2008年09月22日

シカとクジラ──神聖な動物を邪魔者扱いする捕鯨ニッポン

 目の上にタンコブが出来て腫れがなかなか引きませぬ(--; 日本の捕鯨サークルが"目の上のタンコブ"とみなすほどに影響力を発揮できるようになれば、コブくらいなんてことはないんですけどねぇ。。
 「国際PR」発案のブンカ論でガードをしっかり固めた水産庁と捕鯨業界にとっちゃ、ガイジンなんて敵じゃありませんと。怖いのは、国内で捕鯨に対して疑問の声が挙がることなわけです。彼らの目の上のコブにあたる、日本で活躍しているヒトは前々から決していなかったわけじゃありません。
 研究者では、アフリカのフィールドから人類学・教育学の分野まで幅広く手がけられた国際的に著名な動物学者や、当の鯨類学の場で問題を指摘してきた鯨類学者が、他のジャンルの著名人では、国内のホエール・ウォッチングの開拓者でもあるナチュラリスト漫画家や、アニメのヒット作品の原作者で新聞連載も手がけた漫画家、情報通の外国人タレントも。そして、最近では、外交や捕鯨史の側面から"解体作業"に着手しだした若手研究者の方々、日本の漁業と水産行政そのものに危機感を抱く水産関係者、強力な捕鯨の守護者だったものの負の側面を直視するようになった外国人作家まで、新しい動きも出始めています。
 結局、クジラたちにとって最大の障害となっているのは、捕鯨業界によってすっかり抱き込まれ、捕鯨擁護派の手で恣意的に取捨選択された情報を一般に流布する強力な援護者・すなわちマスコミ。
 著名人の中には、立場上大っぴらに声を上げられないながらも、こっそりNGOを支援している方もいるでしょう。潜在的に"クジラの味方"になり得る方は、決して少なくないのではないかと思います。ブロガーとして、捕鯨ニッポンの「ここがオカシイ」と声をあげている多くの一般市民の皆さんに負けず、メディアという場で仕事をしている方たちにも、ぜひもっと大きな声でメッセージを発信して欲しいいただきたいものです。
 
■引退盲導犬の最期|NEWS23 (9/17,TBS) 
http://www.tbs.co.jp/news23/tokusyu/200809/20080917.html (リンク切れ)

 ディロンの感想を記事にしましたが、ちょうど翌日のNEWS23で、NHKドラマでは"抜け落ちてしまった部分"を特集していました。
 赤の他人の死(フィクション含む)には、理性として追悼できても感情的に泣けることはあんましないのですが、赤の他犬/猫等々の死は目にするだけでも胸が痛くなってつい涙腺が緩んでしまいます。もう20歳になろうかという(実年齢で!)近所の元気な老犬や、容態のよくない老犬たちとその家族のことも気になってしまうし・・
 
■ノルウェーと五島列島で考える漁業の明日|ブロードキャスター (9/20,TBS) 
http://www.tbs.co.jp/program/bc.html

 長寿報道番組が最終回、と思いきや、リニューアルするだけの模様。
 伝統とは隔絶した最新技術導入の大型トロールを理想とするのは、ちょっと抵抗があります。しかし、少なくとも、水産行政が土建屋へのバラマキしか考えてない日本と、漁業の未来をきちんと考えたうえで必要な投資をするノルウェーとの格差ははっきりしていますね。
 もう一つ紹介されたのが、食料自給率が低く、境遇は似通っていても、国と国民挙げて国産・環境優先を掲げるスイスの事例。同じ輸入大国でありながら、国が農民を置き去りにし、消費者も過剰包装に慣れきってしまい見てくれと衛生面しか気にせず、結果として偽装が罷り通っている日本とは、あまりに対照的。事故米問題でにわかに関心を持ち出した視聴者にも、相当なインパクトがあったのではないかと思います。
 今度の"農水省スキャンダル"をきっかけに、スイスに準じるくらいには国民の意識が高まってほしいもの。文句だけいっぱしに口にしても、結局ライフスタイルを変えるところまでいかず、食文化(&子供の健康)破壊国家の道をひたすら突き進むだけなんじゃないかという不安も拭いきれませんが・・・
 
■このままではシカノ県?長野に広がるシカ被害|噂の!東京マガジン (9/21,TBS) 
http://www.tbs.co.jp/uwasa/20080921/genba.html

 悪徳不動産業者追及の回などと違い、適当に言葉を濁しただけで終わってしまい、シカを"悪者"にしている面は否めず。
 個体数増加の原因を他人事のように温暖化とオオカミ絶滅の所為にしていますが、ニホンオオカミを滅ぼしたのはもちろんニンゲン(日本人)ですし、広葉樹林を皆伐してスギ・ヒノキの単一針葉樹林に置換したことが、個体数増加につながった最も大きな要因であることには一言も触れず。被害額も長野全県で7億といいますが、台風一つだけでも全国の農業被害額は2百億、3百億ですよ!? だからといって、「台風を殺せ!」と息巻く人がいます?? 使い古しの魚網を活用した比較的安上がりの防護柵、犬の活用など、打てる対策だっていくらでもあるのに・・。
 鹿肉加工販売といっても、商業化したが最期、今度は生産ラインを維持する理由で、厳格な生息密度調整と無縁な過剰捕獲に陥ることは目に見えています。それは、今も歯止めのない乱獲を続ける日本の水産業、そして持続的だった試しのない捕鯨産業を見れば火を見るより明らかです。
 もっとも、この辺は鯨肉消費事情と似て、嗜好を持つのは特定の層に限られそうです。寄生虫の危険性もありますし、ね。骨付き肉にシカの角を付けるセンス最悪のロゴマークは何とかしてほしいもの。。しかも、歩留まりはたった2割とか。今回の報道で衝撃を受けたのは、有害駆除で殺されたシカは「イノチとして大切にいただく」ことなく、その場に"埋葬"されるそうです。「余すことなく利用してきた」捕鯨ニッポンが聞いて飽きれますね。
 シカの増加の一因として、猟友会員の高齢化・減少も挙げられていましたが、関係者の「最近の若いもんは山の自然に触れず、町ですごしてばかり」という台詞はまったく筋違いの発言です。凶器を持たずに山へ行ってるだけですよ。免許を取って、街中でヒトを撃ち殺す凶悪事件を起こした最近の若いもん≠烽「たのではなかったのですか?
 「仔鹿の目を見るとかわくて・・」といった、観光業者のいかにも日本的情緒たっぷりの発言や、シカは"神の遣い"なので口にするのははばかられるというタレントのコメントも。"神の遣い"として敬う動物を邪険にし、「増えた」といっちゃ「間引きだ」と騒いで、挙句のあてに商業利用しようとする民族なんて、どこの文化圏だっていやしません。「鯨は食べるけど、鹿は神聖なので絶対に殺さないし口にしません」というのであれば、筆者としても少しは捕鯨を認めてもいいんじゃないかという気になるんですけどね・・。"神の遣い"に向かって「この際一気に3万くらい調整しないと・・」なんて平気で主張するような罰当たりな国が、南極の野生動物まで貪っていいはずもないでしょう。
 
■映像詩・里山 森と人 響きあう命 (9/21,NHK総合) 
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080921.html

 滋賀の里山の紹介。「NHK開発」が売りの高機能カメラに頼りすぎの感もあったけど、カメラマンの基礎的な撮影技術の維持にもっと投資すべきじゃ? ともあれ、なかなかよい映像でした。まあ、緑のカエルをうろに置いてみたり、実やら虫やらわざと落っことしたり、音響に一部不自然なものがあったり、"ムシキ○グ"を意識しすぎてたりしましたが・・。
 以前、ポーランドなどの西洋の里山をヨイショしましたが、日本の里山も決して捨てたもんじゃないんですよね。国と民から忘れられているだけで。クヌギの薪炭利用も手入れも昔の話。野生動物は「やれいくらの損害だ」といって撃ち殺され、シイタケにまで全然必要ないのに殺虫剤なんか撒いてるとこまであるし・・。
 
■壊れゆく家族〜イラクから帰った女性兵士〜|BSドキュメンタリー (9/21,NHK-BS1)
http://nhk.jp/chronicle/?B10002200090809220030213

