2008年10月06日

ヒトの天敵/捨てられる命

◇ヒトの天敵

■「アフリカ緊急レポート」〜そしてライオンは人喰いになった〜|素敵な宇宙船地球号 (10/5)
http://www.tv-asahi.co.jp/earth/contents/osarai/0553/ (リンク切れ)

 ライオンの心理に関する記事を書いた手前、チェックしないわけにはいきませんでした。レンジャーの方の言ではないけど、「ライオンがヒトを襲った」と聞けばまず耳を疑い、事実関係を確認したくなるというもの。非常に有名なライオンの物語の著者夫妻の事件も、実は加害者はヒトだったということもありますし・・。そして、蓋を開ければ頷ける"動機"。人口増と農地・居住地・道路交通の拡大、要するに原因はすべてヒトの側にあったのです。
 下手"獣"が若い雄であったことは予想どおり。狩猟が下手で生残率の低いあぶれた放浪雄にとって、ヒトほど魅力的な獲物はないでしょうから。レンジャーの解説どおり、発端は事故だったに違いありませんが、一度味を占めてしまえば、本能の"指令"がなくてももう一度楽が出来る獲物≠狙おうとするでしょう。ライオンでも、クマでも、他の動物でも同じこと。
 一つ、ナレーションに重大な誤りが。雄を始末すれば「パートナーの雌も退散するだろう」という趣旨の説明がありましたが、仮に複数"犯"だとしても、共犯者も同様の若雄のはずです。大体、繁殖雄は雌に賄ってもらうのですよ。5歳になりたての鬣の貧弱な、ひ弱なヒトしか狩れない雄が、繁殖プライドを率いる座につけるはずがないでしょう。
 レンジャーの提示した回避策(繁殖雄の声を流してなわばりを擬装する)は賢明な方法だと思います。が、保護区が分断・縮小しないよう、いかにバッファーゾーンを設けるかが、より大きな課題として残るのではないでしょうか。
 ヒトがアフリカの草原のサルだった当時、火と武器と罠をこしらえる"狡猾さ"を手に入れる以前には、ライオン−ヒトの種間関係はありふれた捕食者−被食者の関係だったに違いありません。その後、ヒトが不自然な肉食獣として名乗りをあげ、ときに逆襲までするようになったために、獲物のリストから外されるようになったのでしょう。しかし、捕食者の側の、「こいつは食えるかも」という涎を催す反応を呼び起こす遺伝子、被食者の側の、声を聞いただけで背筋が凍りついて逃げ出したくなる感情を呼び覚ます遺伝子は、まだ健在なのではないでしょうか? それが正常な食物連鎖ということになるのでしょうが。
 ヒトがシャチやライオンを押しのけて、生態系の頂点に立つ最強の捕食者であるかのように振る舞い、強がってみせられるのは、火や弓矢や、キャッチャーボートや捕鯨砲のような、正常な捕食者−被食者としての進化の歴史をまったく経ていない卑怯な武器を手にしたときだけです。"武装"を解けば、爪も牙も、その他身を守れる何物もも持たない、およそ貧弱な獣にすぎません。海岸で貝のようなノロマな動物を拾ったり、椰子の木に集まるゾウムシの幼虫を集めるのが関の山。後は葉っぱと果物だけ食べているのが分相応≠ニいうもの。それは、夜に活発化する肉食獣の潜む闇に対する本能的な恐れや、幼児が"食べ物"と認識して口に運ぶもの(リンゴにかじりつこうとしても、ヒヨコやネズミや仔ネコに襲いかかる赤ちゃんは普通いない・・)を見てもわかることです。
 鯨捕りがいくらクジラの捕食者を気取ったつもりでいようと、人食いライオンやグリズリー、ホオジロザメの前に生身で放り出されれば、化けの皮は一気にはがれます。自分が捕食者に、クジラの天敵にふさわしいかどうか、そのときにこそ身をもって思い知るでしょう。
 余談ですが、うちで一番元気な雌フェレは、自分がヒトの捕食者のつもりでおり、"物陰から獲物に襲いかかるごっこ"が大好きです。天敵として個体数調整の役を果たしてもらうには、体のサイズ的に難があるけれど・・・



◇オマケ(同じ大型ネコだけど・・)
 

■ナミビア ナミブ砂漠|地球に触れるエコ大紀行 (10/4,5)
http://www.nhk.or.jp/eco-journey/

 自分の農場を野生動物のための保護区に変えるという、勇気ある決断のできるヒトが、果たして日本にいるでしょうか?
 保護区のチーターの仕草は、猫好きのハートを鷲づかみにして離さず。この子たちが本当に野生復帰できるかどうか、不安も覚えますが・・


