2008年07月01日

捕鯨擁護新聞サンケイ、噛みついてる相手は誰?

■米、保護判決見直しへ 潜水艦ソナー使用に理解 (6/30,産経)
http://sankei.jp.msn.com/world/america/080630/amr0806300851003-n1.htm (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080630-00000070-san-int (リンク切れ)
http://b.hatena.ne.jp/entry/sankei.jp.msn.com/world/america/080630/amr0806300851003-n1.htm

 
 IWC2008報道で、見事(?)ヨイショ度ランキング1等賞を獲得した産経新聞の記事。
 記事の中身は、鯨類への行動阻害・健康被害をもたらす米軍潜水艦の中距離ソナーの使用規制を求める動物保護団体の訴えを認める判決が米国内で相次ぐ中、最高裁がブッシュ大統領の上告を認めた、というもの。二期連続のブッシュ政権が与えた一番の悪影響は、司法・行政の環境保護から開発へのシフトだったことは、筆者がこの件を引き合いにするまでもないのですが・・。
 問題はそれより、産経の記事です。正直、何を伝えたい記事なのかさっっぱりわかりません。。いやまあ、彼らが"言いたがってること"は察しがつくんですけどね。。

外国捕鯨船を狙った環境テロまでが横行する米国内の鯨類保護運動に対し、国防上の必要に基づく司法の枠が示される可能性が出てきた。(以上引用)

 まず記者は、今回の上告受理をいきなり環境テロと結び付けています。だれが環境テロの定義を定めたのか知りませんが、たぶん日本の調査捕鯨船団とすったもんだしたシーシェパード(SSCS)のことを指すのでしょう。ですが、数多くの団体のうちの1つの行動をもって、横行とはこれ如何に? 事案は米国内の法に則った市民団体と国との法廷上の係争に関するものであり、環境テロとはまったく無関係です。米最高裁の判事たちは、上告受理にあたって原告と無関係な組織の行動を判断材料になどしなかったでしょう。リクツとしては、極右、極左の運動を引き合いにして左右すべての言論や市民運動にケチを付けるのと変わりません。この場合は"極緑"ということになるのでしょうが・・。
 産経新聞はなぜ、日本人や日本の国益とはまったく無関係な米国内のニュースを、わざわざ記事にして取り上げ、この事件とは無関係な外国捕鯨船への環境テロを強引に結び付けたのでしょうか? どう見たって、クジラたちやNPOの肩をもって、米最高裁の姿勢を批判している記事には見えませんが・・・
 大手新聞社の中でも最も保守色の濃い同紙として、国防を優先する同盟国現政権の姿勢を讃えているのでしょうか? 沖縄のジュゴンも同様に無視し、早く辺野古沖の滑走路を着工してくれと求めているのでしょうか?
 もしかして、捕鯨擁護派がこじつけてきた米軍のイルカ殺しが規制されると、日本が捕鯨を続ける口実がなくなってしまうため、その不安が解消されそうだと国内の捕鯨シンパに伝えたかったのでしょうか? これで米軍と一緒に、事実上無規制な調査の名を借りたクジラ殺しを堂々と続けられると?

 日本の捕鯨擁護派はこれまで、しばしばこのソナーの影響を取り上げ、「日本の捕鯨より米軍の方がイルカやクジラを殺しているじゃないか」と非難の声を挙げてきました。「日本の捕殺以上に」という点については、個体数や推移の議論と同様、明確な科学的根拠があるわけではありませんが。それにしても、誰に向かって言っているのか、一体何を求めているのか、ズバリ主旨を唱えないところがなんとも嫌らしいばかりです。
 結局のところ、この彼らは米軍に向かって「イルカやクジラを殺すな」と求めているわけではありません。そうした主張を唱え、具体的な行動を起こしているのは、多数の米国市民を含む米国内の、あるいは国際的なNPOです。関心があるなら自ら参加するか、せめて寄付でもしてあげればいいでしょうに。連中では不甲斐ないというなら、自ら手法を編み出して実践し、結果を示せばいいだけの話です。では、何をするでもない彼らの本音は何かといえば、「お前たちも殺しているんだから俺たちにも殺させろ!」ということ。どこまでも卑屈ですね。
 上記のように、「お前たちが殺してるから俺たちも殺してるのに、何が悪いんだ!」という、公平性(?)を求める子供じみた捕鯨擁護派「クジラをネタに白人が日本人を差別したいだけだろう」と思い込んでいる被害妄想に取り憑かれた捕鯨擁護派にしてみれば、米軍のソナー使用を規制する判断が司法の場で下されることは、自国の問題に真摯かつ積極的に取り組んでいるNPOともども、むしろ喜ぶべきことのはず。「そういうことなら、俺たちもやめるか」「自分たちだけ差別され、非難されているわけじゃないなら、やめてもいいや」となるのが合理的帰結のはず。
 そして、今回のようにイルカ・クジラたちと市民団体側に逆風が吹き始めたならば、「けしからん!」「お前たちがそうやって続けるから、俺たちもやめられないんだぞ!」と、米軍と米連邦裁、米大統領に対して猛抗議し、共通の敵を相手にするNGOをせっせとバックアップしてやるのがスジというもの。
 ところが……マスコミ捕鯨応援団の筆頭・産経新聞が示したのは、次の姿勢だったのです。

「お前たちも殺しているんだから、俺たちにも殺させろ!」
「殺しをやめられちゃうんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたけど、これで安心して殺せるや」
「米軍を非難してやめられちゃうとマズイから、やっぱり応援しよう」

 日本がここまで情けない、ここまで荒んだ、ここまで落ちぶれた国になってしまったのは、一体全体誰の責任なのでしょう──?
posted by カメクジラネコ at 02:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系
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