2019年12月30日

クジラたちの海・2019

 半年ぶりに2本連続で記事を出しました。大事な内容なのでしっかり読んでくださいね!

■水産庁の発表した2020年の商業捕鯨捕獲枠はインチキだった!!
http://kkneko.sblo.jp/article/186961708.html
■水産庁のリクツに合わせるとアマミノクロウサギは700頭〜1800頭も殺されちゃう!?
http://kkneko.sblo.jp/article/186969749.html

 元号が改まり、日本がIWCを脱退して南極海・公海から撤退する代わりにEEZ内で商業捕鯨を再開した2019年。
 まずツイート、記事等を中心にいくつかのトピックをご紹介しながら、捕鯨再開後の半年間を振り返ってみましょう。

○ウシもクジラも平等≠ノ苦しめたがる捕鯨ニッポン


 連ツイを最後までご一読を(ゴミリプ除く)。ろくでもないツイートがバズるもんです・・たいした動物愛ゴ先進国。

○捕鯨ニッポン、国際法を尊重する気あるの!?

■イワシクジラは何処へ行った? ワシントン条約第71回常設委員会(第18回締約国会議併催)報告|IKAN
http://ika-net.jp/ja/ikan-activities/whaling/371-inn074-cites71

 昨年の常設委で日本のCITES規則違反は確定。今年の会合では「違法に持ち込まれたブツ≠ヘ処分しろ、没収しろ」とニジェールをはじめ各国から非難轟々だったのですが、議長裁量で違法取引・没収された附属書掲載種標本の処分に関する決議に留意するとの但し書き付きで、報告を求める決議が採択されました。国際法遵守を声高に掲げる国なんだから、強制的な勧告を出されるまでもなく自ら襟を正してくれるものと期待されたわけですが・・はたして国際法を遵守する国として模範的な対応を取れるのか、それとも、期待を平気で裏切るまねをしでかすのか。
 どうやら後者の様子。農水省の食堂で違法な「イワシ鯨ステーキ膳」を堂々と販売してるし・・


 さらには国際法違反の公海イワシ鯨肉を通販で扱いながら堂々とSDGsを掲げる厚顔無恥な業者まで現れるし。水産庁は対応する気ゼロ。

 ここまで国際法・国際機関を足蹴にする国が一体どこにあるでしょう? 「国際ルールを尊重しなよ!」という世界の声をたかがクジラで*ウ視できてしまう国に、中国や韓国を非難する資格があるのでしょうか?

○新スマスイ、いまさらシャチで集客?? 世界の真逆をいく捕鯨ニッポン

https://twitter.com/kamekujiraneko/status/1173890198976860160
https://twitter.com/kamekujiraneko/status/1178991159562997761
■シャチをいれるって?|IKAN
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-6627c1.html
■「スマスイ値上げ反対署名提出」の報道をうけ、国内外のシャチ飼育の変遷などを考えてみた。 #しかし高校生以上3100円はないわ #幼児1800円はもっとないわ|福武氏のnote
https://note.com/shinobun/n/n9cb33da45db8

 前回のブログで詳述しましたが、神戸市須磨水族館がリニューアルに際してシャチを導入すると発表。筆者もオーナーのサンケイビル広報に直接再考をお願いしたところ。

○海外の若き環境活動家をこき下ろして悦に浸るメンタルはどこから?

https://twitter.com/kamekujiraneko/status/1176798692801540096
https://twitter.com/kamekujiraneko/status/1176450263013441542
■【コラム】トゥンベリさん怒りの演説と、醜悪な日本の大人達|ジャーナリスト志葉玲氏
https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20190927-00144349/

 気候変動問題を身を呈した行動で訴えるスウェーデンの10代の環境活動家グレタ氏に日本中の冷笑主義者たちが猛反発。「陰謀」「感情論」といった決めつけや「欧米発の環境保護に対する汚れたイメージ」を強調するアンチキャンペーンの出所は一体どこなのでしょう? そのルーツこそ、日本捕鯨協会/国際ピーアールの反反捕鯨プロパガンダであると、筆者は確信をもって言えます。

○国際裁判敗訴の責任を取らされ(?)思いっきり業界に擦り寄る外務省

 商業捕鯨再開に合わせ、外務省がホームページにトンデモQ&Aコーナーを解説。それにしても、今の漁業室長はどっぷりべったり業界よりですね。永田町と業界に責められた所為なのか知りませんけど・・。
 なお、原の辻遺跡の線刻土器の捕鯨図(?)に関する疑義≠ノついても詳しく解説していますので、連ツイをご参照。

○伊東のヒトと野生動物の明日

 今回の決定は残念ですが、この件については上掲IKANの意見同様、冷静に状況を見極めたいと思います。

○刺身$V法改成立! 日米貿易協定拙速締結、種子法廃止で日本の一次産業従事者をますます苦境に追いやりながら、捕鯨業界にだけは至れり尽くせり!

 改正前もひどかったですが、今回も同じパターン。異議なし採決(衆院)って変だよね!
 唯一の救いは、夏の参院選挙で2議席を勝ち取ったれいわ新撰組の木村議員、船後議員が反対票を投じてくれたこと。党代表で改正前の刺身法の審議でお世話になった山本氏、将来の環境相の呼び声高い辻村氏にもぜひ国会へ行ってほしいもの。

○セレン教のアホは・・

 リンク先資料を読むべし。国水研も落ちたものだというのが正直な感想。まあ、妊婦以外の大人が自分でリスクを負うのは本人の勝手ですが・・。

○贋物の自然、贋物の野生動物

■そうふけっぱらのきつね・解説

 筆者も動画を拝見しましたが、アルパカには目が点に。センスについていけませんでした・・
 千葉県・URに開発の再考を求める署名には筆者も賛同したのですが、残念ながら実らず。身近な野生動物との共存を真剣に考えなかったのに、町興しのためのPR動画に使ってしまうのは、今の時代に神経を疑われても仕方がないのでは。

○大隅氏・ホルト氏訃報

 11月には日本の鯨類研究者を代表する大隅清治氏の訃報が届きました。典型的な御用学者の方ではありましたが、ある意味わかりやすい、裏表のない方だったと思います。
 その後を追うように、梅崎氏らに反捕鯨学者の代名詞として攻撃された著名な鯨類学者のシドニー・ホルト氏も今月逝去されたとのこと。
 真田氏が「二巨星墜つ」と表現されましたが、時代の節目を感じさせます。お2人のご冥福をお祈りいたします。


□クジラたちの未来

 上掲記事で指摘したとおり、来年の商業捕鯨捕獲枠の中身はとてつもなくおかしく、水産庁は糾弾されて然るべきなのですが、全体の捕獲枠を増やさず、網走沖も調査捕鯨より減らしたとは一応言えるでしょう。永田町/業界の圧力を考えると、これでも自省したうちに入るのかもしれません。公平を期した言い方をするならば(本来なら筆者がすべきことじゃないのですけど・・)。
 再開された日本の商業捕鯨は、国際法のうえでも、科学の面でも、大きな問題をはらんでいます。真っ黒とまでは言い切れないのが悩ましいところですが(これも本来なら筆者の立場で口にすべきことじゃないのですけど・・)。
 来年には再びIWC総会が開かれます。ワシントン条約常設委員会会合も。そこで日本は厳しい追及を受けるでしょう。そうあるべきです。
 IWC、CITES加盟各国は、日本を甘やかす、日本に対して遠慮をするということをやってはいけません。それはクジラのみならず、すべての野生動物、自然環境にとってためになりません。ヒトにとっても。
 特にIWCにおいては、日本が今後さらに図々しい態度に出ることがないように、「オブザーバーとしての分を弁えないなら、提訴も考えるぞ」とはっきり釘を刺すべきです。匂わすだけの発言から決議の採択まで、やり方はいろいろあるかと思いますが。
 ただ・・今クジラのために、すべての野生動物のために一番切実に求められるのは、やはり来年の米大統領選でトランプを落っことすことかもしれません。いくら日本の捕鯨外交が独善的といっても、さすがに「トランプよりひどい」とまで言うと言いすぎになっちゃいますし(近いとはいえますけど)。本当にすべての動物にとって百害あって一利なしの政権が出来ちゃったもんです(--;;

 さて、ここでは5年先、10年先、あるいは20年先の話をしたいと思います。
 今年再開された商業捕鯨はRMP(改訂管理方式)という、IWCで一応合意された管理方式に基づいて行われることになっています。無論、国際条約に明らかに∴癆スしないよう必要に迫られた側面もあります。とはいえ、南極海を荒廃させたかつての大乱獲時代と同じものとみなすことは、さすがにできません。日本政府には、歴史を歪曲し美化する修正主義を厳に戒め、日本の捕鯨捕鯨産業が重大な罪を犯したという史実を、国が続く限り後代まで語り継ぐ責務がありますが。
 しかしながら、反捕鯨国の研究者、加盟国も合意したRMPには、依然として「問題がある」のです。
 Jストックに関して公約を破ったり、チューニングしたりするのは、そもそもルール違反。似非RMPの謗りを免れません。チューニングに関してはノルウェーも同罪ですが。
 もっとも、予防原則を基本とし相対的に優れた管理方式といえるRMP自体にも、やはり欠陥はあるのです。

■指定漁業の許可及び取締り等に関する省令の一部を改正する省令案についての意見
https://www.kkneko.com/pubcom6.htm

 上掲した今年3月のパブコメで提出した拙意見でも触れましたが(3点)、問題は4点。パブコメ中で詳述したので、ここではいくつか付記したうえで簡単に触れることにします。

