年末に脱退を決めた日本が加盟国として参加する最後の機会となった、9月の第67回国際捕鯨委員会(IWC)総会。開催されたブラジル・フロリアノポリスに日本が送り込んだ、国会議員7名を含む総勢62名の代表団の旅費について、当方は行政文書情報開示請求を行いました。そのうち水産庁分の資料が今月8日やっと手元に。
一月早く届いた農水省(水産庁以外)と外務省の分は解説を交えて以下の記事で公開した次第。
一月早く届いた農水省(水産庁以外)と外務省の分は解説を交えて以下の記事で公開した次第。
■今年のIWCブラジル総会の日本政府代表団の旅費(の一部)が明らかに!
http://kkneko.sblo.jp/article/185144503.html
■IWC67日本政府代表団旅費等参加費用情報公開請求
https://www.kkneko.com/iwc67delegatesexp.htm
http://kkneko.sblo.jp/article/185144503.html
■IWC67日本政府代表団旅費等参加費用情報公開請求
https://www.kkneko.com/iwc67delegatesexp.htm
開示期限を延長した水産庁分がそろったところで、今回修正を加えて再度アップしました。
開示決定から開示まで1週間かかるとのことで、年末年始休暇を挟むためもっと遅れるものと思っていたのですが──内外メディアの取材攻めにも遭っていたことでしょうし──水産庁殿にはお忙しいところ速やかに対応していただきました。また、送料として請求したゆうパックの料金が改訂されていたとのことで、わざわざ10円切手1枚と郵便料金表のコピーも同封。開示担当の漁政課も几帳面なお仕事ぶりで頭が下がります。
ただ……国民としては、10円分の切手よりも、やはり数十、数百万円、あるいは数億円単位の税金の無駄の方が気になるところ。
判明した旅費総額(外務省/農水省/水産庁)は51,191,194円。
脱退報道の中で、日本政府のIWCへの拠出金が年間約1,800万円(IWCの収入の6%)を占めることも明らかになりましたが、たった1回の年次総会の旅費だけに、分担金の3倍近い国費(国会議員5名を除く)が投入されていたことになります。
代表団メンバーの航空運賃はビジネス2クラス、プレミアムエコノミー、エコノミーの4パターンあることも判明。
ブラジルまでの往復で約200万円かかっているのが、国会議員2名、秘書官2名、そして今回判明した山口次長と前参事官の2名の合わせて6名。しめておよそ1,200万円。これだけで総額の4分の1近くを占めます。
飛行機代だけで1名200万円もかかるというのは、庶民の感覚ではなかなか理解しづらいところ。IWC以外の地域漁業管理機関(RFMO)で水産庁のナンバー2である次長が出席しているのはWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)くらい。
高額な旅費に見合うだけの結果が求められて当然というもの。
将来長官、事務次官のポストが約束されている立場で、妥協の道を見出すためにこそ地球の裏側にまで馳せ参じたのであれば、そのことに失敗した山口次長は責任を取るべきでしょう。
ただ……国民としては、10円分の切手よりも、やはり数十、数百万円、あるいは数億円単位の税金の無駄の方が気になるところ。
判明した旅費総額(外務省/農水省/水産庁)は51,191,194円。
脱退報道の中で、日本政府のIWCへの拠出金が年間約1,800万円(IWCの収入の6%)を占めることも明らかになりましたが、たった1回の年次総会の旅費だけに、分担金の3倍近い国費(国会議員5名を除く)が投入されていたことになります。
代表団メンバーの航空運賃はビジネス2クラス、プレミアムエコノミー、エコノミーの4パターンあることも判明。
ブラジルまでの往復で約200万円かかっているのが、国会議員2名、秘書官2名、そして今回判明した山口次長と前参事官の2名の合わせて6名。しめておよそ1,200万円。これだけで総額の4分の1近くを占めます。
