2008年12月09日

ハワイのザトウクジラの社会性

◇麻生氏、支持率半減・・

■麻生内閣の支持率半減21%…読売世論調査 (12/7,読売)
http://www.asyura2.com/08/senkyo56/msg/677.html

 まさかこんなにもたないとは。失礼ながら好感の持てないタイプでしたし、失言はきっと防げないだろうと予想はしてましたが、もうちっとうまく立ち回れるタイプだろうとも思ってました・・。あっという間に冷めて離れるアキバ系に頼ったことと、不況に対する庶民の現実感覚を甘く見たことが原因でしょうけど。
 オバマ版ニューディールは財政上?マークも付きますが、「思い切った政策」ってのはそもそもそういうものでしょう。利益誘導型政治の所為で台所は大火事なのに、肝腎なときには定額給付金だのしょーもないネタしか思い浮ばない日本の政治家さん、少しはよそを見習わないと・・。


 

◇ハワイのザトウクジラの社会性

■ハワイのザトウクジラ特集|動物奇想天外! (12/7,TBS)
http://www.tbs.co.jp/doubutsu/

 前半は、健康を害して寿命を著しく縮める虐待に等しい肥満猫をマスコットキャラ化して、関連グッズを売りさばこうという最低最悪の企画。かつて、なめ猫写真集というのが日本で持てはやされたときは、海外の動物保護団体からブーイングの嵐が巻き起こりましたが、はっきり言ってそれ以上の虐待に等しい行為。めっちゃ腹立ったので、チャンネルを切り換え。。でも、他局でもアメリカアカオオイカから墨を取るだの、命をもてあそぶふざけた企画ばっかりだったため、スイッチオフ。。。
 15分かそこら待機して、ようやくザトウクジラの特集がスタート。日本の動物愛誤系番組がまた妙な取り上げ方をしないかと、内心懸念はあったものの、ハワイの研究機関の協力と米国の許可がなければ撮影がそもそもできませんから、それほどおかしな監修は入らなかったようです。映像としては悪くなく、仔クジラが水中から水上へブリーチするシーンなどはなかなか見応えがありました。
 そうは言いつつ、やっぱりヘンテコなナレーションも・・。雄の個体がさまざまな威嚇を行ったシーンで、「父性愛とはまったく違う」というコメントが入りましたが、これは明らかな間違いです。監修者が研究者の説明を十分理解せず、シチュエーションを混同したのでしょう。通訳が間に入るとよくあること。もっとも、説明も悪かったのかもしれませんが。

 エスコートがチャレンジャーに対して威嚇行動を取るのは、確かに父性(本能)に基づく行動とはいえません。行動学的には、交尾機会を独占するためにライバル雄を排除する動機によるもの。ですが、この場合はニンゲン/船に対する威嚇ですよ!? 違います、これは。
 エスコート雄は母子に対して危害を加える可能性のある対象から母子をガードします。言うまでもなく、クジラはただの野生動物です。バカです。ニンゲンのように狡猾ではありません。来年の交尾機会を得る担保として"計算づく"で雌に"貸し"を作るなんて真似はしません。そういう頭の使い方をする(できる)のは、やはりニンゲンだけでしょう。
 とはいえ、船を同種の同性個体と勘違いするほどバカではありません。船に自分のカノジョ候補を奪われまいとした? そんなことを言い出すヒトはやっぱりクジラよりバカです。動物心理(ヒトも含む)としてわかりやすく解釈すれば、危害を及ぼしかねない相手から大事な異性とその子供を守ろうとしただけですよ。それ以上の説明要らないでしょ?
 そういう意味では、やはり父性愛の一種に他なりません。"父"の定義、配偶関係が種によって異なるだけです。

 ソシオバイオロジー的には、ライバル雄の排除や、それ以外の危険から母子を守るエスコートの行動には、合理性が確かにあります。当歳児に授乳中の雌については、その年の交尾機会はまずないので、「また来年」という話になり、回遊・夏季の索餌海域で四六時中随伴はできないでしょうし、来年になったら他の雄に奪われる可能性もあるため、"保険"ということになりますが・・。ともかく、雌をエスコートする雄の方が遺伝子を残すチャンスが増えるということなのですが、それは父性愛であれ母性愛であれ、背景説明としては一緒です。哺乳類(ヒト含む)の感情の存在には合理的な理由があるというだけの話。 
 哺乳動物の場合、雄が育児まで担う種はかなり少数派で、大半が"母子家庭"、社会性が発達した一部の種で父母共同による養育が見られるのがセオリー。父性愛による行動が見られるのは魚や鳥の方が多く、ほとんどの哺乳類では残念ながらお目にかかれません。ザトウクジラの雄が冷淡だなどと勘違いしないように(当然個体差はあるでしょうが)。ニンゲンが父性愛発揮タイプに分類される種といえるかどうかも少々疑わしいのですし・・。
 むしろ、TVカメラに捉えられた行動そのものが示すとおり、エスコートの随伴・防衛行動という、自分以外の遺伝子を持つ未成熟個体に対する非血縁型利他行動というユニークな社会性を備えていることになります。逆に、自分の遺伝子を持つ子供への利他行動は少なくなっちゃいそうですが・・。同種の配偶関係が完全に一期一会なのか、相性がよく複数回、あるいは何年か繰り越される配偶関係を持つ雌雄のペアが成立するケースがあるのか、その辺りはこの財団にもっと突っ込んで研究してもらいたいところ。
 ちょっと脇道に逸れますが、父親が群れの中で子供の養育の役割も持つ父系集団を有する種の代表的なものとして、ゴリラやツチクジラが挙げられます。日本の沿岸捕鯨で年間百頭ほど捕獲されているツチクジラですが、粕谷先生の研究では、成熟雄、さらに高齢の"引退"雄が未成熟個体の養育に関わるという、きわめてユニークな社会性を持つ可能性が示唆されています。シャチやコビレゴンドウ、マッコウクジラなどは母系集団なので逆ですが、社会性については系統分類上の近縁種であっても大きく異なるケースがままあります。ツチクジラの性的二型はゴリラと逆なので、たぶん他のどの動物にも観察事例がない、きわめて特異的な社会構造を持っていることも十分あり得るでしょう。
 そういう意味では、生態や社会性について研究のほとんど進んでいない高度な社会性を有する哺乳類が、商業的に捕獲されている状況はきわめて遺憾なことです。その点は、クジラ以外を含めた世界中の社会行動学の研究者たちが同意されることでしょう。

 日本は京大霊長類研を始め、ニホンザルや類人猿の社会行動学的研究に関しては世界をリードする立場にあります。今西流に対する批判も一部にはあるようですが・・。カネ("副産物"の売却益と税金)ばっか注ぎ込んで、「ウシの卵とクジラの精子を受精させてみました」とかくっだらねー研究(資料提供含む)ばっかやって、サイエンスにもネイチャーにも論文掲載を拒否されるほど、お粗末ぶりが目立つ鯨研。しかし、京大や、あるいはバンクーバーにおけるシャチの研究などを見習って、長期的な目視観察によってツチクジラの社会構造を解明することができたなら、世界の動物学界から絶賛され、科学誌の巻頭を飾るニュースとして扱われることでしょう。生息域が沖合で深海性のツチクジラとなると、ハードルはシャチに比べてもめちゃくちゃ高いかもしれません。それでも、真の科学の徒であれば、むしろ挑戦し甲斐のある目標となるはず。日本が得意とするデータロガーの技術を併用したり、業者に経験を有効活用できる仕事を与えて、非消費型利用への鞍替えをスムーズに進めることも可能なのではないですか?
 話をハワイのザトウクジラに戻しましょう。次のおかしなコメントは、雄同士の"乱闘シーン"での「クジラが穏やかな動物だというのは誤った偏見云々」というもの。先に述べたように社会性、行動習性は大きな種差・個体差がありますから、クジラといって全部ひっくるめるのがまず第一の間違い。もう一点は、あたかも誰にも知られていなかった世界初の映像とでも言わんばかりの取り上げ方でしたが、この乱闘は昔っから知られていたことです。映像の内容もちっとも目新しいものではありません。筆者はもう20年も前に同種の映像を見ていましたし(小説でも描写しています)、当の研究者たちはさらに以前から知っていたこと。当時は確かに、「ザトウクジラがおとなしい動物だという印象があったとすれば、修正が必要だろう」と言われてましたが、もう今更耳タコです。ハワイ、あるいは沖縄や小笠原のウォッチングでの一般の観客に対する解説も、同様の説明がされているはず。