@種・系群の社会構造等にもたらす影響
 RMPでは対象種の個体数のみしか考慮されません。量≠セけを見て、質≠考えていないのです。捕獲の仕方によっては、個体群の人口構造や社会性に影響を及ぼす恐れがあります。実際、大きな雄の個体ばかりを狙い撃ちした過去のマッコウクジラ捕鯨でも、科学者の想定以上に個体群にダメージを与えることになりました。

A国・地域・産業間のアクセスに対する公平性
 RMPには「できるだけ高い捕獲量を得る」という、まさに余計な文言≠ェ入っています。これはもう本当に要らない。取っ払うべきです。
 最大化すべきなのは、鯨類から得られるトータルの《生態系サービス》です。

B産業の側の持続性
 RMPには「捕獲を安定させる」という要件も入っています。ところが、シミュレーションでは、最初にがっつり捕って減らしたうえ、後は増加率をほんの少し下回る程度の捕獲を継続し、100年後に目標水準に持っていくという感じになります。「できるだけ高い捕獲量」と「安定」という2つの要件を、杓子定規に数学的に両立させようとするとこうなっちゃうわけです。
 しかし、このような管理は母船式商業捕鯨とは相容れません。最初に100億円もの莫大な初期投資をしたうえ、20年、30年の償却期間の中で銀行にローンを返済しつつ収益を上げていくというのがそのスタイルだからです。それこそが、乱獲を食い止められなかった根本要因でもありました。一度建造した母船の借金を返すまで返済額を上回る収益を上げることが至上命題となる故に、資源が減っても政治的圧力をかけて規制を遅らせ、南極海の荒廃を許す羽目になったのです。また、消費が落ち込めば工場を建設して魚肉ソーセージに加工するなど、あの手この手でともかく生産に合わせて無理やり需要を作りだしたのです。大手捕鯨会社はそういう商売をせざるをえなかったわけです。それが、伝統食などとは到底呼べないいびつな鯨肉消費の実態でした。
 作っちゃった母船の減船を余儀なくされるような管理を捕鯨産業は受け入れません。RMPにはそうした社会科学的要因の考慮が欠けているといわざるをえません。
 日本の再開商業捕鯨に関しては、いくら採算が取れなくても税金をガンガン注ぎ込んで維持することが法律で決められてしまいましたが、もはやそれは旧ソ連的な官営捕鯨というべきもので、商業捕鯨などとは呼べません。他の一次産業従事者がTPPや日米貿易協定でいくら理不尽な扱いを受けても我慢を強いられる中、共同船舶1社のみが特別扱いを受け続けるのは、公平性の観点から容認できません。
 今のRMPは税金の無駄を許すことにつながります。他でもない日本の国益を損ねます。シミュレーションで母船式捕鯨の経営の安定が見込めない場合は該当枠をゼロとするくらいのことを、あらかじめ要件として組み込んでおくべきです。

C環境破壊の影響
 水産庁は、RMPには環境の悪化もちゃんと組み込まれているんだと説明し、例として「突然の大量死」を挙げていますが、環境の悪化が1回の突発死で終わる(増加率はそのままで)というのはむしろ非現実的。汚染や気候変動、音響妨害などによるストレスを含む直接間接の影響は、繁殖年限・頻度を下げたり、乳児死亡率を上げたり、あるいは今の研究者には予測もつかない形で、静かに、長期に渡って進行し、気づいたときには手遅れという深刻な事態になっていることも十分考えられます。ひとつの事例として、拙HPではクロミンククジラのカドミウム汚染のケースを取り上げましたが。
 予防原則のもととはいえ、直接目に見える個体数の変化のみに着目するのがRMPの考え方。RMPで捕獲に「待った」がかかるのは初期資源の54%を切ったとき。生息環境悪化によって歯止めのない死亡率の増加・繁殖率の低下が進行する場合、発覚した時点で捕獲をやめても、そのまま何年も個体数が下がり続けることは十分あり得るのです。絶滅に瀕する野生生物種で、産業による直接捕獲がない場合でも減少し続けているケースはいくらでもあります。それが何よりの証拠。その場合、水産庁のいう「100年安心」は保障されません。捕鯨が主因かどうかは関係ないこと。水産庁は「不測の事態があっても6年毎に再計算するから大丈夫」と言ってますが、網走沖調査捕鯨計画でのJストックに対する水産庁側の言い分、そして強引な網走沖捕鯨枠設定を見ても、そんなの信用できません。商業捕鯨があることで、数を削がれるだけでも種としての回復力は減殺されますし、対策を講じるために必要な猶予期間も短くなります。「商業捕鯨をやってさえいなかったら、絶滅を防ぐのに間に合ったのに」ということだって考えられるのですから。
 現行のRMPでは駄目なのです。個人的には、論争に終止符を打つためとはいえ、反捕鯨国側の研究者の認識も甘かったと思っていますが。

 「いまさらRMPに文句言うな! IWCで合意したじゃないか!」とおっしゃる? ごもっとも。
 筆者がしているのは、あくまで将来の話です(チューニングとJストック枠はすぐにでもやめるべきですけど)。
 今やったら100%完全な国際法違反となる公海・南極海捕鯨復活の話を一部の捕鯨推進論者(直接の当事者含む)がしているのと同じく。
 国際条約・国際機関は、その中身が時代にそぐわないものとなってきた場合は、やはり何らかの形で新しい時代に相応しく適合させる必要があるでしょう。とりわけ、科学的知見の集積や市民の意識変化により新たな国際合意が急速に形成されるに至った地球環境・生物多様性保全の文脈に関しては。もちろん、拙速であってはいけませんが。
 はっきり言って、「絶滅さえしなければいい」という考えはもう古いのです。
 今日では野生動物の餌付けは基本的によくないこと≠ニされます。それは、「餌付けをしたら野生動物が絶滅しちゃう!」という理由ではありません。渡りなどの生態を変質させたり、生物種同士のバランスを崩すおそれがあるからです。
 沿岸捕鯨が北西太平洋に生息するミンククジラに与える影響も、餌付けが野鳥に与える影響と同様に、そうした側面から検証されなくてはなりません。影響しないわけがないのですが。
 豊かな、健全な生態系を可能な限り豊かなままの形で℃氓フ世代に受け継ぐ──それが、現代の生物多様性保全の考え方です。
 捕鯨推進派の時計の針は、四半世紀以上前のまま止まってしまっているのです。
 そして、「持続的利用=獲って食う」という考え方も甚だ時代遅れ。
 筆者はすでにそのたたき台を提示しました。ベースとなる考え方はずいぶん昔にまとめたものではあるのですが。

■Future IWC for Japan, fishery, the world and whales; the keyword is "Ebisu"
https://www.kkneko.com/english/ebisu.htm

 IWC(International Whaling Committee)のWhalingは、前述した通り、今後は《包括的な鯨類による生態系サービス》の呼称として用いるべき。IWCはIWCのままでいいから。
 筆者は捕鯨(致死利用)のオプションそのものを否定することはしません。
 莫大な税金を注ぎ込まなければ維持できない母船式商業捕鯨は、もはや収支のマイナス要素でしかないとみなすべきですが。
 先住民生存捕鯨は、先住民の主権の回復が十分果たされるまで、やはり別枠で認められるべきと考えます。
 少なくとも、アイヌへの中傷を続ける元政治家や漫画家、「アイヌへの差別はたまたま起こったんだよ。日本人にだってダブスタくらいあるさ、それがどうした!」「云十万円の土産がムニャムニャ」などと超絶無神経な発信をしてしまう森下氏のように、加害者の一員であるという自覚の欠片もない、人権感覚の希薄な日本人や白人(搾取側の民族)がすっかり一掃されない限り、倭人の捕鯨会社の商業捕鯨と同一視はできません。
 海外では保全や動物福祉の観点で批判もあり、反対する人たちの気持ちもわかるのですが、カナダの例のように年間2頭といった程度であれば、目をつぶるべきと筆者個人は考えます。
 先住民の狩猟・漁労よりは、海洋環境問題そのものへの取組、および先進国の白人・日本人等による工場畜産やトロフィーハンティングの問題をやはり優先すべき。
 混獲に関しても、密猟を確実に防止し、技術開発や行政指導の形で削減に向けた努力を続けるという前提で、「命を無駄にしない」利用は認められていいのではないかと筆者は考えます。
 参考までに、以下はドジョウ博士で知られるオイカワ丸氏のツイート。


 故大隅氏は交通事故という表現を使われました(捕鯨に関してですが)。日本人の交通事故死者を10万人当り3人程度とすると、ミンククジラOストックに換算したら年1頭以下。まあ、年間数頭が網にかかり、地場消費されるというのであれば、十分許容範囲といっていいでしょう。できればそのくらいまで減らしたいもの。

 そしてもうひとつ、捕鯨問題の解決に欠かせないと筆者が思っていることがあります。それは、《野生動物保全》《健全で持続的な水産業》《動物愛護(福祉/権利)》この3分野における日本全体での底上げ
 本当は、クジラを守ることはそれらの先駆的な事例となるはずだったんですけどね。乱獲で追い込まれた悲劇の歴史と、海洋生態系の要となる役割を果たし、絶滅に陥りやすいステータスを持つクジラは、まさにモデルケースに相応しい動物のはずでした。
 大変残念なことに、あまりにもこじれてしまったせいで、逆に日本では置き去りにされることになっちゃったんですけど……。

