2010年01月30日

反反捕鯨論者のための復習帳・2冊目

◇捕鯨批判ブログ紹介他

 先に、livedoorにも配信されている市民メディアPJニュースの記事から。記者は環境ジャーナリストの方です。最少字数で要点がきっちりまとめられた、まさにお手本になる記事。筆者のとは対照的(スミマセン。。。m(_ _)m) 調査捕鯨問題、TVで映った南極での騒動にチラッと関心を持ったというレベルの方にはピッタリなので、そういうお友達がいたら紹介してあげましょう。

■なぜシー・シェパードは日本の捕鯨船を攻撃するのか? (1/9,PJニュース)
http://news.livedoor.com/article/detail/4540382/
http://www.pjnews.net/news/166/20100109_4
■クジラの肉、在庫が余るのに調査捕鯨再開を目指すのはなぜか? (1/27,〃)
http://news.livedoor.com/article/detail/4571022/
http://www.pjnews.net/news/166/20100125_7
■商業捕鯨は儲かるのか?融資を返せないほど厳しい財政事情 (1/29,〃)
http://news.livedoor.com/article/detail/4576048/
http://www.pjnews.net/news/166/20100128_13

 ただ・・同ニュースがやっつけで始めた世論調査は、Yahooや豪ヘラルド・サンと同じで、1人何票でも投票可能。全然世論調査などではないし、集計数も共同船舶の社員数より少ないし、意味ないニャ〜。。

■クジラを食べ過ぎると体に水銀が溜まる? (1/26,不条理日記)
http://himadesu.seesaa.net/article/139452176.html

 今月22日に報じられた朝日報道を取り上げてくれています。
 そっか・・前回取り上げた鯨研のヘンテコな「料理レシピ的マメ知識コーナー」、考えてみりゃ、これ見て「やっべ!」と思って、古いのかき回して掲載したんだね。。。

■The end of the Krill Surplus Hypothesis? (1/25,flagburner's blog(仮))
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/7b85221dcb67c1525083986924511bb1

 いつも「メディアが取り上げるニュースの裏側」と「メディアが扱わないニュース」という2種類の重要情報を拾ってくれるflagburnerさんには感謝してもしきれません。記事は最近の科学系雑誌に掲載された、オキアミ余剰仮説/クロミンク競合・間引き必要説が瓦解して大隈御大が恥かいたことを証明する論文を紹介。赤いハンカチさんのコメントも合わせてご参照。

■鯨問題は民族主義者とニューエイジャーの宗教戦争? (1/29,飛語宇理日記)
http://yanenoueno.seesaa.net/article/139705082.html

 距離を置いて捕鯨推進派と捕鯨批判派の対立の構図を眺めた面白い視点。


 

◇反反捕鯨論者のための復習帳・2冊目

 前回に続き復習シリーズだニャ〜。参照記事に付いているリンク先の一次ソースもしっかり読んでお勉強しましょう。

 
Q3:牛肉生産では1kg当りの温室効果ガス排出量が36.4kgだと聞きました。それと比べれば、捕鯨の方がやっぱりエコなのではないでしょうか?


A3:まず、この数字が掲載されているのは、つくばの畜産草地研究所という農水省所管の研究機関の研究者の論文です。牛肉1kg当り温室効果ガス排出量36.4kg(CO2換算)というデータは、モデル試算値にすぎず、日本における牛肉生産による温室効果ガス排出量の実測されたデータの平均値ではありません
 ちなみにこスウェーデンの論文(2003)によれば、有機農法型畜産を選択することによって排出量で40%、エネルギー消費では実に85%の削減が可能という結論です。つまり、システイン含有飼料との組み合わせを使えば、この算出条件で排出量を8kg以下に抑えることもまったく不可能ではないのです。
 まじめな研究者の方が地道に行った、畜産の環境負荷を軽減するための方策を探る社会的に有益な研究を、自分たちのタメにするためにここまで愚弄するのが、反反捕鯨論者(産経含む)の異常な性向だという一語に尽きますね・・。
 繰り返しますが、捕鯨産業の環境負荷が「(単位生産重量当りで)最大」かどうか、畜産より高いかどうかは、バウンダリー(境界条件の設定)を調整した専門家の手による比較研究が存在しないので、誰も回答を持ち合わせていません。
 捕鯨に関していえば、産経のあまりにもずさんなガセネタ報道については、水産庁と水研センターが存在を公式否定、筆者の試算(燃料消費分と冷媒関連で8kg/kg-CO2以上)は排出量の一部でしかありません。
 ちなみに、バウンダリーの調整が必要なのは「迂回生産」ではありません。「直接及び間接的な排出コスト」です。

■捕鯨は牛肉生産のオルタナティブになり得ない
http://www.kkneko.com/ushi.htm
■【「捕鯨はエコ」はデマだった】補足
http://kkneko.sblo.jp/article/29660865.html
■開き直った捕鯨ヨイショ新聞産経
http://kkneko.sblo.jp/article/29891813.html

 
Q4:単位生産重量当りの違いというのがよくわかりません。同じように船で運ぶのに、なぜ捕鯨とそれ以外とで差がつくのでしょうか?


A4:まず、単位をそろえる必要があることをご理解ください。「1kg生産するのにどれくらいの温室効果ガスが排出されるか」を、それぞれの排出活動で条件を同じにして比較しなければ意味がありません。
 少しやさしく解説しましょう。

<燃料消費>


1.スケールメリット
 船舶航行にかかる単位輸送量・距離当りの燃料消費、つまり燃費は、大型船舶になるほど改善されます。捕鯨船団の場合、輸送船が2隻もあって、輸送しない(一部除く)高燃費の小型船が多数含まれるので、きわめて不利になります。

2.片道と往復
 貿易輸送にかかる排出量コスト計算は片道です。これは環境省/経産省/国交省が定める温室効果ガス排出量算定基準に基づいています。簡単にいえば、貿易輸送の場合は通常往路と復路で異なる貨物が輸送され、また空荷航行の場合も燃料消費量は大幅に下がるからです。一方、漁業・捕鯨の場合は、港への往復航行時を含む操業中の燃料消費のすべてが活動に伴うエネルギー消費/排出量になるのです。単純計算で2倍を超える開きとなります。

3.フードマイレージ
 フードマイレージ自体は科学的に厳密な定義ではなく、食糧輸送にかかるエネルギー消費について一般市民にわかりやすいよう定義されたものです。
 燃料消費量/温室効果ガス排出量は輸送距離にほぼ比例して増大します(単位生産重量当り)。距離が遠いところから持ち運ぶほど輸送にかかる環境負荷はほぼ直線的に上昇するのです。沿岸捕鯨と遠洋捕鯨ではそれだけ大きな違いがあるということです。
 さらに、南極海調査捕鯨/商業捕鯨の場合は周辺の暴風圏を往復時に突破しなければならず、その分単純な航行距離以上に燃料消費がかさむことになるのです。

<冷媒>


1.スケールメリット
 容量に応じて電力消費、冷媒使用効率も変化します。容積と表面積の関係から、小型の冷凍設備ほど単位容積当りのロスする熱量が増え、冷房効率が下がるからです。

2.陸上倉庫

 反反捕鯨論者が鯨肉という商品の持つ特異性として認めるとおり、鯨肉の生産量に対する在庫の比率は際立って高くなっています。在庫保持率の指標となる年間最低月末在庫量の年間生産量に対する比率は、全水産物の平均が約12%なのに対し、鯨肉ではなんと50%を越えているのです(平均月末在庫量では80%超)。水産物といっても、加工原料/加工品、輸出入割合の高いもの、季節ものなど各種在庫傾向の異なるものがある中で、ここまで大きく数字が開いている品目は鯨肉以外存在しません。
 在庫比率が大幅に高いということは、当然ながら陸上冷凍冷蔵倉庫運転にかかる電力消費/冷媒使用による単位生産重量当り温室効果ガス排出量が、その分大幅に増えるということを意味します。

<LCA>


 各種の陸上設備の建設やメンテナンス、廃棄時等にかかる排出コストも、生産重量で割って計算しなければ比較できません。生産効率とスケールメリットが関わってきます。
 船舶については、建造とメンテナンス、廃棄にかかる排出を耐用年数×年間輸送量で割って単位を調整することになります。捕鯨船団は年2回の操業期間のみの生産のため、船舶(トン)当りの年間輸送量で大きく引き離され、単位生産重量当りで見れば、排出量が他の食品よりずっと大きいことになります。
 このように、輸送にかかる燃料消費/冷媒関連/LCA関連では、公海捕鯨の温室効果ガス排出量は《単位生産重量当り》で圧倒的に不利となってしまうのです。この環境負荷の高さが高コスト体質と直結するわけですが。
 正確に何倍、何十倍公海捕鯨の方がこれらの排出コストが割高になるかについては、水産庁/鯨研/共同船舶が正確なデータを公開し、研究者がバウンダリーを調整して比較考証することによって初めて明らかになることですが。

■地球温暖化とクジラ
http://www.kkneko.com/ondanka.htm
■グラフで解る鯨肉在庫のカラクリ
http://www.kkneko.com/zaiko.htm
■調査捕鯨による温室効果ガス排出量はやっぱり最低でも年間4万トン(C02換算)以上だった!
http://kkneko.sblo.jp/article/29682226.html

 
Q6:FAO(国連食糧農業機関)も「畜産が最大の環境破壊だ」といっています。それに比べればマシなはずの捕鯨がなぜ問題にされるのか、どうしても理解できません。


A6:まず先にA2とA3をご一読ください。
 牛肉生産が不利なのは、メタン排出(畜体及び排泄物由来)が主要な原因です。そのメタン排出を大幅に抑制・除去するシステイン含有飼料とメタン回収技術(発電利用でむしろマイナスに転じる)は既に「実用化」されています。メタン回収の方は国内のほか、途上国との排出権取引にも利用されています。既に市場があり、欧州の混合農業など伝統的畜産がモデルでもある有機農法とセットの有機畜産で堆肥のリサイクルが進めば、技術革新と合わせて飛躍的な負荷軽減が見込めるでしょう。もちろん、とくに先進国における過剰な消費量全体の削減も必要ですが。
 これらはすべて温室効果ガス排出問題に限っての議論です。
 水資源・森林資源等、温室効果ガス排出以外の畜産による環境負荷は、基本的に新興国・開発途上国のもので、日本の公海調査捕鯨はオルタナティブになる余地が文字どおり絶無です。反反捕鯨論者の多くが自ら正直に認めているように。
 FAO報告の指摘するように、畜産による環境問題の解決が遅々として進まない原因は、コストその他のオルタナティブ畜産の側の問題ではなく、「政治」です。
 ひとつは南北間の構造格差そのもの。もうひとつはアグリメジャー
 アグリメジャーの問題については以前から市民団体が取り組んできましたが、最近はマスコミ(海外)もタブー視せずに取り上げるようになりました。NHK等日本のマスコミも、自国の畜産の問題点は無視しつつもそうした情報を流すようになってきたので、捕鯨賛成派の方でもご存知の方はいらっしゃるはずですが。
 政治の話ですから、日本の公海調査捕鯨をさっさとお開きにして市民運動のリソースをそちらに振り向けることこそが、畜産環境問題への取り組みを飛躍的に進める最も合理的な解決策のひとつであることはいうまでもありません。
 あらゆる環境問題を定量化して優先順位を付けることのできる単一の指標というものはありません(環境倫理学者の議論は存在しますが)。化石燃料と異なり温室効果ガス排出がない(実際にはゼロなわけではない)原子力発電には、核移転・事故・放射性廃棄物の管理という決して無視できない問題があります。大型水力発電には、森林・水系生態系の破壊とそれに伴う生物多様性損失の問題があります。「化石燃料だけを問題にしろ、原発やダムには環境問題は存在しないから一切口を出すな」という主張が世に通らないのは、誰もが簡単に納得できることでしょう。エコ捕鯨論の誤った論法もそれとまったく同じです。
 鯨類は猛禽類や大型ネコ類、ゾウ、類人猿類などと同様、そもそも繁殖率が低く汚染(生体濃縮)の影響を強く受けるK種タイプで、重点的・優先的な保護が必要とされる野生動物です。他の大型野生動物の研究においてはまったくありえないことに、致死的調査にばかりリソース(カネとヒト)が大量に注ぎ込まれていますが、保護のために必要不可欠な、繁殖海域での生態、社会行動に関する研究はほとんど白紙の状態です。一方、南極圏生態系は固有性が高くやはり環境破壊に対して脆弱で、サンクチュアリとして優先的に保護管理されることが国際的に求められる生態系であり、鯨類と同様、二次捕食者のニッチを占めるペンギンやアザラシなどの大型動物は南極条約に基づき厳格に保護されています。半世紀以上前に発効した国際条約の硬直した運用上の欠陥によって、鯨類だけが差別的な扱いを受けているのが現状なのです。
 WWFなどの環境保護団体も指摘するとおり、南極圏生態系は気候変動によって深刻な脅威にさらされており、クロミンククジラとは生息数でも繁殖率でも比較にならないほど資源的に頑健なはずのアデリーペンギンさえ十年で絶滅しかねないと科学者たちは警告を発しています。ホッキョクグマやイッカク、アデリーペンギンなどと同じく、氷縁のニッチに適応したクロミンククジラは温暖化の影響を最も受けやすく、まさに絶滅が危惧される野生動物種なのです。その野生動物を身勝手極まりない理由で脅かす日本の調査捕鯨/商業捕鯨が、国際的に受け入れられる余地は微塵もありません。

posted by カメクジラネコ at 01:49| Comment(0) | TrackBack(2) | 社会科学系

2010年01月28日

反反捕鯨論者のための復習帳

◇捕鯨批判ブログ&いただいたお便りご紹介

■再び 何のための調査捕鯨? (1/26,紅海だより)
http://inlinedive.seesaa.net/article/139435547.html

もっと言うと調査捕鯨は商業捕鯨再開への「カギ」なはずですが、商業捕鯨という「錠前」のほうはどこにもないです。用意もしてないし、探す気もないです。本当のところ、カギだけで錠前はいらないのです。(中略)
私はシーシェパードが水産庁の非公然下部組織だといっても全然驚きません。両者の利害は完全に一致しています。見かけが派手なプロレスなだけ(善玉悪玉に別れて)なのに…。まあどちらとも善玉と思っているという打ち合わせ時のミスはありますが、それ以外は見事です。どちらの側も試合をしないと観客の関心を引かないし儲かりません。プロレスをショーでなく本気の勝負と思っている人は、プロレスが分かっていません。もちろん、現在の捕鯨場外乱闘もです。
こんな、「結果のだせない調査」「八百長場外乱闘ショー」のネタの為に殺される鯨が残念でたまりません。(引用、強調筆者)
 座布団を百枚あげたくなるほど惚れ惚れする名文ですニャ〜♪
 ブロガーのNAOKIさんはサウジアラビアでプロのダイビングインストラクターをされている方で、地元の皆さんと協力して浜辺のクリーンアップ活動をされ、現地メディアにも紹介されるなど、まさに世界に誇る日本人(とかいうどっかの番組で取り上げて欲しい)。本物の海の男として、筆者は心から尊敬しています。異常に死亡率の高い危険な労務と引き換えに、脱税“土産”を横流しして“御殿”を建てるイメージ先行のどっかの船会社のウミのオトコとはエライ違い・・

■もし中国が捕鯨を始めたら (1/26,駒沢亭日乗)
http://komazawa.blogzine.jp/diary/2010/01/post_54b8.html

