2016年11月20日

捕鯨国際会議の裏側──IWC66で水産庁は国民に何を伝え、何を伏せようとしたか

 10月20日から28日までスロベニアで開催された第66回国際捕鯨委員会本会議の模様については、期間中ツイッターでお伝えしてきたとおり。


 なお、会議の模様は動画で実況中継もされました。

■国際捕鯨委員会スロベニア会合公式HP及びユーチューブアカウント
https://iwc.int/iwc66
https://www.youtube.com/channel/UCLtg7GtpJ_eTaJuPqRyOOhQ

 詳細については以下もご参照。

■66th Biennial Meeting of the International Whaling Commission (IWC66) | IISD
http://www.iisd.ca/iwc/66/
■What happened at the International Whaling Commission Meeting 2016? | WDC
■What happened at the International Whaling Commission 2016 meeting | GP-UK

 国内マスコミの社説は全国紙3紙、地方紙2紙。日経と朝日は南極産美味い刺身≠ノ常軌を逸した熱情を注ぐ国の姿勢に首をひねる大方の国民の意見を代弁する内容で○。後は環境音痴・科学音痴をさらけ出すトンデモ鯨食害論全開で×(詳細はツイッター)。

■クジラめぐる不毛な溝埋めよ (11/1,日経)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO09015410R01C16A1EA1000/
■調査捕鯨 本当に展望はあるのか (11/1,朝日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12636100.html
■調査捕鯨 継続には国民的議論が大切だ (10/30,読売)
www.yomiuri.co.jp/editorial/20161030-OYT1T50124.html (リンク切れ)
■国際捕鯨委員会 機能不全を解消するには (11/7,西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/287335
■捕鯨を巡る対立 粘り強い説得が必要だ (11/12,北海道新聞)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0092118.html

 永田町の捕鯨族議員では、自民党から伊東良孝衆院議員と金子恭之衆院議員、民進党から野田国義参院議員が出席。金子議員、野田議員とも、一部のアフリカ・カリブ海諸国等から成る捕鯨支持国との会食付打ち合わせの模様を報告してくれています。金子議員は筆者がリプライ付けたツイート1個消しちゃいましたけど。。これらの国々の大半は捕鯨産業と何一つ所縁もなければそこから入る益もありません。日本からODAを優先配分してもらえる以外には。

■第66回 国際捕鯨委員会〔IWC〕総会出席のアフリカ諸国政府代表との夕食会|金子やすしオフィシャルサイト
http://www.kaneko-yasushi.com/archives/date/2016/10/25
http://www.kaneko-yasushi.com/archives/date/2016/10/26
■IWC(国際捕鯨委員会)総会へ出席・党捕鯨議連にて報告|野田くによしオフィシャルサイト
http://nodakuniyoshi.net/report/%ef%bd%89%ef%bd%97%ef%bd%83%e5%9b%bd%e9%9a%9b%e6%8d%95%e9%af%a8%e5%a7%94%e5%93%a1%e4%bc%9a%e7%b7%8f%e4%bc%9a%e3%81%b8%e5%87%ba%e5%b8%ad%e3%83%bb%e5%85%9a%e6%8d%95%e9%af%a8%e8%ad%b0%e9%80%a3%e3%81%ab/

 水産官僚や族議員らとともに出席していたのが三軒一高太地町長と下道吉一日本小型捕鯨協会会長。すったもんだの一幕もありましたが、業界関係者にとっては世界にどう見られようと関係ないのでしょう・・

■スロベニアIWC66(3)NGO発言|IKAN
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/iwcngo-4e71.html
■IWC 66 Day Three | ORCALAB
http://orcalab.org/2016/10/26/iwc-66-day-three/

 で・・以下が水産庁の公式結果報告。

■「国際捕鯨委員会(IWC)第66回総会」の結果について|水産庁
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/161029.html

 上掲の概要を以下のIWC及びNGOの報告と比較してみましょう。税金で送られている日本政府代表団の報告には、実際に審議され採決された重要な決議すら一部しか列記されていません。彼ら捕鯨サークルが、国際会議でどのようなことが話し合われたのかを如何に国民の目から隠したがっているかがよぉくわかります。

■Five Resolutions Adopted on Day Four of the IWC Plenary | IWC
https://iwc.int/day-four-special-permit-whaling
■Decisions taken at IWC 2016 | WDC
http://uk.whales.org/wdc-in-action/decisions-taken-at-iwc-2016
■IWCスロベニア会議 その4決議など|IKAN
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/iwc-9fbe.html