 日本が公海調査捕鯨から撤退し、全体の規模を縮小したことで、海外の環境NGOはリソースを海洋環境全体の問題にもっと振り向けることができるようになりました。それは歓迎すべきことだと思います。
 その一方で、再開した商業捕鯨をめぐって、まだしばらくは政治的綱引き、駆け引きが続くことになるのでしょう。こっちはあまりいいことじゃないですけど・・。
 現状の具体的な課題については、6月の再開直前、そして今月アップした2本の記事でまとめたとおりです。
 ただ、この先の方向性について、「日本人は今後野生動物のクジラとどうつきあっていくべきか」は、やはり次の世代の判断に委ねるべき事柄なのではないかと思っています。
 これまで水産庁等に対して文句ばっかり言ってきましたが、筆者としてはしばらく事態を見守るつもりです。シーシェパードよろしく対立を煽ってばかりいても、クジラにとって何もいいことはありませんし。何しろ、梅崎氏伝来の炎上商法≠ェあちらさんのやり方ですから・・。次の記事を書くとしたら、また半年先、あるいは総会前後くらいになるでしょうか。

 最後に、これはその若い世代の人たちに考えてほしいこと。
 上でも紹介したスウェーデンの環境活動家・グレタさんの言葉を、みなさんはどう捉えたでしょうか?
 大人たち、すなわち筆者自身も含む旧い世代は、なぜ子供たち、あるいはまだ生まれてきていない将来の世代にツケを残す形で地球環境を壊してきてしまったのでしょう? 野生生物を絶滅に追い込んできてしまったのでしょうか?
 科学技術が未熟だったから? もちろん、それもあるでしょう。
 しかし、筆者には、本当の原因は別のところにある気がしてなりません。
 それは、「ニンゲンは地球を、自然を、命を支配しているんだ」という思い込みであり、「それらを管理する、制御する能力があるんだ」という思い上がりなのではないかと。
 結果が事実を突き付けています。環境破壊、野生生物の絶滅は、ニンゲンが自然の管理に(自分たち自身の管理にも)失敗した、その能力がなかったという紛れもない証拠です。
 問題の解決を放置したまま、「今はまだ無理だが、そのうち可能になる」とのオプティミズムに立つことは、筆者にはできません。めまぐるしいITの進化に、私たちはつい錯覚≠引き起こしそうになりますが。
 別に筆者は科学技術の進歩を否定するわけではありません。ただ、ニンゲンはやはりあくまで謙虚に、自然に、命に、向き合うべきなのではないかと思うのです。驕りを捨てない限り、過ちを何度も繰り返し、いずれもっと取り返しのつかない結果を招くのではないかと。気候変動自体、もうそれに近いですが。
 「クジラという野生動物、南極海という自然を我々は管理できるんだ。コントロールできるんだ」というのが、捕鯨を推進する日本の立場の中核をなす思想です。ある意味、非常に西洋的ですけどね。
 それが南極海で悲劇をもたらしました。科学者は乱獲を止められず、シロナガスクジラとミンククジラの関係についての我田引水の推論も完全に誤っていました。
 対象は自然、(ヒト以外の)動物だけではありません。ヒト個人個人の消費行動、一挙手一投足まで監視・予測することが可能になってきた現代。その手の技術を開発し、商品化し、政治的に利用しようと考えるヒトたちの中には「自分たちが管理者≠セ」と、一種の全能感を味わっているヒトもいるかもしれません。しかし、それは何が、何を管理していることになるのでしょうか? はたしてそれを「管理に成功した」と言っていいのでしょうか?
 どれほど文明が進んでも、『惑星をめぐる探査機や、海底地殻を貫通するボーリングマシンや、素粒子でビリヤードをする加速器や、都市を一瞬にして灰にする核爆弾を生み出』そうとも、ヒトのルーツは変わりません。サル目ヒト科に属する社会性動物の一種です。生物としての頚木を逃れることは決してできやしません。
 SF的発想で、テクノロジーによってヒトが自然の、動物としての制約から解放≠ウれる日が遠からずやってくると考えるヒトたちもいますが、近い将来にそうなるとは筆者はまったく思いません。気候変動問題に真剣に取り組むことができず、若い世代にツケを押し付けているようじゃ、無理に決まっています。
 まあ、遠い遠い未来であればわかりませんけどね・・。ただ、もし解放≠ウれる日が来たとしたら、それは知性の到達点だとか勝利だとかそんなものではなく、自然の終焉、ヒトという動物の滅び≠意味するのだと筆者は解釈します。現状では、その域に達するはるか手前で絶滅する可能性が高そうですが・・。まあ、その手のSF小説を読むのも筆者は好きなんですけど。
 繰り返しになりますが、ヒトという動物が生き延びるために、いま本当に必要なものこそ、自然、命に対する謙虚さなのではないか──筆者はそう思うのです。
 ちなみに、『』で引用したのは拙小説『クジラたちの海─the next age─』のメインキャラの1頭、紗樹の台詞。暇な方は休みの間にでも読んでみてね! ついでに、クジラテーマ以外の拙小説が読みたいという奇特な方がいらっしゃれば、HPのフォームからご連絡をm(_ _)m

■クジラたちの海─the next age─
https://www.kkneko.com/nvl/nmokuji.htm


 以下はまったくもって個人的な話ですが、王子を里親に引き渡すことに。拾った時点で最初からそのつもりだったのですが、先方の受入態勢が整わず延びてしまいました。寂しくなりますが、幸せに暮らしてくれることを祈るばかりです。
 今まで自分の拾ったこどもたちと死別したり、里子として譲る度に断食をしてきたので、年末年始に重なりますが今回も断食しながら過ごすことに。
 あと全然関係ないけど、今まだ死にかけたWin7を使ってるので、期限までに移行しなきゃ(--;;
 来年がクジラたちにとって、すべての生きものたちにとって、いい年になりますように。
 それではみなさん、よいお年を。
posted by カメクジラネコ at 18:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系

2019年12月28日

水産庁のリクツに合わせるとアマミノクロウサギは700頭〜1800頭も殺されちゃう!?

 先日水産庁が発表した2020年の商業捕鯨捕獲枠の重大な問題点については、前回の記事で詳しく解説していますので、まずはそちらをご参照。もう一度図を貼り付けておきます。
2020catchquota_j.png
■水産庁の発表した2020年の商業捕鯨捕獲枠はインチキだった!!
http://kkneko.sblo.jp/article/186961708.html

 今回は水産庁のリクツを他の日本の野生動物に当てはめると一体どういうことになるか、検証してみることにしましょう。すでにツイッターや拙HPの水産庁/外務省Q&Aコーナー・カウンター版でも簡単に解説しているので、そちらもご参照。

■水産庁Q&Aコーナー・カウンター版
https://www.kkneko.com/faq.htm
■外務省Q&Aコーナー・カウンター版
https://www.kkneko.com/faq2.htm

 まずは以下の図から。でっかくてごめんなさいm(_ _)m ナベヅル以上の絵の数は数えないでね! イラストは拙作のアマミノクロウサギ以外はフリー画像をお借りしています。(提供元はHPのリンクコーナーで紹介)
hansyoku.png
 この図では、日本の再開商業捕鯨の対象とされた3鯨種、シャチ、アマミノクロウサギ、マウンテンゴリラ、ナベヅル、ジャイアントパンダ、マイワシ、マサバ、タイヘイヨウクロマグロを比較してみました。

 日本が調査捕鯨〜商業捕鯨の対象にしてきたイワシクジラはIUCNレッドリストでEN(絶滅危惧TB)、マウンテンゴリラやアマミノクロウサギと同じ。美食家垂涎の尾の身を狙った違法な南極海調査捕鯨の対象となり、撤退後も共同船舶社長が公海に再進出して捕獲を目論んでいるナガスクジラはIUCNレッドリストでVU(危急種)、ジャイアントパンダやナベヅルと同じ。絶滅が危惧される国内・国外の代表的な野生動物としてこの4種を採用。

 ニタリクジラはDD(データ不足)ですが、鯨類の中では回遊範囲がやや狭くて定住性の高い方で、多くの地域個体群に分かれ、それぞれの個体数は少ないと考えられます。ニタリクジラはかつてイワシクジラと混同され、同種とされたツノシマクジラが近年になって新種に認定され、さらに現在では高知沖等に生息するカツオクジラも種レベルでニタリクジラと異なると認識され、学名も与えられていますが、IUCNではまだ同種扱い。メキシコ湾系群(カツオクジラ)が一番深刻なCR(絶滅危惧TA)。

