2018年06月29日

日経スクープ「日本の新提案」で改めて浮き彫りになった調査捕鯨の違法性


 6月も下旬に入り、日経新聞が捕鯨に関する奇妙なスクープ報道を連発しました。内容は9月に開かれる国際捕鯨委員会(IWC)年次会議で日本政府が行う提案について。

■「豊富なクジラの商業捕鯨再開を」IWCで日本提案へ (6/22)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32097760S8A620C1EAF000/
■商業捕鯨「復活」の好機 IWC総会 (〃)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32119270S8A620C1QM8000/
■鯨肉 10年で4割安く 目標数捕獲、加工品消費も拡大 (6/26)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32235790W8A620C1QM8000/
■「捕鯨枠決議 要件緩和を」 水産庁、IWC提案へ (6/27)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO32266010W8A620C1QM8000/

 変ですね・・同紙は国際司法裁判所(ICJ)の違法判決以降、日本政府のがむしゃらな公海捕鯨推進政策・調査捕鯨の強行に対し、冷静で現実的な視点で苦言を呈する社説・論説を発表してきたのですが・・。
 美味い刺身法$ャ立後に捕鯨サークルが新たに鯨肉を大盤振る舞いした所為で、釣られたおかしな記者なり論説委員が出てきちゃったのかしらん? まあ、一新聞社といっても中にいる記者はピンキリですが、何とも残念なことです。

■捕鯨の現実を見つめ直そう ('14/4/3)
https://www.nikkei.com/article/DGXDZO69306970T00C14A4EA1000/
■調査捕鯨のオウンゴール 建前を貫く覚悟が大切 ('14/4/15)
https://www.nikkei.com/article/DGXNZO69790750S4A410C1TY7000/
■調査捕鯨の強行を懸念する ('14/9/24)
https://www.nikkei.com/article/DGXDZO77436610U4A920C1PE8000/
■調査捕鯨の再開は拙速だ ('15/12/6)
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO94825620W5A201C1PE8000/

 政府は鯨類を重要な食料資源とし商業捕鯨の再開をめざす方針を変えていない。世界の食料需要が増える中で権益を守ることは重要だ。だが、実際に再開が認められたとして、水産会社が再び遠洋に出かけ流通大手が鯨肉商品を店頭に置くようになるのだろうか。
 年間約600万トンある食肉供給に対し、鯨肉の消費量は5千トン前後にすぎない。商業捕鯨再開という目的に合理性があるのか、よく考えてもらいたい。(引用)

 以下に、ツイッター上での記事への反応をご紹介。捕鯨そのものには必ずしも反対でない方でさえ、日本の漁業があまりにひどすぎて国際的に恥ずかしいレベルであるため、いくら「持続的に捕鯨をやります!」と世界に訴えても誰も聞く耳を持ちやしないと、みなさんちゃーんと理解されているようで・・。

https://twitter.com/kamekujiraneko/status/1010533549814902784
「科学的根拠に基づいた持続的な水産資源の利用を訴える」って、どの口がそれを言うのか。(引用)
https://twitter.com/kamekujiraneko/status/1010526338086723584
「科学的根拠」を言う日本が一切科学的根拠を示せずに裁判で負けたことをきちんと報じていればこの記事の日本の言い分が笑いものでしかないことがわかるが知られているかな?(引用)
https://twitter.com/kamekujiraneko/status/1010533743793065984
「日本は科学的根拠に基づいた持続的な水産資源の利用を訴える」マグロやウナギでそれが全くできてない日本の説得力を省みようぜ。(引用)
https://twitter.com/kamekujiraneko/status/1010190589587943424
えー、国際的に孤立するだけやん。国内ばかり見ないで、国外の動きに神経尖らしてよー。日本人はもはやクジラは食べないんだから。(引用)
https://twitter.com/kamekujiraneko/status/1010190323128008704
えーっ…海洋プラスチックゴミには目をつぶる一方で、これは引くわ…(引用)
https://twitter.com/kamekujiraneko/status/1010190624383909888
こんなこと敢えてするメリットあるのかな。外交コストがあまりにも高くつく気がするんだけど。(引用)
https://twitter.com/kamekujiraneko/status/1010192618926379008
反捕鯨団体の主張は酷いけど、漁業に関しては鰻を絶滅に追いやりつつありながらも保護ができない日本にも説得力は無いよなぁ。(引用)
https://twitter.com/kamekujiraneko/status/1010192674530340864
こういうことは「意識高い系」の欧米諸国からボロカスに言われてでも堂々と主張すればいいと思うけど、ただしそれは日本が科学的な水産資源管理をちゃんとできるという前提があってこそ。ウナギとかマグロとか、今の現状を放置したままでは相手にされまい。 (引用)

