2008年08月22日

医療過誤とクジラ

◇捕鯨関連報道・他

 ブログの更新間隔を空けたところ、何名かの方々から「毎日チェックしてたのにー」とありがたい叱咤激励のお言葉をいただきましたm(_ _)m データの復旧が来月までかかる見込みなのですが(汗)、それ以降は隔日くらいでも可能な限り更新していきたいと思っております。クジラの話題から少々遠ざかって、時事ネタやTVネタなどが多くなるかもしれませんが・・。
 現在代用PCを使用しておるのですが、おまけにディスクの空きが10M程度とギッチギチなもんで、接続環境が著しく悪く、なかなか皆さんのサイトやブログの方にお邪魔できておりません。ブックマークが壊れちったのもあるんですが・・。メールやTB、コメントをいただきながら恐縮ですm(_ _)m

 18日、19日に「SS国際指名手配」という季節はずれのビッグニュースが届き、急遽20日に関連記事をアップしたところ、久しぶりに1500件近いアクセスがありました。こういうときに急増するのはやっぱり野次馬なのかニャ〜とは思いつつも、引き続きこうした形で、日本で捕鯨問題に関する情報が一方的に流れ、あるいは捕鯨サークルにとって都合の悪い情報が遮断されるのを、ほんの少しでも変えることができたら──と考えている次第です。あんまり急いても粗が生じてよくないんですが(汗)、もともと信用度が限定される個人ブログですから、なるべくタイムリーな情報をお届けできればと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

■日本関連のタンカー乗っ取られる=海賊被害多発のソマリア沖 (8/21,時事)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080821-00000215-jij-int (リンク切れ)

 同じSUA条約関連でも、内容的にはSSの件よりはるかに深刻なはず(船員は外国人の方ばかりとはいえ・・)。マスコミの取り扱いの温度差が気になります。


◇医療過誤とクジラ

■帝王切開死亡事故 大野病院産婦人科医に無罪判決 (8/20,各紙)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080820-00000914-san-soci (リンク切れ)

 難しい問題ですが、医療側の責任は個別に判断すべきで、裁判所が「医療の萎縮」を理由にするのはどうかと思います。他所にていろいろ指摘がありますが、情報の不透明性や対応の不誠実さは追及され続けるべきで、もし刑事責任を問えないならば、医療機関を厳しく監視・監督する制度を別途設けるべきでしょう。
 引っかかったのは、今回の正当化のロンリがちょっぴり捕鯨のそれと似た空気をまとっているように感じたからです。産婦人科(での医療過誤事故)=捕鯨、医療全体=水産業全体あるいは日本文化全体、という構図が見て取れるのではないかと。
 「医療全体のために、一切個別の医療事故の責任を問うてはいけない」というのは、やっぱり違うんじゃないですか?
 また、産婦人科医不足と絡める理屈もおかしい気がします。緊急搬送された妊婦が病院をたらい回しされた挙句亡くなるといういたましいケースや、先進国の中でも何故か日本の新生児死亡率が際立って高いことなど、かなり深刻な事態にあるのも事実でしょう。しかし、若い研修医が、この事件を理由に産婦人科を敬遠するようになった、というのはおかしいのでは? 医者自体がイヤになったというならまだわかりますが。
 その前にまず、産婦人科の医療事故(過誤)が他の医療事故(過誤)と際立って異なる点を数字として示すべきでしょう。脳外科や心臓外科よりリスクが高いということはないでしょうし、交通事故の対応など、外科、整形外科だって同様の問題はあるはずです。
 また、看護師が点滴やカテーテル操作を誤る医療過誤も結構発生しており、事件としてマスコミで取り上げられることもありますが、看護師が業務上過失致死で逮捕されたり病院が責任を問われても、今回のケースと同じように「このままじゃ看護師がみんなやめて医療が危うくなる」といった声はあまり聞こえてきません。
 どちらかというと割が合わないというのが本音の気がするんですがね・・。だとすれば、制度的に産婦人科の報酬を大幅アップして、他科の診療報酬を揃って若干下げれば、若い医師たちは喜んで産婦人科を目指すのではないでしょうか? ノルマ化できる透析、あるいは美容整形などの美味しい診療科≠ニ、子供と母親の命を救い、ついでに国の行く末にも関わる産婦人科との格差を是正すべく、国が手厚くバックアップするのがスジのはず。海外でも出来ているのに、日本でそれができないのは何故なのでしょう? 何かまったく別の事情が絡んでいるのと違いますか?
 そうしてみると、真剣に産婦人科医不足や体制の問題を解消するためというより、やはり別の利益を擁護するために今回の事件を利用し、無理やりオールオアナッシングの議論に結び付けてしまうやり口に見えてしまうんですよね・・。
 個別の問題=木≠ニ、全体的な構造の問題=森≠ヘ密接に結びついていますが、それぞれに糾すべきところを糾さなければ、何一つ議論は進まず、問題の解決はいつまでも先送りされてしまいます。
 捕鯨も同じ。水産業の抱える問題を隠す材料に捕鯨を利用してはなりません。「全否定につながる」などという主張は、タメにするだけの屁理屈です。そんな理由で調査捕鯨の闇を不問にしてはなりません。看護師の医療過誤事故と同じく、日本の伝統文化といっても、日本自らによって切って捨てられている文化はいくらでもあります。
 誰が何を主張しているのか、そして、その主張の裏に隠されている真の動機は何なのか、見極める目を養うことが、とりわけ必要な社会に現代の日本はなってしまったようです──

