2017年03月03日

南極海で強行できても北方領土で捕鯨はできない!? 売国水産庁の超ダブスタ外交

 前回、日本が新たに計画している北西太平洋鯨類科学調査(NEWREP-NP)で北方領土係争区域内が捕獲調査海域に含まれること、それによって重大な問題が浮上したことを取り上げました。

■北方領土問題とクジラ
http://kkneko.sblo.jp/article/178565457.html

 今回はみなさんにさらにわかりやすいよう3枚のチャートを用意しました。

newrepnp_t.png
newrepa_t.png
territoryj.png

 英語版はこちら。

■Ultra double standard of Japan's diplomacy : Territorial disputes issue and Japanese research whaling
http://www.kkneko.com/english/territory.htm

 なお、出典は以下の水産庁の調査捕鯨計画概要資料そのものです。

■南極海における新たな鯨類調査計画案の概要について|水産庁
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/enyou/pdf/newrep-a.pdf
■新北西太平洋鯨類科学調査計画案の概要について|〃
http://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/attach/pdf/index-2.pdf

 水産庁はあっけらかんと発表してしまいましたが、もはや実際に調査捕鯨をやろうがやるまいが、ロシアに許可を取ろうが取るまいが、国の根幹に関わる領土主権問題における日本の外交スタンスの途方もない矛盾が露呈してしまい、主要国との外交関係に重大な亀裂が生じたとしても何の不思議もありません。
 水産庁は「調査は我が国領海・EEZ・公海のみでやります」と宣言しました。つまり、調査捕鯨をやるかやらないかは、「その海域は日本の領海・EEZか、公海かのいずれかである(と日本政府はみなす)」という宣言にほかなりません。
 北方領土周辺海域で日本が調査捕鯨を計画通りに実施する場合、それは「ここは日本の領海だ!」と世界にメッセージを送ることを意味します。
 逆に、調査捕鯨を計画通りに実施しないなら「ここは日本の領海ではありません!」と宣言したのとイコールです。
 しかし、常識≠フ範疇で判断する限り、北方領土周辺海域での調査捕鯨はどう考えても不可能です。
 南極海でオーストラリア・NZに対してやってるのとまさに同じように、ロシアに許諾を得たり通知したりなど一切することなく、日本が同海域で調査捕鯨を強行するなら、たちまちロシアのコーストガードにとっ捕まるのは火を見るより明らか。
 それを防ぐ方策は、ロシアに「やらせてください」と頭を下げる以外にありません。それはやはり、「ここは日本の領海ではありません!」と認めるのも同然です。
 日露両国は互いのEEZで漁船を操業できるようにする協定を結んでいます。また、北方四島周辺に関しては領海12海里で日本漁船の操業を認める代わりに、日本がロシア側に協力金を支払っています。
 つまりこれらは、人道的見地からの墓参事業と合わせて、地元北海道の漁業者への配慮を優先し、国の体面を捨てて領土主権の主張を棚上げすることで実現しているわけです。
 とはいえ、調査捕鯨はそもそも建前上≠くまで科学調査であり、漁業ではありません。「ロシアEEZ内での調査許可申請」という形ではなく、「北方4島周辺水域における日本調査捕鯨船の操業枠組み協定」的なものを新たに取り結ぶひねり技も、あるいはアリかもしれません。その際にはロシアに何らかの便宜(普通に考えて協力金)を提供することが不可欠ですけど。
 いずれにしろ、目と鼻の先の北方領土と、はるか地球の裏側の南極海で、日本の態度があまりにもかけ離れているという事実は、もはや覆しようがありません。
 実施を見送るにしろ、許諾を得て実施するにしろ、それは水産庁がロシアという国に対して特別な配慮をしたことを意味します。オーストラリアやニュージーランドとは正反対に。
 水産庁が平伏しているのは、当の日本政府いわく目の前の北方領土を不当に占領し、クリミア半島でこれ以上ない「一方的な現状変更」をやってのけ、西側諸国からサミットで弾き出され、日本もその経済制裁に参加している国・プーチンが絶大な権力を振るう覇権主義の大国ロシア。日本側が固有の領土の主権を侵害されている相手です。
 一方、水産庁がICJ判決すら無視して嘲弄している相手であるオーストラリア・ニュージーランド両国は、そのロシアと対照的に、日本と「民主主義・国際法の支配」という価値観を共有するハズの国。特にオーストラリアは米国とともに太平洋の安全保障において緊密な連携を図っているハズの国。それが、日本側がわざわざ赤道を越えてはるばる遠征してまで相手国の領土主権の主張を直接侵害している相手です。
 南極海の調査捕鯨操業海域は日本に言わせれば公海≠ナすが、北方領土周辺海域は建前上日本固有の海=B
 目の前の自国の固有の海≠ナ、領土主権を侵害されているロシアに特別な配慮を払って実施を見送ることができるのに、はるかな南極海では価値観を共有する同盟国に一切配慮することなく、相手国の主権を踏みにじって強行しているのが日本なのです。

 先日も、オーストラリアのターンブル首相とニュージーランドのイングリッシュ首相がNZで対談した際、南シナ海問題における日米の見解にわざわざ同調してくれました。

■「米国のアジア関与歓迎」と豪とNZが首相共同声明(2/17,産経)
http://www.sankei.com/world/news/170217/wor1702170042-n1.html

 相変わらずなウヨ産経記事について補足すると、中国に対しては名指しせず国際法に基づく解決と自制を求めただけなのに対し、日本の調査捕鯨に両首脳は「強い反対」を表明していますが。
 しかし、そもそもICJ判決を無視して国際法を蹂躙する前例を示し、中国に塩を送ったのは日本なのです。
 そして、両国の唱える領有権を超拡張主義的に直接侵害しているのも、ダーウィンに空襲を仕掛けた前科のある日本なのです。中国ではありません。
 こんなことが許されていいはずがありません。
 以下はNZ在住のガメ・オベール氏のツイート。

https://twitter.com/gamayauber01/status/833646731497598976
オネストベース社会はNZ人やAU人の誇りであると思いまする。「相手の言葉を信用する」はダウンアンダー文明の特徴なんだす。
だから捕鯨で判る通り相手の言うことがウソだと判ったときのケーベツはすごい。
最近はNZやAUでは「日本人=ウソツキ」イメージが強いのでマトモ日本人は大変かもね(引用)

 オーストラリアとニュージーランド両国の市民は、美味い刺身*レ的の違法捕鯨を科学≠フ名のもとに正当化しようとした日本の不誠実を許すべきではありません。
 日本と中国とのケンカで、両国とも貿易・経済面では中国との結び付きの方がずっと大きいのに、北半球のことでもわざわざ日本の肩を持ってくれているにもかかわらず、その中国が日本に対してやっているのと同レベルの主権侵害を両国自身に対してやっているのは他ならぬ日本なのです。お人好し≠ノも限度というものがあります。
 両国市民はもっと、もっと怒るべきです。
 もちろん、日本人も。
 ロシアに媚びへつらって北方領土を売り渡すに等しいまねをしている水産庁の売国奴ぶりには、曲がりなりにも愛国者なら目をつぶるべきではないでしょう。
 そしてそれ以上に、かけがえのない友好国オーストラリアとニュージーランドの人々を傷つけて顧みようともしない水産庁のダブスタ外交こそ、私たち日本人は決して許すべきではありません。
 美味い刺身=iby本川元水産庁長官)などくそくらえです。
 ふざけるな、水産庁!!!
posted by カメクジラネコ at 19:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系
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