2016年04月28日

検証JARPNU〜北太平洋の調査捕鯨もやっぱりガッカリだった・・

 今年2月に東京で開かれたJARPNU(第二期北西太平洋鯨類捕獲調査)のIWC-SC(国際捕鯨委員会科学委員会)専門家パネルによるレビューの内容が先日IWCで公表されました。


 この件に関しては、奇妙なことに、時事通信が同日の間に立て続けに2本の記事を掲載しています。時事報道の翌日には北海道新聞が報道。以下、引用中の強調は筆者。

@北西太平洋も全面見直し=調査捕鯨、今秋めどに新計画−政府 (2016/04/22-11:50 時事)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016042200349&g=eco

 ICJ判決は、南極海以外での調査捕鯨についても「判決を考慮することが期待される」と指摘。政府はこれを踏まえ、14年度から北西太平洋でも捕獲枠を削減している。
 関係者によると、今回の全面見直しに基づく新計画では、調査の科学的目的をより明確化。捕獲枠も改めて見直し、殺害せずに皮膚サンプルを調べる「非致死的調査」も拡大する方向だ。またクジラがサンマやイカなどを大量に食べることで生じる漁業との競合についても、調査を強化するとみられる。(引用)

A調査捕鯨見直し発表=北西太平洋、11月にも新計画−水産庁 (2016/04/22-20:23 時事)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016042200937&g=eco

 水産庁は、IWC科学委の専門家が今年2月に行った現在の計画に関する評価会合の結果も公表。調査手法の詳しい説明などの勧告が出されたが、同庁の担当者「調査捕鯨の中止を求める勧告は一切なかった」と指摘。今後、これらの勧告を踏まえて新計画を策定する方針を示した。(引用)

B北西太平洋でも調査捕鯨見直し 政府、11月にも新計画 (04/23 07:00 北海道新聞)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0262587.html

 調査捕鯨 商業捕鯨の再開を目指し、クジラの生態など科学的なデータを得るため政府が行っている捕獲調査。1987年から南極海で、94年から北西太平洋でそれぞれ実施している。主な対象はミンククジラ。調査で捕った鯨の肉は日本国内で販売されている。(引用)

 以下、順番にツッコんでいきましょう。
 時事@、上の一文は確かに実態を表してはいるのですが、日本政府が「判決を踏まえ」て計画を変更した以上、ICJ(国際司法裁判所)判決前の13年度以前のJARPNUが、JARPAU(第二期南極海鯨類捕獲調査)と同様の違法性を備えていたと自覚していることを意味するでしょう。
 下の一文は、権威ある大手通信社の所属記者が書いたにしては目も当てられないほど、日本語が壊れてますね・・。
   × 科学的目的 → ○ 目的
 調査はそもそも科学目的で行われるもの。まあ、JARPAUは国際裁判で科学とは無関係な「美味い刺身の安定供給」(本川農水事務次官)が目的であると喝破されたわけですが。それで、「こっちの調査の目的は科学的なんだ!」と弁明したかったんでしょうか・・。
   × 殺害せずに → ○ 捕殺せずに
 まあ、刺身目的だとすればあながち間違いともいえないでしょうけどね・・。それにしても、まるで事件報道。さすがに鯨研の研究者も、ここまで非科学的な表現を使われると顔をしかめそうですね。
 先日は毎日新聞が、高速船衝突事故に関する記事に「犯人はクジラか」なんてどうしようもない見出しを付けていましたが、こうした奇妙な野生動物の擬人化は、日本のマスコミの顕著な劣化・幼児化を象徴するようで、本当に気味が悪くなります・・・
 最後の一文はいわゆるトンデモ鯨食害論にあたりますが、サンマとイカを並べている時点で完全にアウト。サンマの最大の捕食者はスルメイカ・・。

−中日新聞は「クジラ食害論」を信じているのだろうか
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/61376980.html

 サンマの資源動態は典型的なレジームシフトのパターンに当てはまります。で、そのレジームシフトを理由に挙げ、日本政府はJARPNU沖合のミンク捕獲枠を14年度からゼロにしました。漁業との競合についての知見は調査捕鯨からは決して得られないと、自ら証明したようなもの。
 そのサンマの資源は現在は落ち込んでいる状態ですが、中国等新興遠洋漁業国を含めた国際漁業管理の新たな枠組みでもリーダーシップを発揮できないどころか、水産庁は科学的根拠を無視して漁獲枠を据え置いてしまう有様。以下は早大真田氏のコメント。

