2018年07月28日

嘘つきデタラメ水産庁──歴史を捏造する捕鯨族議員と傀儡水産官僚たち



 去る6月26日、水産庁が2ヶ月前から募集していた捕鯨に関するパブコメの結果を公示しました。

■「鯨類科学調査を安定的かつ継続的に実施するための基本的な方針(案)」に関する意見募集の結果について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550002675&Mode=2

 経緯については下掲の過去記事及び拙提出意見をご参照。

■調査捕鯨の根拠は支離滅裂──美味い刺身♀本方針案パブコメに意見を!
http://kkneko.sblo.jp/article/183298610.html
■「鯨類科学調査を安定的かつ継続的に実施するための基本的な方針(案)」に関する意見
http://www.kkneko.com/pubcom5.htm

 集まった意見は55件。
 正直、筆者は拍子抜けしました。たったの55件≠ニいうのが正解でしょう。
 通常、日本の行政機関が実施するこの手のパブコメは、直接関わりのある業界当事者以外の国民から意見が送られることはほとんどなく、せいぜい数件から数十件どまり。0の場合も少なくありません。
 ただ、原発や残留農薬関連等、比較的国民の関心が高いテーマになると数百件以上に上るものもありますし、5年前の動物愛護法改正に対しては1万6千件以上もの意見が集まりました。
 ですから、当事者にして圧倒的な動員力を誇るハズの日本捕鯨協会と全日本海員組合、同様に水産官僚の天下り先である水産・水産ODA関連外郭団体、鯨肉取扱事業者、美味い刺身*@を押し通した捕鯨族議員たちの支持者、さらには前米駐日大使に猛然と噛みついた実績のある外野の反反捕鯨ネトウヨ応援団が、国民の総意≠世界に見せつけてやろうとばかり、挙ってパブコメサイトでボタンを押しまくったに違いないと、筆者も半ば諦めの気持ちでおりました。軽く千件はいくだろうなあと覚悟したうえ、「数字が国民の意見をそのまま反映するものではない」と、拙パブコメ中でも苦言を呈したわけです。
 ところが、蓋を開ければ「たったの55件」。
 実は、筆者が「軽く千件はいくだろう」と踏んだのにはそれなりの根拠があります。
 というのも、他でもない水産庁の実施したパブコメで、284件もの声が寄せられた件があったのです。それがこちら。

■「指定漁業の許可及び取締り等に関する省令の一部改正案についての意見・情報の募集について」の結果について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550002463&Mode=2
■イルカビジネスで胃袋を拡げる太地とエコヒーキ水産庁
http://kkneko.sblo.jp/article/179432844.html
■指定漁業の許可及び取締り等に関する省令の一部を改正する省令案についての意見
http://www.kkneko.com/pubcom4.htm

 さて、上掲過去記事で解説しているとおり、これはイルカ猟の対象種を新たに付け加えることに対する意見の募集。言い換えれば、同じ捕鯨関連といっても、国会で議決された法律に基づく国全体の総合的な施策・基本方針ではなく、和歌山県太地町と沖縄県名護市の2自治体限定の、ローカルかつマイナーチェンジの話。枠の数字で言えば、その後の追加発動枠も含めると太地が沖縄の約4.5倍ですが。
 にもかかわらず、集まったパブコメは284件でした。
 しかも、寄せられた意見のうち賛成意見の1〜274件は、e-Gov HPに掲載されているリストのPDFファイルを見てもわかるとおり、事情に通じた地元のイルカ猟関係者の提出意見とは思えず、ほぼ無関係な一般市民から寄せられたものばかりに見受けられます。何しろ、「捕獲に賛成」の一言だけで145件ですからね・・。
 それに比べると、調査捕鯨基本方針案パブコメに対する回答はやや長文が多めで、賛成意見の半分ほどはコアな反反捕鯨=Aその一部に業界筋が含まれると見受けられます。国の捕鯨政策の基本方針に対するパブコメの方は、数字も去ることながら、提出意見の性格も沿岸のイルカ猟に対するパブコメとはガラリと異なっているのです。
 ちなみに、数字で賛成反対の比率を比較してみましょう。イルカ猟増枠パブコメでは賛成276:反対8。賛成が約97%、反対が約3%。一方、国の基本方針パブコメでは賛成50:中立1:反対4。賛成が約91%、反対が約7%。
 賛成票は前回のパブコメに比べて1/5.5にまで激減、反対票の比率は2倍以上に増えたことになります。
 つまり、「捕鯨賛成」と一口に言っても、国が公海で実施(委託)する調査捕鯨についての国民の関心は、太地等沿岸でのイルカ猟に比べて圧倒的に低いということが言えるでしょう。
 残念ながら、いずれにしても水産庁は「提出意見を踏まえた意見の修正」をしなかったのですが。

 ここで、水産庁の実施したもう一つの注目パブコメ、タイヘイヨウクロマグロの管理基本計画の変更に関する意見に少し触れておくことに。

■「海洋生物資源の保存及び管理に関する基本計画の変更(第1の別に定める「くろまぐろ」に関する事項の追加等)案の意見・情報の募集」の結果について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550002685&Mode=3
■クロマグロ漁獲枠配分のパブリックコメントへの意見|横浜国立大学教授・松田裕行氏
http://d.hatena.ne.jp/hymatsuda/20180606/1528246987
■クロマグロの漁獲枠配分を見直すべき二つの理由|東京海洋大学准教授・勝川俊雄氏
https://news.yahoo.co.jp/byline/katsukawatoshio/20180704-00088033/
■公平さを欠く沿岸漁業者へのクロマグロ漁獲枠配分|早稲田大学客員准教授・真田康弘氏
https://news.yahoo.co.jp/byline/katsukawatoshio/20180704-00088033/

 上掲各専門家の解説でも指摘されていますが、驚くべきことに、水産庁はたった9日間で意見の応募を締め切ってしまいました。捕鯨関係の2つのパブコメは行政手続法に従って通常どおり1ヶ月。意見の数でいえば、クロマグロ管理変更はイルカ猟増枠の半分にあたる140でしたが、短縮された期間を併せて考えれば、間違いなくこちらを上回ったでしょう。調査捕鯨基本方針パブコメは、3倍以上の期間をかけて半分にも届かなかったわけですが。
 極めつけが、クジラとマグロそれぞれのパブコメに対する対応の不誠実さ。法律を捻じ曲げて期間を短縮するのみならず、「寄せられた御意見につきましては、取りまとめの都合上、類似意見については要約しております」の一言で、各意見の数字すら示さない始末。そして、その短い期間に著名な水産学・環境科学の研究者やしわ寄せを食らう当事者である沿岸漁業者から寄せられた、大手巻網ばかりを優遇して沿岸の零細漁業者への締付を強化するあまりに不公正なやり方の是正を求める切実な意見に対し、まったく耳を貸そうとはしませんでした。この辺は捕鯨に対するパブコメとまさに対照的。
 3つのパブコメに対する水産庁の対応を以下にまとめてみましょう。

