2017年06月15日

美味い刺身*@案は廃案に!

 先月から民進党族議員のSNS、水産紙報道等で浮上してきたその名も美味い刺身*@案(商業捕鯨等のための鯨類科学調査の実施に関する法案)。
 その中身は問題だらけ。国際法にも国内法にも反していたり、あるいは既存の法律でカバーできて新法を作る意味がなかったり。人権侵害や名目の嘘など共謀罪法案とも多くの共通点を抱えるうえ、その成立に野党を加担させるろくでもない代物。かてて加えて即日施行、遡って運用という、災害や犯罪、健康被害等から庶民を守る趣旨の法律でも滅多にない特典まで付けられた、まさに異例の法案。
 しかも、そんなデタラメな法案が、超党派で、超高速で国会通過が図られようとしているのです。よりによって共謀罪法案の審議ですったもんだしている今国会中に。

■商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律案
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DC492A.htm
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/193/meisai/m19307193106.htm
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/193/pdf/t071931061930.pdf
■2017/06/13 NGO共同声明:調査捕鯨に税金を投入し続けるための「商業捕鯨等のための鯨類科学調査の実施に関する法案」を廃案に!
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2017/pr20170613/
■’鯨類調査’法案
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-6e48.html
■調査捕鯨を安定的に継続するための法案
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-86e6.html

 13日の参院農水委員会では、自由党の山本太郎議員が質疑に立ち、わずか10分の短い間に調査捕鯨と同法案の問題点を雄弁かつ的確に指摘してくれました。種の保存法改正審議の際も、象牙ロンダリング問題を舌鋒鋭く追及してくれた山本議員こそは、筋金入りの、本物の野生動物の味方だと思います。
 対する提案議員の民進党徳永エリ議員の趣旨説明は、自民党の族議員あるいは委員会にいない日本のこころの応援議員らの国粋的な捕鯨擁護節との違いが、筆者にはまったくわかりませんでした。ちなみに、徳永議員の選挙区は新調査捕鯨NEWREP-NPで突出した恩恵を蒙った下道水産のある北海道。
 ひとつ不可思議な点は、水産紙報道で当初自民党の農水委員長提出になるはずだったものが、骨子を作成した民進党を代表する形で徳永議員の提出法案の形となったこと。「共謀罪国会でなんで自民党の下請仕事を引き受けるのか?」と国民に疑問を持たれることを回避したかったのでしょうか? まあ、いまさら手遅れですが。
 同日、NGOが連合で主催した院内集会が開かれました。

■調査捕鯨は「国の責務」? 参院委で推進法案可決(6/14,中日)
http://www.chunichi.co.jp/article/tokuho/list/CK2017061402000075.html
■調査捕鯨は「国の責務」超党派法案、記事が掲載されました
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-5bb1.html

 それにしても、東京新聞記事中の水産庁担当者のコメントは実にふざけています。裏付け≠烽ネい状態で復興予算までふんだくってこれまで倍増に倍増を重ねてきたのに、裏付けができたら「さらに増えるとは考えにくい」? いい加減にしてほしいもの。
 もっとも、記事自体は官僚・議員と合わせて早大真田氏とNACS-J辻村氏のコメントも紹介し、大変良質の内容。保全を求める側には収穫でした。
 ところが・・・

■[きょうの国会]共謀罪法案、参議院自民党が仰天の中間報告提案も、当日の成立は阻止、安倍内閣不信任決議案が衆議院本会議で議題も、延会に
http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/e/ef9d3e738ec262f627d82963b38c92cd

「商業捕鯨実施のための捕鯨科学調査実施法案」(193参法106号)は、投票総数239、賛成237、反対2の賛成多数で可決し、衆議院に送られました。個人的には反対2が出て、うれしい。参法で議案番号3ケタの法案が可決したのは極めて異例です。(引用)

 「議案番号3ケタの法案が可決」が意味するのは、言い換えれば、「参院は今国会で立法府としていい仕事をしたよ」ということ。超党派で重要な法律を作る仕事をてきぱき片付けたと。国会運営はきわめてスムーズに正常に行えたと。しかも、加計学園獣医学部新設問題は農水委員会の所管事項。
 なぜ野党はわざわざ与党の実績作りに積極的に貢献してしまったのでしょうか? 理解に苦しむばかりです。共謀罪成立に待ったをかけるために、せめて異常な国会だったことを国民に伝えるために、賛成でもいいから質疑を行い(そもそも法案の中身について国民に詳しく説明するのが国会議員の責務でもあるはずですが)、時間を稼ぐことだってできたはずです。実際には、美味い刺身*@案の山本議員による質疑以外の審議時間はたったの1分。
 何よりも、共謀罪法案と同質の人権侵害の懸念がある美味い刺身*@案の問題点に野党議員までが目をつぶってしまったことが、筆者には残念でなりません。
 民進党や共産党の中にも(自民や維新にも)、生態系保全・野生動物保護に理解のある議員がいらっしゃるのは承知しているのですが、本会議ではおそらく党議拘束をかけられてしまったのでしょうね。
 「個人的には反対2が出て、うれしい。」という国会傍聴ブログを書かれているジャーナリストの方の意見は「ゼロでなくてよかった」という趣旨でしょうね。同様に感じる国民は決して少なくはないでしょう。実際のところ、世界の反発を省みず「南極の自然を貪る権利」を主張する237に対して、反対がたった2ぽっちしかないということに対し、強い違和感を覚える方も多いのではないでしょうか。
 それは、山本議員が質疑の中で言われた、国会の中で異論さえ起きないことへの「危機感」にも通じます。
 「なんでわざわざ南極まで?」「科学のためって言い訳は無理があるんじゃないの?」という一般市民の感覚と、癒着した業界の開く鯨肉パーティーで舌鼓を打ちながら拳を突き上げる永田町との、途方もない温度差。
 こんな、同法案とは真逆の動きもあるというのに。

■水道法改定と種子法の廃止
http://a-tabikarasu.hatenadiary.com/entry/2017/06/10/082628
【重要】与党は、性犯罪厳罰化法案を継続処理にするつもりのようです。つまり今国会では成立させないつもり。共謀罪を強行採決し、さっさと国会を閉じようとしています。(引用)
https://twitter.com/sangituyama/status/874503628916051968

 南極産美味い刺身≠フ方がはるかに重要な公益だったのですか? 優先順位が上だったのですか? 緊急性が高かったのですか?
 「あんたたち一体どんだけ美味い刺身£毒なの!?」と世界は開いた口が塞がらないことでしょう。
 女性を含む永田町の国会議員たちにとって、美味い刺身≠ルどの重みはないらしい性犯罪厳罰化法案は委員会審議に入れないいわゆるつるし≠フ状態。しかし、衆院は現在(15日AM4時)法務委員会のみならず本会議も開会する目処が立たないのに、どういうわけか15日午後14時農水委員会の中継予定だけは変更なし。


 筆者は暗澹たる思いでいっぱいです。仮に「共謀罪法案」「美味い刺身*@案」という2つの法案がこのまま成立してしまった場合、日本の立法府の異様さにきっと世界の注目が集まることでしょう。そのとき、「それとこれとは話が別だ」という野党の言い訳は一切通用しません。
 共謀罪法案は与党と忖度マスコミが問題の所在を国民に伏せようと画策しました。美味い刺身*@案では、与野党こぞってそれをやりました。国民に付託されたチェック機能を果たしてくれたのは、参院では山本議員ともう1名の議員のみ。メディアでは今のところ東京新聞と朝日新聞だけ。
 
 確かに、日本国民にとって、将来社会全体に大きな負債がのしかかってくる可能性があるのは共謀罪の方。美味い刺身*@案は日本という国自身が国外の自然を侵す加害者の側。国民自身の痛みはないと言えるでしょう。加害者となることへの胸の痛みを除けば。ただ、実際には国内の自然・野生動物・持続的水産業にとってきわめて有害な代物であるのは疑いの余地がありません。急ぐ必要が何もないのも同じ。
 今回、筆者は視覚的にわかりやすいプレゼンファイルの形式で美味い刺身*@案の問題点を整理してみました。筆者はパワポを持っておらず、オープンオフィスで作って変換しているので、PPTの方は多少崩れていますが。
   sasimi_act.odp   sasimi_act.ppt
 この法案がどれほど多くの、あまりにも大きな問題を抱えているか、市民の皆さんにぜひ知っておいていただきたいと思います。

※ 追記
 残念ながら共謀罪の方はイレギュラーな手法で強引に採決されてしまいましたが、美味い刺身*@案の方は15日の案件には含まれず、委員会と本会議での審議がまだ残っています。国会議員の皆さん、恥の上塗りはやめましょう!


◇本日のニャンコ王子
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posted by カメクジラネコ at 04:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系