posted by カメクジラネコ at 02:42| Comment(7) | TrackBack(1) | 社会科学系
この記事へのコメント
おっしゃる通りの内容に唸りましたが、、

医療業界にお詳しいですね^^。

診療報酬の件ですが
やはり、どう考えても診療科ごとの診療報酬の差別化そのものは、結果論でしかありませんね。
厳しい診療科を選んだから⇒診療報酬が高い。(そうしてあげてください)

診療報酬が高いから…
 ⇒この厳しい診療科を選ぶ…か?

選びません!!

収入額にこだわる人間は、当然、訴訟リスクなども考慮して専門を選ぶだろうと思われます。

訴訟のことが頭から離れない医者たちに
私たちは教育されてきました。
学生時代からずっと。。。
二言目には、「すぐ訴えられるぞー!」とか
いろいろ小話、裏話を聞くためにポリクリ、初期研修をいていたようなものです。
ま、実際今でもたまにアブナっかしい橋を渡っていますが。

少なくとも私は
「訴えられるストレスを抱えながら仕事をする」ために
医者になったんじゃないんです。

訴訟回避ストレス(しかも日常的に)が
如何ほどか、医者にしか理解できないでしょうけど。

世間的な意見との間に、その点で深い溝を感じます。
「犯罪者になるかもしれない」
「結果、無罪でも、確定するまで『被告』として
社会生活を送らねばならない」
可能性(リスクよりも現実味がある)を
私は日常的に肌で感じています。

正直、この職場環境から抜け出したいです。
でももう従うしかないのでしょうか。

一言、、訴えられたくない!
のです。
Posted by 若手医者れでー at 2008年08月23日 11:42
あと、産科の特徴として
・妊婦さんの年齢(明らかに他科より若い…)
・正常な正期産が日本社会の前提
・一度に扱う患者さんは2名以上(母子)

・帝王切開の手術は大体2,3時間で終了するが★
・その手術中の容体の変化が
 他科と比較しても、とても急峻なものが多い。

というのは、、
まれに大出血などイベントが起こると
例え健康な女性でも
一気に、それこそ「分単位」で重症化(DICなど)する。
ご家族には受け入れにくい話でもありますね。

こういう状況は、むしろご高齢の患者さんでは
「週単位」
で徐々に悪化するケースが多いので、ご家族も心理的に受け入れやすい。

したがって、他科の諸外科の抱えるリスクと産科とでは質が異なるように感じます。

(おまけにその状況を小さな病院では手術中にムンテラする時間的人材的余裕はあまりないだろうと思われる。でも、これは今後の重要な改善点になりますよね?外で待っているご家族が一番心配なのでしょうから)