 同じくDDのシャチは、よく知られているように、社会性の複雑さでは野生動物でもトップクラス。また、同じシャチでも食性や回遊特性が多様性に富んでおり、少なくとも10くらいのエコタイプに分かれると考えられています。北米太平洋岸やオホーツク海など、同じ海域であっても複数のエコタイプが生息しています。海洋生態系の頂点故に野生動物の中でもずば抜けて繁殖率が低く、有機塩素等による汚染も深刻なことから、当然絶滅危惧種に含まれるべきところ。しかし、このエコタイプの扱いをめぐって議論が続いているため、IUCNではDDのまま棚上げされている状態。
 シャチは現在は学術目的以外捕獲禁止なのですが、今日本近海のシャチは大きな危険にさらされているといえます。NHKのドキュメンタリーで知床の野生の<Vャチたちの興味深い生態が茶の間でも高い関心を呼んでいるにもかかわらず。水研機構では国際漁業資源≠ニしてシャチを扱っており、北西太平洋として推定生息数として7,512頭という数字を挙げています。これ自体もエコタイプを全無視しているうえに過大ではないかと批判されているのですが(下掲リンク参照)、最近はさらに空間分布モデルを用いて目視データを再計算≠オ、べらぼうに高い数値を挙げるようになりました(まだ参考値とはいえ)。空間分布モデル(状態空間モデル)は分布密度と生息域の地理的特性を統計的に処理して野生動物の個体数を弾き出す、最近の野生動物研究でトレンドになっている手法。ただ、まだ発展途上で批判もあります。陸上であれば植生や微気候に野生動物の分布が大きく左右されるのはまだわかるのですが、海洋で、鯨類にあてはめるのはあまりに乱暴な話。天気図をもとに渡り鳥の生息数を判断するようなもの。鯨類の回遊ルートや繁殖域は種分化の過程を経て形成されたもので、海洋の物理的特性のみに基づき生息分布を判断するのは無理があります。それもよりによって、様々なエコタイプに分化した、最もデリケートな野生動物といえるシャチに対して適用するなんて。
 わざわざ大きな数字を見せたがるのは、日本近海のシャチの商業捕獲再開を目指す動きと無関係とは思えません。具体的には、先般発表のあった神戸市須磨水族園のリニューアルに伴うシャチ導入プランの公表。現時点で検討しているのは鴨川シーワールドからの移籍とのことですが、途絶は時間の問題の日本の水族館飼育シャチの頭数・血統管理の現状を踏まえると、行く行くは追い込み猟による野生個体の導入に踏み切る心積もりであったとしても不思議はありません。アイスランドと日本の血統を混血させたところで野生動物保全には一切寄与しませんが。せっかく商業捕鯨が再開しても、外目を気にして調査捕鯨時代以下の枠に抑えられ(それでもチューニングで増やしていますが)、不満を抱える太地にとっては、億単位の稼ぎになるシャチの水族館向け生体販売は大きな魅力。新スマスイのシャチ導入構想は、太地にしてみれば渡りに船でしょう。実は、水産庁は来年の商業捕鯨捕獲枠の発表と同じタイミングで、19日に2018/19猟期の改訂されたイルカ猟捕獲枠を公表しています。変更されたのはオキゴンドウの捕獲枠(70頭→91頭)。電話した際に商業捕鯨枠のついでにこちらについても尋ねたのですが、捕獲枠拡大は太地側の要請による留保分の追加とのこと。捕獲があったわけではなく、「大きな群れが来ているので、2回猟を行えば枠を越えちゃうから増やしてくれ」と求めてきたと。近年捕獲ゼロが続いていたオキゴンに対して皮算用で枠拡大を要求してくる辺り、再開でかなり気が大きくなっているといえそうです。シャチは要注意! ということで今回表に加えました。
 神戸新スマスイ・シャチ導入の件に関しては、筆者も新オーナーとなったサンケイビル広報に直接問い合わせ、再考を強く求めました。なお、水族館問題に詳しいイラストレーターの福武忍氏が日本の水族館によるシャチ飼育の一連の流れを非常にわかりやすく解説されていますので、ぜひご一読を。

■56 シャチ 北西太平洋|水産研究・教育機構
http://kokushi.fra.go.jp/H30/H30_56.html
■日本沿岸のシャチのこと|ika-net日記
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_f95d.html
■太地シャチ捕獲事件から10年|IKAN
http://ika-net.jp/ja/ikan-activities/coastal-small-whales/81-10yearssincetaiji5
■1997年に捕獲された5頭のシャチ最後の1頭の死に際して|IKAN
http://ika-net.jp/ja/ikan-activities/coastal-small-whales/79-lastorcapassedaway20080923
■「スマスイ値上げ反対署名提出」の報道をうけ、国内外のシャチ飼育の変遷などを考えてみた。 #しかし高校生以上3100円はないわ #幼児1800円はもっとないわ|福武氏のnote
https://note.com/shinobun/n/n9cb33da45db8

 ミンククジラはIUCNによる種としての評価はLC(低懸念種)。商業捕鯨で乱獲され激減したヒゲクジラの中では最も順調に回復が進んでいるとされるザトウクジラ(それでも捕獲禁止から半世紀も経ってようやくという感じ)と同じですが、同種が母船式捕鯨のターゲットとされたのは世論の目が厳しくなった商業捕鯨末期だったことが理由といえます。ただし、海域によってはミンククジラも早くから乱獲されていました。特に激減したのが前回の記事で詳述したJストックです。同系群を絶滅危惧状態に追いやった乱獲の主犯は日本と韓国(日本統治時代を含む)の商業捕鯨。
 Jストックに関しては、まだ日本が商業捕鯨を再開していなかった2年前、筆者がIUCNレッドリストガイドラインに基づいて評価しました。結果はアマミノクロウサギと同じEN。日本のレッドリストに合わせてLP(絶滅危惧地域個体群)としましたが。ただし、日本の調査捕鯨計画書に示されたものすごーく非保全的な数字を用いたので、IWC公式の数値を用いて再評価すればCRでも不思議はないところ。IUCNには是非ともサブポピュレーションとしてJストックの評価をレッドリストに挙げてもらいたいものです。拙判定の詳細については、下掲リンクのPDF97頁をご参照。

■徹底検証! 水産庁海洋生物レッドリスト
https://www.kkneko.com/redlistj.htm
https://www.kkneko.com/sasimi/true_redlist_1710b.pdf

 残る哺乳類と鳥類の4種は、ありがたいことに徐々に個体数が回復しています。特にアマミノクロウサギは2015年の調査で約15,000〜39,000頭(奄美大島のみ)と顕著に回復していることが判明しました。マングースの駆除が奏功したと考えられます。激増≠オたといわれるザトウクジラと比べるならまさに超激増≠ニいえますが、繁殖率を考えれば不自然な話ではありません。アマミノクロウサギは1産1、2子で、ウサギ目の種としては非常に繁殖率が低いといえるのですが、ゴリラやパンダ、クジラに比べればやはり圧倒的に繁殖率が高いです。レッドリストで評価基準となる3世代時間はミンククジラの場合およそ20年ですが、アマミノクロウサギであればその10分の1に(あまりに短すぎるので、評価に際しては10年のスパンが採用されますけど)。クジラを海のゴキブリ≠ノ喩えたミスター捕鯨問題・小松氏(後述)の言葉を借りるなら、島のゴキブリ∞島のノミ=Bもちろん、そんな非科学的な表現はクジラであれアマミノクロウサギであれ絶対に許してはならないのですが。
 実際にはもちろん、上掲の表では無視している自然死亡率を考慮しないわけにはいかないのですが、それでも繁殖率の数字自体も保全を考える際に欠かせないな生物学的指標です。もっとも、これまで捕鯨擁護派は「(ミンククジラは)繁殖率が高い!」と声高に主張し続け、その比喩として海のゴキブリなんてレッテルを貼ったわけです。表に示したとおり、確かにミンククジラは他の鯨種に比べるとちょっぴり繁殖率が高いといえますが、シャチの中にはミンククジラを専門に捕食するエコタイプがいるほどで、その分自然死亡率もより大きな他の鯨種より高いのは間違いありません。でなければ、種分化から数十万年の間それぞれの鯨種がバランスを保つことなど不可能だったはず。繁殖率は北のミンクと同じくらいの南半球に棲む近縁種クロミンククジラは、繁殖率が相対的に低いザトウクジラやナガスクジラが徐々に回復しているのに対し、個体数が安定ないし減少傾向にあるとみられています。
 低い繁殖率が壁≠ノなってゴリラやパンダ、シロナガスクジラの回復ペースが遅々としたものに留まっているのに対し、アマミノクロウサギで劇的に保全策の効果が表れたのは、やはり繁殖率の高さ故に他なりません。それくらい繁殖率の差は重要なのです。ちなみに、筆者の計算はアマミノクロウサギに関しては保守的(保全的)に低く見積もっており、実際にはもっと大きな数字になるはず。一方、ジャイアントパンダについては中国の保護増殖事業で双子の養育技術が確立されたので、やや高めの見積にしています。野生状態であれば増えるペースはもっとゆっくりしたものになります。
 余談ですが、アマミノクロウサギのIUCNレッドリストは2019年の更新ながら、査定は3年も前の2016年、上掲したのと別のデータが採用され、それでも旧い数値と比較するとやや増加していながら傾向は減少で、その他も全体に(筆者が注目している他種の評価内容に比べ)記述が少なく、利用等のステータスに至っては空欄だったり、やや奇妙な印象が拭えません。実は、アマミノクロウサギの査定のポイントは個体数の増減傾向ではなく、生息域の縮小(B1ab+2ab)。開発による生息域(主に森林)の減少こそが、アマミノクロウサギをして絶滅危惧種たらしめる根本要因なのです。
 より保守的(保全的)なデータを用いて慎重な判定を下すのは、もちろん大変結構なことです。水産庁ならゼッッッタイそんなことしませんから。海のレッドリストでメチャクチャやって、IUCNも日本哺乳類学会もアマミノクロウサギと同じEN以上の判定をしたスナメリまで「ランク外」にしちゃったくらいですから。日本の水産庁に比べればだいぶマシとはいえ、IUCNで鯨類の評価をしている研究者チームであるCSGは、ミナミセミクジラをLCと評価したり、あまり保全的でないところがあるため(一応反捕鯨国の研究者が多いはずなんですけど)、アマミノクロウサギがあくまで予防原則に従って評価されることは、筆者には正直羨ましく思えるほどです。

