2009年03月03日

日韓の捕鯨と日豪のストランディング/ラッコとクジラを差別する釧路

◇クジラニュースクリッピング──日韓の捕鯨と日豪のストランディング

■日本の沿岸捕鯨で攻防も=IWC、9日から事前会合 (3/3,時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009030200034
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090302-00000014-jij-int (リンク切れ)

 一連の過去記事をご参照・・。

 

■<クジラ>船首に載せたまま貨物船入港 苫小牧 (3/2,毎日/読売/北海道)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/150245_all.html (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090301-00000719-yom-soci (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090302-00000000-maiall-soci (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090302-00000000-maiall-soci.view-000 (リンク切れ)

 写真の死体はまだ新しいようですが、巡航速度の内航貨物船の船首に引っかかり、衝撃もなく気づかなかったとのこと。毎日の記事にあるように、絶命して間もない漂流死体か、かなり弱っていたのでしょうね。体長13m弱ということで、ナガスの1歳児くらいでしょうか。成長期に必要な餌を確保できなかったのか、何か他の要因があるのか、調査の結果を待ちたいところ。
 で、調査を担当するのは北大水産学部の松石隆教授。ネズミイルカの混獲防止の研究は結構なのですが、このヒトは勇魚会メンバーで、北海道新聞などのメディアを通じて食文化ヨイショをしてらっしゃいます・・。
 HPにご丁寧に既出論文等の一覧を業績書としてPDFで載せておいでなので、ざっと拝見。水産資源学者としては、ジャンルも対象種もずいぶん幅広いですね。共著論文や研究室の学生さんの論文で、調査捕鯨の目視精度に関係するものが、しかも'04-'05年など今世紀に入ってから出ており、これらは鯨研から研究費が拠出される共同研究となっています。
 そういえば、エゾシカ関係者が目視員の熟練度の差だとかずいぶんとアバウトな話≠してたり、IDCR/SOWERでは2周目と3周目でとんでもない差が出て、でもって鯨研殿がアバウトな話≠して科学委の合意を引き伸ばしたり、同研の藤瀬氏は鯨研通信で掲載されたレビュー概要で「採集作業(つまり捕獲)が目視の足を引っ張ってる」とうっかり(?)本音を漏らしたり……と、森下水産庁参事官が絶賛し、RMPに要する個体数データ取得に不可欠でもある科学調査でありながら、不確実性の壁がずいぶんと高く立ちはだかってるように見受けられるんですけどね。他の国からギャーギャー言われながら、毎年毎年同じことを続ける前に、一度立ち止まって再検討したほうがいいのでは? この際、致死的調査をすっぱりやめて、目視調査の確実性を高めることに専念したほうがよかありませんか?
 もう1点。松石氏が代表を務めるストランディングネットワーク北海道のこの件に関する解説記事には以下のオマケ付き。

 胃内容物から何を食べていたのかを調べ、漁業との競合の有無を明らかにする
 南氷洋では調査捕鯨で、ここ数年50頭を目標に捕獲調査をしようとしているが、妨害等によりほとんど調査できていない
 ナガスクジラの詳細な食性は不明であるが、ナガスクジラ科鯨類はオキアミや表層性の小魚(イワシ・サンマ・小型のスケトウダラ)や表層性のイカ(スルメイカなど)を食べる。(引用)

 見事にクジラ食害論を展開してくれてますが、松石氏はTIMEもScienceも森下参事官の鯨論・闘論の主張も見ていないご様子。JARPAUのナガス年間50頭の捕殺は、尾の身提供目的としか考えられない中途半端な調査で、減らしたのも減産調整の疑いもあれば、火災やら人身事故やらいろいろ遭った所為もあるのに全部SSにひっかぶせてますし・・。最後のいい加減な記述は何でしょうか? 北太平洋でナガスの捕殺調査などやれば、内外の自然保護関係者が大ブーイングを寄越すのは必至。バイオプシーで調べればすむでしょう。精度も高いし、副産物がないこと以外、いいことづくめでしょうに。今回災難に遭った仔ナガスにしたって、空っぽの可能性もあるし、成熟個体と餌の嗜好が違うことも考えられますしね。

参考リンク:
■北海道大学松石研究室
http://minke.fish.hokudai.ac.jp/office-m/
■ストランディングネットワーク北海道
http://snh.seesaa.net/


 

■クジラとイルカ192頭が浅瀬に迷い込む 豪タスマニア (3/2,読売/時事/CNN/Reuter)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090302-00000019-cnn-int (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090302-00000907-yom-soci (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090302-00000044-jij-int (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090302-00000558-reu-int (リンク切れ)

 タスマニアとオーストラリアの間にあるキング島でのストランディングだそうです。タスマニアといえば、SSのワトソン船長が大学で日本の森林伐採について講義をしに行ったら、強制捜査を受けたとの報道があったばかりですが。
 CNNによれば、オーストラリアのストランディングの90%がタスマニアで起きているとのこと。海底地形と海流によるのでしょうが、過去3ヶ月で400頭に上るということで、もし増加傾向にあるとすれば、気候変動による海流や海水温の変化なども関係してきそうですね・・


 

■捕鯨:禁止から23年、韓国の現状(上・中・下) (3/1,朝鮮日報)
http://www.chosunonline.com/news/20090301000018

 水産庁の森下参事官が「ナショナリズムと結び付けられるのは困る」と言いつつ、IWC国内総会での右翼街宣やネトウヨ君たちの2chやMIXIでの大活躍を見て見ぬふりをしているように捕鯨推進論とナショナリズムとが分かちがたく結び付いているのは紛れもない事実。検索すれば、韓国にケンカを売ってるウヨガキ君たちのブログがいつでも引っかかってきますしね・・。どちらかというと、似た者同士の近親憎悪の側面が多分にありそうですが・・・
 記事を読むと、どうも蔚山市は食鯨と観鯨をセットでやりたいようですね・・。自らを戒め、律することなく、いいとこどりを目指す優柔不断なところも、日本によく似ているといえそう。
 東海(日本海)のクジラは一万頭と、またごった煮の話をしているうえに、森下氏がばっさり切り捨てた極論のクジラ食害論を日本からそっくり輸入してしまっています。ミンククジラのJ−ストックはたまったもんじゃありません。以前から指摘されているところの密漁問題や、IWCで今後沿岸捕鯨再開が実現した場合、これまで比較的近い捕鯨肯定の立場で手を握り合っていた日韓両国が、わずかなパイをめぐって争い合い、両国の右翼の過激発言に油を注ぐことになるのは必至でしょう。しわ寄せを食うのはもちろんクジラたちです。
 いっせいのせで両国ともにやめるのが、日本人にとっても、韓国人にとっても、クジラにとっても、すなわち誰にとっても恨みを残さないいちばん平和な解決法です。
 記事にあるようにWWは韓国でも軌道に乗っていますし、犬猫食反対と同様に、捕鯨に反対する韓国人だって増えてきているのですから。どちらの国がより命と自然に優しい国になれるか、そういうところで競い合ってほしいですね。

参考リンク:
■危機にさらされている韓国の鯨、我々が守ろう ('05/5/10,JanJan)
http://www.news.janjan.jp/world/0505/0505090829/1.php (リンク切れ)
http://janjan.voicejapan.org/world/0505/0505090829/1.php
■網よりも自由を!―混獲と違法捕鯨で危機にさらされるクジラの嘆き ('04/2/27,日中韓環境情報サイト)
http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/K04022701J



◇ラッコとクジラを差別する釧路
 

■ラッコ「くーちゃん」、足びれに釣り針/ラッコのくーちゃん、菓子パンも大人気 1000個即完売 (3/2-2/21,毎日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090303-00000000-maip-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090221-00000003-maiall-soci

