2010年03月29日

クジラからマグロへ・・その2

◇クジラからマグロへ──そしてこのままどこへ向かう!? 暴走するショクブンカファシズム国家・捕鯨ニッポン・その2

■第15回ワシントン条約締約国会議における附属書改正提案の採決結果|水産庁HP
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/sigen/pdf/100326-03.pdf
■農林水産大臣談話|〃
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/sigen/pdf/100326-04.pdf
■赤松農林水産大臣記者会見概要|農水省HP
http://www.maff.go.jp/j/press-conf/min/100326.html
■ワシントン条約の報道において、日本のメディアは国民に何を隠したか (3/21,勝川俊雄公式サイト) 
報道ã≪おいã|ãæ−\本ãレジスタードマークãƒ!ディア.html">http://katukawa.com/2010/03/%E3%83%AF%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E6%9D%A1%E7%B4%84%E3%81%AE%E5%A0%B1%E9%81%93%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%84%E3%81%A6%E3%80%81%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2.html
■日本近海のクロマグロ漁業の現状 その1 (3/23,〃)
http://katukawa.com/2010/03/bftjp01.html
■日本近海のクロマグロ漁業の現状 その2 (3/26,〃)
http://katukawa.com/2010/03/bftjp02.html
■日本近海のクロマグロ漁業の現状 その3 (3/27,〃)
http://katukawa.com/2010/03/bftjp03.html
■マルハニチロホールディングス(1334)は続伸 「クロマグロ養殖を拡大、10年度出荷量5割増」報道で人気化 (3/24,毎日)
http://mainichi.jp/life/money/kabu/nsj/news/20100324202959.html (リンク切れ)
■アブラツノザメ|WEB魚図鑑
http://fishing-forum.org/zukan/mashtml/M001118_1.htm

 CITES-COP15、本会議でも、クロマグロやサメ類など消費国・輸入国として日本が重大な責任を負っている海産野生動物に関する懸案は結局すべてオシャカに・・。
 まあちっと水産庁のPDFを開いてご覧なさいな。
 種毎に置かれている状況はケースバイケースであるにもかかわらず、日本はなんでもかんでもアプリオリに反対、と。でもって、ぜーんぶ思惑どおりに運んだと、いかにも誇らしげなご様子で・・。
 本来であれば、環境省が所掌官庁として主管すべきなのに、完全に農水省/水産庁に鯨(牛)耳られた格好。農水官僚が縦横無尽に走り回って大活躍、最近じゃ例のない輝かしい外交成果をアピールできたことで、担当者はきっと将来の事務次官のポストも約束されたと、十分な手ごたえを感じたんじゃないでしょうか・・。行く行くは年収2千万円の大日本水産会会長クラスですかねぇ? 天下り禁止通達も、民主党が変節するか下野すれば、簡単にひっくり返せると踏んでるんでしょう。それに、得体の知れない業界関連団体の役員に収まっても、特例法人以外ならいいんだもんねぇ。国交省か
らの天下りOBがわんさといて、自治体から独占的な発注を受けていながら、「国と特に密接な関係がある特例民法法人に該当しないんだから文句ねえだろ」っつう自転車なんたら協会とかとおんなじで・・。WFFあたりかな? 業界のために身を粉にして働いてくれたエリート官僚の労をねぎらおうと、OBを含む黒幕のヒトたちはいくらでもポストを用意してくれるでしょうしね・・・
 ワシントン条約はそもそも持続的利用が大前提。言うまでもなく規制はそのために作られたもの。「ブンカ」だろうが何だろうが、目的次第で規制にNOが突きつけられる前例が作られれば、野生生物資源の持続的利用はもはや成立し得なくなってしまいます。大体、文化と言い出したらそりゃもう全部ブンカですよ。イモリとかだって日本のペット文化、ヤフオク文化を持ち出されたらオシマイでしょ(--;; 挙げ句には、「附属書入りしたら返って密漁が増える」なんてとんでもない論法まで飛び出す始末。「違法認定してもどうせ無駄なんだから、この際全部合法にしろ」と言いたいのでしょうか? 実際には、アフリカゾウのケースで研究者が指摘しているように、違法取引には輸出ルートの抜け道が使われるため、合法化すれば余計増えるのが当然。日本の水産庁が唱えるショクブンカ/ジゾクテキリヨウ原理主義は、CITESそのものの全否定、破壊以外の何物でもありません
 まぐろかつお協会はサメ問題でまで熱心にロビイングして回っていたようですね・・。「ノウハウをぜひ伝授して欲しい」と象牙業界関係者にも乞われたんじゃないでしょうか・・・
 遠洋水研の研究員は「一回に億近い卵を産む」からクロマグロはパンダと別なんだと主張しましたが(過去記事参照)、今回規制案(附属書U)が潰されたアブラツノザメは妊娠期間(卵胎生)がニンゲンの倍の18〜22ヶ月、性成熟にも10〜25年かかります。上掲のリンク先では「世界的に見て絶滅が危惧されている。その成長の遅さと寿命、一回の出産数の少なさから乱獲の影響を非常に受けやすい。ほとんどの水産業者で対策がとられておらず、現在いくつかの個体群は大きく減少傾向にあり、漁獲量は急勾配に落ちている。」(引用)とありますね。サメ類は鯨類、あるいは猛禽類や大型食肉目、ゾウなどと同様、重点的な保護が求められる生態系の指標生物。生態研究や個体数の把握も不十分なまま、日本では深海ザメを中心に、健康食品ブームに乗って高価で取引されるコラーゲンや肝油目当ての漁獲が行われています。すでにFAOや国連から警告が発せられているにも関わらず、水産庁はまともな規制・管理に乗り出してはいません。
 確かに、現在の日本の遠洋マグロ漁業者はまじめに規制を守っているといわれ、ICCATの議論の場においても日本は相対的に規制推進の立場でした。しかし、当の漁業者の権益保護の観点からいっても、今回のCITESでの日本の行動はまったく解せないものでした。非科学的な原理主義を掲げるのではなく、豪州などと共同戦線を張って附属書U指定で厳格に管理された漁獲物の輸入だけが認められる形にすれば、IUU漁業生産物のシャットアウト、稚魚を乱獲する地中海等の畜養業者の規制・淘汰により、資源保護とともに安定した適正価格での供給が期待でき、返って漁業者の利益につながったはずなのです。よそにまで口出ししていることといい、これじゃ本当にまじめにやってんのか疑いたくなっちゃうよね・・・
 そもそも規制に後ろ向きだった地中海諸国。域内流通を例外扱いして「囲い込み」という批判を対立陣営に許したEU。会場に遅れてやってきて、やる気の感じられなかった米国。人材は少なくカネもなく、使い古した手を見透かされていた人の好すぎるNGO。パフォーマーリビア。将来「人口10倍の日本」という背筋の寒くなる国になりそうな気配が見えた中国。責任はそのすべてにあるとはいえ、タイセイヨウクロマグロの生産量の8割を消化してしまう日本人の異常な食欲の前では、どれも霞んで見えます・・・・
 そういや、マルハニチロHD(旧捕鯨大手御三家のひとつ)は、一連の“クロマグロショック”で養殖事業を売りにして続伸だそうで・・。同社は「養殖市場の4分の1を占める最大手で、2010年度の出荷量を3千トン」(3/24,毎日)とのこと。危機を煽って値を吊り上げつつ、その間に天然資源枯渇をよそに完全養殖事業化を軌道に乗せるという筋書きでしょうか。むしろ、その頃に枯渇してた方が付加価値が付くとさえ考えてるのかしらん? 沿岸の養殖(完全ではなく畜養)も急拡大が報じられていますが、資源管理上問題のきわめて大きい若齢魚の乱獲が一層進みそうな気配。この辺りは上掲リンク勝川准教授のブログ記事をご参照。
 いろいろつながってるよね・・・。要するに、業界団体がストレートに漁業者の権益を代弁しているとは限らないってこってす。ましてや水産庁をや
 してみると、批判に配慮した修正の跡がわずかに感じられる赤松農相の「責任談話」も実に白々しく聞こえます。
 「このままじゃ高くなるぞ! 食べられなくなるぞ!」と、結果が出る前は盛んにまくしたてていたマスコミが、終わった途端「あんまり安すぎるのも問題だよね・・」とボソボソ言い出したのにもシラケちゃうけど・・・


「お前(日本)が言うな」

 世界にそう言われている気がしてなりません・・・・・

 特定の魚種への過剰な漁獲圧に歯止めがかけられない一方、魚網にかかっても採算が取れないというだけの理由でたくさんの可食魚が捨てられている現状は、日本人の食生活が伝統に忠実であったなら決して見られないはずのものでした。その時々に利用できる資源を節度を守って消費する知恵を、現代の日本人がきちんと受け継いでさえいたなら、魚種交代などの理由でもともと変動の大きい海の自然と、上手に向き合い続けることができたはずなのです。
 箸がにぎれず魚がさばけない小学生。三枚下ろしができない主婦。回転寿司の大トロや高級料亭の鯨肉料理をつついて「アングロサクソンはけしからん!」と吠えるサラリーマンたちも、いま自分の口にしているものがどのような過程を経て生産され、運ばれてきたか、海の中でどのように暮らし、他の生物との関わりを持っていたかについては何一つ知らない──。多様で慎ましい魚食文化がすっかり失われてしまったが故に、調理が簡単という理由で、あるいはステータスシンボルと化したことで、公海資源に過度に依存するあまりにいびつな歪んだショクブンカが形成されてしまったのです。それが、正当な食文化が完全崩壊に至った哀しい捕鯨ニッポンの真実です。
 その悪しきブンカを、札束とセットでよその国々にまで広めようってんだから、まったくもって嘆かわしい限り。そうやってよその国々の伝統文化まで破壊していくんだね・・・・
 日本に求められるのは、贋物のショクブンカを捨て、本物の食文化を取り戻すこと
 大西洋産クロマグロや南極海産クロミンククジラなどという、広告屋のプロパガンダから政治的に昇格したにすぎないガラクタショクブンカではなく、地産地消という文化の本質に立ち返ること。
 贅沢を慎み、本来年に1、2度のハレの日にのみ食されていたものを、欲張って毎日のように欲しないこと。
 ファーストフード・外食依存症から脱却すること。
 生産者と消費者が顔の見える関係を築くこと。
 本物の海の自然、命について、直に知ること。それをこどもたちに教えること。
 三重大・勝川准教授や「旧Mr.捕鯨問題」政策研究大学院大学・小松教授ら水産関係の識者が再三にわたって指摘し、「現Mr.捕鯨問題」森下水産庁参事官が自ら白状しているとおり、ボロボロの状態にある沿岸漁業の立て直しを図り、この国に持続的水産業を行う能力があることをはっきりと証明すること
 それができない日本に、「国際的なリーダーシップを発揮する」(赤松農相談話〜)ことなどできるはずがないでしょう。

