2009年06月27日

捕鯨ニッポンに代わるSSのサプライズ/IWCマデイラ・祭りの後

◇捕鯨ニッポンに代わってサプライズを提供したシーシェパードのドアホ

 27日になって、朝日、読売、毎日など大手新聞各紙が閉幕をベタ記事扱いで報道。ただ、産経のみ紙面で確認できず。Web版では26日に中前代表のコメント(共同配信)を載せています。
 何事もなく平穏に終了した第61回IWC年次総会をよそに、ビックリ仰天のネタを提供したのは、とある団体さん。。。
 夜中にNHKのBSニュースをチェックしていたら、目に飛び込んできたのは、昔の特撮に出てくる、ウルトラ警備隊とかに配備されてそうな特撮マニアが作ったフィギュアにしか見えないヘンテコな乗り物・・・・・

■'Spaceship' boosts anti-whaling force (6/25,シドニーモーニングヘラルド)
http://www.smh.com.au/environment/whale-watch/spaceship-boosts-antiwhaling-force-20090625-cy7v.html

 詳しいことはflagburnerさんが解説してくれています。 

■Operation Waltzing Matilda 0.1|flagburner's blog(仮)
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/09bb720ddfe9cedbe1473fc7caacf94a

 アウトリガー風のデザインは、安定性を高めるとともに喫水線を下げ、船足を速めるためでしょう。でもって、動力にはなんでもバイオディーゼルエンジンを使用だとか。バイオ燃料は、原料に何を使うかによってまた別の環境問題につながる可能性もありますが、とりあえずCO2排出に限れば大幅な削減にはつながります・・。
 ただし、高速船にはご存知のとおりクジラやジュゴン、ウミガメなどの海棲野生動物との衝突事故増加という深刻な問題があります。南極海でクジラやペンギンたちを轢き殺したりすれば、もちろん彼らに環境保護団体を名乗る資格などありません。SSは活動自体がそもそも非生産的だけど(--;;

 それにしても、一体設計・建造にいくらかかったんだか・・。『Whale Wars』シリーズがよほどウケて、カンパがしこたま集まったんでしょうか? 世界がまだ不況を脱け出せないでいるこのご時世に。

 以前筆者は、直接行動の一つの手として、非暴力に徹する前提でCOLREG条約上の回避義務を捕鯨船団側に付させ、捕鯨ニッポンの傲慢な唯我独尊ぶりをアピールするのもアリだと述べたことはあります。しかし、いまは国内に良識ある中立派が芽生え、国際的にも落としどころを探る段階にあるのですから、SSの妨害活動は百害あって一利なし。利するのは、交渉引き延ばしによる延命と補助金増額の口実を得る捕鯨サークルのみ。
 以下のブログは、捕鯨の是非は抜きにして、言ってることは割合正しいと思います・・。