 そのときは、捕鯨擁護論者のウヨガキ度が明らかになるでしょうね・・・

 続いていただいたご意見のご紹介です。

日本鯨類研究所が突然、「クロミンククジラとイワシクジラの水銀含有量について」という「豆知識」と称する資料を出しています。
2009年のデータまで含めて平均値を出していますが、これまでのデータと変わらないので、何も新規性はありません
この時期にわざわざ出すのは、「南極海産の鯨肉は健康食材」と宣伝するためですね。結局のところ、科学的調査が目的ではなく、鯨肉調達を目指しているのです。
不思議なのは、北西太平洋や沿岸調査、定置網混獲由来のミンククジラを出さないことです。加えて、マッコウクジラも出していませんね。それにカドミウムを取り上げないのは、何か困ることでもあるのでしょうか。
鯨肉の宣伝の前に、西玉水のような、嘘の産地表示をして提供する飲食店を改善してほしいものです。(Mさん、強調筆者)
■豆知識 (鯨研HP)
http://www.icrwhale.org/09-A.htm

 これですね・・・・。豆知識って、まるで料理本のレシピだニャ〜(汗) ディスクロージャー資料を載せてから2ヵ月目のまともな新コンテンツが豆知識なの? これで研究機関だというのだから笑ってしまいます。もはやただの広告屋さんですね。広告費いくらでしたっけ? ヘンな費目2つ合わせて5、6億円? そのうち、オーストラリアでスパイ飛行機をチャーターしたグレン・インウッドの事務所に支払ってるカネは?
 少々古くなりますが、鯨研に代わって多少まともな関連資料のリンクを張っておきましょう。

■表1.南極海及び北西太平洋鯨類捕獲調査の副産物中のPCBs、総水銀及びメチル水銀濃度
http://www.icrwhale.org/03-A-b-06-1a.pdf

 北西太平洋ミンクの水銀濃度は1桁上ですね。

■Yearly trend of trace element accumulation in liver of Antarctic minke whales, Balaenoptera bonaerensis
http://www.icrwhale.org/eng/JA-J05-JR13.pdf

 図1(p16)を見ればわかるように、南極海クロミンクはカドミウム濃度が他のどの海域のヒゲクジラ類より高いことがわかります。以下もご参照。

■捕鯨が汚染を招く!? (拙HP)
http://www.kkneko.com/cd.htm

 南極産だから絶対安全だなんて、そんな我田引水のウマイ話はありませんや。 大体、自ら汚染しまくった沿岸の重金属汚染が怖いから、よりによって地球の裏側まで大量の汚染物質を撒き散らす捕鯨船団を送りつけようってんですかい? ただ一国の飽食・廃食・偽装食大国が、自国沿岸と違ってキレイな野生動物を嗜好品として貪るために?
 固有性のきわめて高い独自の生物相を擁し地球温暖化の影響を最も深刻に受ける全世界共有のかけがえのない自然遺産を守ることに比べれば、榛葉防衛副大臣のたまうところの“国家遺産”なんてデマカセは、吹けば飛ぶ程度の代物です。

 榛葉副大臣殿。世界に押し付ける前に、なんで沿岸の“国家遺産”を乱獲し、汚染しまくったのですか? どこまで図々しいんだろうと、世界中から思われますよ? 日本人としては恥ずかしい限りですが・・
 はっきりしているのは、「公海からは撤退して、沿岸捕鯨ですませたほうがよくないか?」という常識的な意見が多数を占め始めていることに危惧を感じた捕鯨サークルが、「沿岸捕鯨より公海捕鯨を優先してくれ」という明確なメッセージを国民に対して送ったということです。

 次のご意見。

「捕鯨問題クジラ・クリッピング」の第2昭南丸とAG号の衝突について意見があります。鯨研のビデオを見るとよくわかります。AG号の衝突までの航跡を見て下さい。
http://www.icrwhale.org/gpandseaJapane.htm
2010/1/6 (5.2MB)
AG号は2軸プロペラ推進です。最初は微速前進ですが、衝突直前には加速しています。つまり自分から当タリにいっています。よく出るSea Shepherdのビデオでは、第2昭南丸の前方にもう1隻いてビデオを撮影しています。衝突の場面を待ち構え写真にして世界中に売りまくっています。ヤラセでしょうか。
これに言及したのはオーストラリアの新聞一紙と以下をご覧下さい。AG号は妨害のために常時舷側に直角に位置していることに注意。
http://propaganda-buster.blogspot.com/2010/01/sea-shepherd-ady-gil-sayonara.html
のSea Shepherd/Ady Gil-Sayonara
その他このようにオーストラリアの専門家(Australian Strategic Policy Institute)の意見もあります。
http://www.smh.com.au/opinion/politics/ban-protest-vessels-from-using-our-ports-20100115-mcbz.html
双方とも通常の航海中でない(Whale War)のにどう法律が適用されるのか。(Hさん)
 記事本文中でも述べておりますが、私も「SS側にまったく非がない」などと申し上げあるつもりは毛頭ありません。
 ビデオ映像では、海況のせいで白波が立ったように見えるのか、波に煽られて速度が変わったのか、実際にエンジンをアイドリング状態から加速したのか、素人ではよく判断できないように思います。裁判所で、双方の提出資料をもとに裁定が下されることになるでしょう。SS側“も”保持船の義務を守らなかった可能性は非常に高いと思いますし、記事中で明記しましたけどね。
 シドニーモーニングヘラルド上の論説を書いたANTHONY BERGIN氏は、日本国際問題研究所(JIIS)という日本の機関の方のようですね。誰かさんの依頼で投稿したのでしょうか?
 この間、オーストラリアでは様々な立場からの意見が報道機関を通じて伝えられてきました。それに対し、残念ながら日本側では、調査捕鯨船団側の問題点に言及する報道はほとんどまったくと言っていいほどなかったように思います。

>双方とも通常の航海中でない(Whale War)のにどう法律が適用されるのか。

 この点は世界の海事専門家の多くが注目するでしょうね。

 

◇反反捕鯨論者のための復習帳

 狂人・廃人レベルの反反捕鯨論者1名が暴走中・・。市民ブロガーの皆様には、大変なご迷惑をおかけいたしておりますm(_ _)m
 悲しいことに、ニンゲンという動物は悪い群れを作ると感覚がますますマヒしがちなものです・・。私もいま企画の立ち上げ中なのでまともに相手をしてやる暇などなかったのですが、もうちっと気を遣ってあげるべきだったかもしれません。
 筆者が問題にしているのは捕鯨サークルであって、外野の応援団にかかずらっている暇はないのですが、彼らの質問のうち、わずかばかりでも皆さんと共有するに値する疑問に対する回答を以下にまとめておくことにしましょう。 


Q1:農水省発表の冷蔵水産物流通統計には太地や和田浦が含まれるのではないか?(統計数字の大部分が調査捕鯨生産分というのは間違いではないか?)


A1:そもそも水産物の在庫動向を見極めるための統計なのですから、(水産物全体の)在庫量/累積冷蔵容量の低い都市を含めたってまったく意味がありません。全国の産地40市町及び消費地14市区町が主要な漁業拠点・流通拠点で占められるのは当然です。和田浦に関しては合併して南房総市になったものの、合併した2005年以降も筆者がチェックする限り他の生産物も含めて統計上に顔を出していないため、少なくとも同市内の冷蔵冷凍倉庫中に在庫をほとんど抱えていないことだけは確実です。したがって、小型沿岸捕鯨の生産物として考慮する余地があるのは網走、石巻の分のみ。ちなみに、釧路と石巻にはJARPNU沖合調査の生産分が入ってきます(それぞれミンク50頭前後で計200トン前後)。網走は過去6年間一度も登場せず、50トンに満たないことは間違いないでしょう。なお、各沿岸捕鯨の実態(特に網走)については市民団体IKANの資料もご参照。

【小型沿岸捕鯨の現状】(イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク)
http://homepage1.nifty.com/IKAN/news/cwr20090301.pdf

 小型沿岸捕鯨の生産量は480トン前後、イルカ漁の生産量が1000トン弱(その大半が三陸のイシイルカ/リクゼンイルカ突きん棒漁)。このうちイルカ漁生産分は、特殊魚種別漁獲量でも「いるか類」「くじら類」は統計品目上別扱いであり、利用形態からいってもこの統計表に入ってくることはあり得ません。小型沿岸捕鯨地で生産量が大きいのは石巻(旧鮎川)で、今年でいえば漁期に当たる7、8月の在庫量の増分が約200トン。半分は沖合調査捕鯨分とみられます。2007、2008年はJARPNU分が石巻の倉庫に一次搬入されたために大きく増加しましたが、2006年7、8月の在庫量にはほとんど変化がありません。残りの100トンもほとんどJARPAU分である疑いは濃厚でしょう。
 駄目押しが、東京他上位7都市の在庫が総計のほぼ90%を占めることです。2009年分は全月で9割を超え、8、9月に至っては95%が上位7都市です。上位7都市に入らない消費地に分散している在庫を考え合わせると、小型沿岸捕鯨の鯨肉生産のうち企業の冷凍冷蔵倉庫に保管されていてこの統計調査に含まれるのは5%に満たないと考えられます。もちろん、上位54都市の累積冷蔵能力のうち残り約20%と、上位54都市以外の地域の倉庫にも調査鯨肉の在庫が間違いなく含まれますから、統計上の数字にはその分が上乗せされます。よって、調査捕鯨(JARPAU+JARPNU)によって生産される鯨肉の在庫が昨年8月には5千トンを上回り、季節物を含めた他の水産物の常識からはおよそ考えられない年間供給量にほぼ近い膨大な在庫を抱える異常な事態を招いているという推定には、十二分に根拠があるといえるのです。
 ところで、反反捕鯨論者の中には「小型沿岸捕鯨分が毎月平均して百トン以上入庫している」と主張している方がいますが、上位7都市にこれらの都市はランクインしていません。7位の都市の在庫量はいずれも50トンから100トン程度なので、小型沿岸捕鯨地がその数字に満たないということは、全国の鯨肉在庫パターンとは正反対に常に在庫が逼迫状態にあるという不自然な前提が必要になります。さらに、生食・塩蔵が中心で冷蔵保管されないにしろ、「一月未満」冷蔵庫に保管されるにしろ、統計上は鯨肉冷凍在庫量(月末)の数値に含まれないという点で何の違いもありません。すなわち、膨大な過剰在庫の大半が調査鯨肉のものに他ならないという事実を補強することになります。


Q2:捕鯨には環境への影響はないのではないでしょうか? どう考えても捕鯨のほうが環境負荷が最大の畜産(牛肉生産)より悪いように思えるのですが・・


A2:捕鯨産業の環境負荷が「(単位生産重量当りで)最大」かどうか、畜産より高いかどうかは、バウンダリー(境界条件の設定)を調整した専門家の手による比較研究が存在しないので、誰も回答を持ち合わせていません。しかし、筆者は公海調査捕鯨は環境負荷の点で「最悪の問題児である」ということを繰り返し唱えてきました。その理由は他でもない、畜産その他あらゆる生産活動と異なり、「捕鯨はエコ」「捕鯨の環境影響はない」という真っ赤な嘘が大手を振って罷り通っているからです。文字どおり「最悪」ですね。
 FAOが出した畜産の環境破壊に関する報告には「改善のための様々な手段」として鯨肉への代替といった記述は一度も登場しません。ポール・マッカートニーが蓄肉消費を減らそうと大々的に海外メディアで呼びかけていますが、やっぱりクジラのクの字も出てきませんよねぇ・・。それもそのはず。
 畜産における消費量の削減(菜食・鶏肉・沿岸水産物への転換を含む)と技術導入(システイン含有飼料、メタン回収等)もしくは伝統的手法(有機・循環型農法)による負荷削減の取り組みは既に実地になされています。それに対し、公海捕鯨の方はといえば、単位生産重量当りの環境負荷がきわめて高く、RMS下における生産上限が微々たるもので、環境コスト・社会的導入コストが高止まりせざるを得ません鯨肉が畜産のオルタナティブになり得る可能性・現実性は皆無なのです。国庫補助金をたっぷり注ぎ込めるとある国でしか通用しませんし。デントウブンカの看板とも矛盾しますし、ね・・。
 ちなみに、つくばの畜産草地研が出した牛肉1kg当り温室効果ガス排出量36kg(CO2換算)とうデータは、有機農法への転換で6割まで削れることを示すための対照データにすぎず、日本の牛肉生産による温室効果ガス排出量の平均でも何でもありません。まさか捕鯨の正当化のために引っ張り出されることになるとは、研究者の方も思いもよらなかったことでしょう・・・
 いま、あらゆる産業が文字どおり排出削減の取り組みを始めていますが、そうした動きがまったく見られないのが、捕鯨産業というこの異様な産業の特色でもあります。遠洋母船式から沿岸捕鯨への転換は誰の目からもわかりやすい環境負荷削減対策ですが、米国の畜産業界ですら自主的に困難な壁に立ち向かっているのに、わざわざ世界が背中を強く押してくれたにもかかわらず、頑強に母船式公海捕鯨にこだわって排出削減を拒否しているのですから。
 軍需産業と原子力産業並に「聖域」扱いを受けている気になっているんでしょう・・・


参考:
■捕鯨は牛肉生産のオルタナティブになり得ない」
http://www.kkneko.com/ushi.htm
■調査捕鯨による温室効果ガス排出量はやっぱり最低でも年間4万トン(C02換算)以上だった!
http://kkneko.sblo.jp/article/29682226.html
http://kkneko.sblo.jp/article/29700099.html
http://kkneko.sblo.jp/article/29727291.html

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2010年01月25日

ジュゴンとクジラの未来/捕鯨ニッポン、ヤクザ並に豪州を恫喝(続)

◇沖縄名護はカネと暴力よりジュゴンの暮らす海を選んだ

■名護市長選関連 (リンク切れ)
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/local/nago_mayoral_election/
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100125-00000001-ryu-oki
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100124-00000077-jij-pol
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100124-00000056-mai-pol
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100124-00000029-maip-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100124-00000076-mai-soci

 稲嶺市長おめでとうございます!
 名護市民の良識が明確に示されました。
 あのシャッター街を見りゃね……札束で住民の頬っ面を引っぱたいて基地を押し付けるやり方がどれほど欺瞞に満ちたものか、よくわかるってもんです。
 ハードルのひとつはこれでクリア。
 某保守系新聞のように難癖を付けるメディアもいくつかありましたが、こういうとこはきっと対立候補が当選したら真逆解説をしたでしょうね・・。マスコミ(マスゴミ)に惑わされず、今後もスジを通していきましょう。

 

◇捕鯨ニッポン、ヤクザ並に豪州を恫喝(続)

■Whale row prompts Japan-Australia defence rethink (1/19,AFP)
http://news.yahoo.com/s/afp/20100119/wl_asia_afp/japanaustraliawhalingmilitary (リンク切れ)
■Australia says whaling row will not hurt Japan pact (〃)
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5h8wiUEoS2IwhTQAkYJCJuqexmCAg
■日豪捕鯨紛争 軍事協力拒絶に発展 (1/20,日米韓 国際関係)
http://blogs.yahoo.co.jp/johnkim10053/40812019.html