 

 引き続き署名へのご協力をお願いいたしますm(_ _)m そろそろ次の手を打たないとマズイニャ。。

■「いっせいのせ」でやめよう!! 辺野古移設と調査捕鯨!!
http://www.shomei.tv/project-1460.html
■"Stop Henoko Relocation & Research Whaling"
http://www.thepetitionsite.com/1/protect-dugongs-and-whales
■拙HPの案内
http://www.kkneko.com/dandw.htm
 

 久しぶりに風邪引いて寝込んじった(--;; といって、仕事しないわけニャいかんし・・
 日本列島で万物の霊長をやってくのも楽じゃないよねえ・・・

posted by カメクジラネコ at 01:14| Comment(3) | TrackBack(0) | 社会科学系

2010年03月19日

クジラからマグロへ・・

◇クジラからマグロへ──そしてこのままどこへ向かう!? 暴走するショクブンカファシズム国家・捕鯨ニッポン

■ワシントン条約、クロマグロの否決の詳細 (3/19,JWCS)
http://jwcs.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-149a.html
(三重大勝川准教授のTwitter、一連のCITES-COP15関連コメント・・)
http://twilog.org/katukawa/month-1003

 秘密投票なんて前時代的な仕組みを後生大事にとっといちゃ駄目だろ〜(--;; 得をするのは、後ろ暗いところのある連中だけなのに・・
 日本よりパフォーマンスで目立ってたのがリビア・・。いいオトモダチができましたね。(追記:ニュースステーションで代表同士仲良く肩たたき合うシーンが映されてましたね・・)
 今回、タイセイヨウクロマグロの置かれた深刻な状況を危惧する国々・NGOサイドは、国際取引禁止案というカードを最初にテーブルに出したうえで、ICCATで一年モラトリアムをかけ推移を見守る等の条件を提示するという、正攻法で交渉に臨みました。その背景には無論、当のICCATで規制が後手後手に回り、十分な効力を発揮してこなかったことがあるわけです。肝腎なのは、最終的に実効力のある規制策が導入されることであり、附属書TでもUでも、ICCATでのモラトリアムでも、乱獲と違法操業を事実上野放しにしてここまでクロマグロを追い詰めてしまった“現実”に対する“責任”を、輸出国(漁業国)と輸入国(消費国)にきっちり取らせさえすれば別にいいのですから。
 ところが、日本側はジゾクテキリヨウ教原理主義を前面に掲げ、それらの条件をすべて頑なに拒絶しました。「タイセイヨウクロマグロはどうなんよ?」という話をしているときに、「次はキハダだメバチだ公海の魚全部だ」ウヨガキ流論旨のすり替え戦術で対抗したわけです。それはもちろん、国際社会に向けたアピールなどではなく、国内マスコミを通じた世論喚起と、盛大な大トロ晩餐会に関係者を招待して抱き込んだ国々に対するリロン武装提供が目的でした。
 クロマグロ禁輸に異を唱えたのが日本ではなく、ノルウェーやNZなどの持続的漁業管理先進国であったなら、世界の反応もまた違っていたでしょう。クロマグロを危機に追いやった最大の責任を有する国が、「次は○○がダメになる」などというおためごかしの主張を平然と振りかざしてきた時点で、「附属書Uくらいではとてもじゃないけど守れない」と判断されるのは当然のこと。日本の唯我独善的主張は、自国の輸入対象のみを特殊視・神聖視するか、ワシントン条約そのものを否定するものに他なりません。そんなムチャクチャな言い分をいったん認めてしまえば、どんな取り組みももはや不可能になってしまいます。絶滅に瀕する野生動植物すべてにとって、まさに百害あって一利なし
「日本がリーダーシップを発揮してきた」
「これからがスタートだ」
 農水相や業界関係者の口から、ここまで能天気な発言が飛び出すことに、筆者は慄然とします。
 現実を直視してないどころか、真後ろ向いてるよねぇ・・。こーゆーヒトたちがすべてを牛耳ってしまっているという、その“現実”に背筋が凍りつきます。
「過去の過ちについて誠心誠意反省している。どうか今一度チャンスを与えてほしい」
 せめてそう言えなかったのでしょうか?
 10年、20年以上前のとっくの昔に真剣に反省し、IUUその他の対策と同時に消費量の抑制も含めて舵を切っていなければならなかったのに、それを出来なかったヒトビトが、「今度から反省する」と言ってどうして信じられるでしょう?? そもそも反省する能力が欠片もない連中に、一体何を期待できるというのでしょう???
 EUや環境NGOの戦略は、はっきり言って失敗でした。相手はイランや北朝鮮、イスラエルのように(少なくともこの文脈においては)正攻法がまったく通用しない捕鯨ニッポンだったのです。
 既得権益死守を至上命題に、天下り官僚・族議員・業界団体・御用メディアががっちりスクラムを組めば、恐ろしいまでのパワーを発揮できるのだと、まざまざと見せつけられた気がします。
 国連で、対米・ロ・中外交で・・あるいは温暖化防止や核軍縮交渉の場で、具体性・実効性のある政策の提言・実行に向け強力なリーダーシップを発揮したことなど一度もなく、外交力ゼロと揶揄されてきたニッポンが、“力づく”で国際政治を動かした稀有な例ですね。やはり3/4世紀ほど前の姿を彷彿とさせます・・
 「ショクブンカ」という名のデタラメなキャッチコピーに基づく飽食・廃食大国の公海資源囲い込み戦略、「自分たちさえよければどうでもいい」という強烈なエゴをむき出しにして、世界を自分たちの都合に無理やり合わせようとする国
 CITESその他の国際機関における議論に与える影響もさることながら、筆者がより重大な懸念を覚えているのは、日本の外交が一層いびつな形に変質していくことです。
 老獪な官僚と呼吸を合わせ二人羽織でやってきた自民党に対し、政治主導を掲げながらすっかり操縦され、最近はとくに枝葉末節の部分で政治色を打ち出そうとしている感が強い民主党。片や従順で物分りのいい子供、片や駄々をこねても飴玉一つで機嫌を直す御しやすい子供というところでしょうか。一部の外務官僚と農水官僚の差し出した劇物に等しい飴玉に、関係閣僚らがコロリと引っかかった……今回の図は、筆者の目にはそう映ります。ま、少なくとも外務官僚の方は“反作用”が目当てで、クジラもマグロもどうでもいいんでしょうけどね。。
 そして、筆者は真剣に憂慮しています。政権運営に厳しい目が向けられる中、唯一の慰みをネトウヨ応援団を含む組織的エールから受け、その気になった彼らが、とんでもない勘違いを始めやしないかと。
 「得点を稼げた」と。

 政治とカネでさんざんたたかれ、米軍基地移設でも事業仕分けでも実質的な成果を挙げられず、公約破り、国民に対する裏切りと謗りを受け、夏の参院選前にヤバい空気が立ちこめ始めた中、「これは使えるかも・・」と。
 多国間であれ二国間であれ、外交はすべてバランスの上に成り立っています。
 駆け引きとは、バランス調整の作業に他なりません。当然のことながら、一方の当事者のみが利益を得ることはあり得ません。バランスの均衡は総合的に図られるものであり、常に帳尻が合ってなければなりません。タダで買えるものなんてありゃしません。。着地点を見誤り、バランスを大きく崩せば、それは深刻な痛手となって跳ね返ってくることになります。
 北朝鮮の見るからに危なっかしい崖っぷち外交にある種の合理性が見られるのは、まさにこのバランスの観点をあの国が理解したうえで行動しているからです。
 クロマグロやクジラという、日本経済、あるいは水産業全体から見ても取るに足らない代物に、この国は異常な熱情(+多額の税金)を注ぎ、まさしく核や沖縄、気候変動問題に勝る最高位の外交プライオリティを実質的に与えてしまいました。
 赤松氏や岡田氏ら先見の明に欠ける閣僚たちと彼らを唆した官僚たちのせいで、天秤の一方の皿にバカでかい分銅が一つ、新たに付け加わりました。
 そのあまりにも重すぎるツケを、私たちは確実に支払わされることになります。
「あなたたちはマグロやクジラを優先しました。“そっち”を選んだって理解でいいんですね?」
 引き換えに、私たちは何を差し出すことになるのか、失うことになるのか、わかりますか──?
 皆さん自身でよぉく考えてみてください。万物の霊長らしく、想像力を働かせて。
 そりゃね・・官僚機構(正しくは政官業一体化機構)の中枢で権力を握ってる連中にとっちゃ、実によくできたカラクリですよ。

 対米追従外交→ナショナリズム感情の鬱積→捕鯨独善外交→外交バランス自動補正→対米追従外交→ナショナリズム感情の鬱積・・・・エンドレスのサイクル。愛国心高揚・馴化のオマケ付き。
 このすべての過程で利権がこぼれ出てくるわけです。先生宛に発送されるウネス“土産”から、天下り外郭団体会員企業・水産コンサルの美味しいお仕事、名護市に確保したリゾート転売用不動産に至るまで。
 上の連中が、天下り先を含めクッションの効いた椅子に深々と身を沈めていられる数年の間は。
 年金・ダム・道路・護岸・原発etc.と同様、蓄積したひずみによって、いずれ避けられない破綻の訪れに際しては、残された短い老後を悠々自適に送る自分たちにゃ「関係ねー」と言ってのけられる、“切り替えの早い”優秀なエリートたちにとっては。
 国民はそれでいいの!!!??? 