■シーシェパードは僕らの友達仲良くしよう|第3の視点
http://strangequarks.iza.ne.jp/blog/entry/452742/

 話は変わりますが、昨年の燃料高騰を契機に、国内でも漁船の燃料消費効率改善に取り組む動きがあり、水産庁も補助金を出すことを決めました。ただ、同庁がNEDOを通じて補助するのは省エネ効率が10%以上(改造で5%)。もちろんやるに越したことはありませんが(LCAの問題が無視されているのはエコポイント電化製品同様だけど・・)、問題はこれが旧い漁船との比較である点。しかも、1割そこそこですから、例えば水産物(鯨肉含む)の単位生産量当りの排出量の数字自体を大きく下げることはできません。
 その一方で、ディーゼルエンジンの技術的改造のほか、燃料に水を加えて燃費を抑えたり、あるいは天ぷら油/廃油を使用するエンジンを開発した技術者・ベンチャー企業も出てきました。天ぷら油ディーゼルはそれこそSSの“スペースシップ”と同じで、船舶交通の地球温暖化対策における強力な切り札といえるでしょう。問題は普及にかかる時間と制度の壁ですが。
 さて、裏でこっそり「SSもっとガンバレ」とエールを送っていても不思議じゃない捕鯨サークルですが、じゃあ彼らの捕鯨船団は環境負荷削減のための努力をどれだけ払っているのでしょうか? SSのプレスリリースの前に、バイオディーゼル採用のサプライズ提供があれば、世界の捕鯨を見る目が180度変換するほどのインパクトを与え、“ニックキ海賊ども”の鼻を明かしてやることも可能だったはず。「環境」でさんざんたたかれてきたわけですから、それこそ「グリーン・ホエーリング」「エコ・ホエーリング」を堂々と世界に打ち出し、反撃の狼煙を上げるべきときなのでは??
 不思議なのは、捕鯨サークルの間からこうした声が一向に上がってこないということです。
 ただひとつ彼ら・・というより強力な応援団である鯨研のオトモダチ新聞・産経がやったことといえば、事実無根のデマ報道を流してあからさまなエコ看板を掲げ、現状を正当化しようとしたことだけでした。実際に、漁船の省エネ技術にも取り組んでいる水研センター(IWC日本政府代表でいままで同委副議長を務めていた中前氏が理事長)に筆者が質問状とセットで問い合わせても、効果的なオルタナティブについてご提示いただくどころか、「いままで一度も試算を行ったことがない」という回答しか返ってこなかったのです。
 捕鯨サークルはなぜ、非常に効果的な反論となり得たはずの対抗措置を講じようとしなかったのでしょうか???
 捕鯨事業者が環境対策にきわめて消極的な理由のひとつとして考えられるのは、大型母船や特殊仕様のキャッチャーボートに、例えばバイオディーゼルなど大幅な環境負荷削減につながる技術を導入することは、技術的な問題に加え、コストの壁があまりに高すぎること。南極海の洋上補給を考えれば中積補給船を含めた船団全船の切り替えが必要となりますし、100〜200億円ないしそれ以上の投資を要するとされる新母船建設費の負担をさらに増大させ、加えて目視・採集船5隻も全船中途で償却して新船を投入しなければなりません。土建屋さんとコネを持つ海外漁業協力財団の財力をもってしても、決して容易ではないでしょう。
 さらに、「その膨大なコストを一体誰が負担するのか?」という問題があります。鯨研は昨年8億円弱という巨額の経常赤字を抱え、共同船舶とともに水産庁に経営合理化を命じられる有様。今年に入って鯨肉在庫の山がまた2年前のレベルに戻ってしまった中、鯨肉価格をさらに2倍、3倍に吊り上げることはおよそできない相談。となれば、関係者・官僚・議連は税金での穴埋めを画策するでしょう。
 しかし、日本国民としてはそんなことは言語道断。世界中からも非難の嵐が巻き起こることでしょう。多額の税金を拠出するのであれば、地球温暖化対策としてより低いコストより高い効果を発揮できる他の分野の抑制・代替策に投入するほうがよほど賢明で現実的です。
 結局のところ、エコな捕鯨とは非現実的な画餅以外のものではなく、他ならぬ捕鯨サークル自身がそのことを自覚しているのでしょう。

 

◇IWC in マデイラ・静かな祭りの後

■[周辺Topics] マデイラ・クジラ博物館 見学
http://blog.e-kujira.or.jp/iwc2009jp/entry/474 (リンク切れ)

 こういう文化の残し方もあるということ。日本の他の文化でも同じですが。どのみち明治期に資本家がノルウェー式を持ち込んだ時点で、由緒ある伝統捕鯨文化は消滅したに等しいのですから・・。
 ところで、捕鯨協会はせっかくフンシャルブログなんて立ち上げたのに、大手検索エンジンのブログ検索で(少なくとも上位には)引っかかってこなかったぞい・・・・

posted by カメクジラネコ at 19:32| Comment(0) | TrackBack(1) | 社会科学系
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