 詳しい解説はNGOと専門家がバッチリしてくれてますので、筆者の方では要点を1枚の絵にまとめてみました。
iwc66reso.png

 さらに、設立70周年を記念する今年のIWC総会にぶつけるように、日本は自国が法の裏を掻くダーティーな国であることをアピールするかの如く、ネタをわざわざ3つも提供してくれました。

@ICJ判決の反省なく新南極海調査捕鯨NEWREP-Aを強行
A日本の業者が海外向け通販サイトでワシントン条約違反の鯨肉缶詰を販売
B沿岸捕鯨に続き遠洋でも改めて明らかになった過去の商業捕鯨のデータ改竄

■Illegal sale of Japanese whale meat exposed by WDC on eve of international whaling meeting | WDC
http://uk.whales.org/news/2016/10/illegal-sale-of-japanese-whale-meat-exposed-by-wdc-on-eve-of-international-whaling-0#.WAT7uLfjrH4.twitter
■Japan Repeatedly Falsified Whaling Reports (9/13,Seeker)
http://www.seeker.com/new-investigation-finds-japan-repeatedly-falsified-whaling-reports-2004275176.html
■What's the catch? Validity of whaling data for Japanese catches of sperm whales in the North Pacific | ROYAL SOCIETY
http://rsos.royalsocietypublishing.org/content/2/7/150177
■日本の新調査捕鯨計画(NEWREP-A)とIWC科学委員会報告|IKAN
http://ika-net.jp/ja/ikan-activities/whaling/312-newrep-a-iwc2015
■新調査捕鯨NEWREP-Aはやっぱり「美味い刺身」目当ての違法捕鯨だ(拙ブログ記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/176208780.html

 また、関連するトピックとして大きいのが、日本の調査捕鯨操業海域とばっちり重なるロス海MPA(海洋保護区)がようやくCCAMLRで日の目を見たこと。国内ではAFP以外取り上げられず。水産庁のプレスリリースも、閉会日は同じなのに、なぜか3日後に配信されてます。サンクチュアリの意義に対する日本政府の非合理で非科学的なダブスタは決して許されるものではありません。

■CCAMLR to create world's largest Marine Protected Area | CCAMLR
https://www.ccamlr.org/node/92518
■世界最大の海洋保護区、南極ロス海に設置へ 国際会議で合意 (10/28,AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3105973
■Major diplomatic coup for New Zealand as world's largest marine reserve finally gets the tick (10/28,NZHERALD)
http://www.nzherald.co.nz/world/news/article.cfm?c_id=2&objectid=11737669
■「南極の海洋生物資源の保存に関する委員会 (CCAMLR) 第35回 年次会合」の結果について|水産庁
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/161031_3.html

 
 閉会後、お馴染みの森下日本政府代表が以下のように発言。これだけ読むと、あたかも日本が理性的・抑制的に振る舞ったかの印象を受けます。

■対話の窓が開かれた=日本政府代表−IWC (10/29,時事)

 当然のことながら、「相手の立場を理解し、主張に耳を傾けること」「お互いに独善的な原理主義を捨てること」「妥協点を探ること」が対話の大前提のはず。

mses.png
■Future IWC for Japan, fishery, the world and whales; the keyword is "Ebisu"

 上掲は筆者が自身のスタンスをいったん脇に置いたうえで提案するIWCのあるべき将来像。「whaling」の定義を拡張することで、IWCは条約と整合性の保たれた現実的かつ理想的な国際機関に脱皮することが可能になります。漁業にとってもはかりしれない利益をもたらし、日本がリーダーシップを発揮して国際社会に貢献し、プレゼンスを大きく高めることだってできるはずなのです。

 しかし・・残念ながら、日本の唱える「対話」は口先だけにすぎませんでした。

■対話の素地ができたって???|IKAN
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-bfb7.html
■抗議声明 「日本政府の新北西太平洋鯨類捕獲調査計画(NEWREP-NP)の撤回を!」

 NEWREP-NPは、JARPAU、JARPNU、NEWREP-Aより輪をかけてひどい、眩暈がするほどの超ガラクタ調査捕鯨です。
 国民の一人として国の誠意を少しでも信じた筆者がバカだったと、ひたすら残念でなりません……。
 次回、「調査捕鯨という名の乱獲・超ガラクタNEWREP-NP」の予定。
posted by カメクジラネコ at 17:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系
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