◇“つぶやき”・・というより“ぼやき”

 国内の登録者がもう500万人近くにのぼったそうで・・
 まあ確かにね・・うちのテーマに関していえば、アンテナを張り巡らせておくことで、著名人の「ベーコン脳進行度」を計ることも可能でしょうけど・・それ、ちっとも利点じゃないし(--;;
 時間を“消費されるべき資源”と捉え、効率性や有用性を経済的尺度で捉えようとし始めた時点で、返って「大切な時間」は手元に残らなくなると思いませんか?
 groucherとかgrumblerとか、誰かそういう対抗コミュニケーション・ツール作ってみません?(^^;;

posted by カメクジラネコ at 19:35| Comment(2) | TrackBack(1) | 社会科学系

2010年03月15日

クジラの次は確かにマグロだった/トキとクジラ・3

◇クジラの次は確かにマグロだった〜海洋環境破壊マフィア国家・捕鯨ニッポン(SSCSのキャンペーン・ターゲットの話じゃないよ)

■クロマグロ:取引禁止案、捕鯨国ノルウェー支持 (3/14,毎日)
http://mainichi.jp/life/today/news/20100314ddm008020079000c.html (リンク切れ)
■クロマグロ禁輸案を不支持=輸出許可制で対処を−豪州 (3/13,時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010031300027 (リンク切れ)
■ワシントン条約締約国会議開幕 大西洋クロマグロ禁輸の見通し強まる (3/13,産経)
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100313/biz1003132153014-n1.htm (リンク切れ)
■クロマグロ禁輸、採択濃厚 ワシントン条約会議 誤算の日本 (3/13,フジサンケイビジネスアイ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100312-00000032-fsi-bus_all (リンク切れ)
■クロマグロ ワシントン条約(CITES) まとめ (3/11,勝川俊雄公式サイト)
http://katukawa.com/%E7%89%B9%E9%9B%86/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%83%AD-%E3%83%AF%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E6%9D%A1%E7%B4%84
■クロマグロ規制−日本人は食べ過ぎか (47NEWS)
http://www.47news.jp/47topics/e/77887.php

 ワシントン条約(CITES/絶滅の恐れのある野生動植物の国際取引に関する条約)COP15がドーハで開幕。どっかの国から最大の注目を浴びているタイセイヨウクロマグロの附属書T入りをめぐって、喧しく議論が飛び交ってますね。というより、実際にはまともな議論など存在せず、国内で少なからぬ上がっている懸念・問題点の指摘を、国/業界/マスコミが握りつぶしているといっても過言ではない異様な状況。
 既に(研究者クラスの識者を含む)ブロガーの皆さんからは「いや、おかしいだろ!?」という声が多数あがっているのに対し、驚くべきは、乱獲の事実と浪費の責任に一切言及せず、大本営の指示通りにひたすら危機感を煽り立てる報道を繰り返すマスコミの姿勢。クジラで培った捕鯨協会/国際PR流の広報戦略が、ここでも存分に活かされている感じです。実は、アフリカゾウからホッキョクグマ、イモリの仲間(ペットとして輸入されている)まで、今回のCOP15では他にも日本が深く絡んでいるいくつもの野生生物の問題が遡上に上がっているのですが、クロマグロ騒動の影に隠れて国内ではほとんど取り上げられません・・。なんともお寒い限り(--;
 典型的な大本営発表型の右系マスコミ産経は、実にわかりやすい偏向記事。「次は太平洋のクロとミナミだ!」「メバチやキハダもヤバイぞ!」と一所懸命煽ってくれています。バスの中の女子高生の他愛のない雑談が信用金庫の取り付け騒ぎに発展する国のこと、マグロパニックでもっと値を吊り上げようという魂胆でしょうか?

大手スーパーでも「クロマグロは基本的に単価が高い高級食材で、需要は正月など“ハレの日”に限られるため、もともと取扱量が少ない」(イトーヨーカ堂)

 上の引用は同じ産経系列のものなんですけどね・・。要するに、庶民には関係のない贅沢品の話。いまどきハレの日以外でも高級料亭で舌鼓を打っているのは、不景気でもなぜか羽振りのいい連中だけですよ。メディアを使って浪費を煽る「伝統食文化破壊行為」を国が厳に戒めればいいだけのこと。政治家だの投資家だの金を持ってるグルメ好事家と、彼らを相手にイイ商売をしてる連中が“歯止め”をかけられて“歯軋り”するくらいで、その他大勢の日本人には何一つ困ることは起きません。消費量を沿岸資源の持続的利用が可能な適正レベルに落としたほうが、よっぽど廃れた伝統食文化の復権に貢献するってもんです。
 大政翼賛超保守メディアの代表格・産経記事のミスリードは他にも。産経というより、同紙記事に載った研究員のトン抜けた発言が問題なのですが・・。以下3番目のリンクより引用。


クロマグロ問題に詳しい元ICCAT事務局次長で水産総合研究センター遠洋水産研究所の三宅真客員研究員は「絶滅危惧(きぐ)種を保護する基準が、一回に億近い卵を産み、大西洋全域に生息するクロマグロに適用されれば、次はミナミマグロ、その次は太平洋のクロマグロと、マグロ全般に及ぶ恐れがある」と指摘している。


 「漁業機関が資源管理に失敗して乱獲と違法操業による資源減少を食い止められなかった以上、国際取引禁止以外に有効な手立てがない」というのが禁止派の主張なわけですが、それに対する反論にまったくなってませんね。「一回に億近い卵を産む」のに、なぜ管理に失敗したんですか??? 絶滅危惧種を保護する基準が繁殖率によって一意的に決まるのであれば、ジャイアントパンダより繁殖率の低いクロミンククジラが附属書Tでも文句を付けられる筋合いはなくなります。
 こうした論旨のすり替えは、自身の発言の政治的利用を容易に許すほど、この研究員が毒されてしまっていることを意味するのでしょう。鯨研の御用学者並に。あるいは、出所がやっぱり同じ水研センターだった同紙のガセネタ「エコ捕鯨」のときと同じく、実際の研究員の発言とは似ても似つかぬ表現に“翻訳”されてしまったのかもしれませんね。何しろ、「関心がある」という水産庁調査官のコメントが、記事ではいつのまにやら「反捕鯨国へ理解を求める新しい視点になる」と、コギャルと耳の遠いじいさんを交互に百人並べて伝言ゲームをしたかの如く“文字化け”を起こしてましたからねぇ〜・・。余談ですが、同機関のセンター長を務めるのは、IWC(国際捕鯨委員会)日本代表を兼任する中前明氏。
 前述のとおり、慌てふためくマスコミとは対照的に、国民の皆さんの多くは大本営発のデマゴギーに流されることなく、この問題を冷静に受け止めています。実はさる方よりご意見をお寄せいただいたのですが、お役所勤めの研究員よりはるかに説得力に富む内容でした。クロマグロを一度でも口にしたことのある日本人なら知っておくべきことですので、以下に紹介させていただきます。筆者のシチメンドクサイ文章なんぞすっ飛ばしてくれて全然かまわないのですが、こちらは必読!!(Aさん、Yさん多謝m(_ _)m)

ヨーロッパでマグロの商流が禁止になる方向です。数年前からこの方向性を感じておりました。売っている側は資源が枯渇していることを熟知しており、「今の内に荒稼ぎ」というムードでした。ヨーロッパの本マグロの90%は日本へ販売されております。日本が高額で買い付けるので、スペイン・イタリア・フランス・ギリシャなどの漁師は目の色を変えて飛びつきました。
大型のマグロが捕れなくなって久しくなります。成長するのに8〜15年も時間の必要なマグロが、成長しきる前に捕獲されるからです。そのため、市場では大型のマグロが珍しくなりました。ただ、マグロの減少には他の事情もあり、マグロの餌となるイワシやサバが北欧によって乱獲されていることも事実としてあります。イワシ・イカなどの減少により、連れあがったサメの腹を切ってみてもほとんど空腹状態なのです。
鯨で日本の水産省が折れると、必ず次はマグロの産業に飛び火します。そういう意味でも鯨戦争とは意味が深いわけで、日本政府は折れようとはしないのでしょう。
アメリカでは消費者が共存可能な食生活へと変わろうとしています。有名シェフなどが食材の変更を発表するなど追い風となってます。経済活動に翻弄されることが先進国の生き方ではないことをしっかりと示すことが必要でしょう。
いつも水産資源を語る時に使う例えがあります。陸上で昨日まであった木が一本切られると、多くの人の目に止まります。海で100匹のマグロが捕獲されても、それに気付く人は漁師を除いてはゼロに等しいです。このような状況に暮らしているのですから、届けないといけない声は必要以上に大きく上げる必要があるわけです。
(水産業界の事情に詳しいAさんより)


 つづいて、猫玉さんのブログ記事。私のより百倍読みやすく、ウィットとスパイスの効いた秀作。ともかく読むべし!!

−まぐろうまいうまい (3/13,腐ってやがる・・・ぷログ)
http://ameblo.jp/puneko/entry-10480708783.html

 もうひとつ、新進気鋭の水産学者・三重大勝川准教授のコメントを以下に引用(5番目のリンク)。


「クジラを止めたら、保護団体の標的はマグロに移る。マグロ漁業を守るために、採算度外視で調査捕鯨をやらないといけない」ということを、内部の人間からたびたび聞きました。マグロを獲り尽くしたとたんに、調査捕鯨の撤退を示唆するのもあからさまですね。保護団体の目をクジラにそらしながら、絶滅寸前までマグロを食べ尽くしたのだから、水産庁のもくろみ通りと言えるでしょう。そこまで、マグロを減らして、いったい誰が得をしたのか不明ですが・・・


