2017年06月16日

美味い刺身*@は廃止に!

■“調査捕鯨は国の責務” 継続のための新法成立|NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170616/k10011020111000.html

 残念ながら、共謀罪法に続いて美味い刺身*@もあっという間に可決されてしまいました・・。
 それにしても異例なことづくめ。食文化を守る会主催の鯨肉パーティーで南極の自然をほしいままに貪る永田町の議員たちの食通パワーをまざまざと見せつけられた思いです。
 まず、参院農水委員会は13日の山本議員たった1人の反対質疑のみで11分で通過。翌14日の参院本会議は即パス(ボタン投票で237:2)。衆院へ。
 共謀罪法案をめぐり未明まで緊迫した攻防の続いた15日、本会議は休会に。にもかかわらず、農水委員会だけは14時から決行。その議事内容が以下。

■第193回国会 第101号 平成29年6月14日水曜日
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kouhou.nsf/html/kouhou/995482_193614.htm

 会議に付する案件として、9件の法案が議案番号も明記された上で記されています。この中に美味い刺身*@案は見当たりません。
 ところが・・この15日の農水委員会で、美味い刺身*@案は参院のように質疑もなしに速攻で可決されてしまったのです。
 上掲の公報、よくよく見ると、最下行に「農林水産関係の基本施策に関する件」と書かれています。。。。
 いやはや、一杯食わされましたわい(--;;
 もっとも、よもや国政機関が一部のウォッチャーの目をくらますことを目的に公報の記載内容を操作するなんて、そんなバカげた真似をするはずもなし。
 彼らが一体何を警戒しているのか、さっぱりわかりません。シーシェパードが議事堂に爆弾を仕掛けるとでも思ったんでしょうか? そりゃ、被害妄想にもほどがあるというものでしょう(某監督じゃないけれど・・)。
 15日の衆院は民進党が欠席。提案者である徳永議員も。代行を務めたのが自民党の山田議員。ちなみに山田議員はIWC交渉にも関わった元水産官僚。
 結局、民進党は自民党の下請業者で終わってしまいました。いいところなし。
 で、本日(16日)の衆院はやはり民進欠席のまま、満場一致で可決。
 ちなみに、同時に行われたJAS法改正が衆院の原則に従った起立採決だったのに対し、美味い刺身法∴トでは法案採決としては通常用いられない異議なし採決でした。
 これも穿った見方をすれば、参院のようにカウントされて反対者の存在が明示されないようにしたかったのかもしれません。会派で縛りをかけていれば、どのみちほぼゼロでしょうが。
 要するに、南極海の自然、友好国の信頼、そして国際法を蹂躙することが「国家の意思」「国民の総意」であると、内外に示したかったのでしょう。
 南極産鯨肉に血道を上げているのが利権にまみれた一握りの政治家だけではないと。
 事実は後者以外の何物でもないのですが。

 ここでNHKの報道について、ツッコミを入れておきましょう。

>日本は捕獲頭数を大幅に減らすなど方法を見直したうえで

 マスコミが同じ間違いを繰り返す度に何度も指摘していますが、これは捕獲実績ではなく計画上の目標頭数。その目標を満たしたのはJARPAU初期のみで、過年度在庫の整理のための減産により、違法判決を受ける前に捕獲数は大幅に減っていました。NEWREP-Aの捕獲数はその末期のJARPAUに比べむしろ増加しています。

