2009年08月26日

捕鯨ネタのデマを連発するオトモダチ新聞産経/NHKの捕鯨宣伝番組5

 新型インフルエンザ、予想できたこととはいえ、やはり今冬が心配。フェレの親にとっては、本当に他人事ではありません(--;; 米国のデータでは、フェレの感染率は季節性より低いものの、症状はやはり重いよう。妊婦や小児より上に置いてくれとは言いませんけど、何とかならないものかしらん。。
 ところで、ワクチンを輸入すると途上国に対して顰蹙買うと言っていたはずなのに、もう厚労相の発言が翻って、「いざとなったら輸入」の方針にさっさと切り替わりましたね・・。どっちも官僚の作文でしょうけど。やはり選挙を前にすると、どこもリップサービスが増えるようで。
 さて、週末には投票日ということで、海外投資家がどうするだのとか、いろいろ噂がかけめぐってますが、何はともあれ皆さんも一応投票には行きましょうね。ネガティブ・キャンペーンと保守層への危機感を煽る演出で、なんだか捕鯨礼賛ウヨガキ君とそっくりになりつつある麻生自民党ですが、今回の選挙は失策・失政がなかったかどうかが最たる判断基準となるべき。自公与党には「責任力」のキャッチフレーズどおり、きっちりケジメをつけてもらいましょう。おそらく支持者だって、いったん下野してからの再生を願っているはず。日本は一党独裁国家じゃないんですから。小選挙区制導入のフレコミは競争力のある政治だったはず。もっとも、今回の選挙を見ても、お互い大衆迎合路線に走って違いがよおわからんようになってきてますし、国民にとっては中選挙区制に戻した方がベターだと思いますけど・・。
 下馬評どおりになって、議連のネオコン議員たちが軒並み落っこってくれりゃバンバンザイなんですが、こちらサイドで1人きわどい方がいるのが心配。国替えなんかしなきゃ余裕のはずなのに(--;; とりあえず比例の投票先は考えないと。まあ、水産官僚側もシフトに備えて準備を進めているでしょうし、いくら代表がクジラフリークだといって過度の期待はしませんが、味方ゼロの状態よりはるかにマシですし、都合の悪い情報をぜーんぶ墨塗りにして隠そうとする姑息な真似はもうできなくなるでしょう。水産ODAの入札率の異常な数字が示すとおり、捕鯨ナショナリズムを盾に国民の税金を食い物にする官業癒着の最たる事例調査捕鯨に他なりません。新政権には徹底的な見直し作業にぜひ着手してほしいものです。

 

◇鯨研のオトモダチ新聞産経、次から次へと捕鯨関連のデマを量産

■産経新聞が報道した捕鯨関係者の話を水産庁捕鯨班が否定した|ドイツ語好きの化学者のメモ
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/62121254.html

