2009年09月09日

捕鯨予算をふんだくるアコギな水産官僚たち/捕鯨ニッポンの新しい国のカタチ

◇捕鯨予算をふんだくるアコギな水産官僚たち

■平成22年度 農林水産予算概算要求の概要・U-7 水産業の体質強化と活力ある漁村の確立(p5)
http://www.maff.go.jp/j/budget/2010_2/pdf/02_7.pdf (リンク切れ)
■平成21年度 農林水産予算概算要求の概要・X 将来にわたって持続可能な力強い水産業の確立(p9)
http://www.maff.go.jp/j/budget/2009/pdf/2-5.pdf
■平成20年度 第1次農林水産関係補正予算の概要(p9)
http://www.maff.go.jp/j/budget/2009/pdf/3_kanren.pdf

 MさんとSさんに情報提供をいただきましたが(多謝m(_ _)m)、来年度の農水省の概算要求の中に、今までになかった調査捕鯨関連の費目が新たに追加。
 「日本沿岸域鯨類調査事業」2億9100万円とあります。一方、南極海及び北西太平洋で行われてきた従来の調査捕鯨については費目が見当たりません。
 これはひょっとして、南極なんぞにわざわざ出かけるのをやめにして、沿岸で慎ましくやる方針に切り替えた!? 政権も変わるし。今年で鯨研との5年間の随契が切れるとの話も聞いてるし。内容的にも、これで絶滅が危惧されているミンククジラの日本海側系統群(J-ストック)などの目視調査に当てられるのであれば、かなり画期的……と思いたいところですが、水産庁はJARPAU&JARPNUについてもこれまでどおり概算要求しているとのこと。
 農水省の概算資料は概要にすぎず、費目が掲載されているのは目玉のみ。これまでにも調査捕鯨補助金は記載されてたりされてなかったりしましたが・・。要するに、従来JARPNU内で行われてきた、小型沿岸捕鯨事業者に委託している釧路・三陸沖の沿岸調査捕鯨をJARPNUと別立てにし、3億円を上乗せしたということ。大赤字の鯨研&共同船舶は、沿岸調査の支出が切り離される分、国庫支出による穴埋めが増額されることになるので、当然助かるわけです。3億のうちどれだけ小型沿岸事業者に渡るのかも気になるところ。
 水産庁側が継続要求している概算額がどっちゃり増額された昨年と同じだとすると、4億400万円+調査円滑化対策(実質シーシェパード対策)7億9500万円でしめて約12億円
 これについては、一昨年の補正で一度3億円を要求し、海保の職員を乗せたりしましたが、警告弾くらいの装備でなんで3億円もかかるのかは、保安上の理由とやらで支出明細も明らかにされないため。LRADも1台4、5百万から高いもので2千万円程度ということですが、それでなんで8億円もかかるのかはやはり。設置費や研修代が本体より高いはずもないし、母船+キャッチャー5隻でまさか40台も買ってたんですか?? 採集船3隻分で1億円もかからないはずで、会計検査院の立場からすればとんでもない無駄遣いといえますが・・。
 このまま補助金をどんどん積み増していって、SSの新造した宇宙船じみたスーパーシップ対策とでも銘打ち、LRADを別機種に買い換えるか、さらに凶悪な新兵器を備える気なのでしょうか? 森下参事官はじめ、水産官僚のあの手この手の補助金獲得スキルには脱帽するほかありません。
 捕鯨関連の補助金はこれらばかりではありません。重油高騰対策費として増額分の半額を政府が補填することになりましたが、共同船舶の増額分が仮に4億円だとすれば2億円が国庫負担に。また、先日取り上げたIMOの規制によって、C重油を燃料として使用している調査母船日新丸の航行は、今後国際条約違反になることが明らかになりましたが、このA重油への燃料切り替えのためのコストもおそらく補助金で負担するつもりなのでしょう。
 調査捕鯨とその実施主体者である鯨研/共同船舶(鯨研が間接的に用船契約する相手ですが所有株を寄付した一蓮托生の関係・・)に対しては、他にも国際目視調査(SOWER)の委託費4億円がありますが、RMPで本来必要とされているより科学的正当性の高いこっちの調査は「もうやめたい」という声が挙がっている模様。
 それにしても、小松正之氏が主導権を握っていた増産時代もさることながら、ジゾクテキリヨウ教原理主義者森下丈二氏も実にたいしたたまげた強硬路線です。
 国民からすれば、「もういい加減にして!」って言いたいですけどね・・・

参考リンク:
−捕鯨問題総ざらい・補助金漬けの調査捕鯨、税金返せ!! (拙ブログリンク集)
http://kkneko.sblo.jp/article/29976279.html