 続いてマウンテンゴリラについて補足。といっても、ゴリラの保全の話ではなく、日本の捕鯨政策の立案に深く関わった元水産官僚・小松正之氏のゴリラへの言及について。韓国メディアの取材に対し、これまでクジラに関して展開してきた原理主義的な持論に拘るあまり、ついにゴリラ食文化を容認する発言までしてしまいました。「ゴリラの殺害に反対するのは傲慢だ」と。野生生物保全の立場からは絶句するしかありません。アフリカの野生動物にとって、今ブッシュミート問題がどれほど深刻であるか、小松氏はまったく理解していないのです。日本がODAを用いてIWCに味方として引き入れたコンゴ民主共和国にもマウンテンゴリラが生息しています。食文化を神聖視する日本の捕鯨擁護論が、世界の野生生物保全にどれほど有害な影響を及ぼしていることか。
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When Komatsu was asked about eating gorilla meat, he defended the practice, claiming it was "arrogance" to object to the killing of gorillas while it was part of the social structure and culture of African people.(引用)
■Japan's killing culture (7/6, KoreaTimes)
http://www.koreatimes.co.kr/www/opinion/2019/07/197_271790.html

 魚3種については、10年のスパンで数字を出しやすいため採用。改めて説明の必要もないかと思いますが、マサバもタイヘイヨウクロマグロも乱獲が深刻。詳細は漁業問題のスペシャリスト、東京海洋大・勝川俊雄氏や早稲田大・真田康弘氏が各所で解説してくれていますので、皆さんもぜひしっかり勉強してください。ちなみに、今年はABC評価対象の日本近海の主要な漁業資源のうち低位の評価をされた種・系群が一見減ったかのようにみえますが、漁業法改正後にマサバ等の評価が別枠扱いになったためで、乱獲・資源枯渇状態が改善したとはいえないのでご注意。
 これらの魚種を表に入れたのは、水産庁・外務省の「獲るのは資源量のたった1%以下なんだぞ。魚だったら3%〜30%、漁業にあてはめたらゼロになっちゃうぞ。十分保守的なんだぞ!」という主張にはまったく科学的根拠がないということを説明するため。サメ類など繁殖率の低い一部の種を除き、魚と比較すること自体、大間違いもいいところです。

 前置きが長くなりましたが、水産庁のリクツを当てはめた数字が以下の表。シャチ、アマミノクロウサギ、ナベヅル、ジャイアントパンダ、マウンテンゴリラについて。
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 野生動物保全派の皆さん。あるいは、NHKスペシャル知床シャチ特集を観て感動した全国の視聴者の皆さん。水産庁がシャチの商業捕獲を禁止していることについて、どう思われますか? 「そんなの当たり前だろ」と思います? 思いますよね!? しかし、同じ水産庁のミンククジラJストックに対する考えを当てはめれば、年75頭ないし約350頭も捕獲できてしまうことになります。世界中の水族館でシャチ飼育が終焉を迎えつつあり、周回遅れの中国の水族館にシャチを供給していたロシアも内外の強い反対を受けて商業捕獲を許可しないことを決めた今のご時勢に、新スマスイどころか全国の水族館にシャチがあふれ返ることになるでしょう。太地の漁協はウハウハ儲かっちゃって笑いが止まらないでしょうが。
 ちなみに、漫画『ゴールデンカムイ』でシャチを食べるシーンが登場しますが、座礁したシャチが一部で利用された可能性はあるものの、海で最高位のレプンカムイとして畏まわれたシャチを積極的に捕獲するまねはアイヌの人々はしませんでした。一方、高松の呼称で一部の地域の和人には食べられていたようです。いずれにしても、シャチは戦後沿岸で油脂目的に乱獲されました。食用油として使うなら立派な食文化だと捕鯨推進派は主張するのでしょうが・・。

 上掲したように、小松氏に言わせるなら、年10頭ないし46頭のマウンテンゴリラの食用捕獲に反対を唱えるのは「傲慢」ということになるのでしょう。

 中国のジャイアントパンダも食用にされていた時期があります。絶滅危惧種の世界的代名詞となった同種ですが、国を挙げた保護増殖事業で堅実に個体数を伸ばしていることから、IUCNではナガスクジラより一足早くランクをENからVUへとダウンリストされました。実際にはまだ野生復帰の試みが緒についたばかりで道のりは遠いといえるのですが。一方で、日本をはじめ各国の動物園に飼育個体が貸し出され、財政+外交という保全以外の形で利用≠ウれてもいます。重慶等の保護施設で増やしたパンダのうち、年18頭ないし84頭の個体は養殖パンダ≠ニして食用に回されるべきなのでしょうか?

 ナベヅルは全生息数のおよそ9割が日本に渡り、鹿児島県出水市等で越冬します。観光のシンボルとして自治体が人工給餌を含む保護活動に積極的に乗り出し、渡来数が順調に増えているのはいいのですが、越冬地が過密になりすぎて感染症が広がるリスクも懸念されています。科学的間引き♀ヌ理が必要として、年150頭ないし約700頭を撃ち殺して食用にすべきでしょうか?
 ちなみに、食文化としてみた場合、江戸時代にはツル類は塩漬けなどの形で食用にされ、美味であるとして珍重されていました。中でもナベヅルは「最も美味」であったと。タンチョウは入札で売れ残ったニタリレベル(それでも現代なら改善できるでしょうけど)、ナベヅルはナガスの尾の身や若いミンクの畝須という感じですね・・。永田町の国会議員クラスの食通家なら、「是が非でも食ってみたい! 年に1度や2度は試食会を開いて、名うてのシェフに調理された究極のナベヅル料理に舌鼓を打ちたい!」と思うかもしれません。たとえ商業的に採算が取れなかったとしても、国や自治体が補助金を出してツル食文化を維持すべきなのでしょうか?


 アマミノクロウサギは天然記念物に指定されるまでの1920年頃までは地元で身近な食材として食用にされ、毛皮も利用(余すところなく?)されていたとのこと。また、婦人病の薬としても利用されていたとされ、産後に女性に与えるため捕獲する専門の業者までいたそうです。まあ、サイの角と同じく迷信と判断すべきでしょうけど・・。
 さる社会学者も指摘したとおり、今の鯨肉食文化≠フ伝統≠ヘモラトリアム後、捕鯨協会/国際ピーアール(広報コンサルタント)/マスコミの宣伝で形成されたもの。ミンクは古式時代アイヌ以外は知らず。ニタリは商業は戦後の小笠原くらいで、調査時代不人気で売れなかったものを冷凍技術とプロ≠フ腕で改良、文化としてはまさにポッと出≠ニいっていいのです。大赤字を出して販売をやめたガリガリ君ナポリタン味≠税金使って復活させるみたいな話。地域住民による地場消費であり、土着の伝統文化の形態としても、野生動物に与える影響という点でも、アマミノクロウサギ食文化はクジラ食文化やゴリラ食文化に比べればまだ正当性があるといえるのでしょう。
 科学的に安全だから、持続利用可能だから、地域固有の伝統食文化を守るためにも、アマミノクロウサギは年約700頭ないし約1,800頭を食用に捕獲するべきなのでしょうか? 仮に水産庁・捕鯨御用学者にRMPなりPBRに基づき、チューニングもした捕獲量を算出させたなら、筆者が出した大きい方の数字よりさらに上乗せされたとんでもない数字を出してくるに違いないでしょう。

 アマミノクロウサギ、トキ、コウノトリといった象徴的な絶滅危惧種(トキとコウノトリは既に地域絶滅種ですが)の保全策を国や自治体が打ち出すことに、異を唱える人はいないでしょう。しかし、トキやコウノトリを地域振興のシンボルとして掲げ開発事業を推進し、やはり絶滅危惧種(VU)であるサシバの営巣木のある雑木林を切り拓いたり、生態系に強い影響を及ぼす侵略的外来種であるアメリカザリガニを田んぼに撒いたりすることには、首を捻ってしまいます。環境省の担当者がある問題に関して「アマミノクロウサギは絶滅危惧種だから1頭たりとも殺されてはいけない」と述べたそうですが、その一方で「土用のウナギは予約を」と宣伝してしまうのは(炎上しましたけど)、強い違和感を覚えざるをえません。反反捕鯨論者がビョウドウに動物の問題に関心を払っていたなら、きっと「サベツだ!」と怒りだすことでしょう。

 皆さんは、アマミノクロウサギを原告≠ノして奄美でのゴルフ場開発の差し止めを求めた自然の権利訴訟を覚えていらっしゃるでしょうか? 残念ながら、裁判は事実上門前払いの形になり、ゴルフ場開発はそのまま推進されてしまいました。ちなみに、捕鯨問題に精通するジャーナリストである立教大・佐久間淳子氏は、自然の権利訴訟の中心メンバーとしてアマミノクロウサギを始めとする奄美の野生生物の保全問題に携わったお1人。


 いまアマミノクロウサギについては、ユネスコの世界遺産登録を目指して環境省と自治体が前のめりといっていいほど強く保全の取組をアピールしようとしています。ただ・・ゴルフ場開発を止められなかった頃に比べれば、やっと保全に目が向けられるようになった、時代が、節目が変わったんだな・・と一概に喜ぶ気にはなれません。なぜなら、本来野生生物の保全とは、絶滅危惧種が絶滅危惧種でなくなること≠目指すものでなければならないはずだからです。アマミノクロウサギに関しては、生息域の縮小≠何とかしない限り、絶滅危惧種の指定が解除されることは決してないのです。その肝腎の部分の取組が、筆者にはどうにも弱い気がしてなりません・・。保全に真剣に取り組んでいる人たちが、「絶滅危惧種のままシンボルとして利用し続けたいから、開発問題・生息地の回復については不問にしておきたい」などとは、よもや考えていたりはしないと思いますけど。

