者はほぼ農水出向者に間違いなし・・)からもわかるとおり、きわめて政治的な動機で決定されている同国への援助に関して、先進各国と協調して働きかけを行うことが日本政府にできるかどうかです。水産ODAに限っていえば、ただでさえ米・仏・国際機関等との連携は取れていませんでしたからね。。
心配なのは、これまでの捕鯨票買い援助の拠出が、2004年のコートジボワール、2005年のトーゴのケースのように、軍事クーデターや市民の弾圧・虐殺の真っ只中にある国に対して平然と決められていた点。コートジボワールに関しては、捕鯨ヨイショ愛誤獣医の自民党前衆院議員山際大志郎氏が現地入りし、同国市民も川崎市民もそっちのけで話を進めたことを意気揚々とブログに書いていたくらいですからね・・。
岡田外相のことですから、自民党の族議員のような愚策を踏襲することはよもやされないと思いますし、きっと懸命なご判断を下されるものと信じております。が、今回の一件のみならず、脱官僚(自民政治家と懇ろでも天下り利権とは比較的縁のない外務省ですが、農水出向組は一部の奇特な方除いてバリバリ利権絡みで動いてるヒトたちですから・・)・無駄遣いの総点検、説明責任と透明性の観点から、世界と日本のためにならない捕鯨援助の徹底見直しをぜひ敢行していただきたいと願ってやみません。
参考リンク:
−ODAで買うクジラ票・非捕鯨国をご接待 (JANJAN)
http://janjan.voicejapan.org/government/0905/0905140329/1.php
−捕鯨推進は日本の外交プライオリティbP!? (拙ブログ)
http://www.kkneko.com/oda1.htm