サンマは生物学的許容漁獲量(ABC:科学的に算定した漁獲枠)が8%減ったのに「TAC(実際の漁獲枠)は前年と同量」。なぜなら「漁業者の収入確保を重んじた」から(水産庁)って、科学無視じゃん。(´Д`)

 イカについては、大量に捕食しているマッコウの餌はほとんど非食用の深海イカで、競合との主張自体ナンセンス。IWC-SCでもさんざんたたかれ(後述)、国際裁判敗訴後の14年度からやはりマッコウ捕獲を引っ込めました。
 ちなみに、ミンクもマイクロネクトンに当たるヒメドスイカという小さなイカを捕食していますが、このイカはやはり商業漁獲対象ではなく、多種の魚や海鳥等の捕食者に餌生物として利用されています。ミンクだけ調査しても、海洋生態系についても漁業との競合についても何一つわかりゃしません(後掲の図もご参照)。沖合ミンク捕獲もやっぱりマッコウと同様ゼロになっちゃいましたが・・。
 あまりにずさんな説明に加え、結びには「とみられる」とあり、この時事通信記者が情報を得た「関係者」なる人物は、直接調査捕鯨立案に直接携わる政府関係者ではないとわかります。
 一番疑わしいのは、サンマを持ち出して「クジラに横取り」との感傷的な表現でトンデモ食害論を堂々と唱えている山村和夫会長ら捕鯨協会の関係者ですけど・・。
 時事A、8時間前の記事内容との違いは、登場するのがその「関係者」から「水産庁担当者」に代わるところ。
 時事通信がなぜ同日中にほぼ同じタイトル・内容の記事を2回も報じたのか、なんとも理解に苦しみますが、@がガタガタなので修正を試みたというわけではなく、「中止勧告なし」の一言をどうしても付け加えたかったのでしょうね。
 その水産庁担当者のコメントに対しては、東北大石井氏がバッサリ。

「調査捕鯨の中止を求める勧告は一切なかった」とありますが、科学委員会はそもそもそういう勧告をするところではありませんので、お墨付きがもらえたわけではありません(引用)

 専門家パネルの役割についてはレポートできちんと説明されています。問題は科学的にどう評価されたのか。
 もうひとつ、「調査手法の詳しい説明などの勧告」との表現も実に不可解です。
 皆さんは疑問に感じませんか? 2000年からスタートし、前の2009年の専門家パネルの中間レビューも含め、日本側は毎年資料を提出し続け、IWC-SCでもチェックされているはずの調査の手法に関して、なぜいまさら「詳しい説明」が求められるのでしょう? 提案者の日本が「詳しい説明」を怠るとは、いったいどういう了見なのでしょう?
 実際、レビュー報告の中にも該当する記述はあり、後ほど詳しく述べますが、ひとつ言えることは、水産庁がこの時事通信記者に対してある意図をもってレクチャーを行ったに違いないということ。国民がこの報告書の性格を誤解するように、との。実際には多くの問題点について指摘を受けたにもかかわらず、「手法の詳しい説明を求められただけで、中止勧告もなかった。すなわち肯定的に評価された」と印象付けようとしたわけです。おそらく、記者自身はとくに疑問を感じることもなく、そのまま記事に書いてしまったのでしょうが。記事を書くなら、水産庁の担当者の言うことを鵜呑みにせず、やはり自身でIWCの一次資料に当たるべきでした。