 どうでもいいけど、おバカな質問をしたのは、パール判事を礼賛する極右系反反捕鯨論者。勝川氏に性懲りもなく噛み付き、体よくあしらわれましたが。
 してみると、捕鯨ニッポンはまさしく海の自然を貪り尽くす環境マフィア以外の何物でもありませんね・・。をしたのは、錦の御旗に掲げたジゾクテキリヨウの看板の裏で、水産資源をボロ儲けのための投機対象とみなしたヒトたち、産官学でがっちりスクラムを組んでシステムを構築し、天下りの甘い汁をたっぷり吸った官僚と族議員、彼らを含めウネストロ三昧の贅沢な日々を送った性根の腐った連中ということです。もっとも、欲望の限りを尽くした彼らの貪欲な胃袋は底なしになり、もはやどれほど貪ろうと満腹感など感じず、ひたすらアングロサクソンへのルサンチマンに身を焦がしているんでしょうけど・・・
 CITES・COP15でのクロマグロをめぐる動きに話を戻しましょう。面白いのは、国際取引禁止の姿勢を鮮明に打ち出したノルウェーと、逆に不支持に回ったオーストラリア。ご存知のとおり、強硬な捕鯨国と反捕鯨国が、クロマグロでは正反対の立場を取ったわけです。
 ノルウェーはご存知のとおり、口先ばかりの日本と異なる北欧のエコ先進国かつ徹底した漁業管理で知られている持続的漁業模範国。乱獲を防ぐ実効性のある対策を取れなかったICCAT(大西洋まぐろ類保存国際委員会)の体たらくに目をつぶるつもりはないのでしょう。まあ、「うちは環境保護で一貫してる。是々(ミンククジラ)非々(クロマグロ)だ。何でも規制反対のどっかの国とは違うぞ!」と言いたかったのかもしれませんが・・。
 対するオーストラリアですが、「クジラでケンカばっかりしてるから、たまには日本の味方をしてあげた」・・ってわけじゃないですね。「輸出許可制にしてより厳しい資源管理で望む方が有効だろう」との主張。これは勝川教授の「附属書Uにすれば、無秩序操業を牽制する効果が期待できる」という指摘に沿ったものといえそうです。ところが、日本は代案としての輸出許可制にすら「ヤダヤダ」と駄々をこねている始末・・。鯨研のオトモダチ新聞・産経は、他紙と違い日豪の主張の違いにはまったく触れずに「ミナミマグロ蓄養事業への影響を懸念」とまた自分勝手な憶測を述べています。どのみち買ってるのは日本なのに・・。反捕鯨国オーストラリアを毛嫌いしている同紙としては、相対的に日本に近い立場に立った場合でさえ、いちいち難癖をつけないと気がすまないんでしょう・・・
 今回のモナコ提案に関しては、アフリカ23カ国も同調する姿勢を示しています。野生動物を「カネの成る木」とみなすことしかできないジゾクテキリヨウ教原理主義教祖国家・捕鯨ニッポンに追従するタンザニア(IWC捕鯨支持派加盟国)とザンビア(買収候補?)が日本に象牙を輸出して儲けようとしており、野生動物保護先進国ケニアなどが密猟の抜け穴につながることを憂慮してこれに反発、EUと共同戦線を張って「クロマグロもアフリカゾウも一緒に守ろう」という結論に至ったわけです。筆者が呼びかけている「ジュゴンもクジラも」と同じパターン。
 じゃあ、日本はこれらアフリカ諸国に対してどんな“手”を打ったかというと、呆れたことに関係者を高級ホテルでの盛大なパーティーに招き、IWCでやってるのとまったく同様の買収工作でもって決議が通るのを阻止しようと目論んだんですね・・。ガードマン何人もはべらせた物々しい厳戒態勢のもと、報道機関一切お断りで開かれたトロ・パーティーは、さすがに国内のテレビニュースのネタにもなりました。日本でさえ庶民には縁がない代物を、これらの第三世界の国々の国民が口にする機会などあるはずもないのですが・・。
 1980年代以降に活発になったIWC票買収工作で、レクチャーと称して同様の鯨肉パーティーが会合の度に催されたことは想像に難くありません。30年後の情報公開を約束した岡田外相が捕鯨外交を日米安保・核問題以上の聖域としなければ(すっげー不安だけど)、でもってすっかり不人気の民主が下野して再び外交機密文書が封印されたりしなければ、数年後には追々明らかになってくるでしょうけどね・・・
 

◇トキとクジラ3〜野生動物たちはこの国の荒んだ動物観・倫理観を鏡のように映しだす

 まるで夕刊三面記事ライクな「トキを襲撃・殺害した犯人はテン!」報道。テンが全国紙の見出しになったのは初めてでしょう・・。たいした先進国です。
 あの侵入し放題の野生化訓練施設、どこのコンサルが設計していくらで建てたのかしら?
 “他獣”に責任転嫁してんじゃねーよ・・万物の霊長が聞いて呆れるわい。
 「トキを絶滅させた犯人はニンゲン(日本人)」です──
 最後の野生群のヘリ空撮を強行したどこぞの公共放送も主犯格だけど・・
 付け加えれば、絶滅する前はテンやハクビシン、カラスと同じく田んぼを荒らす害鳥扱い。
 トキとテンを差別するのも、“ニッポニア・ニッポン”(でも中国産)とそれ以外の希少種・絶滅種(ジュゴン、カワウソetc.)を差別するのも、水族館のアイドル(稼ぎ頭)としてショーに出演しているバンドウイルカと太地の新しい自然征服型無節操ブンカで撲殺されているバンドウイルカを差別するのも、日本人に愛でられていることと赤道の反対側から攻めてくるボン条約未加盟国がないという理由で殺されずに済んでいる北太平洋のザトウクジラ及びその他回遊性野生動物とにっくきオージーに愛でられている所為で赤道の反対側の国から「殺すぞ殺すぞ」と脅されている南太平洋のザトウクジラを差別するのも、和歌山で座礁しかかったけど市場に出回らずにすんだ名無しのクジラと族議員がいないところを泳いでいるために健康でもどんどん殺されているクジラを差別するのも、崖っぷち犬とその連れと抽選すらされなかったガス室送りの収容犬多数を差別するのも、いかにも自民族中心主義的な人権後進国捕鯨ニッポンらしいといえますが・・・

 

今日のつぶやき:
ツイッター、案の定口コミ商法に使われだしたニャ〜・・・

posted by カメクジラネコ at 01:07| Comment(7) | TrackBack(0) | 社会科学系

2010年03月12日

捕鯨でつぶやいてみる

鯨研の職員がグルメ好事家垂涎のクジラの尾の身をわんさと持ち去った? 一体何の研究だ?? ニンゲンの胃内容物調査か???

■クジラ肉裁判:第3回公判 日新丸元船員、「クジラ肉の横領を目撃した」 (3/9,GPJ)
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20100309oc_html
■鯨肉横領疑惑ばかり注目しないで (3/9,flagburner's blog(仮))
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/78f5764dceb01393d93abee893e4cadc

■クジラ肉裁判初公判 「土産」の矛盾と調査捕鯨の不正隠ぺいが明るみに (2/15,GPJ)
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20100215_html

■Sorry, Mr.Bethune and his family... (3/12,flagburner's blog(仮))
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/cb56049d0c91907435769acc15c66d63


 署名の告知にも必要だって言われて、ちょっとTwitterの練習してみました・・なんていうと、「リアルタイムで呟かないと意味ないだろ〜」とツッコまれそうですが。
 なんかね・・Web2.0世代の集大成として、ネコから杓子から首相からあらゆる人に持てはやされてるツイッターというやつが、筆者はどーも肌に合わないんですよね〜(--;; 使い勝手もよおわからんし・・・

 
 え〜っとですね、そーゆーわけで、Twitterをうまく使いこなせている人、代わりにつぶやいてください。よろしくお願いシマスm(_ _)m

いっせいのせでやめよう!! 辺野古移設と調査捕鯨!!

http://www.shomei.tv/project-1460.html
http://www.thepetitionsite.com/1/protect-dugongs-and-whales
http://www.kkneko.com/dandw.htm

posted by カメクジラネコ at 20:17| Comment(6) | TrackBack(0) | 社会科学系

2010年03月09日

ハクビシンとクジラ/捕鯨は森林破壊に勝る環境破壊!!・2

◇ハクビシンとクジラ〜ニンゲンサマが第一! 野生動物と共存できない西洋かぶれのエコ最貧国・捕鯨ニッポン

■天使か悪魔か家がつぶれる!?…雷獣大暴れ! (3/7,TBS「噂の東京マガジン」)
http://www.tbs.co.jp/uwasa/genba/20100307.html (リンク切れ)

 ときどき八ッ場ダムに象徴される大開発を擁護して自然の敵になり、しばしば野生の獣や鳥の敵になるこの番組、今回の放映内容は中でも最悪の一つでした。いつもなら「何しらばっくれてやがんだこのタヌキめ(タヌキさんごめんm(_ _)m)」と他の視聴者同様茶の間で舌打ちしているところですが、今回だけは困惑している役所の担当者の方々に心底同情しちゃいましたよ・・・
 “住民目線”を売りにしている副作用というべきか。こういうのって、地域エゴとも紙一重ですけどね・・。方向はちょっとずれますが、野生動物がテーマになるとニンゲンのご都合主義が前面に押し出されるのは、環境省にいちゃもんを付けたブラックバス愛好家・業界関係者の意向を反映してんじゃないかとも勘繰ってしまいます・・・
 HP上では、ディレクター殿が何やらハクビシンの味方めいたことを書いています。が・・番組の内容があそこまでひどくては、さすがに白々しさを感じるのは否めません。番組の制作方針は、この方お一人で決められるわけではないでしょうけど。タイトルに「天使か悪魔か」と入っていますが、中身は完全に悪者扱い。庭のブドウに被害を受けたけど、写真が撮れたので「憎さとかわいさ半分」と同情してくれた、心優しい住民の方がお一人いらっしゃっただけ。
 番組中の間違いについて、いくつか指摘しておきましょう。特定外来生物の対象種は、必ずしも移入年代によって定義されるわけではありません。環境省は「概ね明治元年(1868年)以降に我が国に導入されたと考えるのが妥当な生物」(第二次特定外来生物)としていますが、最終的には諮問を受けた専門家のワーキンググループが生態系への影響を評価したうえで認定することになっています。

■第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順 (環境省)
http://www.env.go.jp/nature/intro/4document/sentei/mamm_bird04/mat01-1.pdf (リンク切れ)
http://www.env.go.jp/nature/intro/4document/sentei/07/ref07.pdf

 で、現在のところハクビシンは在来種か移入種か定かでないわけです。自治体によって“勝手に”外来種認定しちゃっているところもあるようですが、少なくとも国の定める特定外来生物としての選定基準からは完全に漏れています。Wikipediaで「1945年の静岡県でのものが最初の確実な報告」とありますが、環境省資料ではそれ以前にいたことが確認されています。少なくとも明治より前にいたということですね。


日本には、古くは1833 年にボルネオ島から持ち込まれた記録があり、現在ハクビシンが生息していない山口県で1842 年に捕獲された記録がある。
(引用)

■外来種対策事例等に関する調査|環境省自然環境局野生生物課
http://www.env.go.jp/nature/intro/4document/report/mitigation_cases_annex.pdf

 それにしても、かつての天然記念物(長野県及び山梨県)が外来種・害獣扱いとは、世も末です。在来種のニホンカモシカからニホンザルまで、この国じゃ同様の憂き目を見ていますが・・。
 ハクビシン(白鼻芯)というのは中国名。番組のHP解説にある雷獣がハクビシンのことを指すのではないかという説もありますが、空を飛んで落雷とともに表れる空想上の動物とゴッチャにされてますから、まあ憶測の域を出ません。じゃあ、ハクビシンはやっぱり日本在来の野生動物ではないのでしょうか?
 過去記事で取り上げたことがありますが、狢(ムジナ)というのは、キツネ・タヌキ・アナグマ・テン・(おまけとして空想上の動物)をひっくるめて指した総称。花鳥風月のイメージ先行型で科学的観察眼に欠ける、実にいい加減な野生動物観を有していた日本人らしい呼称といえますね。ディレクターさんも指摘するとおり、この中にハクビシンが含まれていた可能性は大いにあります。ちなみに、形態的には似ていてもハクビシンは、ジャコウネコ科で他の4種と類縁関係は遠く、どっちかといえばネコに近い食肉目(ネコ目)の仲間。
 ハクビシン在来種説を否定する根拠として、化石の出土がない、考古学的文献にも登場しないことが挙げられます。ただ、前述のように、またクジラ関連の史料を見てもわかるとおり、野生動物に対する知見があやふやこのうえない日本の古文書は、はっきり言ってあてになりません。明治あるいは江戸時代以前にいなかったとする証拠もまた何もないといえます。
 日本に現生するハクビシンのルーツを探る試みは、考古学以外に生物学・遺伝学方面からも行われています。