 ラッコパンだのなんのと、観光の目玉にしたり野次馬が押しかけたり、捕鯨ニッポンらしいたまちゃん型動物愛誤の典型ですな・・・
 そもそも死亡率の高い野生動物の迷子に関しては、自然要因により死亡に至ったとしても放置でいいと筆者は思っています。ただ、今回は明らかに、心ない釣り人/漁師の投棄した釣り針という人為的要因が絡んでいます。すでに気力も残ってなさそうですし、鉛の錘が付いたまま海中に潜ってしまったということですから、生存はかなり絶望的かも。
 名前付ける暇があったら、豪州など海外と同レベルの救護体制を行政とNPOが連携して作ったらどうなんですか? どうせすぐに忘れちゃうんだろうけど・・
 そういや釧路は、明治期以降に移入されたアイヌの文化(余談ですが、昔太平洋西岸にもらっこがたくさんいたころ、アイヌの人たちはラッコの毛皮を交易していました)と無関係な沿岸捕鯨地でもあります。毎年殺されるクジラたちに「らっちゃん」という名前でも付けたらどうですか?


 

◇クジラ関連TV評

■シリーズ人の謎に迫るD言葉はどう生まれたか?|サイエンスZERO (2/22,NHK)
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp246.html

 おもしろい研究ですね。理化研の岡ノ谷氏、バックのPCにザトウのイラストが映ってたので、出るだろうと思ってはいましたが。
 せっかくだから、階層構造で知られるザトウの歌について、もうちょっと細かく解説して欲しかったところ。筆者自身は、十姉妹に毛が生えた程度だろうとは思ってますが・・。今後は音楽より、シチュエーションに応じた意思伝達の要素が強いと思われるカラスやアフリカゾウ、シャチの言語にも焦点を当ててほしいですね。サバンナモンキーのワシとヘビの単語の話もおもしろかったのですが、先天的要素と後天的要素がどのくらいか(血縁集団間で相違や共通性がどの程度あるか)も調べて欲しいところ。
 佐倉統氏、相似と相同の問題に突っ込んだはいいものの、結論がとんちんかん。社会性に関しては、形態や生理以上に近縁種間の開きが大きいものです。また、形態の相似形質と同じく、行動についても起源が別かどうかは問題ではありません。どのようなメカニズムが働くことで、こうした共通性のある社会行動が異なる系統の動物種同士で見られるのかを調べることに、意義があるのですよ。
 十姉妹、ザトウクジラ、ニンゲンで同じ行動が進化した可能性があるということだけでも、ワクワクする話です。他にもいるかもしれないし、またそれらの間の差異を調べることでもさらにたくさんのことが明らかになるでしょう。
 こういった非致死的研究こそ科学の本当の醍醐味であり、ニンゲンの文化の起源にも迫るきわめて意義高いものです。毎年型どおりに行う副産物目当ての致死的調査からは、血の通わないガラクタしか生まれません。


 

■知られざるハワイ 感動の瞬間〜オアフを彩る宝物たち〜 (2/28,TBQ)
http://www.tvq.co.jp/special/hawaii/

 今年はハワイが州になって50周年ということで、ハワイ州観光局がスポンサーになっていたのですが、内容はなかなかよかったです。ハワイの自然に造詣の深い写真家高砂淳二氏、ザトウのショットとともに「獲るのをやめたことで、ウミガメやクジラたちも警戒心がなくなってきた」と語ってくれました。いい人だ・・。
 絶滅に最も近いといわれるハワイモンクアザラシや、同じく絶滅が危惧されるアオウミガメなども、現地のレンジャーの同行のもとに紹介。アオウミガメが、産卵以外の理由で、代謝をあげる日光浴のために上陸して休んでいるシーンなどは、なかなかか貴重でした。

posted by カメクジラネコ at 03:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学系
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