2009年05月16日

ODAで買うクジラ票──非捕鯨国をご接待&疑惑まみれ水産ODA

 うちや近所の屋根に巣をかけていたスズメのヒナたちが巣立ちの時期を迎えました。一昨日は風が強くて少し心配だったのですが。我が家の一員となった足欠け文鳥さんのご飯のお余りを、親たちがせっせと運んでいます。



◇インターネット新聞に記事が載りました!

■ODAで買うクジラ票(上)非捕鯨国をご接待 (5/15,JANJAN NEWS)
http://www.news.janjan.jp/government/0905/0905140329/1.php
■ODAで買うクジラ票(下)疑惑まみれ水産ODA (5/16,JANJAN NEWS)
http://www.news.janjan.jp/government/0905/0905150461/1.php

 前回・前々回とお伝えしたODAに関する記事のポイントをまとめた要約版(2回連載)をJANJANさんに掲載していただきました。気に入った方はぜひお気に入りボタンをポチッと押してくださいニャ〜♪
 上掲の記事の内容は、6月のマデイラ総会までに皆さんに是非周知していただきたいと願っています。
 今回、筆者は外務省や会計検査院の資料をもとに、最近の数字ではっきりした格差(捕鯨支持国とそれ以外の国、水産ODA調達とそれ以外のODA調達との間の)があることを提示しました。もっとも、オトモダチ天下り団体・海外漁業協力財団や水産コンサル・ゼネコンは、実際には前々からアヤシイとにらまれてはいたんですが・・。
 ともかく、「か弱い捕鯨産業をみんながかばって応援してくれてるんだ!」という森下氏らの主張は真っ赤な嘘ということ。水産庁捕鯨班&鯨研&共同船舶(捕鯨協会)から成る捕鯨サークルの背後には、水産業界団体を牛耳る大手水産(旧捕鯨)企業の関係者、多数の農水省・水産庁天下りOBと予備軍たち、水産ODA利権をせしめるコンサル・ゼネコン業界による捕鯨ハイパーサークル≠ェ控えているのです。
 調査捕鯨へのこれまでの補助金は100億円超。それも決して少なくはありませんが、水産ODAの15年間の総額は1000億円超。懐柔に失敗したケースなども含め、7割以上がクジラがらみ。彼らは科学と文化の美名のもとに、言い値で仕事を受注し続けてきたわけです。
 南極の自然を貪り、国民の血税を貪り、開発途上国の主権を踏みつけ、日本の対外的信用を地に貶めてきた捕鯨利権は、決して小悪ではありません。間違いなく巨悪です。


 

◇西松建設と捕鯨・続

■西松建設の違法献金事件|Yahoo!ニュース
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/nishimatsu_kensetsu/
■西松建設の調査報告書要旨 (5/15,中国新聞・詳報)
http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2009051501000928_Detail.html

こうした巨額の裏金が発覚しなかった大きな原因は、海外事業を“聖域化”させたことにある。

 以上は中国新聞からの引用。
 西松建設が海外で捻出した裏金は計8億9300万円、このうち半分の4億1900万円がそのまま海外で使われ、タイで共同企業体となった現地企業に渡ったリベートが約2億2千万円とのこと。以前から囁かれていた現地企業との癒着の実態が、PCI汚職事件と合わせ、今回数字ではっきりと明らかになったわけです。コンサル・ゼネコンのODA事業は、巨額の横領・着服や賄賂のための裏金作りが簡単に出来てしまう構造になっているのです。
 西松建設は報告書の中で、再発防止策として取締役会の強化などを掲げていますが、内部監査が骨抜きになっていた「会社の常識が社会の非常識」という同社が、果たして自助努力≠ナ再発を防げるでしょうか? 構造的汚職を招く、関連業界に広く共通する土壌を払拭することが可能なのでしょうか? 筆者には到底そうは思えません。何しろ、どの政治家にいくらの違法献金が手渡されたのか、その詳細すら判明していないのですし。
 拙HPの詳細版で、鯨研に21億円を融資し、CITES締約国会議にまでちょっかいを出し、あからさまに捕鯨擁護を唱えるオトモダチ天下り団体である海外漁業協力財団が手がける水産技術協力は、随契を理由に予定価格の見積・積算資料などすべてを勝手に省略してしまうという、恐ろしいまでに不透明な内容であったことを取り上げました(〜会計検査院報告)。おそらく、どの公共機関による調達を見渡しても、ここまで真っ黒なケースはないでしょう。捕鯨支持国の政府関係者が異常なまでの熱意で日本を持ち上げようとする裏に、こうしたカラクリがあったのです。農水省のODA庁費の不明朗会計処理と合わせ、IWC工作向けの裏金が捻出され、単なる賄賂としてのほか、IWC加盟分担金や毎年の年次総会の際の代表団の飛行機代やホテル代として長年にわたって使われてきたことに、もはや疑念の余地はありません。
 以下は、水産技術協力に関わった経験のある方の体験談です。