■ハクビシンはどこから来たか〜ハクビシンの遺伝的変異|『どうぶつと動物園』'09冬号
−どうぶつと動物園HP
http://www.tokyo-zoo.net/member/index.html
■ハクビシン|Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%AF%E3%83%93%E3%82%B7%E3%83%B3

 同誌で北大准教授の増田隆一氏による研究が紹介されています。他の野生動物でも遺伝子解析による系統判別手法としてしばしば用いられているミトコンドリアDNA内のチトクロームb遺伝子の変異の解析結果によれば、日本産と東南アジア産のハクビシンの塩基配列の差異は大きく、起源を等しくする地域集団とはいえないこと、日本国内のハクビシンでも中部地方と関東地方にそれぞれ複数のタイプが認められ、ある程度の遺伝的多様性が認められることがわかっています。これは外来種説には分が悪い結果です。Wikiでも、体色などの特徴から他地域の個体群と日本の個体群との差異が大きく、独立亜種である可能性が高いとする仮説が紹介されていますが、少なくとも近年になってペットや産業目的で持ち込まれた一部個体をルーツとする説は過ちといえそうです。ちなみに、この研究は体毛を用いた非致死的研究です。当然だけど。
 ハクビシンが、日本列島が形成され、最後に大陸から切り離される以前の地質時代から生息していた日本固有の野生動物種だとは、たぶんいえないでしょう。これから化石が発見される可能性もゼロじゃありませんけど・・。化石がなくても、現在広く日本国内に分布する動植物はいるわけです。例えば、野生動物というと語弊がありますが、奈良時代に移入されたとみられるネコなんかもそうですね。Wikiの外来種の項目には、史前帰化動植物としてモンシロチョウ、アカザやナズナ、スズメ、アブラコウモリ、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミなどの家ネズミ類、ジャコウネズミ等々と列挙されています。
 筆者が思うに、古墳時代から江戸時代にかけてのどこかの時期に、人の手によってか人知れずかはわかりませんが、日本列島に入ってきてたんじゃないでしょうか? それもかなり前のほうで。ほぼ完全な夜行性で、昼間は樹洞や屋根裏にじっと潜み、見た目はタヌキやテンとの区別がつきにくかったハクビシンのこと。灯りの乏しかった時代、もともと野生動物に疎い日本人がずぅーっと気づかず、たまに見かけたとしても、素性の知れぬ“あやかし”、それこそ雷獣のイメージと結び付け、畏れから正体を明らかにしようと努めなかった──そんなところじゃないかと筆者は想像するわけです。目は暗闇の中で炯々と光り、先住民のデザインした仮面を思わせるコントラストの鮮やかなあの顔の紋様が、たまたま稲光の中にパッと浮かび上がるのを目にしようものなら、そりゃ雷様の遣いか何かだと思い込んで、「触らぬ神に祟りなし」とそっとしておくのもむべなかろう、と──。
 人間によって持ち込まれた経緯については、正確な記録がないので、軍需による毛皮・食肉目的とか研究用とか愛玩用とか諸説紛々たる状態。SARS騒ぎでも名前が挙がりましたが、広東州などでは他の野生動物ともども食用にされています。。増田氏の解説によれば、「日本でも食した記録があり、その味は非常に美味ということ」・・・。肉食動物はマズイというというのがセオリーだけど、果物好きだからかしら? というより、いつの時代どこの国でもゲテモノ嗜好者はいるものなのか(--;; 輸入された食文化があっさり消えて、ハクビシンには幸いだったかもしれませんね。ま、ショクブンカなんて所詮その程度のくだらない代物です。
 番組に話を戻しましょう。近年急速に分布(目撃情報)が拡大しているハクビシンですが、確かにクロミンククジラとは比べ物にならないほど繁殖力は旺盛にしろ、正確な個体数の推移のデータはありません。タヌキやテンとの競合を懸念する声は研究者の中にもあるようですが、当のタヌキも最近東京都心に出没してネコとケンカしたりしてTVなどで話題になってるし・・。半樹上性である点や食性なども考慮すれば、ニホンザルとカクニイザル、ホンドリスとクリハラリス(タイワンリス)、そしてアライグマとタヌキのような、在来種と強く競合して排除してしまういわゆる侵略的外来種とは異なり、ハクビシンとタヌキとはある程度棲み分けているようにも見受けられます。近代以前帰化説が正しいとすれば、少なくともごく最近まで両種が共存できていたことは間違いありません。
 それよりむしろ、個体数動態のこうした傾向はシカ、カラス、ムクドリ、ヒヨドリなどと同じく、人為的な環境変化(劣化)と種の多様性の喪失が招いた帰結のひとつといえないでしょうか? 明治維新後、そして戦後、日本の自然は大幅に改変され、人為的環境への適応力に応じて生態系の種構成にも著しい変化が生じたわけです。ハクビシンは、カラスやムクドリと同様適応力が比較的高かったために“悪者”にされただけなのではないか──筆者の目にはそう映るのです。
 個人的にハクビシンはかなーり好きなタイプだったりします。果物フリークだし。アライグマに比べるとかなり扱いやすい動物で、人にも慣れます。原則として野生動物の飼育はオススメしませんが・・。
 さて、アイヌなど世界各地の先住民とも、科学的合理主義に基づき体系的に自然を捉えてきた近代ヨーロッパ圏とも異なり、ズボラでズサンな動物観・自然観を特徴とする日本人ですが、利点=救いもありました。自然に対する畏れ敬いから距離感を保っていたため、人為的な環境改変が限定され、野生動物と人間が適度に共存できる環境がある程度保たれていたのです。
 ところが、近代に入るや否や、その唯一の美徳・優れた文化をさっさとかなぐり捨て、節操もなく自然制圧的な思考・文化・技術にあっさり鞍替えし、山はスギとヒノキだらけに、海辺はコンビナートとテトラポッドだらけにし、オオカミやカワウソやアシカやトキを絶滅させ、公海の漁業資源を根こそぎにし、世界中から熱帯木材や野生動物製品を買いあさる国に成り果ててしまったわけです。日本という国は、「内の悪いところを矯めて良いところを伸ばし、外の良いところを見習って悪いところは他山の石として省みる」のと、まさに真逆のことをやってしまったわけです。和魂洋才などという聞こえのいい言葉のオブラートで包み込んで。節度やモラルを抜きにした“デントウ”こそたちの悪いものはありません。その象徴こそは捕鯨に他なりませんでした。
 今回の東京マガジンの出演者、制作者、取材を受けた人たちのほぼ全員が、西洋合理主義・キリスト教的世界観に由来するニンゲン至上主義にどっぷり侵されちゃっていましたね・・。動物を対等の存在とみなし、自然に畏敬の念を払っていた古来の日本人の奥ゆかしさ、つつましさは、欠片も感じられませんでした。動物や自然との共存という歯の浮くキャッチフレーズだけ独り歩きする中で、「ちょっとは野生動物の立場に身を置いて考えてみる」ということを誰一人せず、実態を見極める前に“害獣”というレッテルを張り、短絡的に“駆除”に結び付ける……。
 NHK教育で放映された秋道智彌氏プロデュースの「ニッポンはエコ」と高らかに謳う捕鯨礼賛番組と、今回の東京マガジンを、もし世界中のすべての人が見比べたとしたら、「ああ・・日本人って、なんてステキな多重人格者なのかしら・・・」と溜息をつくでしょう。
 ポーランドやイギリスなどの伝統を守って野生動物と共存する“いまの”農家の人たちと比べると(リンク参照)、日本人の一人としては本当に涙が出るほど情けなくなってきます・・・・

 もう一つ、クジラとハクビシンのリンクネタをお届けしましょう。ここまでの記事を読んで、既にお気づきになった方もいるかもしれませんね。
 そう、ハクビシン外来種説に待ったをかけた遺伝的多様性の分析結果。少数の特定集団から個体数が短期間で急増した場合、遺伝的変異は追いつかないので均質であるという、ボトルネック効果(創始者効果)。ハクビシンの場合、中国産が大量導入され、各地でいっぺんに野生化したという可能性もまだ残されていますが、そうは問屋が卸さないのが南極海生態系の事情。
 ハクビシンは1産1〜4仔で通年繁殖しているのに対し、どっかの誰かさんがゴキブリと呼ぶほど大型鯨類の中では繁殖率が高いとされるクロミンククジラでも、1産1仔で最低でも性成熟に7、8年もかかり、繁殖率はパンダ(性成熟年齢は4〜6歳、1産2仔が多い)やコアラ、ペンギンその他多くの野生動物よりずっと低いのが事実。パンダをゴキブリ呼ばわりする人は世界中どこを探してもいませんよね・・。繁殖率がはるかに高い競合種を差し置いて、高々1世紀の間に10万頭未満から70万だの100万だのに激増するなんて、そもそも無茶すぎるのは誰の目にも明らかなことでした。

■南極海、ミンククジラ増えず 調査捕鯨に米研究者が反証 (2/9,共同)
http://www.47news.jp/CN/201002/CN2010020901000171.html
■The end of the Krill Surplus Hypothesis? (1/25,flagburner's blog(仮))
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/7b85221dcb67c1525083986924511bb1
■Are Antarctic minke whales unusually abundant because of 20th century whaling? ('09/12/17,Molecular Ecology)
http://www3.interscience.wiley.com/journal/123216925/abstract??CRETRY=1&SRETRY=0

 英文のアブストラクトは3番目のリンクに掲載されてますが、以下にaplzsiaさんの解説があるので、flagburnerさんのブログの赤いハンカチさんのコメントと合わせてご参照。木村資生氏は中立説で有名な方ですね。

http://messages.yahoo.co.jp/bbs?action=m&board=1834578&tid=a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa&sid=1834578&mid=34665
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834578&tid=a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa&sid=1834578&mid=34680&thr=34665&cur=34665&dir=d
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834578&tid=a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa&sid=1834578&mid=34700&thr=34665&cur=34665&dir=d
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834578&tid=a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa&sid=1834578&mid=34702&thr=34665&cur=34665&dir=d