 またしても政府部内から、ベーコン岡田克也外相に勝るとも劣らない、「調査捕鯨は国家遺産だ」というとんでもないビックリ仰天発言が飛び出しました。発言の主は榛葉賀津也防衛副大臣
 情報をブログで教えてくれたのは、ニャンコがお好きな在米韓国系の方。「鯨が安保よりも重要なのか?」とあまりにも当たり前の主張をしています(リンク3番目)。
 榛葉副大臣が持ち出したのは、昨年暮れのラッド首相訪問時に交わされた行動計画の中の、自衛隊と豪州軍とのロジスティックス(物資調達)に関する相互協力を定めたクロスサービス協定。そいつを「再考する」と言っているわけです。具体的には、副大臣を始めとする国会議員のメンバーが(捕鯨対策協議会でしょう)、「国会への提出を見送れ!」と言い出したようです。外相・首相という首脳間の合意事項を、副大臣が一方的に反故にしようといっているのだから、こりゃもう普天間合意どころじゃありません
 大体、豪州政府は民間団体のシー・シェパードの妨害や衝突事故に何の責任があるわけでもありません。ここで沖縄選出喜納参院議員の質問主意書に対する過去の水産庁の役人の国会答弁をもう一度振り返っておきましょう。

御指摘のパナマ船籍の船舶は、共同船舶株式会社が私契約に基づき調査船への補給活動等に従事させているものと承知している。なお、このような私契約に基づく活動について、当該船舶の旗国であるパナマ政府の許可等が必要であるとは承知していない。(引用)
−第169回国会質問主意書
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/169/touh/t169038.htm

 実に呆れた二枚舌ですね・・・
 要するに、外交上の信義・国家間の約束を守ることは、この国にとって最優先事項でも何でもないわけです。錦の御旗として前面に押し出したかと思えば、好きなだけ「再考」してしまっていいと。共通項から浮かび上がる日本の至上命題とは──海洋生態系・野生動物の保護に反すること・・。結局のところ、政権が変わっても捕鯨ニッポンはSSの本部がある米国にはおもねり媚びへつらう態度を取り続けているのに対し、環太平洋地域の安全保障において緊密な協力関係にある日米豪3国のうちの1国であるところの(一説にはそのうちの1国が戦前のように暴走しないよう他の2国が鎖につないで手懐けているとも言われますけどね・・)オーストラリアの方はとことんバカにしきっているということになります。そういうメッセージを、臆面もなく相手に向かって堂々と投げかけているわけです。豪州政府関係者のみならず、米国政府もこの発言には注視せざるを得ないでしょう。
「黙って調査捕鯨やらせろっつってんだよ! ICJになんか提訴してんじゃねえぞ、ゴラァ!! 防衛協定反故にしたろか、ああっ!? アメリカ様がいればオーストコリアなんて要らねえんだよ、ボケがぁ!」
 これですからね・・・・
 榛葉副大臣及び民主党殿。沖縄県民の意思を無視し貴党の公約そのものにも反するカビの生えた自民党時代の日米合意をそこまで大事に大事に担ぎ上げながら、民主党の代表たる首相と外相がつい先月に豪州の首相と交わしたばかりの約束の方はいとも簡単に破り捨てる真似が、一体なぜできるのですか!!??
 まあ、実際のところ、スミス外相は至って冷静に「日豪間の防衛協定に何ら影響はない」と述べています(リンク2番目)。つまらんハッタリ兼国内向けのリップサービスだということはちゃんと見抜いているのでしょう。ネオコン度で自民党捕鯨議連と大差ない民主党捕鯨政策協議会の連中が、本当に投票を棄権するといったおバカな行動に出たりすれば、眉を潜めて内申書にチェックを入れるのはむしろ米国ですし、ね・・。
 筆者個人の意見は日本政府とは正反対です。国際情勢の変化と野生動物保護の国際的潮流を鑑みれば、普天間代替施設を県内に固定し、かけがえのない辺野古沖の豊かな海の自然を犠牲にするだけの正当性はありません。逆に、経済・防衛分野を含めた日豪関係を総合的に見直す合理的な理由も何ひとつありません。少なくとも、日本側には。北半球の飽食大国が「ブンカ遺産だ、文句あっか!」と叫びながら、ボン条約を無視してEEZ内を回遊する「国民のかけがえのない自然兼文化財産」を勝手に持ち去っていくのを、オーストラリア国民の皆さんが黙って見ていなければならない理由もまた何もありません。

 

◇ブログご紹介

■Is Paul Watson at war with the God?|flagburner's blog(仮)
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/e02858b1b5e942b0d50ccfddb70d9460
■シー・シェパードはキリスト教原理主義者である。|助兵衛の随筆 イザ出張所
http://sukebei.iza.ne.jp/blog/entry/1406223

 産経新聞記者佐々木氏始めSSや代表者ポール・ワトソン氏の“ファン”が日本には異様に多いようですが、元国際PR梅崎義人氏プレゼンツの東西文化プロパガンダを真に受け、同団体・同氏に対する誤解もまたすさまじいものがあります。反反捕鯨論者がいかにソースを調べないでいい加減な法螺ばかり吹いているかということの裏返しでもありますが・・。
 ネトウヨブロガー君たちには、一次ソースの外国語圏情報をきちんとチェックしているflagburnerさんを見習ってもらわないとニャ〜。

■捕鯨と援助、グアムでの日米共同演習、グアムの観光 (1/24,NPO法人ゆいまーる琉球の自治)
http://ryukyujichi.blog123.fc2.com/blog-entry-715.html


日本は太平洋で捕鯨をしていますが、日本の捕鯨政策とODAは非常に緊密な関係にあるといえます。基地と振興開発とのリンケージのように、金で政策を推進しようとする日本政府の方針がここでもみられます。
(引用)

 これが沖縄の目。

■国際的に孤立しつつあるな、SS|蘇る金狼の日記
http://plaza.rakuten.co.jp/airinhoikuen/diary/201001190000/

 ・・・。まあ、なかなか面白いのでとりあえずご一読を。産経佐々木殿、貴殿の記事を熱心に読んでいるのはこーゆー方たちですよ。。。榛葉副大臣殿、貴殿の感覚もこちらと似たり寄ったりに見えるんですが・・

■ドイツの捕鯨の歴史を扱ったNDRのドキュメンタリーをNHKに紹介した|ドイツ語好きの化学者のメモ
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/folder/1500494.html

 以前紹介してもらったドイツのドキュメンタリー番組の話。自国の歴史をも客観視する能力のあるドイツならではですね。第二次大戦史であれ捕鯨史であれ、両国のメディアの取り扱い方、検証能力の対照性が際立っています。本来なら、NHKの海外ドキュメンタリー枠で「Whale Wars」も淡々と取り上げて然るべきなんですけどね・・

■H&Mはだまされた:オーガニックコットン衣料なのに遺伝子組換え綿花を使っていた|〃
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/62782407.html

 化学者さんのブログは原発・有害物質・気候変動と多岐にわたる環境問題をテーマにされており、捕鯨問題はその一部にすぎません。オベンチャラを使った産経佐々木記者はちゃんと勉強してるんでしょうか?
 今回海外発のエコ・スキャンダルに関する情報(といっても日本の消費者も無関係ではない)ですが、「捕鯨はエコ」という四流紙のガセネタを何の疑問も抱かずに鵜呑みにしてしまうニッポン人は、世界中で最もだまされ/しやすい民族といえるかもしれませんね。

 

◇しゃんとしろGPJ

■the ウォッチ!|GPJ
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/oceans/whale/t2/antenna/?fromhomeBanner

 ・・・。イライラする(--;;;; 閲覧者のフラストレーションを溜めるだけ。コピーもつまらんし。
 時間外に手弁当で職員が作ったというより、Webコンテンツ制作会社に外注したものにしか見えないんですけど。。
(ちなみに、筆者のHPのFlashとJavascriptコンテンツは自家製です)
 YouTubeネタを平気で記事にしたり、ガセネタだらけの自紙報道そっちのけで朝日に噛み付くウヨ産経よりセンスでわずかに上を行くけど、費用対効果でSSに負けてる感あり。カネがないならないなりの工夫をすべきですが、これじゃ使い方を間違っています。
 有給の専従スタッフを何人も抱える法人団体なんだから、結果を出すためにももっとしゃんとして欲しいですよ・・・

posted by カメクジラネコ at 02:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会科学系

2010年01月21日

中国発捕鯨批判/捕鯨ニッポン、ヤクザ並に豪州を恫喝/鯨肉教育

◇中国から見た公海捕鯨

■日本の「沖ノ鳥島」整備に中国反発、ネットでは「日本が平和を侵害」 (1/19,サーチナ)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0119&f=politics_0119_006.shtml

 記事では中国社会科学院日本研究所の声として、「このやり方はすでに日中間の問題ではなくなった。全人類が共有すべき公海の利益に対する侵害であり、捕鯨と同様に道義を欠いた行為だ」とした。(引用、強調筆者)

 捕鯨と無関係な個人的見解ですが、確かにこれを認めると何でもアリになっちゃって、「国際法秩序上どうよ?」って話ではありますね。
 中国もIWC加盟国であり、スタンスは特に捕鯨支持でも反対でもなく中立とみなされていますが、このように同国の権威ある研究機関が声明の中で日本の公海捕鯨を堂々と批判していることは注目に値します。独善的な公海調査捕鯨は、日本の拡張主義的ナショナリズムの代名詞として、いまや世界各国が様々な場面で引き合いにし始めた感があります。
 付け加えると、日本の水産ODA(≒捕鯨ODA)対象国であるアフリカや太平洋諸国に対し、中国はいま積極的に働きかけており、日本の相対的な地位の低下はこの先避けられないでしょう。超狭義国益を重視する日本のとち狂った援助外交と違い、中国はかなり戦略的に動いているわけですが・・
 記事中にある中国社会科学院日本研究所は、政治・経済・外交・文化の4分野を中心に中国における日本研究をリードする学術研究機関。日本との人的交流も活発で、それだけ“日本通”の研究者が多いということでしょう。まあ、捕鯨協会/国際PRプレゼンツのプロパガンダ戦術も研究して、“使えるテクニック”を共産党本部に提供しているのかもしんないけど・・・

 

◇SSどころじゃない捕鯨ニッポンのヤクザぶり

■豪“衝突事故 日本側に責任” (1/20 4:42,NHK)
http://www.nhk.or.jp/news/k10015086321000.html (リンク切れ)

 TV報道はナマモノなので一応全文引用しておきます。

 南極海で、日本の調査捕鯨船団の船と反捕鯨団体「シー・シェパード」の高速艇が衝突した問題について、オーストラリアでは、衝突は日本側の責任だと考える人が半数以上に上っていることが、最新の世論調査で明らかになりました。
 オーストラリアの民間の調査会社「UMR」は、今月7日から11日にかけて、男女1000人に対し、聞き取り方式で調査を行いました。それによりますと、今月6日、南極海で、日本の調査捕鯨船とシー・シェパードの高速艇が衝突した問題について、91%が「知っている」と答えました。このうち、「どちらに衝突の責任があるか」という質問に対しては、「日本側」が56%、「シー・シェパード側」が19%、「わからない」が25%でした。この衝突については、双方とも相手側に責任があると主張して、言い分が食い違っていますが、オーストラリアでは日本に厳しい見方をする人が多いことが浮き彫りになりました。一方、日本に捕鯨をやめさせるためにオーストラリア政府が十分な対応をしていないと考える人は82%に上っていて、政府が現状を打開できないとして多くの人が不満を持っていることがうかがえます。


 意味のないネットアンケートと違い、調査会社の聞き取り調査の結果。NHKの報道を見る限りでは、設問も捕鯨サークルのお手盛り世論調査のようにえげつない誘導はしていないようです。
 SSの妨害活動が非合法で暴力的なものであるのは、第三者から見れば否定のしようもありません。にもかかわらず、オーストラリア国民の間では「日本側の方が責任は大きい」という見方が過半数を占めたわけです。これは、衝突事故が起こった海域の海事安全上の管轄権を持ち、海難審判が開かれると予想される国での話です。「なんだってそんなとこまで出張ってるんだ!?」という、日本人の目から見たって素朴に感じる疑問もさることながら、日本に対するオーストラリア市民の目が厳しい理由はひとつ。話し合いの“前”に脱法調査捕鯨を強行している捕鯨ニッポンの北朝鮮じみた独善的姿勢に他なりません。
「バカなオーストコリアだぜ。ICRW8条がある限り、おめえら何も文句言えねえんだよ。ざまあみろ、ギャハハハwwww」(ウヨガキ風に)
 これですからね・・・・当たり前でしょ。
 火に油を注いだのが、日本のメディアがウヨ産経以外取り上げていないスパイ飛行機チャーター事件。鯨研に雇われている「便利屋」グレン・インウッド氏が、オーストラリアのリソースを調査捕鯨のサポート目的で使っていたことが発覚したわけです。インウッド氏のギャラは、鯨研の広報宣伝費もとい国際活動費/4億円余りの中から支払われているとみられます。おそらくポール・ワトソンの年収8万ドルと比べるとかなり高額でしょうね・・。問題は金額ではなく、まわりまわって国庫補助金、すなわち日本国民の財布から彼のギャラが支払われているということ。
「バカなオーストコリアだぜ。飛行機を借りちゃいけねえって法律に何も書いてねえだろ? ざまあみろ、ギャハハハwwww」(ウヨガキ風に)
 これですからね・・・・そりゃ、温厚なオージーの皆さんだって激昂するでしょう。もし、NZの皆さんが日本人的民族性を備えていたとしたら、非国民扱いは免れますまい・・

 オーストラリアとの良好な2国関係維持という観点から見ても、やはり、鯨を守るためならどんな違法行為も辞さないというシー・シェパードの活動をいかにストップさせるかという点が最も肝要だと思います。(引用)

 鯨研のオトモダチ新聞産経の佐々木記者はご自身のブログで上記のように述べていますが、オーストラリアとの良好な2国関係維持という観点から見て最も肝要なことは、ブンカのためならどんな脱法行為も辞さないというオーストラリアの目と鼻の先での独善的な調査捕鯨をただちにストップさせることです。
「大事なお得意さんにゃ何も言えねえだろ、ギャハハハwwww」
なんて悠長なことを言っていられるのも今のうちですよ。既に輸出相手国としては、公海捕鯨を「道義に欠く」と見ている中国に抜かれてますからね・・
 と、こんなところで記事を締めようと思ってたら、flagburnerさんが重大な情報を提供してくれました。

■Without action, you cannot take negociation!|flagburner's blog(仮)
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/3f6f72e89e3f2b19811ca440858af16e

 なんと日本側は「黙って調査捕鯨やらせろ! ICJになんか提訴してんじゃねえよ!!」長年の友人であるオーストラリアを恫喝する手に打って出てきました・・・。詳細は上掲リンクご参照。
 オーストラリアの皆さん、あなた方はもっともっと怒らないとダメです! 完全にナメられてるよ!!!