>調査捕鯨の継続に必要な財政支援を行うことや、反捕鯨団体による妨害行為に対応するため水産庁の職員などを調査海域に派遣することが柱

 これらはすでに法の裏付け≠ネしに族議員の突き上げで現になされていること。水産庁どころか海保職員の派遣を実施済み。法律なんかなくたってすでに出来ちゃってるのです。つまり、美味い刺身*@案には「急いで通さなければ市民生活にとって大変なことになる」といった具体的な必要性・緊急性がまるでないのです。
 予算の青天井化以外で唯一具体的な変化を伴う部分は、外国人に対する恣意的な入国拒否の一段の強化。もっともそれだって、すでにオバリー氏やゲナール氏はこの法律なしで強制退去できてしまっているのですから、それ以上の踏み絵≠入国者に要求するのは人権侵害以外の何物でもなく、東京五輪前に日本の対外イメージを極端に悪化させる以上の意味はありませんが。
 はっきり言ってしまえば、この法律は族議員のメンツのためだけに作られた代物。ICJ判決直後に鯨肉カレーを頬張りながら「食文化だ!」と叫んだ醜聞をさらに増幅させただけ。
 前回の東京新聞記事中の水産庁コメントに従うなら、予算を増やすことにさえつながらないと。すでに国の捕鯨対策予算は沿岸の漁業資源全体の調査の予算をも上回り、さらにそれを食いかねない状況ですが、さすがに水産庁の財布の上限を超えるのはどうあがいても不可能。
 まあ、実際には「新たな法律を根拠に」族議員連中はさらに無体な要求を突きつけてくるに違いないでしょうが・・。

>IWC=国際捕鯨委員会では捕鯨国と反捕鯨国の対立が続いていて、日本は新たな法律を根拠にして調査捕鯨を続ける立場を説明し、加盟各国の理解を粘り強く得ていきたい考えです。

 NHKの表現どおりであるならば、2つの点で日本はきわめて大きな過ちを犯しました。
@美味い刺身*@を国際法の上位に位置づけようとしたこと。
A美味い刺身*@を科学の上位に位置づけようとしたこと。
 詳細は下掲のプレゼン資料をご参照。

 法案に何の修正も加えられなかった以上、法律の問題点も何も変わっていません。筆者としては、美味い刺身*@がどれほどろくでもない法律か、引き続き内外への周知に努めたいと思います。


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2017年06月15日

美味い刺身*@案は廃案に!

 先月から民進党族議員のSNS、水産紙報道等で浮上してきたその名も美味い刺身*@案(商業捕鯨等のための鯨類科学調査の実施に関する法案)。
 その中身は問題だらけ。国際法にも国内法にも反していたり、あるいは既存の法律でカバーできて新法を作る意味がなかったり。人権侵害や名目の嘘など共謀罪法案とも多くの共通点を抱えるうえ、その成立に野党を加担させるろくでもない代物。かてて加えて即日施行、遡って運用という、災害や犯罪、健康被害等から庶民を守る趣旨の法律でも滅多にない特典まで付けられた、まさに異例の法案。
 しかも、そんなデタラメな法案が、超党派で、超高速で国会通過が図られようとしているのです。よりによって共謀罪法案の審議ですったもんだしている今国会中に。

■商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律案
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DC492A.htm
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/193/meisai/m19307193106.htm
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/193/pdf/t071931061930.pdf
■2017/06/13 NGO共同声明:調査捕鯨に税金を投入し続けるための「商業捕鯨等のための鯨類科学調査の実施に関する法案」を廃案に!
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2017/pr20170613/
■’鯨類調査’法案
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-6e48.html
■調査捕鯨を安定的に継続するための法案
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-86e6.html

 13日の参院農水委員会では、自由党の山本太郎議員が質疑に立ち、わずか10分の短い間に調査捕鯨と同法案の問題点を雄弁かつ的確に指摘してくれました。種の保存法改正審議の際も、象牙ロンダリング問題を舌鋒鋭く追及してくれた山本議員こそは、筋金入りの、本物の野生動物の味方だと思います。
 対する提案議員の民進党徳永エリ議員の趣旨説明は、自民党の族議員あるいは委員会にいない日本のこころの応援議員らの国粋的な捕鯨擁護節との違いが、筆者にはまったくわかりませんでした。ちなみに、徳永議員の選挙区は新調査捕鯨NEWREP-NPで突出した恩恵を蒙った下道水産のある北海道。
 ひとつ不可思議な点は、水産紙報道で当初自民党の農水委員長提出になるはずだったものが、骨子を作成した民進党を代表する形で徳永議員の提出法案の形となったこと。「共謀罪国会でなんで自民党の下請仕事を引き受けるのか?」と国民に疑問を持たれることを回避したかったのでしょうか? まあ、いまさら手遅れですが。
 同日、NGOが連合で主催した院内集会が開かれました。

■調査捕鯨は「国の責務」? 参院委で推進法案可決(6/14,中日)
http://www.chunichi.co.jp/article/tokuho/list/CK2017061402000075.html
■調査捕鯨は「国の責務」超党派法案、記事が掲載されました
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-5bb1.html

 それにしても、東京新聞記事中の水産庁担当者のコメントは実にふざけています。裏付け≠烽ネい状態で復興予算までふんだくってこれまで倍増に倍増を重ねてきたのに、裏付けができたら「さらに増えるとは考えにくい」? いい加減にしてほしいもの。
 もっとも、記事自体は官僚・議員と合わせて早大真田氏とNACS-J辻村氏のコメントも紹介し、大変良質の内容。保全を求める側には収穫でした。
 ところが・・・

■[きょうの国会]共謀罪法案、参議院自民党が仰天の中間報告提案も、当日の成立は阻止、安倍内閣不信任決議案が衆議院本会議で議題も、延会に
http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/e/ef9d3e738ec262f627d82963b38c92cd

「商業捕鯨実施のための捕鯨科学調査実施法案」(193参法106号)は、投票総数239、賛成237、反対2の賛成多数で可決し、衆議院に送られました。個人的には反対2が出て、うれしい。参法で議案番号3ケタの法案が可決したのは極めて異例です。(引用)

 「議案番号3ケタの法案が可決」が意味するのは、言い換えれば、「参院は今国会で立法府としていい仕事をしたよ」ということ。超党派で重要な法律を作る仕事をてきぱき片付けたと。国会運営はきわめてスムーズに正常に行えたと。しかも、加計学園獣医学部新設問題は農水委員会の所管事項。
 なぜ野党はわざわざ与党の実績作りに積極的に貢献してしまったのでしょうか? 理解に苦しむばかりです。共謀罪成立に待ったをかけるために、せめて異常な国会だったことを国民に伝えるために、賛成でもいいから質疑を行い(そもそも法案の中身について国民に詳しく説明するのが国会議員の責務でもあるはずですが)、時間を稼ぐことだってできたはずです。実際には、美味い刺身*@案の山本議員による質疑以外の審議時間はたったの1分。
 何よりも、共謀罪法案と同質の人権侵害の懸念がある美味い刺身*@案の問題点に野党議員までが目をつぶってしまったことが、筆者には残念でなりません。
 民進党や共産党の中にも(自民や維新にも)、生態系保全・野生動物保護に理解のある議員がいらっしゃるのは承知しているのですが、本会議ではおそらく党議拘束をかけられてしまったのでしょうね。
 「個人的には反対2が出て、うれしい。」という国会傍聴ブログを書かれているジャーナリストの方の意見は「ゼロでなくてよかった」という趣旨でしょうね。同様に感じる国民は決して少なくはないでしょう。実際のところ、世界の反発を省みず「南極の自然を貪る権利」を主張する237に対して、反対がたった2ぽっちしかないということに対し、強い違和感を覚える方も多いのではないでしょうか。
 それは、山本議員が質疑の中で言われた、国会の中で異論さえ起きないことへの「危機感」にも通じます。
 「なんでわざわざ南極まで?」「科学のためって言い訳は無理があるんじゃないの?」という一般市民の感覚と、癒着した業界の開く鯨肉パーティーで舌鼓を打ちながら拳を突き上げる永田町との、途方もない温度差。
 こんな、同法案とは真逆の動きもあるというのに。

■水道法改定と種子法の廃止
http://a-tabikarasu.hatenadiary.com/entry/2017/06/10/082628
【重要】与党は、性犯罪厳罰化法案を継続処理にするつもりのようです。つまり今国会では成立させないつもり。共謀罪を強行採決し、さっさと国会を閉じようとしています。(引用)
https://twitter.com/sangituyama/status/874503628916051968

 南極産美味い刺身≠フ方がはるかに重要な公益だったのですか? 優先順位が上だったのですか? 緊急性が高かったのですか?
 「あんたたち一体どんだけ美味い刺身£毒なの!?」と世界は開いた口が塞がらないことでしょう。
 女性を含む永田町の国会議員たちにとって、美味い刺身≠ルどの重みはないらしい性犯罪厳罰化法案は委員会審議に入れないいわゆるつるし≠フ状態。しかし、衆院は現在(15日AM4時)法務委員会のみならず本会議も開会する目処が立たないのに、どういうわけか15日午後14時農水委員会の中継予定だけは変更なし。


 筆者は暗澹たる思いでいっぱいです。仮に「共謀罪法案」「美味い刺身*@案」という2つの法案がこのまま成立してしまった場合、日本の立法府の異様さにきっと世界の注目が集まることでしょう。そのとき、「それとこれとは話が別だ」という野党の言い訳は一切通用しません。
 共謀罪法案は与党と忖度マスコミが問題の所在を国民に伏せようと画策しました。美味い刺身*@案では、与野党こぞってそれをやりました。国民に付託されたチェック機能を果たしてくれたのは、参院では山本議員ともう1名の議員のみ。メディアでは今のところ東京新聞と朝日新聞だけ。
 
 確かに、日本国民にとって、将来社会全体に大きな負債がのしかかってくる可能性があるのは共謀罪の方。美味い刺身*@案は日本という国自身が国外の自然を侵す加害者の側。国民自身の痛みはないと言えるでしょう。加害者となることへの胸の痛みを除けば。ただ、実際には国内の自然・野生動物・持続的水産業にとってきわめて有害な代物であるのは疑いの余地がありません。急ぐ必要が何もないのも同じ。
 今回、筆者は視覚的にわかりやすいプレゼンファイルの形式で美味い刺身*@案の問題点を整理してみました。筆者はパワポを持っておらず、オープンオフィスで作って変換しているので、PPTの方は多少崩れていますが。
   sasimi_act.odp   sasimi_act.ppt
 この法案がどれほど多くの、あまりにも大きな問題を抱えているか、市民の皆さんにぜひ知っておいていただきたいと思います。

※ 追記
 残念ながら共謀罪の方はイレギュラーな手法で強引に採決されてしまいましたが、美味い刺身*@案の方は15日の案件には含まれず、委員会と本会議での審議がまだ残っています。国会議員の皆さん、恥の上塗りはやめましょう!


◇本日のニャンコ王子
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posted by カメクジラネコ at 04:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系

2017年06月12日

「ビハインド・ザ・コーヴ」八木監督より怪文書%ヘく

◇「ビハインド・ザ・コーヴ」八木監督より怪文書%ヘく

■Conserv’Session | 霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院
http://www.wildlife-science.org/en/ConservSession/20170603-The-Cove==Behind-The-Cove.html
https://www.facebook.com/ConservSession/posts/421568788216816

 さる6月3日、京都大学構内で「ザ・コーヴ」&「ビハインド・ザ・コーヴ」の同時上映会が開かれたとのこと。ゴリラやチンパンジーの社会性に関する研究で世界的に有名なあの山極氏や松沢氏が教鞭をとっておられるとこですね。産経新聞地方版で取り上げられたためか、そこそこ観客が集まったみたいですが、その場で壇上に立った「ビハインド・ザ・コーヴ」八木景子監督との一般の方とのやりとりでまたすったもんだの騒動があったご様子・・。詳細はまとめの追加部分をご参照。

■「ビハインド・ザ・コーヴ(Behind the Cove)」の嘘を暴く〜いろんな意味で「ザ・コーヴ」を超えたトンデモ竜田揚げプロパガンダ映画
http://togetter.com/li/941637

 でもって、参加された院生さんの感想ツイートに対し、猛然と噛み付いた八木監督の連ツイがこちら。「ビハインド・ザ・コーヴ」公式ツイッターアカウントのツイートですが、別所で「私は」とあるとおり中の人=♀ト督ご本人ですね。
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 表現の自由と同様に批判の自由も認められる民主主義社会においては、フィクションとノンフィクションとを問わずどんな映画作品であれ、巷で批判が囁かれるのも当然のこと。つまらない映画ならつまらない、おかしな映画ならおかしいと言う権利が誰にでもあるはずです。もっとも、まともな監督なら、何か批判があってもさらりと受け流すなり、糧として真摯に受け止めるものでしょう。いくら初作品とはいえ、「本人に言え」云々と粘着リプを繰り返すのは、表現者/映画監督としていかがなものでしょうか・・
 八木氏は「延々と独り言のように連続投稿、迷惑行為」(引用)と自分のことを棚に上げて矛先を無関係な茂木氏に転じましたが(経緯の詳細は上掲まとめをご参照)、まとめ上にしっかり記録されているとおり、彼は理路整然と問題を指摘しただけ。上掲の八木氏の連続投稿と彼のコメントを比べれば、どちらが「脅しや嫌がらせ」(引用)に相当するかは誰の目にも明らかでしょう。
 以前の茂木氏とのやり取りの中では、東西文明論に凝り固まった八木氏が「中国を味方につければいい」という趣旨の発言を行い、それに対して茂木氏が「ICJ判決で中国判事は違法判決を支持した」と実に的確に返しました。彼はそもそも漁業問題のプロフェッショナルで、捕鯨問題については研究者の方々と付き合い程度に認識を共有してくれているにすぎません。にもかかわらず、八木氏との基礎知識の理解度の差は圧倒的でした。
 今回の京大セッションでは、その八木氏の無知ぶり、底の浅さ≠ェまたもや露呈しました。

上映後、韓国人の方が日本の捕鯨、太地の歴史について批判的なプレゼンを展開。私は韓国がIWCに参加せず混獲で日本より獲っている実情を話した。(2017/06/05 04:16:10)(引用)
https://twitter.com/btc_hogei_movie/status/871445490935541760(リンク切れ)
https://textream.yahoo.co.jp/message/1834578/a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa/1/77740
btc.png

 このガセネタについて簡単に解説しておきましょう。まず韓国国内のNGOが混獲実態を訴えて同国内メディアで取り上げられ、それを日本の三流記者がろくな裏取りもせずに保守系夕刊紙記事にし、その後ずーっとネトウヨが騒ぎ続けているという次第。韓国の数字はハクジラも全部込みであり、条件を同じにして日本の調査捕鯨・沿岸小型捕鯨・各種イルカ猟・混獲全部トータルの数字と比較すれば、やっぱり日本の方が倍以上。猫玉さんや筆者らが度々間違いを指摘してるんですが、右翼に好まれやすいこの手のデマはいつまでも拡散し続けるので厄介です。
 韓国の混獲は確かに問題なのですが、国内でも指摘されていることに加え、この3月には韓国とオーストラリア両政府が非致死調査と混獲削減に取り組む共同プロジェクトに乗り出しています。

■New agreement on non-lethal whale research | Australian Antarctic Division
http://www.antarctica.gov.au/news/2017/new-agreement-on-non-lethal-whale-research

実は、掲の八木監督の発言には、ネトウヨのガセネタにすら見られないとんでもなくデタラメな内容が含まれています。賛成反対によらず、ウォッチャーの方なら読んですぐ気づいたでしょう。そう・・韓国がIWCに参加せずの部分。韓国はずっとIWCに加盟しており、日本とスタンスが必ずしも同一ではないものの、やや捕鯨賛成より。調査捕鯨計画を立てて物議を醸したこともあります(内外の批判を受けて引っ込めましたが)。
 驚くべきは、捕鯨問題に多少の関心がある人なら熱心なウォッチャーのレベルでなくても常識として知っていていい基本情報を、捕鯨サークルの内野≠ニリレーションを持っているはずの八木氏自身が知らなかったことのみならず、ガセネタを拾ったうえで、新たなでっっかい尾鰭≠さらに付け加え胸を張って発言してしまう甚だしい無思慮さ。
 自分が映画監督として取り組んだノンフィクション作品のメインテーマについて、なぜ情報を絶えず収集して確認する作業を平気で怠るのか、理解に苦しむばかりです。
 なるほど、ツイッターというSNSメディアの性質を考えれば、多少の粗は許容範囲といえるでしょう。かくいう筆者も人間ですし、たまにトンチンカンなツイート飛ばすことはあります(笑)
 しかし・・八木監督のこの発言内容は、次元があまりに低すぎるのみならず「ただのうっかりツイート」ではすまされないものです。
 なぜなら、八木氏は大学で開かれたセッションの場で、映画監督の肩書きにおいて、韓国の方の主張に対して嘘の反論をしたことになるからです。
 上掲で「リンク切れ」としたとおり、八木氏は6月5日に発信したこのツイートをこっそり削除した模様。
 筆者が以下のコンテンツで指摘したから、というわけではないでしょうけど。賛成派の目で見ても「さすがにイタすぎてヤバイ」と誰かがすぐ進言したって不思議はないですからね・・。

■「捕鯨ヨイショ度」診断テスト・パート2
http://www.kkneko.com/sindan2.htm

 ついでに新コンテンツの宣伝をば。みなさんもぜひ自分の脳が竜田揚げ化してないかチェックしてみてくださいね。パート1・ベーコン編もヨロシク。

 さて、話を戻すと、いくらツイートをもみ消したところで、大学で開かれた公開討論の場での発言はなかったことにはされません。
 なぜ八木氏は「6月3日に京都大学で開かれた上映会の際、私が韓国の方に対してした発言の内容には誤りがありました。お詫びして訂正いたします」と公に発信することができないのでしょうか?
 もしそれをしないというのであれば、「真実を追求するより、嘘でも上手く引き込むこと!が重要と考えていらっしゃる」(引用)とのご自身のツイートそのまんまの行動を取っている人物こそ、まさに八木氏本人に他なりません。違うのですか?
 「反捕鯨はネットや陰で不満を言う」とおっしゃる八木氏ですが、茂木氏とのやり取りや京大での失言=Aそしてネトウヨが好んでもてはやすネタ・人種差別撤退提案を映画の中にしっかり盛り込んでしまったあたりを見ても、むしろ八木氏自身がネットにどっぷり依存しているように見受けられます。おそらく、周辺に群がる反反捕鯨ネトウヨの入れ知恵をそのまま真に受けて使ってしまったのでしょうけど・・。そのネット上の粗雑な情報にさらにエントロピーを加えたうえで、映画という煽動的な媒体とご自身の強烈なキャラを駆使してオフラインの場でそれを拡散している人物こそ、「ビハインド・ザ・コーヴ」監督八木景子氏といえるのではないでしょうか。