 ちなみに、雄同士が雌をめぐって肉弾戦を繰り広げる種というのも、分類群を問わず哺乳類ではそれほど珍しいことではありません。もっとも、同じクジラでも歯鯨類のイッカクは牙の比べっこでかなり穏やかに決着をつけています。この辺も社会進化学的な解釈がいろいろされていますが・・。いずれにしても、ある動物が他の動物に比べて平和的だとか暴力的≠セとか批評すること自体、科学的とはいえませんし、こういう≪ニンゲン社会特有の表現≫を安易に使ってしまうと、返って視聴者に余計な偏見を植え付けてしまうでしょう。
 最後、死んだザトウクジラと利他行動のシーン。問題は、当の個体が「乱闘の結果死んだ(殺された)」
という表現。やたらオーバーアクションのこのハワイの財団の研究者が、本当に死因を確かめたのかどうか疑問が残ります。死体を回収して解剖学的に死因を究明したうえで、解説すべきこと。きわめて稀なケース(というより他の観察事例があるとも思えないのですが・・)だという断りも入れてないし。繁殖率の低いK種タイプの動物があまりに消耗的な種内闘争をするというのは、生物学的には相当に非合理な話。"陣地"確保型でないクジラともなればなおさらです。
 ちなみに、セミクジラなどでは、雄が群れで雌を囲んでメイティングに持っていくという(交尾はリーダー個体のみなので、"利他行動"として発表した研究者もいる・・)、ニンゲンの社会に当てはめると道徳的に好ましくない配偶行動もあります。。これもクジラをけなすのは筋違いですが。
 ただ、このとき撮影された救助行動の方は、意味がないといえ、明確に意味(意図)を持った利他行動でした。成熟した雄同士のグループの社会的な絆が非常に強いことも意味しています。そうしたグループがどのような過程を経て形成されるのか? どういった社会的な役割分担があるのか? といった辺りも含め、まだ十分に解明されていないザトウクジラの社会構造について、今後さらなる研究の進展を期待したいところ。
 ──と冷たいことを言いましたが、科学的好奇心と別な"窓"では、胸を打たれる光景ではありました。
 そして、最後の研究者のコメントは秀逸でした。彼が暗に何を仄めかしたのか、皆さんはちゃんと理解できましたか?
 オマケ:チリモンなんてもんがこどもたちの間で流行ってるってのは嘘でしょ(--; 今から広めよう(消費させよう)ってことなんじゃないの?? HPのリンク先はチリメン屋になってるし! "死体"じゃなくて生きた動物で番組を作ってよ。。。

 


◇その他動物番組評

■ガラパゴス|世界一周!地球に触れるエコ大紀行 (12/7,BS2 12/6,BS-hi)
http://nhk.jp/chronicle/?B10002200090812070030120&n=28&q=%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%80&o=751&np=50&or=d

 ガラパゴスは有名どころなうえに、危機遺産登録のニュースなどで最近も頻繁にTVで取り上げられているので、ゾウガメの保護施設などは既視感バリバリ。
 それにしても、雄に追っかけられた雌のリクイグアナが足もとを駆け抜けたり、アシカの出産シーンに立ち会ったりと、相変わらず運のいいアナウンサーの柴崎さん。最初の頃のニュージーランドの回などではおバカなことも言ってましたが、いい色に日焼けしたように、環境や動物に対する理解もずいぶん深まったご様子。
 ロンサムジョージに背中を向けられた時の言葉には、深い共感を覚えました。島の歴史、「ニンゲンが一体どういう動物なのか」を長い間その目で見てきたジョージ君ですからね・・。もっとも、カメラマンの方は少々配慮が足りなかったようですが。

 

■住民が悲鳴・新たな産廃問題|クローズアップ現代 (12/8 19:30-,NHK)
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku2008/0812-2.html

 日本の産廃のあまりに悲惨な現状には目を覆いたくなります。日本の中では環境先進自治体となった滋賀県知事を責めるのは少々酷な気がしますが、福岡の対応はほんっとサイテーですね・・。住民に被害が出て賠償訴訟になった頃には、自分は担当部署から外れているからいいやってタイプの公務員。環境省もだけど。
 ご覧になった方は、日米間で行政の環境問題への取組の格差があまりに激しすぎることにびっくりしたと思いますが、これはまさしく市民運動と環境NPOの力の差に他なりません。

posted by カメクジラネコ at 01:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学系
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