2017年07月04日

種子法廃止と捕鯨新法──美味い刺身≠ナ国民の目を欺く売国国会議員たち

■種子法廃止で日本農業ピンチ! 外国企業による“種子支配”の恐怖 (6/23, AERAdot.)
https://dot.asahi.com/wa/2017062100047.html
■来年4月に種子法廃止の波紋 生産者と消費者連携「日本の種子を守る会」設立へ (6/26, 東京)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2017062602000140.html
■【種子法廃止】種子の自給は農民の自立|JAcom
http://www.jacom.or.jp/nousei/closeup/2017/170330-32373.php
■タネが危ない!わたしたちは「子孫を残せない野菜」を食べている。〜野口のタネ店主 野口勲さん|NEXT WISDOM FOUNDATION
http://nextwisdom.org/article/1156/

https://twitter.com/uchidashoko/status/877181437337714689
安倍首相は昨日の会見で「今後とも私がドリルの刃となってあらゆる岩盤規制を打ち破っていく」と述べた。国家戦略特区や、各種の規制改革のことを指しているが、今国会で種子法廃止や農協改革関連法案など、保護・育成すべきものを壊していった。ドリルの刃は明らかに国民の暮らしに向けられている。(引用)
(アジア太平洋資料センター事務局長・内田聖子氏)

https://twitter.com/sayakafc/status/878500805321641984
知ってました?TPPナシになったのに、日本は突然種子法を廃案にした事。タネを守ることは食と農、生物多様性を守るだけでなく、経済的独立に直結。遺伝子組み換え企業と組んだ政府により自家採取等を禁じる法律が世界を席巻。日本にも。(引用)
(国際関係学博士・船田クラーセンさやか氏)

 安倍首相の森友&加計スキャンダルと共謀罪法案をめぐるすったもんだにフォーカスした先の通常国会。その影で、国民が内情をほとんど知らされないまま、政治的な重みを帯びた法律が新たに制定され、あるいは廃止・改正されました。
 新法のひとつが、前々回からお伝えしている調査捕鯨新法美味い刺身*@
 そして、後者が主要農作物種子法(種子法)の廃止と水道法の改正。
 このうち種子法廃止は、まさに日本の食文化・食糧安全保障に直結する話です。
 詳細は上掲リンクをご参照。
 特に一番上のAERAドットの記事は必読。国・官僚・国会議員らのベクトルが美味い刺身*@と180度異なることに、筆者は驚きを禁じ得ません。
 「反捕鯨のバックには米国の牛肉産業がついている」というトンデモ陰謀論は反反捕鯨界隈がしょっちゅう言い触らしていますが、こちらは具体的な根拠や合理性の欠片もないガセネタ。ま、「米国の圧力から国内の畜産業を守るために捕鯨推進が必要だ」と本気で考えている畜産関係者が一人でもいるはずありませんしね・・。
 それに対し、種子法廃止の背景はきわめてストレート。上掲船田氏の指摘どおり、米国トランプ政権がTPPを蹴ったにもかかわらず、なぜ国内法をわざわざ廃止しなければならないのか、国が生産者・国民に対して丁寧な説明責任を果たしているとは到底言えません。自由貿易推進の旗印のもと、官僚と政治家が経済界とタッグを組んで、多国籍種子メジャーに日本の農業を売り渡そうと前のめりになった結果が、この種子法廃止の動きではないのか──。当事者たるJA・日本の農業関係者が将来への不安を掻き立てられるのも無理はないでしょう。
 美味い刺身*@の問題点については、前2回の過去記事及びプレゼン資料をご参照。

■美味い刺身*@は廃止を!

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 さて、種子法廃止によって法の裏付けを失ってしまった生産者・消費者・研究者の危惧の声を、族議員・天下り官僚と一蓮托生で新たな法の裏付けを得た捕鯨サークル関係者は一体どう受け止めているのでしょうか? 「自分たちは聖域だから関係ない」という姿勢なのでしょうか?

捕鯨新法成立しました(泣)
13日参農水委、14日参本会議、15日衆農水委、16日衆本会議と連日国会議事堂に通い続け、貴重な瞬間に出会うことが出来ました。国会議員、議員秘書、国会職員の方々にただただ感謝の気持ちでいっぱいです。
法の名に恥じないようこれからも頑張ります。(引用)
(共同船舶社員・吉村清和氏)