■欧米人の差別意識をあばく
http://cinema.pia.co.jp/imp/169123/1117310/

 で、本題はここから──。
 実は、京大上映会に先立つ5月30日のこと、その八木監督から筆者に対して突然1通のメールが送りつけられてきました。それがこちら。
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 すごいですね・・・・・ほぼ脅迫状
 まず、筆者はメールアドレスをオープンにしていません。水産庁等は知っていますが、八木氏に対して明かしたことは一度もありません。100%赤の他人からの迷惑メールそのもの。
 経緯を述べますと、今月に米国ロサンゼルスのUCLAとテラサキ・ニベイ・ファンデーションで「ビハインド・ザ・コーヴ」を上映するという話が入ってきたため、事前に情報をインプットをしておこうと、例のまとめとWDC及び拙HPに掲載した英文解説のリンクを付けた短い英文メールを送ったわけです。「Please note」と。
 「拡散を怖がる」との煽りが氏からのメールのタイトルにありますが、筆者が心配したのは「ナガサキヒロシマガー」「ジンシュサベツテッパイテイアンガー」なトンデモ映画が何の注釈もなく上映されることで、日本の評判が地に落ちることなんですけどね・・。
 で、ニベイ・ファンデーションから八木氏に対して連絡が行ったのでしょう。まさかこんな形で取得した個人情報を渡した相手に悪用されるとは、ニベイ・ファンデーション側も思いもよらなかったでしょうけど・・。
 さて、「招待」の誤字はご愛嬌としても、それ以外の表現は到底穏やかとは言えない内容です。
 どうやら八木氏は筆者が外国人、シーシェパード日本諜報部員、極左過激派メンバーのいずれかだと本気で信じ込んでいるご様子。
 文中にある、八木氏に対して報告を行っているという「多くの方」とは、取り巻きの反反捕鯨ネトウヨ狂信者、つまり外野に間違いないでしょう。
 なぜなら、筆者は水産庁・水研機構等に対して何度か直接働きかけており、一応筆者の招待もとい正体は知られているからです。何人かは顔も見知っています。
 筆者は別にオンラインでしか活動していないわけではなく、多くの内外の市民団体を寄付その他の形でサポートしています。裏方のバックアップがメインではありますが。もっとも、筆者が支援しているのは国際機関にオブザーバーとして正式に認められているか、NPO法人格を持っている、合法的・非暴力的活動しかしないNGOばかりで、クジラと全然無関係な活動をしているところもあります。ポール・ワトソン氏らと親交(?)のある八木氏と異なり、シーシェパードとのリレーションは皆無です。捕鯨サークルと逆予定調和=E共存共栄の関係にあるSSCSは、筆者らにとって批判の対象でしかありませんから。
 そのことを、内野の捕鯨サークル関係者は当然知っています。
 結論から言えば、筆者が警察・公安にマークされるような犯罪集団と関わりのある人間であるなら、水産庁等からとぉーーっくの昔に連絡が行っています。八木氏の出る幕などありません。
 要するに、八木氏とその取り巻きたちは、筆者の招待もとい正体について、「出所や入手経路が不明で信ぴょう性もよくわからない」という最近の官房長官の決まり文句どころか、狂信者の脳内以外どこにも存在しないショウコに基づき、筆者を「警察・公安の捜査対象になり得る人物」と勝手に決め付けてしまったわけです。さもなければ、こんなバカげたほぼ脅迫状≠送りようがありません。
 一応弁護士にも相談しているところですが、八木氏の送りつけてきたこのほぼ脅迫状≠ヘ、強要罪「害を加える旨を告知して脅迫することによって、人に義務のないことを行なわせたり、権利の行使を妨害すること」に該当する可能性はあります。この場合、八木氏は「警告」という形でこのメールを送りつけ、筆者の批評の自由を行使する権利を阻害しようとしたと示唆されます。違法行為をしていない相手を「警察・公安に訴えるぞ」と脅すことが脅迫(害を加える旨の告知)にあたるかどうかですが、「自分の命令に従わなかった場合は警察にお前のことを教えるぞ」という警告は、違法性の有無と無関係な利己的目的による告訴権の濫用にほかなりません。狂信的な第三者に濡れ衣を着せられて警察が動く可能性はゼロではなく、一般人にとっては仕事や生活に支障が生じることを「畏怖する」理由は大いにあるといえます。もっとも、自分の勝手な妄想で無実の人間を犯罪者と決めて警察に通報すれば、最終的には通報した本人が警察に対する偽計業務妨害罪に問われかねないわけですが。
 ただ・・脅迫罪に該当するかどうかは警察の恣意的な判断に委ねられるのが実情で、映画「ザ・コーヴ」上映騒動の際の極右団体の明らかな恫喝に対しても日本の警察は重い腰を上げませんでしたし、元TBS記者の準強姦事件の経緯など、いま日本の司法の信頼がガタガタに揺らいでいるご時勢ですから、刑事的な手続はするだけ時間と金の無駄に終わってしまいそうです。
 八木氏から「招待」付のほぼ脅迫状≠ナはなく、加害の意図に疑いの余地がない正真正銘の脅迫状≠ェ送られてきたなら、筆者もブログでオープンにする以前に警察に行かざるを得なかったところですが。
 とはいえ、こんな常軌を逸したメールを平気で送りつけてくる人物が、表現者・映画監督にふさわしいとは、筆者には到底信じられません。品質に疑問符のつく初監督作品を再三紹介し続けた国内マスコミ、試写会に参加した国会議員、記者リストを提供した水産庁職員、新宿の居酒屋で意気投合した梅崎氏らがヨイショした注目の新人映画監督≠ウんの招待もとい正体が、この一つのメールに端的に現れているような気がしてなりません。
 といっても、これはご本人の人格・人徳の問題ではありません。「美徳」云々といった愛国主義がにじみ出るプロモーションの台詞や一連の騒動、そしてこのほぼ脅迫状<=[ルが示しているもの──それは、捕鯨サークルに突然救世主=i宣伝塔)に祀り上げられてしまった悲劇の主人公なのではないかと、筆者にはそう思えてならないのです。

参考)
■暴かれる陰謀
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-446.html
■「ベトナム戦争」と「核問題」に直結する本物の陰謀≠暴き、かけがえのない日本の非核文化をサポートしてくれた「グリーンピースの研究者」と、竜田揚げブンカのために「広島長崎の虐殺」を掲げながら贋物の陰謀≠ノ引っかかったトンデモ映画監督
http://kkneko.sblo.jp/article/174248692.html
■Ultra double standard of Japan's diplomacy: 100% opposite in nuclear ban and "Favorite sashimi"
http://www.kkneko.com/english/nuclearban.htm
■検証:クジラと陰謀
http://togetter.com/li/942852

◇ビヨンド・ザ・「裏コーヴ」1
■捕鯨論争に新たな光! 映画『おクジラさま ふたつの正義の物語』公開決定!
http://top.tsite.jp/news/cinema/i/35891306/

 忽然と浮上した竜田揚げ監督より早く企画がスタートしたはずの佐々木芽生監督の映画がようやく9月に国内で公開されるとのこと。
 筆者のスタンスからすれば、またクラウドファンディングの経緯を振り返っても、おそらく中立といってもかなり賛成よりで、とくに太地のイルカ猟には同情的な内容と推察します。ただ、佐々木氏と『ビハインド・ザ・コーヴ』の八木氏とは決定的に異なる点があります。
 ひとつは、もちろんクリエーターとしてのセンスと力量。内外で「素人的」と批判が上がった「ビハインド・ザ・コーヴ」と異なり、映画のクオリティとして「ザ・コーヴ」と遜色ないものと期待できそう。
 もうひとつは、「ビハインド・ザ・コーヴ」が当事者の一方にどっぷりのめりこんだ監督自身の煽動的な主張を散りばめたものだったのに対し、こちらは双方から一定の距離を置き、品格のあるドキュメンタリー映画に仕上がっていると思われること。八木氏も「中立」を平然と謳いましたが、それは日本政府に要求を突きつけているというのが理由で、要するに極右団体が「俺たちの主張は政府のと異なるから中立だ!」と言ってるのと何ら変わりありません。一方、佐々木氏は族議員に対してさえ媚びることなく「負の側面も描く」と宣言し、その勇気とクリエーターとしての矜持には筆者も驚かされました。
 なんにせよ、「アウンノコキューガー」「ヒロシマナガサキガー」「ジンシュサベツテッパイテイアンガー」な竜田揚げプロパガンダに比べれば何倍もマシでしょう・・。
 そういうわけで、佐々木氏の映画の検証については他の方にお任せして、筆者は批判を控えるつもりでいます。
 ま、欲を言えばもう少し早めに国内公開に踏み切ってくれればよかったとは思うのですが・・。

◇ビヨンド・ザ・「裏コーヴ」2

■絶滅危惧種クロマグロと日本の海の危機を訴える!茂木陽一ドキュメンタリーを作りたい
https://www.makuake.com/project/apf/

 なんと、上の記事の竜田揚げ監督氏のコメント中にも出てきた、茂木陽一氏の活動を描いたドキュメンタリーがクラウドファンディングで製作中。
 世界の海を見て回った茂木さんは、一見職人気質に見えながら、水産庁・ニッスイ前乱獲反対デモを立ち上げる行動派のうえ、文章を書かせても知的なセンスが光る魅力的な方。完成すればきっと観る価値のあるドキュメンタリーになるはず。
 捕鯨に賛成な人も反対な人も、日本の漁業をよくしたいと願っている皆さんはぜひ応援してください!

◇口直し
 先日仕事中久しぶりにチビニャンを拾いました。白毛にオッドアイの美男子(びにゃんし)。ちゃんとした里親さんも確保できたので一安心。筆者はもうしばらくニャンコづくし&奉仕の日々です・・
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posted by カメクジラネコ at 19:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系