2008年07月02日

どこかズレてる海の環境対策

■藻場消失〜温暖化で忍び寄る沿岸漁業崩壊の危機〜|クローズアップ現代 (7/1,NHK)
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku2008/0807fs.html


 日本各地の海で藻場が消失しているという話題。
 開発や汚染もその一因のはずですが、ここで"クローズアップ"したのは地球温暖化。というより、温暖化のせいでアイゴなど南方系の魚やウニの個体数、摂餌量が増えたことによる"食害"に焦点を当てていました。
 モと一口にいっても2種類あって、アマモなどの海草(地上の植物と同じ緑色植物。根・茎・花などの組織が明確に分かれ、種子で繁殖)とカジメなどの海藻(明瞭な組織はない。渇藻は黄色生物門で、最近の系統分類学では植物と門まで異なる)とがあります。いずれも海の豊かさを支える鍵となる生産者であり、藻場は干潟やサンゴ礁などと並ぶ重要な生態系です。で、番組中で登場したのは、比較的冷たい水域を好む後者のほう。
 間違いなくニンゲンの産業活動が引き起こした環境の変化に伴うものなのに、"食害"という言い方をするのもどうかと思いますが、紹介されたのはいずれも対症療法どまり。温暖化による海水温上昇そのものが海藻類に直接影響を与えている以上、ウニやアイゴをいくら"駆除"したところで、根本的な解決にはつながりません。
 おまけに、魚を寄せ付けないために海藻を檻で囲ってみたら、着生生物が生えまくって育たなかったとか("海の専門家"がそんなことやる前にわかんないの!?)、ライオン(…)やらネコだかウミネコだかの声をスピーカーで流してアイゴの忌避効果を試したりとか、かなーりトンチンカンな対策に税金を投入してます・・。北海道では肥料を投入して藻場の回復が見られたとのこと(まあそりゃそうでしょう・・)。将来はゴミなどから窒素とリンを回収してリサイクルの形で有効活用できるとの話もありましたが、そのままだと海洋汚染防止法に引っかかっちゃうと思うんですけどね・・。
 アマモについては、「増えすぎて困るから、重機で根こそぎ群落を潰してしまおう」という、今回のケースとはまるで正反対の話も、下田の辺りで持ち上がっています。大切な魚の餌場・産卵場を、時代遅れの発想で積極的に破壊しようとする動きがある一方、藻場の減少を防ぐ対策のほうも、"食害即駆除"、"人工汚染"という、健全な海洋環境を保全するために何が必要かという長期的ビジョンを欠いた役人のヤッツケ仕事ばかり
 本当に必要なのは、汚染、乱獲、開発、そして化石燃料の大量消費というニンゲン自身の行いをいかに抑制し、コントロールしていくかという視点です。逆に海の自然を強引にコントロールしようとすれば、また予想もつかない形でしっぺ返しをくらうだけですよ──。

 
 海の自然をあまりに単純化しすぎて人為的にコントロール可能であるかのように思い込んだり、「食害」「食害」と吠えたてて短絡的に駆除に走る発想は、やはり捕鯨産業が悪いお手本になっているようですね。。。
posted by カメクジラネコ at 00:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 自然科学系
この記事へのコメント
学校教育で単純化したコンセプトを鵜呑みにして、あーすればこーなる(はず)という迷案を立てるのが記憶再生試験の達人達、つまりお役人です。税金を自由裁量でたっぷり使って遊べる立場の人たちですが、数年で持ち場を移動するし、成果の検証は誰もやらないで、失敗例をうやむやにするから、無益な事業が続けられます。一応検証することになってきていますが。それをテメーたちにやらせてチャンチャン、では昔と同じですね。
Posted by beachmollusc at 2008年07月02日 07:17
>beachmolluscさん
「検証しろ」と突き上げても「検証します」で終わっちゃって、"検証の検証"ができないですもんねぇ(--;; でも、このヒトたちやっぱり民間じゃとてもやってけない気がします。。
Posted by ネコ at 2008年07月03日 02:15
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