        イルカ猟増枠   調査捕鯨基本方針   クロマグロ管理計画変更
 募集期間    30日         30日              9日
 意見総数    284           55               140
  賛否    賛成多数  賛成多数(数・率とも減) 反対圧倒的多数(内訳不明ながら賛成意見は見当たらず)
  変更       無           無             無(全無視)

 これでは一体何のためにパブコメがあるのやらわかりませんね。少なくとも、《国民のため》、《漁業者のため》でないということははっきりしていますが。

 では、今回の基本方針パブコメで寄せられた各意見とそれに対する水産庁側の回答について、順に見ていきましょう。拙意見(51番)については最後に。
 まず、賛成意見から。水産庁が十把一からげに「御意見として承りました。今後の施策の参考とさせていただきます」で答えをまとめてる前半は端折るとして、いくつか興味深い意見を拾ってみましょう。水産庁回答の重複部分は端折っています。強調は筆者。

・海洋生物資源の一部である、鯨類資源の持続的な利用は、人口増加を続ける人類が将来も生存を維持するためには、許されるべき活動である事を基本理念とする。方針案の基本は、商業捕鯨の復活を明記しているが、これから開始されるであろう捕鯨は、再生産可能の生物資源の持続的な利用であって、かつてのような、大資本漁業会社による、利潤を目的にした大規模な商業捕鯨の復活はあり得ないと考える。その意味から、「商業捕鯨の再開」ではなく、「持続捕鯨の創造」へと、捕鯨への発想の転換が図られるべきである。その意味から、商業抽鯨を前提とする、ICRWは時代遅れの国際法であり、これを廃棄して新たな鯨類資源の利用を是とする国による国際法を樹立するべきである。
・科学調査の継続のみを目指して、捕鯨の再開を謳うだけでは、その実現は期待できない。政府は再開に向けての、明確な工程表を示して欲しい。
・調査結果に基づく、ICRW付表の見直しも、科学調査の条約への質献の一部であり、今からでも、その検討を始めて欲しい。
・わが国は率先して、新たな国際捕鯨条約の草案を提示して、国際的理解と賛同を得て、持続捕鯨の実現を達成するべきである。
・新調査母船の建造は、調査の継続のために必須であると共に,複雑な捕鯨技術を伝承し、わが国の鯨類科学調査と持続捕鯨の創造に対する断固たる決意を国の内外に示す、大きな意義があり、早期の建造を強く希望する。大型のナガスクジラを引き揚げて調査できるような広さの解剖甲板や製油装置を設置する大型の船体にしてほしい。
(引用〜意見38)

・御意見につきましては、本基本方針の内容と方向性は同一のものと理解しましたので、原文のままとさせていただきます。
・調査母船に関する御提案については、今後の施策の参考とさせていただきます。(引用〜同水産庁回答)

 意見の特徴から、捕鯨に強い関心のある外野の方と見受けられます。
 「かつてのような利潤を目的とした大規模な商業捕鯨の復活はありえない」、つまり税金投入・公共事業型の捕鯨を想定しているのでしょう。水産庁は「方向性は同一」の一言で片付けていますが、「復活」「再開」を目指す基本方針とまったく新たな捕鯨の創造を謳う意見者の考えは明らかに大きな隔たりがあります捕鯨協会や族議員らがぶち上げた「商業捕鯨復活」の狼煙が単なるハッタリで、実は公共事業型調査捕鯨の存続が狙いなのか、あるいは字義どおりの商業捕鯨再開を目指すのか──捕鯨賛成派の意見に対しても水産庁が明確な回答を避けたところがポイント。
 なお、商業捕鯨として成立せず、多額の税金・燃料を投じた上でようやく成り立つ小規模な日本製官営捕鯨は、人類の将来の生存維持にはまったく役に立ちません。詳細は以下。

■鯨肉は食糧危機から人類を救う救世主?
http://kkneko.sblo.jp/article/174477580.html

 他の部分、新たな国際捕鯨条約も国連海洋法条約の縛りがあるので非現実的。水産庁はきちんと回答すべきでした。
 ナガスクジラを想定した大型新母船の建造もやはり非現実的ですが、水産庁が「今後の施策の参考に」と答えたことは海外に強く注意喚起すべきでしょう。

(前略)鯨類科学調査の目的の第一が、「商業捕鯨を実施する際に適切な捕獲枠を含む管理方策等を策定する・・・」としているものの、現状では今後いかに必要な科学的情報を収集しても、政治的な対立が解決されない限り商業捕鯨の再開は実現不可能のままです。基本方針の第八「その他鯨類科学調査の安定的かつ継続的な実施に関する重要事項」の二の口で、国内外の理解を深めるための適切な情報発信等として、その対策についてわずかに触れているものの、本方針案の中には、IWCにおける政治的対立の解決を実現するためのより具体的な方策についても明記していただくことが肝要と考えます。
また、第七「鯨類科学調査のために捕獲した鯨類の調査終了後における利用に関する基本的事項」には、商業捕鯨再開後の鯨肉需要を維持するために必要な措置を追加していただくことが必須だと考えます。商業捕鯨モラトリアムが30年以上も解除されず、その間鯨肉の供給量は低水準のまま、希少で高価な食品というイメージがすっかり定着し、庶民の食卓から遠い存在となってしまいました。鯨肉はそもそも低価格で栄養価が高い食材として日本人にとって古くから当たり前の食べ物であったし、商業捕鯨再開後もそうあるべきだと考えます。調査副産物としての鯨肉の販売収入を調査経費に充当することも必要ですが、そのために鯨肉価格が庶民感覚を超えたまま需要を喪失してしまっては鯨類科学調査のそもそもの意義が失われかねないと懸念するものであります。(引用〜意見40)

・鯨類科学調査により得られる科学的情報は、政治的対立を解決する大きな助けとなるものですが、基本的に政治的対立はIWCでの交渉や外交的努力により解決されるものであるため、本基本方針には特段明記しないこととしており、原文のままとさせていただきます。
・副産物についての御意見は、今後、具体的な施策を実施する上で参考にさせていただきます。(引用〜同水産庁回答)

 こちらも捕鯨に強い関心のある外野の方ですね。
 太字強調部分にご注目。興味深いことに、賛成派でありながら、反対の筆者らと同じく、現状を正しく見抜かれておいでです。そして、美味い刺身*@および今回の基本方針が、核心の部分で破綻していることが、水産庁の支離滅裂な回答からよーくわかります。意見者が教示してくれるよう求める具体的方策なんて何もないから(ODAによる買収といった汚い手口以外)、こう書くしかなかったのです。
 要するに、意見者が指摘しているとおり「調査捕鯨をいくら続けたところで政治的対立は解消されず、商業捕鯨の再開なんて無理だ」ということ。担当者の水産官僚も本当はそのことをわかっていながら、族議員にせっつかれて矛盾だらけな基本方針を策定せざるをえなかったわけです。
 意見40の後半、この方は「庶民の食卓」が乱獲によって成立していたという史実を知らない模様。「商業捕鯨再開後もそうあるべき」という、38番とは真逆の認識。永田町の族議員らはこの40番と同じレベルが多いに違いありませんが。そして、両方を「参考にする」と言ってのける水産庁がいかに二枚舌なことか。

