2016年10月09日

野生動物をことごとく貪る捕鯨推進派の持続的利用原理主義は百害あって一利なし

ゾウ、ヨウム、ハヤブサ、トカゲ、カエルまで、みんな捕鯨のとばっちり!

 ここ半月余り、TVは連日のように豊洲・五輪施設関連報道に明け暮れ、視聴者の身としてはいささか食傷気味。
 確かに、築地市場移転問題は食・漁業に直結することで決して疎かにはできません。振り回される市場関係者が本当にお気の毒ですし、東京都は移転の遅延に伴って発生した損害について、真摯に補償等の対応に努めるのがスジでしょう。そして、どのような形であれ、うやむやな説明でごまかしたり、強弁で押し切るのでなく、市場関係者や消費者が完全に納得のいく形で決着が図られるべきです。
 それにしても、莫大な税金を使ってすでに施設が完成し、いよいよ引越しという間際になってからでは、あまりにも騒ぐのが遅すぎないでしょうか? 五輪施設も同様ですが。
 移転の是非、五輪招致の是非をめぐる当時の報道の質・量に比べ、小池劇場≠ノ注がれるエネルギーの膨大さには、ある種の違和感を禁じ得ません。「この間一体何をやっていたのか!?」という問いは、歴代知事、都の担当者、都議会ばかりでなく、マスコミに対しても向けられるべきでしょう。
 偏った報道の裏には、今国の内外で起きているさまざまな出来事から国民の目を逸らす意図もあるのではないか──つい、そんなふうに勘繰ってしまいます。

 そのひとつ、CITES(絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約:通称ワシントン条約)の締約国会議がこの9月下旬から南アフリカ・ヨハネスブルクで開かれました。
 3年に1度開かれる、いま絶滅の危機にある世界中の野生生物の帰趨を左右するきわめて重要な国際会議です。
 そこでは間違いなく小池劇場≠ノ負けないドラマが繰り広げられていました。
 プレイヤーは、国益(ないしは業界益)を背負った各国政府代表団。そしてNGO(非政府組織)、いわゆる市民団体。野生動物たちの声を代弁する気ぐるみやマスコットも登場しましたが。
 その中で、とくに存在感を示した役者が3カ国あります。
 それは中国インド、そして日本
 中でも日本は、残りの2カ国とも異色の役回りを演じ、一際目立っていました。
 「どんなふうに」って?
 それは、会議に参加したNGOと研究者の方々が報告の中で教えてくれています。
 CITES#COP17にオブザーバーとして参加したJWCS(野生動物保全論研究会)、JTFF(トラ・ゾウ保護基金)、早稲田大学の国際政治学者・真田康弘氏、会場を取材した朝日新聞アフリカ支局の三浦英之氏による現地からの報告をもとに、日本がどういう具合に脚光を浴びたのか、追ってみることにしましょう。


 以下、背景着色部分引用。

https://twitter.com/JTEFstaff/status/780065662383382528
クロサンゴ・アカサンゴについての審議が行われています。日本は「サンゴについてはワシントン条約は何の役にも立たない、なぜならサンゴはあらゆる場所で密漁され、小さな漁港に運び込まれるからだ」という。海生種について全面的に国際取引規制を拒絶する姿勢がありありと表れている

https://twitter.com/Sanada_Yasuhiro/status/780516854049759238
前回の締約国会議でサメ関係で決議を妨害しようとしてきたのは日本・韓国・中国だったのですが、今日の審議では中国も表立って今日審議の決議に反対しない立場を取り、決議にいちゃもんをつけまくる日本だけが「悪代官」として浮いてしまっていました。

https://twitter.com/JWCSJWCS/status/781526466974609408
カナダが提案したハヤブサの附属書TからIIへのダウンリストが3分の2に達せず否決。日本はダウンリストに賛成と発言。

https://twitter.com/JWCSJWCS/status/782508977032687616
ヨウムの国際取引禁止の提案、日本は附属書格上げの要件を満たしていないと反対の発言。

