2008年12月30日

捕鯨ニッポンのこの一年を振り返って

◇ハクジラとヒゲクジラの種分化(続き)

 昨日の記事ですが、夕べ風呂に入ってて、ふと思い浮かんだことを補足したいと思います。
 ハクジラの種分化の多様性は、やはり性選択的な歯の形状変化ではなく、社会性そのもののバリエーションが広がったことによるのかもしれませんね。一つの種の中で微妙に社会性の異なる集団が複数できたときに、お互いの間で交雑隔離が生じるところまで進むどうかは、もう一段の考察が必要でしょうが。ヒゲクジラ類に比べると、ハクジラ類の方が相対的に社会構造が複雑なので、辻褄は合います。
 ハクジラの仲間は、雄と雌でサイズから行動域まで性的二型のはっきりしたマッコウクジラから、父系集団と考えられるツチクジラ、最も高度な社会を持つとされるシャチ(最近は2、3の別種に分ける議論が進んでいるそうですが)まで多岐にわたります。また、マダライルカとハンドウイルカ、ハシナガイルカなど、複数の種が役割分担を含む異種間混成の社会集団を形成することもあります。野生動物の社会行動の研究においては、霊長類と並び最も興味深い対象といえるでしょう。
 本来であれば、日本は京大などの社会行動学研究のノウハウを有効に活かせる立場にあるはず。それなのに、捕鯨産業と一蓮托生の身である御用学者が、毎年毎年大量の死体から耳垢をほじくって縞を数えるだけのくだらん研究にばかりエネルギーを注ぎ込んでいるのは、大変遺憾なことです。太地の反生態学的な追い込み漁や、鯨界のゴリラというべきツチクジラの捕殺も、いい加減さっさとやめてほしいですね。命に対すると同時に科学に対する冒涜です。


 

◇お笑い鯨人集団のボケ(続き)

 収支予算書の特別事業費、重油価格が下がった分をもっと引き下げないのはやっぱりおかしいですね。増額した国庫支出を戻すのは当然にしても。
 23億円の用船料他というのは、やはり中積船や“敵”を監視するための遠洋漁船などのチャーター料に違いありませんが、支出ではなく流動負債の借入金に含まれているのがミソ。つまり、ツケにしているわけです。前年度は8億余りだったのが、今年は急増していますが、パナマ船籍のオリエンタル・ブルーバード号がCITES違反だとグリーンピースに突っ込まれたため、後継の給油兼鯨肉運搬船を急遽用立てする気でいるか、スパイ船でも増やすつもりなのでしょう。

 なお、鯨研/調査捕鯨の非科学性については拙ブログでも幾度も取り上げているところですが、生化学をご専門とされるプロの研究者Adarchismさんのブログはとりわけ秀逸で、全記事必読です。最新記事では他の専門家の方々の意見も複数取り上げてくれています。

関連リンク:
■日本の調査捕鯨船団に違法船!――パナマ政府が給油船の船籍を剥奪 (10/28,GPJ)
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20081028oc_html
■どうしてそこまで自信過剰なのか|3500-13-12-2-1
http://3500131221.blog120.fc2.com/blog-entry-60.html


 

◇お笑い鯨人V.S.お笑い鯨人(続き)

■シー・シェパード、日本の捕鯨船団妨害に9日間成功 (12/29,AFP)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2553107/3639767

 ・・・。「海幸丸が目視専門船だと知らずに阻止したつもりになっていた」とかいわないでしょうね(汗) 頼むから、そういうオチはやめて欲しいニャ。。。。やっぱ減産に協力してるだけのただのアホだニャ。。
 flagburnerさんが拾ってきてくれましたが、向こうの“お笑い鯨人集団”に対して一段と攻撃的姿勢を強めている捕鯨礼賛新聞産経の編集長は、SSの“殺意”認定したいんだそうで。そりゃ、あなたが決めることじゃないでしょ。プロのジャーナリスト、それも全国紙の編集長の言動とは信じがたいですね。あまりにすさまじい表現で、“殺気”を感じるんですけど・・。
 昨日もお伝えしましたが、国際条約上回避義務があったのは海幸丸の方ですし、「不自然な操船をして船をぶつけたのはむしろ海幸丸だった」というのは、SS側の証言とはいえ、状況からいえばおそらく正しいでしょう。つまり、編集長片山氏の言を借りれば、“殺意”を抱いたのは日本の捕鯨船団側ということになりますね。
 ところで、海保に教わって秘密兵器を搭載したので今期は危険はないと、おたくの新聞も報じたんじゃなかったでしたっけ? そんなシロモノに税金を3億円も払わされているんですがね。実際に人命が失われたあたご衝突事件の折、「海自の殺意を感じた」と報じたんですか??
 こちらの“お笑い鯨人集団”に関係者を理事として送り込んでいるくせに、あなたたちの報道は微塵も笑えません。寒気がします。

関連リンク:
■無軌道な3K新聞編集長|flagburner's blog(仮)
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/f71895792aaff206cc3c906389f04905
■鯨類捕獲調査"円滑化"緊急対策事業:3億円 (H20第2次農林水産関係補正予算概要)
http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/yosan/pdf/081220-02.pdf


 

◇大量殺人

■イスラエル軍の空爆続く、死者318人に…ガザ侵攻懸念も (12/29,読売)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081229-00000045-yom-int (リンク切れ)

 明らかに北朝鮮よりひどいテロ国家です。アルカイダと何も変わらない。というより暴力の連鎖を生み出すテロの温床。SSなどお笑い鯨人にすぎませんよ、産経どの。

関連リンク:flagburnerさんのブログ
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/c/fd1d2596bd04a14c4a728a70f8182eaf


 

◇捕鯨ニッポンのこの一年を振り返って

 京都と下関で年次総会を開いた年と比べても、今年は例年以上に捕鯨問題が一躍注目を浴びる年となりましたね。年初のシーシェパードによる調査捕鯨妨害、鯨研の予測能力のなさを証明したJARPAのレビュー会合、まともな査読論文がないといわれてリストを作ってみたけどやっぱりジャンクばっかりだった鯨研の研究内容のお粗末ぶり、グリーンピースジャパンと共同船舶元船員による調査捕鯨の数々の不正暴露、洞爺湖サミットとIWCを前に強行した検察の調査打ち切りとセットのGPJ職員逮捕、嵐の前を予感させつつも平穏に終わったサンチアゴ会議、オトモダチ新聞産経や読売が相変わらず捕鯨擁護偏向報道を続ける一方、公正なケンカ両成敗社説を展開した複数の地方紙や鯨肉流通事情を報じた朝日などメディアの変化の兆し、親子クジラ殺しにC・W・ニコル氏が憤慨し、硬直した業界に愛想を尽かした三崎氏も離脱、パフォーマンス的なSSメンバーの国際指名手配、明らかになった調査捕鯨のきわめて高いCO2排出などの環境負荷&捕鯨関連業界による鯨肉在庫統計の操作疑惑、経営合理化を迫られ直営店を店じまいするなど販売不振で苦境に陥る共同船舶と鯨研、外務省関係者は海外メディアで外交のお荷物でしかない水産庁セクションに苦言、そして税金の補助を受けた事業のくせに国民に黙ってこっそり出港した今期の捕鯨船団は、有名女優を乗せたSSの抗議船と早くもスッタモンダ──。
 来年はどちらにとっても、どちらに転ぶにしても、正念場の年になりそうです・・・。
 今年はまた、拙ブログで取り上げてきたように、一見捕鯨とは無関係そうに見える日本の社会の様々なひずみが顕になった年でもありました。とりわけをめぐる話題には事欠きませんでしたね。前年に続いてありとあらゆる食品偽装や汚染が発覚、そのうちの一つは旧大手捕鯨会社マルハニチロホールディングスの子会社神港魚類が引き起こしたウナギ産地偽装でした。業者の接待を受けた農水省の地方農政事務所職員は、汚染米が消費者の口に運ばれるのを黙って見過ごしていました。まさに日本にとっての伝統的な食の根幹が大きく揺らぎ、信頼がガラガラと音を立てて崩れ落ちた年でした。捕鯨ニッポンのまがいものの食文化は、捕鯨協会にコンサルティングを委託された国際PRが発案し、マスコミや著名人がすっかり乗せられた'80年代には、おそらく既に蝕まれつつあったのでしょう。
 社保庁職員による年金の杜撰な管理や改竄、事務次官汚職からあたごの轢き殺しに集団リンチに元航空幕僚長の化石論文などボロボロ続いた防衛庁・自衛隊の数々の不祥事もまた、この国の官と政に対する市民の信頼を大きく揺るがしたものでした。水産庁から天下る気でいる役人たちが、調査捕鯨の不正を取り締まれないのもむべなるかな・・。リンチから大麻までスキャンダルまみれの相撲界、捕鯨と同様自ら招いた伝統崩壊の結果を衆目にさらしました。捕鯨業界の赤字に追い討ちをかけた重油価格の高騰、第三世界の食糧事情をさらに悪化させた大豆やとうもろこしの価格急騰、リーマン・ショックを引き金とした世界同時不況は、サブプライム金融商品というまやかしの錬金術を編み出し、石油や食糧まで食い物にする投棄ファンドによって世界中が翻弄されるという資本主義の大きな歪みを露呈させました。
 国内では救急搬送された妊婦が病院をたらい回しにされた挙句亡くなるといった悲しい事故が相次いだり、死刑執行が急増する中で「死刑になる犯罪を起こして有名になってやる」と無差別大量殺人を起こすようなバカ者も急増。これまた、この国にとってヒトの命の優先順位は一体どこにあるのかと、大きな問いを投げかけるものでした。くだらんライトアップに金を出しても幼稚園児から収穫の楽しみさえ奪い取る冷血府知事も、ヒトの心、とりわけ幼いこどもたちよりカネを優先する荒んだ社会状況を象徴するものでした。テロと疑われた事務次官連続襲撃事件は勘違いの理不尽な逆恨みによるものだったとはいえ、やはり世界に恥ずべき犬猫の大量殺処分はペット税なんぞで解決できるものではありません。ジャーナリストの筑紫哲也氏が“末期癌”に冒されたこの国の行く末を憂いながら逝去。
 米国では新しい政治の風が巻き起こり、対照的に漢字も空気も読めないローゼン首相とプッツン小沢民主党首のすれ違いっぱなしの政治停滞が続く捕鯨ニッポンは、ますます世界から置いてきぼりにされそうな予感・・・・。関係ないけど、ポニョは不自然な海の金魚(?)に見えてしまい、観に行きませんでした・・・
 野生動物全般にとっても、あまり芳しい話は聞こえてきませんでしたね。エモーショナルな動物"愛誤"先進国日本では、動物園のアイドルにして騒ぐばかりだった感がありますが。放鳥されたトキも死んだり行方不明になった個体が出たり。IUCNでの強いジュゴン保護勧告を日本政府と米軍は無視しましたが、国際NPOは沖縄の市民とともに米国での訴訟で戦っています。潜水艦による中距離ソナー禁止を求める訴訟は残念な結果に。もっとも、ルサンチマンに駆られた日本の反反捕鯨論者たちは殺しの口実に使うばかりで何もせず。日本政府が辺野古沖の滑走路建設をやめ、米軍のソナー使用もやめさせるのであれば、商業捕鯨に対する容認論は筆者も含め高まるはずですが。
 影響が一段と目に見え始めた地球温暖化(気候変動)は、シロクマだけでなく、イッカクや日本の調査捕鯨の主要なターゲットである南極のクロミンククジラに対し特に甚大な影響をもたらすことがわかってきました。海水イオンの変化が索餌や社会行動における音響依存度の高いクジラたちに深刻なダメージを与える可能性も新たに指摘されています。種の絶滅や生態系の撹乱を引き起こす一番の要因は、個体数しか見ない水産資源学では説明不能で予測のつかない、複数の人為的影響の相乗効果に他なりません。実効性のある具体的な保護策を何も打ち出そうとしない日本がなすべき唯一の合理的な方策は、商業捕鯨(調査という名の擬似商業捕鯨含む)でさらにクジラたちを追い詰めるのをやめ、リスクを減らすことです。
 幾度か申し上げていることですが、筆者は環境保護、生物学、動物福祉の観点から、とりわけ日本が外でやっていること≠ニして南極での調査捕鯨を最重要視しています。クジラを神聖視・特別視するフリークではありません。「あらゆる捕鯨活動の即時全廃」を唱えるつもりはありません。むしろ副作用が強すぎて、当のクジラたちに返って不幸な結果を招くだろうと考えています。また、環境問題、野生動物問題、動物福祉問題、食糧問題全般における目を覆わんばかりの日本の後進ぶりが劇的に改善された暁には、捕鯨問題への風当たりは弱まって然るべきだとも考えております。大変遺憾なことながら、すべてについて後ろ向きな姿勢が捕鯨推進の背景に厳然としてある以上、捕鯨問題の解決を取っ掛かりにした方が、あらゆる自然と動物たちの利益に資するものと認識せざるを得ないのですが・・・・。
 願わくば、来年こそはクジラたちに平和が訪れますように。ヒトを含む他のすべての命にも。
 ついでに来年は丑年ですが、せっかくなのだから皆さん、せめて一年くらいは牛肉の消費を減らしたらどうですか? 動物福祉上問題のある無理な肥育を要する霜降りは特に。なんといっても飽食・廃食大国ですから、代替品なんて不要ですよ。国もヒトもこれを機会にメタボを解消してすっきりしてください。遠洋捕鯨とアグリメジャーの牛肉生産という“悪の双璧”をなくしたら、地球環境にとってもいいことこのうえなし。輸入も生産もすっぱりやめ、ハンバーガーチェーン店も国内から一掃し、伝統的な“畑の肉”に立ち返るというなら、筆者としては近海での捕鯨を相当程度認めるのに決してやぶさかではありません。それは確かに、失われてしまった正しい食の伝統と不殺生の伝統、本物のアイデンティティを取り戻すことにつながりますから。
 本気でやる気があるなら、ね。。。

 

◇オマケ:Yahoo!BBSからうちをのぞきに来ているウヨガキ君たちへ

■さあ!諸君!捕鯨問題だ!
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834578&tid=a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa&sid=1834578&mid=30658
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1834578&tid=a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa&sid=1834578&mid=30659
 ときどきアクセス解析でYahoo掲示板からのアクセスが引っかかってきます。ここは個人に対する低レベルな誹謗中傷まで書き込まれ、2chニュー速以上にディベートの体をなしていませんが・・。先日の「やる夫」シリーズの作者レベルであればまだしも、センスの欠片も感じないウヨガキ君たちの相手をする必要も感じないので、小学校の算数がわからないヒト向けにだけ特別に講義してあげるくらいなのですが、せっかくなので一言。

SSをテロ指定しているのは、日本国が逮捕状を発行した事でも明らかなように鯨研よりもっと上流から。

 グリーンピースにしろWWFにしろ、あるいは過激な行動で知られるシーシェパードにしろ、日本を含めたどの国からもテロリストの指定など受けていません。ちなみに、グリーンピースはかつてフランス政府の諜報機関による国家テロで犠牲者を出した“テロの被害者”として有名。当然ですが、指名手配とテロは無関係。過去記事でも既に解説済みですが、威力業務妨害(オバカなSSと違い、はるかに陰湿で卑劣な“紛い行為”を含む)を行ってきた右翼・左翼・暴力団・似非同和・新興宗教団体は全国いたるところに存在しますから、日本は世界でも例を見ないほどテロリスト組織がウヨウヨしている恐ろしい国ということになっちゃうでしょうね。
 “上流”だなんてずいぶんとまあかっこつけた口ぶりですが、具体的にどこですか? 政府の当該組織の関係者なの? いや、君、ただのウヨガキ君でしょ。説明できないもんだから、上だとか下だとか言って誤魔化してんだろうけど、そんなの最初からないよ。
 鯨研の財務情報が“合法的”だとか言ってますが、誰も違法だなんて言ってませんよ。何が問題なのかは読めばわかるとおり。法に触れるか否かですべてが解決するなら、日本であれどこの国であれ社会問題は一切起きず世の中平和でしょう・・。
 容易に飼い馴らされてしまうタイプのウヨガキ君には、どれほど平易に説明してもニャンコに小判で、問題の所在がどこにあるかわからんでしょうが、そもそも脳ミソがベーコン化したネトウヨ君たちの「目が醒める」ことなど、筆者としては最初からまったく期待していません。大切なのは、ネトウヨ化の"予防"なのですから。そして、"治療"の責任があるのは日本政府/捕鯨サークル/国際PRとマスコミ。ま、捨てられたと感じて、自分で「目が醒める」子たちが出てきても不思議ではない状況ですが・・。

SSの攻撃を受けた場合、逃げるのは一番双方にとって危険のない選択。

 過去の一連の捕鯨船側の“反応”がケースバイケースであることは、今年の2回のアタックだけでも明らか。「いつでも逃げる」という合理的な選択をしていれば、SSが指名手配を受けることもなかったはずなんですがねぇ。当事者に代わり、筆者らがJanJanの記事でその理由を説明していますが。

関連リンク:
■Yahoo掲示板、2chカキコミの"事実誤認"訂正・・ (拙過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/16048538.html

 

 まあ、筆者は性格も手伝ってか、キツイ表現を使うことがあるので(汗)、時折ご批判の言葉を頂戴して反省してもおりますm(_ _)m もっとも、筆者がついツッコミなっちゃうのは、水産官僚や鯨研の学者、捕鯨議連の議員、反反捕鯨言説を唱える多数のマスコミ人・著名人など、自らの高いステータスを利用して社会に対して影響力を行使でき、また実際にそうしてきた人たちで、それらの“権威”にすがってつるんでいるだけのウヨガキ君たちの相手をしても仕方がないのですが・・。
 捕鯨ニッポンを素朴に崇拝するヒトたちにとって耳に心地よい嘘を吐くことも、耳にしたくない真実を口を噤んで言わないことも、筆者にはできません。賛成派へのアプローチには大きな限界があると感じるのも、そうした理由からです。不都合な真実≠ゥら目を逸らすのは情けないことですが、それがニンゲンという不完全な動物の"サガ"であれば、仕方のないことと半ば諦めてもいます。といって、ベーコン化が進んでおらずまだ間に合う=A思考の柔軟な日本の若者がもはや“絶滅”してしまったとも考えていません。
 大きな存在に寄りかかって安堵を得ている未成熟なネトウヨ君たちは別として、人生の中で踏んだ場数の少ない若い人たちは、ときに心が揺れ、「何が本当に正しいのか」と不安を覚えることもあるでしょう。もちろん、立ち止まってじっくり考えることも大事なことですが。そうした若い世代の人たちにとって、“道標”のひとつとしてのポジションを果たせれば、筆者としては本望です。そのために、こうして情報を発信しているわけです。なんとなれば、「犠牲は少ないに越したことはない」という世の中の進むべき方向性について、立ち位置がブレることはないので。
 道標≠ニいっても当然中立軸ではなく、捕鯨サークルそのものやマスコミ、文化人による《捕鯨賛成の主張》に対し、《捕鯨反対の主張》を明確に示しことで、結果的にバランスを保つという意味です。グリーンピースなどの国際NGOは、捕鯨協会/国際PRによる“アンチブランド戦略”があまりにも奏効しすぎてしまいました。国内における《日本人の、日本人による、日本人のための主張》は、まだまだ少なすぎます。そしてそれは、日本人の責任として誰かが必ず引き受けねばならないことです。
 ただ、この一年余り皆さんにも手伝っていただいてブログを収集してみたところ、日本の国策的捕鯨推進に異論を唱えている方々が、筆者の予想を大きく越えるほど、たくさんいらっしゃることがわかりました。しかも、それぞれの方が、しっかりとした自分自身の考えを持ち、権威に右へ倣えで没個性的なウヨガキ君たちとは一味もニ味も違う、独自の視点やユニークな切り口でもって、オリジナリティあふれる主張を展開してくれており、筆者としても大変に勇気づけられた思いです。筆者はもともとネットワーカータイプではないため、こういう仕事は適任者に引き受けてもらいたいところなのですが・・・

■捕鯨批判ブログ・リンク集
http://www.kkneko.com/framel2.htm

 実際のところ、筆者は主にネットを使った情報収集と情報発信をしているのみで、地産地消型の草食動物として環境負荷と命の犠牲の点では日本人の平均をかなーり下回るライフスタイルを選択してはいるものの、体を張ってクジラたちを直接守ることを何一つしているわけではありません。国家産業複合体による巨大事業という商業捕鯨の性格上、もともと一市民に出来ることは限られていますが。その分、声をあげることが大きな意味合いを帯びてもくるわけです。たとえ小さな声であっても。
 とはいえ、今のままでは主張がなかなか伝わらないのは確か。検索エンジンのSEO対策など金をかけない範囲で多少は打っていますが、知名度の低さはやはり致命的。収入に結び付いてないとはいえ、これでも一応商業作家なんですけどねぇ(--;; 小原秀雄先生やロバート・シーゲル先生始め一部の方々にエールをいただいたものの、いろいろ横槍もあって日の目を見なかった処女長編小説ですが、依然として国際的に高い価値を受けられるだけの作品として自負するところでありますので、何とかして再活用の道を開拓しなくてはならないと考えています。新作群がコケさえしなければ、今年・来年の年次総会に間に合ったのですが・・。とりあえず新作も進めにゃならんので、当面ブログ更新は週1程度ないしイベント発生のタイミングで進める所存です。
 ブログ記事はなるべくタイムリーな情報をお届けできるようにと心がけてきたつもりですが、結構ヤッツケ仕事になった分、とりわけ終わりのほうは半分寝ぼけて書いて日本語が乱れてたり(“鯨人集団”のプレスリリースほどでなくとも・・)、皆さんに誤りをご指摘をいただいたり、お見苦しい点も多々あったかと思いますm(_ _)m 官庁や研究機関の公式HPでも何でもない個人のブログですから、多少の粗はお見逃しいただいていると思いますが、もし事実誤認や問題点が見つかれば引き続きご教示いただければ幸いですm(_ _)m いずれ余裕があれば、訂正と併せてトピックベースのHPと時事ネタのブログをわかりやすく整理したいとも考えております。
 HPの方は、少なくとも捕鯨問題の解決の道筋が開けるまでは、クジラや捕鯨に関心を持った方が誰でもアクセスできるようにしておきたいと思っています。最新の「やる夫で学ぶ近代捕鯨史─番外編」は、元ネタ自体は真田氏始め他人様の労作をそっくりお借りしたものですが、おかげさまで好評を博しております。水産庁や捕鯨協会は外向きと内向きの顔を使い分けて、国民になかなか正しい捕鯨史を伝えようとしませんので、若い世代の方々には特に、この機会にしっかり勉強しておいていただきたいところ。出口調査では今のところ「捕鯨反対!(少なくとも南極からは撤退すべし!)」を選んでいただいた方が50人ちょい。勝手に全部見ちゃうヒトがいるようなのであまり宛になりませんが・・。「まだ文字が多くて読む気にならん」という声があり、対策思案中・・。1章の「捕鯨船の軍艦転用の記述に間違いがある」とのご指摘も受けましたが、筆者がミリオタでないもんで詳細なところまでは理解していません、ゴメンナサイm(_ _)m 「にゃがととにょろやのデッサンが狂ってる」とかゆー苦情もきましたけど、そこはお遊びなので大目に見てくだされ(--;;
 長くなりましたが、本年のブログは本日でおしまいです。新年最初の記事はおそらく「捕鯨船団VSシーシェパード第3ラウンド」になるかと・・。当ブログにご訪問いただいた皆様、一年間ありがとうございました。惜しみなくネタを提供してくれた“鯨人集団”もとい鯨研/水産庁/捕鯨協会/応援団の皆様にもお礼申し上げます。でも正直言えば、これ以上ネタを増やしていただかなくて結構です。さっさと南極から撤退してください。
 それでは皆様、厳しい冬ですが、どうぞよいお年を。

posted by カメクジラネコ at 03:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系

2008年12月29日

日本の漁業をダメにした犯人はだれ!?/冗談じゃニャイワン 他

◇ハクジラとヒゲクジラの種分化
  

■ハクジラの種の分化、性選択的進化か (12/19,ナショジオ)
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=52801151
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081224-00000000-natiogeop-int.view-000 (リンク切れ)

 イッカクとオウギハクジラ系、ハクジラ全般の話を混同している部分があり、科学誌の記事としてはあまり褒めらません。訳文の問題かもしれませんが。クジラの生態に興味のある方は、さらっと目を通してみてください。
 ハクジラとヒゲクジラの種数差は、確かに生物学的には興味深いテーマなのですが、NOAAの研究者が指摘するとおり、「歯が摂餌用からディスプレイ器官に変化してそこに性選択が働いた」という説は疑問。イッカク(確実に性淘汰が働いたと考えられる)・シロイルカやオウギハクジラ(記事中で可能性が指摘・・)の仲間より、ネズミイルカやマイルカの仲間の種数の方がずっと多いので。
 鯨研さん、調査研究費を増やしたのは結構ですが、辛抱強い地道な行動・生態観察を続けないと、生物学界に貢献する真に有意義な研究はできませんよ。商売頼みのくだらん致死的調査からさっさと足を洗い、こっちに専心して早く世界に認められる成果を挙げてください。


 
◇日本の漁業をダメにした犯人はだれ!? 


■焼きサバ定食から漁業が見える!?|素敵な宇宙船地球号
http://www.tv-asahi.co.jp/earth/contents/osarai/0565/ (リンク切れ)

 船長の年収は1500万というノルウェーのリッチな巻き網漁船で、船内の食事に鯨肉ソテーが登場・・。別に本筋とは関係ないのでどうでもいいんですが。前々から言われてきたとおり、日本との格差には驚くばかりですね。国が船毎の漁獲割当までガッチリ決める代わりに、操業スタイルの効率化やネットなどを活用した有利な販売戦略を生産者自らが立てることで、競争原理を働かせ、ビジネスとして成立・成功させているわけです。

 翻って日本はといえば……名前はTACに変わったといえ、未だに旧態依然とした最悪の漁業管理であるオリンピック方式。乱獲を防ぐのにあまりに無力なことを最もあからさまに証明したのは、商業捕鯨に他なりませんが。多くの魚種で資源状態の悪化を防げず、重油価格の変動に振り回され、流通構造、高齢化も併せ、ジリ貧状態なのが、日本の水産業の現状。「同じ漁業国・捕鯨国なのに、なんでこんなに違うの!?」と誰もが首を傾げたくなるでしょう。
 なんだかんだ言っても、自然を持続利用する知恵と文化を育んできた環境先進国ノルウェーと、世界中の自然を壊して命をかき集め、飽食を謳歌することこそブンカと誇らかに叫ぶ捕鯨ニッポンとの差??? 
 いいえ。もちろん、すべて水産行政が悪いのですよ。
 番組では、品質と環境に配慮したハマチの養殖に取り組む漁業者の事例などが紹介されました。生産者の手取りを減らし、顔を見えなくするばかりの複雑怪奇な流通の弊害を取り除き、なるべく消費者の近くに届けようとするこうした試みは、しかし、まるっきり自助努力任せ大手捕鯨会社や土建屋に対しては至れり尽せりで奉仕してきた水産庁は、まったく主導力を発揮する姿勢がみえません。
 漁業者の皆さん。捕鯨をシンボルに仕立て上げることで、あなたたちの目を逸らしてきた国など、まったく宛にならないことは、あなたちももうとっくにわかりきっているでしょう? 


 

◇ルサンチマンの怪物

 シーシェパード関連報道をやるかと思って、夕べのTBSのニュースキャスターを見てたら、あの田母神氏が登場(結局SS報道はなし・・)。たけしに「気の好さそうな農家のおっさんみたい」とか言われて、精一杯愛想を振りまいていましたが、どうやらシビリアンコントロールをなくせ」と言いたいご様子。如何にも歴史を丸ごと否定するヒトらしいですね。こちらは背筋が芯から凍りつくほどの寒気に襲われました。
 「自衛隊の犯罪率は一般に比べて低い」
 ほぉ・・。で、リンチ暴行殺人は一般企業や行政官庁内で普通に起こる事件で、自衛隊で起こる件数は少ないと言いたいわけですか? タンカー事故の艦長は、責任逃れの発言を繰り返すあたごの艦長のように刑事上の責任を問われないのですか? 社内で集団暴行による死者が出ても、2週間もその事実を隠蔽している会社がそこら中にゴロゴロ転がっている、そう言ってるんですか??
 ま、隠してるとこはバレなきゃ数字が下がりますけどね。「一般社会より比率が低いんだから、お前らは気にしなくていい」と? それで隊員の規律、モラルが守れると?? へえ〜〜・・・・。
 このヒトは、人の上に立つに最も相応しくない人物でした。立たせてはならない人物でした。それがよりによって航空自衛隊のトップとは。懲戒解雇せず、退職金を満額支払った政治家こそ情けないけれど。
 何もかも、悪いほうへ、悪いほうへと、合わせようとする。日本をそんな醜い国にしてはなりません。絶対に。
 安住もたけしも、ツッコむべきところをツッコま(め)ないんだったら、侵略戦争を全肯定する危険人物なんぞ最初から呼びなさんなよ(--;;;;
 田母神ファンで捕鯨に反対している人が1人でもいるとは思いませんが、万が一いたとしてもオトモダチにはなれそうにないニャ〜。。


 

◇冗談じゃニャイワン

■無責任な飼い主減らせ、自民議連が「ペット税」導入論 (12/28,読売)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081227-OYT1T00834.htm?from=navr (リンク切れ)
■ペット税導入に賛成?反対? (Yahoo!知恵袋)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1411233959 (リンク切れ)
 議論は以前からあり、リンク下のベストアンサーに、非常に的を射た模範回答が示されています。

如何に奇麗事言っても、保健所OBの受け皿になるのは目に見えてるから反対に一票。
環境にしろ安全にしろ福祉にしろ結局法制化して現状悪化していると言うのが理由です。
一時的にしろ規制・課税により、捨て犬とか捨て猫が増えるのは目に見えてるし、、、、、、、
【税の使用目的】
・飼い主のマナー向上の啓発運動費用
・虐待されたペットの保護費用
・マナーの悪い飼い主によって汚された公共道路等の補修費用
↑全部利益誘導じゃない! by c9 9dさん '07/4/7(以上引用)

 出所の動物愛護議連、死刑執行をせっせと増やした鳩山総務相が会長ってのが驚きですが・・。愛誤議連に改名すべし。賛同している愛護団体もあるとのことですが、こちらも同じく愛誤団体の過ち。
 まず、用途を限定する目的税化ができるとは思えません。仮に実現したとしても、不透明な特定財源と化して、政治家・官僚とつるんだペット関連業者、もしくは上記のように道路工事屋の懐に入ることは目に見えています。記事上は今回の名目に含まれてないように見受けられますが、必ずいつの間にか道路補修費にすり替わっているはず・・。啓発活動などといえば聞こえはいいですが、市場価格とはかけ離れた高額の入札価格でこれまた癒着業者が落とし、センスゼロのお粗末なポスターやらパンフレットに使われた挙げ句、ろくに配布もされずにゴミ箱行きになるに決まっています。そして、何年か経って手遅れになってから会計検査院に指摘を受けることになるでしょう。
 問題は挙げればきりがありません。「盲導犬は別」という差別論は賛成論者から出ているようですが、一口に使役犬(猫)といっても盲導犬のみではありません。線引きは困難になりますよ。それに、ペットショップで購入していない子はどうするつもりなのでしょうか? 自家繁殖の子は? 親戚や近所、友人に譲り受けた子は? シェルターの子は? シェルターから保護した子は? 自分で拾った子は? 災害その他の一時預かりの子は? 高齢や病気もしくは亡くなった方から預かっている子は? 地域猫は? 外猫(程度もいろいろ)は? 犬猫以外のペットは? そして、それを誰がいちいち管理するのですか? 納税期間と扶養期間、納税者と扶養者の定義は? そういった諸々のハードルをどうやってクリアするつもりなのでしょうか?
 あるいは、クリアするつもりなどなく、見切り発車でどうとでもなると考えているのでしょうか? 高齢者や障害者の福祉政策の規制緩和路線≠見ても十分あり得そうなことですが・・。
 今回は手っ取り早くショップからの購入時に徴収する方式を掲げていますが、早晩課税対象を拡大する議論が起こるに違いありません。犬の場合は狂犬病予防法で登録管理が一応義務付けられてはいます。これも時代錯誤的かつ動物病院業界の既得権益化している側面がありますが。しかし、猫は扶養者と飼育個体の把握・管理だけでも、膨大な手間とコストがかかることになるでしょう。自治体や自治会(日本固有の強制力のある不可思議な任意団体ですけど・・)の負担を増やし、行政による個人のプライバシー侵害につながる状況がまた新たに生み出されるでしょう。
 Yahoo知恵袋の回答にもあるとおり、導入と同時に捨て犬猫が急増することは必至。当然殺処分を含めた行政の負担も膨れ上がるはずです。しかも、これは一時的な負担ではすまないでしょう。モラルの低い生体販売業者が十分な説明をせずに売り、モラルの低い購入者がそこから衝動買いしてはあっさり手放すというサイクルが一層加速されることになるでしょう。
 一方で、多頭飼育をしているNPOや個人、既に多くを自分たちの持ち出しで賄い無策の行政の尻拭いをしてくれているこれらの人たちに、きわめて不公平で過大な負担を押し付けることになります。非課税団体の線引きをすれば、いざこざのもととなるだけですし、実質的に保護者が減り、結局行き場のない子たちが多数生み出されることになるでしょう。
 一体なんで今ごろこんな話が蒸し返されたかといえば、動物たちの置かれた現状とはまったく無関係に、深刻な歳入不足を補うという文脈からきているのは間違いないでしょう。「うまく話を持っていけば、課税に反対する人間が少ないだろう」という思惑が透けて見えますね。
 大量殺処分とマスコミによる情緒的な愛誤報道が併存する、奇妙な動物愛誤大国である捕鯨ニッポンでは、「動物のことなんだから、飼っている人間に責任を負わせりゃいいだろ」と軽くみなされることで、こうした議論が罷り通ってしまうのではないでしょうか?
 しかし、よく考えてみてください。
 わかりやすい例えを挙げるなら、これは、児童の虐待や遺棄を防ぐ目的のために、児童のいる家庭から人数分の税金を徴収するに等しいですよ。
 子供の数や有無は、虐待とは相関しません。虐待や遺棄をなくすことは、本来社会全体が取り組むべき課題でしょう。子供のいる家庭、子供の多い家庭が負担を押し付けられる筋合いはないはず。
 児童虐待もなかなか外から見えにくく、行政・警察の対応も遅れがちで、日本の後進国ぶりが露になっている点も共通してはいます。それでも、虐待・遺棄した親は刑事処罰を科せられることになっています。その点、現行の動物愛護法は改正された後も看板効果のみで、とりわけ遺棄の検挙例がなきに等しいという違いはあるでしょう。さらにいえば、児童を虐待する親には血のつながりがあり、親としての自覚がある場合も多いですが(ない場合もあるけど・・)、ペットは里親/里子の関係で、虐待したり捨てたりするニンゲンはそもそも“親”の自覚など皆無です。その意味では、児童虐待を"する親"と"しない親"以上に、ペットを"虐待・遺棄する飼い主"と"家族として扶養している飼い主"を同列に扱い、負担を強いることは過ちといえます。
 ペット税の最大の問題は、受益者負担の原則に著しく反することです。
 今度は議論が進まない炭素税を例にとってみましょうか。この場合の受益者は、CO2排出と引き換えに利益を得ている化石燃料消費につながる産業と消費者です。それなのに、炭素税と称して、風力、バイオマスなどの自然エネルギーによる電力事業や、太陽光パネルを設置している家庭から税金を徴収するのはおかしな話でしょう。ペット税に関する議論はこれとまったく同じです。
 利益を得ているのは、数兆円の規模に膨らんだペット関連業界であり、家族を護るために医療費から食費から何から多くの自己負担をしているまっとうな飼い主≠ナはありません。捨て犬猫に限っていえば、行政が税金で"受け皿"を引き受けることでフローが生み出され、生体販売業者を潤わせているのです。
 欧米の多くの国・州では、店頭での生体販売は禁止されており、"資格のあるブリーダー"が"資格のある飼い主"に渡すか、シェルターに保護された犬猫の譲渡が中心です。「ガラス越しに目が合った」というだけの理由で、何の知識も経験もないまま後先考えずに金で命を買ってしまう日本人のモラルのなさと、そうしたシチュエーションをセットする業界、煽り立てるマスコミを含めた命を浪費する社会の構造は、密接につながっています。だからこそ、日本の殺処分数が世界に対してあまりに恥ずかしい数字になっているのです。
 許しがたいのは、議論をすり替えしまくっている今回の読売記事と愛誤議連(以下、着色部分引用)。

近年、ペットの飼い主が「飼うのに飽きた」などといった安易な理由で、ペットを捨てるケースが増えている。
2006年度末時点で全国の自治体に引き取られた約37万4000匹の91%が殺処分され、社会問題化している。

 実際には、30年前70万頭台だった行政による殺処分数は確実に減ってはきています。スピードが遅いのは問題ですが・・。理由の安易さ≠ェそれ以前と変化したわけでもありませんし、数字自体がそのことを証明しています。数を減らすのが何より先決で、「安易かどうか」の認定など瑣末なことですし。いずれにしろ「近年増えている」という記述はまったく事実に反します。社会問題化しているのはずっとずっと以前からですよ。

ペット業者にも『大きく育ち過ぎたから処分してほしい』といったモラルの低下が見られるという。


 だーかーら、なんでそれが飼い主の所為になるわけっ!? 議連だったら、厳格な罰則規程を定めた販売業者を規制する法律をただちに制定し、モラルのない業者を徹底的に排除するべき。ふざけるのも大概にしてほしいですね。
 道路工事に代わって掲げられた税収の使途については、(1)のチップや鑑札は、捨てるヒトがしない以上、法的に強制しない限り無意味で、やはり関連業者が儲かるだけ。(2)収容期間をどれだけ伸ばそうと、捨てるニンゲンが減るわけではありません。殺処分数削減を実績評価に組み込んで自治体職員にやる気を出させるか、シェルターNPOにアウトソーシングするべき。(3)上記したとおり、ゴミになるだけ・・。
 殺処分数を大幅に減らす最善の方策は、店頭もしくはネット通販での生体販売を段階的に廃止させていくことです。関連業界団体は、顧客に対して生涯飼育を完全に保障させる代わりに、リレーションを築いて関連商品・サービスの売上で収益をあげるビジネスモデルに切り替えていけばよろしい。
 「殺すのが多いのも文化」だという、捕鯨ニッポン流の開き直りはくれぐれもしないように。
posted by カメクジラネコ at 01:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系

2008年12月28日

お笑い鯨人集団′~研の台所事情/捕鯨ニッポンv.s.SS第2ラウンド

 ◇お笑い鯨人集団′~研の台所事情

 何やら南の果ての海の方がにわかに騒がしくなっているようですが、先に鯨研が24日にHP上に掲載したディスクロージャー関連資料からチェックして参りましょう。

http://www.icrwhale.org/01-F.htm
http://www.maff.go.jp/j/corp/koueki/suisan/147.html (リンク切れ)

 またまた我らが鯨研どのがオモロイ真似をしでかしてくれました。市民団体を勝手にテロリスト認定しているヒトたちなので、筆者も非科学的な愛誤団体として各方面に認定を働きかけているところでありますが、今度からは新たにお笑い鯨人集団の呼称も授与してあげましょうかね・・。
 さて、国の補助金を受けている公益法人として、人事や財務の情報を一応HP上で公開している鯨研ですが、“目視調査”だけでもかな〜り興味深い“生態”が次々と明らかになりつつあります。
 今年9月に改正役員給与規程、11月に新役員名簿が発表され、今回H19年度の事業報告書とH20年度の収支予算書が付け加わりました(上のリンク先のページの下2つのリンク)。このうち役員名簿更新に関しては、以前拙記事にて取り上げました。オトモダチ新聞産経「SS逮捕しちゃうぞ!?」と一面トップで報じてもらうスキをついてこっそりアップし、しかも元産経論説委員など役員の経歴を隠すなど、見事なボケぶりを披露してくれました。今回も、SSが妨害活動をしかけてきたタイミングにぴったり重なっています。資料自体は9/30日時点のもので(事業報告書の役員名簿は旧いまま・・)、水産庁には日経が報じた経営合理化案提出時に出しているはずでしょうから、広報活動費5億円も費やしている組織にしては遅すぎますね。マスコミにSSネタを報道させて、国民の目を逸らそうという思惑でも働いているのでしょうか?
 ところで・・中身に目をやると、今回も「おや??」と首をかしげる部分がありました。そう、収支予算書の支出の項目から、昨年まで確かにあったはずの《広報活動費》が跡形もなく姿を消してしまっているのです・・・・。ちなみに広報活動費はH19年度で5億2千万円、H18年度で5億円。事業報告書に含まれる財務諸表にも記載されていますし、農水省の所轄法人の財務資料(上掲下のリンク)でも確認することができます(そのうち書き換えられるでしょうからお早めに!)。これは一体全体どういうこと!?
 まあ、カラクリはあまりにも簡単で、役員の経歴を水産庁の最終役職に摩り替えたのとまったく同様の手口。以下に、昨年と今年の収支予算書の支出項目(一般事業費)を抜き出してみましょう。ちなみに、調査捕鯨(JARPA+JARPN:沿岸調査込み)は特別事業費枠の70億円で、前年とほぼ変わっていません。 


         H20年度               H19年度      <単位:円>
   (調査研究) 798,879,000  (調査研究) 228,966,000
   (情報文化) 225,571,000  (収集提供)  14,522,000
   (国際活動) 410,970,000  (国際調査)  69,358,000
                        (広報活動) 533,356,000