 今総会での日本政府の方針については、日経に続いて他紙も一様に報じました。これは自民党の族議員会合でのレクチャーに続いて水産庁が農水記者クラブにリリースし、それを受けてのものでしょう。

■商業捕鯨再開をIWCで提案へ 反対強く、脱退論も (6/26,共同)
https://this.kiji.is/384260001335968865?c=39550187727945729
■商業捕鯨の一部再開提案へ=日本政府、9月IWC総会で (6/26,時事)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018062601164&g=eco
■政府、商業捕鯨の再開提案へ 9月のIWC総会 (6/26,産経)
https://www.sankei.com/politics/news/180626/plt1806260031-n1.html
■日本、IWC総会に商業捕鯨再開を提案へ (6/27,読売)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20180626-OYT1T50092.html
■IWC総会 日本政府が商業捕鯨再開を提案へ (6/27,毎日)
https://mainichi.jp/articles/20180627/k00/00m/020/180000c
■商業捕鯨再開、提案へ 国際捕鯨委総会で 水産庁 (6/27,朝日)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13558388.html

 では、改めて22日の日経記事(リンク1番上)およびそこに示された日本政府の主張の問題点を解説しましょう。
 大きなポイントは2つ。

@調査捕鯨の目的と主張内容が大きく矛盾しており、その違法性を改めて明示している。
A捕鯨サークルのお家芸<nッタリ。つまり、これまでの主張同様、現実には受け入れられる余地がなく、国内の支持者に向けたただのアピールと見られる。

 まず@について。
 そもそも日本は一体何のために調査捕鯨をやっているのでしょうか?
 答えは「商業捕鯨を再開するため」=「IWCに商業捕鯨モラトリアムを解除させるため」です。あくまで日本曰く、ですが。 
 つまり、商業捕鯨を再開させるためには、調査捕鯨を実施することがどうしてもどうしてもどーーーしても必要不可欠なのだと。
 裏を返せば、「調査捕鯨をやらないと商業捕鯨を再開させることができない」ということになりますね。
 パブコメの結果を受けて変更なく定められることとなった「商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律に基づく基本的な方針」には、以下のとおり記されています。

http://www.jfa.maff.go.jp/j/council/seisaku/kanri/attach/pdf/180531-6.pdf
商業捕鯨モラトリアムを解除して適切な捕獲頭数を設定するための科学的情報を収集するため、鯨類科学調査を実施するものである。(引用)

 言い換えると、「調査捕鯨をやらない」→「科学的情報を収集できない」→「適切な捕獲頭数を設定できない」→「商業捕鯨モラトリアムを解除できない」という話になります。
 国語的には「調査捕鯨をやらない」→「科学的情報を収集できない」→「商業捕鯨モラトリアムを解除できない」→「適切な捕獲頭数を設定できない」でも通りますが、いずれにしても、日本が調査捕鯨を実施し続けない限り、商業捕鯨モラトリアムを解除できる見通しは立たないことになります。日本に言わせれば。
 だからこその調査捕鯨なのだと。
 ICJで違法と断定されてしまったJARPAU(以前の南極海調査捕鯨)とは異なり、決して美味い刺身の安定供給(by本川元水産庁長官)目的じゃないんだ──と。
 おやおや・・早くも今回の日本の提案との途方もない矛盾が露呈されちゃいましたねえ。皆さん、もうお気づきと思いますが。
 商業捕鯨を再開するために調査捕鯨が必要なら、なぜ今その商業捕鯨再開を要求できてしまうのでしょうか?
 日経記事には「現行の調査計画が終了する2027年以降」(引用)とあります。そう、2016年にスタートしたNEWREP-Aの調査期間は12年と設定されました。実はこれ、ICJでオーストラリアに科学計画と言いながら期限が設定されてない点を突っ込まれ、いつまでもズルズルと続けられる美味い刺身の安定供給*レ的の偽装調査捕鯨だったことがバレちゃったことも背景にあるわけです。
 要するに、最低でもIWC科学委員会に中間報告が提出されその検証結果がまとまる6年+アルファの期間が経過するまで、モラトリアム解除の可否は判断できないはずなのです。商業捕鯨の再開のために本当に調査捕鯨が必要不可欠であるならば。
 日本が今¥、業捕鯨再開を要求するということは、すなわち必要な科学的情報はすでに十分集まり、少なくともこれ以上の調査捕鯨は必要ないことを意味するわけです。
 たった3年で結果が出たということは、12年の期間が必要という見積りが相当甘かったということかもしれませんが、美味い刺身法≠燗ッ基本方針もこれで無駄になっちゃいましたね・・。
 商業捕鯨モラトリアムが導入された経緯には、統計上の数字の修正を迫られるほどの悪質な規制違反が日本を始めとする捕鯨国の捕鯨会社で横行していた明白な事実があり、違法な捕鯨を完全に阻止するシステムこそモラトリアム解除の絶対条件にほかなりません。
 科学調査の名を騙り違法な商業捕鯨をつい最近まで国を挙げてしでかしていた前科のある日本が、後数年の間、もう必要なくなった調査捕鯨をやめられるかどうかが、あるいは加盟国にとってモラトリアム解除の可否を判断する本当の材料≠ノなるかもしれませんね。
 ここでもう少し詳細な背景の補足説明をば。
 現行の日本の調査捕鯨(ICJ違法判決後に南極海と北西太平洋で実施されているNEWREP-AおよびNEWREP-NP)の柱となる目的とは、具体的には「改訂管理方式(RMP)の精緻化」です。
 このRMPについてはIWCですでに合意が成立しているため、「商業捕鯨再開のために調査捕鯨が必要」という日本の主張は前提からしておかしいのです。この点はこれまでにも何度も説明してきたとおりですが、改めて拙パブコメより引用しておきましょう。

http://www.kkneko.com/pubcom5.htm
〈基本方針案〉「第一」を要約すれば、鯨類科学調査(以後〈調査捕鯨〉)の意義とは「『鯨類資源の持続的利用のための』商業捕鯨早期再開のため」ということになる。しかし、「〈調査捕鯨〉を実施すれば、商業捕鯨の早期再開への道が開ける」ことが、上記の背景の記載ではまったく説明できていない。それどころか、前段落では日本の商業捕鯨再開を阻んでいるのが「政治的対立」(引用)であると書かれている。つまり、本当に商業捕鯨を早期に再開するために必要なのは、政治的対立を解消するための政治的努力である。
  実際には、この政治的対立の具体的中身は、前述のとおり、すでに確立したRMPではなく、RMSをめぐる議論である。日本の立場は、「RMPはやっぱり未完成だった」としていったん国際合意を破棄・返上するというものではないはずだ。〈調査捕鯨〉の主目的はRMPの精緻化だが、そもそもRMPに関しては〈基本方針案〉に書かれているとおりすでに国際合意が得られているため、商業捕鯨再開を目指すという趣旨からいえば、RMPの数字を弄り回したところで何一つ役に立たない。国際社会の要請を無視した強行は、むしろ政治的対立を深めるだけで逆効果である。反捕鯨国の懸念に配慮し、保全側にRMPのハードルを高める調整を行う趣旨であれば、まだ理解を得られる可能性もあろう。しかし、4つのうち1つで絶滅リスクがさらに上がるシミュレーション結果が出てもなお捕獲枠を上乗せできると解釈するようなやり方では、ますます強い反発を招くばかりだ。
  「政治的対立」(引用)によって商業捕鯨が再開できないのに、その政治的対立を解消するどころかさらに煽ることで、一体どうして商業捕鯨を再開できるのか。
seichika.png

 今回の日経記事が示す日本の調査捕鯨の違法性は、この点だけに留まりません。
 日経記事の1、2、4番目では、現在NEWREP-Aの対象となっているクロミンククジラのみならず、違法なJARPAUが対象にしてきたナガスクジラとザトウクジラについても言及されています。直截的な表現ではありませんが、再開を要求する対象となる「一部鯨種」はこの3種を指しているとみて差し支えないでしょう。
 しかし、奇妙なことがあります。
 ICJの違法判決以降、日本はナガスとザトウの2種を南極海調査捕鯨の捕殺対象から除外しました。
 しかし一方で、日本は「商業捕鯨再開のため」にはあくまで「RMPの精緻化」が必要だと主張しているのです。そのための年齢組成を調べる経年大量致死調査なのだと。
 日本の主張を整理すると、次のとおりになります。

 商業捕鯨を再開できる種 : クロミンククジラ、ザトウクジラ、ナガスクジラ
 商業捕鯨再開の可否を判断するためにRMPの精緻化が必要な種(要調査捕鯨) : クロミンククジラ
 商業捕鯨再開の可否を判断するためにRMPの精緻化が必要ない種(調査捕鯨不要) : ザトウクジラ、ナガスクジラ

 これはまったくもって筋が通りません。
 興味深いのは、2014年のICJ判決で判事にズバリ指摘された矛盾、日本側が科学的合理的に説明できなかった「クロミンクとザトウ/ナガスのサンプル数の差」というJARPAUの致命的な欠陥を、NEWREP-Aがそっくりそのまま引きずっていることです。
 詳細はICJ判決について解説した拙過去記事をご参照。

■ICJ敗訴の決め手は水産庁長官の自爆発言──国際裁判史上に汚名を刻み込まれた捕鯨ニッポン
http://kkneko.sblo.jp/article/92944419.html

 二の轍を踏むとはまさにこのこと。捕鯨サークルは「ICJへの再提訴を阻んだから別にどうでもいい」と考えているかもしれませんが。
 商業捕鯨再開を要求する対象もクロミンククジラのみに限定するか(水産庁の言うサベツのないジゾクテキリヨウ原則には反するかもしれませんが・・)、あるいは、ザトウとナガスもクロミンクとビョウドウにRMP精緻化のための調査捕鯨を実施するなら、まだしも整合性は取れたでしょうにね・・。
 ついでに、日経記事中のクロミンクの「高水準で安定」、ザトウとナガスの「年間10%ほどのペースで回復」との表現について補足しておきます。
 クロミンククジラはIUCNの求める3世代期間の生息数推移の情報に基づくなら、CR(絶滅危惧種TA類)に相当する大幅な減少を示しています。種の保全に関わる科学的見地からすれば、クロミンククジラはまさに絶滅危惧種に該当するのです。南半球ナガスクジラが増えているというのは日本独自の主張で、IWCではその生息数についてまだ合意されていません。ザトウクジラは確かに多くの系群で回復傾向が見られますが、紅海系群等一部はまだ深刻な状況で、日本周辺の北西太平洋のように他の海域より回復が遅れているところもあります。ザトウクジラの捕獲禁止はモラトリアムよりさらに20年も遡るのですが。また、捕鯨開始以前の水準にまで回復するまでにはまだまだ年数がかかるとみられています。日経の「鮮明な回復」(引用)という表現はかなり誤解を招くものです。
 チンパンジーであれジャイアントパンダであれミナミイワトビペンギンであれ、オオハクチョウであれナベヅルであれ、ウナギのレベルでとにもかくにも殺さないとビョウドウなジゾクテキリヨウ原則に反するというのが、水産庁や日経記者の立場なのでしょうが・・。

 続いて、Aのハッタリについて。
 日経記事には「総会の決定手続きの変更」(引用)とあり、水産庁の説明通りなのでしょうが、これはきわめておかしな話。
 なぜなら、モラトリアム解除の条件となる附表の改訂に3/4以上の加盟国の賛同が必要なのは、総会手続規則ではなく、国際捕鯨取締条約(ICRW)そのもの(第3条)に記されていることだからです。法的に無体な要求。国際法を軽視する日本ならではの主張とはいえるでしょうが。

■調査捕鯨継続の法律ができて1年/日本の戦略は|ika-net日記
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/1-471c.html

法律をよく知っている人から、それは無理では、という意見をもらった。ICRW第3条に総会に関する規定があり、総会の決議は単純過半数、ただし、第5条の履行に関する行動については4分の3の票の獲得が必要と。(引用)