 拙ブログでもチラッと取り上げた、鯨研に理事を送り込んでるご存知産経新聞の超いい加減なネトウヨブログレベルのコラムの件、ブロガー化学者さんが水産庁と国立民族博物館にツッコんでくれました。
 飽きれるのは水産庁の回答。筆者は化学者さんの「シイラ誤訳説」を支持しますが、水産庁は「アボリジニのジュゴン漁」の間違いという“憶測”を述べています。オーストラリアのジュゴンの個体数は8万頭ないしそれ以上でミンククジラのJストックを大きく上回りますし、伝統性の観点からいっても、アボリジニの狩猟はノルウェー式近代技術を用いた日本の捕鯨会社のニセモノとは全然違います。先住民アイヌに対し、捕鯨どころか国際定義と同等の権利をそもそも認めていない捕鯨ニッポンとでは、そもそも比較の対象にもならんでしょう。
 それはそれとして、問題は「既に拝見しておりました」としながら、捕鯨サークルと縁深いマスコミが国民に大いなる誤解を招く誤報をまったく正す気配が見られないことです。化学者さんが問い合わせて初めて、「あれは間違いです」という国の公式見解が出てきたのです。すでに尾ヒレ胸ビレ付きまくって2chやらYahooやら市民ブロガーの方のブログコメント欄までアラシまくってるおバカなウヨガキ君が恥をさらしている状況に対し、見て見ぬふりを決め込んでいるわけです。さらに無責任なのは、産経の元論説委員を役員に擁しながら沈黙を守っている日本鯨類研究所。研究機関とは到底思えない剣幕で、海外メディアに猛然と噛みついているわけですが。
 「オーストラリアもイルカを食っている」「捕鯨はエコ」「クジラを捕らなきゃ魚が減る」「日本の捕鯨は性善」「鯨肉食は全国区」等々の非科学的な風聞俗説が、今冬猛威をふるいそうな新型インフルエンザにも負けない勢いでもってネット上で増殖しているのを、捕鯨サークルの中心にいる関係者は一体なぜ放置しているのでしょうか? 水産官僚たちはさすがに小学校中学年レベルの国語・算数もできないウヨガキ君とは違って霞ヶ関のエリートですから、化学者さんや筆者ら市民からの問合せに対して、ある程度はまともな応答を寄越してきます。にもかかわらず、合理的なはずの彼らが、幼稚な捕鯨信奉が巷を席巻している非合理な状況に目をつぶっているのはなぜなのでしょう?
 答えははっきりしています。つまり、それも計算のうちということです。捕鯨ナショナリズムの昂揚を維持することが、水産ODA業界もひっくるめた産官学馴れ合い構造の存続にとって都合がよいから、ということでしょう。
 しかし・・こんな無責任な態度を続けていれば、日本の水産庁に対する内外の市民の信用はますます失墜するばかりでしょう。

参考リンク:
−元の産経コラム
http://www.business-i.jp/news/flash-page/news/200907180122a.nwc
−ジュゴン保護と名護市関連・会議室ログ
http://fenv.jp/20030331/project/dugong200005/article/mes15_176.htm (リンク切れ)
−関連拙ブログ
http://kkneko.sblo.jp/article/30668454.html
http://kkneko.sblo.jp/article/30842498.html

 

◇NHKの悪質な捕鯨推進プロパガンダ番組その5

■くじら物語#4鯨は誰のものか?|知る楽歴史眠らず (8/25 22:25-,NHK教育)
http://www.nhk.or.jp/shiruraku/tue/index.html (リンク切れ)
■ヤル夫で学ぶ近代捕鯨史・番外編 (拙HP)
http://www.kkneko.com/aa1.htm