 

◇捕鯨ニッポンは“チェンジ”できるか?──この国の政治の新しいカタチ

 日本も米国にならい“チェンジ”を選択した総選挙からはや一週間。いまごろ“中央”はてんやわんやでしょうが、国民が“チェンジ”を肌で実感できるようになるまでには、まだだいぶ時間がかかるでしょう。いずれにしろ、来年の参院選、あるいは4年後の次回の総選挙までには、目で見える形で結果を示す義務が、国民から300議席超もの信託を受けた民主党と新たな連立与党のパートナーとなる社民党・国民新党にはあるわけです。
 もっとも、その過程ではさまざまな紆余曲折も予想されるところ。自公旧政権によりすがり、見返りと引き換えに集票マシンの役柄を請け負ってきたヒトたちが、手のひらを返したように、選挙中民主党が掲げたマニフェストなどまるで目に入らぬかのように、早くも新政権に対して言いたい放題注文をつけているようです。あたかも、「自分たちの味方をするのが当たり前だ」と思っているかのように。
 “チェンジ”の最大の眼目は、こうした旧態依然とした陳情型・利益誘導型の政治からいかに脱却できるかです。政治家には献金、また官僚には天下りの受け皿を用意することで、私たち国民の財布から広くかき集められた税金を、特定の業界向けに不公平・不公正・非効率に再分配していく──それが、これまでのこの国の政治のカタチであり、その歪みが長年にわたって蓄積された結果、いまさまざまな問題となって噴出してきているわけです。各業界団体と利益を代弁するお偉い議員先生に代わり、メディアや市民の目を欺く実に巧妙にできたシステムを築きあげ、自らもその恩恵に浴してきたのが、霞ヶ関のエリート官僚たちに他なりません。
 前回小泉劇場で勝利した自民党は、子息に地盤を禅譲して引退した元首相の言葉どおり、党自体がガタガタにブッ壊れましたが、民主党がブッ壊すべきは、日本をダメにした元凶であるこの巨大にしていびつな政産官癒着の構図。多少荒療治になってもやり通してもらわなくては。十年前の政権交代時には、官僚にすっかり丸め込まれたおかげで肝腎なところが何も変わらず、国民の失望を買いました。今回、民主党が二の轍を踏んで票を投じた有権者を裏切ることは許されません。自民党に対するのとそっくり同じ要求を平気で突きつけるヒトたちに折れてはいけません。企業・団体献金廃止、天下り・渡り禁止を公約として掲げている以上、言い寄ってくるヒトたちに惑わされることなく、一票を投じた選挙民との約束を厳格に守り通してもらいたいもの。さもなければ、「もはや誰も任せられる人がいない」政治に対する国民の幻滅は頂点に達し、国そのものがブッ壊れることになりかねません。抵抗勢力は依然として侮れないため、不安も残ります。当時と同じメンツも含まれているし・・・
 筆者自身は、政権与党としての失政・失策に対する重大な責任、マニフェストを比較したうえで「総論として若干マシ」という判断に基づき選挙権を行使させていただきましたが、それでも既得権益に固執して新政権に変節を迫る勢力のように、マニフェストにも真っ向から反するようなあまり無体な要求を押し付けるつもりはありません。政権の座に就いた以上、これまでと同様に国の方針・施策についてチェックしていくのが市民の役目でしょう。そのうえで、いくつか思うところを述べておきたいと思います。
 一つは、民主党の看板政策「脱官僚・政治主導」について。これはビシッと貫いてをすっかり出しきってもらわにゃ困るわけですが、大きな不安要素でもあります。政権の余命も残すところ一週間となった麻生首相は、選挙前に「優秀な官僚にヤル気を出させるにはどうすればいいのか」と、国民の目を気にして中途半端な天下り規制を謳いつつ、彼らを庇う矛盾した姿勢を示してきました。
 では、擁護派の言うところの「優秀さ」とは何でしょうか? 優秀な生え抜きのエリートたちが支えてきたはずの、国の根幹をなすシステムが綻び、大きく揺らいでいるのは一体どうしたことでしょうか?
 考えられる答えは3つ、@官僚は実は優秀ではなく無能だ。A官僚はその優秀さを仕事ではなくまったく別の道に注ぎこんでいる。B官僚の優秀さが殺されてしまっている。
 このうちBは、官僚の能力を活かせないシステムを作り上げたのも、それを作り直せないのも、やっぱり官僚ということになるので、答えは@かAかの二通りに絞られます。そして、皆さんもおわかりのとおり、実際の答えは100%Aですね(@に該当するヒトも何人かいるかもしんないけど)。いかにしてもっともらしい名目をつけて他省庁やセクションより多くの予算を分捕ってくるか、そしてそれを単年度できっちり消化できたように見せかけるか。そして、将来の天下り先に多額の補助金が渡りホクホクになるような仕組みをひねくりだしてなおかつうまく国民の目から誤魔化すにはどんな手があるか。ETCのシステム導入、道路の空洞検査、外国人介護労働者斡旋、優良牛の人工繁殖事業独占、調査捕鯨、水産ODA、etc.etc. そうした手練手管のために、彼ら上級官僚の卓越した才能がフルに発揮されてきたわけです。