 Bの北海道記事、本文はほぼ時事と同じですが、補注の調査捕鯨の説明が間違っています。
 まず、「クジラの生態など科学的なデータを得るため」とありますが、これではあたかも「生態を調べること」が主目的≠ゥのように読者は受け止めてしまうでしょう。「など」と入っているところは、間違いというより悪質な印象操作の域ですが。
 日本のマスコミはしばしば調査捕鯨の目的の説明に「生態」「生息数」という言葉を好んで用いたがりますが、これらは殺さない調査で調べることができ、実際調べられています。他の野生動物と同じように。また、他のすべての野生動物と同様に、殺すと手っ取り早くデータが入手できる場合もありますが、何十億円もの税金を投じて毎年数百頭の単位で実施される致死調査の不可欠な理由が、「生態を調べること」であっていいはずがありせん。そうした主張はすべての動物学者・生態学者に対する冒涜です。
 確かに、JARPNUの3つの目的の1つには「摂餌生態」との一語が入っていますが、実際にはたまたま殺したときに死体の胃袋に何が入っているかを調べるだけ。それではとても摂餌生態などとは呼べません。この専門家パネルWSでも批判されているとおりです(後述)。
 「主な対象はミンククジラ」も間違い。南極海調査捕鯨の対象はクロミンククジラ。北西太平洋では沿岸で引き続きミンククジラを捕獲していますが、沖合調査のミンク捕獲枠は前述のとおりゼロに。少なくとも刺身≠フ観点でいえば、JARPNUの主な対象はイワシクジラになります。

 報道についてはこれくらいにして、当のIWC-SCのレポートの検証に入りましょう。
 南極の海で行われてきたJARPAU(第二期南極海鯨類捕獲調査)の方は、2014年のICJ(国際司法裁判所)で違法認定を受ける直前に最終レビューがあり、日本側委員が「潜在的可能性」という、科学調査に対して用いるにはしっくりこない、あやふやで珍妙な一語を無理やりねじ込んで、成果を必死にアピールしていました。
 では、はるか赤道を越えた南半球諸国の庭先ではない、公海とはいえ一応日本の近場で行われているJARPNUの方は、世界の研究者からどのように評価されたのでしょうか?
 以下、IWCの報告書SC/66b/Rep06「Report of the Expert Panel of the final review on the western North Pacific Japanese Special Permit programme (JARPN II)」の各章のパネルのコメント及び11章パネルの結論(p45〜)を中心に解説したいと思います。

 11.1「一般的な問題」として、いきなり苦言が並んでいます。その中身はJARPAUレビューには見られなかったもの。
 いわく、JARPNUが科学的な評価によるのではなく、ICJ判決後の日本政府の政治的判断に基づき、大幅な修正を加えられたうえで終了する運びとなったことで、適切なレビューが困難になったと。
 2章「ワークショップの目的」のP6には「an unusual ‘final’ review」、すなわち異例の∞異常な最終報告になったとの表現があります。
 もともと今回のレビューは、前回の2009年の中間レビューに続き、進捗状況を計るため開かれるはずだったもので、最終レビューとなること自体想定外だったわけです。
 「もっと時間があればね〜」という苦言とともに、提案者の持ち込んだ資料の品質がバラバラで、レビュワーの作業が困難を強いられたとも。

it contained insufficient detail to allow a proper review and details of sampling design, strategy, field protocols, analytical methods and conclusions. For this, the Panel members had not only to examine over 90 working
papers and documents, but also references to other unpublished sources (e.g. IWC papers) over the JARPN II period.(〜p45)

 わかりますか? 提案者=日本が、レビューに係る広範な事項について不十分な情報しか提供しなかったために、パネルメンバーに「余計な作業をさせられる羽目になったよ!」と言われちゃったわけです。
 これが時事報道Aで「手法の詳しい説明」とのあやふやな表現でごまかされようとした評価の中身なのです。
 調査捕鯨研究者・鯨研そのものが、理研をクビになった某割烹着リケジョじみているように、皆さんは感じませんか?
 専ら日本側の不手際が招いたことですが、こうした状況を改善すべく、パネルは特別許可に基づく調査捕鯨の審査について定めた附属書Pを改訂するよう勧告しています。

 続く11.2はアウトプット、プログラムの成果の指標となる査読論文について。
 JARPAUではたった2本というお粗末な有様で、ICJでもさんざんにたたかれました。それに比べると、JARPNUでは主目的に沿った論文が31本、付随的な研究による論文が30本と、マシになった印象を受けます。
 パネルは型どおりの評価を述べていますが・・一言、11.1の中で触れたスケジュールの問題、「精査する時間がなかった」という点に言及しています。
 実際のところどんな論文が書かれたのか、筆者がざっとチェックして一覧で表したのがこちら。