飛行機代だけで1名200万円もかかるというのは、庶民の感覚ではなかなか理解しづらいところ。IWC以外の地域漁業管理機関(RFMO)で水産庁のナンバー2である次長が出席しているのはWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)くらい。
高額な旅費に見合うだけの結果が求められて当然というもの。
将来長官、事務次官のポストが約束されている立場で、妥協の道を見出すためにこそ地球の裏側にまで馳せ参じたのであれば、そのことに失敗した山口次長は責任を取るべきでしょう。
また、もし求めていた結果が最初から脱退(につながる提案否決)そのもの≠ナ、予定通り副大臣に啖呵を切らせたのであれば、次長や族議員らのブラジル外遊に最後の記念旅行以上の意味はないことになります。もはや壮大な税金の無駄遣い以外の何物でもありません。地方議会の視察という名の慰安旅行≠ナはないけれど。
そして、蓋を開ければ「我が国堂々退場ス」。しかも、水面下では遅くとも春の時点で脱退方針は固まっていたというのですから、これでは話になりません。
ともあれ、このおよそ5千万円が国会議員5名分を除いた日本政府負担分のすべて──ではありませんでした。
実は、今回のブラジル総会で、水産庁の開示対象から漏れていた費用≠ェ発生していたのです。
それが、通訳料の明細から判明した、本会議期間中他の加盟国代表に対して非公式に行っていた接待の費用。初日レセプション、1回のバイ会談(二国間会談)、4回の夕食会が開かれていたのです。
開示に先立つ決定通知の中で、水産庁が部分不開示とした理由のひとつが「非公式会談及び夕食会の相手国名は、公にすることにより、相手国の意思に一方的に反することになり、我が国との関係に悪影響を及ぼすおそれがある」。で、筆者は早合点してしまったのですが、肝腎の費用に関する資料はなし。
水産庁国際課曰く、「(通訳料と異なり)旅費に該当せず」との判断で外したとのこと。10円分の切手なんて誰もケチったりしないから、こちらはちゃんと明らかにしてほしかったとこですけどねえ・・・。
電話での問合せには「水産庁負担は一部」と回答。外務省・農水省と割り勘でしょうかね。会食費は各議員も自分の分は政務活動費から出したのかもしれませんが(庶民だからわからないんですよ〜)。
バイ会談はホテルの一室の使用料金くらいでしょうが、レセプション・夕食会はIWC事務局が宿泊先に指定したホテルサンチンホ内、あるいは近隣のレストランを借り切ったはず。それぞれの国の代表に、国会議員7名(脱退話をしたのであれば国民民主党の族議員・徳永氏は呼ばれなかった?)、次長・代表代理ほか上級官僚数名(+通訳4名)の会食であれば、食費だって最低でも1名1万円は下らなかったでしょう。レセプション・夕食会には、今回出席した被援助支持国24カ国代表は全員呼ばれたに違いありません。仲間はずれにしたら離反を促すだけですものね。また本会議初日に開かれたレセプションパーティーには、おそらく北欧の同盟国や捕鯨支持オブザーバーも参加し、さらに人数/費用が膨らんだとみてよさそうです。
とすると、各夕食会の費用は最低でも40万円はかかっていたはず。初日のレセプションはざっくり60万円として、ざっくり推定した期間中の接待費用はおおよそ220万円。当事者の感覚が庶民のそれからどの程度ズレているかにもよりますが、300万円かかっていたとしても不思議はないかもしれませんね。
そして、蓋を開ければ「我が国堂々退場ス」。しかも、水面下では遅くとも春の時点で脱退方針は固まっていたというのですから、これでは話になりません。
ともあれ、このおよそ5千万円が国会議員5名分を除いた日本政府負担分のすべて──ではありませんでした。
実は、今回のブラジル総会で、水産庁の開示対象から漏れていた費用≠ェ発生していたのです。
それが、通訳料の明細から判明した、本会議期間中他の加盟国代表に対して非公式に行っていた接待の費用。初日レセプション、1回のバイ会談(二国間会談)、4回の夕食会が開かれていたのです。
開示に先立つ決定通知の中で、水産庁が部分不開示とした理由のひとつが「非公式会談及び夕食会の相手国名は、公にすることにより、相手国の意思に一方的に反することになり、我が国との関係に悪影響を及ぼすおそれがある」。で、筆者は早合点してしまったのですが、肝腎の費用に関する資料はなし。