ま、私は麻酔科なので術者の気持ちにはなれませんが
やはり帝王切開の時には、毎回祈る気持ちで見ています。
そして産婦人科のドクターには
心の中で頭が下がりっぱなしなのです☆
Posted by 若手医者れでー at 2008年08月23日 14:59
>若手医者れでーさん
すみません、門外漢が時事ネタを勝手にいい加減に裁いてしまって(--;
日本の医者の卵の皆さんの置かれている過酷な環境もつとに知られていることですし、産科の特殊な状況もご説明いただけば確かに納得できる話です。となると、やっぱり海外の医療環境との対比の話になっちゃいそうですね。この方面の医師を増やして体制を充実させてこそ事故リスク軽減につながるのですし、万一の際に迅速丁寧な説明責任を果たすことこそ訴訟リスクを回避できるのですから、問われるのは医療行政のはずですが、議論がそういう方向に進まないのが問題ですね。
私が情報に接する機会が多いのは収益構造やリスクの性質がまったく異なる獣医方面なのですが、悪徳獣医も少なくない一方で、献身的に動物達のために尽くす方たちもいます。そういう良心的な獣医と同様に、割の悪い産科の現場であえて働き続ける医師の方にもやはり頭が下がります。
Posted by ネコ at 2008年08月24日 02:03
獣医さんだったのですか。
失礼しました!
それはお詳しいはずですよね^-^。

ですから、「クジラさん」なのですね☆

私は昔からハムスター飼い主でして
(実は今日、一匹新しくうちに来ます♪)
小学生の頃からずっと小動物にはメロメロなのです。。。

一方、クジラさんはおっきな生き物ですが
私もこれを良いきっかけとして
このブログで色々勉強させていただきます!
お返事ありがとうございました。
Posted by 若手医者れでー at 2008年08月24日 08:59
>若手医者れでーさん
ごめんなさい、いつも舌足らずなコメントで(汗
私自身は獣医じゃなくて患畜の保護者の立場なのですが、捨て犬猫を無料で診療したり一時預かりしてもらったり、里親募集などにも協力していただいている獣医さん達を知っていて、少しは情報をもらってるもんで・・。
ハムスターも可愛いですよね(^^ 大切にしてあげてください。いまうちにいるのはフェレットなんですが、王子な性格なのでハムスターにも勝てそうにないです(汗
Posted by ネコ at 2008年08月25日 00:46
「医療の限界」で患者の命を救えなかった医師が「医療ミス」として逮捕されて、無罪になっても「殺人医師」と猛烈にバッシングされたり、患者の命を救えなかった救急隊がさも「救急隊が患者を殺した」かのように猛烈にバッシングされるこの現状を見て…。

消防士が火事を消し止められずに焼死者が出たら「殺人消防士」として逮捕。
警察官が人質立てこもり事件を解決できずに死者が出たら「殺人警官」として逮捕。
ライフセーバーが溺れている者を救えなかったら「ライフキラー」として逮捕。

そんな、「スーパーマンじゃないと生きていけないような世界」がやってきそうで怖いですね。

そしてなり手がいなくなる…と。
Posted by 都筑てんが at 2009年08月09日 17:25
>都筑てんがさん
貴ブログ拝見しました。極論に対して極論で応じてしまっては医師側の事情に対する世間の理解は深まらないのではないのでしょうか。
最近メディアで取り上げられた事例でいえば、頚静脈のカテーテル誤挿入は「過誤」ではなく「疾患上の死亡の範囲内」に組み込まれているケースがあるそうですが、事前のエコー診断で死亡率を大きく下げられるという話。そこは「ミスにするな」ではなく、いかにして死亡率を下げるかという努力をしていくべきでしょう。
『「マンパワー」「キャパシティ」「リソース」が無ければ、どうする事も出来ない』というご意見は一部正論だと思いますが、そこで「だから病院や医者を一切問うてはならない」としちゃうと、それもまた飛躍になってしまいませんか。誰に責任を被せるかの話ではなく、システムのどこに欠陥があり、社会としてそれをどのように見直すべきかの議論が必要なのでは。
Posted by ネコ at 2009年08月10日 01:11
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