2008年07月22日

ペンギンとクジラ

■長崎ペンギン水族館で「くじら展」開幕 生態や文化、再発見 (7/20,長崎新聞)
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20080720/10.shtml (リンク切れ)
■長崎ペンギン水族館の公式ホームページ
http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/penguin/ (リンク切れ)
http://penguin-aqua.jp/
■長崎ペンギン水族館|ウィキペディア
ãƒ3æ°´æ−é¤¨">http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E5%B4%8E%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%83%B3%E6%B0%B4%E6%97%8F%E9%A4%A8

 

 長崎ペンギン水族館で、夏休み期間中に鯨に関するイベントを開くとのこと。"南極の自然つながり"かと思いきや、その中身はといえば、クジラ油を使ったせっけん作りから鯨肉を使った料理体験、"鯨バーガー"の販売と、要するに子供向けの捕鯨・鯨食PR・・・。
 古式捕鯨の栄えた地でもあり、現在でも鯨肉消費量は国内トップクラスで、今年3月に超党派の捕鯨擁護県議連盟ができた長崎県。
 その県庁所在地である長崎市営の同水族館、旧称はペンギンの抜けた"長崎水族館"で、1998年にいったん閉館した後、規模を縮小して2001年に再開、そのときに名称も変更しています。
 近所の佐世保のハウステンボスも、このころ巨額の負債を抱えて会社更生法の適用を余儀なくされたことは、ご記憶の方も多いでしょう。規模縮小というからには、やはりこちらでも観光不振及び自治体の苦しい台所事情があったと考えられます。そして、再開の鍵となったのが呼び物のペンギン。現在8種、150羽近くを飼育し、国内の水族館の中でもペンギンのメッカとして知られています。
 この水族館では名称が変わる以前からペンギンを飼育してきたのですが、その多くは捕鯨船が運んできたのだとのこと・・。野生動物を資源とみなすことしかしないヒトたちであれば、地球の裏側からまったく気候の異なる日本まではるばる連れてきて狭い檻に閉じこめるのも、ウイルス感染の危険にさらし、空調から餌の調達まで環境負荷をかけることも、不自然と感じないのは道理かもしれませんね。
 それにしても、捕鯨とそこまで縁が深いのに、ペンギンを他の飼育動物と差別化し(ついでに他の水族館・動物園との差別化も試みようとしたわけですな)愛らしさを売り物にしようとしたのは、一体どういう了見なのでしょうか? 動物の差別が大嫌いな捕鯨シンパが耳にしたら、目を剥いて激怒しそうですね。
 ワシントン条約で規制対象となる附属書1、2に該当するのは、フンボルトペンギンとケープペンギンのみ。野生のペンギンの個体数については、例えばジェンツーペンギンは繁殖個体が30万つがい、アデリーペンギンは幼鳥の数で1千万羽以上と推計されています。もっとも、数字は90年代のもので、クジラや南極生態系に属する他の動物たちと同じく地球温暖化の影響が懸念されてはいますが。
 ここで同水族館のHPをながめてみると、ペンギンは「自然環境の指標生物と記載してあります。生態系の構造や汚染物質の挙動を調べる上で格好の対象ということです。
 日本の調査捕鯨は、非致死的調査としてクロミンククジラ(計画では一握りのナガスやザトウを含む)のみを対象にしており、胃内容物や汚染物質調査も項目として掲げられています。しかし、南極周辺の生態系の解明という観点からすれば、オキアミ食の野生動物を魚、海鳥、鰭脚類、クジラとそれぞれ数個体ずつサンプルとして採取したほうがはるかに合理的です。クロミンククジラに絞って毎年数百等死体を積み上げるのは、きわめていびつな研究といわざるをえず、科学予算の配分の観点からも決して好ましいものではありません。

 重要な指標生物であるところの調査捕ペンギンを行えば、成果の点でも新味のないクロミンクの調査とは比較にならないはず。なおかつ、巨大な母船など要りませんから、安上がりで環境負荷もかかりません。摂餌量を考えても、代謝の高い小型動物に重点を置くのがスジでしょう。
 また、殺した動物を「余すところなく利用してきた」捕鯨ニッポンですから、調査し終わった後は食用として有効活用するのも簡単でしょうし、得体の知れない国籍不明料理を創作してきた鯨肉販売会社も、喜んでペンギン肉料理を開発してくれるはずでしょう。
 さて・・・動物の差別に敏感な捕鯨業界と手を携え、子供向けの鯨食イベントの場まで提供している長崎ペンギン水族館は、指標動物として価値あるペンギンの致死的調査を積極的に推進しているのでしょうか? 生態を研究して結果を公開するとも書いてありますが、そのことをこどもたちにどうやって伝えているのでしょうか??
 まさか、ペンギンはかわいいから殺しません」なんて非科学的で情緒的なことは言いませんよね? 愛らしいペンギンというセンチメンタルな表記は何かの間違いですよね? 何しろ、「殺さないのは差別でおかしいから平等に殺せ」「資源として利用するのが自然との共存だ」というのが捕鯨擁護派の主張なのですし……。
 捕鯨と仲良しの水族館らしく、夏休みには≪ペンギンバーガーでも食べさせますか? 「ウォッチングとイーティングの共存は可能」とエライ議員先生ものたまってますから、生きたペンギン(野生状態とはかけ離れた環境ながら)を観察させる一方、ペンギンの死体をお土産コーナーで売っても何の矛盾も感じないはずですよね?? 違うのですか???

 
 長崎ペンギン水族館では自然体験ゾーンを設けていますが、コンクリから自然石に替えたと言っても、本来の自然とは程遠い人工的なもの。いかにも諫早の海を潰した長崎県の自治体らしいといってしまえばそれまでですが……。
 
 南極の海の自然を生きる野生動物としてのクジラについて、何1つこどもたちに伝えることのできないくだらない試食会やはりぼての展示などただちにおやめなさい。そんなことで、「21世紀を担う子どもたちが自然を学ぶ学校」になれると思っているのですか?
 

関連リンク:
聞いてあきれる伝統文化 長崎編その2
http://kkneko.sblo.jp/article/16409364.html
聞いてあきれる伝統文化 長崎編その1
http://kkneko.sblo.jp/article/14632407.html

 
posted by カメクジラネコ at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学系
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