水産庁国際課曰く、「(通訳料と異なり)旅費に該当せず」との判断で外したとのこと。10円分の切手なんて誰もケチったりしないから、こちらはちゃんと明らかにしてほしかったとこですけどねえ・・・。
電話での問合せには「水産庁負担は一部」と回答。外務省・農水省と割り勘でしょうかね。会食費は各議員も自分の分は政務活動費から出したのかもしれませんが(庶民だからわからないんですよ〜)。
バイ会談はホテルの一室の使用料金くらいでしょうが、レセプション・夕食会はIWC事務局が宿泊先に指定したホテルサンチンホ内、あるいは近隣のレストランを借り切ったはず。それぞれの国の代表に、国会議員7名(脱退話をしたのであれば国民民主党の族議員・徳永氏は呼ばれなかった?)、次長・代表代理ほか上級官僚数名(+通訳4名)の会食であれば、食費だって最低でも1名1万円は下らなかったでしょう。レセプション・夕食会には、今回出席した被援助支持国24カ国代表は全員呼ばれたに違いありません。仲間はずれにしたら離反を促すだけですものね。また本会議初日に開かれたレセプションパーティーには、おそらく北欧の同盟国や捕鯨支持オブザーバーも参加し、さらに人数/費用が膨らんだとみてよさそうです。
とすると、各夕食会の費用は最低でも40万円はかかっていたはず。初日のレセプションはざっくり60万円として、ざっくり推定した期間中の接待費用はおおよそ220万円。当事者の感覚が庶民のそれからどの程度ズレているかにもよりますが、300万円かかっていたとしても不思議はないかもしれませんね。
初日に続き4日繰り返された会食は、被援助支持国向けのキズナを確認する≠かりやすい接待といえるでしょう。
気になるのは、国名が墨塗りで伏せられた1対1のバイ会談の相手。仮にXとしましょう。
X≠ニのバイ会談は一体何のために行われたのでしょうか?
まず思い浮かぶ理由は、日本提案の採択に向けた交渉。
総会後の記事でも解説したとおり、横山議員が名前を挙げたニカラグアは、期間中に日本の説得に応じて反捕鯨陣営から捕鯨支持陣営に寝返ったわけではなく、それ以前に宗旨替えしていたことがはっきり判っています。
■税金でブラジルまで出かけて無能ぶりを晒した捕鯨族議員は惨敗の責任を取れ
http://kkneko.sblo.jp/article/184463999.html
http://kkneko.sblo.jp/article/184463999.html
それ以外で、一連の決議において従来と異なる投票行動をした国はありません。
日本提案を支持することが最初からわかっている国は、X≠フ候補ではないはずです。意味がないのですから。
となると、想定できる相手は2通り。ロシアないし韓国に同調を促すため。あるいは、反捕鯨陣営を代表する米国ないし豪州との間で落としどころを探るため。
蓋を開ければ、ロシア・韓国はともに棄権。米・豪とお互い歩み寄った形跡もまったくありませんでした。
GDP世界3位の大国日本の栄えある国会議員7名と水産庁次長以下手練の官僚が、サシの極秘会談の場を設けて懸命な説得をしたにもかかわらず、投票結果に微塵も影響を与えることができなかったとすれば、あまりにも情けない話です。
上掲拙記事およびリンクでも解説しているとおり、そもそも日本提案は妥協とは程遠い、コンセンサスを得られるはずのない代物でした。オーストラリア代表も首をかしげたように、わざと通らないよう″られたとしか考えられない内容だったのです。
日本提案には「南極海・公海からの撤退」が含まれていませんでした。IWCで妥協点を見出すために前向きの努力をする気など端からなかったのです。それはただ、脱退の口実にするための国内向けの演出にすぎなかったのです。
とすれば、X≠ニの秘密裏のバイ会談がなぜ行われたかもおのずと察しがつくというもの。
そう・・この総会がお開きになった後、日本が脱退するつもりであることを伝えるため──。
12月27日の朝日新聞も総会前の関係国への根回し≠ノ言及していますが、とくにX≠ノ対してはブラジル現地で伝えておく必要があると、日本政府は判断したのでしょう。
では、1対1の密談を行った相手X≠ニは一体どの国??