 

 ご覧のとおり、調査研究以外の項目が今までとガラリと変わってしまいましたが、合計するとH20が6.3億円、H19が6.2億円で、単なる“名目替え”にすぎないことがわかります。使途が明瞭だったこれまでの費目を、なんでまた情報文化だの国際活動だのと「どうとでもとれる」わけのわからん名称に替えちゃったんでしょうか? いやあ、意図がさっぱりわかりませんニャ〜。国際活動≠ネんていったら、なんでもかんでも好きなだけドンブリ勘定にしてブチ込めそうですね。"国際調査"と"広報活動"を足して2で割って"調査"と"広報"を削ったんでしょうか? それにしても、"情報文化"って一体何??? 名大や私大には情報文化学部や情報文化学会なんてのもあるようですが、文理横断・融合型の教養学部レベルの内容だったり、単なるITリテラシーだったりと、定義もはっきりしません。そんな名目でお金を使っているところは、法人組織だろうと企業だろうとどこにもないんじゃないですか??
 そんなつまらんとこで笑いをとらないで、わかりやすく広報費に戻してくださいよ、鯨人さん。むちゃくちゃなプレスリリースを流したり、ヘンテコな造語を作ったり、鯨の道ばっか磨いてないで、日本語をもっと真剣に勉強してもらいたいもんですニャ〜。いや、ほんと。
 ところで、もう1点気になったのは、調査研究が2.3億円から8億円と大幅にアップしたこと。国際研究(米国のNOAAの衛星追跡プロジェクト等にはビタ一文出してないはず・・)や収集提供(帯広畜産大の"例の研究"とかにサンプルを用意してあげる費用でしょう)もこっちに含めたのかもしれませんが、これまで調査捕鯨そのものに比べると3%にすぎなかった独自の研究費を、3倍以上の1割にまで引き上げた点は注目に値します。「広報宣伝費に使っている分より少ない」と筆者やGPなどのNGOからもさんざんたたかれ、世界の科学者から「貧弱」だの「科学性ゼロ」だのとボロクソにこき下ろされ、科学誌からも論文の掲載を拒否され続けたことから、あまりにバランスが悪いと判断して、少しはまともな非致死的調査をやる気になったのでしょうか? 副産物収入と国からの補助金・借金に頼っているようでは、地道で純粋な生態研究が出来るとも思えないのですが、とりあえず見守りたいところ。
 収支予算書のその他の項目を見てみると、大きいのは借入金が前年の36億円から51億円にまで膨れ上がっている点ですね。収支は数字の上では+になっていますが、借金でやりくりしているわけです。事業報告のほうに財務諸表が含まれていて、そこに負債の内訳が掲載されていますが、長期固定負債の21億円国際漁業協力財団からの無利子融資です。流動負債の23億円"用船料他"となっていますが、共同船舶あるいはオリエンタル・ブルーバード号隠し玉のスパイ船など、船団に含まれる帰属の定かでない船の所有会社に借りを負っているということですね。21億円の融資と、今年5億円から9億円に引き上げられた国庫補助金、調査研究受託費として支払われる4億円が、国からの──すなわち血税から補填されている金額ということになります。また、経常外収益として今年は特定事業引当金4.4億円取り崩しています。鯨研にとっての特定事業、すなわち調査捕鯨のためにキープしていた特定資産の預金を、重油高騰の今年宛がったということでしょう。それでも、経常損益を見ると7.8億円の赤字で、前年より赤字幅がさらに1億円広がっています。補助金の4億円上乗せ雑収入2億円(これも・・)がなければ、経常赤字は確実に10億円を突破していました。直営店閉鎖などの経営合理化策を講じる必要に迫られるのも当然のことでしょう。
 今年の収支予算書では、補助金や雑収入の数字を元に戻していますが、実際の昨年の副産物収益56億円に迫る51億円という巨額の借入金依存しながらやっていけるつもりなのでしょうか? 何しろ、前年の予算より3億円ほど下げたとはいえ、見込みの副産物収入は昨年、一昨年の50億円台とはかけ離れた70億円超。鯨肉在庫がどんどん積み上がっている中、「下げれば赤字は膨らみ、上げればますます売れない」という深刻なジレンマに陥っている現状を認識できていないかに見える数字です。実際には、悪天候下のSSの接近に対し、“新兵器”を搭載しているはずなのに、事業そっちのけでそそくさと退散するなど、今年も妨害を口実に生産調整を行う意図が早くも見え隠れしているわけですが(前回の記事及び次項参照)。
 余談ですが、今年の会費収入は当初予定より2千万円増えています。このご時世に、「このままでは捕鯨ニッポンの食ブンカがヤバイ!」と危機感を覚えた文化人か政治家の先生方が、大盤振る舞いの寄付を施したんでしょうかね・・・・
 さて、筆者は学者じゃないし、何億円もの補助金や寄付もなしにボランティアでブログやHPを運営していますが、お笑い鯨人集団≠フ“生態”や“行動習性”の解明にそこそこ迫れている気はします・・。他人の税金注ぎ込んで捕殺調査をしていながら、クロミンククジラ生態に関しては肝腎の部分の多くが白紙状態という、お粗末な仕事ぶりの鯨研の学者先生、どう思われますか?

参考リンク:
「鯨研役員名簿更新」(拙ブログ記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/23981718.html


 

◇捕鯨ニッポンv.s.シーシェパード 第2ラウンド

 まず各報道機関の記事のリンクをば。Yahooのリンクも併記してあります。

■シー・シェパードが調査捕鯨を妨害、接触は日本側に責任と主張 (12/27,AFP)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2552850/3636994
■シー・シェパードが捕鯨船に体当たり、妨害行為 (IBTimes/財経新聞)
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/081227/26196.html
http://www.zaikei.co.jp/article/biznews/081227/30319.html
■調査捕鯨:シー・シェパードが妨害 (毎日)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20081227ddm041040020000c.html (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000009-mai-soci (リンク切れ)
■シー・シェパード、今年も妨害 調査捕鯨船に異臭瓶 (朝日)
http://www.asahi.com/national/update/1226/TKY200812260359.html (リンク切れ)
■シー・シェパードが体当たり、薬品入り瓶投げつける 南極海で「海幸丸」 (産経)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081227/crm0812270103006-n1.htm (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000505-san-int (リンク切れ)
■シーシェパード、調査捕鯨妨害=危険行為、負傷者なし−水産庁 (時事)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&rel=j7&k=2008122700004 (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000008-jijp-soci.view-000 (リンク切れ)
■「シー・シェパード」また異臭液体の瓶で捕鯨観測船妨害 (読売)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081227-OYT1T00038.htm?from=navr (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000001-yom-soci (リンク切れ)
■シー・シェパードが調査妨害 (NHK) 
http://www.nhk.or.jp/news/t10013276941000.html (リンク切れ)
■シー・シェパード、また調査捕鯨船妨害 (TBS News-i) 
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4026926.html (リンク切れ)
■シーシェパードが日本の調査船を襲撃|ICR
http://www.icrwhale.org/081226ReleaseJp.htm
http://www.icrwhale.org/gpandsea-img.htm
http://megalodon.jp/2008-0115-2148-50/www.icrwhale.org/gpandsea-img.htm
http://www.icrwhale.org/gpandseaJapane.htm

 水産庁の発表を受け、一部TVニュースで報道された模様。新聞報道は27日夕刊もしくは28日朝刊。地方紙は時事通信の配信記事。
 AFP以外はほぼ共通の内容で、シーシェパード側の“警告”についての細部の表現(「船舶無線」「日本語」「女性」etc.)の差異にとどまっています。SSのメンバーに日本人女性がいると一部週刊誌が報じたようですが、実際に乗船しているのか、事前にテープ取りしたのかは不明。おなじみオトモダチ新聞産経には「極秘裏に日本を出発したが、SSに発見されていた」との記述。他に、海保の職員が乗船していないことを伝えているところも。Googleの記事検索でIBTimes及び財経新聞というところが引っかかっていますが、財経新聞は日本法人とのこと。翻訳記事のためか、「捕鯨妨害を受けたが・・捕鯨はしていない」日本語としておかしな表記あり。
 これに関連して一点、各報道機関とも「今冬の調査で妨害は初めて」としていますが、これについては少々補足が必要でしょう。SSの船スティーブン・アーウィン号は、海幸丸ではなく第ニ勇新丸へのアタックを20日に試みていますが(前回の第1ラウンドの記事参照)、この時は悪天候でSS側の条件が今回より悪かったにも関わらず、捕鯨船側がスタコラサッサと逃げました。捕獲調査船の第二勇新丸が調査を一時中断しているのに対し、海幸丸は目視専門船なので捕獲調査への影響はありません。そういう意味では、妨害活動が効を奏したのは前回の接触で、今回ではありません
 ちなみに、水産庁はHP上では該当発表を行っていません。鯨研の方は久しぶりにHPを更新、最新の話題として複数記事を掲載し、メディア提供用の写真やビデオ映像をどっちゃり貼っつけています。ご丁寧に昨年の分までシリーズ化。キャプションも用意してくれてますが、日本語英語交じりのうえ「ナンセンス」「テロリスト」等々の用語を散りばめるばかりで、日本語の体をなしていない有様。事情のわからない人に対しては不親切極まりないですね。
 写真の説明の中では、SSの「発砲の瞬間」という主張に対して、「あれは違うんだ! 時計なんだ!! 信じてくれ!!!」痛切な叫びが聞こえてきそうなほど悲壮感の漂う反論を掲載してくれてます・・。筆者はSSがデタラメを言っただけだと思いますけど、一言「海保の職員が警告弾を発砲しただけ」と言えば済む話じゃないの? これで広報費もとい情報文化+国際活動費6億円も注ぎ込んでいる組織だとは、とても信じられません・・。
 第1ラウンドと第2ラウンドの捕鯨船団側の“反応”の違いについては、どのような説明が成り立つでしょう?
 減産のため、捕獲調査船はSSを利用できる“好機”があれば率先して作業を中断する。一方、目視専門船にアタックを受けたら、SS側の非道ぶりをアピールするため逃げずに引き付ける。そういう戦術がうかがえますね。
 鯨研提供の写真では判別できませんが、AFPに掲載されているSS側の写真では、前回と同様相手の右舷側から接近しており、COLREG条約上回避義務が生じるのは捕鯨船側です。もっとも、酪酸瓶を投げつけている時点でSS側の非は否めませんが。「やるんだったら、玉入れ競争の類いのアホな行動を一切やめ、船足を軽くして合法的な針路妨害に徹しろ」とせっかく教示してやったのに(--; まあ、こっちは日本語でブログに書いてるだけですし、日本のウヨガキ君たちとYouTube合戦を繰り広げている同レベルの反捕鯨派へのウケを狙っているようじゃ、聞く耳など持たないでしょうが・・。
 そもそも筆者としてはSSの過激な行動を最初から支持していませんが、母船や捕獲船でなく目視専門船だとわかって相手にするのは、戦術的にも愚かですし、知らずにやったとすればやっぱりアホとしかいえませんね。その点、前述のとおり、減産と国内世論喚起にSSをまんまと利用する一石二鳥作戦をとっている捕鯨船団側の方が、有利に駒を進めているといえそうです。
 ただ、昨年と比べても、人的被害が期待できない≠フと、国内が誰もクジラどこじゃない状況ですから、(産経以外の)メディアが記事を量産して世論へのPRにつながるとはとても思えません。SS頼み一本槍では、昨2シーズンと同等の減産も行えなくなります。そして、船籍問題を抱えている中積船のOB号が今回“参戦”できなければ、3千トンの生産を維持するのも苦しいはず。
 大体、キャッチャーも含めて無理やり詰め込むにしても、国内の冷凍倉庫が鯨肉で溢れ返りかねないところに市場供給を増やしてどうするつもりなのでしょうか? 赤字経営で直営店も閉鎖し、赤字販促会社の鯨食ラボも息切れする中、大幅値下げもできない相談。政治が停滞して景気もこの先いつ回復するかわからないのに、多少値下げしたくらいで鯨肉消費が伸びると考えるのは、あまりに虫の好い話でしょう。
 来年の年次会合でいよいよIWC体制が破綻し、日本と札束で抱き込んだカリブ・太平洋の一部の国々だけから成る新組織を立ち上げ、「商業捕鯨再開の悲願を果たした!」と一気にテンションを上げれば、国民がつき従って鯨肉をジャンジャン買いまくり、母船新造の道さえ開けるとでも楽観しているのでしょうか?? こっそり“お土産”を横流しして御殿を建てるプレミアムも付かなくなり、苛酷なだけの労働に共同船舶の船員が次々に辞めていっている中、外国人や失職した非正規労働者を宛にするつもりなのでしょうか? 仮にそんな愚挙に出たとすれば、経済的・外交的な損失は計り知れないほど高くつくでしょう。いくらなんでも外務省サイドが、そこまで水産庁の独善を黙って見過ごすことは考えられません。既に不満も燻っているようですし。
 SSなんぞと張り合うのはバカげています。国として愚かしすぎます。さっさとお開きにしましょう。農水省・水産庁がやるべきことは、自ら種を撒いた所為でグタグタになってしまった日本の食の現状を少しでも改善することのはず。尾の身好きのグルメ議員や無知なウヨガキたちに拠りかかり、世界の反対を押し切って南極の海の野生動物を脅かしている暇など、片時もないはずではありませんか?
 「地産地消」の掛け声が空々しく聞こえなくなるくらい、地場の自然でサステイナブルな食糧生産を実現すること。「命を粗末にしない」との誓いを、口先だけの謳い文句に終わらせるのでなく、国民に実践させ、数字で示すこと。それが、日本の果たすべき責務のはず。飽食・廃食・偽食・毒食の国が、これ以上世界に対して恥ずかしい真似を続けるのはやめてください。

参考リンク:
■Operation Musashi 3|flagburner's blog(仮)
 (双方のコメントを比較解説してくれています)
http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/fd8b83a955b9ae7c4da227916ce3750b

posted by カメクジラネコ at 02:10| Comment(0) | TrackBack(1) | 社会科学系

2008年12月24日

赤カブとハタハタとアジアゾウとクジラ/捕鯨ニッポンの凶気

◇赤カブとクジラ

 松本の方から赤カブを送っていただきました。漬物にする前の味見だけで、手が止まらなくなってしまうほど美味。玄米ご飯と一緒にいただくことを想像するだけでも、涎が出てしまいそうですニャ〜。地元では3キロ380円、既製の市場流通品ではあり得ない安さで、しかも安心安全といいことづくめ。
 セロトニンを分泌するのに、動物の死体に頼る必要などありません。同じ赤い縁取りでも、南極産の野生動物の死体とは、生産にかかる環境負荷も比べものになりません。
 聞くところによると、正しい(美味しい)赤カブの栽培法にはコツがあり、産地の山の斜面でないとダメなんだとか。耕作地に植える際には、生産者の方が火を入れる前に「早く逃げれーっ!」と大声をあげて虫や小動物を追い払うそうです。
 「供養碑さえ建てればいいんだ!」「他のものも殺しているんだから、もっと殺して何が悪い!」と、世界に恥ずべき飽食・廃食の限りを尽くしながら開き直るセイサンシャ≠ニはあまりに対照的。
 犠牲を少なくするために具体的に何をすべきか──と心を砕くことによって、食に関わる人々は、一次産業を持続可能たらしめてきたのです。それこそが、古来から伝わる≪本物の生産者≫の知恵であり、命に対する優しさではなかったのでしょうか? 現代の捕鯨ニッポンが失ってしまった、本当の≪日本人の心≫なのではないでしょうか?


 

◇ハタハタとクジラ

■廃棄物処理法違反:ハタハタ大量に投棄 男2人、食べきれず山中に (12/19,毎日青森版)
http://mainichi.jp/area/aomori/news/20081219ddlk02040030000c.html (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000012-maiall-soci (リンク切れ)
■ハタハタ豊漁喜び…市場価格は底値状態 (12/6,産経)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081206-00000014-san-l05 (リンク切れ)

 160kgのハタハタを山中に埋めた疑いで、廃棄物処理法違反で摘発される事件が発生。秋田名物のハタハタ、今年は豊漁でそれが今回の山への大量廃棄事件につながったようです。
 一時激減したハタハタに関しては、秋田・山形の漁協が'92年から3年間自主的にモラトリアムを実行したり、漁期設定や杉の葉の産卵床を用いた効率的な集魚法を禁止するなど、厳格な資源管理措置をとったことで知られていました。営利優先と国策企業としての傲慢さ故に、自発的モラトリアムを実施する能力を最後まで示し得なかった捕鯨業者など足元にも及ばぬ、沿岸漁民の心意気を見せてもらったはずなんですけどね・・。捨てたのは当事者ではなく、譲ってもらった友人ということですけど・・。
 ハタハタでの同法容疑は初と報じられていますが、他の魚介類、そして他ならぬクジラでも同様の事件は起きています。太地は以前、クジラの骨や頭などをずっと投棄していたことが発覚しました。共同船舶は、前身である大手捕鯨会社から、洋上投棄の"伝統"をしっかり受け継いでいますが、こちらは監督官・水産庁・警察とぐるみで摘発には至っていません。
 農業でも、豊作時にキャベツをブルドーザーで潰す光景がニュースで流されたりします。誰もが「なんて罰当たりな、もったいないことをするんだろう!?」と思うようなことが、日本では平気で行われているのです。それでも、赤字だと言われれば、「じゃあ、仕方ないか・・」と、誰もが目をつぶってしまいます。命よりカネが優先の社会・捕鯨ニッポンでは、「背に腹は替えられぬ」という論理が罷り通ってしまうのが現実。
 それならば、「命を絶対に粗末にしないのです」などという嘘八百を、世界に向かって声高に叫ぶのは、やめたほうがよくないですか? みっともないだけですよ・・・
 播種から収穫までの期間が長いため、リスクマネジメントが困難な農業に比べた場合、漁業のほうが豊漁期の漁獲努力の調整はつけやすいはずでしょう。燃料費だって無駄にせずに済みますし。オリンピック方式で早い者勝ち、獲った者勝ちの世界だからこそ、豊漁時でもブレーキが利かず獲れるだけ獲ってしまい、しかも儲けにならないという事態が生じるのでは。日本も早急にIQ/ITQ制に移行し、魚にツケを負わせず賢くやりくりする漁業へ転換するべきでしょう。水産庁が看板だけ掲げている流通構造改革を、大胆かつ早急に進めてもらうことも不可欠ですが。
 ブルドーザーに"轢かれる"キャベツや、底引網でかかってもその場で海に投げ捨てられる未利用魚種、そして農協・漁協が建てるハコモノの都合に合わせて弾かれる"規格外の命"は、統計に表れる1千万ないし2千万トンに上る廃棄食物(家庭・サービス産業から出る残飯中心の大雑把な推計)の中には含まれていません。考えるだけで背筋が寒くなりますね・・。

参考リンク:
■勝川俊雄公式サイト
http://katukawa.com/
 

◇無垢な賢い仔ゾウと、血まみれの狡賢いサルたち

■星の子“モーシャ”〜世界初 義足をつけたゾウ (12/22 22:00-,NHK)
http://www.nhk-jn.co.jp/wp/program/details/disp_j.asp?a=00&s=0&c=200812221432 (リンク切れ)
http://www.nhk.or.jp/archives/premium/past/201208-4.html

 タイのNPO「アジアゾウの友」の病院で保護されている、地雷で前足先を失った仔ゾウ。親子に見せたい良質のドキュメンタリーでした。
 地雷被害はカンボジアの方かと思ったら、今まさに軍政と反政府勢力の対立が続くミャンマー国境の方だったのですね。永井氏の事件を思い出しますが、ヒトの命を奪う国では、やはりヒト以外の動物も傷つけられるのです。
 タイのアジアゾウの個体数はおよそ5千頭と、非常に心もとない数字で、半数以上が飼育下にあります。野生ゾウの生息状況がタイに比べても掴めていないミャンマーのゾウたちにとっては、人口急増と密漁は深刻な脅威になっていることでしょう。
 筆者が気になったのは2点。
 まず、安楽死について。体重の負荷が大きなゾウの場合、立てなくなると厳しいため、さすがにやむを得ませんね。ゾウが相手だと、ニンゲンを何十人も殺せる量の麻酔薬が要りそうですが。そうはいっても、モーシャの世話をしているイラストのうまい獣医さんには、安楽死に慣れないでほしいもの・・。
 もう一点は鉤を使った躾。背中に乗ったまま頭に無数の引っかき傷を負わせ、「指図に従わないとこうなる」と身体に覚えさせるというものなのですが……涙を流して泣いていました。皮の厚い大型動物は鈍感だと平気でムチをふるったりする鈍感なヒトたち≠烽「ますが、ゾウはとても繊細な動物です。本当に痛いのに、辛いのに違いありません。
 ここはまだ獣医がいるにしても、民間のゾウ使いが同じ躾の仕方をしているとすれば、感染症も心配。彼らの大半が、「痛い目に遭わせなきゃダメなんだ」という頑強な思い込みから、スパルタ式を採用しているようですが・・。あれほどお利口で茶目っ気たっぷりの子なのに、これではニンゲンに対する不信感を植え付けるだけです。実際、躾の済んだ後でも、言うことを聞くこともあれば聞かないときもあり、結局本人(ゾウ)が自分の意思で判断するのですから。
 「ゾウ使いは最後はゾウに殺される」という逸話もありますが、ゾウは一度覚えたことを決して忘れないことで有名。こんな間違った伝統≠ヘやめるべきです。といっても、殺す伝統≠ノ比べればまだはるかにマシですけどね・・。
 森に帰された母親ゾウとの別れ、自身と同じく地雷被害に遭ったおばさんゾウとの交流のシーンは感動的でした。きっと、ニンゲンには聞き取れない低周波で会話を交わしていたんでしょうね。成長期に巨体を支える義足を度々調整するのは、コスト面も含めて大変でしょうが、できる限り長生きしてほしいと願わずにはいられません。
 それにしても……わざと水道の蛇口を捻ってニンゲンをからかう天真爛漫な仔ゾウの賢さに比べると、ニンゲンとはなんと愚かな動物なのでしょう。
 地雷や、銃や、核や、殺すしか能のない馬鹿げたシロモノをいくら生み出せても、命を一から生み出すことも、奪われた命を生き返らせることも、護ることさえできやしないのです。ゾウたちの足を奪うことはできても、代わりに、本物の足の不完全な代用にしかならない義足を用意することが精一杯。傷ついた心も、身体も、決して元通りに癒すことなどできはしないのです。
 一体、そんなニンゲンのどこが賢いというのでしょう? 結果に対して何も責任を果たせない知恵浅はかな動物が、ゾウや、イヌや、ネコや、クジラに比べて尊厳に値するなどと、誰に言えるでしょう? 命を奪う力を誇示するばかりの醜い動物が、どうして万物の霊長などと偉ぶることができるでしょう?
 あなたはそう思いませんか──?

 
 

◇捕鯨ニッポンの凶気

■凶気の矛先=bNEWS23拡大スペシャル (12/23 23:00-,TBS)
http://www.tbs.co.jp/news23/

 今年最後の特集は“日本のいま”。凶悪犯罪から派遣解雇問題まで、うまい具合に1時間の枠でまとめたものです。もっとも、取り上げられると予想した事務次官襲撃事件には触れられませんでしたが。
 KYなローゼン首相は、今年の漢字を報道陣に尋ねられ、"国"ではなく"自分"にとってと勘違いして「気」なんてのたまったもんだから、ますます支持率を下げたようですが、実際に選ばれた「変」より、「凶」あるいは「禍」の方が似つかわしいのではないかと思えます。「禍」は来年? そうならないように祈りたいものですが・・。
 今の日本を覆うこの殺伐とした空気は、一体どこからきているのでしょうか? ひとつには、「空気を読む」より「相手の気持ちを感じ取る」リアルなコミュニケーションと異なり、剥き出しの敵意をぶつけて顧みないマナー無用のインターネット/2ch的バーチャル・コミュニケーションが、リアルな世界まで侵出してきたことが大きな要因のように思えます。
 そして、番組を見ていて受けたもうひとつの印象があります。ニンゲンの動物性の歪みが最も先鋭化した形で現れた場所こそ、他ならぬ日本なのではないか。本来の社会性哺乳類としての"伝統的"な社会関係が崩れてしまい、以前にも述べたように、あたかも社会性昆虫の超個体のような"無機的な群れ"になってしまったのではないか──ということ。ここでいう個体=個人に対する超個体とは、もちろん国家や企業のことですが。途中で天敵に襲われるなどして何匹脱落しようが、おかまいなしに行軍を続け、行く手を川が阻めば、死体を連ねた橋の上を渡っていく……。犯罪や事故に遭って命を脅かされている被害者に向けて、ケータイカメラのレンズを向ける光景は、あまりに非哺乳類的に感じます。子供のケータイを取り上げる以前に、やるべきことがあるのかもしれませんね・・。死刑肯定や非正規雇用労働者の自己責任論も、お役ご免になった働きアリや発育不全の幼虫を食糧に回したり、巣穴の外にほっぽりだすかのような、寒々しさを覚えます。

 やっぱり、ゾウやクジラやイヌやネコのほうが、ニンゲンよりよっぽどマシなのではありませんか? 子供たちにそう嘆かれる前に、大人がこの国の歪みを矯正しなければ。
 誰かに矛先を向けたくなるご時世、自分たちのことをすっかり棚にあげ、シーシェパードやグリーンピースなどの国際NPO、アメリカやオーストラリアなどの国、コーカソイドの人たち、そして野生動物であるクジラに、ルサンチマンの矛先を向けてきた捕鯨推進論者は、今日の捕鯨ニッポンの悲惨な現状を予言する存在だったのかもしれませんね──
posted by カメクジラネコ at 03:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系

2008年12月22日

日本の捕鯨船団v.s.シーシェパード−第1ラウンド/守るべき文化と捨てるべき分化

◇第1ラウンド 

■シー・シェパード、日本の調査捕鯨船団を発見 妨害試みる (12/20-21,AFP)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2551786/3629345
■悪天候で捕鯨妨害取りやめ  シー・シェパード (12/21,共同)
http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008122001000716.html
■シー・シェパードが日本の調査捕鯨を妨害、今季初 (〃,読売)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081221-OYT1T00076.htm?from=navr (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081221-00000009-yom-soci  (リンク切れ)

 さて、前哨戦が始まったようですね。
 皆さんも3つの記事を読んでいただければ、違いがおわかりになるだろうと思います。SSの報道機関向け声明をもとにしたAFPと共同通信の記事に対し、捕鯨擁護色の強い読売新聞は表現が大きく異なっています。「日豪関係筋」としていますが、SS側の声明以外の部分に関する情報源は、もちろん鯨研・水産庁でしょう。当事者をソースに使っていながらそれを明示しないのは、報道機関の姿勢としていただけません。捕鯨賛成は"オールジャパン"ではないのだから、少なくとも"調査捕鯨関係筋"とすべきでは。
 そのSSに対しては、「執拗」といういかにも鯨研発らしい情緒的な表現を用い、「原液が目に入ると失明する恐れもある」と悪質ぶりを強調。もっとも、「原液が目に入ると──」云々については、そういう事態は起こらないはずなのでは? 今回は海上保安庁に対抗策を指南され、"秘密兵器"も用意していると報道されたはずですがね。
 捕鯨ヨイショ新聞産経はまだ未確認ですが、早晩鯨研とのコネで、読売以上に情緒表現をたっぷり盛り込んだ記事を掲載してくることでしょう。当の鯨研も、まだHP上ではプレスリリースを掲載していません。
 で、その産経が6日に一面トップで報じたように、「逮捕しちゃうぞ!?」という超強気の姿勢だったはずが、どういうわけか今回はSSの声明や上記の報道を読む限り、捕鯨船側が逃げてます。読売では、「調査捕鯨活動を中断し、現場海域を離れようと航行を続けて」と、SSに対するのとは対照的に、わかりやすい直截な表現を避けていますが・・。
 皆さん不思議に思われるかもしれませんが──とりわけ血気盛んな財務相氏やウヨガキ君たちは「なんで新兵器をぶっ放して撃沈しないんだーっ!」と歯軋りしておられることでしょうが──これは筆者が以前当ブログで指摘したとおり、COLREG条約のルールがあるからです。公海/南極海は日本のものではありませんから。果たして、AFP・共同の写真(SS提供)を見ても、「右舷側から接近するように」という筆者の提案に従っているようですね。こうすれば、対抗手段があろうがなかろうが、捕鯨船側が逃げる(回避する)しかないわけです。
 "腐ったバター弾"とやらを実際に積んでいるのか、支持者とマスコミ向けのパフォーマンスにすぎないのかはわかりませんが、最後まで使用しないで済ませ、SSにはあくまで国際条約上合法的かつ非暴力的に抗議行動を行うよう、筆者としては望みたいところ。そこまでは期待しすぎかもしれませんが・・。
 いずれにしろ、鯨研/共同船舶側は、また昨シーズンと同じく、SSを口実にして生産調整を行うつもりでいるのでしょう。それは、悪天候でSS側に分が悪いにも関わらず、天候の所為にもせずに実にあっさり引き下がっているところからもうかがえます。鯨肉在庫の超過と消費の減少に歯止めがかからない状態では、計画どおりの捕獲数を達成しても返って困るだけなのですから。もっとも、赤字解消の方は、減産だけでは解決できず、彼らの頭をさらに悩ませ続けることでしょうが。