 先日、農水省の出先機関地方農政局の職員が接待と引き換えにザルに等しい検査で業者を見逃してきた汚染米不祥事の責任を取ったはずの白須元事務次官は、年収1800万円の大日本水産会の会長職に駆け込みで天下ったことが報道されました。自民党の支持基盤の一つでもある大日本水産会は、歴代の会長等役員が元捕鯨会社の大手水産業界の取締役と農水官僚を兼任もしくは渡り歩き、沿岸の零細漁民そっちのけで遠洋捕鯨を擁護する国民運動を展開してきた大組織。小さい公益法人は会長クラスでも1千万届かなかったりするのに、たいした高額報酬です。二重に受け取る退職金と合わせたら、どれだけの金額に上るでしょうか? 白須氏はそれほどまでに“優秀”なんですかね? じゃあ、汚染米事件を始めとする一連の不祥事は一体何だったの? 前任者たちの所為だとすれば、歴代の事務次官が揃って無能ということかもしれませんが、それにしたって着任後に見抜いて解決させられなきゃ同じこと。大体、白須氏が昇格したのだって、前任の小林氏が農業共済の補助金不正受給問題で引責辞任したから・・。
 要するに、官僚の優秀さとはまさにその程度のものだということです。その能力を私利私欲のためにつぎ込む優秀な官僚より、たとえ学歴等で劣っていたとしても国民のためになることを真剣に考えてくれる真面目で誠実な公務員にちゃんとした仕事をしてもらった方が、間違いなく国民はをしないで済みます。実際には霞ヶ関にも報奨や昇進と無関係に過労死しかねないほど身を粉にして働いてくれている職員の方もいるわけですが、そういう損な生き方をしている方たちが政策決定に大きく関与することは、残念ながらないのが実情のようで・・・
 そうは言っても、国家公務員といえどニンゲンですし、無私の精神を要求してばかりでは確かに埒が開かないでしょう。こっそり自分たちだけ甘い汁を吸おうとする悪知恵ばかり働く官僚ではなく、きちっと仕事をする官僚のモチベーションを維持する簡単な方法があります。企業のやり方をそのまま真似すればいいわけです。いわゆる成果主義。投資家に代わって判断するのは国民。もっとも、企業の場合収益以外の指標も含め投資家にとっては株の配当がすべてなので、そう単純な話ではありませんが。そこは、有権者が選挙で国会議員を選び、選ばれた議員から成る国会が法律・政策を決定し、その政策に沿って官僚・公務員が各種行政を担い、国民に具体的な成果を還元するという形にすればよいでしょう。単に本来あるべき姿に戻せというだけのこと。そして、仕事の量と質が優れた官僚には相応のギャラを支払えばいいわけです。“できる官僚”が多少高額の報酬を受け取ったとしても、納税者が納得できさえすれば文句はありません。上級官僚の報酬の目安とするべき目標設定と到達度は、国会・閣僚が設定しきちんと公開すればよし。企業ではそれこそ四半期毎の業績がマネジメントから下っ端までサラリーに直結しますが、官僚の仕事の出来を測る際には年度毎、あるいは多少長めに衆議員任期半分の2年ないし4年くらい見る必要はあるでしょう。肝腎なのは、上級官僚ほど賞罰のメリハリをはっきりさせ、国民に果実をもたらせば相応の高い年収を約束する代わり、将来予測を見誤って税金の無駄遣いにつながるろくでもない公共事業を興した場合は減給・降格といった形できっちりと責任を取らせることです。それこそ米国のように、政権交代と同時にトップクラスは入れ替わりで失職、後は勝手にしろというのでもかまわんでしょう。これは企業であれば当たり前の話のはず。
 そう、何よりも官僚たちが自分たちの仕事に対して責任を取らずに済んできたことこそが最大の問題でした。一度既成事実を作ってしまえばこっちのもの、市民が司法裁判で訴えようとしても、その理屈でもってほとんど不利な立場に立たされてきたわけです。行政の責任の所在が明確になれば、議員に裏で入れ知恵をして操作しようとする官僚は次の選挙で一緒に追い落とされる羽目になるわけです。政策に通じている自信があり志を持つ者であれば、それこそ議員に転じて有権者の審判を受け立法府に携わるのがスジ。反官僚ではありません。脱官僚というのもちょっと違うでしょう。“悪いエリート官僚”を排除して、国民を向いた仕事のできる“善いエリート官僚”を優遇する仕組みが必要なのです。民主党の政権運営次第では、国の骨組みを大きく変える抜本的な変革もあながち夢ではない──そう思いたいところ。今の日本は、不摂生が祟り重度の骨粗しょう症が進行して寝たきり寸前の状態。身体の健康をろくに考えず甘いもんばっかり要求する頭でっかちの脳ミソ(霞ヶ関)を入れ替え、肥えまくって全身に負担をかけるだけの不健全なメタボ内臓脂肪(捕鯨やゼネコンなどの各種利権業界)を容赦なく徹底的にスリム化し、細胞(国民)の一つ一つにまで血液を行き渡らせる、そんな政治をぜひ心がけていただきたいものです。
 上記に深く関係することですが、各党のマニフェスト上の表記やメディアの議論では抜け落ちて見えることがもう一点。本気で総理になる気でいたらしいお笑い出身知事、幼稚園児たちの心の傷よりカネを優先する核保有論者の知事、熱烈な捕鯨礼賛論者でIWC総会招致活動なぞしながら最後は職を投げ出して市民に迷惑かけたお魚くん似の市長──なんで巷で人気があるんだか筆者には全然わからんのですが、この3人が中心になって動き選挙前にマスコミで大きく取り上げられた地方分権問題。「最後は鉛筆転がして決めます」という感覚もまったく理解できないのですが、主導権を握ったつもりになったヒトたちに各政党とも翻弄されかけたものの、選挙結果にたいした影響があったとは思えず。しっぺ返しで今後は冷たくあしらわれるでしょうし、地元でも冷めた目で見られているでしょう。
 結局、国か地方かという議論は、今の日本ではあまり意味がないと筆者には思えるのです。というのも、ごく一握りの真面目な市民本意の自治体を除き、分権は利権・癒着の地方分散にしかならないからです。成功している開かれた地方自治体のケース数例を引き合いに、地方への権限移譲のみを謳うのは考えもの。
 筆者の住む千葉県では県庁職員の30億円の不正流用が発覚、証拠隠滅に好都合な公文書廃棄のルールの影に隠れて裏金としてプールしていたのは疑いを持ちませんな。裏金話は岐阜県始め他の自治体で幾度も話題になったことですが。無投票で再選した園芸屋市長は小なりとも無駄な公共事業が大好き(--;; 登校児童を巻き込む朝の農薬散布、公園や緑道の木々も下手クソな同業者が頻繁に植え替えや剪定に入って無残な有様・・。筆者や猫玉さんがチェックしている日曜昼のTBS『噂の東京マガジン』では、全国各地の地方自治体のあまりに理不尽な公共事業や不誠実な行政の対応が毎回のように取り上げられ、視聴者は料理できない水着ギャルが何人登場しようと腹立たしさが収まらず(そんなんで喜ぶのはオヤジだけか)。国が主体になろうが地方が主体になろうが、無駄な公共事業はやっぱり無駄。1件辺りの金額は少なくなるかもしれませんが、住民にとっては同じ税金ですし、注目・批判する市民が少なくなる分、逆にますます見えにくくなる恐れも高いでしょう。霞ヶ関の中央官僚だろうと、地方の小役人だろうと、責任を取らせることがまず先決。道州制等の議論も結構ですが(これも利権構造が複層化するだけの気がする・・)、その前にやるべきことがあるはず。仮に地方分権を推進するのであれば、「(地方)官僚政治打破」と必ずセットにすることを新政権にはお願いしたいところ。
 ちょうどニュースになった待機児童の急増。子供を抱えている世帯にとっては緊急に何とかして欲しいはず。この点は、民主党が掲げるこども手当てだけより、半分は対策予算に当てようという社民党の方が一枚上に見えます。本当にこどもが暮らしやすい国というのは、有難味を押し付けようとお上が与えるバラマキではなく、そもそもこどもを抱える世帯の負担が補助なんてアテにする必要がないほど少ないはずですよね。。本格少子化時代に至る暫定期間に生まれた子と親は「我慢しろ」という声もあるようですが、国民一人一人を蔑ろにするそんな乱暴な主張が出てくること自体まさしく先進国にあるまじきこと。問題は保育所の絶対数不足ですが、一方では少子化で経営が成り立たなくなるところも。うちの近くにあった幼稚園も潰れて介護老人向けデイケア施設になりました(その方がまだ儲かるでしょうからね・・)。また、せっかく保育士の資格を持っているのに肝腎の仕事がないという若者もたくさんいるわけです。それでも、今から保育所を増やそうとすれば、確かにカネも時間もかかるでしょう(アニメの殿堂に100億使うくらいならいくらでも建てられそうですけど・・)。しかし、いま全国の小中学校には空き教室が多くあり、統廃合も進んでいます。人はいくらでもいるのですから、そうした未利用施設を臨時に公営の保育所として活用することは十分可能なはず。阻むものがあるとすれば、やる気のない役人と法律・条例の壁。小泉改革は弱者をいたぶり格差を広げるだけでしたが、本当に規制緩和・撤廃が必要だったのは、むしろこっちの方ではなかったでしょうか。
 開発業者とつるんで規制の抜け道を用意するかと思えば、市民生活の向上に資するアイディアに対しては事なかれ主義に走ってくだらない制約を設けて退けようとする、そんな融通の利かない役人たちのどこが優秀だといえるでしょう? いや、法律や条例を巧みに使い分ける能力だけは抜きん出ているということなんでしょうが・・。そんな“優秀さ”は願い下げです。民間や市民の要望や提案を汲み取り、どのようにすれば公平性を損ねることなく住民の暮らしを向上させられるか、そのために工夫を凝らす発想力と誠実な姿勢こそが、国と地方とを問わず優秀な役人に求められる資質なのではないでしょうか。さらに、よりスピーディーに、かつ低コストで満足度の高い行政サービスを行い、ノウハウを若手に伝授していける職員こそが、公務員として真に優れた人材といえるでしょう。
 今回の選挙がどうにも引っ繰り返りようがないと判断するや、保守系メディアの自民ビイキも影をひそめ、結果が判明してからは各種業界団体と同様、民主党に盛んに秋波を送っている様子。手っ取り早くいえば「現実路線を」という一言に集約されるのでしょうが、要するに自民党のこれまでのやり方を踏襲して欲しいということですな・・。このうち二つのトピックについて、簡単に触れておこうと思います。一つは、外交・防衛を中心にした日米関係。もう一つは、鳩山次期首相が表明した温室効果ガス25%削減。
 まず「(インド洋給油活動から撤退した場合)主要なプレイヤーとみなされなくなるだろう」という日米保守層の脅し文句について。@既にみなされていないでしょ・・。A給油しなきゃ主要なプレイヤーじゃない? ンなアホな・・。国際外交舞台における主要なプレイヤーは米・中・ロ・EUの四頭であることは誰の目にも明らか。バブル崩壊とともに日本型経済成長モデルが夢幻に終わって以降、パッシング状態が久しく続いているわけです。日本や米国がどんなに建前を述べ立てようと、日本は属国といわないまでも同盟相手の米国に「右へ倣え」する国だと世界中から見られているのは否定できません。日米地位協定の不公平性、思いやり(?)予算で毎年大盤振る舞いしたうえに、海兵隊グアム移転(プール付き住居等も含め)に気前よく6千億をポンと出す、それで対等な関係にあるとは誰も信じはしますまい。いずれにせよ、米国の顔色ばかりうかがっているようじゃ、給油を継続しようが打ち切ろうが“主要なプレイヤー”になぞなれっこありません「プレイヤーとして目立てること」ではなく、「どんなプレイヤーになるか」がそれこそ大事なのではありませんか?
 日本が米国と対立し独自性を発揮している唯一の分野といえば、そう・・アフリカ・カリブ・大洋州の開発途上国の頬を水産ODAという札束でひっぱたいて国際会議の票を買い、奇妙奇天烈なジゾクテキリヨウ原理主義を声高に唱える捕鯨問題のみ。外務官僚が出向組の水産官僚の暴走を表向き黙認しているのは、せいぜい欧米へのルサンチマンにかられた超保守層のガス抜きとしての利用価値があるから、としか考えられません。米国は外務官僚以上に手強い相手でしょうから、連立与党の外交政策がどうなっていくかは予断を許しませんが、これまでの捕鯨以外追従一辺倒の自民外交と異なる独自色を打ち出したいなら、「押すべきところ」と逆に「引くべきところ」、そのバランスについて、よくよく考えてもらいたいものです。
 続いて地球温暖化問題。斉藤環境相はなかなか殊勝なことをおっしゃいましたが、一方ヘンテコリンな煽りの一面広告を各全国紙に出したり、環境省のパブコメ宛にも組織的動員をきっとかけたに違いない自民ヨイショの経団連は、まだ「日本は省エネ技術がうんたらかんたら」と不平を漏らしておりますな。。実績でも京都会議で掲げた公約からプラスマイナスひっくり返るという醜態を演じ、アングロサクソンにない日本流の和のココロなりモッタイナイ精神なりをフルに発揮して中印等をうまく説得するでもなく、中途半端な数字を挙げて自国だけ甘くする理屈をボソボソ唱え、方針転換した日豪に比べても完全に埋没してしまった捕鯨ニッポン。刹那的な景気動向や特定地域の軍事趨勢と異なり、テロや核と並ぶ、あるいはそれ以上の重大な地球的課題について検討する場で、日本が“主要なプレイヤー”として認められていない事態を、外交通や保守系メディアはどのように捉えておるんでしょうね?
 これまでの日本経済は基本的に外需頼みで、内需についてはまさに上述してきた政官業癒着の構図に頼って湯水のように税金を貪る土建屋業界の果たすところが大きかったわけです。一時的には確かに大型公共工事への投資が必要な場面もあったでしょう。しかし、特定産業にどっぷり依存する形で持続的な国家の発展を望むことはできません。必要最低限のインフラとある程度の国民所得が確保された時点で、次の産業へと切り換えていく必要があったのに、無理やりヘリクツを並べて大型土木事業を継続して結果が、談合体質の定着による政治の腐敗、そして自然の荒廃でした。日本の経済界・財界も、そうした政官癒着から利益を生み出す非効率な産業を庇護する体質が染み付いてしまったのでしょう。しかし、資本主義の優勝劣敗の原則、公平・公正な競争原理に従うならば、時代のトレンドに沿って経済構造がシフトすることを否定する理由は何もないはずです。投資家は高い利益を生み出す企業、ビジネスチャンスを開拓し成長する可能性のある企業に注目すればよいだけの話。むしろ、新陳代謝がない国の経済は閉塞するだけ。欧州のように先手を打って環境ビジネスをバックアップするのであればいざ知らず、温暖化が進んだ際に世界が被る災害その他の巨額の損失も無視して、対策を渋り足を引っ張ろうとする経団連の非合理な姿勢はまったく理解に苦しむばかり。それとも、無駄な公共事業に象徴される浪費型・高環境負荷型ビジネスこそが時代のトレンドだとでも思っているのでしょうか? どちらかというと、計画性のない共産主義じみた日本独特の奇妙な国家資本主義と映りますが・・。
 人権・福祉・環境など市場経済に任せておけない問題に対しては、国が適切な規制をかけることはむしろ必要なことといえるでしょう。出自の定かでなく玉石の度合も知れないベンチャービジネスや、図体ばっかり重くなってそのことを口実に使ってくる大企業ばかりを手厚く庇護する一方、規制緩和の名のもとに派遣労働者を使い捨ての道具にするのは、公正・公平な自由競争とは言いがたいものです。正しい規制は公正な市場競争の障害となるものではありません。少なくとも、天下り官僚とリレーションを築いた特定業界向けの補助金に比べれば。環境税や炭素税を導入すれば、より環境負荷の低いビジネスが有利になり、環境負荷の高いビジネスは不利になるでしょう。投資家はそれを見極めればよいだけ。「環境(/民主主義)か経済か」という煽動的な二律背反がしばしば唱えられますが、ナンセンス。“両立”という中味の伴わない回答もまた然り。経済が成り立つための一次基盤を否定して一体どうするというのでしょう? 自由経済はもちろん人権や環境と対立するものではありませんが、かといって“上”にくるもんじゃありません。当たり前。自由は一定のルールの下に成立するもの。ルールそのものを変えようとしちゃいけません。
 自由経済というより既得権益にしがみつくだけの保守層の代弁者にすぎない経済界の改革も、25%削減の公約遵守を明言した鳩山代表には期待したいところ。「より環境負荷の低い産業」を優遇・育成し、絶えず前進していくという方向性は、それによって経済的なパイを拡大しつつトータルの環境負荷を抑えることができるわけですから、持続可能性を保証する国家の経済戦略モデルとしても大変優れたものといえます。それこそ、国際競争に勝つべくEUのさらに先をいく高い目標を堂々と掲げるべき。省エネ技術はもう目一杯だなんて、どうしてそこだけいきなり“気弱”になるんでしょう? 知的アイディアを含む技術革新に終わりはないはず。環境負荷の高い時代遅れの産業は、自力で克服できないなら資本主義の原則に従いとっとと退場してもらってかまわないでしょう。一例を挙げるなら、南極海母船式捕鯨のような、環境負荷がべらぼうに高くビジネスモデルとしても破綻して国におんぶにだっこするしかないバカげた産業にしがみつく共同船舶には、補助金など出さず逆に高額の税金を課して一刻も早く潰すべき。
 官業癒着と無駄な公共事業の問題については、beachmolluscさんのブログで林野・水産・国交行政&ゼネコンの宮崎における“夢の跡”を写真付でつぶさに目にすることができます。また、拙HPのブログリンク集に登録させていただいている、調査捕鯨批判記事を書いてくれたたくさんの市民ブロガーの皆さんもこれまで鋭いツッコミを入れてきてくれています。今回の選挙で多くの方々は、少なくとも「こんな政治はもううんざり」という思いで票を投じられたことでしょう。政権を担う方たちには、くれぐれもそうした私たちの思いを裏切らないよう、お願いしたいと思います。
 当ブログの主題である捕鯨と次期与党の政策に関しては、以前の記事でも取り上げたとおりで、民主党の政策INDEX2009版上のわずかな記述には失望を禁じ得ないとはいえ、漁業政策に関しては自民党のそれよりかなりマシな点がありますし、ネオコン議員が擁護議連を作って官僚や業界人と一緒に血気盛んにパーティーを開いてきた自民党に比べれば、ある程度問題認識を共有してくれる有志議員がいらっしゃるだけでも大分違います。後は、官僚政治打破、天下り全廃、ディスクロージャーとコンプライアンスの前進を国民に対する約束どおり進めてもらいさえすれば、状況は必ず大きく変化せざるを得ないでしょう。なんとなれば、旧態依然とした遺物的な官僚主導・官民癒着型公共事業の最たる事例こそ調査捕鯨に他ならないからです。広告代理店が企画した捕鯨ナショナリズムの演出があまりにも大成功を収めたために、未だにマスコミがまともに取り扱うことを避けている(一部マスコミは関連団体役員に関係者を送り込んでコネを作っている)調査捕鯨&水産ODA利権は、不透明性の点からいってもとりわけ悪質なもの。「序列化を生じさせないよう望む」などと、フツーの官僚であればトーゼンのように情報非公開の口実にしてくるコメントを付けながら、学力テストの各校順位というつまらん情報を平然と公開してしまう県がありましたが、市民団体が求めた調査捕鯨に関する情報は墨塗りのオンパレード。。政権交代によって、調査捕鯨の闇が白日の下にさらされるとともに、公共調達に通じている方であれば驚くことは間違いない水産ODAの異常な落札状況についても今後きっちりとメスが入れられていくことを、筆者としては大いに期待しています。
 農家や漁民の意見を決して代弁しない、自民党の集票マシンにして官僚の天下り先でもある農協・漁協等の全国組織についてなど、他にも言いたいことは山ほどありますが、ずいぶん長くなったのでこの辺で端折ります・・

参考リンク:
−「駆け込み天下り」大日本水産会の補助金比率は驚愕の91.6%!! (GPJ)
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/oceans/whale/t2/sato/10
−「世の中を変える力」 (GPJ)
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/oceans/whale/t2/suzuki/3
−捕鯨援助で本当に利益を得ているのは誰か (拙HP)
http://www.kkneko.com/oda4.htm
−民主党の捕鯨政策 (拙ブログ)
http://kkneko.sblo.jp/article/30992331.html
−捕鯨ニッポンの未来を託す (〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/30842498.html

 

◇いただいたお便りご紹介

 フォームメールにてご意見をいただきました。ありがとうございますm(_ _)m


初めまして。とても興味深く拝見させて頂いてます。横領の実態が素人の目から見ても明らかなのに、メディアが取り上げないのは政府の陰謀なのかしらと疑ってしまいます。
さて、意見というよりも質問なんですが今後、横領の実態を暴くためやグリーンピースなどのサポーターを増やすべくアプローチするべき政治家(例 反捕鯨議員、横領問題に立ち向かっている議員等)などを教えて頂けますでしょうか。個人的な参考とさせて頂きたいと考えております。どうぞよろしくお願い致します。
(Lさん)

 これまで野党だった民主、社民系の議員が、他の不正問題と同様に公平に取り扱ってくれればよいんですけどね。鳩山代表も実はクジラ好きで「自分は鯨肉は食べない」とおっしゃっているそうで、他にも何人か捕鯨問題にも理解のある有志議員がいらっしゃいますが、この件についてコメントをされている方としては参院無所属の川田議員がいらっしゃいます。

−「私も連行して」――世界中の若者が調査捕鯨反対運動に参加(GPJ)
http://www.whalelove.org/news/2825004

posted by カメクジラネコ at 03:17| Comment(6) | TrackBack(0) | 社会科学系
この記事へのコメント
巨大なダムは環境破壊、税金の無駄遣いの象徴だそうですが、化石燃料燃やしてCO2出しまくりの火力発電とどっちが環境に悪いんでしょうかね・・・?それと、「鳩山代表も実はクジラ好きで『自分は鯨肉は食べない』とおっしゃっていた」そうですが、世の中には水産官僚や捕鯨ナショナリズムとは関係無く純粋にクジラを食べたいという人もいると思いますが・・・。
Posted by やっと at 2009年09月09日 22:03
>やっとさん 「アッチの方が悪い」という後ろ向きの議論はやめませんか? 「大型ダムか火力発電か」という単純な二者択一の命題でくくって「何が、どこが問題なのか」という問いを封じることに一体何の益があるでしょうか? 全国各地の山を削り沢を埋めまくったダムのモクテキは電力供給オンリーではありません。防災・水利・果ては多モクテキと、需要予測を読み誤る度にコロコロクルクル変わってきたわけです。「真の目的」がゼネコンの飯の種だからですが・・。ダム問題について詳しくお知りになりたいのなら、以下のブログをご参照。
「ダム日記2」 http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/
エネルギー問題についてもGP始め多くの市民団体が取り組んでいますので、ご自分でお調べになってください。 鯨肉は家庭菜園で採ってくる野菜とは違うのですよ。無関係ということは100%あり得ません。どのようにして方針が決められ、どのように国の税金が使われているのか。南極の海で野生のクジラたちがどのように暮らし、他の生き物たちとどのように関わってきたか。何も知らぬままただカネを出して消費することが許される時代ではもうないと思いませんか。
Posted by ネコ at 2009年09月10日 00:57
水産庁は金集め上手いなあ。
政権が変わった以上、若干なりとも現在の利権構造に大鉈を振り下ろして欲しいと切に願います。
捕鯨なんか既得権益の塊だから、鉈を下ろし放題にしてもいいぐらいだとは思うんですが、手をつけてくれるのだろうか・・・。
お笑い出身の知事は今でも総理になる気はあるんでしょうね、まあ今は様子見としても。
魚市長は何を考えているんだろう・・・。
まあ、魚市長は無責任に放り出した件と、開港博の不振で呼び出しがかかってるらしいんだけどね。


Posted by 猫玉 at 2009年09月11日 00:11
>猫玉さん
まったく同感です。「ブンカ」の錦の御旗があると高をくくってやりたい放題な感じ。ですが、汚染米からヤミ専従から何からもうボロは出まくってるんですから、新政権も同じ穴に見られたくなければきっちりやってもらいたいですね。
魚元市長、「迷惑かけるから」なんて言うなら最初からやらないで欲しいですよね〜
Posted by ネコ at 2009年09月12日 01:49
「日本沿岸域鯨類調査」は新規扱いですが、なんだかんだと理屈をつけて、補助金は増大するということです。そして官僚は自身の利益を確保するために「業界行政」を中心に動くということです。

商業捕鯨の再開の可能性をちらつかせながら、業界と密着した補助金の確保とポストの温存が目的です。まあ、商業捕鯨を再開しても、「鯨肉消費拡大緊急対策」と称して補助金を出すと思いますが。

ところで、去年輸入したアイスランドとノルウェーの鯨肉は、どこで消費されたのでしょうか。今年も両国は日本に輸出することを期待していますが。現地報道で何か見つかれば、記事にしたいと思います。そのためにも、連休中はノルウェー語の勉強をする予定です。
Posted by marburg_aromatics_chem at 2009年09月12日 10:29
>marburg_aromatics_chemさん
ここまであからさまな官業癒着もありませんが、新与党がまた抱きこまれて既得権益を擁護するだけの“族議員”化しないかが心配ですね・・。例外扱いせずにきっちり筋を通して欲しいものです。
農水省発表の在庫統計では、今年に入ってから鯨肉の出庫量は前年比3/4ほどにとどまっており、まったく売れていないようです。価格改定で赤肉等は値下げしてるはずなのにね(--; これで外から入れる余裕があるとは到底思えないんですが・・。ノルウェーじゃペットフード倉庫から見つかってすったもんだしたという話も化学者さんに教えていただきましたが、歪みきった市場で実際裏でどういう扱いを受けているやらわかったもんじゃありませんね。
海外発情報はいつも助かってますm(_ _)m 大本営発表かガセネタの俗説を真に受けることしか出来ないウヨガキ君らに爪の垢を煎じて飲ませたいニャ〜
Posted by ネコ at 2009年09月13日 00:50
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