参考リンク:
−日本は南極海での捕鯨から撤退するべきかというアンケートの結果の推移 (1/10,カナダde日本語)
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-1982.html
−[SS続報]「衝突は日本捕鯨船が悪い」56%「日本製品買い控えたい」75%@オーストラリア世論調査 (1/16,Cool Cool Japan !!!)
http://sasakima.iza.ne.jp/blog/entry/1415953/

−読売岡崎記者ミスリード記事関連 (1/12,拙ブログ)
http://kkneko.sblo.jp/article/34692147.html
 

◇悲しい鯨肉洗脳教育

■特別授業:江東で捕鯨の現状伝える 小学校で市民団体 (1/17,毎日東京版)
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20100117ddlk13100139000c.html (リンク切れ)

 WFFが市民団体とは笑えます・・。まあ、高速道路建設推進を掲げるオバチャンたちの国交天下り機関御用団体も、市民団体といえば市民団体になっちゃいますけど。。
 で、件の小学校の教師らしき方がブログ記事を書いているのを見つけました・・

■くじらのお料理をいただきました (1/16,もっと体験!)
http://blog.goo.ne.jp/taiken87/e/e3caa0f4d296d687eebe3f63498b90fc (リンク切れ)

 一回コメントを書いて削除されたので、「まるで戦前の皇民教育のようですね」という一言を付け加えたところ、今度は消さずに残されました・・(1/20現在) 

参考リンク:
−鯨料理トンデモレシピ一覧
http://www.kkneko.com/shoku.htm
−学校教育とクジラ
http://www.kkneko.com/edu.htm
−捕鯨問題総ざらい!!!・こどもたちを洗脳しないで!!
http://kkneko.sblo.jp/category/765307-1.html

 

◇捕鯨関連ブログご紹介

■もうひとつの調査捕鯨問題|紅海だより
http://inlinedive.seesaa.net/article/138001852.html


現在の調査捕鯨問題は、この「氾濫する情報」の海を上手に泳げる人がいかに少ないかということをあぶりだしています。情報量が多くなれば、比較検討・取捨選択の余地も広がり、ものごとを多面的に考えることができる…、というのは幻想でしかありません。実に多くのひとは情報そのものをシャットアウトすることで情報の海に溺れるのを免れ、浮き輪のような「自分にいちばん都合の良い情報」だけを後生大事にします。
(引用)

 情報リテラシーの観点から反反捕鯨プロパガンダが流布した背景を解説してくれています。“戦後処理”の重さを考えると気が滅入りますね・・・

■クジラ資源を回復させる方法|3500-13-12-2-1
http://3500131221.blog120.fc2.com/blog-entry-99.html


特に一つの研究所におかれましては、法律を変えるとクジラが増えるという大変独創性のあるテーマで研究を行っていただきたいものです。
(引用)

 (笑) 日本が真に持続的水産業を確立できている国であるならば、沿岸捕鯨再開を訴える以前に混獲の管理もきちんと出来ていていいはずなんですけどね・・

■朝日、「天声人語」で調査捕鯨支持を表明?|不条理日記
http://himadesu.seesaa.net/article/138596636.html

 朝日の無責任コラムに突っ込んでくれています。記者もピンキリですから、ね・・。産経はまともな記者ゼロだろけど。。
「オーシャンズ」を見てこぉんな感想を持つってのは、これを書いた論説委員はもう手の施しようがないほど脳ミソがベーコン化しちゃってるニャ〜(--;; ガラクタ論文しか出せないエセ調査でもって「英知で報いる」ってんだから、もう笑うしかないですな。。鷹嘴さんが一言でバッサリ斬ってくれてます。


調査捕鯨の名を借りた商業捕鯨こそ、本当の危機を見えにくくするだけじゃありませんか?
(引用)

■調査捕鯨は政治目的の調査である|知財業界で仕事スル
http://blogs.yahoo.co.jp/yoshikunpat/61082794.html
■調査捕鯨が解決の方向に行かない理由|〃
http://blogs.yahoo.co.jp/yoshikunpat/61096045.html

 鯨研の“宣伝用のうたい文句”と東大米本室長の論説を比較してくれました。結果は・・言うまでもないニャ。。

■[物申す]調査捕鯨なんて仕分けられてしまえばいいのに|おこじょの日記
http://d.hatena.ne.jp/o-kojo2/20100113

 タイトルだけでもう十分!

■日本は世界と戦って捕鯨を続けるのか|日本在住!日系アメリカ人のひとり言
http://d.hatena.ne.jp/japerican/20100118/1263801604


私がここで述べたかったのは、捕鯨を絶対的に支持する議論ばかりで、疑問を差し挟む意見が全く見られない事の無気味さだ。
(引用)

 奇妙奇天烈なブンカ論に対する、日系の方ならではの反論も。

■調査捕鯨|bluebetta's blog
http://santakatt.blog63.fc2.com/blog-entry-75.html

 拙記事をご紹介いただきましたm(_ _)m 食害論に対する反論は、ウヨガキ君たちと違い環境問題に関心の高い方ならでは。

−日本の調査捕鯨の違法性を追及する内外の動き/非致死的調査だけど・・・ (拙ブログ)
http://kkneko.sblo.jp/article/26915339.html

 せっかくなので、引用してもらった過去記事をSSを目の敵にしている皆さんにも再読いただきましょう。以下は、ワシントン条約違反を犯した捕鯨船団の中積補給船オリエンタル・ブルーバード号(現飛洋丸2)の船籍問題について追及した参院喜納議員の質問趣意書に対する水産庁側の回答・・


御指摘のパナマ船籍の船舶は、共同船舶株式会社が私契約に基づき調査船への補給活動等に従事させているものと承知している。なお、このような私契約に基づく活動について、当該船舶の旗国であるパナマ政府の許可等が必要であるとは承知していない。


 産経佐々木殿、読みましたか!? 意味わかりましたか!!??

posted by カメクジラネコ at 02:13| Comment(4) | TrackBack(2) | 社会科学系

2010年01月20日

捕鯨擁護記者のビックリ仰天パクリ記事

◇とてつもなく図々しいぞ捕鯨擁護新聞サンケイ佐々木記者(続)

 元客員論説委員を鯨研に役員として送り込んでいるオトモダチ新聞産経の外信部記者・佐々木正明氏が、呆れた記事を堂々と署名入りで産経紙上に掲載・・・・

【シー・シェパード抗議船がノルウェー船を偽装 ノルウェーが抗議】(1/18,産経)
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/100118/asi1001182144003-n1.htm (リンク切れ)

 あれ? あれれれ?? ・・と読まれた皆さんは目を丸くされたでありましょう。。いかにも産経らしく独占スクープのように報じていますが、内容はほとんど既出・・。民主党嫌いの超保守紙を読んでるウヨガキ君たちが「アッパレ!」の喝采を送っているところに冷や水を浴びせるようですが、この佐々木氏の記事はミスリードを招く記述がいくつも見られます。下手をすると「産経/佐々木記者が過激な反捕鯨団体の犯罪事実を暴いた大手柄を立てた」と読者の方が勘違いしかねませんので、時系列に沿って情報を正しく整理してみましょう。

@1/5:
SSが「見事な演出だろ〜」と自分から自慢げにバラした(バカ)。
−"The Time is Right for Bob Barker to Rescue the Whales"(SS公式HP)
http://www.seashepherd.org/news-and-media/news-100105-1.html

A1/8:
ノルウェー紙Aftenpostenが記事を掲載。ロイター通信経由で鯨研の写真を使っていますが、同紙記者が自分で気づいてノルウェー外務省に問い合わせ、同国外務省側も確認したという格好。鯨研も産経新聞も出る幕なし。
−"Sea Shepherd seilte med norsk flagg"
http://www.aftenposten.no/nyheter/uriks/article3455668.ece

B1/11(午前):
化学者兼翻訳者で多国語を操るmarburg_aromatics_chemさんがノルウェーの報道に気づき、独自に俯瞰情報を収集・分析のうえ、ご自身のブログに記事を掲載。
−シーシェパードの捕鯨妨害船「Bob Barker号」がノルウェー国旗を掲げて偽装していた (1/11,ドイツ語好きの化学者のメモ)
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/62733737.html

C1/11(午後):
佐々木記者が自身の個人ブログでmarburg_aromatics_chemさんの記事の“一部”を転載。同ブログのイタイ誤訳記事にTBを送ったmarburg_aromatics_chemさんを気持ち悪くなるほどベタベタに賞賛。。
−[SS続報]@Whale Wars掲示板が突然の休止 ASS抗議船が、ノルウェー国旗を偽装? (1/11,Cool Cool Japan !!!)
http://sasakima.iza.ne.jp/blog/entry/1408469/

D1/12:
ノルウェー外務省がSSへの抗議文書を送付。

E1/18(夜):
産経佐々木氏大(?)スクープ(?)
(リンク上掲)

F1/19(午前):
翌朝共同通信が記事を配信(後述)。
−シー・シェパードが船籍偽装 ノルウェー、文書で抗議 (1/19,共同)
http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010011901000067.html

G1/19(午後):
佐々木氏、個人ブログをアップ。自らの発掘したオリジナルの新情報であること強調するかのような内容。自筆記事へのリンクがないのは何でだろうねぇ?
−[SS続報]新抗議船「ボブ・バーカー」号の船籍はアフリカ中部のトーゴ (1/19,Cool Cool Japan !!!)
http://sasakima.iza.ne.jp/blog/entry/1421194/

 改めて解説しましょう。以下、記事の前半を引用(背景着色部分)。おかしな部分を赤字に。

 日本の調査捕鯨船団への攻撃を続ける反捕鯨団体シー・シェパード(SS)の抗議船「ボブ・バーカー」号が船をノルウェー船籍に偽装して、南極海を航行していたことが18日、わかった。船籍の偽装行為は、公海上での航行規則を定めた国連海洋法条約違反にあたり、日本政府は、捕鯨船団が撮影した写真やビデオ映像をノルウェー政府に提供。これを受けてノルウェー外務省は、同日までにSSに抗議文を送付した。
 ボブ号は、SSが今回の反捕鯨キャンペーンに導入した新抗議船で、1月6日、南極海を航行する捕鯨船団の母船・日新丸の前に姿を現し、航行を妨害した。この際、日本側はボブ号が捕鯨国のノルウェー国旗を掲げていることを確認した。SS側この事実を認めており、その理由について、ボブ号を捕鯨国の船と誤解させ、接近を容易にしようとしたなどと説明しているという。
 日本の外務省などによると、ボブ号は1950年代にノルウェーで建造され、同国の捕鯨船や海上保安船として使われたが、昨年、アフリカ中部のトーゴに船籍が登録されていた。日本政府はトーゴに対して外交ルートを通じ、適切な対応をとるよう要請している。


 SSの偽装が発覚したのは18日ではありません。5日にアホなSSが自らバラし、6日に調査船団が気づかなかったか知っててしらばくれたかして、8日にノルウェーの新聞記者が気づいて同国外務省に問い合わせたのです。では、佐々木氏が記事を書いた18日には一体何があったのか? ここで共同通信ロンドン発の配信記事をご参照。


 南極海で日本の調査捕鯨団の監視船、第2昭南丸と米環境保護団体シー・シェパードの抗議船アディ・ギル号が衝突した際、現場にいた同団体の別の船が不正にノルウェー国旗を掲げて船籍を偽装、同国外務省が文書で抗議したことが分かった。同省が18日、共同通信に明らかにした。
(引用)

 共同さんにしては珍しい記述ですね。先方から報道発表があったのではなく、同通信ロンドン支局の記者が独自に取材を行って得た情報ということです。産経は大手新聞といっても五大紙の中では発行部数も普及率も最小。海外発の情報は捕鯨関連も含めて通信社の配信記事に頼ることもしばしば。ロシア担当でノルウェー語がわかる同僚もいないらしい佐々木氏は、marburg_aromatics_chemさんのブログを目にするまでノルウェー紙の報道についてもまったく目を向けていなかったわけです。

 以下は憶測ですが、共同が各紙に流した情報を見た佐々木氏が、自分がmarburg_aromatics_chemさんのブログ情報をもとに捕鯨サークルからの捕捉情報と合わせまとめてあった内容を、「こりゃいま書くしかない」と掲載に踏み切ったと思われます。
 「18日に“誰が”“誰に聞いて”わかった」のかが判然としない国語的にはムチャクチャな文章ですし、個人ブログやノルウェー紙で既に事実が報じられているため、共同の名を使わず先行掲載したって文句を言われる心配もなし。産経が一足早く(ネット上では配信時間の差は11時間)自紙のスクープ報道にしてしまったのを見て、共同通信の記者は内心苦りきっているでしょうね・・
 「同日までに」という記述は、ミスリードを誘いつつ国語的に責任を回避する実に姑息なやり方ですね。送ったのは12日。8日のノルウェー紙記者の取材で同国外務省は「抗議するつもりだ」と答え、4日のうちに実際そのとおりにしたわけです。日本の要請とは無関係。鯨研が「いくらでも好きに使ってくれ」とばら撒いている映像を日本政府が本当にノルウェー政府に送ったのかどうかは知りませんが。
 しかし、佐々木氏の記事は明らかに「日本が資料を送ったことでノルウェー政府が偽装の事実に気づき、18日までにSSに抗議した」と受け取られかねない内容です。marburg_aromatics_chemさんのブログを読んでいない産経購読者は、そのように読み取るでしょう。
 他にもこの記事には、プロの記者が書いたにしては実にいい加減な表記が目立ちます。もちろん、これは意図的に曖昧な表記を使っているということ。「日本側」とありますが、marburg_aromatics_chemさんの記事にもあるとおり、鯨研のプレスリリースには該当記述は一切ありません(ボブ・バーカーは「SS所属」とのみ記載)。自分たちでSSの公式サイトにわざわざ目を通して「ノルウェーの元捕鯨船」と注釈を加えているほど)。つまり、船籍なんて気にしなかったか、あるいは問題を認識していたけど後ろぐらいところがあるのでしらばっくれてたか。

−反捕鯨団体シーシェパードによる妨害活動 (第4報) (1/6,鯨研HP)
http://www.icrwhale.org/100106ReleaseJp.htm

 その理由について、marburg_aromatics_chemさんは以下のように指摘されています。

鯨研としては、オリエンタル・ブルーバード号の船籍はく奪の件があるので、指摘しにくいだろう。
国際法違反との決定で、パナマから船籍をはく奪され、罰金も支払うはめになった過去がある。
そして1年間は再登録禁止のはずだが、「Hiyo Maru Two」 と改名して調査捕鯨の支援をしているという。
(引用)

 佐々木氏はしっかり読んだはずなのに、ボブ・バーカーの船籍問題に絡めて指摘することをなぜしなかったんでしょうねぇ??
 以下もご参照。

−日本の調査捕鯨船団に違法船!――パナマ政府が給油船の船籍を剥奪 ('08/10/28,GPJ)
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20081028oc_html

 それにしても、まさか「日本側」ってmarburg_aromatics_chemさんのことを言ってるわけじゃあるまいな・・・
 次の「日本の外務省“など”ってのもよくわかりませんけどね。関係者とか協力者とか、産経はホンット好きだよねぇ・・
 不明だった船籍国の記述が、佐々木氏が個人ブログ上でもポール・ワトソンに負けず劣らず得意げに書いている唯一この記事のオリジナルというところでしょうか。
 実は、トーゴは日本にIWC票を売ったいわゆる捕鯨支持国。水産ODAは供与されていませんが、特例的な債務免除をIWC加盟前年に日本から受けています。しかも加盟した2005年は多数の死者を出す紛争の真っ只中。ODAと引き換えに上の人間が票を売っただけで捕鯨問題になど無関心だから、SS関係者の船籍登録もまったく気にしなかったんでしょうけどね。詳しくは佐々木氏のブログにリンクが張られているWikipediaと、以下の拙HPの解説をご参照。

−捕鯨推進は日本の外交プライオリティbP!?──IWC票買い援助外交、その驚愕の実態──
http://www.kkneko.com/oda2.htm
http://www.kkneko.com/oda3.htm

 産経記事は、ノルウェー政府がSSを刑事処罰に問うことを期待する内容となっていますが、共同配信記事には以下の記述が。


同省は提訴など、これ以上の措置は決めていない。
(引用)

 まあこれ以上のことはたぶんしないでしょう。面倒くさいだけで無駄なことわかってるはずだし。ノルウェー政府は内心「頼むからこっちに来ないで日本の相手をしててくれ」と願っていることでしょうね・・
 というわけで、佐々木氏がサラリーをもらって大手新聞に書いた記事の中で、彼自身が労力を割いた独自性のある内容は、「日本の外務省など」と書かれているたぶん捕鯨サークル関係の誰かさんに教えてもらったBB号の船籍判明と、在ノルウェー日本大使館への取材による「既にわかっていること」の確認だけ。
 ブログ記事のほうには、産経紙上にない佐々木氏の私見が書かれています。

トーゴの捕鯨に対しての考え方は、反捕鯨のオランダ、ニュージーランドとは違い、持続的利用支持の立場です。
どちらかといえば、日本側が支持をえられやすい国ですから、オランダ、ニュージーランドに比べると、比較的、日本側の意向を聞き入れてくれる可能性が高いと思われます。
(引用)

 いや、関係ないし。反捕鯨国のパナマだって、ちゃぁんとオリエンタル・ブルーバードの船籍を剥奪して罰金を命じたでしょ?

 まあ、ポール・ワトソンのバカげた演出に対する感想だけは、珍しく筆者も佐々木氏と同感だけどね・・
 個人ブロガーの方が語学スキルを活かして入手・分析し、インターネット上で公開した情報を、自分の“飯の種”にするのが一体プロの新聞記者のやることでしょうか? ブログの更新時間を見るとバラバラだけど、勤務時間中に大手町の産経本社のデスクでシコシコこんなもん書いて自分のブログにアップしてるの? 厚顔無恥もここまでくるともう脱帽するしかないねっ!!

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2010年01月14日

捕鯨ニッポンと反捕鯨国、真の競争時代に突入(続)/南極海捕鯨戦争、舞台は場外へ

◇読売新聞にベストバランスメディア賞を(勝手に)授賞!──捕鯨ニッポンと反捕鯨国、真の競争時代に突入(続)

■反捕鯨過激活動 豪世論批判に転換 (1/13,東京)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2010011302000076.html (リンク切れ)

 上掲は東京新聞マニラ支局の吉枝記者の報告。残念なことに、前回取り上げた読売新聞シンガポール支局の岡崎記者と同様の過ちを犯しています。「トーンが変わった(上がった)」というのは正しいですが、「批判に転じた」というのは間違い。二段目は完全に記者の憶測
 そうは言っても、2紙を始め各紙が伝えるように、豪州メディアのシー・シェパード(SS)に対する風当たりは非常に強くなっています。日豪間の「襟を正す競争」において、いち早く取り組んだ豪州メディアにかなりのリードを許してしまった格好。何せ、オーストラリアの報道機関に「日本のメディア・世論が脱法調査捕鯨に対し批判姿勢に転じた」と伝えさせることができていないですもんね・・
 しかし! 前回お伝えしたとおり、豪州の報道機関がキャッチするほど大きな声にはなっておらずとも、数々の国際条約に抵触し、人命さえ危険にさらす過激な調査捕鯨・「傲慢で理屈に合わない」補助金漬け国策事業に疑問を抱くマスコミ関係者は着実に増えてきています
 理由はいわずもがな。豪主要紙オーストラリアンが「捕鯨反対も必要だが、長い友人にふさわしい敬意を示すことも必要常識を説いていますが、対する日本が果たして米・豪・NZ・欧州諸国を始めとする《長い友人》《ふさわしい敬意》を払っていたかといえば、答えははっきりとNO
「バカなオーストコリアだぜ。ICRW8条がある限り、おめえら何も文句言えねえんだよ。ざまあみろ、ギャハハハwwww」(ウヨガキ風に)
 これが正真正銘捕鯨ニッポンの態度だったのですから。内側から強く自戒を求める声が上がってくるのは、日本が曲がりなりにも国家的情報統制をされていない民主主義国の一員であれば、当然のこと。
 で、本日(13日)には読売新聞に以下の社説が掲載されました。

■調査捕鯨妨害 「抗議」を逸脱した無謀な行動 (1/13,読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100112-OYT1T01719.htm?from=y10 (リンク切れ)

 タイトルは巷の反反捕鯨ブログと大差ないかに見えますが、中身の方を読んでみると、日本人の目から見てきわめて常識に沿ったことが書かれています。

>だが、取り締まりや自衛策の強化だけでは、問題の根本的な解決にはならない。大切なのは捕鯨国と反捕鯨国が、捕鯨の今後について冷静に話し合うことだ。
>IWCでは、議長が日本の沿岸捕鯨の再開と調査捕鯨の停止を同時に実施することを提案し、正常化への動きも出ている。
>合法で正当とはいえ、「調査」のために年間1000頭近い鯨を捕獲する必要があるのか、といった疑問は、日本国内にもある。日本の悲願である沿岸捕鯨の再開に道が開かれるなら、南極海の調査捕鯨の縮小は検討に値しよう。
>シー・シェパードは捕鯨の妨害を通じて、捕鯨国と反捕鯨国の対立をあおることを狙っている。日本は挑発に乗らず、反捕鯨国との対話を進めることが肝要だ。(引用)

 筆者はどうしても口が正直なもんで白状しますが、普天間問題その他をはじめ読売の社説の多くは、筆者の感覚とズレがあるものが多かったりします。産経ほどではないにしろ右よりとされるその読売さんに、過大な期待はしていませんでした。ブッチャケ、今回の事件で社説が出るとしたら、産経や西日本と大差ないレベルに戻ってしまうのではないかと、ほとんどあきらめていたのです。実際、毎日は産経レベルでしたし、ね・・
 ところが、少なくとも調査捕鯨問題に関して、読売は「広義国益とは何か?」を明確に理解していることが示されたのです。

■沿岸捕鯨再開、IWC案を生かさぬ手はない ('09/2/5,〃)
http://shasetsu.seesaa.net/article/113695276.html

 上掲は昨年2月の同紙の社説。1年前と比べ、スタンスにブレがありません。SSの過激な妨害活動が“一因”となった事故と、それを巧みに利用した捕鯨サークルのプロパガンダ攻勢にも関わらず、距離を置いた冷静な視点を貫いています
 同紙の各報道についてはリベラル派からいろいろ批判がありますし、岡崎記者のミスリード記事や、大阪の鯨肉料理屋のとんでもない食品偽装を知らずに載せてしまったグルメ記事(後述)など、イタイものもありました。が、今回の社説には本当に“感動”しました。読売を始めとする日本のマスコミも、オーストラリアンなど豪州のマスコミに決して引けを取らないバランス感覚を備えていることを証明してくれたのですから。
 一点のみ補足しておきましょう。妥当なランディング・ポイントについて、読売は撤退ではなく縮小を掲げています。これは読売の所為ではなく、戦争ごっこを繰り広げるSS&捕鯨サークル、崖っぷち外交戦術に頼る日本政府&優柔不断な豪州政府の4者の所為といっていいものですが・・。
 ただ、譲歩案としては日本よりすぎると海外から見られるうえ、捕鯨サークル側は絶対呑めない提案で、現実的ではありません。連中がなぜ呑めないかというと、コストは大して変わらないのに副産物収益だけは大幅減が避けられないからです。
 ただでさえ一部のグルメ好事家以外の消費者から見向きもされない鯨肉の価格を、これ以上引き上げることは不可能。現在でも赤字体質を抱える鯨研が、その分の損失を丸抱えすることも不可能。補助金を大幅に増額したうえ、学校給食用としての引取量と現在割り引かれている公定価格を大幅に引き上げるというのが唯一の解決策ですが、このご時世でバカげた「国有捕鯨」事業に乗り出すことなど国民が絶対に許しません落としどころは、3年か5年程度の期間をかけたフェイズアウトと船員に対する失業・転業補償、きっちり管理された沿岸捕鯨の再開以外にないでしょう。
 さて、上記のようにマスコミに関しては日豪間で“互角に近い争い”ができているのに対し(まあ産経もあっちで「戦争だ!」と煽った大衆紙デーリー・テレグラフと互角か・・)、政治の面ではどうでしょうか?

■赤松農林水産大臣記者会見概要 (1/12,農林水産省HP)
http://www.maff.go.jp/j/press-conf/min/100112.html

 赤松農相が“感動”したのは、今日の社説のことじゃありません。昨日の話ですからね。。つまり、岡崎記者のちょっとイタイミスリード記事のこと。連合出身でかなり左といわれた赤松氏が、農水省の公式記者会見で特定のメディアを名指しで絶賛というのも、なんだか笑っちゃいますけどねぇ〜。。着任時には農政に疎いという目で見られていた赤松氏も、いつの間にやら“聖域”を庇護する族議員に早変わり。トンデモ食害論を鵜呑みにして、IWCで赤っ恥を晒すために「乗り込んでいく」などと今から勇んでいる様子は、滑稽を通り越して悲しくなります・・・
 赤松殿。SSの違法性を断じながら、調査捕鯨船団側の過失は一切認めようとせず、しかもなおICRW8条を金科玉条の如く唱える貴殿ら
政府代表の姿勢が、海外の目に一体どう映っているのか、考えたことはありますか??
「バカなオーストコリアだぜ。ICRW8条がある限り、おめえら何も文句言えねえんだよ。ざまあみろ、ギャハハハwwww」(ウヨガキ風に)
 これがニッポンの正体だと思われているのですよ!?
 ポーズばっかりで腰の定まらない豪ラッド政権にも腹が立ちますが、向こうには「それはそれ、これはこれ」ときっちりSSを断罪することのできる政治家・官僚がいるわけで。こっちはほぼゼロ。政治の場での「襟を正す競争」は、現在のところ間違いなく日本の完敗です。

 

◇南極海捕鯨戦争、舞台は南極から司法の場へ

■皆さんとディスカッション(続x711)|防衛省OB太田述正アングロサクソン文明と軍事研究ブログ
http://blog.ohtan.net/archives/51450910.html
■AG号オランダ人乗員の話|YAHOO!掲示板・諸君、捕鯨問題だ!!
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834578&tid=a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa&sid=1834578&mid=40679
■YouTube - Footage from the Ady Gil, right before its ramming by the Shonan Maru No. 2
http://www.youtube.com/watch?v=GfGM-LzGKjc

 今年新たに投入されたSSのバイオディーゼル機関搭載未来型シップ(実際は相当チャチかったけど・・)が、調査捕鯨船団のこれまた今年新たに投入された切り札・カミカゼ特攻隊じみた「妨害の妨害」を任務とする第二昭南丸に激突されてあえなく大破。騒動にひとまず幕が下りたかに見えますが、舞台はさらに熾烈な法廷闘争へと持ち込まれることに
 まあね・・この件については掲示板やブログでいろいろやり合われていますが、場外ですったもんだしたところで始まりません。最終的に海外での司法判断が下されるのを待つだけの話。酒の肴にする分にはかまわないでしょうが。
 そうは言っても、この件について解説する記事をJANJANさんで掲載いただいた手前、補足説明をしておきましょう。代表的な日本の調査船団側の擁護意見として、上掲の防衛官僚OBの方のブログをご紹介。管理者の太田氏ではなく、訪問者の赤いハンカチさんと近藤さんのやりとりです。太田氏はなだしおの件を持ち出してちょっとトンチンカンな回答を。官僚OBとしては別所で脇の甘さを突かれてもいましたけど・・
 近藤さんはCOLREG条約/海上衝突予防法にお詳しいと思ったら、英国でヨットマスターの資格を取られたとのこと。最終的に「(SSの)AGの非は日本船に対して多い」と結論されていますが、条約の不備の存在も認識していらっしゃるようです。つまり、問題の構図はICRW8条を掲げる日本の脱法調査捕鯨に通じているわけです。
 近藤さんの反論を整理すると以下。
@COLREGの第2条では“Good Seamanship”が掲げられており、SSは明らかにこれに反する。
AAG号は意図的に衝突するように操船していたのではないか。(海上衝突予防法第8条)
BAG号は横切り船ではなく追い越し船に該当するのではないか。(海上衝突予防法第13条)
CAG号は保持船としての義務を果たしていない。(海上衝突予防法第17条)
 以下、反論の反論をば。まず@から。

>日本法では、「適切な慣行に従つて」とあるのみで、何がなんだか分らないが、 “the observance of good seamanship”というのは、お互いに海の男として、自助の精神とともに、危険を避け緊急の場合は助け合う、ということを示唆するものだ。(引用)

 SSも日本で裁判起したらもっと有利になったかも・・って、そんなわけもないですけど。。日本の司法が他の先進国と比べ独立性がかなり低いことは、鯨肉横領裁判でも明らかになったところですし・・・
 ともかく、"good seamanship"を日本が守りSSが守っていないという心情的な見方は完全なエコヒーキ“ホーム”で通用しても、“アウェイ”で通用する話じゃありません。特に、大破したAG号上の船員に向けたウォーターキャノン“攻撃”は、転落すれば1時間もたない極寒の南極海上での危険極まりない行為であり、COLREG条約第2条に明らかに反します。「いや、放水は簡単に向きを変えられないんだ」なんて人命を二の次にしたみっともない言い訳をするヒトもいますが、一体どこがグッド・シーマンシップやら・・
 ついでにいえば、調査捕鯨船団は昨年妨害と無関係な落水事故で船員の方一名を失っているわけですが、この事故では日本のマスコミにまったく取り上げられなかったライフジャケット未装着の事実が発覚。にもかかわらず、水産庁・鯨研・共同船舶・全日本海員組合は真相についてだんまりを決め込み、国民に対する説明責任をまったく果たそうとしていません。海員組合や共同船舶にグッド・シーマンシップを謳う資格はもはやゼロです。
 さらに、ボン条約を無視したり、ワシントン条約違反の指摘には日本がミサイルじゃなくて人工衛星だといえば、それはもう人工衛星なのだ(と言うのとまったく同列の主張)」と開き直ったり、国際条約の抜け穴突いてばっかりいる脱法調査捕鯨自体、世界からはグッド・シーマンシップにおよそ程遠いと見られているのは間違いないところ。
 第三者の目には、《自らの過失を認めようとしない度》がより高いほど、“good seamanship”が低いと映るでしょう。まあ、SSも同じ穴のムジナで正義の味方を気取って非を認めないつもりでしょうが。ここで指名手配者を日本の警察に引き渡さないポール・ワトソンはやっぱり大バカ。
 裁判では両者の壮絶な罵り合いが繰り広げられるでしょうけどね。。
 続いてA。これについては、avatar4649さんにYouTube掲載映像の情報を教えていただきましたが、“証拠記録”は次々に新しいものが追加されています。主にSS側からですけど・・。近藤さんは残念ながら、第二昭南丸側の操船についてもまったく同様のことが言える点に触れられていません。当然鯨研側のビデオではわからないでしょうが、SS側(アディ・ギル号及びボブ・バーカー号)から撮られた映像がしっかり残っています。

>第2昭南丸は衝突前、まるでアディ・ギル号に狙いを定めるように舳先を右旋回させて突進し、ギリギリのところで左に舵を切っている(〜大沼安史の個人新聞)