https://twitter.com/Sanada_Yasuhiro/status/782573163934806016
お昼のサメ関係のサイドイベントにて。水産庁の中の人「この問題は地域漁業機関で扱うべき」と相変わらずのオウム返し。その後で南太平洋地域の政府間組織代表より「サメでは地域漁業機関は全然ダメだったやん」ときっちり反論され、すっかり会場の人に(・∀・)ニヤニヤされちゃいました。

https://twitter.com/JWCSJWCS/status/782655613138509824
マレーシアのミミナシオオトカケ全種を附属書Tにする提案に、日本は附属書T掲載の要件に満たないと発言。日本、韓国、インドネシアの反対で、附属書Uで輸出割当量ゼロで合意。

https://twitter.com/JWCSJWCS/status/782862611553607680
日本はナミビア・ジンバブエ案の修正を提案し、それを受け入れた提案が秘密投票になりましたが、どちらも否決。この会議の前にマリとベナンの政府代表は、象牙の国内市場閉鎖の議題が合意されたので日本も附属書T格上に賛成するのではと話していたのですが。

https://twitter.com/JWCSJWCS/status/782950653769515008
附属書Uのスワジランドのミナミシロサイの自然死したサイの角や密猟から押収した角を国際取引できるようにする提案は、秘密投票で賛成26 棄権17 反対100で否決。日本は保全ができているとして取引支持の発言をしていました。

https://twitter.com/JWCSJWCS/status/782971726850383872
クロトガリザメSilkysharkを附属書Uに掲載する提案に日本はサメの識別など実行が負担、掲載の要件を満たしていないと発言。そして秘密投票を提案。結果は賛成111棄権5反対30で採択。

https://twitter.com/JWCSJWCS/status/782976277586247685
オナガザメ属全種を附属書U(国際取引に許可が必要)に掲載する提案に日本はまたしても反対。サメとエイは附属書Uにしても保全の利点がないと発言。提案国は附属書Uに掲載して持続可能な漁業をめざしている。

https://twitter.com/JWCSJWCS/status/782987499417309185
イトマキエイ属の附属書Uにまたしても日本は反対。生息数が掲載の要件を満たしていない、附属書Uは保全の利点がないとサメと同じ趣旨の発言。コンセンサスができず投票へ

https://twitter.com/JWCSJWCS/status/783000739308273664
メキシコ提案の観賞魚の附属書U掲載に日本は掲載要件を満たしていないので、自国の種だけ国際取引禁止にする附属書Vを提案。投票で賛成69棄権15反対21で採択

https://twitter.com/JWCSJWCS/status/783285742193836032
全体会議で委員会の合意を決議しています。クェートからハヤブサのダウンリストが否決された件で、再議論を提案。投票で再議論が否決。日本は再議論に賛成していました。

https://twitter.com/Sanada_Yasuhiro/status/783246893308637185
チチカカ湖にしか生息しないチチカカミズガエルの付属書T掲載提案に、生息国が提案してるのに日本は「科学的根拠が不明確だ」と一人いちゃもんつけるも、議長から「コンセンサスをブロックしないね」と迫られ撤回。水にあるもの皆反対というCITES水産外交の象徴的場面でした。

 なんというか・・もうここまで来ると、「アッパレ」というほかないですね・・・・。
 もちろん、現実の国際交渉の場のこと、個々の種の取引に関する議論では国毎に立場が分かれますし、どの国であれ必ずしも一貫したスタンスが取れるわけではありません(自国の産業に奉仕する面も含め)。
 そんな中、日本はあくまで教条主義的な持続的利用原理主義≠ノ固執し、『(保護のための規制強化には)なんでもかんでも反対!!』の姿勢を貫いた点で、「なんとも不思議な国だ」と世界に強烈に印象付けることに成功したといえます。
 「野生動物はとにかく消費して金に換えないと気がすまない国」だと。自国に直接の利害がほとんどない対象でさえ。
 実際、日本に対する印象は他国との相対評価で大きく下がった点は否めません。欧米のみならず、いま国際政治の舞台で先進国に肩を並べるほど大きな存在感を示している新興国・中国とインドとの比較において。