(前略)1) 1 ページの科学的知見の公開については、調査によって得られたデータそのものも原則として科学者に公開し、利用できることが望ましい。
2) 6 ページの調査の方式や手段についての記述は、科学技術が急速に発達している今、新たな調査手段も積極的に取り入れる旨の記述が望まれます。(後略)(引用〜意見41)

・科学的知見や調査の方式については、本基本方針の記述において包含される内容と考えています。(引用〜同水産庁回答)

 日本が実施してきた調査捕鯨は加工済の二次データしか公開されないことが長年にわたって問題にされてきました。北西太平洋調査捕鯨・NEWREP-NPの前身であるJARPNUも、レビューでトラックラインを勝手に外れて捕獲していたことが発覚し、IWC科学委員会のレビューで問題視されたばかり。にもかかわらず、日本は目視ではない致死調査に関しては計画書上でガイドラインを遵守する宣誓をしていません。しまいには妨害を言い訳にしだす始末。スタップ細胞論文を髣髴とさせるネイチャー掲載鯨研脂皮厚論文のデタラメ然り。水産庁がいくら太鼓判を押したところで、調査捕鯨発のデータ自体が信憑性を強く疑われているのが実情なのです。

■史上最悪の調査捕鯨NEWREP-NP──その正体は科学の名を借りた乱獲海賊捕鯨
http://kkneko.sblo.jp/article/177973131.html

 今日日本以外の鯨類学界では新たな非致死的£イ査手段が次々に生まれ、意欲的で斬新な研究に活かされていますが、日本の御用学者は見て見ぬふりをし続けています。お座なりに非致死調査をやったふりをすることはあっても、調査捕鯨において新たな調査手段が積極的に取り入れられることはありません。耳垢栓の切片と胃内容物の標本をひたすら積み上げ続けるだけ。

■ミンクの非致死調査
http://kkneko.sblo.jp/article/72090360.html

(前略)調査で捕獲した鯨は、国際捕鯨取締条約第8条2項に則り調査副産物(鯨肉)として合理的に有効利用しているにも関わらず、それに対し反捕鯨団体等が国内外で不買運動・サイバー攻撃等不当な圧力をかけてくる事態となっております。
我が国固有の鯨食文化を継承したいとの思いで取り組んでいる鯨料理専門店や鯨肉販売業者の不安を解消するためにも、調査捕鯨の正当性や鯨類資源の健全性と同様に鯨肉の利用・消費の合法性をこれまで以上に国内外に発信し、違法に行っているという根拠のない誹謗中傷や誤報・虚報を払拭する必要があります。
また、鯨類資源の持続的有効利用および鯨食文化の尊重等に理解を示している国々や人々がたくさんいることも発信していただき、誤った情報に騙されて反捕鯨活動を支援している人々の考えを改めるための活動もおこなっていただきたい。実施主体や業界団体等の発信力にはどうしても限界があります。政府が主体となって取り組んで頂けることを切に願います。(中略)
鯨類科学調査でおこなっているランダムサンプリング(無作為抽出)では、偏りのない幅広い生物学データ等(主産物)が収集されており、資源量算出に必要なデータとして信憑性はかなり高いと伺っております。(中略)
商業的価値のある副産物は今までどおり市場ベースで販売し、満たない副産物は鯨食普及等公益目的で使用する法もあるかと思います。(引用〜意見42)

・副産物についての御意見は、今後、具体的な施策を実施する上で参考にさせていただきます。(引用〜同水産庁回答)

 過去に連綿と行われてきた悪質な密漁・密輸・規制違反等の違法行為に日本の捕鯨業界は密接に関わっており、つい2014年まで行われてきた南極海調査捕鯨JARPAUはまさに合法を謳った違法行為に他なりませんでした。イワシクジラのCITES規約違反疑惑、ICJ判決文パラグラフ61違反等、今の調査捕鯨に対する違法性の指摘はすべて明白な根拠に基づいています。違法性の疑いを払拭したければ、国連受諾宣言の書き換えなどしなければよかったものを、日本政府自ら国際裁判から逃げる≠ニいう誤った選択をしてしまった以上、いくら合法性を発信したところで説得力を持つはずなどないでしょうに。
 まあ、「日本に捕鯨を教えたのはペリーだ」とか「韓国は日本より多くクジラを殺しているのにIWCに参加してない」といった、根拠のない誤報・虚報を拡散している人物もいますし、捕鯨協会の世論操作を請け負ったPRコンサルタントに誤った情報を植え付けられて熱心に反反捕鯨活動をしている御仁もいますけどねえ。だからといって、政府が主体となって洗脳をしろとでも言いたいんでしょうか??
 ランダムサンプリングについては、前述のとおり、JARPNUはIWCガイドラインに違反し、NEWREP-NP沿岸調査も「ランダムは途中まででいい」というとんでもなくズサンな代物。そもそも野生動物の分布・移動は偏りがあるのが当たり前で、それをなるべく減らす工夫はしても、「偏りのない」と言いきってしまうようではその時点でまともな研究者ではありません。調査捕鯨はクジラあるいは他の野生動物の目視調査と比べても必然的に大きな偏りが生じるのです。いずれにしても、資源量の算出は目視調査で行うもの。調査捕鯨で得られる特性値は資源量ではなく補足情報。本当に鯨研の御用学者にインタビューした経験があるのかもしれませんが、聞いた内容もちゃんと理解できてなさそうですね・・。
 最後の一文がまたぶっ飛んでいます。儲かる、売れる部分はビジネスで、商業的価値がなく売れないもの(よりマズい部位?)は税金使って給食やPRイベントに回せ、ですってさ。それって逆効果なんじゃないですか?
 「伺っております」といった記述から、多少内野に近い外野という感じでしょうか。それにしても、見事な竜田揚げ脳の持ち主ですね。

(前略)• これから先、国民がクジラを必要としなくなれば、商業捕鯨の再開を目指す今回の基本方針の大義が消滅するばかりか、調査捕鯨に国費を投入すること自体、国民の理解が得られなくなります(業界内でさえ南鯨無用の声があります)。(中略)
『鯨肉をもっと身近に!』クジラに関するイベントはいつも大盛況です。でも、参加者はいつも同じ顔ぶれのようにも感じます。駆けつける関係者の方々には敬服しますが、誰もが気軽に参加でき、「みんなが笑顔になれる」イベントの開催を望みます。
『鯨食伝道師の育成を!』「おさかなマイスター」や「お魚かたりべ」などに倣い、クジラとその文化を熱く語れる人材を育て、「鯨食応援団」をつくりましょう。
私たちの料理教室に参加した、鮮魚店で働く青年は「やはり自分たちが食材を知らないと売れて行かない」と感想をもらしていました。
『情報発信拠点を!』国民の多くが「捕鯨は国際法に違反しているのではないか」と疑念を抱いています。捕鯨の正当性を訴え、「鯨食は健康的でカッコいい」というイメージを広めるため〜アンテナショップのような情報発信の基地がぜひ必要です。
いま需要を喚起する手を打たなければ、クジラは近い将来、「未利用」になってしまうかも・・。私たちはそんな思いから、魚食普及活動の中にクジラを取り入れました。今回の基本方針が商業捕鯨の再開を意図するのであれば、その消費の復活に向けた相応の施策があって然るべき、と私たちは思料します。(引用〜意見43)