 ミンククジラJ系群は、日本の海に生息する、立派な日本在来の野生動物です。ただし、日本だけの野生動物でもありません。韓国や中国、ロシアの周辺海域、公海との間も行き来しますし、国際条約のもとでも国際機関主体の管理が求められる《人類共有の財産》です。それを言ったらアマミノクロウサギだって同じこと、「日本人だけの財産だ、獲って食おうが守ろうが日本人の勝手だ!」なんてことは絶対言っちゃいけないはずですが。その言っちゃいけないことを、国会議員から市井のネトウヨまで平気で叫んでいるのがクジラに他ならないのですけど・・。
 Jストックの今のステータスをアマミノクロウサギと比べても、明らかに絶滅の危機に瀕しているといえます。アマミノクロウサギより繁殖率が断然低く、推定生息数も少なく、大きく増加に転じたとみられるアマミノクロウサギと異なり混獲による減少が強く疑われています。アマミノクロウサギよりステータスが悪いのに、アマミノクロウサギの自動車事故以上に混獲されているのです。実数で越えているので、生息数比はさらに大きくなります。繁殖率を考慮すればダメージもより大きいといえるでしょう。アマミノクロウサギの自動車事故については啓発活動以上の対策ができているとは言いがたいのが実情ですが、混獲されたクジラはDNA登録さえすれば肉にして売ることができると法律で定められ、漁業者にとって混獲を減らすモチベーションにすらつながりません。漁網の損耗分を多少肉で賄えるならいいかくらい。Jストックが希少な個体群であるという情報を水産庁は流しません。漁業者にとってはクジラはクジラ、単なる害獣、あるいは漁獲物のレベル。トキやコウノトリ、ニホンオオカミやニホンカワウソを乱獲で絶滅に追いやった頃の日本人の認識と大差ないのです。一方、韓国の混獲については前回の記事で一次資料とともに詳述していますが、同国は混獲数を減らすため立場の異なるオーストラリアと協同で取り組んでいます。その甲斐あってか(母数が減りすぎた可能性も捨てきれませんが)、かつては密漁も合わせ日本の数倍に上るともされた韓国の混獲数は、現在では日本を下回る数字に押えられています。今の日本の野生動物であるクジラに対する態度は、韓国と比べても明らかに非保全的なのです。韓国は昨年のIWC総会でも日本提案を棄権し、IWCの枠組に留まっているわけですが。
 しかもそのうえで、水産庁は同系群の捕獲が避けられない網走沖商業捕鯨まで認めてしまったのです。環境省が「1頭たりとも殺させない」方針を示したアマミノクロウサギとはあまりにも対照的に。

 自動車(道路)やマングースやゴルフ場開発は、アマミノクロウサギという《在来種にとって進化史上唐突に出現した、適応困難な人為的な環境変化》という意味で科学的には等価といっていいでしょう。もちろん、問題はどのくらい適応が困難(不可能)かであり、保全の観点からは在来種の個体群動態にどの程度の負の影響をもたらすかが定量的に評価されたうえで対策の優先順位が決められるべきですが。
 クジラたちにとっての捕鯨船や漁網もまた然り。《在来種にとって進化史上唐突に出現した、適応困難な人為的な環境変化》。まったく同じです。そのうえ、保全策を講じたとしてもアマミノクロウサギより早く回復することは絶対にできません。
 実際には、そもそも環境省には鯨類保全に関わる予算・権限・責任がありません。水産庁に丸投げです。そして、その水産庁は保全する気など皆無で、レッドリストを強引に捻じ曲げ、日本近海のすべての鯨種に「ランク外」の烙印を押し、アマミノクロウサギであれば約700頭〜約1800頭に相当する絶滅危惧系群の定置網と商業捕鯨による捕獲を許し、市場に肉を流通させているのです。
 日本の野生動物であるにもかかわらず、日本人で保全に関心を持ってくれる人が圧倒的に少ないのです。ある意味、一般的に無名な植物や無脊椎動物以上に。《人類共有の財産》であると認識してくれる人が。国会議員ではれいわ新選組のたったお2人だけ。後は「殺せ!」「外国人に文句を言わせるな!」の大合唱。あるいは、まったくの無関心。人口の大部分は後者のはずですけど。
 一体こんなことが許されていいんでしょうか? 日本の自然保護、野生生物保全はこれでいいのでしょうか?

 以前、筆者が「侵略的外来種はやっぱり問題だよね」という話をしたとき、様々なことをご教授いただいた、とある動物(クジラ以外)がご専門の生物学者の方に「外来種だけ≠槍玉に挙げるのは、開発の問題の目くらましになるだけで、野生生物にとって益がないよ」と釘を刺されました。筆者もそのとき、もっともだと反省した次第です。
 筆者は地域の自然保護運動にも直接関わった経験があるので、外来種駆除に伴う、決して割り切ることのできない命を奪うことへの辛さ=A文字通り《賽の河原の石積み》を余儀なくされるしんどさ≠焉A身をもって知っています。そうした負担を将来的に少しでも軽減するためにも、次から次へと新たな外来種問題が発生するのを未然に防ぐことができないという理不尽な状況をなくすためにも、何より必要な抜本的な対策こそ、IUCNも推奨するホワイトリスト方式です。予防原則の観点からは当たり前の話なのに、外来種問題を強調する方面からそうした声があまり(というかほとんど)聞かれないのも、筆者には少々理解に苦しみます。
 アマミノクロウサギは国と自治体が音頭を取って積極的に保護を訴えています。まあ、応援するのも結構ですが(肝腎の開発問題・生息地回復の取組が抜け落ちていないかのチェックはもっと大事)、日が当たっていない、国にもメディアにも見離され、置き去りにされている野生動物の問題にももっと目を向ける必要があるのではないでしょうか? 事実、そうした野生動物がいるのですから。ミンククジラJ系群のように。
 クジラもさることながら、国の対応が真逆で、絶滅危惧の深刻度と国民の関心──というよりメディアの注目度との間に最も開きがあるのは、やはり日本全国の野生動物の中で一番絶滅に近い、今年遅まきながらIUCNに地域個体群としてCRに認定された南西諸島のジュゴンでしょう。また、固有の生物群集に重大なリスクをもたらす外来種問題でありながら、なぜかまったく振り返られていないのも、約束違反のずさんな処理が明らかになった辺野古沖への岩ずり投入問題に他なりません。奄美大島も土砂の調達元、(国内)外来生物の供給源になっていたかもしれないのです。同県・玉城知事が対抗措置として条例を制定し、やっと追加搬入は阻止できるようになったものの、すでに強行された土砂の所為で手遅れになった可能性もあります。代替先となる県内での土砂採取による自然破壊も依然として懸念されますし。
 SNS等を通じて野生動物の保全について発信する方々には、その辺のバランス感覚をもう少し考えていただけたらと願ってやみません。

 野生動物保全の真の味方≠フお手本といえるのが、夏の参院選で旋風を巻き起こしたれいわ新選組の候補であり、NGO職員として環境政策の立案過程も知り抜いているプロフェッショナル、辻村千尋氏。辻村さんは選挙中も、選挙後の今も全国各地を飛び回り、外来種問題から米軍基地、ダムやリニアなどの巨大開発問題まで、全方位で野生動物保全に関わる国の政策の問題点を追及し、必要な施策を訴えてこられました。壁≠ェ巨大すぎて厚いからといって決して臆することなく、不人気の動物だからといって決して見放すことなく。彼はジュゴンも、クジラも、見捨てないでくれました。本気で野生動物保全のことを考えてくれる、正真正銘の本物だと信じられる方です。今の日本で一番環境大臣に相応しい人物です。セクシーとか中身のない発言しかできない、国の恥さらしの誰かさんと違って。
 辻村さんの「爪の垢を煎じて呑め」とまでは言いませんが、保全派≠フ方々にはぜひ彼の姿勢を見習ってほしいもの。「アマミノクロウサギを守るのももちろん大切だけど、同じ南西諸島のかけがえのないジュゴンの住みかを奪わないで!」と、沖縄県民の皆さんと連帯し、声を挙げ続けていきましょう。
 そして、ジュゴンの百分の1でいいので、間違いなく絶滅が心配される日本の野生動物の1種(系群)であるミンククジラJストックのことにもぜひ関心を持ってくださいね。

※追記:10月に(IUCNではなく)日本のレッドリストの方で環境省がアマミノクロウサギの緩和を検討していると報道された件について
 IUCNと日本のレッドリストは一応別物なのですが(陸上は海と違ってほぼ準じているけど)、IUCNと同じく生息域の縮小が判定基準であれば、ダウンリストの理由は分布域の(再)拡大ということになるでしょう。開発に対する筆者の懸念さえ≠竄筐X憂ということになるかもしれません。もっとも、仮にVUに格下げされたとしても、やはり絶滅危惧種の範疇であり、生息面積の狭さが主因である事実も変わりはありません。「開発はたいした問題じゃない」とか「ガンガン食べてもいい」とはまったく思いませんけど・・・
posted by カメクジラネコ at 22:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学系

2019年12月26日

水産庁の発表した2020年の商業捕鯨捕獲枠はインチキだった!!