 日本人の目にさえこう映るのです。海外で一体どういう司法判断が下されると思いますか?
 Bは、COLREGで横切り船から追い越し船に転じることを禁止していること(国内法では規定なし・・)を挙げていますが、具体的に定義が明文化されていません。これも一種の条約の不備ということになりますが、海況や相対速度など諸々の条件を考慮して設定するのが困難だというのが理由でもあるでしょう。
 付け加えると、この点では日本側に不利に働く要素があります。赤いハンカチさんも指摘されていますが、AG号は「妨害の妨害船」第二昭南丸なんか相手にしたくなんかないわけです。AG号を妨害するコースを第二昭南丸側が強引に突き進んでいった結果、あの形になったんですね。両船の航行記録がどれだけオープンになるかわかりませんが、第二昭南丸側が海上衝突予防法8条に違反する操船を行いつつ、本来回避義務のなかったはずのAG号側に無理やり針路変更を迫っていた過程まで詳細に残されているかもしれません。
 調査捕鯨船団側の当事者が日本に帰国してさらに司法の場に出るまで結構な期間がありますが、あたご事故のときのように突然メモが出てきたり、記録の一部が紛失したことになったり、dateの怪しいものやら修正液の跡があったりするものやらが提出されてまた引っ込められたり何だりするかもしれません・・・
 Cについては既にJANJAN記事で解説していますが、要するにケンカ両成敗という話。
 太田氏のブログ上の近藤さん以外の反論についても、いくつかお答えしておきましょう。
D第二昭南丸は「操縦性能制限船」に該当するから優先される。
 NO。該当しません。これは漁労(捕鯨)活動に従事中の船を指すもの。妨害の妨害が任務ですし。第一、調査捕鯨は“建前上”科学調査で、漁労活動ではありません。共同船舶は捕鯨会社ではなく船舶リース屋さん、各船も捕鯨船(漁船)ではなく調査船です、“建前上”。誰の目から見てもおかしい“建前”を下ろして、国際条約違反を認めるなら話は別でしょうけど・・
E小回りの利かない船が優先される。
 NO。条約で明文化されているのは200m以上の巨大船のみとのこと。
 最後に事実関係をもう一度整理しましょうか。
・SS側に重傷者が出た。
・国際条約に照らして双方に過失がある。
・双方の過失の程度について、海外オランダNZには既にSSが提訴、事件海域の管轄権を持つ豪州当局も捜査)の司法の場で争われることになる。
 きっと日本側は、最後まで捕鯨ニッポン100%性善説を白々しく謳い続け、裁判の結果に対しては、国内世論向けの善後策「不当」「人種差別」というプロパガンダを打ちさえすれば大丈夫という判断だと推測されます。日本人のseamanshipも1万mの海淵の底くらいまで堕ちたかと思うと、あまりにも嘆かわしいことですが・・・

関連ブログ:
−〔いんさいど世界〕 捕鯨戦争 日本政府 国内情報統制に勝利するも国外では完敗 「シー・シェパード」側 好機と見て「殺人未遂」国際キャンペーンへ (1/10,机の上の空 大沼安史の個人新聞)
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2010/01/post-761d.html
−Operation Waltzing Matilda 5.3 (1/11,flagburner's blog(仮))
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/b27385e1527dd5ec352eb3a377ac8637
−マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」 (JANJAN)
http://www.janjannews.jp/archives/2188034.html (リンク切れ)

http://www.asyura2.com/10/senkyo77/msg/177.html 


◇捕鯨批判ブログご紹介

■鯨料理店「西玉水」の鯨肉はノルウェー産なのか? (1/10,ドイツ語好きの化学者のメモ)
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/62730936.html
■日本の鯨肉を使わない理由を説明して欲しかったな (1/10,flagburner's blog(仮))
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/88ae220f2a9fca5a94d2fd67e1d5ece4/

 1番目のトピックで取り上げた読売の残念なグルメ記事の件。食品偽装か、はたまたCITES違反の密輸入か!? モラトリアム前で時計の針が止まったままの鯨料理屋の恐ろしいほどの無知蒙昧ぶりにもあきれ返りますが・・。さしもの食品偽装大国ニッポンにおいても、商品知識がここまで皆無の食品取扱事業者は、鯨肉小売・外食業界以外には考えられないのでは・・・
 これは市民ブロガーお2人が「何かおかしいぞ?」と気づいて初めて発覚したこと。産経佐々木記者殿、あんたプロの新聞記者のくせに何やってんの!?

 以下は理系研究者と弁理士のお二方のブログ。明晰な論理構成力にはもはや舌を巻くほかありません。以下、背景着色部分引用。

■捕鯨兇状旅 (1/12,シートン俗物記)
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20100112/1263300966

>捕鯨中止が他の水産資源確保にも影響を与える、というのはまるっきり戦前の日本の「満蒙は日本の生命線」とかいうスローガンと同じだ。
>そもそも日本は食料だけでなく何もかも諸外国頼みなのに、水産資源だけで何とかなるつもりなのか?訳判らん。大体、そんなに水産資源が大事なら、なぜ日本沿岸部や内水面を破壊するような真似を許容しているのやら。(引用)

■調査捕鯨の調査団を多国籍軍にするべし! (1/11,知財業界で仕事スル)
http://blogs.yahoo.co.jp/yoshikunpat/61055493.html 

>調査捕鯨のやり方の是非の議論と、シーシェパードによる海上での危険行為の処罰とはあくまでも別の問題です。
>シーシェパードのAG号(高速艇)と日本の調査捕鯨船第2昭南丸との接触事故の責任は、ほぼ間違いなくシーシェパード側にあると思いますが、それとは別に、日本がやってきている“調査捕鯨”が本当に“調査”のための捕鯨なのかという疑問は、私にもあります。
>(日本捕鯨協会のQ&Aのページを)読ませてもらいましたが、何のために調査をやっているのかがよくわかりません。また、その調査結果に胡散臭さがただよっています。(引用)



 ウヨ産経佐々木記者も、ベーコン閣僚コンビ岡田&赤松氏も、反反捕鯨ウヨガキ防衛隊も、市民ブロガーの皆さんの爪の垢を煎じて毎日飲むべし!

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2010年01月12日

捕鯨ニッポンと反捕鯨国、真の競争時代に突入/パクリ捕鯨擁護記者サンケイ佐々木氏

◇双方のメディアの論調に見る、捕鯨ニッポンと反捕鯨国との新たな競争時代の幕開け

■過激派シー・シェパード、豪でも反感高まる (1/11,読売)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100110-OYT1T00757.htm (リンク切れ)

 連日めまぐるしい報道・宣伝合戦が繰り広げられる中、双方のウォッチャーの皆様もさぞかしてんてこ舞いの状況だろうと思います。まったくもう、アホアホのおかげで・・
 そういうわけで、本日はちょっと横着して人様にいただいたネタをもとに構成。
 まずは読売記事の解説から。ざっと斜め読みした限りでは「まあまともなほう」といえますが、いくつか問題点を指摘しておきたいと思います。
 記事を書いたシンガポール支局の岡崎哲記者は、SSの日本人女性クルーに対してがどうのこうのと説教じみたインタビューをしたり(成人に向かって)、捕鯨問題へのスタンスがかなり固定された、ニュートラルとは言いがたい人物です。ベテラン記者らしく記事がまともに見えるだけに、ミスリードには要注意。もっとも、岡崎記者は8日付で「豪で反日世論高まる」という記事を書いた手前、追記する必要も感じたのでしょうが。
 問題を混同すると過ちにつながります。きちんと整理しておきましょう。
 以下は、この問題に興味を抱いて自分で調べてくれた東大の学生さんの個人ブログ。

−捕鯨についてあっちの人が思ってること@The Australian (1/10,Top Field)
http://blog.livedoor.jp/kotori1152/archives/50931696.html

 要は、捕鯨に賛成はできないけど、シーシェパードはやりすぎ。捕鯨の規制に逆に悪い影響を与え得るDQN」(引用)ってのが主流なわけです。国際結婚なさって現在オーストラリアにお住まいのHさんも、これが平均的・一般的なオーストラリアの皆さんの考えだと太鼓判を押されています。
 さて、そこで読売岡崎記者の記事に目を戻しましょうか。要するに、8日の記事と11日の記事の間には何の矛盾もありません。岡崎記者が書くように「矛先が転じた」わけではないのです。
 11日の記事の2段目、「捕鯨海域に近い豪州は(中略)反感が広がった事情がある」は、すべて岡崎記者の先入観に基づく憶測にすぎないと言っていいでしょう。
 実際、豪州のテレビニュースでは、当初からSSの無謀な行動が非難されるとともに、例えば「大破した船の乗員めがけて捕鯨船からは放水が続いており、その点に関しては日本が不利な立場に立たされるだろう」との解説も合わせて伝えています。(注1)
 つまり、3段目の「風“向き”の変化」などそもそもありはしないのです。事件前に比べ、「双方に対する風“当たり”が強まった」ということは間違いなく言えるでしょうが。この違いをゴッチャにしちゃいけません。実際、同記事の末文では世論と国益確保のはざまでジレンマに陥っている」(=世論は日本の調査捕鯨に強く反対し政府に対応を求めている)とあり、岡崎記者自身が書いた「風向き」「矛先」の記述を帳消しにしてしまい、全体として整合性のない記事と化してしまったのです。(注2)
 豪州政府内の事情ですが、主要貿易相手国として日本は中国などに比べ相対的地位がどんどん低下しているのが実情。ICJ提訴の件は、本当に南極の領有権主張を訴えるつもりだとしたらアホを見るのは当然で、まさかそんなことは考えていないでしょうが、そうでなくても「勝てる保証はない」とのギラード副首相の懸念は当たっています(過去記事参照)。ラッド政権が「『外交努力』をうたうだけで具体的行動は見送ってきた」のも岡崎記者の言うとおり。SSの抗議なんてどうでもいいんですが、実効的対応を何もしてこなかったラッドとギャレットはあまりにも不甲斐なさすぎると筆者も思います。怒る資格があるのはオーストラリア国民の皆さんですけど。
 上記したとおり、たとえ日本の南極海調査捕鯨を容認しなくとも「過激な妨害行為はよろしくない」と厳しく糾弾することが“出来ている”オーストラリア。翻って日本側はどうでしょうか?
 以下はYAHOO!掲示板「さあ!諸君!捕鯨問題だ!の投稿者r13812さんの提供情報。

−南極海 クジラ紛争の背景・こちら特報部 (1/9,東京新聞)
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834578&tid=a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa&sid=1834578&mid=40649
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2010010902000061.html

記事を書いた記者は「デスクメモ」で“南極海調査捕鯨は目視のみにして日本沿岸の商業捕鯨再開はどうか”と提案している。(注3)
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834578&tid=a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa&sid=1834578&mid=40606

−サンデーモーニング (1/10,TBS) 
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834578&tid=a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa&sid=1834578&mid=40619

 4人のコメンテーターのうち、ICRW8条一辺倒の寺島実郎氏を除く3人は調査捕鯨の問題点に言及

−困った年中行事|窓(論説委員室から) (1/8,朝日)


このままでは、人命にかかわる事態が起きないか気がかりだ。「困った年中行事」を止められないものか。
ひとつの策は、国際捕鯨委員会(IWC)の場で、日本が「いっさい調査捕鯨をやめます」と宣言することである。


 いや〜、日本のマスコミもなかなかどうして捨てたもんじゃありませんね。ちゃんとバランスが取れているじゃありませんか。もともと捕鯨擁護一色に塗り固められ、俯瞰情報を一切報じようとはしない産経新聞や西日本新聞には何を期待すべくもありませんが、風向きの変化は着実に現れつつあるようです。大本営発表”にいい加減うんざりしたという方、そして、税金で人殺しをさせられる羽目になるのを真剣に憂える方が、マスコミ人、知識人層に広がっていると見ていいでしょう。多角的・客観的に問題を伝えるまともなマスメディアの姿が、日本でもようやく取り戻されようとしていますね。
 これは新たな競争時代の幕開けです。
 過激な金儲けのエセ環境団体を戒めるのが先か。北朝鮮顔負けの独善的脱法調査捕鯨に自ら終止符を打つのが先か。
 日本と、米国や豪州などの反捕鯨国と、どちらが先に襟を正すことができるかどちらがより成熟した大人の国であることを示せるかどちらが国際社会でより尊敬を勝ち得る国になれるか──という。
 競争に勝って、我々日本人の方が格上であることをオージーの連中に見せつけてやろうじゃありませんか。
 でも、勝ってもあんまり威張り散らさないで、胸の内でちょっぴりニヤリとするだけにしておきましょうね。


(注1):掲示板の書きこみなどでいろいろ言い訳をしている支持者がいますが、人命を二の次にした苦しい言い分が、海外の司法の場で通用するなどとは思わない方がよろしいでしょう。アムネスティを始めとする人権擁護団体が批判する国際水準とかけ離れた日本の司法を改め、調査捕鯨関係者による横領・横流し・脱税の真相究明を公正に行うのであれば、第二昭南丸の船長に対する同情論も高まるかもしれませんが・・。

(注2):“風向き”について一点補足すると、アカウントの多重チェックもまったくやってない大衆紙のネットアンケートなんてものは、応援団のウヨガキ君が2chなどで突撃の号令を発したり、某組合などの組織力でもっていくらでも操作可能。当ブログの特設リンク「捕鯨問題総ざらい!!!■ヘンだぞお手盛り捕鯨支持世論調査!」の項もご参照。

−日本は南極海での捕鯨から撤退するべきかというアンケートの結果の推移
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-1982.html(1/10,カナダde日本語)

(注3):
以下引用。
「たとえモラトリアムが解除されても、捕獲枠を定めた調査捕鯨を拡大すべきだ」梅崎義人氏(水産ジャーナリスト)
あはは、さすが御用ジャーナリストさん、あくまでも捕鯨サークルの既得権益を守ろうとします
(r13812さん)

梅崎氏の発言は実に興味深いですね。天然嘘つき二枚舌参事官・宣伝隊長森下丈二氏は、「参入企業はきっとある! あるって言ったらあるんだ!」と虚しく響く主張を繰り返していますが、メンツのために解除はしても商業捕鯨自体は結局再開などせず、税金に依存する化石企業の存続を図ろうとの意図がバレバレじゃないですか。そんな真似をしたら、たちどころに国際社会から轟々のブーイングが巻き起こり、SSに体当たりされようが何されようが、今度こそ「自業自得だ」とどこからも同情されなくなりますよ。


◇天下りコネでつながった鯨研のオトモダチ新聞サンケイの外信部記者の仰天ブログ

■大手新聞社外信部記者でも誤訳をするのだ (1/11,フリーランス英独翻訳者を目指す化学系元ポスドクのメモ)
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/62734352.html
■産経佐々木記者、指摘を受けて訂正 (YAHOO!掲示板・さあ!諸君!捕鯨問題だ!
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834578&tid=a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa&sid=1834578&mid=40568
<【SS続報】世界のメディアが報じたシー・シェパード、レーザービームの写真@第2昭南丸カメラマン撮影 >('09/12/26,Cool Cool Japan !!!)
http://sasakima.iza.ne.jp/blog/entry/1385020/
<【SS続報】@Whale Wars掲示板が突然の休止 ASS抗議船が、ノルウェー国旗を偽装?>(1/11,Cool Cool Japan !!!)
http://sasakima.iza.ne.jp/blog/entry/1408469/