https://twitter.com/miura_hideyuki/status/781129304029749248
ワシントン条約会議で環境団体のブースを回る。日本人としてはいたたまれない。浴びせられる質問は同じ。「なぜ日本は象牙市場の閉鎖に反対?」「日本人にはそこまで象牙が必要?」。釈明するが合理的な説明にならない。アフリカ諸国が象牙市場の全面閉鎖を訴え、米中が賛成、日本はそれに反対している

https://twitter.com/Sanada_Yasuhiro/status/783051118108696578
サメ系付属書U提案が採択に必要な3分の2を大幅に上回る約4分の3の多数で委員会採択。前回サメ系に反対した韓国は終始沈黙、中国も玉虫色発言を行い、日本が経済的利害のないこの提案に固執し多数の途上国が賛成するなか惨敗しました。

https://twitter.com/JTEFstaff/status/782553807163121664
日本は、「密猟を増加させるような著しい違法取引」に寄与する国に限って閉鎖すべきと主張していた。これによると、閉鎖対象は、一部アフリカの無法地帯くらいに限定されてしまう。一方、中国は違法取引に関係のない市場など、この世に存在しないと主張、拍手を浴びた。日本の主張は顧みられなかった。

https://www.facebook.com/yasuhiro.sanada.7/posts/1072613156184764
EUはどんな話題にも発言してかんできます。米国にしてもたいがいの場面で発言します。アフリカ諸国もどんどん発言します。しかし日本は私が聞いていた限りでは、第一委員会ではこの日最後に扱った唯一の植物以外の提案であるハヤブサの付属書掲載TからUへの格下げに賛成発言をしただけでした。存在感がなくてとても残念です。

https://twitter.com/JTEFstaff/status/783553058022289408
一つ一つの国の方向性を観察しても、この10年間で大きく変わった国が多いのが印象的です。保護のもと結束する大多数のアフリカ諸国、大きな問題は残るものの大胆な保護の強化をする中国、再び毅然とした姿勢を示す米国。その中、産業利用一辺倒の政策を20年来全く変えぬ日本は発展を忘れた「化石」

https://twitter.com/miura_hideyuki/status/783679824971886594
会議の実感。中国は国際政治に長けている。日本はどうか。その近視眼的な方策は島国でこそ通用する理論であり利益だ。世界の風をリアルに感じ、大勢を読んで大胆に動く。そんな政治家や官僚が今の日本には圧倒的に足りない

https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=285215&comment_sub_id=0&category_id=256
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:eyZOEgHH5LAJ:www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php%3Fcomment_id%3D285215%26comment_sub_id%3D0%26category_id%3D256+&cd=5&hl=ja&ct=clnk&gl=jp
象牙取引を巡っては、オバマ米大統領と中国の習近平国家主席が昨年9月の首脳会談で、国内取引の禁止に取り組むことで合意した。アッシュ氏は「中国側は今年中に取引禁止に向けたスケジュールを示すと約束した」と明らかにし「日本も共に立ち上がるべきだ」と付け加えた。

 こちらはおなじみの水産学者・東京海洋大・勝川俊雄准教授のコメント。

https://twitter.com/katukawa/status/783191073438904321
今回のワシントン条約締約国会議は、これまでと違う。中国の方向転換によって、日本が孤立するという新しいステージに突入したような印象を持ちます。

https://twitter.com/katukawa/status/782805366543220737
自然保護のシンボルともいえる象牙は、世界的な関心が高い。「日本は、持続性よりも目先の金が大切な国」という風に受け取られかねない。国益を考えたときに妥当な判断だったのだろうか?