 12月20日、水産庁が来年(2020年)の商業捕鯨の捕獲枠を発表しました。昨年のIWC脱退、商業捕鯨再開の発表も暮れも押し迫った慌ただしい最中のことでしたが。
 
■令和2年の捕鯨業の捕獲枠について|水産庁
https://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/attach/pdf/index-40.pdf
https://www.jfa.maff.go.jp/e/whale/attach/pdf/index-7.pdf
■捕鯨頭数上限、20年は据え置き(12/20,共同)
https://this.kiji.is/580722546714018913
■20年捕鯨枠、295頭 水産庁(12/20,時事)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019122001180&g=eco

 実を言いますと、共同の記事見出しを最初に見ちゃったものですから「『20年は据え置き』だと!? あの強欲な共船が20年間も我慢するなんて、そんなの認めるはずが・・いやしかしまさか」とか思ってびっくりしちゃったわけです・・。まあ、そんなわけないんですけどね。2020年の捕獲枠。
 まず、共同記事見出しの背景は水産紙報道の説明どおり。在庫が余ってるから後1年は業界的にもつ、というわかりやすい話。


 筆者が注目したのは「混獲数」でした。2019年とまったく同数。筆者はまた目を疑いました。「おっ!? これは!?」と。
 Jストックが高率で捕獲対象に含まれる網走沖(オホーツク海沿岸)での商業捕鯨の捕獲枠がプラスされず、Jストックの混獲数がプラスされないからこそのこの表の数字であろうと。
 常識≠ナ考えるなら。
 おさらいすると、今日野生動物の保全・管理は種単位ではなく個体群単位で考えるのが常識。日本近海に生息し、日本のEEZ内限定商業捕鯨で捕獲対象となり得るミンククジラには2つの個体群、Oストック(北西太平洋・オホーツク海系群)とJストック(東シナ海・黄海・日本海系群)があります。実際には、Oストック・Jストックそれぞれがさらに複数の系群に分かれている可能性があるという多系群仮説が提唱されており、IWC科学委員会では長年すったもんだの議論がされ、未だに決着がついていません。まあ、単系群仮説の方が有利なのかもしれませんが、予防原則の観点からはやはり複系群だった場合のリスクが優先されるべき。
 で、日本の商業捕鯨再開にあたり、海外でも一番懸念されていたのが、この希少なミンククジラ個体群であるJストックの捕獲だったわけです。国際法学者は、日本の商業捕鯨が国連海洋法条約に違反していることを示す具体的根拠の1つとしても掲げています。国連海洋法裁判所で争われた場合、重要な争点となり得ると。

■Japan Goes Rogue and Resumes Commercial Whaling | NRDC
https://www.nrdc.org/onearth/japan-goes-rogue-and-resumes-commercial-whaling
■Whales targeted by Japan face extinction threat (7/1, Phys.org)
https://phys.org/news/2019-07-whales-japan-extinction-threat.html
■Japan’s Resumption of Commercial Whaling and Its Duty to Cooperate with the International Whaling Commission
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3457554

 懸念を示していたのは、いわゆる反捕鯨国のNGOや研究者らばかりではありません。韓国でも注目されていました。日本IWC脱退時の韓国報道にもあるとおり、韓国海洋水産部や同国内のNGOも日本がJストックを捕獲することに強い憂慮を表明しています。この問題は、元徴用工問題とも絡んだ国際裁判の火種になる可能性もはらんでいるのです。
 拙記事含む以下の各リンクもご参照。

■史上最悪の調査捕鯨NEWREP-NP──その正体は科学の名を借りた乱獲海賊捕鯨
http://kkneko.sblo.jp/article/177973131.html
■韓国海洋水産部「日本の商業捕鯨再開に深刻な憂慮」(7/2,中央日報日本語版)
https://s.japanese.joins.com/JArticle/255076
■「日本が商業捕鯨すれば韓半島沖のミンククジラ絶滅危機」('18/12/28,中央日報日本語版)
https://s.japanese.joins.com/JArticle/248588
■捕鯨で負けたのに徴用工でまたICJ提訴?
http://kkneko.sblo.jp/article/185024459.html

 こうした経緯に加え、実は筆者は捕鯨再開直後に水産庁国際課に対して「なぜ混獲数が実数に比べてこんなに少ないのか?」と電話で問い合わせていました。そのときの回答が「7月から実施する今年の商業捕鯨は太平洋沿岸のみなので、Jストックは除外している」というものだったため、筆者は納得したわけです。
 筆者はついつい早合点してしまいました。捕鯨反対派に格好の攻撃材料を与えるだけだし、オブザーバーの立場としての国際訴訟リスクを考えればやむをえないと判断し、Jストックが対象となる網走沖での捕鯨は断念したのだと。網走の業者である下道水産を説得したのだろうと。太地や外房和田浦の業者が地先の海を離れた釧路沖・三陸沖まで出張っているのを考えれば同じことですし。ついでに、一番声のでかい共同船舶は関係ないし・・。
 網走沖をやめるとすればまさに英断であり、珍しく英語版の発表をいち早く公開したのも、その辺を宣伝したかったんだろうと勝手に想像しちゃったわけです・・。
 で、ツイートに加え「網走沖でのJストックの捕鯨を見送った水産庁の英断に感謝します!」とホームページの水産庁・外務省Q&Aカウンターコーナーに書いちゃったのです。一応考え直して「確定ではない」とのツイートも付け加えましたが。
 考えが甘すぎました(−−;; 報道が金曜の晩でなければ先に問い合わせていたところだったのですが・・。
 週が明け、水産庁国際課に電話したところ、「網走沖やります」と断言され、筆者は言葉を失ってしまいました・・・
 混獲の数字についてただすと、なんとOストックでもJストックでもなく、「海区のみ」(11区と7区:捕鯨を操業しているのと同じ、オホーツク海沖および東北・北海道の太平洋沖)の混獲数だと。ちなみに、2019年とぴったり同数なのは、オホーツクでの混獲実績のデータが更新されなかったためとのこと。
 録音なんぞしてないし、当節(安倍政権下で)そんなことしても意味ないですが・・今にしてみると、7月に問い合わせたとき、「今回は太平洋岸のみだから」との回答の中で先方がはっきりと「Jストックを除外」という言葉を発したかは正直記憶が曖昧だったかもしれません。発言でも出てきた気はするのですが・・。ただし、筆者は最低でも「なるほど。対象がO系群のみでJストックが含まれないからですね?」と念押ししたのは間違いありません。その後も、「Jストックを対象にした網走沖での操業許可は何とか見直してもらえないだろうか」という意見を再三伝えました。そのときに、担当者が「いや、系群とは全然関係なく、操業海区の数字です」とはっきり答えてくれなかったのは大変残念でなりません。「太平洋岸のみ」さえ事実ではなかったわけですが。私は7月の電話の中で「今回混獲分を控除していただいたことを大変感謝しております」とやはり複数回謝意を伝えました。こんなことなら礼なんて言うんじゃなかった(−−;; ほんと、アホみたいですわ・・・。当然、ホームページの「英断に感謝」は即削除しました・・。
 まあもともと、網走沖きっとやるんだろうなあ・・とは思っていたのです。やめるなんてたぶんできないだろうなあ・・とは。水産庁のことですし。当節下道水産と伊東議員に対して筋を通すのは無理だろうとは。下道水産の社長はオブザーバー参加したIWC総会でも威圧的な発言で世界を驚かせたほどですし。
 しかし、まさか混獲数にJストックの大部分が含まれない一部だけの数字を出してくるなどとは予想もしませんでした。一杯食わされた感でいっぱいです・・。その理由を「海区」にしたことも、予想の斜め上のさらに斜め上。本当に開いた口が塞がりません。
 今回の発表から、水産庁はこれまで世界に対して、また国民に対して公にしてきた約束≠いくつも破ったことが明らかになりました。それをまとめたのが以下の表。
2020catchquota_j.png
 水産庁に合わせ、英語版も用意。
■Japan Fisheries Agency cheated at the announced whaling catch quota!!
https://www.kkneko.com/english/catchquota2020.htm

 表中の参照リンクは以下。

■Population (Abundance) Estimates | IWC
https://iwc.int/estimate
■「令和2年の捕鯨業の捕獲枠について」の解説|ジャーナリスト佐久間淳子氏FB
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=2631613780249251&id=1488463901230917
■日本沿岸希少種ミンククジラ混獲の実態|IKAN
http://ika-net.jp/ja/ikan-activities/whaling/12-minke-bycatch-at-jp
■Characteristics of the Cetacean Bycatch in Korean Coastal Waters from 2011 to 2017 | KoreaScience
http://www.koreascience.or.kr/article/JAKO201811459666480.page
■Cruise Report of the New Scientific Whale Research Program in the western North Pacific (NEWREP-NP) in 2017 -Coastal component off Abashiri in the southern Okhotsuk Sea- | IWC SC/67B/SCSP/07
https://archive.iwc.int/pages/search.php?search=&k=2499406a3b&modal=&display=list&order_by=field73&offset=0&per_page=240&archive=0&sort=DESC&restypes=&recentdaylimit=&foredit=
■50 ミンククジラ オホーツク海・北西太平洋|水産研究・教育機構
http://kokushi.fra.go.jp/H30/H30_50.html

 表中に記したとおり、結論からいうと、水産庁が公に表明している2つの方針「系群毎の管理」「資源量の1%以下」は守られていません。外務省Q&Aでも「捕獲対象種の推定資源量の1%以下であり,極めて保守的な数値となっています」と述べていますが、これは嘘だったということです。
 もう1つの公約「100年間捕獲を続けても資源が減少しない$準を維持する」(吉川農水相、当時)も、守られない可能性がきわめて高いといえます。予防原則を尊重するなら当然守られるべき公約なのですが。
 日本政府の国民・世界に対する公約≠ノついては以下の拙HPコンテンツもご参照。

■外務省Q&Aコーナー・カウンター版(Q7)
https://www.kkneko.com/faq2.htm

 細かい解説に入りましょう。まず、下掲リンクは2011年の韓国の研究者によるJストック管理に関する論文。

■Status of J stock minke whales (Balaenoptera acutorostrata)
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/19768354.2011.555148