 最終回はタイトルが秋道氏の自著の宣伝になってましたな。公共放送なのに。いやはや、ここまでくるともはやアッパレと誉める他ない、実に素晴らしい偏向ぶりでありました。
 近代商業捕鯨史を多少なりともかじっている方であれば、米国GHQの配慮で戦後の操業許可が得られたこと、ただでさえ後手に回っていたIWCの規制を日本がすり抜けようと画策したこと、海賊捕鯨のバックに日本の捕鯨会社がいたこと等々の史実が、番組ではすっぽり抜けてしまっていることに驚きを隠せないでしょう。
 正しい近代商業捕鯨についてはやる夫君に聞いてもらうことにして、一点きわめて悪質であからさまな情報操作について触れておきます。南氷洋捕鯨出漁国として、どういうわけだかNHKはイギリス、オランダ、日本の名前しか挙げませんでした。これもご存知の方が多いはずですが、捕獲量トップからノルウェー、イギリス、日本であり、次にくるのがロシア(旧ソ連)。ノルウェーは現在も近海での捕鯨を行い、各国や環境保護団体からたたかれています。かつてのソ連も然り。いずれにしても、今世紀に入って南極で大規模な母船式捕鯨を行っているのは日本1国のみですから、集中的な非難を浴びるのは当たり前のことですが。にもかかわらず、NHKは御三家のトップであるノルウェーを外してオランダに入れ替え、日本以外の捕鯨国が市場撤退してから反捕鯨国」になったという説明をしました。ウヨガキ君たちへの受けを狙った実に姑息なすり替えですな。
 さらに、「IWCの議論は噛み合わないまま」としながら、具体的な議論の中身には一切触れず、“二つの原理主義”を並べるだけ。そりゃ、噛み合うはずがありません。反捕鯨国側の説明は、「当時」とだけキャプションを入れつつ、何年時のどういうポストの人物に、いつ、どのような質問をして、前後にどのようにコメントが挟まっていたのか、一切説明なし。日本の主張が「捕獲して数を減らさなければ漁業に悪影響を及ぼす」と紹介され、当の水産庁参事官すら否定しているところのトンデモ食害論がパワーアップされていました。何故それがIWCでまったく受け入れられなかったのかも一切説明なし。IUCNでも議決されたとおり、単に非科学的だからというだけの話ですが・・。
 番組中では、旧マルハの元従業員へのインタビューも。伝わってきたのはエリートとしての自負。このように「戦争には負けたが捕鯨じゃ負けない」という意気込みを持った従業員を企業がフルに活用することで、世界のトップにまで上り詰め、一方で乱獲の総仕上げをしたわけです。職業への誇りと斜陽化の過程で味わった苦渋はニンゲンとして理解できますが、今日の資本主義社会において廃れた技術、見捨てられた伝統、潰れた会社はゴマンとあるわけです。捕鯨産業を特殊な聖職と崇めるのがそもそも異常なのです。
 捕鯨の是非論は別にして、南氷洋の荒廃ぶりと、国際競争+企業間競争によって乱獲を招いた主体的責任をきちんと自覚している捕鯨関係者もいらっしゃるわけで、そうした方々に対しては筆者も尊敬と同情の念を抱くのですが、反省の色がまったく見えない“海の男”は心の底から軽蔑するだけです。登場した方が鯨捕りの“悪い見本”なのではなく、人類学者秋道智彌氏とNHKの番組制作総括谷口雅一氏誘導によるものなのでしょう。あれで京大理の動物学科出だというのだからビックリ。
 「反省」に関しては、「国際競争による乱獲があった」と非常に遠まわしで奥歯に物が挟まったよーな表現がナレーションで1箇所あったのみ。これじゃあ、日本の捕鯨業界が重大な責任を痛切に感じているとは誰も思いません。むしろオランダやイギリスの所為だと言わんばかり。NHKが筆者の批判に対する回答で寄越してきた引用資料、板橋氏の『南氷洋捕鯨史』でさえ、とくにナガスクジラ資源に対する日本の業界の責任が明言されているんですがね。NHKの制作責任者谷口氏は、自分たちにとって都合の悪い事実・記述がまったく目に入らないタイプのようです。
 その秋道氏、最後の台詞で「捕鯨は日本の文化を国際的にアピールするための試金石とおっしゃっておりました。過去から引き摺っているものも、借り物をベースに新しくこねくりだしたものもありますが、世界に誇れるよい文化の多くを自らかなぐり捨ててきたこの国の文化の負の側面を一生懸命世界中にアピールしてまわられても、日本人としちゃ困るんですよ。IWCの場で決して言わない、飽食・廃食・偽装食大国、動物愛誤大国、持続的漁業後進国の側面まで外には丸見えになっちゃいますし、ね。もっとも、戦前を彷彿とさせる唯我独尊的文化帝国主義を公海・南極の自然にまで押し付ける行動が世界にどんな反応を引き起こすのか、それを知る試金石には確かになるでしょう。結果はわかりきっていますが。
 さて、この4回にわたって放映されたプロパガンダ番組の中で、一体どのようにして公平性・中立性に配慮したのか、NHKからはあれからうんともすんとも返事が帰ってきません。仕方がないので一応BPOにも通報しておきましたが・・。気になったのは、初回で捕鯨国側の主張を「絶滅に瀕した種は利用しない」と解説していたのが、最終回では「適切に利用すれば絶滅は回避できる」とトーンが微妙に変わっていた点。海外インタビューの映像使用にも不自然な点が。筆者にJストック問題に関する追及を受けて言い換えたのだとすれば、NHK&秋道氏の狡猾ぶりはやはり見事という他ありません。過去にもいくつものヨイショ番組を流してきたNHKですが、まさしく史上最悪の捕鯨礼賛プロパガンダ番組でありました。
 ところで・・最後のキャプションをチェックしていたら、資料提供者の中に無責任官庁の筆頭水産庁の他、あの梅崎義人氏の名も。捕鯨協会に広告業者として世論操作の極意を伝授した立役者さんは、どうやらまだまだご活躍中のようですね。