■ワシントン条約の象牙規制

 実際、中国とインドの両国は、悪役∞引き立て役を自ら買って出た日本に事実上助けられる格好で、国際的な好感度≠大幅にアップさせるのに成功したといえるでしょう。とくに中国は必ずしも進歩的な発言ばかりではなかったのですが。

https://twitter.com/JWCSJWCS/status/780357390411718656
CITES CoP17 サイドイベント 中国政府による、中国のCITESの法執行。満席です。

https://twitter.com/JTEFstaff/status/782545130888855552
インド政府主催トラ保護サイドイベント。1973年に狩猟でトラ個体数が激減し、狩猟禁止にし9の保護区を作った。その後危機もありながら今は28に。密猟防止強化。野生動物保護リーダー国。背景にガンジーの動物たちも生きる権利ありの信念が。

https://twitter.com/JTEFstaff/status/782865269672771584
これに対し、インドとナイジェリアは象牙の資源利用に依存しない、地域によりそったプログラムが実際に成立することを強調していたことも重要だ。

 何しろ、一方の日本はといえば、こんなところまでしっかり見られちゃう始末・・・・。

https://twitter.com/NakaweProject/status/782290681435918336/photo/1
Sleaze at @CITES!!! Japan delegates treat South East Asian & African delegates to big dinner drinks night before #shark vote at #CITESCoP17

https://twitter.com/JTEFstaff/status/782480807353090048
政府が、自国のポジションへの指示を訴えるために、浮動票の国々を選んで、パーティーやディナー、1日旅行にでかけることは、私が知る限り、1994年以来、何度もあった。

 さすがにこれでは、以下のような指摘も免れないでしょう。

https://twitter.com/Sanada_Yasuhiro/status/783538357687189505
今回の#CITES COP17を通して出席した感想ですが、敢えて先進国・新興国のなかでよせばいいのに唯一嫌われ役を買って出て悪目立ちし、なのにやたら弱く格好の藁人形役とされ敗れる様は、「日本のCITESショッカー外交」と言えるかも、とも思いました。キィ。

 筆者がとくに憂慮するのは、このCITESショッカー外交国民の総意を得たものではないのに、日本のキャラクター≠ニして世界に受け止められてしまうことです。
 これらは経産省・水産庁・環境省の役人が国民の声を聞かぬまま天下り先ともなる業界擁護のために勝手に動いた結果です。さらにいえば、自国の主張が世界に受け入れられる見込みもまったくない中、業界への忠誠を必死にアピールする内向きの動機に基づくものなのです。
 国際会議の場で、ただひたすらジゾクテキリヨウ教という空疎な念仏を唱え続ける日本の役人たちが、世界中の人々の目にどれほど滑稽に映ったことか。
 それに対し、中国は間違いなく外交ポイントを稼ぎました。同国がかつての日本にも重なる一大消費国として重大な責任があるのは事実ですが、米国を始め各国と協調しながら前向きに取り組む姿勢を強く打ち出したことで、国際社会に歓迎されたのです。実効的な政策について強く問われることなく、非難をかわすことができたのは、半ば日本のおかげといっても過言ではないでしょう。中国の方から頼むまでもなく、独り勝手にエゴイスティックな行動に終始し、ショッカーのイメージを一国でかぶってくれたわけですから。
 環境外交での完全敗北は、他の分野にも影響を及ぼさずにはいないでしょう。
 IWC日本政府代表・森下氏ら捕鯨関係者の言説に端的に示される持続的利用原理主義≠ェ日本の国益にとってどれほど有害か、すべての日本国民が知るべきです。

以下、締約国会議に参加したNGOによるイベントのお知らせ
ワシントン条約第17回締約国会議報告会
●主催:認定NPO法人 野生生物保全論研究会(JWCS)
●共催:NPO法人 アフリカ日本協議会
●日時:10月14日(金)18:30−20:30
●会場:地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)
posted by カメクジラネコ at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/177197261
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック