2009年06月26日

国際捕鯨委員会2009マデイラ総会ウォッチ・その2

◇IWC in マデイラ・ニュースクリッピング

 後半戦の報道をチェックするニャ〜。

<6月24日(オマケ)>
■シー・シェパードに便宜供与停止を 船員労組がIWCで声明 (産経/共同配信記事)
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090624/erp0906241950005-n1.htm (リンク切れ)

<6月25日>
■殺さない調査捕鯨計画=日本に圧力−豪 (時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2009062500155 (リンク切れ)
■グリーンランド捕鯨枠、結論先送り=対立避け継続協議に−IWC総会 (時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009062500915 (リンク切れ)
■ザトウクジラ新規捕獲枠先送り  先住民捕鯨にも強い拒否感 (共同通信)
http://www.47news.jp/news/2009/06/post_20090625195304.html
■「蔚山での捕鯨活動の再開を認めてほしい」 (中央日報)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=117115&servcode=400&sectcode=400

<6月26日>
■第61回国際捕鯨委員会(IWC)年次会合の結果について (水産庁プレスリリース)
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/enyou/090626.html
■新議長にチリ代表選出=来年はモロッコ−IWC総会閉幕 (時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009062600030 (リンク切れ)
■捕鯨の1年後決着、楽観できず  IWC日本代表が会見 (共同通信)
http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009062601000159.html
■日本の捕鯨再開に暗雲=重要問題先送り−IWC総会閉幕 (時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2009062600165  (リンク切れ)
■日本の沿岸捕鯨容認は先送り IWC総会が閉幕 (日経新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090626AT3S2600J26062009.html (リンク切れ)
■デンマークが求めたザトウクジラ捕獲枠、結論先送り IWC (AFP)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2615194/4304819

 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 

 イタイデマ記事を書いてそのまんま放置しっぱなしの産経が、共同配信の記事をようやく1本載せたようです・・・・。ただ、Web版で写真付きで報道しているも、図書館でチェックした限り紙面では確認できず(版が違うせいかもしれませんが)。最終日の報道ないし社説が27日に載るかどうかも要チェックですが。
 産経殿へ。貴紙は耳の遠い老人を百人間に挟んで伝言ゲームをやったみたいに、水産庁遠洋課の担当者の方の回答とはまったく異なる内容を大本営見解として発表しましたね・・。ですが、一体貴紙が主張したような議論が今回のIWC上で1回でもなされましたか???
 「ご容赦ください」などと誤魔化して訂正記事を出さないのなら、経過を紙面できちんと報告してくださいよ、鯨研の理事に元客員論説委員を送り込んでいるオトモダチ新聞さん。

■鯨肉は牛肉よりエコ?CO2排出量は10分の1以下
http://sankei.jp.msn.com/science/science/090424/scn0904240100000-n1.htm (リンク切れ)
■産経「鯨肉生産は牛肉よりエコ」はデマだった (6/3,JANJAN)
http://janjan.voicejapan.org/living/0906/0906010416/1.php

 そういえば24日の記事、時事がITF(国際運輸労連)、共同が海員組合と報じましたが、中間会合で海員組合は一度やっちゃったのでITFの看板を借りたんでしょうね。共同さんの勘違いか、あるいは関係者が急遽肩書きを変えたか何かでよほどこんぐらかった説明をしたのか・・。どっちの名前を使っても、プレゼンの中身は一緒なんだから同じことですが・・・・
 グリーンランドのザトウ捕獲枠要求の件は、投票を避けるため継続協議に。個人的には、ミンクの捕獲数をそれ以上減らしているし、目クジラを立てるほどのものではないと思います。もちろん、捕獲枠が例年未消化で終わっていることや、グリーンランドの消費の実態を見ても、生存捕鯨というより商業捕鯨に近い(日本がヨイショするのはまさにそれが理由)ということもあって、NPOなどが異を唱えているわけですが。たぶん、日本の水産庁や捕鯨シンパが「日本ばっかりイジメられる」とあまりにも必死で訴え続けるものだから、少しは気を配ってあげているのでは? ま、実際のところ、グリーンランド捕鯨の足踏みをさせたのは、ホガース議長の多大な労力を足蹴にするようなふざけた提案を日本がしてきたのが、そもそもの原因といえるでしょう。
 以下、個人的見解になりますが、豪州等強硬反捕鯨国側は、西グリーンランド生存捕鯨については譲るべきです。コンセンサスをベースにしたIWC正常化に資するものであり、持続的利用(?)グループに対する“大きな譲歩”として、明確に位置付けられるのですから。代わりに日本に公海から撤退させてバランスを取ればノープロブレム北朝鮮じみたワガママを封じる有効なカードとして積極的に使うべし。
 ところで、前回1件だけ揉めたのもなくなった平穏ぶりを、時事は「異例」と表現。すったもんだすればしたで文句を言い、滞りなくあっさり終わればそれはそれでまた文句を言うのが、メディアと世論のサガなのかもしんないけど。。
 その他の議題。議長は昨年の開催国だったチリ政府代表のマキエラ氏に。AFP記事に氏のコメントがあります。IWCの現状を実に的確に表現されていますね。副代表は今年沿岸捕鯨再開論をぶち上げた韓国辺りかと思ったら、まだ捕鯨国の盟友という間柄にはなっていないようで(日本とはむしろ競合関係だしね・・)、水産ODAを今年の新規案件も含め山ほどもらっているカリコム諸国のリーダー、DAC被援助国中でサウジ以外1国のみの高所得国であるアンティグア・バーブーダのリバプール代表に。
 次期開催国はモロッコ、日本は持続的利用派と説明していますが、飽食日本の留まるところを知らない胃袋のせいで近海のタコ資源を潰してしまった“持続的利用ガデキナカッタ派”の間違いであります。
 面白かったのは、共同の中前代表インタビュー記事。日本の妥協姿勢として「南極海サンクチュアリ(禁漁区)設定容認」と書かれていたため、すわスペシャルサプライズか!?と一瞬目を丸くしましたが、中前氏がまさかそんなことを口にするはずはないため、南大西洋サンクチュアリのことを記者の方が聞き違えたのでしょう。サプライズ無しにしてくれって議長言ってたんだしね。。
 中前氏の主張する“妥協”については、以下のGPJ佐藤氏の見解も合わせてご参照。

−IWC報告2 「時間稼ぎの交渉術」 (GPJ)
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/oceans/whale/t2/sato/6

 オマケ。水産庁のプレスリリースはSS関連にいちばん費やしてますな・・・。IMO/国交省でやってください。
 それにしても、今回は本当にマスコミの取扱が少なかったですね。いつも頑張るヨイショ新聞産経がなぜかすこぶるおとなしいし(笑) 国内も政局絡みの大きなネタがありましたし、国際ニュースは緊迫のイラン情勢、ニューヨーク列車事故、駄目押しでマイケルジャクソン訃報に押しやられ、完全に押しやられた格好に。朝日はチェックした限りではこの間一本もなし。NHKも確認できず。共同は間違いも含めてユニークな記事を提供してくれましたが、今総会関連報道の最優秀賞は、予断を一切排して淡々と報じた日経かニャ。。
 今総会は揉めなかったおかげで、日程より1日早く終了するほどでしたが、大きな動きがないことは中間会合・作業部会の結論から想定されていました。それ故に、マスコミ各社も通信社以外最初からネタにする気もなかったといえるでしょうが・・。
 報道のプライオリティが下がったことは、物議を醸した昨年とは違い、世間の関心がひどく薄くなったことも意味しているのでしょう。水産庁/鯨研/共同船舶トリオが狙った(?)SS効果もなし。検索エンジンでブログをチェックしてみると、タイトルに「葬送の宴」なんて付けたり、ブログ名自体が「日出ずる処の御国が何チャラ」などという一目でわかるネット右翼系ブログが勇ましくがなり立てているくらいで、少し寂しくなるくらいです・・。
 ウヨガキ君たちがウンカの如く湧いて出てくるのも困り物ではあるけれど、市民の注目を浴びなくなれば、逆に捕鯨サークル・天下り官僚OB・水産ゼネコン業界・捕鯨議連がやりたい放題ということになりかねません。緑豆ドンがまたなんかやらかしてくれんかのう……というのは冗談として、ともかく一波乱予想される来年までに、こちらも何らかの成果を出さないとニャ。。

 

◇IWCマデイラ総会・記者会見レビュー

 拙ブログの期間中のアクセス数は大体1000ヒット弱でしたが、今年はあちらさんのライブ映像のアクセス数も伸びなかっただろニャ〜・・
■IWC会議のページ|鯨ポータル・サイト=日本捕鯨協会運営
http://www.e-kujira.or.jp/iwc/iwcmeeting.html (リンク切れ)
■[周辺Topics] 「セーフティネット」特別セッション
http://blog.e-kujira.or.jp/iwc2009jp/entry/510 (リンク切れ)

 まず、捕鯨協会のフンシャル・ブログにある上掲リンク記事、うっかり間違えないようにご注意いただきたいのは、このセッションとやらはIWCと全然無関係だということ。IWCで、「脱退してやるゥ!」なんて吠えてる連中の受け皿をどうするかなんて、考えてあげる義理もなし。
 水産庁・捕鯨サークルはセーフティネットの意味を恐ろしく履き違えていますね。まあ、日本ほど社会的弱者を救済する本来の意味でのセーフティネットが未整備な先進国は見当たらないでしょうから、彼らが無理解なのも無理はないのかもしれませんが・・。それにしても、つい先日石破大臣が無謀な脱退論を刺したばっかりだってのに、一体このヒトたちは何を考えているのでしょうか??


−IWC小作業部会について石破農相は「雰囲気はずいぶんと改善をしたと聞い」たそうだ|ドイツ語好きの化学者のメモ
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/61329972.html
−石破農相に無謀な脱退論を戒めるコメントをさせたのは誰? (拙ブログ)
http://kkneko.sblo.jp/article/29310363.html
−[周辺Topics] 会議場内をご紹介
http://blog.e-kujira.or.jp/iwc2009jp/entry/530 (リンク切れ)

 任期を終えるホガース議長の「強力なリーダーシップに感謝と敬意を表して各国代表が記念の寄せ書き」をした垂れ幕が紹介されています。日本の関係者のみなさん、そのホガース議長が23日の共同通信のインタビューになんと答えたか、聞いてらっしゃるんですか??
 24日の会議終了後の記者会見では、共同船舶社員⊂全日本海員組合⊂ITF(国際運輸労連)の肩書きでプレゼンをした日新丸航海士・北嶋氏がコメント。記者からの質疑はなし。日本から来たマスコミの数はかなり少なそうですが・・。
 北嶋氏に問いたいのは、同僚の鯨肉横領・横流し疑惑に対する日本の捜査当局による不可解な取扱についてどう思うか、なんですけどね。。日本の場合、検察・警察による恣意的な対応が調査鯨肉横領/市民団体職員逮捕問題にまったく限らないことは、国民みんなが承知していることではありますが・・。関係各国が遺憾の表明をし、粛々と法律や国際条約に基づいて捜査を進めていることもご承知のはず。どっかの国が条約の抜け穴を利用する姑息な真似を続け、「ミサイルじゃなくて衛星だから何の問題もないんだ」と嘯く北朝鮮にそっくりの、あまりに独善的で横暴な態度を取っていれば、諸外国で国民の理解がまったく得られず、プライオリティが下がって適当にうっちゃらかされたとしても、そりゃ仕方のない話でしょう。日本の警察と同じく法的な問題は何もないのですから。誰が、どの問題について、不公平感を感じるか、というのは、相手の立場になってみないとわからないものですよ。
 筆者はシーシェパードの肩を持つ気など毛頭ありませんが、日本が他国の批判に耳を傾けずに強引に進めていることなんだから、IWCで何回も同じ文句をブー垂れてないで、IMOで好きなだけやってくださいとしかいえません。共同船舶の度重なる人身事故と労務管理の問題、過去のSUA条約違反の疑いについても、一緒にきっちりけじめをつけてもらいたいものですが。

−第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPN II)に関するプレゼンテーション
http://www.e-kujira.or.jp/iwc/2009funchal/data/0624_date.html (リンク切れ)

 会見中ではJARPNUレビューの件に触れられました。上掲リンクがそのプレゼン資料・・なんですが、相変わらず新米営業的ですな・・。日本の資源学者のエコパスモデルは多くの研究者からさんざん叩かれていますが、5ページの生態系モデルの捕食者にミンククジラしかないだけでもうダメダメです。科学委のレビューで、イワシクジラとミンククジラの捕獲が資源に与える影響についても、データが足りないから「寄越せ」といわれている有様。魚谷氏の会見でも批判が上がっていることに触れられたわけです。見切り発車で経年致死的調査を強行すること自体、野生動物研究としてはこの特定の種を対象にしたJARPN以外あり得ない話でしょう。そもそも、JARPNUは2002年の下関会議誘致でガンバった(?)議連の先生への手土産であり、イワシクジラにまで触手を伸ばし“増産”した裏作擬似商業捕鯨以外の何物でもなく、科学研究としてのお粗末ぶりはJARPA以上。
 この件については、以下のリンク先もご参照。森下参事官が相変わらずワケわからんことのたまっていますが、要するに食害があろうとなかろうと関係なく調査は正当なんだとおっしゃっているわけですな。食害の影響が不明な漁獲対象魚種の捕食者すべてについて、JAPRNと同じ調査内容、予算をつぎ込まれている研究はどれだけあるのでしょうか? その中で、なぜクジラのみ大規模経年致死的調査が「科学的に不可欠」なのでしょうか? ──と、筆者は森下氏に「鯨論・闘論」で質問したんですが、ご回答をいただけておりません。おエライ高級官僚の森下さん、市民の問いから逃げないできっちり答えてくださいよ!

−IWC報告3 「クジラの冤罪事件」|GPJ
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/oceans/whale/t2/sato/7

 25日午前の部終了会見。生存捕鯨に関するセッションのグリーンランドの件などに続き、気候変動の鯨類への影響に関する決議採択についての青木室長の説明はたったの30秒! ほとんどすっ飛ばしたニャ・・・・。絶滅に瀕しているかどうか、持続的利用かどうかの判断材料となる重大なことなのに・・。

 その後鯨研理事の藤瀬氏が登場。IDCR/SOWERの評価と航空機調査との連携や、北西大西洋での大規模な目視調査の話など。ただ、航空機調査なら氷海内のクロミンクの計数問題など一発で解決するでしょうから、ごね続けるくらいならいっそ切り替えた方がいいんじゃないですか。IDCR/SOWERは純粋な科学目的のもんであって、JARPA/JARPNなどに比べりゃはるかに科学的意義の大きいのは当たり前でしょうよ。日本の貢献を口うるさくいうのは別に結構ですが、調査捕鯨の非科学性はまた別の話。餌生物調査はバイオプシーによる脂肪酸解析で十分で精度も上。クロミンク以外はもうそっちでやってるでしょうに。致死的調査は毎年標本を積み上げるばかりで解析も進まず、昔のバイアス問題も解決せず、しかもプライオリティの高い目視の足を引っ張るだけ。リソースの配分をどうするかという問題です。生態系の調査を言うなら、クジラの致死的調査のみにリソースを異常に集中させようとする現状がオカシイと言っているのです。大体、RMPではそもそも必要とされません。だからこそ、「不可欠」だという主張はナンセンスなのです。豪州の非致死的調査捕鯨が成果を挙げれば、日本による科学的理由を後付しただけの擬似商業捕鯨の科学的意義は今後ますます薄くなるでしょう。
 ちなみに、科学委の副議長をされる東京海洋大学の北門氏はこちらの方のようですね。

−同氏のプロフィール・研究実績
http://www.sangakuplaza.jp/page/157053

 最後に、全日程を終えての記者会見。青木氏、魚谷氏に加え中前政府代表と山下水産庁次長。ただ、中前氏ばっかで山下次長は全然発言がありませんでしたね。
 中前代表の閉会スピーチは以下。ホガース議長が共同インタビューでなんとお答えになったか、以下同文。GPJの見解ももう一度ご参照・・。

−日本政府代表・中前 明 コミッショナーによる閉会挨拶
http://www.e-kujira.or.jp/iwc/2009funchal/text/text_ext5.html (リンク切れ)

posted by カメクジラネコ at 20:26| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会科学系
この記事へのコメント
IWCの報道は少なかったものの、NHKのニュースでは、シーシェパードが2隻目の抗議船を確保したとありました。増額した今年度本予算の「鯨類調査円滑化」は、無駄使いにならないと言いたいのでしょうか。半年先の妨害行為について、今から報道するほど重要性があったとは思えませんが。NHKの改革案を与党に支持してもらうための見返りなのでしょうか。不思議です。
Posted by marburg_aromatics_chem at 2009年06月27日 12:09
>marburg_aromatics_chemさん
確かにIWCそのものより大きな扱いでしたね。私もニュース見てびっくりしました。斬新(?)なデザインのインパクトもすごかったけど。。
SSのアホのおかげで「ツッコまれずにすむ」「また増額できる」とホクホク顔の人たちが大勢いらっしゃることでしょう。
Posted by ネコ at 2009年06月27日 17:20
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