posted by カメクジラネコ at 03:02| Comment(11) | TrackBack(0) | 社会科学系
この記事へのコメント
初めて書き込みます。
今度の選挙ですが、民主党が公約として掲げるFTA締結を始め、はっきりいって農林水産業からすればどう転んでも良いことない選挙なんじゃないでしょうか。自民党のネガティブキャンペーンだって、「火のないところに煙は立たず」という感じですし・・。NHKは台湾の番組を始めどっちつかずの組織ですし、受信料払う側からしてみれば何とかして欲しいです。
個人的には、太地町の友好都市破棄の記事を楽しみにしていたので、ぜひお願いします。
Posted by やっと at 2009年08月26日 18:09
引用ありがとうございます。
追加質問に対する水産庁捕鯨班からの回答を追記しておきました。今回の産経新聞のことには一切触れず、マスコミ対応の一般論で期待はずれでした。質問に答えないようにしながらも、回答しているような雰囲気を作るのは、官僚はうまいですね。

ところで、「何と勘違いしたのか」という点は未解決です。「シイラの間違い・ジュゴンの間違い・ソロモン諸島のイルカ漁の間違い」のどれかだと思いますので、今後ものんびり調査を続けるつもりです。

それにしても、私のブログ記事を参照するよりも、あれこれ書き込みをしている人が、自分で調べた方が早いと思うのですが。
Posted by marburg_aromatics_chem at 2009年08月26日 19:11
>marburg_aromatics_chemさん
追加回答拝見しました。せっせこレクチャーしてる水産庁が、ほとんど身内に等しい産経にこんな劣悪なデマを流させっぱなしにしておいて、「対応に苦慮している」とは、物は言いようでんな。。IWCでもそう説明するつもりなんですかねぇ? 一方じゃ、各地の議員さんを交えた鯨肉試食付き宣伝イベントにまで税金が流用されてるってのに。実にふざけた話です。
反反捕鯨ウヨガキ君たちは、あらゆる環境問題・社会問題の中で捕鯨問題のみは誰もツッコミを入れてはならないと主張する、他の抵抗勢力には見られない異常心理の持ち主ですから、真相を追及する有意義な行動は、残念ながら期待できませんね・・。私なんかは目障りに感じますけど、足を引っ張ることしかできんヒトたちですからほっときましょう。本来なら水産庁・鯨研・マスコミと穏健賛成派が正しい情報提供に努めるべき話ですし、正直こっちは面倒見きれませんわい。

>やっとさん
カキコミありがとうございます。
やはり小選挙区制の弊害でどっちも八方美人になりますし、地方の一次産業票が欲しくても最後は財界がいちばんのお得意様になっちゃうでしょうからね・・。中選挙区制に戻して、一次産業特化のユニークな政策を掲げる政党に出てきてガンバってもらうという形にしないと難しいように思います。
ブルームと太地の姉妹都市提携の件、久々に大手新聞も取り上げるネタでしたね。いま情報を仕入れてるとこですが、同市は日系人とアボリジニが多い都市だそうです。議会の構成にもたぶん反映されてるでしょう。まあ、基本的には市・市民が主体的に決める話ですね。太地側もどちらが大事か天秤にかけて対処すればよいこと。生態学的に最悪の漁をコソコソ続けるよりは、対外的な友好関係を優先した方が賢明だと、個人的には思いますけどね。
Posted by ネコ at 2009年08月27日 01:31
NHKの件の番組は、ちらりと見たら丁度、クジラの食べる魚は人間の捕る魚の3倍というナレーションが流れていました。
番組自体はタイトルがあの本と一緒なので見る気もなかったのですが、今回も問い合わせたら、国営放送はナニコレ珍回答を出してくるのでしょかね。
しかし、梅崎氏が健在だったのか・・・。

