2009年06月03日

「捕鯨はエコ」はデマだった──水産庁側が産経報道を公式否定/捕鯨賛成派はこんなんばっか(続)

◇産経「鯨肉は牛肉よりエコ?」はデマだった──水産庁・水研センターが報道を公式否定

■産経「鯨肉生産は牛肉よりエコ」はデマだった (6/3,JANJAN)
http://janjan.voicejapan.org/living/0906/0906010416/1.php

 鯨研のオトモダチ新聞の上をいくスクープのお知らせだニャ〜。読んだらお気に入りボタンをポチッと押してね(^^;
 HFCについては、リンクの「公開質問状」と4月の朝日報道もご参照。冷媒のリークは通常封入時とメンテナンス時に発生しますが、最近の冷凍・冷蔵設備でも想定を超える漏れがあり、国の温室効果ガス排出量の数字を大きく押し上げてしまったと朝日が伝えています。別の環境負荷に関する文献では、船舶の設備からのリーク量はさらに多いだろうとも指摘されています。そのうえ日新丸や第二飛洋丸(旧OB号)は老朽船ですし。ボイラーから排出されるメタンと合わせ測定が困難なことも確かですが、「燃料消費のCO2のみ」というのは明らかな虚報
 一方で、畜産のメタン排出等を他の研究機関の公式の数字の倍以上に見積もるのは、相当タチの悪い誘導だといわざるを得ません。念のため公平・公正な立場で補足しておくと、産経報道がデマだったことは事実ですが、「鯨肉生産が牛肉生産より環境負荷が明らかに高い」という意味ではありません。「公開質問状」の最後の問いもご参照。
 今度の一件は「非公式な個人の勉強」にされてしまったので、結局誰が試算したのかはわかりませんでしたが、生化学の専門家のAdarchismさんに他の船舶の排出量との比較検証も行っていただいた筆者の試算に比べても、プロの研究者の仕事としてはあまりにお粗末すぎます。産経の検証能力のなさと無責任さはいわずもがなですが。水研センターの誰かさんのみならず、産経のガセネタ記事に対してホイホイ写真を提供した鯨研の科学的素養についても大きな疑問符が付くといえるでしょう。
 「水産庁遠洋課の委託」が「委託した事実はない」“一転”したのは(調査鯨肉「土産」事件のときは“二転三転”したけど。。)不可解ではありますが、まあ一応そういうことだそうです。あんまりこういうことが頻繁に起こると、信用度の問題に関わってくるのは否めませんね。広報課の個人の方の落ち度ではないと思いますが(組織の中にいるとタイヘンですね・・)。
 また、試算については水研センターがずいぶんまたあっさりと「完全否定」してきました。“クジラの季節”に入って産経以外のマスコミも注目し始める前に、始末を付けようということでしょうか。
 というわけで、可能性は以下の3つ。

1.水研センターの職員が勝手にこっそり作ってこっそり産経に流した。

2.不祥事を引き起こす教師のごとく、捕鯨ヨイショにあまりに熱心すぎる産経の100%捏造。

3.本当は水研センターが適当に作った数字だったが、ヤバイので本庁と口裏を合わせてなかったことにし、産経をトカゲのシッポにした。

 水産庁と所轄法人は国民に対して決してウソをついたりしない正直でまっとうな行政機関だとの前提を受け入れるとすれば、3番の可能性は0%。汚染米事件とか、天下り人数報告とか、ヤミ専従問題とか、「土産」とか、いろいろいろいろいろ〜いろありましたけど、この前提を受け入れることにしましょう・・。
 というわけで、以下はフィクションのお話。
 水研センターが実際に試算し、その結果が産経報道と同じだったと仮定します。でもって、筆者が事前に試算し、今回の件を追及することをしなかったとしましょう。一体どういうことになっていたでしょうか?
 間もなく開かれるIWCマデイラ総会の席上で、森下参事官らが「捕鯨はエコだ!」と高らかに主張。
 そして、各国から「日本はなんでこんな非科学的な主張ばっかりするんだろう?」「どこまで環境問題について無知・無理解なんだろう?」とさんざんなバッシングを浴びる羽目になったことでしょう。
 筆者は別に森下氏のファンでも何でもありませんし、公僕の身を弁えない官僚個人がいくら叩かれようが知ったこっちゃないのですが、国際会議の場での日本の高官の発言は、これすなわち国全体、日本国民すべての主張として受け止められ、跳ね返ってくるのです。いえ、日本のみならず、事前の勉強会で仕込まれ声を合わせたアフリカ、大洋州、カリブ、東南アジアの票買い同盟国までとばっちりを受け、日本と同等のエコ偽装国家扱いされていたでしょう。もしかしたらそれは、クジラにとってはプラスだったかもしれません。しかし、日本人の1人としては実に耐えがたい屈辱です。保守系の御用新聞が赤っ恥を掻いたところで、国民にとっちゃ痛くも痒くもないけど。
 国家的エリートが文殊の知恵を働かせる組織を相手に、一介の市民が結果を予測しつつツッコミを入れようとしても、なかなか思うようには運ばないものです。もう半月タイミングがずれてたら、より大きなインパクトがあったかもしれませんが・・。
 ただ、今回のアプローチではひとつ大きな収穫がありました。産経の記事に触発され引用ブログを書いた方がたくさん見受けられたのですが、筆者が見つけた範囲で注意を促すと、かなり多くの皆さんが理解を示してくださったのです。日本・日本人もまだまだ捨てたもんじゃないニャ〜♪