 元データには日本の調査によるものも使用しています。採用した推定生息数は6,260頭(最低値5,247頭)で、IWCの合意値より大きめですが、そこから算出したPBRの値が52.5頭。PBR(潜在的生物学的間引き可能量)はRMPと並び保守的とされる管理指標で、日本の小型鯨類管理にも用いられています。ただし、やはりチューニングが可能なのが曲者。ともあれ、IWC合意値より甘いデータを用いてさえ52頭であり、同論文では混獲に対して強い警鐘を鳴らしています。
 韓国の混獲については、Kogia_simaさんが同国のオンライン論文データベースから最新の情報を拾ってきてくれ、表で紹介しています(上掲リンク)。2011年から2017年の7年間で511頭、年平均では73頭。以前は年100頭を越えるとみられていた韓国の混獲数はその後下がっていますが、年73頭でもやはりPBRの値を越えてしまっています。ちなみに、混獲対策についてはオーストラリアも韓国に協力していました。同国の混獲が減ったこと自体は歓迎すべきなのですが、そもそも母数が減った、クジラがいなくなりすぎたことが原因とも考えられるため、一概には喜べません。野生動物では往々にしてあることですが。ついでにいうと、「韓国の方が日本より多くクジラを殺している」というのは完全なデマ≠ネのでご注意。筆者らウォッチャーが何度も繰り返し指摘していることですが・・。

 本日26日水産庁への電話確認で判明した網走沖での商業捕鯨捕獲枠は21頭。沿岸枠が100頭なので、残りの太平洋沿岸(釧路・八戸・鮎川)で79頭。
 2017年のNEWREP-NP網走沖の捕獲に占めるJストックの割合が、47頭中の28頭で約6割。以下の図は上掲リンクの日本側のIWC提出資料からの引用。
joabasiri.png
 つまり、来年の網走沖商業捕鯨で平均12頭、13頭くらい絶滅が危惧されるミンククジラJストックが捕獲されてしまう可能性があるのです。年によって1桁の場合もあれば、逆に20頭近くほとんどJストックが占める場合もあるかもしれません。

 水産庁に尋ねて得られた唯一の混獲*h止対策が、沿岸10マイル以内の禁漁区設定。
 実は、太平洋岸の釧路や鮎川沖でもJストックが2割ほど混ざっていました。ただ、Jストックの方がより沿岸よりのコースを取ること、雄の比率、未成熟個体の比率が高いこともあり、沖合側で肉の多く採れる$ャ熟した雌を狙う商業捕鯨であれば、Jストックの混獲≠ヘかなり抑えることができるでしょう。太平洋岸であれば。
 まあ、商業捕鯨になってからの手探り≠はじめ、一体何のための沿岸調査捕鯨だったんだという話ではありますけど・・。
 しかし、網走沖でJストックの混獲≠回避するのは、どう考えたって不可能です。水産庁側も回答を避けたとおり。網走沖でのJストックとOストックの分布(捕獲地点)は明らかに混在しており、体長の平均差(J<O)も未成熟個体の比率が高いためで、成熟雌ではほとんど差がありません。仮に差があったとしても、鰭を撃って致死時間を引き伸ばすような網走の業者が、目視でサイズの大きな雌だけに確実に照準を合わせる真似ができるなどとは、筆者には到底信じられませんけど・・。
 のみならず、それ以外に混獲≠防ぐ手立てを講じる気もありませんでした。調査捕鯨では6月より7月の方が混獲@ヲが上がることがわかっています(5割→7割)。7月の雄のJストックの比率はほぼ100%。一方、6月の雌は5割に届かないほど。しかし、水産庁はJストックの混獲<潟Xクを少しでも減らすために漁期を設定するという考えもなく、完全に業者任せだというのです。
 大体、定置網や刺し網ならいざ知らず、1頭1頭のクジラを狙って銛を撃つ捕鯨で混獲≠ニいう言い方をしちゃいけないんですが。

 ここで以下の今年2月に開かれた記者会見におけるミスター捕鯨問題Uこと東京海洋大森下丈二氏の発言にご注目。以下はジャーナリスト佐久間氏のFBからの引用。

森下氏は、
 「捕獲の対象は0-Stock、太平洋側です。J-Stockは対象にしません。」
と答えてくれた。
 筆者は驚いて、次のように食い下がった。
 佐久間:確認です。網走ではやらないということですか。
 森下 :いいえ。そこは今言えませんけど、網走でも獲り分けは可能です。(引用)


 繰り返しますが、水産庁が示した獲り分け≠フ手段は沿岸10マイル以内禁止のみ。ほんっとに言いっぱなしで無責任なヒトですね・・。
 上述したとおり、水産庁が網走の業者と捕鯨族議員の圧力に屈したのは仕方がないことだったかもしれません。しかし、だからといって混獲の数字を誤魔化すのは言語道断です。
 海区毎の数字には科学的な意味など何一つありません。それは漁業調整のためにヒトが勝手に海の上に引いただけの線で、生物群集の分布境界でも何でもないのですから。
 今回発表した水産庁の捕獲枠の定義に従うなら、捕鯨業者と同じ海区で定置網にかかったクジラは捕鯨業の捕獲のうちに含められ、業者がいない海区で定置網にかかったクジラは捕鯨業の捕獲に含められないといっているのです。どちらも同じクジラの個体群で、たまたま回遊して網にかかった場所が違っただけなのに。にもかかわらず、トータルの推定資源量は北西太平洋全域の数字を使っているのです。これほど非科学的な話はありません。
 海区毎で分けるというのなら、拙作表3の形にすべき。あるいは、捕鯨が行われない海区も合わせそれぞれ海区毎の数字を出したうえで、それらの合計を捕獲可能量とすべき。
 もちろん、一番科学的に正しいのは、Jストック・Oストックそれぞれの商業捕鯨枠、混獲控除数、推定資源量をすべてきちんと出すことですが。算出ではそれでやったと言いながら、水産庁はなぜ公表した捕獲枠でわざわざ数字を一部だけ切り取ったものに挿げ替えるまねをするのでしょうか? 捕獲の実数を少なく見せかける以外の動機は考えられません。そして、捕獲の実数を少なく見せる必要に迫られたのは、絶滅が危惧されるJストックを対象にする網走沖捕鯨を実施することが政治的にあらかじめ決められ、「1%以下」の公約と整合性が取れなくなったからに他なりません。

 実を言うと、水産庁はミンククジラの商業捕鯨の操業海域を北緯35度以北と定めています。沿岸捕鯨に業者が参加している太地の沖合ではやりません。同じく、対象海域にはギリギリ入っているものの、やはり業者の拠点がある外房沖でもほとんど捕ら(れ)ないでしょう。太地と外房の捕鯨業者は、東北・北海道の沖までわざわざ出張っていくわけです。地元の、地先の海ではやらず。まあ、伝統としてそれはどうなの?とは思いますけど・・。
 なぜ網走でそれができないのでしょう? 絶滅危惧系群の混獲≠回避するという、これ以上ない立派な大義名分があるにもかかわらず。業者と族議員が「何が何でも網走でやるんだ!」と要求するから?
 オホーツク海での捕鯨を要求しているのは、下道水産だけではありません。紋別アイヌ協会会長の畠山氏は、IWCでは認められているところの先住民生存捕鯨の再開を再三にわたって水産庁に陳情されているのですが、水産庁の回答は常になしのつぶでてあったと。IWCを脱退した以上、国際法上の問題はクリアされたにもかかわらず。
 仮にアイヌの方が紋別・オホーツク沿岸で捕鯨を再開した場合、確かにJストックが対象に含まれる可能性は高いでしょう。しかし、例えば、今の日本と同じステータスであるIWC非加盟のオブザーバーとしてホッキョククジラを捕獲しているカナダや、今議論されている米国先住民族マカ族によるコククジラの捕獲のように、年間2頭というレベルであれば、筆者個人は目をつぶっていいと考えます。半年前のブログで書いたとおり、長年捕鯨反対の立場で物申してきた身としては苦渋の決断でしたが、基本方針案パブコメでも母船式捕鯨より先住民生存捕鯨を定義すべきと進言しました。
 しかし、水産庁は無視し続けています。下道水産のみに便宜をはかり続けているのです。

■捕鯨とアイヌのサケ漁──食文化にこだわる日本人よ、なぜこのダブスタを許すのか
http://kkneko.sblo.jp/article/185158688.html
■倭人にねじ伏せられたアイヌの豊かなクジラ文化
http://kkneko.sblo.jp/article/105361041.html
■美味い刺身♀本方針案パブコメ
https://www.kkneko.com/pubcom6.htm
■「アイヌ先住権復興を目指す〜クジラ漁業をめぐって〜」 |アイヌ政策検討市民会議
https://ainupolicy.jimdofree.com/%E5%B8%82%E6%B0%91%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E3%81%AE%E8%A8%98%E9%8C%B22016-2017/%E7%AC%AC%EF%BC%95%E5%9B%9E%E5%B8%82%E6%B0%91%E4%BC%9A%E8%AD%B02017%E5%B9%B46%E6%9C%8818%E6%97%A5/%E7%95%A0%E5%B1%B1%E6%95%8F-%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%8C%E5%85%88%E4%BD%8F%E6%A8%A9%E5%BE%A9%E8%88%88%E3%82%92%E7%9B%AE%E6%8C%87%E3%81%99-%E3%82%AF%E3%82%B8%E3%83%A9%E6%BC%81%E6%A5%AD%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%90%E3%81%A3%E3%81%A6/

 一体、これほどのダブルスタンダードが許されていいのでしょうか!?
 科学、国際法遵守、野生動物保全、先住民の権利──すべての面で、日本が再開した商業捕鯨はあまりにも欺瞞に満ちています。
 国連海洋法裁判所で審判を仰ぐべきだと筆者は考えます。

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posted by カメクジラネコ at 18:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学系