 街中のゴミが爆弾に見えてしまい、外に出られなくなる。少年兵を殺した罪悪感から自分の子供への愛情を抱けなくなる。勲章をもらって英雄と称えられても、何十にもヒトを殺した悪夢からは決して解放されない──。あまりに深刻なPTSDを負った元女性兵士たち。
 いまや米軍人の14%は女性で占められ、軍関係機関による女性兵士の活躍を謳ったPRTVCMも。イラクでの米軍の戦死者は9・11のテロの犠牲者の数をとっくに越えていますが、のべ20万人近くに上る派遣された女性兵士のうち約400人が"還らぬ人"となっているとのこと。生還者のPTSDの実態は、当然ながら掴めていません。退役軍人省によるサポートもあるようですが、深呼吸くらいで治るはずもなし。
 ブッシュを当選させて"暴力の連鎖"への道を突っ走ってしまった米国民もさることながら、日本人もイラク戦争の負の側面から決して目を逸らしてはならないでしょう。石破氏、麻生氏、公明党の関係者と支持者は特に必見です。
 

■ボツワナ・オカバンゴデルタ|地球に触れるエコ大紀行 (同上)
http://nhk.jp/chronicle/?B10002200090901210030149

 今回は珍しい内陸デルタかつアフリカの野生動物の宝庫としてこれまた有名なオカバンゴ。ライオン、ゾウ、カバ、コウノトリと、様々な動物たちが登場しなかなか目の保養になりました。徒歩のツアーで200mの距離のところにライオンが出現、臨場感が視聴者にまで伝わってきます。珍しいゾウの遊泳シーンなども生(ハイビジョンのほうは・・)でバッチリ。若手の中から「お前行け」とむりやり抜擢されたと思しき柴崎アナ、カモノハシにクロサイに……いや、お前さん本当に運がいいよ!
 まあ、所詮はTVで流れる映像ですし、ブッツケといってもしっかり台本もあるハズですから、ある意味偽物には違いありません。それでも・・筆者に言わせてもらえれば、動物園の偽物よりマシです。
 「見た」、あるいは最近流行りになっている「タッチした」というのは、野生に生きる本当の姿の動物達を相手にした本物の体験ではありません。自分が襲われるかもしれないという緊張の中で、双眼鏡で草陰を移動する姿をチラッと見るのとは、獲物の毛の混じった糞や、シッポの形のくっきり刻まれた寝床の跡や足跡を目の当たりにするのとは、まったく異なります。生態展示・行動展示とカッコ好さげな言葉でいくら繕っても、生の自然には到底足元にも及びません。檻の中で寝てばかりいる(朝の時間を狙ったって獲物に襲いかかるわけじゃない)よその国の自然に属するライオンなどを人込に混じって見せるくらいなら、近場の森にでも出かけて、会えるか会えないかは運任せの野鳥やムササビ、昆虫などの観察会にでも参加したほうが、よっぽどまともな環境教育になるでしょう。


 TVばっかり見てると思われるかもしれませんが、飯食ったりフェレの散歩したり皿洗ったり、一応"ながら"でチェックしています(汗) メディアの情報収集とネタ提供も必要ですし・・・
 
posted by カメクジラネコ at 02:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会科学系
この記事へのコメント
久しぶりです。
東京マガジンは見ました。
なんといいましょうか、妙に苦虫を潰したような、感じに終わった感が・・、伊豆のアマモのときもそんな感じだったかな。
清水邦明氏がシカを食うべきだと言ってて、それ自体はいいんですが、清水氏自身はブラックバス擁護派で、バスを食い尽くせとは言えないだろうな・・と意地悪に見ていました。
鎌倉のアライグマの時など、清水氏は借りてきた猫のように大人しくて、最後に「むやみに殺すのは良くない」とか言い出して、ぜんぜん正反対だしなあ・・。
まあ、シカは本来平地の動物だから、と言って山から平地へ戻そうとか言ったら賛同されないんだろうなあ、日本中奈良になっちゃうし。
Posted by 猫玉 at 2008年09月23日 14:23
>猫玉さん
どもですニャ〜。確かに「アマモに重機」の話もこんな感じでしたね。ディレクターのほうで役割配分をしていて、清水氏の本音とは違うかもしれませんね。その日のコメンテーターは下手に回り、外野がツッコミヤジを飛ばすという格好ですし。まあ、そのほうがバランスはとれますが。
インドのウシみたいに街中をシカが闊歩して、車が立ち往生するくらいなら、返って"平和な国"かもしれませんね(^^; タイのどっかの町だってサルが店の商品まで荒らしてもあきらめてるし。そのぐらいやって初めて"神の遣い"だし、"動物愛護後進国"の汚名を返上できるもんでしょうけどニャ〜。。
Posted by ネコ at 2008年09月25日 01:58
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