 化学者さんは自分と仕事に厳しい方なので、産経佐々木氏を批判するのではなく、自ら戒めにしたいとおっしゃっています。が、筆者はそんな気にはなれません。
 マスコミ・ジャーナリストは権力者です。お墨付きを得た情報を広く発信する立場にあります。その立場を利用して、世論を誘導することが可能です。ついでにいえば有給。佐々木氏のサラリーが年収8万ドルのポール・ワトソンより高いのか低いのか知らんけど・・。
 それだけ大きな社会的・道義的責任を背負っているということです。
 佐々木氏は仕事の肩書きとは無関係な個人の日記ではなく、産経新聞外信部記者のステータスを明確に前面に出してブログ記事を書いています。デタラメな記事を書いておいて、「謝罪します」の一言で済まされるはずはなし。実際、marburg_aromatics_chemさんの記事で追記されているとおり、事実とは正反対のガセネタ、しかも新聞記者として自分が取材した内容でも何でもない、よそのメディアに掲載された内容の誤訳を、何の疑問も感じずに引用したブログが出てきているわけです。佐々木氏はSSに負けず劣らずのデマゴーグ発生装置と化してしまったわけです。記者としての責任感が完全に欠如してしまっていますね。
 びっくり仰天なのが最新記事(11日付)。化学者さんの記事をコピペ転載し、おべんちゃらを散々使って、あたかも化学者さんが「情報提供協力者」であるかのように仕立てています。佐々木氏が引用した化学者さんの記事には、鯨研の判断能力に疑問を投げかける記述がされているのに、そこの部分はちゃっかりしっかりカット
 補足すると、以前中積補給船・第二飛洋丸(旧オリエンタル・ブルーバード号)の便宜置籍がパナマ政府にバレて問題化したため、鯨研は触れて欲しくないから知っててしらばっくれた可能性もあり。特ダネだと思って飛びついた佐々木氏と、情報の連携はできてなかったんでしょう。特ダネったって、ぜーんぶ他人からの借り物だけど。
 個人ブロガーの方が、情報の検索・収集から翻訳作業まで無償で行い、上記の調査捕鯨事業者側の問題点も合わせ、ネットを通じて広く一般市民の皆さんに伝えようとして書かれた記事を、都合のよい部分だけ抜き出して利用する姑息な手口。やはり佐々木氏はプロの記者としての自覚にあまりにも欠けるといわざるを得ません。というか、これがサンケイ“記者の程度”なのか。
 こぉんな書かれ方をしたら、化学者さんでなくたって気持ち悪くなっちゃうよねぇ〜。環境に配慮したライフスタイルを心がけている化学者さんは、WWFのMSC認定を受けた健全な漁業者の生産物を利用されている方。鯨料理店も何度も訪れる美食家フランス人(この人物は佐々木氏の大ファンらしい・・)と並列に扱われたら、さぞかし心外でしょう。

>捕鯨推進か捕鯨反対か、調査捕鯨は適切な活動なのか、そして、親方日の丸をバックにした捕鯨産業のあり方は? 
>捕鯨にまつわる諸問題は、われわれが、国内外の声を十分に聞きながら、どうしたらよいか議論を深めて解決策を練ればいいのです。
>私はオーストラリア人にもニュージーランド人にも友人がおり、両国にもかなりの親しみを抱いています。「調査捕鯨をやめるべきだ」という彼らの主張も、無視してはいけないと思っています。
(引用)

 佐々木氏のブログでは、12/26付のまるで他人事のような上述の言及以外、調査捕鯨事業の問題点に関する具体的な記述がまったく見当たりません。筆者が読んだ限りなので、見つけた人は是非教えてちょうだいな!
 筆者が佐々木氏の記事にもTBを張って皆さんに報告しているとおり、調査捕鯨事業には法律上の問題点も、人命に関わる危険性も多々含まれています。化学者さんのブログでもしっかり取り上げられています。
 何よりも、暴力的な反対運動が支持され、まかり通る背景と、日本の調査捕鯨事業の問題点とは切っても切り離せないものであり、そこを切り離して一面的に問題を捉え報じるようでは、まさにジャーナリストして失格です。市民メディアJANJANさんに記事を載せている多数のボランティア市民記者の皆さんの方がはるかに格上。
 ま、調査捕鯨の問題点について取り上げられたことがないという点では、個人ブログより権威ある大新聞であるはずの産経の方がはるかにおかしいといえますが。私は該当する記事を一度も見たことがありません。これも、同紙で調査捕鯨の問題点を指摘する記事を発見された方がいらっしゃればぜひご報告を!
 一方の視点に立った主張のみを取り上げる画一的報道しかしない産経新聞の捕鯨報道は、まさに“大本営発表”。産経が描く調査捕鯨は、エコで一点の曇りもない、情報をいくら隠そうと許される聖域元客員論説委員の馬見塚達雄氏を役員として迎え入れた鯨研が、その引き換えとして多数のスクープ記事を提供し、持ちつ持たれつの馴れ合いの関係にあるという謗りは免れないでしょう。
 佐々木殿。化学者として環境問題・野生動物保護の問題に関心を持たれ、また翻訳者として文化の橋渡しをする役を自ら担われているが故に、研究機関としての鯨研・科学の名目で世界の反対を無視して進められる調査捕鯨のあり方に疑問を持ち、記事を書かれているmarburg_aromatics_chemさんの記事を、よくまあ自分の手柄にすり替える恥ずかしい真似ができたものです。貴殿はそれでも新聞記者の端くれですか?
 曲がりなりにもプロのジャーナリストの自覚があるのなら、特定のソースに依存せずに俯瞰情報を勉強したら? 探せないなら教えてあげるよ!

−メディアが伝えぬ日本捕鯨の内幕 (慶大谷口智彦氏)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/721
−調査捕鯨は即刻中止すべし (東大米本昌平氏)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2417
−マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」 (拙文)
http://www.janjannews.jp/archives/2188034.html (リンク切れ)
http://www.asyura2.com/10/senkyo77/msg/177.html

 

◇捕鯨関連ブログ&いただいたご意見その他ご紹介

■チリ上院議会は南極海での捕鯨に反対する】|flagburner's blog(仮)
 http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/28c3dc4015e9e1d6203e6da80b75044c

 必読です。派手な事件のことばかりに目を奪われていては、捕鯨問題の本質は見えてきません。調査捕鯨に反対しているのは、御用ジャーナリスト梅崎氏らの主張するようにアングロサクソン国家ばかりではないのですよ。

■〔いんさいど世界〕 捕鯨戦争 日本政府 国内情報統制に勝利するも国外では完敗 「シー・シェパード」側 好機と見て「殺人未遂」国際キャンペーンへ (1/10,机の上の空 大沼安史の個人新聞)
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2010/01/post-761d.html


もう一つ、豪紙オーストラリアンの報道で実例を挙げれば、オーストラリアの東京大使館は8日、日本政府に対し、日本の監視船に対して、海上安全規則を守るよう、ハイレベルのアピールを行っている。回避義務を怠った第2昭南丸に対する、オーストラリア政府としての正式の抗議の意思表示だが、日本のマスコミはこれもまったく無視した。
水産庁の「発表」にしがみついてばかりいるから、こういうことになる。「調査捕鯨」を「調査報道」しない日本のマスコミ……これはもう冗談では済まされないことだ。
(引用)

 大沼さんは新聞社にいらした経験もあるジャーナリスト。産経佐々木記者の記事と比較してみましょう・・。日本国民として「知るべき情報」、「知るべきなのに知らされていない情報」についての感覚が実に対照的ですね。前回ご紹介した7日の記事と合わせ必見!

■AG号オランダ人乗員の話|YAHOO!掲示板・諸君、捕鯨問題だ!!
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834578&tid=a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa&sid=1834578&mid=40679

 今回の一件に興味のある方は、aguatibiapyさんの解説含めご一読。
 上掲トピック(注1)に関連しますが、オランダなり豪州・NZなりで開かれる裁判で証言台に立つのは、匿名掲示板でエールを送る反反捕鯨論者たちではなく、当事者である彼らSSと調査捕鯨船団のクルーです。

 
 JANJANの拙記事【マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」】ですが、たくさんのブロガーの皆さんにご紹介いただくことができました。ありがとうございますm(_ _)m ツイッターでも80件ほどチェックされていました(拒絶反応もあったようですが・・)。

■マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」|ヘルプアニマルズ アニマルライツ動物の権利 ニュース
http://helpanimals.jugem.jp/?eid=113
■シー・シェパードの衝突事故をめぐる真相|鬼蜘蛛おばさんの疑問箱Part.2
http://onigumo.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-e42b.html
■テレ朝は密漁捕鯨是認の旗を降ろすのか?w|ルシエルさんのブログw
http://marpi.blog.so-net.ne.jp/20100108
■捕鯨問題|Sweet Candy Rain
http://xaxkxix.jugem.jp/?eid=170
■[雑文]捕鯨問題|暇つぶし
http://d.hatena.ne.jp/suna101/20100109/1263043799
■シーシェパードのアディ・ギル号の沈没2|常に初陣
http://d.hatena.ne.jp/nexcess/20100108/1262949047

 面白いのがこちらのブログ。立場・結論は違いますが、きちんと相手の主張に耳を傾けることのできる方はいらっしゃるわけです。

■【JANJAN】マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」 (シー・シェパード監視小屋)

http://ameblo.jp/eighthbodyshore/entry-10429851020.html

  以下に、そんな対話が可能な穏健捕鯨賛成派の方からいただいたご意見(フォームメール)をご紹介いたします。


捕鯨の文化が絶えてしまうことを個人的に憂いています。
しかし、現在のように捕鯨がほぼ禁止された状態で日本人の鯨を食することは想い出にあったとしても、これから若い人たちが鯨を食すかといえばそうではないと思います。
ご主旨の捕鯨に対するメディアに出さないことは沢山グレーな部分があるとは聞いています。調査捕鯨といいながら商業捕鯨的に売買されているのをみればあるいみでガス抜き的な行為とも思います。
私が記事でうまく伝えきれていませんが。牛、豚、鶏といった家畜が食用としてよくて、なぜ鯨がだめなのかということです。
しかし、最近の無謀な漁獲高は漁業においても将来資源の枯渇化による事業機会の損逸であり。
また、現在のように飽食になり、高級魚でさえ需給バランスを超えた消費と食べ残しなど沢山反省しなくてはならない点があると私は思います。
今日の鯨問題でその点まで踏み込んだ記事になってはおりませんが。ご意見いただいた貴殿のお考えに近いのではと思いメールいたしました。
事実には正と負の側面がいつも付きまとうものです。また公表されない隠された事実があることも常です。メディアが報じる情報は都合のいいものばかりであるのと同時に、それに惑わされず真実を見つめる目と心大切にしたいものですね。
(Hさん)

 捕鯨性善説を鵜呑みにするばかりで、調査捕鯨に問題点があることなど一切信じようとせず、もはや脳がベーコン化して手の施しようのないウヨガキ君たちとは対照的に、事実を直視することのできる対話が十分に可能な賛成派の方です。IWC(国際捕鯨委員会)の場で、沿岸捕鯨を認める代わりに大規模な調査捕鯨を段階的に廃止するという、バランスの取れた妥協案が議論されていたことを知れば、日本の多くの捕鯨賛成派の方々は納得するに違いありません。そして、なぜ日本政府がそれを蹴ってしまったのか、大いに疑問を抱かれることでしょう。 
posted by カメクジラネコ at 04:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会科学系

2010年01月09日

日本にとってICRW8条は人の命より重いのか/マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」(続)

◇捕鯨ニッポンにとってICRW8条は人の命より重いのか

■NZ外相:日本政府にも調査求める方針−捕鯨船と抗議船の衝突 (1/8,ブルームバーグ)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=a1ifiCtlAS9c
■豪とNZ政府が調査へ 日本の捕鯨船と抗議船衝突 (1/8,朝日)
http://www.asahi.com/international/update/0108/TKY201001080006.html (リンク切れ)
■第2昭南丸乗組員を告訴 「海賊行為」と米環境団体 (1/9,共同)
http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010010801000953.html
■反捕鯨団体、破損の妨害船を放棄か=ボーガンの矢を回収−水産庁 (1/8,時事)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100108-00000136-jij-pol (リンク切れ)
■<調査捕鯨>調査船と衝突した抗議船から矢 (1/8,毎日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100108-00000013-maiall-soci (リンク切れ)
■シー・シェパード船衝突、反日世論高まる豪 (1/7,読売)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100107-OYT1T01164.htm?from=main1 (リンク切れ)
■日本捕鯨船とSS船の衝突、両主張を報道も「五十歩百歩だ!」−中国 (1/8,サーチナ)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0108&f=national_0108_010.shtml
■〔NEWS〕 元水産庁次長が理事長の鯨研の調査捕鯨団監視船、第2昭南丸ごらんの 回避義務のある右舷方海上のシーシェパード抗議船に「体当たり攻撃(?)」 音響兵器(LAPD)も使用か? (1/7,机の上の空 大沼安史の個人新聞)
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2010/01/post-a885.html
■Operation Waltzing Matilda 5.2  (1/7,flagburner's blog(仮))
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/0f3882b2b3524bdd3c37d18a2ee5e282

 ま、「どちらも五十歩百歩だ」という第三者である中国の方の声が、正鵠を射ているんじゃないですかね・・・
 さて、捕鯨ニッポンとシー・シェパード(SS)双方の当事者の所為で、事がどんどん大きくなっている感のある第三次南極海捕鯨戦争。おかげさまで、当ブログへのアクセスも昨日(8日)は1223件、平常の3倍にまで膨れ上がる始末。このままでは日本とオーストラリアやNZなどの国々との間に深刻な外交上の亀裂を生じる事態に発展しかねない有様。豪ヘラルド・サン紙が緊急実施した世論調査で、「日本の捕鯨船団は即刻撤退すべきだ」という回答が8割以上に上るなど、既に両国の間の溝は決定的になりつつあるという見方も。
 なぜオージーの皆さん方がここまで怒るのか、SSのような暴力的な団体に寄付を投じる気になるほど腹を立てているのか、わからないとおっしゃる?
 かいつまんで説明するとですね──
「バカなオーストコリアだぜ。ICRW8条がある限り、おめえら何も文句言えねえんだよ。ざまあみろ、ギャハハハwwww」(ウヨガキ風に)
 ──てのが捕鯨ニッポンの態度だったからですよ。
 まだ説明が足りないという方は、この次のトピックで挙げたリンク先をご参照。
 岡田外相は8日の記者会見で「生命、財産を侵す極めて危険な行為であり、断固抗議したい」とコメントしていますが、事実を言えば、「極めて危険な行為(未遂)」に対して「極めて危険な行為(既遂)」で応じたということです。
 衝突の模様については、上掲の2つのブログで詳しく解説してくれています(動画リンク付き)。
 どちらサイドの映像を見ても、アディ・ギルが追い越し船ではなく横切り船であることは明白に思えます。SSの僚船からの映像はよりはっきりしていますが。まあ、この辺は場外で言い合いっこしても仕方のないこと。豪州かNZの捜査当局に双方から証拠資料をきっちり提出してもらい、裁判の結果を待つよりないでしょう。


>調査捕鯨の実施団体、財団法人日本鯨類研究所側が公表した、第2昭南丸側から撮影したビデオでも、アディ・ギル号は第2昭南丸進行方向の右舷側にあり、昭南丸側に回避義務がある。
>一方、シーシェパード側が公表したビデオを見ると、第2昭南丸は衝突前、まるでアディ・ギル号に狙いを定めるように舳先を右旋回させて突進し、ギリギリのところで左に舵を切っている。
>相手がいくら悪名(?)高きシーシェパードでも、これはどう見ても、第2昭南丸に非がある。
>日本は武士道の国。「日の丸」を背負って「調査捕鯨」なるものを続行するというなら、耐えがたきを耐え、あくまでもフェアプレーでのぞむのが筋ではないか?
(〜机の上の空)
>ついでに、衝突の後も Ady Gil 号に放水を続けているし。
>これだと、いくら『Ady Gil 号が急停止・急加速したのが事故の原因』と言い訳しても「調査捕鯨」団側が不利になるか。
(〜flagburner's blog(仮))

 確かにね。SSのやつらはどうしようもないアホですよ。しかし、FRP製のちんまい玩具じみたアディ・ギル号と、軍艦に次ぐ堅固さを誇る鋼鉄の第二昭南丸との関係は、誰がどう見たってダンプミニワゴン。トン数の差は28倍ですからね(712トンv.s.26トン)。しかも、自分たちが落水事故で船員を失ったあまりにも痛い経験を持ちながら、大破した船上の乗員に放水する様は常軌を逸しています。鯨研もよく海外メディアにまで自分から配信できるもの。やっぱり人命に対する感覚が相当マヒしているのと違いますか? さすが極右団体的研究機関。仮に陪審員裁判だったら全員一致でアウトでしょ。別の団体の鯨肉横領裁判で最高裁が日本の司法の特異性を示してしまったり、心証を悪くする材料にはホント事欠かないし・・
 今回SSのを一気にあげ、豪州の反捕鯨感情にを点けたのは、間違いなく捕鯨サークル。そのプッツンぶりもついに頂点に達したかと思いきや、意外な隠し玉を用意していました。ボウガンの矢を発見だそうで。見た目の凶悪さも殺傷力も捕鯨砲ほどじゃないですけどね。バイオプシー用なんじゃないですか?