jarpn2review.png

 かなりガッカリしたというのが正直なところです。
 31本のうちおよそ3分の1にあたる10本は非致死調査。1個体ないし数個体分のサンプルがあれば済むもの6本。特定の年次の何割か程度のサンプルによる研究が12本。ある程度トータルな致死調査のサンプルを使用した研究(それでも全期間・全個体ではない)がやっと4本
 12本が日本国内の学会の発行。つまり、ローカル。
 致死の21本は、多少時間をかければバイオプシーやストランディング個体からのサンプル収集で対応可能なもの、新たに致死調査を行う必要のないもの、非致死調査での比較検証が必要なもの、対象外の種で同精度の調査を行わなければ真の結論を導けないもの──のいずれか。お断りしておきますが、JARPAT/Uの検証(参照リンク)と同様、筆者の評価はたぶんプロの研究者の方々より相当甘いです・・。
 胃内容物関連が5本。胃内容物調査で得られるのは調査期間中、捕殺直前の未消化の餌生物の情報のみで、まさにスナップショット。わずか1、2ヶ月の調査時期、調査海域以外の摂餌傾向については何の情報ももたらさないのです。時事報道ではありませんが、検死で殺害された被害者の胃内容物から直前の食事時間とメニューを類推することはできても、その人の年間を通じた食生活や好みについては何もわからないのとまったく同じことです。全海域で周年実施できないのであれば、バイオプシーによる脂肪酸解析の方がはるかに優れているといえます。
 年齢査定に使う耳垢栓の年輪読み取り手法の改善が2本。これはいわば調査捕鯨のための研究。基本オキアミ食で摂餌期と絶食期が明瞭に分かれるとみられる南半球のクロミンクの縞がはっきりしているのに対し、生態の異なる別種で北半球に棲むミンクは縞が不明瞭で読み取りにくいとされてきました。ただ、判決後沖合調査のミンク捕獲をやめてしまい、未成熟が大半を占める沿岸調査のみになったため、極端に偏ったサンプルで年齢構成解析の精度を上げること自体あまり意味がなくなったといえます。
 ブルセラ菌関連が4本(ブーム?)。他に細菌とインフルエンザ感染、ウィルス代謝についての研究が3本。クジラからニンゲンへの感染がまず考えられないのに対し、鳥インフルエンザ・狂犬病等では現実に他の野生動物からの感染が社会にとっての深刻な脅威となる高いリスクがあります。しかし、例えば日本に飛来する水鳥の鳥インフルエンザ感染についての環境省の検査は、監視・糞便検査・異常が見られた場合の死体の採取や、捕獲許可に基づく生体サンプル取得(採取後放鳥)という形で行われます。捕獲が禁止されている国立公園のハクチョウであれ、狩猟対象のカモ類であれ、健康な個体を毎年数百頭単位で殺す調査は決してやりません。少なくとも、美味い刺身≠ノ比べれば大量致死調査の公益性は圧倒的に高いはずですが。

−野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/manual/pref_0809.html

 繰り返しになりますが、同じ調査項目を他のすべての野生動物(哺乳類・鳥類)に適用しようと思えばできますし、中には殺したほうが手っ取り早くある程度の精度のデータが入手できる場合さえあるでしょう。しかし、だからといって健康な個体を年間数十・数百頭も毎年殺し続けることが不可欠≠セと唱える動物学者など、世界中探してもいるはずがありません。日本の調査捕鯨御用学者を除けば。

 11.3「他の研究機関との連携」では、進展があったことを持ち上げつつも、その相手の大半が日本国内のそれであるため、他の地域の研究者/プロジェクトとの連携を推奨しています。

