2008年09月10日

動物愛誤番組ばかり流す日本のTV/防衛省と水産庁/汚染米とクジラ

◇動物愛誤番組ばかり流す日本のTV

■アンデス疾走!珍獣ビクーニャ|ダーウィンが来た! (9/7,NHK)
http://www.nhk.or.jp/darwin/program/program115.html

 ビクーニャは偶蹄目のラクダの仲間ですが、番組中で取り上げられたように、社会性に関しては類縁種とかなり異なる点があります。系統的には母系集団とみられますが、繁殖雄が長く群れにとどまり、こどもを天敵から守ったりするところも映像で紹介されています。父性愛のかなり強い種といえるでしょう。もっとも、こういう言葉の使い方には細心の注意が必要(後述)。
 番組後半は、迷子のビクーニャが親を求めてさ迷い、養子に迎えられるまでの"物語"。違う群れ(?)の違う母親(?)に追い払われるシーンなどが流されていました。筆者の目には、別に「邪険にされた」ようにも見えなかったのですが・・。そもそも、まだ生後2週間ほどの乳飲み子がなぜなわばりの境界を越えたのか、撮影陣が長期観察していなければ言えないことでありながら、説明されなかった点も気にかかります。そして、最後のまとめでは、ビクーニャが「養子を受け入れるくらい"包容力の高い種"である」と結論されてしまったのです・・。
 草食動物で父性愛の確認できるような社会性を持つ種が、比較的少ないのは確かです。しかし、"養子"の話については、非血縁個体を受け入れる利他的行動の観察事例がビクーニャで相対的に多いという研究が先にあり、その論文の内容に基づいて番組が制作されたようには見えませんでした。おそらく、撮影陣がたまたま撮れたシーンに取って付けただけの解説と思われます。
 高度の社会性を備えた動物(特に哺乳類)では、異種を含めた幼若個体を血縁関係にない成熟個体が育てるケースは珍しくありません。そして、もっとも誤解を招きかねないのは、「個体のパーソナリティ」と「種の行動」を混同している点です。多数の観察事例が研究者の手で報告されれば、「ある動物種の個体には利他性が高い(低い)傾向がみられる」といったことはいえるでしょう。それでも、種を問わず、見るに見かねてつい孤児に手を差し伸べてしまう親切な個体もいれば、ウザイからあっち行けと冷たくあしらう個体もいるのです。犬、猫、フェレットなどを2匹以上扶養された経験のある方は、彼らの1匹1匹があまりに個性的で、1匹とて同じ性格の個体がいないことを、誰もが認められることでしょう。そして、動物たちの個性や相性の幅広さが、ヒトの個体のそれと何ら相違ないことにも、とっくにお気づきでしょう。単調な人工的環境で毎日変わりばえのしない生活を送るペットでさえそうなのですから、より複雑な自然環境を生活の場としている野生動物たちが豊かな個性を備えていたとしても、何ら不思議はありません。昨日ご紹介したシャチは、社会性が非常に高くとても個性豊かな動物の一つです。個性の違いはまた、進化の原動力にして適応の結果でもあります。
 結論をいえば、ビクーニャには優しい個体が多いかもしれませんが、"種が優しい"わけではありません。ヒトもまた然り。
 通常、こういった動物番組では、撮影年、撮影者まで異なることもある多数の映像の中から"使える"カットを選んで組み合わせ、"専門家の監修"のもとに"不自然でない筋書き"に沿った演出をするわけです。ときには、素人目にもあからさまに"主人公"を演じる"俳優"が入れ替わっていることがわかるケースも・・。まあ、海外の動物・環境系ドキュメンタリーでも、日本で昔放映された番組でも、ある程度はなされていたことで、子供への教育効果を考えても多少の演出はやむを得ないことです。
 しかし……日本のマスコミが最近制作した動物番組は、まともな監修者が付いているとは到底思えないあまりにもひどいヤラセが目につきます。借りてきた外国や他局の資料をむりやりつないで、科学的に間違った解説を付けたり、人工飼育下の個体で撮影した資料映像を、何の説明もなく野生個体の映像の中に混入したり、芸能人の幼稚な事実誤認のコメントを放置したり、子供でも泣けそうにないあまりにも単純な"お涙頂戴"のドラマ仕立てにしたり、過剰なBGMやあり得ない効果音を流したり、動物に役者や声優の声をあてさせたり、「カワイイ」を連呼したり・・。NHKの「ダーウィン」は民放のバラエティに比べれば若干マシとはいえ、BSの「ハローアニマル」は視聴者のウケを狙ってとんでもなく間違った方向に走ってしまいましたし(--;;
 そのような過剰なヤラセ演出は、動物愛誤以外の何物でもありません。くれぐれも、子供たちに動物に関する誤った知識を植え付けないようにしてもらいたいものです。


 

◇防衛省(元庁)と水産庁──組織と個人

■幹部は困惑…前艦長ら次々反論「自分がかわいいのか」 (9/4,スポニチ)
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20080904057.html
■イージス艦海難審判 当直引継ぎ形だけ (9/4,読売神奈川版)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20080905-OYT8T00122.htm (リンク切れ)
■イージス艦衝突事故|Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%B9%E8%89%A6%E8%A1%9D%E7%AA%81%E4%BA%8B%E6%95%85

 イージス艦衝突事故の海難審判で、前艦長らが事故当時の説明を覆して事実を争う姿勢に転じました。
 今後、責任が明確になれば刑事責任が問われる立場となることを考え、この先の「自分の仕事や家族のこと」も頭によぎったのでしょうか? 組織に属し、いつも良心を預けるようになってしまうと、いざ組織から離れたときには往々にして"価値観のシフト"が起こるもの。実質"軍人"であれば見苦しい限りですが、杜撰な運航の実態と合わせ、そういう育て方をしてきた防衛省側の責任は免れません。石破氏は、総裁選に立つのであれば、再度国民に対して自身が防衛相時の事故に関する説明をするとともに、防衛省の体質や組織のあり方をどのように改めるか、明確に指針を示すべきでしょう。
 潔い軍人も、自己保身しか頭にない軍人もいます。鯨捕りもまた然り。C・W・ニコル氏は、潔い日本の鯨捕りに惚れこみ、日本のすべての鯨捕りが潔いのだと勘違いし、そのことに気づいて反省し、臆することなく批判するようになりました。衝突事故に対して責任のある艦長クラスの自衛官の態度は、役得のつもりで鯨肉の転売をしてきた事実を押し黙っている捕鯨船のベテラン解体主の姿に重なります。それに対し、何人もの辞めていった社員の中には、自分の良心との板挟みになられた方、すなわち本物の鯨捕り≠熄ュなからずいらっしゃったことでしょう。共同船舶や鯨研の幹部クラスは「不安に駆られた所為だ」等々と矛盾する理由を口にしていますが……。


 

◇汚染米とクジラ──偽装を防げない農水省

■農水省が検査日事前連絡、三笠フーズは「裏帳簿」用意 (9/7,読売)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20080907-OYS1T00186.htm (リンク切れ)
■<事故米転売>三笠に違約金請求へ 数千万円? 農水省 (9/9,毎日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080909-00000048-mai-soci (リンク切れ)
■事故米不正転売事件|Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8B%E6%95%85%E7%B1%B3%E4%B8%8D%E6%AD%A3%E8%BB%A2%E5%A3%B2%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 2回も内部告発を受けながら、農水省は適切に処理できなかったようです。豚肉やウナギの偽装問題と同様、チェック体制の甘さが浮き彫りに。違約金請求なんてまるで"被害者面"ですが、業界を庇っていたとの謗りは免れないでしょう。消費者の利益を代弁する機関(?)として新たに設置される消費者庁が、業界の偽装行為を野放しにしてきた農水省より上位の権限を与えられ、その上でその権限を実際に行使できるのかどうか・・。
 業界関係者によれば、「汚染米流用の噂は前からあり今更驚かない」とのことですが、汚染米の販売当事者であるところの農水省が、実態をまったく知りませんでしたと言って、一体国民が納得するでしょうか?

 そういえば……調査捕鯨のお土産の実態も、水産庁は知らないことになっていたんでしたっけ。水産庁や共同船舶のその後の弁明がコロコロ変わったのも、"歴代"農水相(一体何人目でしたっけ?)の事務所費問題に対する答弁や、元大手捕鯨会社子会社を始めとする偽装食品会社の社長たちのカメラに向けたコメントを彷彿とさせますし・・・
posted by カメクジラネコ at 01:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系
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