 毎年永田町向けに鯨肉パーティーを用意し、強固なリレーションを構築してきた共同船舶/日本捕鯨協会の自慢げなアピールの声を、全国の農業者の皆さんはどう受け止めているのでしょうか? 有力議員とツーカーの間柄の「食文化を守る会」ほか水産官僚の天下り先と重なる水産系外郭団体の圧倒的な政治力。片や、生産量・消費量/生産者・消費者の数では比較にならないほど多いにも関わらず、政治家・官僚に背を向けられてしまった「日本の種子を守る会」。この2つのギャップを一体どう受け止めればいいのでしょう?
 ある意味筆者には、全国の一次産業従事者(捕鯨以外)と共同船舶の関係が、全国の獣医師・獣医教育界と加計学園の関係ともダブって見えます。
 アエラ記事上の「あまりにも急で、知らない間に決められた」(引用)との農業関係者の声以上に、国民が瞬きする間もなく超特急で可決されてしまった美味い刺身*@ですが、参院委員会質疑の山本議員によるわずか10分の質問によって、日本の鯨肉食が戦後の一時期に急拡大したにすぎず、「全国区の食文化」とはいえないことが改めて示されました。さらに、文化庁も答弁の中で「今日の捕鯨が日本の伝統ではない」という国の立場を明示しました。

 さて、皆さんは、日本にとってより大切な食文化で、国家の食糧安全保障にとってより重要で、法によって守られるべきなのは、「種子」と「南極産鯨肉」のどちらだと思いますか?
 上のツイートで投票やってますので、皆さんもぜひ1票を。

 SNS上で永田町と庶民の感覚のどちらが支持されるかは結果を待つことにして、前者から事実上の聖域扱いを受けている捕鯨/鯨肉食の裏側について、再度確認しておきましょう。

 明治政府によって強制的に潰されたアイヌの捕鯨とは対照的に、日本(倭人)の捕鯨産業は伝統文化を伝統文化足らしめる最も大切な要素といえる持続性を備えていませんでした。「余禄」としての位置づけ、短期的に莫大な利益を上げる商業性および権力との癒着が、伝統文化とは相容れない収奪的性格をもたらしたのです。乱獲と規制違反・密漁・密輸にまみれた無節操さこそが、伝統という言葉から来る奥ゆかしいイメージとは程遠い日本の捕鯨産業の本質でした。鯨肉はそのビジネスとしての捕鯨産業によって提供され、実情を何も知らない消費者に無思慮に購入されていたただのにすぎません。

■日本の鯨肉食の歴史的変遷
http://www.kkneko.com/rekishi.htm
■哀しき虚飾の町・太地〜影≠フ部分も≪日本記憶遺産≫としてしっかり伝えよう!
http://kkneko.sblo.jp/article/175388681.html

 そして、仮に将来商業捕鯨が再開されたとしても、国民1人当たりの生産量は年間数十グラムどまり。政治・経済・環境上のコストを考えれば不合理の一語に尽きます。捕鯨推進政策は日本の食糧安全保障の足を引っ張るマイナスの効果しかもたらさないのです。

■鯨肉は食糧危機から人類を救う救世主?
http://kkneko.sblo.jp/article/174477580.html
■捕鯨は牛肉生産のオルタナティブになり得ない
http://www.kkneko.com/ushi.htm

 にもかかわらず……

   日本の食を支える米や野菜の種子 <<<<< 南極産鯨肉(美味い刺身

 驚くべきことに、これが国民を代表するはずの国会議員たちの出した結論だったのです。

 今国会で与党の自民・公明および維新の議員は、美味い刺身*@・種子法廃止双方に賛成することで、食の問題に対する矛盾に満ちた姿勢を露呈しました。建前のダブルスタンダード
 一方、種子法廃止には反対した民進党や共産党等の野党議員も、美味い刺身*@が共謀罪と同様の問題点を抱えていることや、日本の食文化庇護・食糧安全保障に何一つ寄与しないことなど、中身の議論を完全にすっ飛ばしてしまいました。こちらは立法手続のダブルスタンダード
 結局、美味い刺身*@と種子法廃止いずれにも反対票を投じ、本物の伝統と生物多様性保全を優先する一貫した態度を示してくれたのは、参議院のお2人の議員の方のみでした。

 2つの法律の扱われ方ほど大きな矛盾はないでしょう。それはまた、日本の国会がはたして立法府としてまともに機能しているのか、真剣に問わねばならないほどお粗末な様相を呈していることをも意味しています。
 天下り官僚と一心同体の特定業界の利権のために、連中の開く美味い刺身<pーティーにつられた永田町のセンセー方は、国民を騙す希代の悪法を通してしまいました。法案の中身がグダグダだったことも含め、彼らの資質も厳しく問われます。彼らは立法の専門家であって、決してパフォーマーではないはず。ましてや、グルメ好事家であっていいはずがありません。
 種子法は復活させ、バカげた美味い刺身*@は廃止させましょう! それこそが本当に日本の食を守る道です。
posted by カメクジラネコ at 19:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系