海外漁業権保持のリベートばらまき財団は水産庁の天下り先であり、水産ODAを食い物にして相手国の役人たちを狂わせているコンサルのお得意さんです。一番大きい権益はカツオ・マグロでしょうね。
現場のコンサルの人たちは「蓄財とパーティに明け暮れる腐ったネオ・コロニスト」か「熱帯の海で粗悪な条件で汗まみれの働き者」に両極端に分離していました。


 現在では、15年間で1000億円以上という巨額の水産ODAのうち、捕鯨支持国向けが6割以上、最近では7割以上に上っています。つまり、海外漁業権獲得からIWC票買収にシフトしているということ。水産コンサル・ゼネコン業界に飯の種を供給する大義名分として使われているのが、アフリカ諸国等にとってまったく無縁な南極のクジラの「持続的利用」「食文化」という錦の御旗なのです。実際に1000億円以上を支払わされてきたのは、私たち日本国民なわけですが。
 HP記事でリンクさせていただきましたが、上記の体験談でいえば後者にあたるODA事業者の方のブログがこちらにあります。

■ODA:PCI汚職事件? (一日一歩、三日で三歩、後ろには下がらず)
http://blogs.yahoo.co.jp/yozat14/folder/1422261.html

 読めばわかるとおり、ODA事業関連業界は「正直者がバカを見る」世界なのです。
 必要なのは水産ODAの徹底改革。
 農水系社団法人として最多の補助金を受けているOFCA(海外水産コンサルタンツ協会)と、捕鯨サークルと一連托生のOFCA(海外漁業協力財団)は、統廃合して潰すべき外郭団体の筆頭。調達はJICAに一本化すべき。貧しく技術水準が低く資源枯渇も深刻な、本当に水産業の発展のためのサポートを必要としている開発途上国のためにのみ、無償援助は行われるべきです。そして、上掲のようなまっとうな事業者の手で事業が行われるべき。捕鯨利権の甘い汁をたっぷり吸ってきた天下り官僚とネオ・コロニストたちには、さっさと退場してもらいましょう。


 

◇民意や世論って・・ 

■温室ガスの削減目標、「厳しい派」「緩い派」の対立構図に (5/15,読売)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090514-00001266-yom-soci (リンク切れ)

 厳しい派が2割、緩い派が7割だそうな。調査捕鯨支持よりひどいじゃん!
 環境省のパブコメ応募件数なので、別にこれも統計的な世論調査というわけではないのですが。日本の環境後進国ぶりを示す……というより、やっぱ経団連とかの"組織票"でしょ(--; こういうとこも同じだよね。。
 確かに、つるみたがりでかしましいMIXI内の捕鯨シンパたちのように、「温暖化はクジラについては考えなくてよい」と、野生動物のみならず環境問題全般への無関心ぶりをせっせとアピールしているヒトたちも、中にはいらっしゃいます。しかし、「地球温暖化対策に後ろ向きでいい」というのが国民の総意であると、数字のみをもって判断するのは禁物でしょう。
 当事者である業界・国がマスコミを使って発信するわかりやすいウソに、一般大衆があっという間にだまされる傾向も否定できません。センセーショナルな感情論に動かされやすいのは、死刑についての世論調査などを見てもわかるとおり。
 消費税や保険・年金のアップ、あるいは米軍基地移転等の問題については、むしろ民意が反映されなさすぎると感じます。しかし、中には温暖化対策や公海捕鯨撤退のように、政策決定は国際協調・予防原則の立場を第一にして、国民に対しては粘り強く説得を続けることが必要なテーマもあるでしょう。欧州はじめ世界各国の死刑廃止の流れも、そのようにして市民の理解が醸成されていったものなのですし。


 

◇NPO発情報

■告発から1年、クジラ肉横領は争点にならないという検察官の主張が退けられる――調査鯨肉裁判:第三回公判前整理手続きで (5/15,GPJ)
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20090515oc_html

裁判所は「(船員による鯨肉)入手経路について公判前整理中にいっさい話さないということでは争点を整理するのは困難である」として、検察官がこれまでに主張していた「クジラ肉横領の有無は本件と関係ない」という主張を退けた。