・頂いた御意見は、今後、具体的な施策を実施する上で参考にさせていただきます。(引用〜同水産庁回答)

 イベントを主催している旨の発言その他から、おそらく御用業界団体WF○ですね。
 大変興味深い発言が3つ。

でも、参加者はいつも同じ顔ぶれのようにも感じます。

 やっぱりね!!! 

国民の多くが「捕鯨は国際法に違反しているのではないか」と疑念を抱いています。

 よ〜くおわかりで。そりゃそうでしょう。事実4年前まで違反していましたし、現在も違反している疑いが濃厚です。日本政府は国際裁判での決着から逃げたんだから、いくら情報発信したところで国民の疑念は解けやしませんよ。ましてや「健康的でカッコいい」から違法行為に目をつぶっていいなんて、日本人のモラルを見下しすぎてるんじゃないの??
 水産庁の担当者さん、関係者も「国民の多くが『捕鯨は国際法に違反しているのではないか』と疑念を抱いています」と吐露してますよ。「具体的な」とある以外、一般の意見に対する返答と同じなのは、触れずにすませたかったから・・に違いありませんよね!? でも、聞かなかったフリはいけませんな。

>クジラは近い将来、「未利用」になってしまうかも・・。

 近い将来も遠い将来もクジラは魚にはなりません。あんたバカ??
 日本の魚食業界の現状、非持続的利用による資源枯渇の一方で混獲した未利用魚を大量に廃棄している命の無駄にもっと国民の目を向けるよう、NGOとしてまともな活動をしてください・・。

(前略)一般に販売される副産物については、販売価格の高値により消費者離れが生ずることがないよう需要に即した適切な価格が形成されること(後略)(引用〜意見44)
(前略)一般販売枠については、販売価格の上昇により消費者離れが生ずることがないよう需要に即した適切な価格を形成すること(後略)(引用〜意見45)

・御意見として承りました。副産物についての御意見は、今後、具体的な施策を実施する上で参考にさせていただきます。(引用〜同水産庁回答)

 ほぼコピペ文でお二人とも同じ業界関係者とわかります。問題は、生産を無視していること。そして、市場原理ではなく、コストを度外視し、国が税金を投入して価格を維持しろと臆面もなく主張していること。そりゃ、コストを一切考えずに税金で売価を下げられれば、どんな食材だろうとそれなりに需要は生まれるでしょうけどね・・。
 国からはろくに支援を受けられないまま、需要減退や安価な輸入品との対抗、後継者不足など社会的・経済的要因で悪戦苦闘している数々の伝統食品関連業界の皆さん、わかりますか? これが、永田町と癒着した鯨食関連業界の「自分たちは特別なんだ」「他の伝統食とは別格の聖食なんだ」との自負。あまりにも傲慢すぎると思いませんか??

(前略)欧州の空港では機関銃を持って警備している所も少なくなく、危険と感じれば警備員が発砲出来る、攻撃をすれば返り討ちに合う可能性がある文化で過ごしてきた人達にとって、何をやっても命の心配のない警告などは蚊に刺された様なものとしか感じないと思います。(中略)
日本の考え方、対応の仕方が、必ずしも有効とは限らないので船を体当たりする様な者達には、テロの対処と同じ対応をしていく必要があると痛切に感じています。
日本政府の調査機関が攻撃されることは、日本が攻撃される事と同じなので攻撃されない様な装備、テロ攻撃を鎮圧できる武力の携帯、装備、自衛艦の同行なども、必要かと思われます。(後略)(引用〜意見46)

・妨害行為の対応については、本基本方針に基づき、関係省庁が連携して必要な措置を講じてまいります。(引用〜同水産庁回答)

 英国在住時代に議論してこじれたタイプみたい・・。「いつ機関銃が火を噴くんですか?」発言の石川氏ではありませんが、人の命を驚くほど軽視しているのも強硬な反反捕鯨の特徴といえるでしょう。
 空港警備は現実のテロの発生事案の有無で対応が異なるのは当然のことで、テロ対策は先進国で連携・協調して行っていること。また、日本でも警察官・自衛隊員・海上保安庁職員はいずれもシチュエーションに応じて銃を携行・発砲する許可が与えられています。
 この意見者にとっては「一部の海外の人達による捕鯨や鯨肉を食べる事に対しての嫌がらせ」が、いつのまにか銃武装したテロ組織によるテロ行為と同格になってしまっているのですね。
 SSCS(シーシェパード)は確かに過去に過激な実力行使を行ってきましたが、そうしたスタイルは日本の調査捕鯨がICJで違法判決を受けるかなり前までの話。当時も手製の酪酸瓶を投げるくらいで、銃火器で攻撃してきたという事実はなく、一方の日本側も多額の税金を投じて設置した放水砲や音響兵器LRADで応戦しています。また、過去にフランスの諜報機関の攻撃に遭いスタッフが死亡した国家テロの被害者でもあるGP(グリーンピース)に対しては、日本側から船をぶつけてきたという指摘もあります(GP側は泣き寝入りを迫られましたが)。
 さらに言えば、反捕鯨団体の妨害による死亡等の重篤な人的被害はありませんが、日本の調査捕鯨事業においては火災・転落・重機事故等での死亡事故が何例も起こっています。
 前段の引用部分はとてつもない飛躍。「西洋は『攻撃をすれば返り討ちに合う可能性がある文化』だが日本はそうではない」なんて聞いたら、テロを憂慮しつつも銃規制強化に賛成している人も決して少なくない、平和的な大多数の欧米の市民の皆さんは、きっと目を丸くされることでしょう。さらに驚くべきは、そうした日本とは異なる西洋の文化(?)はどんどん受け入れろと主張しているように見える点。何かと言うとすぐ銃に頼る真似をしない平和を愛する日本の文化(?)はさっさと捨ててしまえと。捕鯨と鯨食は比較にならないほど重要な文化だと思われている模様。こうした人物が増えていった暁には、日本は米国と遜色ない銃社会に変貌してしまいそうです。また、引用下段から察するに、この人物はきっと核武装論者なのでしょう。
 しかし、水産庁の回答からは、「命の心配のない警告」から本格的な武力行使への移行を検討している節もうかがえます。過去の戦争の苦い経験を踏まえ、何より平和を愛する国に生まれ変わったハズの日本のイメージを、水産庁は覆すつもりなのでしょうか?