 さて・・flagburnerさんが教えてくれましたが、鯨研が反論を出してます。共同通信記事が配信されたため、慌てて出したのかもしれませんが、なぜかこっそり英語版のサイトでのみ・・・・

■ICR comments on the paper “Are Antarctic minke whales unusually abundant because of 20th century whaling? ”By Ruegg et al., Molecular Ecology. (1/20,鯨研HP)
http://www.icrwhale.org/100120Release.htm

 なんとまあ、不確実性をこういうときだけ都合よく持ち出してますね〜。ここまで恣意的に使い分けることのできる二枚舌ぶりには脱帽するほかありません。ゼロになったりはたまたマイナスになっちゃうお笑い自然死亡率よか全然マシだと思うけど。IWC-SC(国際捕鯨委員会科学委員会)のは、「遺伝子解析手法を用いる際は慎重にね!」という注意書き。鯨研のコレはただのステートメントで、学術的な反証を何一つ出したわけではありません。
 上掲のハクビシンはじめ、陸上野生動物の場合における遺伝子解析を目的としたサンプリングに比べ、56検体は決して少ないとはいえません。例えば、絶対数が少ないツシマヤマネコやイリオモテヤマネコの解析も行われ、他種との遺伝的比較や種内多様性に関する研究結果としてきちんと学会で報告されているわけです。第一、一番プライオリティが高いはずの(たまに自分たちでも偉そうに正当性を訴える道具にしますが・・)、乳腺や胎児、腎臓中の重金属・有機塩素その他の有害物質分析用に用いられている試料数より多いしね・・。母集団に対するサンプル数の比率の問題はありますが、統計上の有意性が問われる(より多くのサンプルで解析する必要がある)のは、「遺伝的多様性が少ない」という逆の結果が出た場合のみ。
 何よりこの反論が反論にも何にもなっていない最大の理由は、より精度の高いデータを鯨研は持っているはず、出せるはずだからです。研究者であれば、当然わかっているはずのこと。にもかかわらず、明確に白黒付けられるだけの証拠を出さない。毎年毎年あれだけのサンプルを収集しているのに。否定する材料があるはずなのに、肝腎の証拠を突きつけることをせずに、口先だけで誤魔化しているわけです。一体何のための致死的調査、調査捕鯨なのか!?
 実に卑劣きわまる、許しがたいことです。日本鯨類研究所は、科学研究機関の風上にも置けません。
 日本で唯一まともな鯨類学者といえる元帝京科学大学教授粕谷俊雄氏は、以下のように述べておられます(背景着色部分引用)。

IWC総会で日本代表が、SCが調査捕鯨を好意的に評価している旨の発言を日本語でおこない、通訳はむしろ批判的なSCの評価を正しく英語で引用するのを私はロンドンで体験した。当時、総会の様子が日本に送られていたことを知れば、これは国内向けの自己宣伝であると理解される。かつて我々を大戦に導き、鯨を乱獲に追い込んだ日本社会の構造はまだ生きていると見る。('08/6,Japanese Journal of Human Animal Relations)
昔、研究費を稼ぐための調査捕鯨もありえるSCで発言した日本の科学者がいた。いまではそのような発言はないが、SC科学者の多くは、日本の調査捕鯨をそのように見ている。これまで科学的な観点から調査捕鯨計画に意見を述べてきたSC科学者も無益であるとして今年は意見表明をやめた者が多い。調査捕鯨の意図を外から推し量るのは難しいので、@科学者が自主的に調査捕鯨計画を決めているか、A科学者の判断で非致死的方法を選択する自由があるか、B捕獲調査継続へ外部の圧力があるかなどで判断せざるをえない。@は疑わしい、Aはほとんど自由がないとみる、Bは圧力が大きいとみる。(中略)毎年1000頭以上の大型野生動物を捕獲する研究を続けることが研究者倫理にかなうのか、研究者のエゴではないかという疑問がある。調査捕鯨成果の掲載を拒否する学会があるのは、いまの学会の倫理観が60年前の条約のそれとは違ってきたことを示している。私が思うに、このような事業を長く続けるのはよくない。何よりも担当研究者を苦しめるし、腐敗発生の恐れもある。昔、調査捕鯨計画に発言する機会をもった科学者のひとりとして責任を感じている。日鯨研の研究部局は捕鯨行政から切り離して然るべき海洋研究組織に移し、後方・宣伝部局は水産団体に移すのがよい。('05,エコソフィア)

 腐敗は報道された監督官らの“土産”授受、あるいは共同船舶の内部告発者が赤裸々に語ったランダム・サンプリングの虚偽の形で端的に示されるとおり、既に相当根深く進行していると見た方がいいでしょう。ウヨガキを彷彿とさせる御用学者らの自画自賛的すりかえ要約ではない、調査捕鯨のSCによる評価が知りたい方は、以下をご参照。

■科学委員会報告 国際捕鯨委員会 アンカレッジ2007年 (抄訳)|東京大学先端科学技術センター 米本研究室
http://yonemoto.rcast.u-tokyo.ac.jp/PDF/Report_of_the_Scientific_Committee_2007_J_.pdf
■調査捕鯨自体が否定した3つのトンデモ論 (拙HP)
http://www.kkneko.com/jarpa.htm

 ついでにいえば、オキアミ余剰仮説を証明してくれる動物はいないわけじゃありません──クロミンククジラの代わりに。過去の商業捕鯨の乱獲によって引き起こされた南極海生態系の撹乱の証ともいえますが、実際に個体数動態に変化が見られた可能性が高いと考えられる動物種がいるからです。急増したことが確認されているカニクイアザラシとミナミオットセイ(オットセイ自体の乱獲からの回復も含みますが)。それらの種からサンプルを採取し、遺伝的変異の幅を提出されたクロミンククジラのデータとつき合わせれば、ボトルネック効果が果たしてあったかどうかという問題の科学的な決着は容易でしょう。姑息なゴマカシを図るくらいなら、資源としてはクロミンククジラより“頑健”なのは否定の余地がなく、南極条約の下で厳格に(捕鯨ニッポンに言わせればサベツ的に)保護されているとはいえ、科学的な正当性があれば研究目的の捕獲許可も下りるはずのオットセイ、アザラシ、ペンギンを対象に、科学的精度を高めるための大規模な経年致死的調査をやりゃいいんです。IWC下の鯨類資源管理/業態管理という目的の上でも、科学的に枯れきった現行の調査捕鯨なんぞより優先順位ははるかに上。
 んでもって、「日本が誇る焼き鳥文化だ、何が悪い!」と世界に声高に言いふらしつつ、長崎ペンギン水族館の前で副産物をフライドチキンならぬフライドペンギンにでもして売りさばきゃいいんですよ。「カワイイが保護色」系写真集が売れ動物園のアイドルに群がる動物愛誤大国ニッポンで、もしできるものなら。
 ま、ハクビシンからクジラまで、「殺すなというのは差別だから一切まかりならん! 何でもかんでも好きなように好きなだけ殺せるのが平等だ!」と吠えて殺しまくる、自然や生命に対する伝統的な畏敬の念をすっかり失くしてしまった、あまりにも変わり果てた捕鯨ニッポンでなら、調査捕アザラシも調査捕ペンギンもできない相談じゃないかもしれませんがね・・・・
 それが出来ない(しない)以上、ガラクタ仮説はとっくにゴミ箱行き!!

関連リンク:
−調査捕鯨で絶対わからない種間関係の生物学的重要性 (当ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/16989845.html
−動物保護先進国イギリスと後進国捕鯨ニッポン (〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/26786878.html
−東洋VS西洋? (〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/15855631.html
−シカとクジラ──神聖な動物を邪魔者扱いする捕鯨ニッポン (〃)
http://kkneko.sblo.jp/article/19808644.html


 
◇捕鯨は森林破壊に勝る環境破壊!!・その2

http://kkneko.sblo.jp/article/35896045.html

 前々回、炭素循環/地球温暖化防止の観点からすれば、クジラが森林“以上”にきわめて重要な役割を担っているということをお伝えしましたが、どうも大いなる誤解をされている方が少なくないようです。確かにややこしい話ですし、理解できてもいない反反捕鯨論者のミスリードが容易な点もありますが、これは環境問題の観点から捕鯨を論じるうえで欠かせない視点ですので、改めて補足しておきたいと思います。
 炭素を除去する生物ポンプの担い手として重要なポストを占める大型鯨類(ニッチの近い他の大型海洋動物含む)の保全が、森林保全以上に重要だという点については、前回の記事を復習していただければ十分でしょう。

@1世紀前に比べて激減している多くの大型鯨種を速やかに初期資源状態に持っていく必要がある。

 言い換えれば、そのために汚染・乱獲・乱開発にきちんと歯止めをかけ、海洋生態系のバランスを健全な状態に持っていく必要があるわけですが。アザラシやペンギンなどを間引く必要があるかについては保留・・。クロミンク間引き説には前述のとおり科学的根拠はもはやありませんが、こちらも効果のほどは疑問。ま、日本を含む国際世論の反発がなければ、やりたいヒトがやりゃいいんじゃないでしょーか・・・

A他の鯨種が回復せずバイオマス(〜炭素輸送量)が不十分な当面の間、クロミンククジラを保全する重要性はいや増して高くなる。
 クロミンクは、無責任極まりない捕鯨業者のを一手に被ってくれているありがた〜い存在です・・・・。彼らにしちゃいい迷惑でしょうけど・・・

B鯨類の炭素固定能をフルに活かすためには、自然死亡率を最大化、すなわち人為死亡率を最小化する必要があり、商業捕獲枠はゼロが最適。

 素朴な反反捕鯨原理主義者らの説く再生産云々は、そもそも乱獲を阻止できなかった時代のカビの生えたMSY理論の話で、母船式捕鯨で正しく運用できた試しがありません。いずれにしろ、再生産率の増加は人為死亡が自然死亡分を「食う」ことで働くとゆー理屈です(一般の方には少々理解が難しいかもしれませんが)。ここが落とし穴で、生物ポンプ機能の観点からは、自然死亡率を下げてもらっちゃ困るわけです。
 初期資源状態で適度な自然死亡が発生してこそ、炭素固定・除去という自然な元素循環の過程が最大限保証されるわけです。それは同時に、深海生態系の種の多様性保持にきわめて重要とされる鯨骨生物群集への継続的なリソース供給という側面も合わせ持っています。
 最も安全とされる現行のRMP(改訂版管理方式)ですが、海洋環境・生態系の重要な機能である生物ポンプに果たす鯨類の役割については、残念ながらまったく考慮されていません。