 ま、SSの連中なら確かに持ってきかねませんが・・。そんな物騒な代物を南極海くんだりまで持ち込める容疑者は2者のみ。SSか、あるいは捕鯨サークルの自作自演か。

 なんで「めぼしいもんがないか海上を何時間もさらっている様子」をビデオに収めなかったの? まるでポイと投げてすぐ回収したみたいじゃん。
 ここで再度大沼さんのコメントを引用。


>第2昭南丸は衝突前、まるでアディ・ギル号に狙いを定めるように舳先を右旋回させて突進し、ギリギリのところで左に舵を切っている


 何しろ、“土産”の横領・横流し・脱税問題で発言をクルクル変えた信用のまったく置けない水産官僚ですし。捕鯨サークルの中枢にいる人物も世論操作担当の“PR演出家”も、相当のキレ者ときてますからね。衝突事故も、凶器の発見も、狙ってやったんじゃないの? 
 これも、どちらが用意したものかは、裁判で判定してもらうことにしましょう。ああ、そうそう、グレン・インウッドにこっそり調達させて送らせたりしないように。豪州の皆さんにはもう顔を覚えさせとかないとね。。
 いずれにしろ、SSを一方的に非難する資格など調査捕鯨船団側にはありません。


>「ボーガンは人に対する殺傷能力がある危険なもので、乗組員の殺傷さえ辞さない態度であることが強く疑われる」(鯨研)

 ほうほう・・摂氏0度の南極海洋上で大破した小型船に向けて放水を行い、「乗組員の殺傷さえ辞さない態度」疑いの余地もなく明確に示したのは一体どなたですか?
 暴力に対して国家的暴力をもって対抗するのが平和国家の仮面を被ったこの国の本性だと、世界中に知らしめてしまいましたね、ベーコン外相岡田殿。
 それにしても、SSは相変わらずアホだね。訴える先も理由もトンチンカン。お前さんたちは指名手配されたメンバーの首を日本の警察に差し出すのが先だよ。戦術的にも公平性を担保できるからね。ポール・ワトソンはバカすぎるので期待できんかもしれんけど・・
 日本人として言いたいことはただひとつ。

 
 税金を使った人殺しはやめなさい!! ふざけるなっ!!!!
 
 と言ってしまうと、さすがに公平じゃありませんね。
 オスプレイなんて化け物は日本に要らない。ボウガンどころじゃない。
 日米両政府&土木・防衛利権を貪るヒトたちへ。
 税金を使った人殺しはやめなさい!!! 


◇昨日の続き・・

■マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」 (1/8,ころころにっき)
http://corocoro.txt-nifty.com/blog/2010/01/post-acd9.html
■捕鯨船衝突事故で回避義務を怠ったのはアディ・ギル号ではなく第二昭南丸だった (1/8,カナダde日本語)
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-1979.html
■マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」 (1/9,らち教)
http://blogs.yahoo.co.jp/avatar4649/60832780.html
■日本メディアの画一的閉鎖報道 (1/9,出版営業員ブログ)
http://blog.livedoor.jp/zin123/archives/1393257.html
■調査捕鯨VSシーシェパードより税金の使われ方を! (1/7,billabong)
http://www.mypress.jp/v2_writers/wallaby97/story/?story_id=1884636
■もう捕鯨なんてやめちゃえば (オーストラリア移住超具体的マニュアル★永住ビザから、現地生活、食べ物・料理情報満載サイト)
http://001.ausaki.com/archives/65269472.html
■マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」 (1/7,JANJAN)
http://www.janjannews.jp/archives/2188034.html (リンク切れ)
http://www.asyura2.com/10/senkyo77/msg/177.html
《捕鯨批判ブログ・リンク集》
http://www.kkneko.com/framel2.htm

 上掲記事にて、昨日の段階で日本人の誰かが必ず言っておかなくてはならないことは一通り述べたつもりです。記事をご覧の皆様には、良識ある日本人として問題認識を共有してくださるよう、重ねてお願い申し上げます。
 ・・と私がお願いするまでもなく、大勢の市民ブロガーの皆さんが意思表示をしてくださっていることを、大変頼もしく感じております。
 一番上のリンク、ころころにっきさんの記事をご一読。筆者の稚拙で読みづら〜い文章を、華麗かつ見事に要約していただいてしまいました。筆者はもう感謝感激雨アラレでございますm(_ _)m 
 おかげさまで、昨年末に拙HPの捕鯨批判ブログ・リンク集の登録サイトは200件を突破しました(当記事投稿時214件、NGO除く)。しかも、ここ数日でまたどんどん増えていっている感じです。まさに良識派の日本人ここにあり!ですニャ〜♪ 国+マスコミの大本営発表を鵜呑みにせず、自らの感性と理性で、冷静に問いかけ、常識的な回答を見出されているすべての皆様に感謝m(_ _)m
 バランス感覚の優れたブログの代表として、あっきーさんの記事をご紹介しておきます。「カナダde日本語」の美爾依さん、「らち教」のavatar4649さん、「出版営業員ブログ」のzin123さん、「billabong」のあずーるさんには記事紹介・TBをいただきました。
 flagburnerさん、marburg_aromatics_chemさん、Adarchismさんにも、常連ウォッチャーとしてマスメディアの2歩も3歩も先を行く視点を切り開いてもらっています。筆者にはマスコミ報道のチェックが関の山ですが。
 自サイトの差別発言を意図的に放置している日本捕鯨協会ではないけれど、外国人に対する差別意識に凝り固まったウヨガキブログや匿名掲示板の書き込みも陸のゴキブリ並に増殖している模様・・。これらの主張を見て私が感じるのは、「ああ・・残念ながらこの国には、相手の身になって考えることができないヒトたちがたくさんいるのだなあ・・」ということ。もうひとつ気になるのは、批判陣営の多様性とは対照的に、まるで版を押したように似たようなことばっかり書かれてるんだよねぇ・・。これが日本人の民族性だという結論に一足飛びにたどり着くことは、筆者はしません。流されやすい社会風土は情報リテラシーの不足に、コンプレックスの裏返しである異文化に対する優越感情は、歴史的に背負ってきたアイデンティティの喪失とその反動に起因するもの。一言で言えば、日本は民主主義がまだまだ未成熟な閉じた社会だということに尽きるのではないでしょうか。

 

◇お知らせ

 翻訳協力者が見つかりました。めろさん&みずさん多謝m(_ _)m
 今年のIWC年次総会までに、コンテンツの充実とともに、個人として打てる手を探っていきたいと思っています・・・

posted by カメクジラネコ at 04:10| Comment(6) | TrackBack(3) | 社会科学系

2010年01月08日

マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」/しょこたんとクジラ

◇マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」

■マスコミが伝えようとしない調査捕鯨の「負の側面」 (10/7,JANJAN)
http://www.janjannews.jp/archives/2188034.html (リンク切れ)
http://www.asyura2.com/10/senkyo77/msg/177.html

 半年ぶりに市民インターネット新聞JANJANに記事を掲載していただきました。というか、急遽投稿せざるを得なくなったんですが。。アホどものおかげでまた徹夜しちったじゃニャーきゃ(--;; 
 前回アラシによるSS顔負けの執拗な攻撃を受け、編集部に多大なご迷惑をかけたため、今回はご意見板を設置しません。高い給料もらってしょうもないガセネタ記事やゴミコラムを書いてばっかりいるサン流ケイ薄新聞のウヨ記者と違い、少人数でハードワークをこなしている市民メディアさんに負担をかけるわけにいきませんから。といいつつ、少々痛いポカがあったのでまたご迷惑をおかけしてしまいましたが(汗) 記事へのご意見・ご質問があれば、当記事のコメント欄かフォームメールまでお寄せくださいm(_ _)m
 違反の件ですが、2006年に起きた日新丸とGPのアークティック・サンライズ号との衝突事故では日新丸側の非は免れないものの、今回のケースの場合、第二昭南丸側が避航船としての義務を果たさなかった一方、アディ・ギル号側も保持船としての義務を果たしていないので、結局ここでも豪ギャレット環境相の言うとおり、ケンカ両成敗が妥当な線ということになりそうです。
 筆者も未チェックでしたが、GPも日新丸のCORLEG条約違反を認識していた模様。SS指名手配で、不審船撃沈の責任まで問われるギャンブルだと危惧する声もある中、国内法の域外適用にまで踏み込んだ日本の警視庁を見習って、再度日新丸を訴え直しゃいいのに。

 

◇しょこたんとクジラ・・の骨の謎

■深海の巨大奇怪生物を捕獲せよ!「飛び出せ!科学くん」 (1/4,TBS)
http://www.tbs.co.jp/jump_kagaku/

 地球の裏側でドンパチやってペンギンやクジラたちに迷惑をかけている連中はとりあえずほっといて、拾い物の情報をば。
 深海生物ネタというので久しぶりに観た「科学くん」。巨大生物というから何じゃと思ったら、ただのタカアシガニだった(--;; まあ、3mといったらそんなもんだよねぇ。同番組ではこれまでも何度か深海ザメ漁の取材企画をやっていますが、正直筆者はちょっぴり悲しくなります・・
 別にね・・ナヌカザメを丸めるなとか、タカアシガニをにするなとか、うるさいことは言いませんよ(褒められもしないけど・・)。でもねぇ。。
 捕鯨問題担当の森下水産庁参事官が“自白”しているように、いま日本沿岸の漁業資源の多くが危機的な状況にあります。主要な原因の一つは乱獲。そんな中で、これまで手付かずのフロンティアに近かった深海漁業がにわかに脚光を浴びるようになりました。しかし、各種のサメ類を始めとする多くの深海生物の生態は、クロミンククジラの冬季の生態と同じくらいほとんど把握されていないのに、化粧品や健康食品市場に高値で売れると群がる漁業者も。資源管理・漁業者の監督の前提となる、資源量と生態把握のための学術研究が一体どれだけまともに出来ているのか。何せ、沿岸の水産資源の調査研究に配分されている予算は、全部ひっくるめて調査捕鯨の1/4ですからね。。(前回のブログご参照)。深海漁業の資源管理については、3年前にやっとFAOでガイドライン策定に着手され始めたばかり。規制方針の採択も2年前のことにすぎません。
 以下は、三重大の水産学者・勝川氏の言。


>残念ながら、成長率が遅い深海資源に適切な管理手法は、現在のところ存在しない。


−水産庁のNZレポートを徹底検証する その10 ('09/4/7,勝川俊雄公式サイト)
http://katukawa.com/2009/04/1190.html
−深海漁業管理のための技術ガイドラインを策定を合意 第27回FAO水産委員会 ('07/3/9,EICネット)
http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=15510
−深海漁業を規制する国際指針、FAOが採択 ('08/9/4,AFP)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2513654/3289308
−深海底生態系の保護と漁業規制の新たな動き|海洋政策研究財団
http://www.sof.or.jp/jp/news/151-200/170_2.php

 サメっていいよね。個人的には、クジラよかずっとビューティフルだと思います。3億年の進化史が練り上げた、ニンゲンの設計したどんな飛行機も船も、ブッ壊れたSSのヘンテコシップも、足元にも及ばない洗練されたデザイン。卵のユニークなフォルムもお茶目だし。ユメザメとかのパッチリオメメもラブリーだし。まあ、カワイイとかお茶目とかラブリーとかはどうでもいいんですが、クジラと同じく生態系の上位捕食者で、繁殖率が高いわけなし。中にはニンゲンより妊娠期間が長い種もいます(正確には卵胎生だけど)。
 で、主役のタカアシガニですが、別名水ガニと呼ばれるほど「水っぽくてマズイ」とされ、20年くらい前までは食用としてほとんど見向きもされなかったとのこと。かつてネコマタギとして敬遠されたマグロや、今現在の鯨肉と同様、物好きなゲテモノグルメ愛好家くらいしか需要がなかったんですね。カニには詳しくありませんが、脱皮を繰り返して少しずつ大きくなっていく生物ですし、深海底に生息するスカベンジャータイプなので代謝も低く、成長が早いとは思えません。そういえば、百歳のロブスターが海外ニュースで話題になりましたっけ。当日捕獲された個体の最大サイズ(脚の端から端までの全幅)は130cm程度。小型化は、クジラ、魚その他の水産生物と陸上の獣や鳥とを問わず、乱獲の最もわかりやすい証拠。回復ペースを無視してジャンジャン獲っていたら、3m級なんて遠い昔の話になってしまうでしょう・・
 番組中ではクジラの映像が登場。といっても、既に海底に沈んで骨と化し、タカアシガニの群れにきれいに掃除されつつあったのですが。いわゆる鯨骨生物群集の一つですね。元ネタはお馴染みJAMSTEC(海洋研究開発機構)。宣伝用のニンゲンと人工物の映像ばっかりメディアにばらまくエセ研究機関・鯨研とは大違いで、教養に資してもらおうと個人からメディアまで貴重な学術的映像資料を気前よく提供してくれる本物の研究機関です。
 小型潜水艇ハイパードルフィンが、2004年に鹿児島湾の水深250m辺りで撮影した映像がネットで観れます。検索画面で「タカアシガニ」「鯨骨」で引っかかってきます。

−深海映像データベース|GODAC
http://www.godac.jamstec.go.jp/jedi/public/Sec101.jsf

 深海ザメではないけど、サメの美しい映像もセットになったnaokiさんのブログ記事は以下。

−絶滅の恐れのあるサメ類 ('09/12/26,紅海だより)
http://inlinedive.seesaa.net/article/136645465.html

posted by カメクジラネコ at 01:14| Comment(5) | TrackBack(1) | 自然科学系