 11.4「主/副目標の達成度」。冒頭でマッコウクジラの調査に関して有意義な成果がまったくないことが再度強調されています。2009年の中間レビューの段階でとっくに指摘されていたわけですが、結局日本はその後も勧告を受けて調査計画を再考しようとはせず、判決後にしれっと枠をゼロにしたわけです。まさに政治を科学に優先する姿勢を日本ははっきりと示しました。パネルメンバーが強い不快感を覚えたとしても不思議はないでしょう。
 続いて、JARPNUが掲げる3つの主目的の達成度への評価。「鯨類の摂餌生態を詳細に解明し、海洋生態系の総合的管理に貢献するため」という水産庁の言葉どおりになっているのかどうか。
 1つめの〈摂餌生態及び生態系の調査〉については「At present, at least, the results have not led to improved conservation and management of cetaceans or of other marine living resources or the ecosystem. 少なくとも現時点では、鯨類/他の海洋生物資源/生態系の保全及び管理の改善にはつながっていない(〜p48)」、2つめの〈鯨類及び海洋生態系における環境汚染物質のモニタリング〉についてはIt is not clear from the papers presented if (and if so how) the work undertaken has contributed to the conservation of other marine resources or the ecosystem. 海洋生物資源/生態系の保全及び管理に貢献したのか、したとすればどの程度か、提出論文からは明らかでない(〃)」とはっきり結論づけています。唯一、3つめの目的である〈系群構造〉に関して、マッコウを除く3鯨種においてRMPの改善への一定の寄与を認めたのみ。3種の系群構造は、商業捕鯨を行う場合は無視できませんが、水産庁の唱える「海洋生態系の総合的管理」にはつながりません。
 もっとも、系群構造に関しては、4章の詳細な議論の中でいくつか注文が付けられています。
 北西太平洋のミンククジラに関しては、日本海側を回遊するJ系群、太平洋側を回遊するO系群に分かれることまでは従来から知られていたのですが、それぞれの中でさらに東西等細かい系群が存在するかどうかが議論になっていました。この問題は依然としてすっきりと決着がついてはいません。今回もまた、遺伝学的・統計学的解析手法に不備があるとの指摘をいくつも受けています。遺伝子型判定の手順が記されていなかったり、データの品質管理に問題があるとも。
 また、パネルは勧告の中で、衛星タグを用いた追跡調査を強く促しています。日本がやったのはニタリ2、ミンク1個体ぽっち。これも2009年時点で指摘されてきたことなのですが・・。
 パネルはその前の3章の中でも、調査海域、時期、サンプルサイズ、トラックラインの設定について、そもそもカバーできていないうえに、予め定めたトラックから離れた場所で捕獲が行われていたりすることを、非常に問題視しています。

This raises important concerns as to whether such samples can be taken as representative of the animals within the surveyed areas.(〜p9)

 サンプリング設計/サンプルサイズに関する2009年のパネル勧告に対し、日本側は何も対処していません(表2、p10)。
 実際、ミンクに至っては、判決直前の沖合調査でたった3頭、その後は捕獲枠自体をゼロに削ってしまったわけですが。この問題への対処は、判決後のサンプルサイズの変更の科学的合理性と合わせ、パネルは今年の年次会議までに明確な根拠を提示するよう求めています。
 最初からわかっていたはずのレジームシフトを口実に、100頭の捕獲枠をいきなりゼロにできるのであれば、いったん致死調査を中断してじっくり非致死調査に取り組み、成果を待つことを拒む理由は何もないはずです。
 系群解析に必要な遺伝子サンプルはバイオプシーで採集できますし、重要な補足データとなる繁殖海域・回遊ルート情報を衛星タグ調査で収集し、統合的に解析すれば、系群構造の解明に間違いなく役立つでしょう。一方、致死調査はといえば、一部の課題で2009年に課された宿題をある程度消化したといっても、遺伝的・統計的解析手法をめぐる議論も未だに解決がつかず、いつまでにコンプリートできるという見通しがあるわけでもないのが実情です。
 致死を非致死より優先しなければならない合理的な根拠はもはやありません。

参考リンク:
−無価値に等しい調査捕鯨の科学性─鯨研発の学術論文を徹底検証─
http://www.kkneko.com/paper.htm
−調査捕鯨自体が否定した3つのトンデモ論─JARPAレビュー報告を徹底検証─
http://www.kkneko.com/jarpa.htm
−絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)、国際捕鯨取締条約(ICRW)および国際捕鯨委員会(IWC)決議に違反する日本の北西太平洋調査捕鯨(JARPN II)に対し、4カ国による国際司法裁判所(ICJ)への共同提訴を求める要請書
http://www.kkneko.com/jarpn2.htm
−持続的利用原理主義さえデタラメだった!
http://www.kkneko.com/sus.htm
−JARPAUレビューに見る調査捕鯨の非科学性
http://kkneko.sblo.jp/article/100807825.html
http://kkneko.sblo.jp/article/101675512.html
−ミンクの非致死調査
http://kkneko.sblo.jp/article/72090360.html
−ペンギンバイオロギングVS調査捕鯨
http://kkneko.sblo.jp/article/46531519.html
posted by カメクジラネコ at 19:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系
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