ロシアと韓国には、第2IWC∞太平洋版NAMMCO≠フ可能性を模索するうえで早めに伝える意義はあったかもしれません。
しかし、X≠ェロシアである可能性はゼロ。脱退を知りながら、棄権したうえ日本の立場を失わせる発言までするとはさすがに考えられません。同様に韓国もなし。
ノルウェーとアイスランドの北欧2カ国にも先に知らせる意味はありそうですが、であればバイ会談、すなわちどちらか1国とではなく、三者会談(もしくはバイ会談2回)になっていたでしょう。事前の根回しは両国にも行っていた可能性がありますが。
豪州はどうでしょうか? 南極海撤退の見込みも含め、事前に伝える意義はあるでしょう。
ただし、その場合、11月に日本を発った最後の南極海調査&゚鯨は絶対に不可能になっていたはずです。
その他諸々の事情も勘案し、同国である可能性はやはりゼロ。同じくNZもなし。
米国は?
そう……日本が安全保障面でどっぷり依存し、外交で最も神経を使う最重要同盟国・米国こそ、密談の相手であった可能性が高いのではないかと、筆者は推理しています。
きっと、「日米の仲≠セから先に伝えておくけど、反捕鯨陣営のよその国には絶対内緒にして!」と頼み込んだんでしょうね。
脱退の通知先であるにもかかわらず、欧州や豪州、あるいは非加盟国のカナダと異なり、米国政府は日本の脱退表明に対して特に公式に声明を出しておらず、反応が鈍いことがそれを示唆しているかもしれません。もともと温度差はありますし、エコ嫌いトランプ政権下ではありますけど。
ただ、この場合、続く10月にソチで開かれたワシントン条約常設委員会会合でも、日本がIWC脱退予定であること、すなわち、来期以降北太平洋公海でのイワシクジラ捕獲も中止する方向で調整していることを米国は承知していたことになります。それによってソチでの米国の立場・主張が変わることはなかったでしょうが、ある種の茶番だった可能性もあり。
もう1つのX′補、それはセント・ヴィンセント・グレナディーン(SVG)。
被援助捕鯨支持国は現在捕鯨を行っておらず、将来的にも商業捕鯨に参入することもまた考えられません。それらの国々がIWCに加盟し、総会に参加する国益上の理由はただ1つのみ。それは日本の援助。
過去に水産官僚としてIWC交渉に携わったミスター捕鯨問題こと小松正之氏は、今回の日本のIWC脱退方針を批判する主張の中で、被援助支持国が日本の脱退によって置き去り≠ノされる問題点を指摘しました。
日本がこれらの国々の分担金を肩代わりしていたことをドミニカの元環境相が暴露しましたが、現在もマスコミ報道で40カ国とされる捕鯨支持国のおよそ4分の1は総会に来なかったり、分担金未払で投票権が停止していたりします。日本が抜ければ、これ以上IWCに居残り続ける理由もありません。せいぜいSAWS(南大西洋サンクチュアリ)等反捕鯨国の提案採択を邪魔するくらい。もう嫌がらせ以外の何物でもありませんけど・・。
ただし、1ヶ国だけ、直接利害を有する国があります。それがIWCの管理下で先住民生存捕鯨を行っているSVG。
ブラジル総会で先住民捕鯨枠は承認されたとはいえ、ブエノスアイレスグループの批判にさらされているSVGとしては、後ろ盾となる日本の脱退は不安要素といえるでしょう。
もっとも、日本が同国に対して約束できるのは援助の積み増しくらいしかなさそうですが。
SVGは首相が総会直前の8月に訪日しており、このときにも脱退見込について情報がインプットされた可能性があるかもしれません。
日本提案を支持することが最初からわかっている国は、X≠フ候補ではないはずです。意味がないのですから。
となると、想定できる相手は2通り。ロシアないし韓国に同調を促すため。あるいは、反捕鯨陣営を代表する米国ないし豪州との間で落としどころを探るため。
蓋を開ければ、ロシア・韓国はともに棄権。米・豪とお互い歩み寄った形跡もまったくありませんでした。
GDP世界3位の大国日本の栄えある国会議員7名と水産庁次長以下手練の官僚が、サシの極秘会談の場を設けて懸命な説得をしたにもかかわらず、投票結果に微塵も影響を与えることができなかったとすれば、あまりにも情けない話です。
上掲拙記事およびリンクでも解説しているとおり、そもそも日本提案は妥協とは程遠い、コンセンサスを得られるはずのない代物でした。オーストラリア代表も首をかしげたように、わざと通らないよう″られたとしか考えられない内容だったのです。
日本提案には「南極海・公海からの撤退」が含まれていませんでした。IWCで妥協点を見出すために前向きの努力をする気など端からなかったのです。それはただ、脱退の口実にするための国内向けの演出にすぎなかったのです。
とすれば、X≠ニの秘密裏のバイ会談がなぜ行われたかもおのずと察しがつくというもの。
そう・・この総会がお開きになった後、日本が脱退するつもりであることを伝えるため──。
12月27日の朝日新聞も総会前の関係国への根回し≠ノ言及していますが、とくにX≠ノ対してはブラジル現地で伝えておく必要があると、日本政府は判断したのでしょう。
では、1対1の密談を行った相手X≠ニは一体どの国??
ロシアと韓国には、第2IWC∞太平洋版NAMMCO≠フ可能性を模索するうえで早めに伝える意義はあったかもしれません。
しかし、X≠ェロシアである可能性はゼロ。脱退を知りながら、棄権したうえ日本の立場を失わせる発言までするとはさすがに考えられません。同様に韓国もなし。
ノルウェーとアイスランドの北欧2カ国にも先に知らせる意味はありそうですが、であればバイ会談、すなわちどちらか1国とではなく、三者会談(もしくはバイ会談2回)になっていたでしょう。事前の根回しは両国にも行っていた可能性がありますが。
豪州はどうでしょうか? 南極海撤退の見込みも含め、事前に伝える意義はあるでしょう。
ただし、その場合、11月に日本を発った最後の南極海調査&゚鯨は絶対に不可能になっていたはずです。
その他諸々の事情も勘案し、同国である可能性はやはりゼロ。同じくNZもなし。
米国は?
そう……日本が安全保障面でどっぷり依存し、外交で最も神経を使う最重要同盟国・米国こそ、密談の相手であった可能性が高いのではないかと、筆者は推理しています。
きっと、「日米の仲≠セから先に伝えておくけど、反捕鯨陣営のよその国には絶対内緒にして!」と頼み込んだんでしょうね。
脱退の通知先であるにもかかわらず、欧州や豪州、あるいは非加盟国のカナダと異なり、米国政府は日本の脱退表明に対して特に公式に声明を出しておらず、反応が鈍いことがそれを示唆しているかもしれません。もともと温度差はありますし、エコ嫌いトランプ政権下ではありますけど。
ただ、この場合、続く10月にソチで開かれたワシントン条約常設委員会会合でも、日本がIWC脱退予定であること、すなわち、来期以降北太平洋公海でのイワシクジラ捕獲も中止する方向で調整していることを米国は承知していたことになります。それによってソチでの米国の立場・主張が変わることはなかったでしょうが、ある種の茶番だった可能性もあり。
もう1つのX′補、それはセント・ヴィンセント・グレナディーン(SVG)。
被援助捕鯨支持国は現在捕鯨を行っておらず、将来的にも商業捕鯨に参入することもまた考えられません。それらの国々がIWCに加盟し、総会に参加する国益上の理由はただ1つのみ。それは日本の援助。
過去に水産官僚としてIWC交渉に携わったミスター捕鯨問題こと小松正之氏は、今回の日本のIWC脱退方針を批判する主張の中で、被援助支持国が日本の脱退によって置き去り≠ノされる問題点を指摘しました。
日本がこれらの国々の分担金を肩代わりしていたことをドミニカの元環境相が暴露しましたが、現在もマスコミ報道で40カ国とされる捕鯨支持国のおよそ4分の1は総会に来なかったり、分担金未払で投票権が停止していたりします。日本が抜ければ、これ以上IWCに居残り続ける理由もありません。せいぜいSAWS(南大西洋サンクチュアリ)等反捕鯨国の提案採択を邪魔するくらい。もう嫌がらせ以外の何物でもありませんけど・・。
ただし、1ヶ国だけ、直接利害を有する国があります。それがIWCの管理下で先住民生存捕鯨を行っているSVG。
ブラジル総会で先住民捕鯨枠は承認されたとはいえ、ブエノスアイレスグループの批判にさらされているSVGとしては、後ろ盾となる日本の脱退は不安要素といえるでしょう。
もっとも、日本が同国に対して約束できるのは援助の積み増しくらいしかなさそうですが。
SVGは首相が総会直前の8月に訪日しており、このときにも脱退見込について情報がインプットされた可能性があるかもしれません。
■捕鯨推進は日本の外交プライオリティbP!? (6)セントビンセント・グレナディーンのケース
https://www.kkneko.com/oda6.htm
https://www.kkneko.com/oda6.htm
X≠フ第3候補は前述のニカラグア。
捕鯨ニッポンヨイショ同盟新参の同国にとって、他の被援助支持国と一緒に日本が用意した宴の卓を囲むのは少々決まりが悪いことかもしれません。そのため、日本側でレセプション参加に替わる便宜を別に用意してあげて、そのことを伝えた・・という可能性もなきにしもあらず。あまりないと思いますけど。
拙表の試算ではホテルの一室の利用料のみとしましたが、仮にX≠ェ米国であった場合、外務省はセキュリティ面で入念な対策を施し、その費用が上乗せされた可能性もありそう。以前ウィキリークスで盗聴が暴露されて騒動になったこともありますし。
捕鯨ニッポンヨイショ同盟新参の同国にとって、他の被援助支持国と一緒に日本が用意した宴の卓を囲むのは少々決まりが悪いことかもしれません。そのため、日本側でレセプション参加に替わる便宜を別に用意してあげて、そのことを伝えた・・という可能性もなきにしもあらず。あまりないと思いますけど。
拙表の試算ではホテルの一室の利用料のみとしましたが、仮にX≠ェ米国であった場合、外務省はセキュリティ面で入念な対策を施し、その費用が上乗せされた可能性もありそう。以前ウィキリークスで盗聴が暴露されて騒動になったこともありますし。
とういうわけで、筆者の推理では1に米国、2にSVG、3、4がなくて、5にニカラグア。
X≠ノついて「いや、違う。私はこの国だと思う!」といったご意見がある方は、ぜひお聞かせください。
X≠ノついて「いや、違う。私はこの国だと思う!」といったご意見がある方は、ぜひお聞かせください。
さて、水産庁/外務省に対してレセプション名目の費用の開示請求を改めて行うかどうか検討してみましたが、すでに脱退しちゃったことでもありますし、とりあえず試算で済ませようと思っています。水産庁国際課の担当者に露骨に嫌そ〜〜にされ、これ以上煩わせるのもどうかな・・というのもありますし。再開後のビジョンもろくに描けていないのに族議員の号令で突っ走っちゃって、難題山積ですものね。
まあ、X≠ェどこの国であろうと、日本のIWC脱退が重大な外交上の失策であり、ブラジル総会でこれほど多額の税金を使う必要もなかったのは間違いありませんが。
まあ、X≠ェどこの国であろうと、日本のIWC脱退が重大な外交上の失策であり、ブラジル総会でこれほど多額の税金を使う必要もなかったのは間違いありませんが。