シイラ誤認説に関しては、実は20年ほど前にも同じような英語圏のシイラを食べる様子をイルカを食べたという誤報があったらしくて、その旨の記述を模型雑誌(シイラのフィギュアの記事だった・・・)で見たんですけどねえ。
まあ、今回も十中八九シイラの誤認でしょうねえ。
Posted by 猫玉 at 2009年08月27日 18:44
>猫玉さん
どもども。察するに、たぶん梅崎氏はビデオ画像を提供しただけで、秋道氏&国営放送の制作担当者が主体的にトンデモ教育番組をこしらえたんだとは思いますけどね。どのみちミスター梅崎が「教祖」には違いないけど。。
誤報の方は、要するに20年間進歩なしと。産経は情報の信頼性という点において、一部のファン向けの模型雑誌の足元にも及ばないダメメディアだっつーことですな・・
Posted by ネコ at 2009年08月28日 01:14
はじめて書き込みます。環境関係の仕事をしています。
先のnhk番組は見ました。
クジラについては専門外で全くの素人ですが自分の感じたことを素直に述べたいと思います。
ちょっと長いです。スイマセン

鳥類のカワウは、一時は絶滅寸前まで個体数が減少し保護がなされましたが、現在は非常に増加してしまい、河川に生息するアユやウグイなどを大量に捕食し、内水面漁業に支障をきたす事態にまでなっておりまして、最近、狩猟対象の鳥類になりました。実際自分も経験しているのですがここ数年で河川の水中の様子は一変し、カワウの好む遊泳魚は非常に少なくなっております。
大昔はカワウもアユもウグイも共存出来ていたわけです、ですが人間が釣りのために人為的に川に魚を放流する、堤防やダムなどの治水工事により川が変化してしまったことなどにより生態系が脆弱になってきてしまい、カワウの補食行動が川の魚類に対する影響が強く出てきてしまっているのです。
同じようなことは、哺乳類のシカにも起きていて、知床では、シカが山の貴重な植物を含む様々な植物を食い荒らし、オオカミの絶滅した今となっては狩猟により頭数調整する必要に迫られていると聞きます。
これらの事態は、言ってみれば自然のバランスが崩れてしまい、生態系がおかしくなっている状況であると私は思います。

以降は仮定の話になります
クジラ食害論というものがあるそうですね。現時点で信憑性に問題があるとの意見もあるようですが・・
ですが将来にわたり考えると、地球環境の変化や、漁業による餌資源に対する捕獲圧などにより、クジラは全体的には個体数を増加させているのに餌生物が目減りしていくとすれば、今後、いくつかの漁業とクジラの存続はある程度排他的になっていくのは避けられないのではないでしょうか?
そしてそのときは漁業を大幅に減らしクジラを守るか、漁業もクジラも減らし餌生物を保全するかどうかについて議論が必要になってくると思います。

もう一つ。
本来あるべき生態系ではクジラ類の種別の個体数構成比率はどれぐらいが適切なのでしょうか?
漁業や気候変動により海洋生態系が変化してしまい、結果としてそうなっている可能性も多少はあるとは思いますが、大型種ばかりが捕鯨で減らされてしまったのでミンククジラが増えてしまい他の種のクジラ類のニッチェを奪っている説があるそうですね。
生態系は健全なのでしょうか?
もし、これが事実ならどうしたらよいのでしょうか。
人為的、自然的に限らず、基盤の破壊や主要構成種・キーストーン種の減少と言った大きなインパクトのあとは生態系の構成員、個体数比率が変化してしまうことは良くあることですがこのまま放置しておいて大丈夫でしょうか?
増えすぎた特定の種のクジラの頭数調整をすることを行う必要があるのでしょうか。それとも自然と元の比率に戻るのでしょうか?
(むろん間引きの手段として商業捕鯨という方法が適切かどうかは議論の余地があるでしょう)

以上仮定の話を述べましたが、こういった事実はあるか無いかを含め様々な手法でクジラの動向をモニタリングしていくことは非常に重要なことだと思います。
ですが、なにぶん見えない海の中のことですから、水産資源学や生態系モデルによる個体数の推定の手法も限界があり、実際は誤差が大きいと思います。だからと言って、捕鯨論争でよく見られるお互いの検証精度の低さを指摘する水掛け論的な論争は無意味だと思います。
今後は仮定の例にあるように何と何がトレードオフでどのような議論をすべきかをしっかりと考えていく必要があると考えます。