 大体、過半数で解除が可能なら、なんで票買いしまくって無意味な決議を通した2002年の下関会議の時にそれをやらなかったのかという話になってしまいます。もし、当時の担当者が気づかなかったのであれば、推進派から究極のド阿呆と非難されても仕方ない話。ド阿呆の中には捕鯨協会を含むサークルの古株が全員含まれるのは当然のことですが。

 この過半数の議決条件について、マスコミは「反捕鯨国にもメリットのある決定手続きの要件緩和」(引用〜共同手続)と伝えています。具体的には日本の妨害で棚ざらしにされている南大西洋サンクチュアリ等を指すわけですが・・冗談もほどほどに。
 反捕鯨国にとってはまったく何一つメリットなどありません。
 なぜなら、もし仮に過半数を制してサンクチュアリを可決できたとしても、留保された時点で意味をなさないからです。商業捕鯨モラトリアムを解除されたうえに、留保した国にサンクチュアリ内で捕鯨をされた日にゃ目も当てられません。モラトリアム解除の要件を厳しいままにしておく方が、はるかに、はるかに重要なのです。
 ブエノスアイレスグループを始めとする関係国は、狡猾ともいえない日本のエゴ丸出しのバカげた提案に決して乗ったりなどしないでしょうけど・・。
 外房捕鯨見学会に参加していたサントメ・プリンシペなど、このところ日本が懸命な買収工作で支持国を増やし、ジリジリとIWCで勢力を拡げてきているのは確かです。基本的に、一部の国(アイスランド・ノルウェー・ロシア・韓国)を除くと、他の捕鯨支持国は判を押したように日本の主張に賛同するだけで、当事国に公海商業捕鯨を実施する能力もなければ国民にとって何一つ益がないこともはっきりしているわけですが。
 そして、日本の再開要求が通らなかった場合として、各紙が報じているのが「脱退論」。
 これはもう毎度毎度耳タコの話。

一方で、頻繁に繰り返される「IWCからの脱退」と「新組織の設立」だが、公海に関しては国連海洋法条約のしばりで近隣諸国との合意が不可欠なので、近隣諸国との外交手腕が試される(!)。(引用〜上掲IKANブログ記事)

 ちなみに、ここでいう近隣諸国とは、南極海であればオーストラリアやニュージーランド、北太平洋であれば米国。それらの国々の合意なしには、いくらODAと引き換えに言いなりになってくれるアフリカやカリブ海諸国を引き連れて新組織を立ち上げたとしても、日本が公海で商業捕鯨を行うことは絶対にできないということです。国連海洋法条約まで脱退すれば話は別ですが、国際社会からNPTを脱退する北朝鮮と同列の扱いを受けることは火を見るより明らか。
 おなじみ環境外交の専門家・東北大石井准教授も次のように指摘しています。

https://twitter.com/kamekujiraneko/status/1011946475994079232
日本政府が南極海捕鯨の全面撤退、調査捕鯨条項の改正に応じない限り、反捕鯨国が同意してくれることはあり得ません。これは交渉関係者なら分かりきってますので、この提案は「IWC劇場」の演技です。(引用)

 母船の老朽化、消費低迷、財政悪化、ICJ敗訴と負け¢アきで、永田町・霞ヶ関の一部関係者からは「フェイドアウトもやむなし」と突き放され、危機感を抱いた捕鯨協会が族議員をに発破をかけ、美味い刺身*@を強引に成立させ、デタラメなプロパガンダ映画を作らせてネトウヨを焚き付け、枷を取っ払って税金を投じ、なりふりかまわぬ買収外交や消費拡大策を推進中──これが目下の捕鯨ニッポンの状況。
 しかし、こんな無茶苦茶なやり方をいくら続けても、捕鯨協会の思ったとおりに事が運ぶことは決してありません。
 ここで紹介した一般の方々が懸念を抱くように、日本の対外イメージをますます悪化させるばかりです
 今回の日経記事は、ICJ判決、悪質な規制違反や密漁というモラトリアム成立に至った歴史的背景、RMSをめぐる議論などをすべてすっ飛ばしており、ともかく悪質。やっぱり鯨肉マニアの記者が書いたんでしょうね。
 なお、3番目の記事の問題点については以下の拙ツイートをご参照。

posted by カメクジラネコ at 19:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系
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