 上記は引用。以下、筆者の感想。
 裁判官の判断は常識的、検察官の主張は非常識の一語に尽きますね・・・

■鯨殺しは世界の漁業を救うだろうか? (5/15,JWCS)
http://wildlife.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-1272.html

 野生生物保全論研究会が『Time』の記事を翻訳してくれています。ぜひご一読を。これまた常識的な論説ですね。

参考リンク:
■サイエンス誌2月13日号に「クジラ食害論」を否定する論文が出た|ドイツ語好きの化学者のメモ
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/60296955.html


 

◇予防第一

■日本の新型インフルエンザ(H1N1)対策|Yahoo!ニュース
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/swine_flu_in_japan/

 まあ、水際で止めるったって、鎖国でもしなきゃ無理だよね。それでも無理か(--; 日本はまだこの時季だからいいものの、冬にかけてどうなることやら・・。
 これが科学の限界。そしてニンゲンという動物の限界。南極海捕鯨も、後で「こんなはずじゃなかった」後悔する前になんとかしましょう──

posted by カメクジラネコ at 18:02| Comment(8) | TrackBack(0) | 社会科学系
この記事へのコメント
こんにちは紅海だよりのNAOKIです。インターネット新聞の記事も見せていただきました。とても良く調べられて頭がさがる思いです。

海外で仕事をしているものにとって、ODAはずっと付きまとう非常に悩ましい問題です。宗男事件で実態が知られて良かったと思う間もなく、すぐに忘れ去れてみんなの関心の薄さを切実に思います。
Posted by NAOKI at 2009年05月16日 21:20
>NAOKIさん
ありがとうございます。
遅ればせながら、うちのブログのリンク欄から「紅海だより」へのリンクを張らせていただきましたm(_ _)m
海外にお住まいの方にとっては、ODAはいわば"日本の顔"のとして意識せざるをえないものだと思いますが、日本国内では関心が薄くて、そこにツケこむヒトたちがいるわけですよね・・。
Posted by ネコ at 2009年05月17日 00:36
kknekoさま、
当ブログにコメントをいただきましてありがとうございました。さっそくJANJANの記事と貴HPの記事を読ませていただきました。

捕鯨国には、多額のODA、非捕鯨国には、小額のODAを寄付、それもかなりの差をつけてという現実を知り、あきれかえりました。

こうやって日本は貧しい国を捕鯨国にして、鯨を殺し続けていくのですね。そのやり方には、憤りを覚えます。
Posted by 美爾依 at 2009年05月17日 11:30
>美爾依さん
ありがとうございます。
この情報を多くの日本国民の皆さんに知って欲しい、そして憤りを共有して欲しいというのが、私の願いです。
Posted by ネコ at 2009年05月17日 12:49
記事読みました。
色々凄い事が明らかになってきているものの、水産業への過剰な優遇を思えば、これはまだ「氷山の一角」なのではないかという気もしなくもないのですが、その努力に感服しました。

正直、私は数字がらみの調べ物は苦手なので、調査捕鯨の環境負荷の件といい本当に感心しました。
Posted by 猫玉 at 2009年05月17日 15:20
>猫玉さん
ありがとうございます。
>水産業への過剰な優遇を思えば、これはまだ「氷山の一角」なのではないかという気もしなくもないのですが
詰めきれてないのは特に"政"の癒着の部分で、さぞかしドロドロのネタがいっぱい出てくるんじゃないかと思いますが、そこは何とかマスコミの記者にプロとしてのジャーナリスト魂を発揮してもらいたいところです・・
Posted by ネコ at 2009年05月17日 16:24
kknekoさん、JanJanの記事読みました〜。
ODAが現地の人達のために役に立つものなら、多少はマシなのでしょうが・・・。
なんか、日本の企業が丸儲けしてる感が否めません。


そういえば。
新型インフルエンザ(豚インフルエンザ?)に感染した人が出た高校に対して、中傷の電話をかけた人がいるんですよね。

新型インフル感染の高校に「帰ってくるな!」(2009年5月13日 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090513-OHT1T00034.htm

どういう神経をしているのやら・・・。
Posted by flagburner at 2009年05月17日 19:56
>flagburnerさん
どもども。動機が"不純"だと「現地の人に役立つ援助」は残念ながらできないでしょうね。
インフルの話は他のブロガーさんの記事を読んで私もびっくりしました。インフルエンザそのものより、高校生の子たちがそんな罵声を浴びせられることで負う心の傷の方がよっぽど深刻なのでは・・・
Posted by ネコ at 2009年05月17日 20:16
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/29186645
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック