本日は船員転落事故の続報は届いていません。その代わり、鯨研が新しいプレスリリースを出しています。
■「国と特に密接な関係がある」特例民法法人への該当性について (1/9,鯨研)
http://www.icrwhale.org/gaitousei.pdf
パッと読んでも、皆さんには何のことやらわからないでしょうが、最近取り沙汰されている天下り等にもからむお話。詳細は研究者ブロガーさんが記事にしてくれていますので、是非ご一読を。筆者もググってみたら「該当する」が1件しか引っかからなかったので唖然としました・・。
■各特例民法法人が「国と特に密接な関係」がないことを公表している|フリーランス英独翻訳者を目指す化学系元ポスドクのメモ
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/archive/2009/1/10
こちらには水産庁所管のその他の法人の一覧があります。大日本水産会をはじめ、捕鯨応援団もいくつか含まれていますが、これぜーんぶ国と密接な関係はないと言い張っているんですね・・・
■所管特例民法法人一覧 −水産庁−|農水省HP
http://www.maff.go.jp/j/corp/koueki/suisan/index.html
◇またぞろ捕鯨ヨイショコラム
■記憶に新しいところでは…|春秋 (1/10,西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/70165 (リンク切れ)
拙HPでは詳細にお伝えしているところですが、捕鯨協会とPRコンサルタント会社の最強タッグが大変“優れた仕事”をなさったために、日本のジャーナリストは軒並み捕鯨ヨイショ派の軍門に下ってしまいました。'80年代からこの方、ミニコミ紙、機関紙、業界紙、地域紙を含めたメディアの紙面で、捕鯨擁護論が盛大に花を咲かせ続けてきたわけです。これもその典型といえるでしょう。国際PRのレクチャーを直接受けてはいない記者さんなんでしょうが。ネズミ講に例えると、一体何世代目にあたるんだか・・。記者が正式な署名をしないだけに、まさしく言いたい放題のコラムとなっています。
この記者氏にいわせると、殺人や略奪を繰り返しているマラッカ海峡やソマリア沖の正真正銘の海賊より、パフォーマンスだけの“お笑い鯨人”にすぎないシーシェパードの方が「始末が悪い」そうです。誰が公平に見ても、前者の方が悪質なのは当然なのでは。
今回の調査捕鯨を実施した結果、引き起こされた人命に関わる不幸な事故に対し、SSは捜索活動への協力を申し出たうえ、「捜索活動をしている間は抗議行動は行わない」と“ブシドー精神”を発揮している模様。ワトソン氏はややズレた日本かぶれっぽい・・。世界では、SSの方がフィクションさながらの義賊的海賊のイメージで捉えられ、貴重な南極の自然に対する実に身勝手な略奪行為≠働く日本の調査捕鯨船団の方が、悪の海賊の印象をもたれているでしょうね。まあ、バター攻撃をやめてくれないと、筆者としてはSSを支持することはできませんが。
それにしても、拙記事でここ連日関連報道について取り上げてきたとおり、どうも陰湿さという点では鯨研や日本のマスコミの方が上手を行っているように見えるのは、気のせいでしょうか?
コラムを読むと、そこら辺のネトウヨ君と比べてもさらにいい加減な内容で、事実誤認だらけ。シーシェパードが体当たりをしたのは、まさに悪質な密漁を繰り返していた海賊捕鯨船。現在進行形かどうかは定かでありませんが、近年まで密輸鯨肉に市場を提供する形で海賊捕鯨=密漁と密接な関わりを持っていたのが捕鯨ニッポンに他なりません。沿岸捕鯨や大手による遠洋捕鯨においても規制違反が常態化していましたし、当の調査捕鯨すらサンプリングのランダム性を無視した捕獲を行いデータを捏造していた疑いが持たれています。本職の記者である以上、「冗談は休み休みに願いたい」になんて日本人として恥ずかしいことを言うのは歴史をきちんと勉強してからにしてもらいたいものです。
調査捕鯨が、国際捕鯨取締条約で想定していなかった穴をついた姑息な擬似商業捕鯨として世界から非難を浴びていることについては、拙記事でも各NGOやブロガーさんもさんざん指摘していることです。「地球環境問題に絡む」というのも実にたちの悪い冗談ですね。まあ確かに、大量の化石燃料を消費しCO2やウOx、NOx、HFCなどの大気汚染・温室効果ガスを撒き散らしている点で、捕鯨ニッポンの方は絡んでいますけれども。調査捕鯨の科学性は、唯一「捕鯨を継続するためにのみ必要」なだけで、それさえ新しい管理方式では不要とされているもの。プライオリティの著しく低い似非研究にリソースを奪うだけで、まさに科学的には地球環境にとって百害あって一利なし。
西日本新聞の版図は福岡と捕鯨ヨイショ県山口。鯨肉消費の比較的多い地域だけに、色が付くのはある程度はやむを得ないことかもしれませんが・・