 

◇捨てられる命

■事故米 国保有の焼却処分を開始 農水省 (10/3,毎日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081003-00000023-maip-soci (リンク切れ)
■事故米在庫どうする 全部捨てる?一部は売る? (10/4,産経)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081004-00000589-san-soci (リンク切れ)

 汚染された事故米が順次廃棄処分されています。よかった・・ですか? これで安心・・ですか?
 うちのHPやブログに「米は殺していいのか」と食ってかかるヒトがいましたが、一体このイネたちは何の為に育てられ、殺されたんでしょうね。イネだけではありません。インフルエンザやBSE疑惑が起こった農場では、"安全"のために何千何万という命がただ殺され、死体が焼却処分されてきました。不思議なのは、「モッタイナイは日本のエコの合言葉」と嬉々として触れ回るこの国のマスコミで、愚かな金儲け主義と行政の怠慢の所為で多くの命が無駄にされたという、悲嘆と痛恨の声がほとんど聞かれないことです。
 一体何の為に殺されたんだろう? 何のために生みだされたんだろう?
 こうしたニュースが報じられる度に疑問がよぎり、頭を離れません。
 子供じみていますか? 「命を大切に」というフレーズは、小学校低学年向けの情操教育のお題目に過ぎませんか? ヒト以外の命はどうでもいいですか?
 豊作だからとキャベツをブルドーザーでつぶし、グロテスクだからと網にかかった魚を投げ捨て、曲がったキュウリは流通から弾き、15分経って冷めたハンバーガーはゴミ箱へ・・。そうやって、毎年毎年2千万トンもの食べ物を、もとは生きていたはずの命を、ゴミとして扱ってきた飽食の国、それが捕鯨ニッポンです。
 捕鯨擁護派の皆さん。あなたたちは一体誰に向かって、「捕鯨ニッポンは命を大切にしてきたのだ」と大声で叫んでいるのですか? 私は日本人だから、それがあからさまな、あまりに卑劣な嘘であることを十二分に知っています。よくも恥ずかしくないものだと、本当にあきれ返って物が言えません。もし、日本が本当に命を大切にする国であったなら、これほど命を浪費する結果を招くような陰湿な食品偽装事件は、1件たりとも起こらなかったはずです
 捕鯨問題における日本という国をバーチャルな理想国家とみなす一部の層の人たちを除けば、大半の日本人はこうしたニュースに日々触れるにつけ、そのことを実感できることでしょう。指摘されれば、良心の痛みを覚えずにはいられないヒトも、決して少なくはないはず。日本はそこまで恐ろしく鈍感な国に落ちぶれてはいないはず。そう信じることは間違いですか?
 確かに、アメリカをはじめ他の先進国でも、事情は似たりよったりかもしれません。しかし、実態や数字として"命を粗末にする世界ナンバーワンの国"という屈辱的な称号は、間違いなく日本に与えられるでしょう。そのうち中国に抜かれるかもしれないけど・・。どのみち、「他の国もやってるんだから」と、自らが命を粗末にすることを正当化するのは、やはり恥ずべき行為でしかありません。よその国のことなどどうでもよろしい。
 最低でも南極での捕鯨をやめることは、日本が命と食の問題を真剣に、根底から見つめ直すきっかけとなるに違いないと、筆者は思っています。

 

 本日はゴッキーのキャッチ&リリースに成功。ハエは窓を開ければ勝手に出ていくし、カも捕虫網があれば捕まえるのは比較的簡単なのですが、ゴキさんは難度が高いんですよね。空気振動を敏感に察知するから、ロリスにでもなった気で挑まないと。頭から美味そうにバリバリやるシーンはあんまし思い出したくないけど(--;
 筆者は仏教徒でもジャイナ教徒でもありませんし、昆虫にはカマキリくらいしか愛着がわかないのですが、「命を大切する捕鯨ニッポンでは、動物はすべて平等に殺さなくてはいけません」とのたまう捕鯨擁護論者がウヨウヨしてると、無用な殺生は極力避けたくなるのが"日本人の心情"というもの。虫一匹殺すなというつもりは毛頭ないのですが、めったやたらに殺しまくっていると人為淘汰が働いて、ヒトの動作を予測して巧みに回避行動をとったり、薬剤耐性を強化させたスーパー害虫さんばっかりになっちゃいますよ(汗)
 オンボロな所為で虫御殿の我が家では、家の中のあちこちでカンタンが秋のコーラスを奏でています・・

posted by カメクジラネコ at 02:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学系
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