(前略)関係行政機関の相互に情報共有、調査実施主体への情報提供、監視船の派遣程度では妨害行為防止への効果は期待できない。もっと妨害を受ける当事者として積極的行動を伴う防止策の策定が必要である。巡視船若しくは自衛艦派遣などより実効性の高い方針とすべし。(中略)
何れにしても調査実施主体と副産物販売主が同一では要らぬ誤解を生じさせ、海外からの批判に結びつきやすいため早急に改善すべし。(引用〜意見48)

・妨害行為の対応については、本基本方針に基づき、関係省庁が連携して必要な措置を講じてまいります。
・副産物についての御意見は、今後の具体的な施策の実施する上で参考にさせていただきます。(引用〜同水産庁回答)

 こちらもやはり外野の方ですね。46と共通しているのは、明らかに公海捕鯨を国の威信がかかった事業だとみなしている点
 要するに、本来であれば外目を気にする必要などまったくないアイデンティティにまつわる伝統文化ではないのです。食文化でいえば、そっちに対応するのはヒトデ食やフナムシ食の話。対する公海捕鯨は、欧米と相対化されることで初めて自覚される、国威を内外に示すための示威行動なのです。伝統は伝統でも、むしろ靖国神社の例大祭などに近いと言えるでしょう。歴史の浅さも含め。
 下段の意見に対し、水産庁は「参考に」と答えていますが、実は鯨研の債務超過団体転落を防ぐ対処として、共同船舶との一体化が進められてきました。事実上、鯨研と共同船舶は表の看板が違うだけで中身は一心同体。住所も同じですし。捕鯨協会も同じビルに入ってます。つまり、現状では誤解をますます生じさせる方向へと進んできたわけです。沿岸捕鯨も捕鯨事業者の業界団体が直接仕切る形に。
 調査捕鯨の公営化(水研機構にやらせる等)については以前から議論もありましたし、水産庁は「参考に」と回答していますが、はたして本気で移行する気があるかどうか。
 続いて、駆け込みと見られる賛成意見2つ。

(前略)・商業捕鯨再開・鯨類科学調査において、関係当事者の自助努力は当然として、「世論の支持」がなければ、安定的かつ継続的に実施することは困難であります。(後略)(引用〜意見54)

・御照会のとおりと考えます。(引用〜同水産庁回答)

 43、44の要求「需要に即した適切な価格を形成」からも自助努力の放棄は一目瞭然。共同船舶/捕鯨協会と永田町族議員の要求がエスカレートした結果、注ぎ込まれる税金がますます膨れ上がっているのが実情なのに。
 同様に、WF○曰く「国民の多くが『捕鯨は国際法に違反しているのではないか』と疑念を抱いて」おり、「世論の支持」を受けているとは到底言えないのが実情ですが、黒(違法)を白(合法)と言い換える基本方針を策定すれば世論の支持が得られると、水産庁は本当に考えているのでしょうか?

(前略)我が国は科学的根拠に基づく調査捕鯨により鯨類の資源量の確定や適正捕獲数を算出し、商業捕鯨の再開をIWCに求めているにもかかわらず、いまだに賛意を得ていない。しかしこの先IWC参加国の理解を得、商業捕鯨を再開するためには、どこからも異議を唱えられない科学的根拠に基づいて議論していかなくてはならない。。(後略)(引用〜意見55)

・基本方針に対する御意見として承りました。今後の施策の参考とさせていただきます。(引用〜同水産庁回答)

 最後の意見、これも一般ですね。意見40とそれに対する回答に再度注目。水産庁は「基本的に政治的対立はIWCでの交渉や外交的努力により解決されるものであるため」と明記し、意見者の大きな誤解を解くべきでした。担当者がもう疲れちったのかもしれませんが・・。
 55通のうちには含まれませんが、PDFの最後に添付されているもう1つの施行規則案パブコメへの意見に対する回答が非常に興味深いので、こちらもご紹介。

(7)鯨類科学調査のために捕獲した鯨類の調査終了後における利用に関する基本的事項につきコメントです。商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査において、現在行われている国費によって捕獲された鯨肉の販売について下記の問題があると考える。鯨類捕獲調査の本質的問題は今後訪れるであろう世界規模でのタンパク質確保の問題等に捕鯨の有効性について説得力のある説明結果を出せていないことでないか?今後は資源保護のための捕鯨に舵を切り替えるべきである。食物連鎖を含めた海洋水産資源の持続的なバランスをとりながら、つまり鯨を間引きしながら、その他の資源量を増やしていき人類がそれを利用して行く海洋資源管理システムの構築を多くの水産関係者と共に構築すべきと考えます。そのうえで間引いた鯨の有効活用として、鯨食および鯨商品の消費拡大が前提とあると考えるが、消費拡大に寄与しない下記問題としてあげた副産物利用が現在進められていると考える。
問題1:調査副産物鯨肉の安値販売による民業圧迫国民の税金と法整備により、潰れない会社である調査主体の一つである共同船舶の子会社である共同販売が、その特殊な地位を利用して、過度な安値販売を特定の業者に行っていると顧客から聞いている。購買力のある特定の業者に基準なく安価に販売し、その他零細鯨加工会社の経営を圧迫することは、調査副産物の性質上許されるのか。外国において商業捕鯨を行い、その鯨肉を輸入販売する業者からしてみれば、民間であれば成り立たないような価格で販売されては、公正な競争ができない。将来の商業捕鯨再開を目途につけるのであれば、捕鯨にともなうコストに基づいた商業的に成り立つ価格で販売すべきではないか。無軌道に価格を下げるのであれば、むしろ給食などの公益用に国産品は振り向けるべきだ。
問題2:製品販売による民業圧迫 公金で営まれている会社が、ここ数年において原料の公正なる販売をしないばかりか商品開発を行い製品販売を積極化しているのは問題である。マーケットにない新規商品であればまだしも、民間各社が製造販売する同じ商品を圧倒的に有利な立場(政府をバックとした信用)と価格で販売することは、マーケット拡大に全く寄与しない対応であり明らか民業を圧迫している。
問題3:調査副産物販売方法における透明性の欠如 現状の一社独占による販売方法は公共事業の入札などと異なり、全く透明性がないように思われる。副産物販売が一社独占である上に、実際の販売価格が不明瞭なために、新規に参入することができない。顧客ごとに実際の販売価格が異なっているのだろうが、その基準が不明瞭なため、副産物の販売会社に過度な権限が集中している。販社に嫌われた業者は冷や飯を食わされているのが現状とみている。(引用〜意見PDF末頁)

・御意見として承りました。副産物についての御意見は、今後、具体的な施策を実施する上で参考とさせていただきます。(引用〜同水産庁回答)

 前半の食糧安全保障論は無理筋なのですが(上掲拙解説リンク参照)、強調部分にご注目。
 いやあ、非常に興味深いですねえ。こちらは流通関係者(輸入鯨肉も扱っている)と見て間違いないでしょう。
 実は、捕鯨サークルは「儲かる漁業」補助金の特例、その名もクジラ改善プロジェクト(KKP)の審査を受ける過程で、いわゆる中抜きによってコストダウンを図るよう指示された経緯があります。自助努力もなしに永田町とつるんでウハウハなのは、捕鯨サークルの中核だけ。周辺事業者は都合が悪くなれば切って捨てられる世界なのです。
 同意見はまさに共同船舶の自己中体質、日本の捕鯨の闇の部分が手に取るようにわかる内容です。
 そして、WF○の正直な意見と同様、水産庁としてははぐらかすのが関の山だったこともわかります。

 次に、唯一の中立意見。

今回の方針の目的として、「商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査」とある中で、調査を「安定的かつ継続的に実施」するという部分に若干の違和感をもちました。実際に商業捕鯨を再開する見込みがないのか、もしくは再開した場合にはこの法律はどのように扱われることになるのでしょうか。過去の商業捕鯨による乱獲という事実を鑑みれば、資源状態を維持しながらの捕鯨が求められると思いますが、商業捕鯨が再開された暁には、同法律をもって、現状把握のための科学的調査等が継続されるのでしょうか。もしくは、同法律は廃止となるのでしょうか。商業捕鯨の実施という目的が達成されたときのことにも少し言及されてもいいのではないかと思いました。(引用〜意見49)

・商業捕鯨の再開を目指し、必要な科学的情報を得るための鯨類科学調査を行っているところですので、再開後については、今後の参考とさせていただきます。(引用〜同水産庁回答)

 この方、外野ながら割と事情通かもしれませんね。
 「違和感」という言葉からは、「再開と言いつつ調査捕鯨をズルズル続けるのではないか」との疑念が見て取れます。再開したら一体調査捕鯨はどうなるのか、ノーテンキで単細胞の捕鯨賛成派には思いつかない指摘。この調査捕鯨の致命的な矛盾については、前回の記事と合わせ、以下の過去記事で詳細に解説しています。

■調査捕鯨は不必要or商業捕鯨は不可能/コスト意識ゼロのたかり企業共同船舶
http://kkneko.sblo.jp/article/54058582.html

 水産庁の回答からは、彼らが「何も考えてない」ことがバレバレ。まあ、天下った後のことなんて知ったこっちゃないですもんね。

 最後に、基本方針案に対する反対意見4つをご紹介。

調査といっても実際には商業捕鯨と変わりなく、クジラ肉も余っているし、その冷凍保存にも多額な税金を投入しての無駄遣いでしかないので、やめてほしいです。(引用〜意見50)

捕鯨政策全般への御意見として承ります。鯨類科学調査は、商業捕鯨の再開に必要な科学的情報を得るために実施しておりますので、御理解をお願いいたします。(引用〜同水産庁回答)

 わざわざ労を割いて大多数の国民の意見を代弁してくれた方に深く感謝したいと思います。パブコメ送るのだって決して楽なことじゃありませんからね。
 水産庁はここでもまた矛盾した回答を寄せています。担当者が自分で白状したとおり、商業捕鯨の再開に必要なのは「政治的対立」を解消するための「IWCでの交渉や外交的努力」であり、調査捕鯨はまったく役に立ちません。「ご理解をお願いします」の一言で納得すると考えること自体、あまりに国民をバカにしています。

基本としては、捕鯨以外の形で調査を行うべきであると考えるのであるが、どうであろうか。
調査を行うために対象を殺さなければならない、というのは、どうも理性的に考えて解しかねる。
であるので、調査捕鯨にはあまり賛成の立場を取れない。
日本政府(の一部)は、エゴを抑え、基本としては専ら対象を殺さなくても行えるような調査を行っていく事とし、非理性的・残虐等の非難を行われないようにしていただきたいと考える。
確かに鯨等は大型哺乳類であり知能も高いのである。またシロナガスクジラ・ナガスクジラ(まだナガスクジラを獲っている事には国民として眩暈がしそうである。)などは希少であり獲るべきではないのである。であるので、方針として、捕鯨を行わないようにしていっていただきたい。(数が多いミンククジラについては例外扱いしても良いが、IUCN Red ListでLC(Least Concern)以外となっているものは獲らないのが適切であるはずである。(上記ナガスクジラの様に日本はLC以外も獲っているのであるが…。))
意見は以上であるが、捕鯨に関して言うと、非理性的な部分を故意に持とうとしないようにしていただきたいと考える。
IUCN Red ListでのLC以外のものは保護を行うべきであるので、殺さない形での調査のみを行うようにしていただきたい。
要約すると、IUCN Red ListでLCとなっているものについては可と考えるが、それ以外は調査捕鯨を停止されたい。(引用〜意見53)

・我が国としては、鯨類について他の水産資源と同様に、科学的根拠に基づき持続的な形・伝統的な食文化を含む鯨類に係る文化等の多様性は尊重されるべきものであり、そのために必要な商業捕鯨の再開を目指し、鯨類科学調査を実施いたします。また、鯨類の利用は、我が国の文化に根ざすものであり、文化の多様性の観点から、尊重されるべきであると考えています。
・我が国は、現在ナガスクジラは捕獲しておりませんが、科学的根拠に基づき、資源が健全な鯨種・系群については、持続的に利用していくべきと考えております。(引用〜同水産庁回答)

 こちらはある程度野生動物問題に詳しい動物好きの方ですね。
 ナガスクジラは違法認定されるつい4年前まで実施されていたJARPAUでは捕獲対象とされていましたし、現在もCITESで留保しアイスランドから輸入しているのが事実。
 いずれにしても、この回答から水産庁はナガスクジラも獲る気満々だとわかります。日経報道でも伝えられるとおり。
 IUCNレッドリストへの掲載にはもちろん明白な科学的根拠がありますが、水産庁はそれを否定しているわけです。クジラであれ魚であれ、資源を不健全な枯渇状態にまで追いやり、現在もなお非持続的な利用をやめられないほど日本の漁業を駄目にしてしまった当事者が口にしていい台詞じゃありませんね。