 

◇捕鯨とナショナリズム──捕鯨賛成派はこんなんばっか(続)

 こちらも鯨研のオトモダチ新聞プレゼンツ。

■【話の肖像画】出る杭になれ(上)作家・三浦朱門 (6/2,産経)
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/090602/acd0906020312001-n1.htm (リンク切れ)
http://www.sesshuukai.com/HTML/Nippon-Yukumichi.htm

 ・・・・。
 何ともはや、わかりやすいお話で。自分たちの国が「自己中心的で確信犯」になっていないか、絶えず検証する精神を忘れずにいたいものです。森下参事官殿、きちんと読まれましたか?
 産経さん、デマ報道と合わせ、逆宣伝ありがとうございますm(_ _)m

posted by カメクジラネコ at 18:50| Comment(7) | TrackBack(0) | 社会科学系
この記事へのコメント
<日本はその柔軟性ゆえに長い歴史の中で弁証法的に発展し、世界からは異質な国に見えるのかもしれません。しかしダーウィンの進化論ではないですが、日本ほど環境にうまく対応してきた国はない。自信と誇りを持って「出る杭(くい)」になってもらいたいのです。>

リンク先に上のような文章がありましたが、ダーウィンさんの理論が見事に曲解されていますなー。
Posted by beachmollusc at 2009年06月04日 09:12
>beachmolluscさん
ナショナリストの皆さんは似非進化論がホントに大好きですからねぇ。「民族の優勝劣敗を科学的に裏付ける」という願望・妄想ですな。他の要素が言いづらくなったもんだから、最近は「環境」で中韓やアングロサクソンに優れていると宣伝しだした感があります。これも典型的なルサンチマンといえますが・・。
実際のところ、日本が世界の中でも秀でているのは、この手の「エコ偽装」じゃないかという気がしますけどね〜。
Posted by ネコ at 2009年06月04日 18:41
>産経「鯨肉は牛肉よりエコ?」はデマだった

いやはや、舞台裏は大変なことになっていたみたいですね。
特に、水産総合研究センターが産経の記事と異なる見解を出してるあたり・・・。

でも、もっと怖いのは、産経の記事を元にして捕鯨賛成論が広まったことなんですよね。
一体、誰がこの責任をとるのやら・・・。
Posted by flagburner at 2009年06月04日 20:52
「捕鯨はエコ」はデマじゃないよ。

畜産には餌が必要になる。捕鯨にはこれがいらない。これが大きい。

南極海に出向くための燃料費?餌を輸入していたら、そんなのは相殺されちゃうしね
Posted by 事実を語る at 2009年06月05日 00:16
>flagburnerさん
水研センターも、私が聞かなきゃスッとぼけてたとこです。。結構例の記事を真に受けてブログに引用してる方が多いみたいで。なんで私らが火消しせにゃならんのでしょうかねぇ・・(--;

>事実を語るさん
まず産経記事とJANJAN記事を読んでご覧よ。中学生でも理解できる内容だよ。捕鯨賛成派は根拠のないこどもじみた妄想を事実と信じ込むヒトばっかりだと思われちゃうよ?
Posted by ネコ at 2009年06月05日 01:04
水研センターの調査がズサンだったのは大変残念!でも「捕鯨が牛肉よりエコ」なのは紛れもない事実。
牛肉消費量の増加のために世界中で起こっている森林伐採、メタン・CO2の排出量の増加、河川の汚染。。。牛肉生産は、とてつもなく環境負担が重い。
怪しげなデータではなく、しっかりとしたデータの裏づけをもって、堂々と国際的に、「捕鯨は牛肉よりエコ」だとを主張していくべき。間違っても捕鯨賛成派は、苦し紛れに平気でデータを捏造するなどと思われないように、お粗末な発表はどうかしないでほしい!
ちなみに私は「捕鯨賛成派」というより、「反捕鯨反対派」。
Posted by るーしゃん at 2009年08月16日 09:22
>るーしゃんさん

「水研センターの調査がずさんだった」とお認めになるのは、「反捕鯨反対派」の方にしちゃ見上げたもんです。正確には、ずさんな調査結果を突っ込まれると思わずにオトモダチ産経にこっそり流してボロが出たもんだからなかったことにしたんだけど。。

>苦し紛れに平気でデータを捏造するなどと思われないように、お粗末な発表はどうかしないでほしい!

残念ですが、手遅れですな。もうとっくに世界にバレてます。
「データの裏づけ」なんて百年待っても出てきませんよ。捕鯨がエコじゃないのは「紛れもない事実」なんで。
この辺もついでに読んでってください。

http://www.kkneko.com/ushi.htm
Posted by ネコ at 2009年08月17日 00:56
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