2008年04月25日

牛肉VS鯨肉!?

「またか・・・」と誰もが思ったことでしょう。

■吉野家、米産牛危険部位混入|Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080424-00000159-mai-pol (リンク切れ)

■吉野家向け米国産牛肉に特定危険部位 (4/23,朝日)
http://www.asahi.com/food/news/TKY200804230260.html


 筆者はウシもクジラも食べない草食動物で、当然ながら吉野家の暖簾をくぐったことは一度もないため、別に知ったこっちゃないのですが、捕鯨問題とはまったく無関係と切って捨てるわけにもいきますまい。おそらく、捕鯨擁護派からは「それ見たことか」「やっぱりウシよりクジラの方が安全だ」といった声も上がることでしょうね。
 一つ断っておくと、現在の日本において牛肉と鯨肉は代替関係にありません。両者の消費量は連動していないのです。
 それもそのはず、今や鯨肉は特定の少数の人々の"嗜好品"と化しているのですから。もっとも、もし代替が利くとなったら、「食文化論」が根底から崩れることになるわけですが・・。
 そして、海棲哺乳類のクジラの組織には、PCBなどの有機塩素化合物、水銀やカドミウムなどの重金属をはじめ、汚染物質が高濃度に蓄積されています。鯨肉の汚染度については、厚生労働省が「すぐに健康被害に結び付くことはない」という言い方をしているわけですが、「薄切りにして水にさらせ」だとか、細々とした注意事項を付けているわけですね・・。いちいちそんなことをしないと口に出来ないほど有害な肉なんて、他にありますか? 児童に大量に、あるいは頻繁に食べさせることはもちろん厳禁。言い換えれば、それくらい"アブナイ食品"であるということ。牛肉の代用として日常的に摂取すれば、間違いなく憂き目を見ることになるでしょう。大人については、グルメに走って後で障害を引き起こしたとしても、自己責任の世界ですけどね・・。国策でそんな危険な食品を国民にせっせと勧めた政府とて、鯨肉愛好家の健康被害を補償することは絶対にないんですから。
 ところで、米国では農場で狂牛病にかかったウシに電気ショックを与えて無理やり立たせ、検査をパスさせようとしているところを動物保護団体がビデオ撮影して暴露し、問題になりました。この一件もマスコミを通じて日本に紹介され、輸入牛肉への不安を感じたり、あるいは、「アメリカ人はけしからん!」と料理屋に鯨肉鍋をつつきにいった御仁ももしかしたらいるかもしれませんね・・。
 「けしからん!」のは筆者も同感ですが、この問題に立ち向かって事実を明らかにしたのは、他でもない米国の市民なのです。工場畜産の抱える動物福祉上の問題を指摘するNPOを、捕鯨業界が寄付を投じて支援しているのであれば、日本の主張にもそれなりの説得力が加わったはず。
 こうしたケースは氷山の一角で、他の大規模畜産経営者の中にも似たような真似をしているところは多いでしょう。かつて日本の捕鯨業界が、南極の海でも沿岸でも規制違反のごまかしを重ねてきたのと、体質的にはまったく変わりません。
 一体なぜ、こうしたことが起こるのでしょうか? それは、命を"商品"としてしか見ていないからです。
 現在行われている日本の調査捕鯨ですら、「生命を無駄にしない」という観念より市場の原理を優先させ、予定の生産量に合わせて回収する鯨肉の歩留を調整している疑いがあります。
 そもそも、採算性の観点のみで肉骨粉を飼料に混ぜるという、おぞましい共食いの状況を作ったことが、狂牛病の感染拡大の原因でした。実は、それに近い不自然なことを日本の捕鯨会社もやっていたことがあります。複合経営として毛皮獣のミンク養殖に乗り出し、食用需要のほとんどないマッコウクジラの肉などを飼料に使っていたのです。ヒゲクジラの肉さえ、戦後しばらくして人気が下降していくと、今度は動物園の餌に回されました。命よりカネが大事だから、自然な食物連鎖ではあり得ないことに対し、無感覚になってしまうのです。
 今の日本で、「クジラもウシもやめよう」と唱えると、おそらく多くのヒトにヒカレてしまうかもしれません・・。風土的にも文化的にも、日本は菜食が最も受け入れられやすい土壌があったはずなのに・・。
 いずれにせよ、「クジラかウシか」という議論は、経済的理由も含め、まったくナンセンスであるのは否めません。両方とも環境上、動物福祉上の問題を抱えており、ついでに食べるニンゲンの健康に与える影響もあります。いかに上手に消費量を抑えていくかを考えるべき時期に来ているのです。クジラに関しては、日本がさっさと捕鯨をやめてしまえば済む話ですが・・・

 以下の解説もご参照。
■狂牛病とクジラ
http://www.kkneko.com/bse.htm
■捕鯨は畜産の代替にはなり得ない
http://www.kkneko.com/ushi.htm

posted by カメクジラネコ at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系
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