 お断りしておきますが、これはあくまで最善・最適という話です。「木を一本も切るな」という主張と「クジラを一頭も捕るな」という主張は、確かに科学的根拠があるとはいえない原理主義に基づいている意味で同レベルでしょう。それでも、森林も海洋大型生物も、可能な限り保全することが望ましいことは議論の余地がありません。さらに、より長期の炭素固定&除去機能があり、植林という人為的な更新手段がない点で、鯨類(その他海洋大型生物)保全の重要性は森林より一段高いということはできます。炭素固定のためには、森林より鯨類保護のほうが効率的ということ。両方やる必要があるのは当たり前のことですがね。
 森林伐採や捕鯨(サメ漁・マグロ漁などを含む)については、代替資源の模索や産業利用のあり方の再検討(e.x.伐採に代わるゴム採取、WWのような非消費的利用、飽食廃食大国ニッポンの真剣な反省・・・)とともに、社会的必要性について十分吟味する必要があります。公海上であれば、必要性のレベルが国際的に検証されるべきであるのは当然のこと。また、知床、白神山地、屋久島、南硫黄島、白保などのように、あるいは南極海のように、固有性・稀少性がより高い自然環境であれば、生態学的なモニター以外の理由で手をつけないことが合理的な最適解であるということができます。前回の記事で指摘したように、生物ポンプとしての機能がとくに高いと考えられる南極海の鯨類と取り巻く生態系をサンクチュアリとして保全することには、二重の意味できわめて高い正当性があるのです。
 「海の森林」として鯨類を保全していくことの重要性については、WWFノルウェーも環境保護先進国である同国できちんと市民に説いて理解を広めてくれるでしょうし、温暖化から南極保護関連まで、地球環境保全の文脈で開かれる様々な国際会議の場で今後取り上げられていくことになるでしょう。もちろん、IWCの場でも。
 言っときますが、ニンゲン風情がサメやシャチのポジションを奪って代行(一部のみ利用して大半を海底投棄)を買って出ようったってダメですよ。採算性・需要を度外視してサメやシャチに“嗜好”を合わせようってんならいざ知らず、進化史を経てその座についた正統な天敵である彼らを困らせ、生態系のバランスを崩すだけです。自然死亡がどの時期どの海域でどの程度発生しているか等、この先半世紀くらい輸送のメカニズムを研究したところで、どのみち天敵代行なぞ不可能でしょうけど。
 もう一点、一般の読者には聞かせる必要のない余談ですが、ネット依存症患者の鯨肉フェチの中には、トトロの森やアファンの森の木を守ってもCO2吸収量は微々たる物だから「保護を訴えることは罷りならん」というレベルの、常軌を逸した主張を展開している人物もいるようです。反反捕鯨論者の異常性の前では、演出の意味を弁えているシー・シェパードすら霞んで見えますな・・・・

 

◇クジラとジュゴン・リンク署名、進捗のご報告

 おかげ様で日本語版が160名、英語版が380名に達しました(3/9現在)。
 オーストラリア在住のYさん、中東在住のNさんには、現地で邦人と地元の方々に呼びかけていただきました。賛同ブログ・HPにもたくさん名乗りを挙げていただいています。海外版の署名には、世界中のありとあらゆる国にお住まいの方がサインをしてくださっています。ご協力いただいたたくさんの皆様に感謝m(_ _)m
 日本語版の方をもうちっと頑張らないといけませんね・・。ブロガーさんへの告知、沖縄報道等の確認、プレスリリース配信、NGOさんへの連絡など、手が10本あっても足りない状態(--;;
 一点、お詫びとお知らせがあります。書名のお知らせ欄でお伝えしましたが、沖縄普天間飛行場移設問題に関しては、一部の新聞で「現行案断念を米に伝達」と伝えられるなど、情報が錯綜している状態。

1.米側の担当者は「現行案が最善」との立場を崩しておらず、辺野古沖(米軍キャンプ・シュワブ沿岸)案が撤回されるかどうかは5月末の決着まで予断を許さない状況にあること。
2.キャンプ・シュワブ陸上案については、演習や開発工事による生息海域の汚染の激化に加え、非常にデリケートな動物であるジュゴンに対する騒音の悪影響は陸上であっても看過できず、ジュゴン保護の立場からは容認できないこと。
3.うるま市津堅島周辺(米軍ホワイト・ビーチ沖合)案については、貴重な干潟である泡瀬干潟の沖合にあたり、豊かな藻場がジュゴンの餌場となるため、やはりジュゴン保護の立場からは容認できないこと。


 2.3.など取り沙汰されているいくつかの移設先候補は、ジュゴンの生息を脅かす点で辺野古沖案と何ら変わりありません。
 1.の理由から引き続き辺野古沖移設反対を前面に掲げますが、この署名の主旨はあくまで「ジュゴンを守ってほしい」ということですので、日米両政府に対しては「辺野古沖を含む、沖縄のジュゴンに悪影響を及ぼす米軍基地移設計画のすべて」に対して中止を求めていきます。沖縄の人たち、ジュゴンたちの側に立ってくれる皆さんであればご理解いただけると思いますが、ご了承のほどお願いいたします。

posted by カメクジラネコ at 01:39| Comment(9) | TrackBack(0) | 自然科学系

2010年03月04日

「いっせいのせ」でやめよう!! 辺野古移設と調査捕鯨!!──小原秀雄先生が賛同人に!!/捕鯨は最悪の環境破壊!!

 ビッグニュース!!!
 「クジラとジュゴン・リンク署名」の賛同人として、女子栄養大学名誉教授の小原秀雄先生にお名前を拝借させていただくことができました!!
 小原先生といえば、世界的にあまりに有名な動物学者・人間学者・環境科学者であり、国際舞台で野生動物保護のために献身的に尽力され、後進国日本の面目をほとんど一人で保ってこられたといっても過言ではない、この分野における草分け的存在。国際哺乳類学会などの学会、国際自然保護連合(IUCN)、世界自然保護基金日本委員会(WWF−J)、日本自然保護協会(NACS−J)を始めとする数多くのNPOの役員を歴任され、また野生生物保全論研究会会長として国内の若手研究者・野生生物保護のエキスパートの育成に努めてこられた方です。環境問題・野生動物問題に関心のある方で、その名を知らぬ人はいないでしょう。『生物が一日一種消えてゆく』(講談社ブルーバックス)は、私も含め多くの世代の若者たちに感銘を与えたバイブル的著書であり、こめられたメッセージは今なお色褪せることがありません。小原先生は日本を代表する動物学者、著名人として、一貫して日本の大規模な商業捕鯨/調査捕鯨に異を唱えてこられた方でもあります。実は筆者は小原先生とは幾度かご拝顔の機会に預かったことがありまして、ロバート・シーゲル先生とともに拙著のご感想をいただいた数少ないお一人でもあります。

 日米の大所に賛同人になっていただいたところで、マスコミ向けのリリースも開始しました。
 今回の署名では、市民ブロガーの皆様、MIXIの「捕鯨反対!!」コミュの参加者の皆様始め、大勢の方々に告知にご協力いただきました。記事等でリンクされなくてもかまいませんので、賛同ブログとしてお名前をお貸しいただける方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。

 

◇捕鯨は最悪の環境破壊!!──水産庁の無策目くらまし捕鯨推進政策こそ日本の癌!

■生態系損失、海や水辺で深刻…開発や外来種で (3/2,読売)
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20100302-OYT1T01170.htm (リンク切れ)

 報道は環境省の発表によるものですが、読売さんがとってもわかりやすい図を示してくれています。
 ・・・・・。
 水系の自然が特にボロボロですね・・・・
 自然海岸を台無しにしまくった水産土木事業にしろ、遊漁業団体のリクツを押し通した結果である外来魚問題にしろ、あるいは腰が定まらず農業従事者と里山の自然を振り回してきた農地関連政策にしろ、ぜ〜んぶ縄張りとして環境省の口出しを阻んできた農水省/水産庁の政策上の欠陥が根本原因。深刻な過剰漁業問題と合わせ、農林水産官僚の責任はきわめて重大といえます。
 彼らが自らの無能と怠慢を覆い隠す責任逃れの口実として用いてきたのが、いわずと知れた捕鯨推進プロパガンダ矛先を南極の野生動物と海外の市民団体に向けることで、実に見事に批判をかわしてきたわけです。
 つまるところ、日本の貴重な生態系をここまで損ねた犯人こそ、官僚・御用学者・既得権益業界が渾然一体化した捕鯨サークルに他なりません。まさに日本の癌
 狭義国益・メンツと引き換えに国の自然を蝕む最悪の環境破壊者・捕鯨サークルはとっとと解体させましょう!!

参考リンク:
−水産行政とクジラ (拙HP)
http://www.kkneko.com/suisan.htm

posted by カメクジラネコ at 00:35| Comment(4) | TrackBack(0) | 社会科学系

2010年03月03日

捕鯨は森林破壊に勝る環境破壊!!/署名英語版もスタート!

◇捕鯨は森林破壊以上の環境破壊!!!!