参考リンク:拙HP
■やる夫で学ぶ近代捕鯨史−番外編−
http://www.kkneko.com/aa1.htm
■捕鯨報道・マスメディアランキング
http://www.kkneko.com/media.htm
■調査捕鯨自体が否定した3つのトンデモ論
http://www.kkneko.com/jarpa.htm
◇その他クジラ関連ニュース
■クジラ最盛期前にパネル展など開催 那覇でホエールフェス (1/10,琉球新報)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090110-00000000-ryu-oki (リンク切れ)
「クジラと日本人の新しい文化」に関連する記事。
水産庁/鯨研は南半球のザトウクジラを「捕るぞ〜」「捕るぞ〜」と言い続け、北朝鮮流の脅迫外交で、豪州・NZ・トンガ・仏領ポリネシアなどで身近な野生動物と良好な関係を築いているたくさんの人々を震撼させています。しかし、拙HPの捕鯨批判ブログリンク集でもご紹介させていただいておりますが、自然との持続的な共存、サステイナブルユースを比較的容易に実現しやすいザトウクジラを捕殺することに遺憾の意を表明する方々は、日本国内でも着実に増えてきています。関係方面では、なかなか声を大にできず重苦しい気持ちを抱えている方々も少なくないでしょうが・・。
日本では“二刀流”(観る&食べる)のヒトも結構いるようですが(これもクジラに限らないことですけど・・)、何はさておき一度は本物に直接会ってみるのも悪くないことでしょう。
◇捕鯨ニッポンにおける野生動物の命
■「北限のサル」処分計画、上野動物園が20頭に救いの手 (1/10,読売)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090109-00000077-yom-soci (リンク切れ)
■「北限の猿」受難の年に 年明けから大規模捕獲 ('08/12/30,河北新報)
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/12/20081230t23016.htm (リンク切れ)
■北限のニホンザル捕獲可能 青森県が保護管理計画 ('04/02/09,共同通信)
http://www.47news.jp/CN/200402/CN2004020901003502.html
■北限のニホンザル|下北ナビ(下北半島の旅行サイト)
http://simokita.org/sight/wakino/saru.html
天然記念物も容易に殺してしまうところが捕鯨ニッポンらしいところ・・。上野の動き自体は評価できますが、救えるのは捕殺頭数の1割にも達しません。大量駆除の話が出てきたのは昨年末(2番目の河北の記事)。信じがたいのは、モンキードッグを導入して被害が1/4に激減する成果が見えてきたところだったにも関わらず、捕殺強硬を決めたことです。これでは「共存のために必要な最低限の措置」という謳い文句と真っ向から矛盾するでしょう。命を一体なんだと思っているのでしょうか?
すでに駆除は'04年時から始められており、個体識別が可能な数少ない研究者の方に、「“どれ”を間引くか」決めさせることにしたと聞いています。もちろん、素人に勝手にやらせるのに比べれば……という苦渋の判断であったのはわかりますが・・。(とくに霊長類の)研究者にとっての個体識別とは、対象の個体とある種の社会関係を結ぶに等しいものでもあります。そしてまた、生から死に至る数々の有用な情報を継続的に得ることを目的としている研究者にとって、捕殺という形で情報源を無理やり消去させられるのは、研究に対する侮蔑とも受け取れるでしょう。日本と異なり、狩猟管理や個体数調整を厳格に専門のレンジャーの管理官に任せている諸外国でも、フィールドで長期的な観察をしている行動学者が駆除作業を兼任しているケースなどないでしょうに。そのような無情な役目を押し付けるのは、筆者にはまさに血も涙もない冷血動物の仕打ちとしか思えませんでした。
農作物被害? 同地方の過去の台風や冷害等による農作物被害の損害額と、それに対する行政の補助金はいくらでしたか? 最後にリンクを張りましたが、下北の名物として貴重なサルが地元の観光産業にもたらした利益はどれほどに上るか、計算しましたか? カネのほうが命より大事だと、子供たちに教えるのですか?
この手の駆除をやる際は、生産物に「何頭のサル(あるいはイノシシやシカ等でも)を殺した上で作られた作物です」という説明表示の入ったラベルを貼って欲しいんですけどね。消費者として選択することができるので。
同じサルの一種としては、あまりに後ろめたい気持ちでいっぱいになります。これではやはり、ヒトという動物は社会性のサルよりアリに近いんじゃないかと思えてきます・・・