ですが、現在の調査捕鯨は極力捕獲頭数(殺す数)を減らす努力をしているかどうかは疑問に思います。純粋にアカデミックな目的であるならば調査のために必要な捕獲頭数は0では無いにしろそれほど多くはいらないはずです。現状の調査捕鯨は商業捕鯨本格再開のため準備の為に存在すると言われても何も言い返せないと思います。

ここで、自分の立ち位置を述べさせていただきますが、自分は捕鯨には賛成でも反対でもありません。海洋の生態系の健全化を維持することが第一義だと思っております。
ただ、クジラの生命だけが犯してはならない聖域であるという考え方は、自分は賛成できません。もし、海洋の生態系にダメージを与えない範囲でクジラ目全種ではないにしろ利用可能な資源が存在するのであれば(←これも仮定ですが・・)そして鯨食を望む人が多くいるのであれば、他の野生動物と同じように適切に利用すればよいのではないかと思っております。

人間は感情的な動物なので、こと捕鯨論争に関しては、「クジラを食べるなんて残酷だ」、「日本の鯨食文化を犯すのはケシカラン」などと言った感情的なバイアスが入ると、どうしても科学的であるはずの科学論文も、書く側にしても読む側にしても自分の主張にとって都合の良い部分しか”読まなく””見えなく””書けなく””認めなく”なってしまっているように思えます。

IWCにしても、グリーンピースにしても水産庁にしても、売り言葉に買い言葉的な議論しか出来ていないのではないでしょうか。
最初に記した仮定を突き詰めていくことすらキチンと議論できていないような気がします。これではあるべき生態系(←これも議論が必要です)を維持するための必要な対応をとることが出来ません。

海洋の生態系の観点から見るをクジラは上位性の種ではありますが、所詮、海洋の生態系を構成する一群集に過ぎません。今後、捕鯨の是非を含む水産資源の利用や生態系の保全には、漁業などによる資源変動や環境変動にともなう生態系の変化を考慮した、長期的、戦略的な展望をしっかりと考えていく必要があるのに、クジラ論争はそのスタートラインにすら立っていない気がしてなりません。

カワウやシカの例が示すように、手遅れ(包括的な生態系保護のために生態系の上位種であるクジラ類の頭数を調整する事態)になる前にこれらをしっかりと考えていく必要があるのではと私は思います。
Posted by H.N at 2009年08月28日 23:14
>H.Nさん
コメントありがとうございます。「専門外の素人」とおっしゃいますが、うちにいらっしゃる方の中では、環境問題・野生動物問題に関心をお持ちの中立派の方ということで、大変貴重なご意見、鋭いご指摘をいただきました。
カワウとシカを例として挙げていただきましたが、これらの陸上の野生動物はまさにご指摘のとおり、人為的な環境の脆弱化がバランスを崩す非常に大きな要因となっています。シカについては戦後の二次林の急拡大等構造的な林業政策と深く結び付いていますし、カワウについても釣り客呼び込みのための過放流の問題も指摘されているところ。安直な狩猟による個体数調整は、特に日本のように野生動物の保護管理施策が遅れた国においては「焼け石に水」で実効性が上がらず、一方で一部地域では犬を使ったり、里山の再活性化とリンクした駆除以外のユニークな手法を用いて低コストで被害の軽減に成功している現実があるわけです。
で、クジラですが、まずは拙ブログの特設リンクコーナー「捕鯨問題総ざらい」にて市民ブロガーの皆さんによる詳細な解説がありますので、そちらを是非ご一読くださいませ。鯨類はカワウやシカよりはるかに繁殖率の低いキーストーン種に他なりません。ですから、捕鯨賛成派の主張の多くは生態学的に見るとかなり異端で非常識であるといわざるを得ないのです。「増加」というのは、過去の凄まじい乱獲によって大幅に激減した状態から一部の種が回復過程にあると推測されるというレベルです。競合の話は、鯨類は大型魚類、イカ類、海鳥類、他の海棲哺乳類等の、より繁殖率が高くバイオマスの大きな競合種以上の問題は生じ得ませんが、それらの動物たちに対して「漁業が危ない!」だの「毎年数百頭レベルで致死的調査をせよ!」という話はちっとも出てこないわけです。鯨研・水産庁はその辺をわかっていながら素人の市民を騙しているといっても過言ではありません。さらに、地球温暖化や重金属・有機塩素化合物汚染を含む海洋環境の人為的変化は、他の海棲生物以上に鯨類に不利に働きます。
「適切な利用」に関しては、世界で唯一、高環境負荷(牛肉生産に負けない莫大な温室効果ガス排出)・高コスト(多額の税金で穴埋めしてもなお赤字)で実質的な高級嗜好品提供のための南極調査捕鯨を行っている日本で、年間に2千万トンという世界の食糧援助の総量の3倍に匹敵する食糧を廃棄しているという現実を直視する必要があるでしょう。
里山・里海と違い体感的にも文化的にも科学的にも知識の乏しい、かつ固有性が高く世界的にも保護することの意義が極めて高くまた温暖化の脅威にも直面している南極の生態系を健全に保とうとするとき、飽食の北半球の先進国であればこそなお自然に対し一層の「謙虚さ」が求められるのではないでしょうか。
リンク先の皆さんのブログを読まれたうえで、ご感想等ありましたら、ぜひお寄せください。
Posted by ネコ at 2009年08月29日 01:10
誤報に関してですが、日本小型捕鯨協会にもFAXで質問を送りました。