@大型クジラは炭素を貯蔵する海の森林? (2/27,フリーランス英独翻訳者を目指す化学系元ポスドクのメモ)
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/62925350.html
A低炭素社会のためにも捕鯨をやめよう/クジラの骨SUGEEEEEEEE (2/27,蝉コロン)
http://d.hatena.ne.jp/semi_colon/20100227/p1
BWhales and sharks as carbon credits? (3/2,flagburner's blog(仮))
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/2a955711fe2eaac06b895caaf376f346
CCarbon credits proposed for whale conservation (2/26,Nature)
http://www.nature.com/news/2010/100226/full/news.2010.96.html
DWhaling worsens carbon release, scientists warn (〃,BBC)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8538033.stm
E生物ポンプ|Wikipedia
ポãƒ3ãƒ−">http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E7%89%A9%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%97
F生物ポンプが地球を救う!? (2/1,リバコミ!)
http://livacomi.jp/item_2204.html (リンク切れ)
G海洋表層の海の森/“生物ポンプ”によるCO2の循環
http://www.asahi-net.or.jp/~ZU5K-OKD/house.12/control/control.3.htm
H海洋の炭素循環|気象庁
http://www.data.kishou.go.jp/kaiyou/db/co2/knowledge/carbon_cycle.html
I炭素循環|Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%AD%E7%B4%A0%E5%BE%AA%E7%92%B0
J陸期限微量元素の海洋生物ポンプに果たす役割に関する研究|東大海洋研
http://www-aos.eps.s.u-tokyo.ac.jp/kyosei/member/pdf/16-3-2sano.pdf

 非常に興味深い科学的知見が明らかになりました。まずは、上掲@ABのブロガーさんの記事をご一読。一次ソースはCDのリンク。
 一言で言えば──


>この炭素量は温帯の森林11,000平方キロメートル分に匹敵するのだと言っています。だから捕鯨は大規模な森林伐採に等しいのだ!
(A〜)
>捕鯨をやめてクジラが増加すれば、陸上の森林のように炭素固定に利用できると考えている。
つまり捕鯨というのは、燃料用に木を切ることと同じ行為だという。
クロマグロなどの大型魚類も含めて、捕獲をやめた分を 「炭素クレジット」 とすることも提案されている。
(@〜)

 ──ということ。
 筆者はここで、炭素循環/地球温暖化防止の観点からすれば、クジラが森林“以上”にきわめて重要な役割を担っているということを解説したいと思います。
 生物ポンプについては、EFG辺りを読んでさらっと勉強しといてください。炭素循環の比較的わかりやすい図として、HIも合わせてご参照。
 海中のプランクトンが吸収する炭素量は、当然ながら研究者によってデータの取り方が違うので数字には幅がありますが、大体400億〜500億トン程度とみられています。

海洋性の植物プランクトンと、陸生の植物全体が、ほぼ同量のCO2吸収量(G〜)

 とあるように、数字だけ取ってみても、海洋生態系が森林に匹敵する役割を帯びていることはおわかりいただけるでしょう。ただ、いま地球温暖化の文脈で生物ポンプが注目されているのは、海洋生態系に森林にはない機能があるからです。それが炭素の除去
 Wikiの図解では6100億トンとありますが、これが陸上の植生に貯蔵される炭素量。実は、この一時的な貯金は、木が枯死するなどして分解される過程で全部大気中に戻ってしまいます。貯金が有効なのは、せいぜい十年から百年のスパン。それに対し、海洋の生物ポンプによって蓄えられる炭素は、最大の貯蔵庫ともいわれる中深層海水中の溶存炭素(炭酸塩・重炭酸塩含む)の形で貯蔵される分で千年。さらに重要なのは、一部が海底に堆積して循環のサイクルから完全に外れるということです(実際には岩石圏経由で還元しますが、数百万〜数億年先の話)。
 Aにある生物ポンプで運ばれる炭素量400億トンというのは、おそらく吸収量の間違い。こちらも幅があって気象庁(一次ソースはIPCC2007)の図解では110億トンとなっていますが、大体年間数十億トンとされているようです。比較するなら、海洋生物の貯蔵量(バイオマスとしての分)30億トンのほうですね。確かに鯨類の900万トンというのは、割合としては大きくないように見えます。
 ところが、この数字には実は非常に大きな意味があるのです。ポイントは、海洋生態系の中で鯨類が占める特殊な位置づけ。
 生物ポンプの担い手は主に3通り。ひとつは、有孔虫や放散虫などに代表される海洋プランクトンの死骸(総量としてはこれが大部分)。ふたつめはサンゴや貝などの炭酸カルシウムの骨格。そして、第三の担い手こそクジラなのです(クジラに近いニッチの、天敵が少ない長寿命大型海洋生物を含む)。
 『死んだ魚を見ないわけ』という一般向けの教養書が流行りましたが、それ以外の生物を経由する炭素は、食物連鎖をめまぐるしくめぐってすぐに表層海水・大気中に放出されます。一方、自然死した大型鯨類は、鯨骨生物群集が示すように、表層の炭素をダイレクトに深層に持っていく役割を果たすからです。
 そして、もうひとつ重要な点。プランクトンの発生量〜炭素固定量は短期的な変動が非常に大きいのに対し、繁殖率が低く長寿命で食物連鎖の上位を占める鯨類は変動が緩やか(ニンゲンの介入さえなければ、ですが・・)。気候変動の過程で生物ポンプが温暖化を加速する方向に働くのか、それとも抑制するのか、どちらでもないのかについては、諸説あって議論が分かれているところですが、少なくとも地球温暖化を食い止めるためには正のフィードバック(加速)を避けたいもの。サンゴなどは、海水の酸性化と水温上昇により温暖化するほどダメージを受けるので無理。プランクトンの増殖は栄養塩類の供給に左右されるのであてにできない一方、富栄養化−>赤潮というニンゲンにも他の海洋生物にも好ましくない状況に依存することに。その点、「海の森林」たる鯨類その他の大型海洋動物の保全は、ニンゲンが過剰漁業、汚染、沿岸乱開発をやめ海洋生態系が健全な状態にさえ保たれるなら、最も優れた炭素固定の手法といえるでしょう。
 さらに重要な点をもうひとつ。ここで資料Jをご覧いただきましょうか。


>他の陸起源微量元素と同様に河口域などで活発に除去され、外洋域への水平輸送はそれほど大きくないと考えられてきた。しかし、本研究の結果は、南極海において水平方向への輸送が比較的遠い範囲にまで及んでいることを示している。


 これは何を意味しているのかというと、実は海洋生物による炭素固定は一義的には栄養塩類の供給量に依存していて、その栄養塩類の供給が海中の有機物由来である場合は炭素収支としては差し引きゼロに等しいのです。つまり、森林と同じで、一時的に貯蓄はできても減らすわけではないということ。しかし、栄養塩類が陸上から供給される場合は、その分ストックを追加していくことができるわけです。通常、河川を通じて供給される陸上由来の栄養塩類は、表層・沿岸の生態系で消費され、やはり大気や表層海水中に還元されてしまいます。しかし、南極では豊富な深海からの湧昇流中の栄養塩に加えて陸上起源の栄養塩類が広域に供給されるため、南極海生態系の食物連鎖を通じて最終的に深海へと、その分追加で炭素を運搬・除去していることになるわけです。その中で、鯨類こそは生物ポンプの要として、欠くことのできない役割を演じているのです。
 総量としては、確かに鯨類がカバーしてくれる炭素量は、すべての森林による吸収量、あるいは産業由来CO2排出量に対して大きいとはいえません。しかし、重要なのは単位生物体量当りで見た炭素固定・除去量。Natureの記事にある「11000平方キロの森林に相当」という表現は、実際には上述の理由で「11000平方キロの森林“以上”に相当」というのが正解。寿命の長さや生態系における位置づけと深海への運搬プロセスの担い手という重要な要素が決め手となり、南極海のクジラは、まさに森林に勝るとも劣らない地球温暖化防止のカギを握る存在なのです。
 化石燃料の燃焼などニンゲンの産業文明に由来する炭素は、自然の炭素循環の動的平衡状態を崩すもの。経済に例えるなら、通貨の需要と供給のアンバランスが生じて入超となったインフレ状態。リーマン・ショックじゃないけれど、産業界(生物圏全体)が特定の一企業(ニンゲンという動物の一種・・)の所為で大迷惑を被っているわけですね。森林に蓄えられる炭素はいずれ大気中に戻るので、収支は常にプラマイゼロ。短い定期預金みたいなもん。ニンゲンによる増分の炭素まで貯めておくには、森林の面積をどんどん“増やす”必要があります。それに対して、ニンゲンが増やした超過分の炭素を取り除いてうまく平衡状態に戻してくれる可能性があるのが、この生物ポンプなのです。貨幣価値がどんどん下がり、物価が上げる一方のインフレの最中となれば、いまのうちに物に替えとこうと買い溜めに走るのが消費者心理というもの。そんな中で、市場にあふれた余剰通貨を回収し、箪笥預金にしてずぅーっとしまいこんでくれるありがた〜い存在がクジラたちってとこです。
 地球温暖化を防止するためには、省エネの推進、自然エネルギーへの転換、排出削減のための技術開発、原生林の保全、植林、砂漠化防止etc.etc.と全方位的な対策が必要。もちろん、あらゆる産業と同じように、農業も畜産も漁業もその例外ではありません。大事なのは、社会システムと価値観のパラダイムシフト。「森林保全か捕鯨禁止か」という二者択一はナンセンスな命題。両方やらなくてはなりません。
 その中で、森林保全以上に大きな意味を持つ捕鯨禁止、鯨類と彼らを取り巻く海洋生態系の保全が、とりわけ率先して取り組むべき課題であることは否定の余地がありません。なぜといって、捕鯨禁止は、森林保全にかける少なくない経済的・社会的負担の一部を効率的に軽減してくれるのですから。同等の炭素固定量分の面積の森林保全/造成よか、バカげた補助金漬け国策事業をとっとと廃止するほうがよっぽど簡単なのは、誰が考えてもわかることでしょう。年間2千万トンの食糧を廃棄する飽食大国で、カガクだかブンカだかもよおわからんくだらん事業にかけている財政負担が減るんだから、納税者としても万々歳ですし、長年続いてきた官民癒着の悪しき弊害も炭素と一緒に除去できるとなれば、これはもう一石三鳥ですね。
 繰り返しますが、地球温暖化を食い止めるためには、豊かな海の生態系のバランスを取り戻し、その中で健全な役割を果たせる状態にまで鯨類の個体数を回復させることがきわめて重要なのです。

 

◇「いっせいのせ」でやめよう!! 辺野古移設と調査捕鯨!!〜英語版署名もスタート

■Stop Henoko Relocation & Research Whaling|Care2
http://www.thepetitionsite.com/1/protect-dugongs-and-whales

 告知が遅れましたが、英語版も開始しました! 海外のお住まいのお知り合いにぜひお知らせください。最終的には日本語版・英語版セットで鳩山首相とオバマ大統領に宛提出しますが、重複署名も可です。
 3/1現在の署名の数は、日本語版92人に対し英語版204人。個人が始めたインターネット署名としてはまずまずの滑り出しだと思いますが・・。翻翻訳しただけで中身は一緒なんですが、日本語版は専ら国内の日本人の方向けなのに対し、英語版は米国向けだけではありませんし、市民運動の浸透度からしても差が出てくるのは仕方ないですね・・。そうはいっても、一日本人としては“譲り合い合戦”で遅れを取りたくないもの。メールやツイッターなども通じて、お友達にもぜひお知らせください。

 引き続き皆様のご支援・ご協力をお願いいたしますm(_ _)m
posted by カメクジラネコ at 01:19| Comment(2) | TrackBack(2) | 自然科学系