2008年04月17日

密告ならぬ封告の恐怖

■内部告発!高速道路の手抜き工事暴く|噂の!東京マガジン (4/13,TBS)
 

 悪質さという点では、高層マンションの耐震偽装に勝るとも劣らないトンネル内装のコンクリ補強工事の超手抜き。元請含め永久入札停止処分にしないと国民の安全は守れないのでは。
 そして、内部告発者の即時解雇。その道一筋25年のベテラン現場監督が、良心と生活を天秤にかけ、技術者として耐えがたいと前者を選択し、納税者のカネと命を救ったのと引き換えに、職を奪われ家庭もメチャクチャに。いかにも封建時代のムラ社会的な"見せしめ"以外の何物でもありません。
 元請会社のコメントがふるってますね。曰く、「内部告発をもう少し早くしてほしかった」
 「不正をする企業を選ばなきゃよかった」の間違いじゃないの?
 番組中で指摘されたとおり、この告発者の方がいてくれたおかげで、悲惨な事故を未然に防ぎ、ついでに膨大な賠償金を支払わずに済んだんじゃないの?
 なぜ早く告発できなかったか、理由を想像することができないの? ニンゲンなのに? まあ、血の通ったニンゲンにはわかり切ったことでも、組織の歯車にはわからないのかもしれないけど・・。
 多くの人の命を犠牲にすることになんら良心の呵責を覚えず、金儲けにひた走る企業が、家族の生活を人質にとって良心に従おうとする人の口を封じる封告社会は、旧共産圏(現北朝鮮も含む)の互いを監視し合う疑心暗鬼の密告社会と、ヒトの道から外れる程度において大差ないといえるでしょう。
 組織の一員として、数字を挙げることを上司に、あるいは投資家に要求され、それが当たり前だと思っているうちに、慣れてしまうのです。善悪の判断ができなくなってしまうのです。組織を抜けて外側から物事を眺めれば、何が正しいのかは誰でもすぐわかること。何かがおかしいと気づくはず。けれど、その組織を抜け出ること自体が生易しいことではないとすれば・・・・

 まるで、会社という生きものの細胞の1つになったかのように、人々は行動してしまいます。まず不正をし、発覚すればリスクを退けようと全力で言い逃れをし、回避不可能になればリスク最小化のために謝罪をし、ほとぼりが冷めればまた不正を働く──企業の利益のために。株主への配当を増やすという至上命題のもとに、利益をあげるためなら、可能である限りどんな不正でも繰り返されます。あるいは、新たに考案されるのです。
 個人に対する刑法の考え方と同じように、行政が企業性悪説の原則に則り、先回りして法を犯すハードルを極端に高く設定しない限り、不正は未来永劫なくならないでしょう。もっとも、そうしたハードルを設置しようという動きがあれば、今度は談合や賄賂を始め、行政との癒着によって解決を図ろうとするのが、資本主義の原理なのかもしれませんが・・。
 

 日本の鯨類学界のおかしな体質、産官学の癒着に異を唱え、過去の業者の不正を暴き、道を貫いた孤高の鯨類学者もいます。
 捕鯨の検証記事を書いたために、上からストップがかかった新聞記者もいます。
 過酷な労働を強いられ、十年の操業の間に3名の死者を出しながら、忍耐強く捕鯨産業に従事している船員たちだって、いずれあっさり外国人船員と替えさせられないとも限りません。メディアに煽られ、この道にしか未来がないと信じ、あるいは国家と誇りのため(?)、陰に陽に捕鯨存続に力を尽くしてきた全日本海員組合ですが、もし現状に疑問を感じる人が一人もいないとしたら信じがたいことです。
 個人が組織にがんじがらめに縛られる風土が色濃く残っているニッポン。KY指向で若者の間ですら言いたいことが言えない空気が流れる時代。
 これも、捕鯨と同様やめちゃいけない日本のブンカなのですか?

参考リンク:
■内部告発者の身分保障|JEIの退職日記
http://pub.ne.jp/newjei/?daily_id=20080416


◇その他環境系番組感想・・
 

「ダーウィンが来た!」(4/13,NHK)
 乾季に密集するカバの映像は以前も見ましたが、事態は相当深刻です。森林伐採と農地拡大が野生動物をここまで追い詰めているのです。「湧き水があるから大丈夫」などと呑気に構えている場合ではありません。枯れたら一気に千頭アウト。ここに温暖化の影響がさらに加わることが心配です。
 素早く社会行動を変化させて環境に順応できるのは、動物が遺伝子のオンオフのみでスイッチが入る機械などではなく、状況を判断する思考能力を持つという明白な証拠。それにしても、過密のストレスはギリギリの限度に達しているでしょう。トカゲ1匹の闖入でケンカが始まるし・・。
 大人(大河馬)たちの間に挟まって潰されそうになる"よその子"を「しょうがないわねぇ・・」と押し上げて助けるおとなもいれば、邪険に追い払ってしまうおとなもいます。ワニに襲われかけたインパラの子を救出したカバの映像は有名ですが(食いはぐれたワニも少々かわいそうだったけど・・)、やはりカバは本当に個性的ですね。こどもを助ける個体の割合は、ヒトの大人よりカバの大河馬の方が多いんじゃないかしら・・・

 

「動物奇想天外!」(TBS)
 完全にトリビアの真似ですねぇ・・。最近のTV番組はよそのネタをパクッてばかり。制作サイドにオリジナルの発想で視聴率を取れる自信がよっぽどないのでしょうか。
 小笠原を始め日本近海に住むクジラの数々の貴重な生態をフィルムに収めてきた海洋写真家望月氏。9年前に事故で亡くなられた氏の追悼映像特集。できれば、こんな騒々しいクイズ形式のバラエティ番組の一部ではなく、丸々1時間のドキュメンタリーとして観たかったです。
 改めてご冥福をお祈りいたします。

 

「病の起源」(NHK)
 睡眠時無呼吸症の起源は肉食(蓋を開ければありきたりのセオリーだったけど・・)。石斧/肉なんて不自然なものに手を出さず、高次捕食者の役割は爪と牙を備えた食肉目のネコたちに任せておけばよかったのに・・・

 

「エコ大紀行」(BS2)
 カモノハシの捕食行動をあんな間近に観察できることがどれほどラッキーかわからんとはけしからん話。山をなめきってるし・・。

posted by カメクジラネコ at 01:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系
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