2009年04月21日

カナダのアザラシ猟と日本の捕鯨/ビックリ仰天!! 日本捕鯨協会の人権認識

◇クジラ関連ニュースクリッピング


■2008/09年第二期南極海鯨類捕獲調査(JARPAII)−妨害行動の概要− (4/14,ICR)
http://www.icrwhale.org/090414ReleasebougaiJp.htm
■第二期南極海鯨類捕獲調査(JARPAII)−2008/09年(第四次)調査航海の調査結果について− (4/13,ICR)
http://www.icrwhale.org/090413ReleaseJp.htm

 まずはわれらが捕鯨ニッポンのお笑い鯨人集団・鯨研殿のプレスリリースから。これまでと異色な強調の仕方をした面白い内容。これについて、flagburnerさんが解説してくれています。

■誇大史(?)に残る「調査捕鯨」の結果報告+β (4/14,flagburner's blog)
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/eed1b38cb6941affa151eeeb948b5f20

 それにしてもflagburnerさんがツッコんでくれているように、鯨研の誇大広告ぶりがすごいですね。信用できない鯨研に代わってソースのFAO自身のリリースを引用してくれています。FAOの方にはまともな科学者が関わっていることがわかって、正直ホッとしました。必読!
 筆者からは今回は一点だけ。以前「妨害活動になんでこんなにスペース割いてるんニャ?」と筆者にツッコまれた所為か、今回はリリースに貼っ付けた写真のサイズをちっちゃくしてますな。。。

 marburg_aromatics_chemさんも帰港会見について記事を書いてくれています。

■調査捕鯨団のシーシェパード非難会見は新規予算措置の理由説明なのか (4/17、フリーランス英独翻訳者を目指す化学系元ポスドクのメモ)
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/60936162.html

 下関市の経済効果1億円の話(自治体としちゃそりゃ大きいでしょうけど・・)、鯨研プレスリリースの偏向情報、補助金増額の話をまとめてくれています。昨年は燃料費高騰を口実にした増額もしてるんですよね。鯨肉値上げでまた需要が落ち込み、さらに赤字が膨らんだら、この調子でまた別のネタを捻りだすかもしれませんね・・

 

■鯨肉また値上げ? シー・シェパード妨害でクジラの捕獲2割減 (9/14,産経)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090414-00000104-san-soci

 鯨研に役員を派遣しているオトモダチ新聞・産経の報道。
 「また値上げを検討せざるを得ない」と水産庁は言っていますが、こりゃまた実に妙な話ですね。
 今漁期の捕獲数:クロミンク679頭+鯨肉歩留の大きいナガス1頭(計画の約8割)は、昨漁期の捕獲数:クロミンク551頭(計画の6割、ナガスはなし)に比べると、実はかなり多いのです。にもかかわらず、今月発表された在庫統計では、今年2月の鯨肉在庫は2819トンで、昨年2月の2485トンよりも何と300トン以上も多く昨年の1月と同水準。一カ月分掃けずに在庫が溜まっちゃっている計算です。増えた在庫に増えた生産量。それなのになぜ値上げ???
 答えは一つ、もう一つ増えたものがあるから。それは、国庫補助金を12億円まで増額させたのに、さらに1億円も増えて8億円になっちゃった鯨研の経常赤字
 要するに事実を言えば、シーシェパードの妨害の所為でも捕獲数が少なかった所為でも何でもなく、単に「売れなかったからもっと値上げする」だけなのです。
 面白いのは以下の記述。

業界関係者によると、最近では鯨料理を食べる人も「50歳代以上が中心」という。(引用)

 やっぱりウヨガキ君たちには何も期待できないということですね。もともと攻撃対象を探しているだけの反抗期のオコチャマ層ですし・・。
 今から給食や出前講義で子供たちを洗脳しようとしたって手遅れですよ。
 ただ……もし、日本が食文化の本質(地産地消や命を粗末にしないこと)を見失わずにさえいたら、もう少し受け入れられていたのかもしれない──などとも思います。
 まずは南極から撤退して襟を正すことです。

 

■漁船沈没事故 厳しい自然に挑む難しさ (4/16,西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/89729

 長崎県北部にある生月島(平戸市)は古来、漁業の島として栄え、かつては「勇魚取(いさなとり)」(捕鯨)の島でもあった。今日、この島が全国有数の遠洋巻き網漁業の基地となっているのは、こうした歴史と伝統があるからである。(引用)

 地方新聞でトップクラスの捕鯨擁護紙・西日本新聞の社説。もちろん、古式捕鯨と「全国有数の遠洋巻き網漁業の基地」となっていることの間には、まったく何の関係もありません。

 海洋を支配している自然の巨大な力と、こうした自然を相手に営んできた漁業の困難と漁業者の誇りを思う。(引用)

 事故は大変遺憾なことです。が、こういう叙情的ナルシズムに陥った文章は、客観的な事故原因の分析や再発防止策の考案に何一つ寄与しません。
 「漁業を取り巻く環境」について、同紙社説は詳細に言及していませんが、現行のTAC制度や、かつての大手水産が牛耳る流通システムの問題と、無理を押しての出漁、は決して無関係ではないでしょう。
 客観的な事故原因の分析と再発防止策の提示は、今年南極海で起きた調査捕鯨船員転落事故に関しても必要なことです。水産庁と事業の実施主体である鯨研並びに社員を失った共同船舶は、なぜ国民に伝えようとしないのでしょうか?

 

■農水省で特別展示「クジラについて考える」《農水省》(5/11〜15) (4/20,農業協同組合新聞)
http://www.jacom.or.jp/moyooshi/moyosi2009/moyo101s09042009.html

 ビデオ上映だとか、農水省も本格的にシーシェパードの真似をし始めたようです。もともとそっくりでしたけど。。。



◇カナダのアザラシ猟と日本の捕鯨
 

■「アザラシ猟残酷」EUが禁輸法案、輸出国カナダ猛反発 (4/17,読売)
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20090417-OYT1T01122.htm?from=navr

 欧州でのアザラシ禁輸の動きは、「かわいそう」という世論に突き動かされており、捕鯨問題で反捕鯨派が「生態系保全」を前面に立て論陣を張るのとも異なる。このため、カナダ政府が生態系への影響を持ち出しても議論がかみ合う余地は乏しい。(以上引用)

 日本の捕鯨擁護論者には意味不明かもしれませんが、実際にアザラシ猟反対と捕鯨反対とでは運動に参加しているNGOや市民の“層”が違います(掛け持ちのとこもありますが)。ちなみに、捕鯨に関して生態系保全で論陣を張っているWWFやGPの主張は、日本のマスコミがまともに伝えず(直接HPに行けばいくらでも読むことはできますが)、水産庁はすり替え、環境教育をまともに受けてこなかったウヨガキ君たち応援団は困ったことに脳ミソがついていきません・・。
 ここで、アザラシ猟に対する筆者の個人的見解を述べておきたいと思います。
 筆者は、GPのようにアニマルライトの観点を完全に無視するNGOとはスタンスが異なります。「殺す方に合わせて何が悪い」「動物福祉後進国兼最悪の食糧廃棄国が南極の野生動物を貪って何が悪い」と息巻く捕鯨シンパとは対照的に、ヴィーガン・ベジの道を歩み、捨てネコや捨てフェレたちを扶養し、犠牲を極力抑えるライフスタイルを心がけております。ただ、アザラシ猟に関しては、少なくとも優先順位が高いとは思っていません。ウシやカンガルーと比べても。
 タテゴトアザラシ猟に対するカナダ政府の見解は、日本政府の捕鯨擁護論に比べると、幾分正当性があるといえるでしょう。カナダの自国領内で人力手段に頼る零細業者がやっていることですし。とはいえ、温暖化の影響は否定できませんし(捕食者のホッキョクグマの方が深刻ですが)、食害論も間引けば済むという単純なものではありません。それと、カナダの自然に何の責任も持たない、社会風潮に流されて死体を着飾るのがステータスだと勘違いしているだけの各国の消費者の意識を問うことなく、輸入禁止で済ませようとするEU及びロビイングしているNPOのやり方に対しては、道義的に疑問を覚えます。もちろん不買運動もやった上でのことで、実効性が上がらないからってことでしょうが・・。それはそれで情けない話。仮にWTOで負けたら、返って大きな悪影響が各方面に波及しかねません。
 捕殺手段に拘るよりは、トータルの犠牲の数と必要性を吟味・検証することの方が大事だと、筆者には思えます。以前にも書いたことですが、安易に積極的安楽死に頼りがちな欧米人の生命観──ヒトを含む生命倫理の歴史・社会学的経緯によるもので、民族・文化の差異とは微妙に異なるのですが──には、にわかに同意しかねる部分もあります。
 キツネ狩りや闘牛などでは、それぞれの国の心(意志と才知)ある人たちの努力で画期的な前進を見ましたが、カナダにイチャモンを付ける前にもっとできることはあるでしょう。必要なのはむしろカナダ国内での議論です。忍耐強く一歩ずつ前へ進むことをせずに、政治的な圧力を駆使して一般人の目にわかりやすい結果を出そうと事を急ぐのは、動物たちにとって決してプラスにはならず、寄付目当ての売名行為との謗りも免れないでしょう。ルサンチマンに駆られた超保守層によるアンチ・アングロサクソン・プロパガンダ旋風が巻き起こり、すっかり足踏み状態に陥っているどっかの捕鯨国の事例もありますし・・
 まあもっとも、ベジタリアンの数や社会的認知度、家畜やペットに対する行政の福祉施策・規制を見ても、捨て犬猫&行政殺処分&食糧廃棄大国に暮らす日本人の身としては、文句の一つも言えませんが。大体、「かわいいが保護色!」なんて帯入りの写真集がバカ売れしたり、タマちゃんフィーバーで熱狂する愛誤度100%のお国柄ですし・・・・
 日本の南極捕鯨とは直接関係ない話ですが、関係者は「そら見たことか、次が来るぞ」と羊飼いの少年の如く叫びまくるかもしれませんね。果たして、クジラよりは多いと思われる全国のアザラシファンが、捕鯨シンパの説教に耳を傾け、反省してカナダ産の毛皮や調査鯨肉をガンガン購入するようになるでしょうか? クーちゃんブランドで町おこしを図る釧路は、返って反発して、沿岸調査船の寄港と鯨肉受入を拒否するかもしれないけど・・。アザラシとラッコの区別、ついてるかなあ??
 いろいろ教訓を示してくれる“対岸の火事”。しかし、私たち日本人が見習う(取り戻す)べきなのは、欧米の白人ではなく、自分から金繰り捨ててしまった「命を決して粗末にしない日本人らしい心」なのではありませんか?

 

◇ビックリ仰天!! 日本の捕鯨関係者の人権認識──障害者に対する差別表現をよしとする日本捕鯨協会

■鯨論・闘論|鯨ポータル・サイト(日本捕鯨協会)
http://www.e-kujira.or.jp/geiron/morishita/1/#c54 (リンク切れ)
http://megalodon.jp/2009-0421-0310-19/www.e-kujira.or.jp/geiron/morishita/1/ ('09/4/21取得、Web魚拓)

決して個人の方を傷つけたり差別したりすることは,鯨ポータル・サイト編集室の意図するところではございません。
確かに感情的な表現ではあっても「あからさまな差別用語」にはあたらないと考えるからです。(引用)

 応援団への攻撃を避けるために、これでもいろいろ苦心して文章を練ったつもりのようです。
 特定の個人を傷つける差別表現とはなんですか? ぜひご教授いただきたいですね。
 障害者全体を傷つける差別表現の重みについて、日本捕鯨協会は何一つ理解していないことが、これではっきりしました。

 なお、筆者の質問は結局森下氏に転送されなかった模様。仕方ないので、近日中にHP上にアップします・・

posted by カメクジラネコ at 02:57| Comment(4) | TrackBack(0) | 社会科学系
この記事へのコメント
記事のご紹介ありがとうございます。

>「また値上げを検討せざるを得ない」
う〜ん。
普通に考えたら、値上げをしたら却って鯨肉の売り上げが悪くなりそうなんですけどね。
それとも、今後鯨肉の消費や売り上げが落ち込んだ際、農水省は全部シーシェパードのせいにするつもりなんでしょうか?
色々謎ですね・・・。

>障害者全体を傷つける差別表現の重みについて、捕鯨協会は何一つ理解していないようです。
問題の書き込みを読んだのですが、実際に読むと酷い表現ですね。
せめて、問題の表現部分だけでも伏字にして欲しいところですが・・・。
Posted by flagburner at 2009年04月21日 21:42
>flagburnerさん
特にFAOの情報は大変参考になりました。秀逸な記事です。
>農水省は全部シーシェパードのせいにするつもりなんでしょうか?
そういう観測は結構聞かれます。SSが頑張るほど理不尽な税金の支出と値上げの口実になるという。。
>問題の書き込み
人種差別論をでっち上げるようなところですから、ウヨガキ君のコメントをそのままなんも考えずに載っけちゃったんですね・・
Posted by ネコ at 2009年04月22日 02:26
お久しぶりです。

>日本の捕鯨擁護論者には意味不明かもしれませんが、実際にアザラシ猟反対と捕鯨反対とでは運動に参加しているNGOや市民の“層”が違います(掛け持ちのとこもありますが)。

そうでしょうか?
緑豆(GP)や妖怪(SS)やハイジの友達(PETA)やIFAW等々、充分胡散臭い連中が双方に顔を出してますが。
確かに、日本のアザラシ愛好家やウォッチャーの類の人たちは、アザラシ漁反対運動に殆ど関与しないばかりか、そういう活動には懐疑的かつ批判的です。そういう意味では「“層”が違います」ですね。

日本の捕鯨の場合、どっちに軸足おくにせよ、擁護派と反対派の双方の声がダイレクトに入って来るので、それなりに相対化できるけど、このカナダのアザラシ漁に関しては、反対派の情報しか入ってこないです。しかも、あからさまな猟奇趣味的血みどろ画像やら、これ見よがしなお涙頂戴な文章やらで、具体的な信憑性のある科学的データが殆どありません。
さらにたちの悪いのは、そういう情報を検証もせずに鵜呑みにして、転載を繰り返すネットの住民が多いこと多いこと。

例を挙げれば、反対する哀誤団体なんかは「30万頭も殺してる」と、今にも絶滅しそうに言ってますが、タテゴトアザラシの総個体数は言いません。タテゴトアザラシは500万頭以上いて、毎年100万頭は産まれていとかで、毎年出生数等を調べて「これだけ獲ってよし」という数字を決めた上で漁をしてるそうです。
そういう指摘に対して「数なんか関係ない」といわんばかりの逆ギレ反論で、「そんなら数字出すなよ」と突っ込みどころ満載です。
また、「母親の目の前で、まだ泳げない乳のみ子を撲殺している。残酷だ」と言い張ってる人も多いけど、無節操にホワイトコート(授乳期もしくは離乳直前の赤ん坊)を獲っていた時代ならまだしも、現在では離乳し独り立ちしたての若い個体が漁の対象になっていて、タテゴトアザラシの生態を知ってる人ならあり得ない話だと判ります。
早い話がこれこそ“真っ赤な嘘”だって事です。

他にも過去に一部の哀誤団体が“やらせ映像”を流布したとか、色々と胡散臭い話がつきまとうので、迂闊に鵜呑みには出来ないです。

そういう点では、意外とアザラシ愛好家は冷静です。
Posted by オキクルミ at 2009年04月25日 21:31
>オキクルミさん

>日本のアザラシ愛好家やウォッチャーの類の人たち
とおっしゃいますが、タマちゃんフィーバーや「ホワイトコート絶賛写真集」が売れたりと愛誤度全開が日本の現状ですから、こっちも向こうも“層”が違うというだけの話では。
日本にとってはトドやゼニガタアザラシなど海棲哺乳類と漁業との共存の方が大きな課題であることは確かです。私は日本人が直接間接に大きな責任を負ってないことにはどうも関心が薄いもんで。国際PRの梅崎氏はうまく活用しましたが・・
Posted by ネコ at 2009年04月26日 01:14
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