産経新聞に電話したところ、質問メールは社会部に転送したとのことでした。社会部に直接メールした方がいいと言われたので、質問メールを再送信しました。

ただ、「信憑性があると信じて記者は記事にしている」と言い、「役所と現場の意見が食い違うことが多い」や、「オーストラリアから抗議はない」との説明でした。オーストラリア政府が抗議できないほどの情報をつかんでいるならば、IWCに告発すべきですね。それに民族学研究の常識を覆す新資料として論文にすべきですね。

その後の経過について、時期を見て記事にしておきます。
Posted by marburg_aromatics_chem at 2009年08月29日 09:25
>marburg_aromatics_chemさん
お疲れ様です。産経の開き直りぶりにはたまげます。読売さんは科学欄の誤報をJANJANの市民記者の方が指摘したところ、ちゃんと訂正記事を出したとのこと。「一度書かれてしまったものは何が何でも曲げない」産経の異常な体質はマスコミの中でも群を抜いてますな。さっそく私も豪大使館にこの件について一報しておきました。
Posted by ネコ at 2009年08月30日 03:40
ポストドクさんところで書き込んだコメントですが、97年まで西オーストラリアで大学にいってアボリジニー関係の学科もとっていたので、当時、地元の新聞もよくチェックしていました。たしかジュゴンが絶滅危惧種にリストアップされているということを知ったアボリジニーのあるグループの長が、今まで伝統的にジュゴンを食糧としていたが、それを辞めるという報道でした。

日本のメディアは特に海外ニュースについては、意図的な和訳もするし、ひどいですね。

カメネコさんご指摘のNHKの番組みていないですが、農水省は外来生物の輸入についていきあたりばったりの利権で動いているようですね。最近、ミツバチが輸入されていることを聞きかなり驚いています。

環境省、農水省、経済産業省に関わらず、他の省庁もすべて天下りで利権でメディアも巻き込み環境破壊して税金の無駄づかいしても罪にとわれないシステム一掃しないと・・・。
Posted by あずーる at 2009年08月30日 13:10
>あずーるさん
こちらも貴重な情報ありがとうございます。コメントの転載も歓迎です(^^;
一口に先住民といってもいろんなタイプのヒトがいますけど、自分が痛みを背負ってでも野生動物の苦境に手を差し伸べられる本当に素晴らしい方たちがいらっしゃるんですよね・・。日本でクジラ、イルカと直接関わってきたヒトの中ではそういう奇特な人物が稀なのは残念なことです・・
>税金の無駄づかいしても罪にとわれないシステム
そこをうまく利用しようと目論む連中がいて、地方を含む官僚とつるんで、日本がこんなおかしな国になっちゃったんですよね。。今回の選挙で少しは変わってくれないとホントに困っちゃうニャ〜・・・
Posted by ネコ at 2009年08月31日 01:38
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