<意見1>
1 制定の背景
これまでの経緯から、かつて共同捕鯨を構成してきた大手水産会社3社が、採算の合わない公海における捕鯨への今後の参入を否定しており、政府補助金なしには不可能な事業になっている。クジラは日本も加盟している国連海洋法条約の前文にあるように「人類共有財産」であり、利用したいのであれば国際的な合意が必要である。可能性があるのは小型沿岸捕鯨だが、これまで、再開するために調査捕鯨の実施が役立ったという事実はない(むしろ邪魔をしてきた)。商業捕鯨の実施と調査捕鯨は相反するもので、法律そのものが矛盾を抱えている。‘鯨類調査’と名打つなら、非致死的調査の実施と成果を、国際的な合意形成に生かすべき。
<意見2>
昨年成立した法の矛盾に加え、今回の方針は、国の方針というよりも、全体的に捕鯨推進のプロパガンダ。将来に禍根を残さないためにも、異なる意見や、国際的な動向を示しつつ客観性を心がけ、市民が間違った解釈をするのを避けるべき。政府が継続を支援し、経費を負担するのであれば、捕獲しなくても調査が可能。捕獲を前提とするのは一部利害関係者の利益授与。国の方針として国際的な基準に従い、非致死的調査を行い、国際的な信頼を回復することこそ将来展望につながる。
以下意見:
第一 意義に関する事項6行目「科学的根拠に基づき捕獲枠が管理されてきた」を→クジラを大きい順に取り尽くす結果となり、捕鯨の管理に失敗したのが事実。資源管理の不十分さによる鯨類の個体数の減少を根拠として規制が行われたことを明記すべき。
<意見3>
3p5行目「鯨種や系群による・・・一律に商業捕鯨を全面的に認めない」という文言は、文中の「不確実性による大型捕鯨類の商業捕鯨が一時的に停止」という文言に矛盾する。不必要な記述なので削除。
<意見4>
3p最後から3行目「その一方で・・・遅くとも1990年までに」→日本が捕獲しようとしているミンククジラの推定個体数はその時点では不明。実際に合意されたのは2012年で、日本の調査捕鯨(JARPA)の結果からは増えているか、減っているか変わらないか確かではないという2006年の評価会議の結果が出ている。
<意見5>
4p2行目「しかし、その後現在に至るまで、IWCにおける政治的対立が原因で」→改定管理方式のもとでの管理制度に関する合意が得られないことが原因
(捕獲枠に関しては、日本はこれまで南極で2千頭の捕獲枠があると主張してきた。また、2012年には、小型沿岸枠としてミンククジラ17頭を要求。枠の設定を前提で主張しているので「捕獲枠がない」という記述と矛盾。)
<意見6>
第二「一 鯨類の個体数、系群構造、年齢組成、性成熟情報その他 」
これらは非致死的調査で可能。これまで、IWC科学委員会、評価会議などで致死的調査の必然性が証明されていない。鯨類調査の内容を検討し直すべき。
<意見7>
「商業捕鯨を実施する際に適切な捕獲枠を含む管理方式を策定するため必要」→より多くの捕獲数を得るための調査は、現在は不必要。
「二 鯨類の食性・・」「三」
非致死的方法がすでに利用されており、それらの科学情報を得るためにクジラを殺す必要はない
<意見8>
第三 三「科学的な合理性に照らして・・捕獲を伴う調査と非致死的手法による調査とを」
「非致死的調査を前提とし、国際合意のもとで必要最小限の捕獲が可能であれば実施する」に変更
<意見9>
第五 妨害行為については、南極で致死的調査を行うことが「違法操業」と考えられていることを考慮し、合意形成に努めることで乗組員や抗議者の被る可能性のある危険性とかかる経費を回避できる。IWCで決議されたサンクチュアリにおける致死的調査の再考、ICJ判決、科学委員会の評価会議の勧告などをきちんと表記し、致死的な調査を実施しないことがまず必要。
<意見10>
第七「調査終了後における利用」について、二、三「鯨類にかかる伝統的な食文化」は、調査捕鯨を実施が必須条件ではない。むしろ、「食べるために調査の名を借りている」という指摘を強めるので削除すべき。科学調査の正当性を訴えるなら、食文化の部分を分け、どうしても必要と思っている人たちへの配慮のためにも混同させないことが重要。(引用〜意見52)

・本基本方針は平成29年6月23日に成立した「商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律」に基づき定められるものです。
・鯨類科学調査は、商業捕鯨再開に必要な科学的情報を得るために実施しています。
・我が国が実施してきた調査により、いくつかの鯨種や系群では、持続的な商業捕鯨が可能な資源状況にあることが分かっています。
・遅くとも1990年までに見直されることとなっていたモラトリアムは、南極海のミンククジラ等の個体数についてIWC科学会で合意された後も、依然として見直されていません。
・IWCが資源管理機関として機能していないのは、捕鯨を巡る持続的利用支持国と反捕鯨国の根本的な対立に起因していると考えています。(引用〜同水産庁回答)

 こちらは事情通の方。あえて全文引用させていただきました。
 水産庁の回答は4つ。10の意見として基本方針の中で具体的に問題のある箇所とその修正案が述べられてあるのに対し、まったく回答の体をなしていません。きわめて不誠実な対応です。
 1段目の回答は、そもそも立法府が決めた法律に従ってるから「パブコメなんて無視するよ」という宣言に等しいもの。クロマグロパブコメ同様、とことん国民をなめています。
 回答2段目は、上掲で何度も指摘したとおり事実に反していますが、当の回答の4段目、5段目とも矛盾するもの。
 回答3段目、過去に非持続的な乱獲を行い、現在も非持続的な水産業をやめられずにいる日本が主張しても説得力を持ちません。チンパンジーもオオハクチョウも個体数の桁はクロミンククジラと同じ、キタオットセイやミナミイワトビペンギン、カニクイアザラシははるかに多い生息数。しかし、いずれもIUCNのレッドリストで絶滅危惧種として扱われたり、絶滅危惧ではなくともオオハクチョウは日本の国内法や国際条約(日本は未加盟)で、カニクイアザラシは国際条約で手厚く保護されています。いくら個体数についての合意があっても、レッドリストの判定基準となる一定期間における大幅減少と気候変動や重金属汚染に対する脆弱性についての考慮なしに、そして捕獲統計の報告の信憑性を大きく揺るがした悪質な規制違反や密輸・密漁に対する効果的な管理方策の国際合意なしに、モラトリアムの解除などできるはずもありません。そもそも、国際約束のモラトリアムの見直しイコール解除ですらないのですが。
 まあ、いずれにしても、「分かっている」ならもう調査捕鯨の必要はないはず
 <意見4>および<意見5>に対する4段目・5段目の回答がとことんふざけています。「少なくとも1990年の時点では検討できなかった(日本もそれを要求する術がなかった)」のが事実であり、その事実に反する記述があるため、修正すべきだというのが意見の内容。基本方針の記述の具体的な誤りを指摘しているのにもかかわらず、水産庁は事実を認識しながら修正する作業を拒否しているわけです。2006年以降も見直されていないのは、<意見5>に示されているとおり、改訂管理体制(RMS)での合意が成立していないためですが、こちらは全スルー。

 商業捕鯨再開にRMSの合意が必要かについては口チャックだよ。
 商業捕鯨再開できないのは政治的対立のせいだから、基本的にIWCでの交渉や外交的努力がなきゃ解決できないのはわかってるんだよね。だけど、基本方針にそのことは書かないよ。なぜ書かないかは口チャックだよ。
 商業捕鯨再開にはともかく調査捕鯨が必要!!! だけど、本当は根本的な対立が解消されない限り再開なんて出来やしないんだよ。基本方針には書かないけどね。

 これが水産庁の態度というわけです。今回のパブコメをやってくれたおかげで、日本の捕鯨政策の支離滅裂ぶりが改めて浮き彫りになったといっていいでしょう。
 最後の最後、52番が拙意見。内容はリンク上掲。
 で、水産庁の回答がこちら。

・御意見として承りました。我が国としては、鯨類について他の水産資源と同様に、科学的根拠に基づき持続的な形で利用すべきと考えています。また、鯨類の利用は、我が国の文化に根ざすものであり、文化の多様性の観点から、尊重されるべきであると考えています。
・また本基本方針は、平成29年6月23日に成立した「商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律」に基づき定められるものです。(引用〜同水産庁回答)

 筆者はクジラに限らず野生動物保護・動物福祉関連の農水省・環境省あるいは自治体主催のパブコメに多数意見を提出しており、一部を拙HPにて公開しております。
 行徳野鳥観察舎の件では、森田知事の千葉県に要約にすら含められず完全に無視されてしまったため、郵送で送った拙意見にわざわざ別紙のPDFファイルまで用意してくれた水産庁さんの方がまだ真摯に対応していただけたといえるんですけどね。おそらく拙HPからコピペされたんだと思いますが。まあ、クロマグロの担当者よりよっぽど楽な仕事だったでしょうけど。。
 とはいえ、上掲の回答は他のいくつかの意見へのそれと同じ内容をコピペしただけ。真摯と言うには程遠いものだったと言わざるをえません。
 「事実に反したり、重大な誤解を招く記述が多数含まれており、また、国民の多様な意見が反映されていないため、当該方針の発表は見送るべきである」という要約意見は、筆者個人のみではなく約1,000人のツイッターフォロワーさん(捕鯨そのものに反対ではない方々を含む)の意見を代弁するものだと、筆者は思っています。
 筆者は当の意見中で「日本における鯨類と他の水産資源の扱いが別格であること」「他の水産資源すら必ずしも利用されていないか、非持続的な形で利用されていること」、「文化の多様性を口実にすることの矛盾」を具体的な事例や根拠を挙げてはっきり説明しているのですが・・
 さて、皆さんは上掲の水産庁の回答が筆者の意見に対する「答えになっている」と思われますか??
 何より、「事実に反したり、重大な誤解を招く記述が多数含まれており」という筆者の指摘(具体的事例を含む)に対し、水産庁は何の回答も提示しませんでした。
 本来ならば、「基本方針案に事実に反する部分はないと考えます」「(これこれの理由から)誤解を招く恐れはないと考えます」というのが模範的回答のはず。担当者はそれをせずに沈黙したのです。
 あえて挙げるなら、回答の下段、「法律に基づいているから」つまり「国会議員が決めたことだから」ということになるでしょうか。
 パブコメの回答を担当した水産官僚が、美化した偽の日本捕鯨史を真に受ける歴史修正主義者のタイプであれば、「事実に反したりしてないぞ!」と模範回答を寄越していたでしょう。それをしなかったということは、あるいはひょっとしたら、ほんのちょびっとは良心の呵責が働いたのかもしれません。
 けれど、「親(永田町)が白といえば黒いものでも白という」タイプには該当しそうですね。官邸・自民党の前にひれ伏すばっかりですっかり卑屈になってしまった昨今の霞ヶ関事情を考えれば、まあ仕方がないのでしょうが。
 
 日本政府は今回、悪質な乱獲と規制違反を犯し続けてきた日本の重大な責任をなかったことにし、殊更に美化する調査捕鯨政策の基本方針を、国民からの批判に一切耳を貸すことなく、強引に押し通してしまいました。その姿は、やはり戦前の軍国主義の日本を彷彿とさせます。
 同方針の策的に関わった水産官僚も、それを命じた永田町の国会議員たちも、平然と事実を捻じ曲げる歴史捏造主義者の謗りはもはや免れません。
 以下は若手の自民党捕鯨族議員、山下雄平氏(参院佐賀)のFBコメント。


鯨肉の高騰により日本の食卓でのクジラ離れが進んでいます。
調査捕鯨の妨害などにより目標の頭数が確保できなかったことは、科学的な調査にとってマイナスだけでなく、鯨肉を売って調査捕鯨の費用を工面するという仕組みにも多大な影響を与えています。
そして何より鯨肉の価格が高くなってしまって、日本人からクジラの文化がどんどん遠のいてしまっています。
世界には、カンガルーを食べる国もあれば、キツネ狩りをする国もあり、サルを食べる国もあります。
各個々人がそれをどう思うか、他国がどう感じるかはいろいろあるかもしれませんが、国の文化に他国が介入するというのは是認できません。
日本人の中からクジラなんか獲らなくていいという声を上げさせることが他国の狙いなのかもしれませんね。
だからこそ、商業捕鯨の再開に真正面から取り組みたいと思います。(引用)

 過大な枠設定の果てに財政的苦境に陥ったが故のJARPAU末期の自発的減産=A違法判決後のNEWREP-Aの自発的減産=i妨害なし)、「調査捕鯨の費用を工面する仕組み」を変えて湯水の如く税金を投入することを決めた族議員主導の美味い刺身*@制定等、一連の経緯をまるで理解していないことがモロバレ。一般の捕鯨問題ウォッチャー(賛否問わず)に比べても相当に無知。まったく、担当官僚は一体何をやっているんでしょうね。
 「国の文化に他国が介入」とは、近代以降のアイヌや沖縄、あるいは戦前のアジア諸国に対する日本の振る舞いを省みずに口にしていいことではありませんが、南半球の殺さない文化に介入しているのは間違いなく日本の方なのです日本はシカを食べ、イノシシを食べ、サルやキツネは食べずとも大量に殺し(原則保護対象でありながら)、野生動物ではないイヌやネコも食べずとも大量に殺している国です。そのことにケチをつける国は存在しません。しかし、日本に渡ってくるハクチョウやツルを科学調査の名目で大量に殺す国もまた、どこにも存在しません。日本がオーストラリアやニュージーランドのサンクチュアリ内で強行している調査捕鯨はそれとまったく一緒なのです。繰り返しますが、南半球の殺さない文化に介入しているのは間違いなく日本の方なのです。国境を越えて移動する鯨類は国際法でも定められた世界共有の財産=Bもはや一国が独善的に扱っていい対象ではないのに。
 「日本人の中からクジラなんか獲らなくていいという声を上げさせることが他国の狙い」とはまたすさまじいトンデモ陰謀論もあったものですが・・国の方針に対して異を唱えるだけでスパイ・非国民扱いするかのような言い草には背筋が寒くなります。しかもたかがクジラ≠ナ、ですよ?
 IWC・加盟各国にしてみれば、日本政府が国民の意見にすら耳を貸さず、史実を偽り嘘で塗り固めたデタラメな基本方針をこうして押し通してしまったこと自体、「モラトリアム解除など言語道断」と判断するに必要十分な材料となるでしょう。
posted by カメクジラネコ at 12:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系