参考リンク:(拙過去記事)
■SUA条約関連
http://kkneko.sblo.jp/article/18205506.html 
■産経報道関連
http://kkneko.sblo.jp/article/23981718.html
■過剰在庫関連
http://janjan.voicejapan.org/living/0811/0811140481/1.php


◇守るべき文化と捨てるべき分化
 
■パプア・ニューギニア|世界一周!地球に触れるエコ大紀行 (12/20-21,NHK-hi BS2)
http://www.nhk.or.jp/eco-journey/yotei/index.html 

 海外編は今回が最終回。場所はニューギニア本島で最近エコツアーへの取り組みを始めた村と、ゴクラクチョウを始めとする多くの熱帯鳥や"ホタルの木"が見られるニューアイルランド島。
 庭先で100種もの熱帯の鳥たちが観察できるのはうらやましい限りですね。うちの餌台じゃヒヨやメジロやシジュウカラなど10種どまり・・。そして、ラッキーガイの柴崎アナがまたしても幸運を呼び寄せ、現地のガイドも滅多に見られないフキナガシフウチョウの雄の求愛ダンスがバッチリ。映像としてもなかなか貴重なのでは。
 エコツアーの村でトリップの目的地となった滝では、昔部落の男性が成人を迎える際に石を抱えて滝壷に飛び込む度胸試しの風習があったとか。今は当然行われていませんが。守るべき文化と捨てるべき文化をきっちり理解し、切り分けている点は日本も大いに見習うべきところ。南極の野生動物を飽食国家の国策企業がグルメのために大量捕殺する偽りのブンカを捨て、日本人が便利さや強欲と引き換えに投げ出してしまった「命を粗末にしない」という大切な本物の食文化を今こそ取り戻しましょう!
 最後に、ホタルの演出してくれる、日本の街中では決してお目にかかれない、星空と競演が可能な美しいクリスマスツリーのプレゼント。樹上に集合して点滅するなどホタルの特徴は日本の国産種とは異なりますが、原生自然とヒトの生活圏の干渉域を住処とする里山の生き物である点はやはり同じ。南極のクジラは捕鯨擁護学者が主張するような"里海の自然"ではなく、紛れもないコアとなる原生自然の一部ですが・・。
 ともあれ、訪れるツアー客と現地の人たちの共同作業としてのエコツアーの役割を、番組中でしっかりと示してくれたなかなか有意義な企画番組でした。来週は琵琶湖での最終回があるそうですが、お2人の新人アナさん、一年にわたる長旅、お疲れ様でした。
posted by カメクジラネコ at 01:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系

2008年12月20日

死刑とクジラ/クジラじょうゆ/セミクジラの標本

 円高が一気に進んで1ドル80円台にまで。もっとも、円(日本)の"強み"が評価されたとはまったくいえない以上、単なる一時的な避難壕にすぎないのでしょう。欧米等他の先進国の景気が回復基調に入った時点で、再び売りに出されることは必至。構造改革は福祉切り捨てと、企業が都合のよい時に首を切れる労働派遣の規制緩和くらいで、肝心の政官の改革はできないまま、道路や新幹線などの不採算公共事業路線に逆行しそうな気配。財政赤字の解消もポーズだけ。このまま"癌"の進行を放置するような政策が続けば、近い将来国債の格付けが突然下がり、円が暴落することになりかねません。
 円高と合わせ、原油価格の下落は、重油高騰で悲鳴をあげていた鯨研/共同船舶には一つの朗報でしょう。それでも、経営合理化策を水産庁に提出する羽目になるほど苦境が続く中では、焼石に水ならぬかもしれませんね・・。肝心の“副産物”が売れなきゃ、話にならないのですから。
 不況の度に口にされることだけど、過剰消費型のライフスタイルの見直しが叫ばれる今日この頃。間違いなくグルメの一つといえる鯨肉の都市部での消費がさらに落ち、本来の伝統食に近い、一部地域のハレの日の御馳走の位置付けに落ち着くのは結構なことです。後は、環境負荷がかかるばかりで、生産のスタイルとしても伝統から大きくかけ離れている現行の供給体制を修正しさえすれば、ある程度世界の許容範囲に収まるのではないでしょうか。


 

◇死刑とクジラ

■<国連総会>死刑停止決議案を採択 日本は昨年に続き反対 (12/19,毎日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000040-mai-int (リンク切れ)
■裁判員候補者、11万8500人「辞退希望」などと回答 (12/19,読売)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000046-yom-soci (リンク切れ)
■模擬裁判でも悩む量刑 実際、裁判員になったら… (12/17,産経)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081217-00000547-san-soci (リンク切れ)

 一番上のリンクにあるように、国連で死刑の“モラトリアム”を求める提案が(今年も)採択されました。提案したオーストラリア、EUなど106国が賛成、日本・中国・米国の先進死刑大国が反対に回りましたが、反対票を投じた国は昨年より8カ国減り46カ国のみに。先日拙記事でお伝えしたように、米国でも実際には死刑は減少傾向にあり、多くの州で行われず実質的廃止状態にあります。捕鯨でいえば、日本、ノルウェー、アイスランド、カリコム諸国の位置付けを、中国、米国、日本、アラブ諸国が担っている感じでしょうか。
 先日取り上げた読売の死刑特集企画の第2部7(17日、オンラインではまだ未掲載)で、松本サリン事件で被害に遭われた河野氏の意見が、死刑に反対する立場として取り上げられました。冤罪でマスコミからもさんざん叩かれ、一歩間違えれば自分が死刑になるところだった氏の主張には、大変重い説得力があります。残念なことに、この回だけいわゆる三面でなく右隣。読売が賛成論に割いたスペースとの差は、国内世論の賛否と比べても大きすぎるように思われますが・・。
 捕鯨と死刑の制度をめぐる賛否論には、多くの類似した特徴があります。「命をより多く奪ったほうがいい」という価値観。システムに組み込まれ、知らず知らずに国民が加担させられている"殺し"という側面。そして何より、国と主要なマスメディアの多くが明確な推進派の立場をとり、積極的に情報操作を行っているという点です。メディアも国も、少数意見の尊重、公平性という観点に欠けていませんか?
 一方、裁判員制度で辞退希望者が通知者の3割以上に上っているというニュースも(2番目のリンク)。「死刑判決になんて関わりたくない」との動機も、きっと強く働いているのではないでしょうか? マスコットキャラを各県で競い合うように(どちらかというとセンスの悪さを競っているふうにみえますが・・)せっせとこしらえる前に、裁判員制度導入の大前提として、まず死刑を廃止してください。
 ちなみに、オウム問題に詳しいのに"浄化"という宗教用語(?)が好きで、素朴な捕鯨賛成論をぶっている某有名評論家さんは、死刑に賛成の立場のようですね・・・
 前回の記事もご参照。

 
クジラしょうゆだってさ!

■世界初、クジラしょうゆを開発=山口県〔地域〕 (12/18,時事)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081218-00000140-jij-soci (リンク切れ)
■ヤマカ醤油、水産大など クジラ肉からしょうゆ開発 (12/19,山口新聞)
http://www.minato-yamaguchi.co.jp/yama/news/digest/2008/1219/11p.html

 お腹痛くて辞めた安倍元総理のお膝元で、2002年にIWC年次会合を招致し、食文化県議連も発足している捕鯨ヨイショ県の筆頭である山口県のお話。来年6月頃に都内のデパートでも販売する予定だそうです。IWC総会で話題になることを念頭に置いているのでしょうか。いやはや・・・・。
 時事通信の記事では「南氷洋産のミンククジラやイワシクジラ」とありますが、南氷洋産はクロミンククジラでミンククジラではありません。一方、イワシクジラは太平洋沖での調査捕鯨の捕獲対象です。いずれにしても間違いですが、どちらの調査捕鯨の生産物を利用しているのかはっきりしないため、こういう誤認表記は非常に困ります。いい加減な種名表記をいつまでたってもやめようとしない鯨研・水産庁にも大きな責任がありますが。
 さらに記事の一部を引用しましょう。

しょうゆの原料となるクジラ肉は、調査捕鯨で捕獲された南氷洋産のミンククジラやイワシクジラ。食肉としてカットされた際の細切れ肉は通常捨てられているが、これを有効活用し、商品化する。
 はっきりしているのは、今年2008年まで、まだ食べられるのに捨てられていた鯨肉が厳然として存在したというとですね・・。いかにも年間2000万トンという膨大な食料を廃棄している国らしいといえますが。これまで各方面で大々的に言いふらされていた「クジラだけは余すところなく有効活用していた」という宣伝文句が、またしても大嘘だったという事実が発覚したわけです。しかも、しょうゆの原料というのは要するにエキスを絞るだけで、残った絞りかすの肉はやはり捨てられる運命にあります。国内の捕鯨擁護派の主張を聞いていると、あたかも日本人にとってクジラは他のすべての動物と一線を画す"神聖な存在"でり、結婚式の披露宴でウェディングケーキの高さを超える残飯の山を築こうと、冷めたハンバーガーを15分でポイしようと、「クジラだけは決して余さず食べ尽くさなくてはまかりならん」という戒律でもあるんじゃないかと思えてしまうのですが、完全に思い過ごしだったようですね・・・・
 さて、山口県民の税金で運用されている食品開発推進協議会と、県内メーカーのヤマカ醤油、年若い学生に鯨肉食品開発までさせている水産大学校の皆さん。あなたたちがなさっているのは、食文化の要というべき地産地消の究極のアンチテーゼだってこと、十分理解してますか?

参考リンク:
■鯨料理"トンデモ"メニュー一覧
http://www.kkneko.com/shoku.htm


◇セミクジラにスポットライトが当たる日


■大掃除:大物もきれいに 実物大セミクジラ−−くじらの博物館 (12/19,毎日、読売、産経)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000132-mailo-l30 (リンク切れ)
http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20081219ddlk30040365000c.html (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081218-00000592-san-soci (リンク切れ)
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081218/trd0812181942017-n1.htm (リンク切れ)
http://osaka.yomiuri.co.jp/season/20081219kn03.htm?from=iphoto (リンク切れ)
■クジラ全身骨格標本 県の天然記念物指定へ ('07/9/25,紀伊民報)
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=132294 (リンク切れ)
■展示解説・セミクジラ全身骨格|東京海洋大学 水産資料館
http://www.s.kaiyodai.ac.jp/museum/public_html/whale_gallery/exhib_whaleskeleton.htm

 毎日と読売は地方版。産経は「ふるさと便り」として全国版に掲載している模様。
 いわゆる年中行事で、目クジラを立てるほどのことではないのですが、一点気になる記述が。

模型は、68年にオホーツク海で捕獲されたクジラを石こうで型どりしたFRP(繊維強化プラスチック)製。(引用、強調筆者)

 はて? 戦後のIWC管理下では当初からセミクジラの捕獲は全面禁止となっていたはずですが・・
 ──で、下から2番目のリンクの紀伊民報に、すす払いした模型のもとになった骨格標本の記事が載っています。そこに記されているとおり、実はこの'68年には2頭のセミクジラの捕獲が行われていたのですね。つまり、国際捕鯨取締条約8条に基づく科学調査、すなわちIWCがもともと想定していた数頭レベルの“本来の調査捕鯨”による捕獲だったわけです。ちなみに、文楽人形用のゼンマイ用の鯨髭のストックもこの時ある程度確保された模様。もちろん、どの国からも文句はありません。もっとも、石膏で型取りしたのは形状の安定している頭骨、胸ビレ、尾ビレのみで、毎日の記事だけ読むと全身石膏で固めたんじゃないかと誤解しそうですね。ま、物理的にもまず無理な相談ですし、自重で潰れて醜く歪んだ死体から、野生の海で泳ぐ生き生きとした姿を再現するのは不可能ですから・・。
 ところで、捕鯨ヨイショ新聞産経はまたまたおバカぶりを発揮。。

命綱をつけて巨大なクジラの模型に乗った職員は、古式捕鯨時代の漁師をほうふつさせるような動きモップはたきを使い、手際よくほこりをふき取っていた。(引用、強調筆者)
 ・・・・。記事はどうでもいいんですが、古式捕鯨は危険と隣り合わせで命を落とすことも多かったのは、博物館の方たちなら当然ご存知のことでしょう。現代でも、調査捕鯨で事故や火災に巻き込まれて亡くなった方が出ていますが。産経に書かれたからといって、くだらんパフォーマンスはしないでしょうが、どうぞ怪我などなさいませぬように── 
posted by カメクジラネコ at 01:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系

2008年12月18日

野生動物との共存能力のない日本はクジラに学ぶべし

◇捕鯨関連ニュース

■PCI元部長に懲役2年6月求刑 (12/16,産経)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081216-00000607-san-soci (リンク切れ)

 HP、ブログで何度か取り上げていますが、PCIの汚職関連報道です。PCIはセントキッツのバセテール港湾設備案件など、IWC票買い水産ODAも引き受けていたコンサル最大手。捕鯨問題に関心のある方は、日本のODAが一体どのような形で使われてきたのか、常に記憶にとどめておくべきでしょう。燐光群の坂手さん、捕鯨擁護演劇の脚本を書く前にしっかりと勉強してください。

参考リンク:
■捕鯨賛成票、1票いくら?(拙HP)
http://www.kkneko.com/oda.htm


◇野生動物と共存する国、できない国
 
■ヘラジカと暮らす街アンカレジ〜密着 動物パトロール〜|地球ドラマチック (12/18 19:00-,NHK教育) 
http://www.nhk.or.jp/dramatic/backnumber/152.html 

 BBCとアニマル・プラネットが2007年制作したドキュメンタリーです。鯨研と産経がギャーギャー喚いていますが、アニマル・プラネットは良質な科学・環境系番組の制作者として高く評価されています。経費節減でカメラの宣伝ばっかりしている感じのNHKですが、少しはBBCを見習っては如何でしょうか? 話題のシーシェパード密着番組をこの枠でちゃんと放送してくれるかどうかも気がかりですが・・。何しろ、公共放送のくせに政治圧力に屈しやすいところですから・・。
 番組は、アラスカ州の漁業狩猟局のスタッフの活動を追う内容でした。ムースハンター・ペイリン氏のいる保守色の強い地域ながら、日本の自治体の野生動物保護管理行政も参考にすべきところは多々ありましたね。先進国、開発途上国、過去の伝統的な日本、いずれとも異なり、わがままで人間中心主義的な一般国民と無策/非力な行政のために、野生動物とニンゲンとの共存が最も難しい国になってしまったのが現代の捕鯨ニッポンといえそうです・・。

 
◇日本の非致死調査

 小笠原で鯨類の非致死的調査に取り組んできた森恭一氏が夕方の首都圏ニュースで取り上げられていました。
 捕鯨業界の呪縛にすっかり囚われてしまっている鯨研とは別に、純粋なクジラの生物学的研究が行われていることは、残念ながら日本ではあまり知られていないこと。小笠原に定着したウォッチングの健全な発展のために欠かせないルール作りにも貢献されています。ろくでもない研究とそれをはるかに上回る広告費に金を注ぎ込んでいる鯨研に補助金を出すのをやめて、国はこうした国際的に高く評価され得る研究に予算を回すべきです。
 上で取り上げたアラスカレベルの共存さえ、日本ではハードルがはなはだ高そうですが、そんな日本でも出来る野生動物との共存の、ひとつのモデルケースになる可能性を秘めているのがホエール・ウォッチング(WW)。バッファーゾーンとしての沿岸に来遊する野生動物を非消費的な形で持続的に利用し、地域の経済にも貢献できるWWは、現在では小笠原や慶良間を始め、日本各地で進められています。小笠原は遭遇率が9割以上で、ガイドの皆さんのモラルもしっかりしていますし、過剰な負荷がかかっている海外の一部に比べても、むしろ理想的といえるほど。
 マッコウの子供はかわいかったニャ〜。邂逅を果たした参加者の皆さんが、森氏の解説のとおり、海の自然とニンゲンとの関わりについて考えるきっかけになればと、願わずにはいられません。
 
 天気予報ついでに深夜のテレビを付けたら、NHKの短い世界遺産紹介番組で、クジラたちの繁殖海域として知られるバハ・カリフォルニアをやっていました。やっぱり生きた姿に勝るものなし! 命を貪る恥ずかしい飽食国家の一員としては、リアルで出会う機会を持つのは憚られるのですが、IWCで"前進"が見られた暁には、もう一度小笠原の海に暮らす子たちに会いに行きたいニャ〜・・・
 
posted by カメクジラネコ at 01:14| Comment(2) | TrackBack(0) | 自然科学系

2008年12月16日

ヤッターマンとクジラ

◇鯨肉在庫情報(15日の記事の補足)

 今年になって出現した奇妙な現象がもう1つあります。4月と5月に、在庫上位都市に突然川崎市船橋市が出現しました。替わって場外に姿を消したのが函館市と横浜市。
 JanJanの記事でも解説しましたが、船橋市は、今年に入って大幅に在庫が減少して順位を落とした釧路市に替わり、3位にまで浮上しています。両市とも人口は多いものの、漁業中心でもなければ西日本のいくつかの鯨肉消費地でもありません。船橋市は315トン、川崎市は85トン前後で、月毎に数トンの出入りがあるものの、ほぼ一定しています。
 これはすなわち、長期ストック用の冷凍倉庫を両市に用意したということでしょう。次の漁期分の入荷以降果たして動きがあるか、年をまたいでも消化しきれない分がどれだけあるか、今後の動きに注意したいと思います。

 
◇ヤッターアンコウに助けられたザトウクジラ・・・ 

 11/24日に放映された1時間スペシャルの回に、ちらっとクジラが登場したそう、です・・。湘南の海岸にこの時期ザトウがストランディングするというのも変な話ですが、とりあえず主人公が助ける展開だったということでまあよし、と。
 こども向けの文芸作品(サブカルチャー含む)では、日本においても他の動物に負けず"助けられ役"として登場することの多いイルカ・クジラ。近代もしくは古式捕鯨をモチーフに捕殺・流血シーンをストレートに描き、「獲物がとれてよかったね」「美味しく食べようね」という展開につなげるエピソードは、ごく一部の絵本以外、さすがにお目にかかったことがありません。そんなスプラッタな代物、子供は誰も見たくないし、親だって見せたくないよ。子供というより大人を意識した作りの、文化論・陰謀論をまくしたてる説教くさい解説が含まれる作品はゴロゴロ転がっていますけど・・。
 いくら外房捕鯨が解体作業を観光にしてがんばっても、業界発の偏向世論調査で数字が高く見えようとも、PRコンサルタントの発案した偽物の殺す文化≠本物らしく仕立てることに、土台無理があるのです。

■捕鯨カルチャーDB
http://www.kkneko.com/culturedb.htm
 
 ところで、実写版ヤッターマンの映画を春に上映するという話。ドロンジョ役が深キョンだそうな。。ぜっっったい似合わないと思うぞ(--;; 演技力ある人じゃないと。。にしおかすみこにやらせるニャ〜。
 
posted by カメクジラネコ at 20:02| Comment(6) | TrackBack(0) | 社会科学系

2008年12月15日

鯨肉在庫最新情報/食品偽装は捕鯨ニッポンの食文化

◇かわいそうなトキとカラスとタヌキ・・・

■放鳥のトキ1羽死亡確認、野鳥に襲われたメスか (12/15,産経)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081214-00000522-san-soci (リンク切れ)

 タヌキに似たヒト(某参事官ではありません・・)がタヌキの所為にしていましたが、タヌキやカラスにを着せないでください。タヌキさんか誰かが見つけた時点で、おそらく既にお亡くなりだったはず。
 やはり放鳥時期が早かったのでは。季節的にもタイミングを間違えたと思いますよ。人工飼育のトキにとっても、他の野生動物にとっても、餌の乏しい厳しい季節を前に放すべきではなかったのではないでしょうか。


 

◇いただいたお便りご紹介

 HPにお越しいただいた方に、フォームメールにて御意見をいただきました。

少々五択では答えにくい問題もありましたが、思ったより低かったです・・・。(kさん)

 点数が低かったのはヨイショ度が低かったということですね。結構なことです(^^;
 日本人は、捕鯨に入れあげているヒト、明確に反対しているヒト、そして普通のヒトの三層に分かれていると考えられます。3番目のごく一般の日本人の皆さんは、国が熱心に入れ込んでいるものだから、何か「自分も捕鯨に賛成しないといけないんじゃないか・・」錯覚しているだけ。このテストを受ければちゃんと診断できますから、ご安心を。

 

◇鯨肉在庫最新情報

 最新の今年10月分の鯨肉在庫統計の数値が10日農水省から発表されました。昨年の9月が4,214トン、10月が3,798トンだったのに対し、今年は9月が4,209トン、10月が3,904トン。9月の月末在庫量がほぼ等しかったのに、10月は昨年に比べて100トンも在庫が増えています。入庫が増え(売れない分が転売されて別の倉庫に移された)、出庫は減った(売れなかった)という状況。
 鯨研/共同船舶が苦境に立たされ、水産庁に経営合理化案を提出する羽目にまで陥っていることは、既にマスコミも伝えているとおり。報じたのは、鯨研に縁の深い産経ではなく、日経ですが。直営店の閉鎖など、合理化を進めれば、当然なおさら売れなくなるでしょう。おまけに、この不況下で「高級料理屋に鯨肉鍋を食いにいこう」などと誰も思わないでしょうから、この先ますます在庫が増えることは必至です。
 水産庁を含む捕鯨サークルさん。この数字を見てもまだ増産を強硬するつもりなんですか? ひょっとして、今年もシーシェパードに妨害してもらうことをアテにしてるの??


 

◇食品偽装は捕鯨ニッポンの食文化

■追跡!“国産食品”偽装・NHKスペシャル (12/14 21:30-,NHK)

http://www.nhk.or.jp/special/onair/081214.html

 自民党内や省内若手からも「廃止しろ」とつっつかれている農水省の地方農政事務所、「こんなに仕事してるんです」というPR番組かと思っちゃったじゃないですか。まあ、廃止論でも食品Gメンは残しといていいという話になっているはずですが、管轄は消費者庁の方がよさそうですね。NHKのカメラマンを乗せたまま、「尾行したの初めてだよ」とか「ガソリン切れちゃった」なんて言ってるようじゃ、なんともたいした活躍ぶりですな・・。警視庁や厚労省の麻薬取締捜査官などともっと情報交換して、ノウハウを伝授してもらえばいいのに・・。特別Gメンの顔も声も名前も全部バレバレで、この先どうやって仕事するつもりなのでしょうか? 2、3年で配置転換だからいいの? それとも、業者に覚えさせて「うまくやれ」とでも言うつもりなんですか??
 NHKのスタッフがGメンに同行取材したのは、中国産アサリを国産と偽って表示して摘発された九州水産の調査でした。日本の農水行政が作り上げたシステムが、偽装のような不正を働く業者にとことん“やさしい”ものになっていることがよくわかります。中国から輸入したアサリは、死んだことにして適当に写真を貼っ付けて“死亡証明書”を送りさえすりゃ、「それ以上調査ができない」ってんですからね。なんでそれが“言い訳”として通用するんだか、一般庶民には非常に理解に苦しみます。ところで、出荷伝票の数字にただ適当に0.7を掛けただけなのに、NHKが「Gメンの勘が見事に的中した」みたいに絶賛するのにも少々シラけました。真面目にやってるのはわかりますけど。。
 それにしても、そっちの職種には全然向いてなさそーな出向公務員に、なんでまた探偵ごっこをさせなきゃ不正を摘発できないんでしょうね? 内部告発をもらったうえで3ヶ月もかかっていたんじゃ悠長にすぎます。告発した方はその間気が気でないでしょう。これじゃ、共同船舶の鯨肉横領・横流しや鯨肉投棄・サンプリングのランダム性に関する“科学偽装”の追及が一筋縄じゃいかないのも道理。本来ならば、自浄作用として推奨されるべき内部告発を、日本では国・経済界が抑圧したがっているのが見え見えなわけで、「勇気」「良心」「自己犠牲」のうえにさらに「忍耐力」まで要求しちゃ、誰だって二の足を踏むでしょう。
 実際には、これまでニュースになったウナギやら豚肉やら数々の偽装は、そうした内部告発によるものだったわけですが。そういや、番組中でも、神港魚類の強制捜査時の映像を流していましたが。逆に言えば、ここまで立て続けに騒がれても、まだまだ氷山の一角にすぎないかもしれません。
 大体こういうのは、市場でサンプルを集めてDNA検査すりゃ一発なんじゃないのかしらん? 定置網混獲鯨の許可販売に関しては一応DNA登録が義務付けられているわけですが、こちらはIWCでギャーギャー言われて始めたこととはいえ、所管の同じ水産庁/農水省が偽装対策に活用しようとしないのは不思議です。国産と輸入の差を見分けるだけですから、タグを付けてID管理するトレーサビリティ・システムを構築・運用するほど金も要らないはず。内部告発に依存し、下手に時間と人件費をかけるより、システム化した方が効率的で漏れなく悪徳業者を一網打尽にできるでしょうに。海外のMSE認証や各国政府機関の監査などでも、同様の手法を用いているはずです。
 もしかして、「氷山の一角」のところでそんな真似をされると都合が悪かったりするのですか?
 番組の解説にもありましたが、日本中を不安に陥れた食品偽装は、流通・食品業界の体質そのものと不可分です。輸入、加工、卸、小売といくつもの業者が間に挟まっているわけですが、そのすべてが偽装に関わっていたことがわかりました。とりわけ、カギを握っているのは大手流通・小売量販店。産地偽装で改善命令を受けたかば焼き加工業者の社長のインタビューがありましたが、この社長さんは悪徳業者などではなく、むしろ地道にその道一筋にやってきた小さな会社が、苦しい台所事情故に手を染めてしまっただけだということが、多くの視聴者の皆さんにも伝わったことでしょう。
 驚いたのは、頭をヘコヘコさせあくまで低姿勢な加工業者に対する、流通・小売量販店側のとことん高飛車な姿勢。安い国産を強引に要求し、なければ“ちゃんと偽装している”よそを使うからいいと言われれば、そりゃ背に腹は替えられないというものでしょう。しかも、国産と台湾産のどちらかに丸印を付けるだけという、あまりに簡単な話なのですし。
 皮肉なことに、食品偽装がTVで騒がれ、内外の価格差が返って開いたことで、偽装を行うメリットが高まり、「正直者がバカを見る」という状況にますます拍車がかかっています。巧妙に利鞘を稼いで濡れ手で粟の悪徳業者や、接待を受ける地方事務局の職員など、同情の余地のない連中もいるとはいえ、零細企業がせっぱ詰まってやらざるを得ない状況にあることもまた事実。市場を支配する大手流通食品業界、そして何より、安全な食品を求めつつ自ら労を割くことをせず、表示を真に受け、ワイドショーとコマーシャルに流されるまま気まぐれな消費行動をとる怠惰で傲慢な消費者がすべての元凶といえるでしょう。
 そうしたバカな消費者≠増やしたのは、政府・マスコミ・食品業界に他なりません。そしてそれは、間違いなく現代ニッポン特有の食文化≠ニいえるでしょう。国際PR/捕鯨協会発の鯨肉食文化プロパガンダこそが、荒んだ、悪しき食文化を日本に根付かせ、蔓延させてしまったのです。
 番組の内容に対してもう一点。現地を含む厳格な検査システムを導入して安全性の確保にも努力しているのに、国産と品質の点では何の変わりもないのに、無知な消費者に敬遠されてしまう現状を憂える"正直者"の業者の言い分もわかります。が、問題の本質は、消費者にとって遠い≠アと、生産者の顔が見えず、信頼がうわべのみのものになってしまうことです。
 結局、できるだけ顔のわかる地場の生産者から直接購入することが、消費者にとっては最善の道。それは同時に、輸送コストを始め環境に対する負荷を軽減する最良の手段でもあります。季節はずれのものを、遠い外国から取り寄せ、持て余しては捨てるということを繰り返しているから、他の先進国に例を見ない高フードマイレージ、大量食糧廃棄という世界に恥ずかしい状況が生まれるのと違いますか? 今の食品流通の仕組みに根本的な問題があるのではありませんか?
 いくつもの先進国の業者に利益を持っていかれ、低賃金で働かされる当の第三世界の人々の所得向上にもたいして貢献せず、地球に負荷をかけるだけの輸入食糧は、高付加価値のぜいたく品として高い地球環境税を課し、むしろ国産より高価格にすべきでしょう。WTOの議論はやはり間違っています……悪いのはアメリカですが。
 NHK解説委員の最後のコメントは、日本の低自給率を“仕方のないこと”と受け入れたうえで、「中国にそっぽを向かれると困るから、せっせと中国産を買いましょう」と言わんばかりでした。輸入食糧の問題の本質に一言も触れられなかったのが残念です。

posted by カメクジラネコ at 01:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系

2008年12月14日

トキとクジラ2/鯨研のオトモダチ新聞産経/旭山動物園の裏事情 他

◇かわいそうなトキとカラス

■佐渡のトキ けがのメス、行方不明に (12/11,産経他)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081211-00000500-san-soci

 放たれた10羽のうち雌1羽がカラスに襲われて怪我を負ったようで、その後消息を断った模様。10羽のうち1羽は本土に渡って旅ガラスと化しちゃいましたし、もう1羽発信機を付けた個体が行方不明になっているとも。旧式の重い発信機を付けたまま無理に海を渡って落ちたんじゃないかとの観測も。
 トキが群れを作って自然に生息していた頃ならいざ知らず、今のカラスたちにしてみれば、"見知らぬ"大きな鳥は癇に障ったのでしょう。餌の乏しい厳しい時期でもあるし、1羽でしょんぼり途方に暮れていた鳥を見て、「こいつはもう生きる気力がなさそうだから、ご飯にしちまってもいいカァ」と思ったのかもしれませんが。
 中国産のニッポニア・ニッポンを応援するのも結構ですが、トキ色の羽に負けない漆黒の羽を持つカラスも美しい野鳥であり、スカベンジャーとして生態系の重要な役割を担っています。繊細な稀少種を撮影ヘリで追い詰めたり、囲い込んで繁殖や健康維持のために英知を結集するのを渋ったり、結局個体群の絶滅というあまりに大きな失敗を犯した自らの罪を棚に上げて、カラスの所為にするのはくれぐれもやめましょう。

参考リンク:
■トキとクジラ(当ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/20083090.html


 

◇スクープ連発で張り切る捕鯨ヨイショ新聞産経

■捕鯨船団出航を公表 水産庁 (12/12,産経)
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/081210/biz0812101302006-n1.htm (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081210-00000540-san-bus_all (リンク切れ)

 先月11月17日に、監視していたグリーンピースが当人たちに代わって出港の事実を発表してから、一月も経った今月10日、水産庁が日本の調査船団の出港を公式に認めたと産経が報じました「安全水域に入ったのでSSにもう知られない」なんて言ってますが、絶海の孤島に“秘密基地”でも持ってるわけじゃあるまいに、出港したことなんて世界中にとっくにバレてるでしょーが(--;; アホちゃうか?? 赤字分を国庫からの支出で補填しているのに、くだらない理由で納税者に事実を隠すのであれば、税金は返しなさい。
 今年の出港は昨シーズンより遅れており、あまりグズグズしている暇はないはず。重油もまだ十分値が下がらないうちに買い付けたんでしょうし、台所が火の車で税金の補填と海外漁業協力財団の無償融資に頼っているからには、余計な出費/燃料の浪費は避けるべきことでしょうに。補給船のオリエンタル・ブルーバードの積載重油は安く済むかもしれませんが、こっちもパナマ政府との間でトラブルを抱えていて、海賊捕鯨船シエラ号みたく船籍の変更が必要になるのでは。それでもSSを撒くべく、クネクネ航路を変更したり、加減速を繰り返して、クジラにも地球環境にも好ましくない大量のCO2をせっせと排出しまくっているのでしょうか?
 ところで、公式発表といっても、農水省のHPを見ると、10日の報道発表資料には該当するものがありません。これもやっぱり、元客員論説委員が理事に入って年収1千万円の報酬を得ている産経と捕鯨サークルの強い絆の賜物といえるでしょう。
 産経の場合、単純に捕鯨問題のプライオリティを他の社会的トピックより上位に置いているのかといえば、そうともいえません。実際の出港当日は、他紙が取り上げても産経は音沙汰ナシでした。"敵"の手柄はなるべく読者の目から伏せておきたいということでしょうか? 豪州政府の行う生態調査の件も無視。後述するグリーンピースのデモも、三面のベタ記事にすらならず。これでは、捕鯨に関する情報を、当事者であるオトモダチの都合に合わせて取捨選択する著しい偏向報道を行っているとの指摘を受けてもやむを得ないでしょう。
 

◇死刑制度ヨイショ新聞読売

■米の死刑執行37人、過去14年間で最少 (12/13,読売)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081213-00000019-yom-int (リンク切れ)
■最初は終身刑望んだ母「やっぱり犯人の命をください」 (12/13,読売)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081212-00000071-yom-soci (リンク切れ)
http://megalodon.jp/2008-1213-1317-17/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081212-00000071-yom-soci

 読売が死刑の連載特集記事を組んでいます。今のところ海外の状況や内外の「反対」の声についてはまともに取り上げる気配がなさそうですね・・。果たしてこの先特集の後半で、賛成論と同列の扱いをするつもりがあるのでしょうか? リンク記事のような海外の動きを伝えている分、まだマシとはいえますが。
 主に保守系のマスコミによる死刑擁護の論調を読むと、日本がヒトの感情というものを何よりも最優先する“情けに厚い国家”に突然変身したかの如く受け止められるのですが、筆者にはどうにも不思議でたまりません。孤独死した老人が何ヶ月も放置されたり、自治体から生活保護支給を拒否されて餓死する方がいたり、病院をたらいまわしにされた挙げ句子供の顔も見れずに亡くなる妊婦がいたり、難民認定を受けられずに家族をバラバラに引き離されて国外に追放される外国人がいたり。規制緩和で派遣の職種などの条件を大幅に取っ払ったおかげでほとんどの大企業や投資家が潤ったはずなのに、功労者であるはずの派遣・契約社員はいざとなると都合よくあっさり首を切られ、明日住む場所もどうなるかわからない状況に今まさに陥っていますが、“情のこもった国家”は一体経済界に口先ばかりの要請をする以外に何をしたというのでしょうか? ついでにいえば、行政による犬猫の殺処分にも、感情の片鱗もうかがえませんね。結局、日本の法律も、行政運営も、国民の感情なんてまったく配慮してないじゃないですか・・・・。後は愛国心(忠誠心)くらい?
 どうしてヒトを殺すのを正当化するときだけ、唐突に感情が前面に押し出されるのでしょうか??
 読売の当該特集記事では、完全に個別的な、個人に属する、様々な感情に基づくコメントが、記者のレトリック付きで、唯一死刑支持という共通の切り口から語られています。死刑と治安の関係、抑止の実効性が明確でない以上、いずれも合理性はありません。筆者は、死刑とその増加は、「どうせ死刑になるんだから」といった捨て鉢な凶悪犯罪や、「死刑になるくらいの犯罪を起こしてやれ」という自己顕示型の凶悪犯罪を一層助長するだけで、返って逆効果だと考えます。
 もし、自分の肉親(ヒト以外含む)を理不尽に奪われたら、激しい憎しみに駆られて相手を殺してやりたいと思うでしょう、筆者も。社会性哺乳類ですから。たぶん、多くの方もそうでしょう。それが単純に国内で死刑を支持する声のパーセンテージに表れているのでしょう。フランスなどは、国民の賛否両論がある中でも死刑廃止を選択しましたが。
 復讐心というものは、生物学的な合理性のある本能的な感情です。遺伝子を共有する血縁個体が死ぬなどした場合、リスクを排除する行動が取られれば、遺伝子の生残率が高まります。それが憎しみの生物学的な起源。それだけの話。
 しかし、ニンゲンが他の動物と異なる万物の霊長であるなら、「目には目を」という安易な発想で済ませてはいけないのではないですか? 
 被害者の遺族の皆さん、殺されたあなたの大切な人は、あなたと、赤の他人(無垢な赤子を含む日本の全国民)が殺人者となることを、天国で喜ぶと思いますか? あなたが復讐に走る姿を見て、浮かばれると思いますか? そういう方でしたか?
 他人の死を喜ぶヒトがいくところではないでしょう、天国は。あなたの"仇"は地獄行きです、間違いなく。国があなたに代わって復讐しようとしまいと。
 死刑執行という形で復讐をなした時、達成感や満足感が得られると思いますか? 激しい虚しさに襲われるだけではないのですか? 死刑にしようと死ぬまで懲役に服させて罪を償わせようと、あなたの大切な人が帰ってこないのは同じです。それはとてつもなく辛いことですが、かといって死刑は決して“救い”などではないはず。
 死刑とそれ以外の刑との間にあるあまりに絶対的な一線に対し、裁く基準、根拠の方は必ず曖昧さが残ります。懲役年数くらいならまだしも、担当判事やそのときの世相に合わせて基準が“揺れ動く”というのは、量刑の絶対的な差と釣り合いません。
 
また、犯行の動機を本人以外の第三者が推定することに意味があるとは、筆者には思えません。他人(動物)の心は決して誰にも伺い知ることはできません。そして、ヒト(動物)の心は変わります。被告の演技力、弁護士のサポート能力次第で、量刑が決まることにもなりかねません。
 冤罪の可能性も常につきまといます。懲役刑であれば国家賠償でまだ済ませられるでしょうが、無実の罪の人を殺してしまったら取り返しがつきませんよ。命をその程度の重さのものとして扱っていいのですか? その方の遺族の憎しみは誰に向ければいいのですか? あなたや私や全国民ですか? 理不尽に命を奪われるという点では同じでしょう。それに、エレベーター事故、電車の脱線事故などでも、肉親の方の悲痛さと関係者に対する憎しみの感情は、凶悪犯罪に巻き込まれた方の遺族のそれに"劣る"とは決していえないでしょう。
 憎しみは暴力の連鎖を生み出すばかりです。カミカゼ特攻をモデルにした自爆テロも、まさしくそうした憎しみが引き起こしたものに他なりません。そうした他人の感情を巧みに利用する組織があるにしても。
 来年裁判員制度が導入されれば、間違いなく冤罪が増えるでしょう。筆者は仮に通知が来ても「絶対に死刑は選択しない」旨記入して送り返すつもりですが、おそらく同様の選択をされる方は少なくないでしょうし、向こうの方で"落とす"でしょう。となれば、死刑容認、死刑礼賛主義の方が裁判員の多数を占めることになるでしょう。結果として、死刑自体もますます増えるでしょう。そして、裁判員に対して効果的な演出を心がける有能な弁護士を雇うカネのある被告は死刑にならず、カネのない被告は死刑になるという"傾向"もみられるようになるのでは。
 死刑判決を下すことに関わった裁判員は、自分が反対した場合でさえ、重い自責の念に将来にわたって苦しめられ続けるでしょう。カウンセラーを用意するなどという話がありますが、「あなたが殺したわけじゃないんですよ」あるいは「死刑はいいことなんですよ」などと言いくるめて誤魔化す? それで楽になればいいと??
 リンク記事のとおり、米国では死刑囚が年々減少しているそうですが、日本がこのまま国家による殺人を増やしていくとなると、そのうち逆転し、中国やイラン、あるいはアフリカの独裁政権国家並に膨れ上がって、捕鯨と併せ国外の日本人がますます世界で肩身の狭い思いをする羽目になりかねません。

参考リンク:死刑問題については拙過去記事で何度か扱っています。リンク集掲載の他の方々のブログもご参照。
■政治とクジラ
http://kkneko.sblo.jp/article/16703069.html



◇旭山動物園は本当に動物の味方?
 

■伝えたいのは、いのちと自然〜小菅園長最後の挑戦〜|プライムH (12/13 a.m.01:15-,NHK)
http://www5.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/zoo/news/sc02_yot.html

 1年間で300万人という圧倒的な観客動員数と興行収入で、日本の動物園界トップとなった旭川市立旭山動物園。来年春に定年退職する園長の話。飼育員の奮闘ぶりなどを通じて同動物園の現状と課題を見据える……といっても、第三者の検証が含まれないので、「宣伝色の強いルポルタージュ」になってしまっている感は否めませんが。
 もともと筆者としては、野生動物は身近な自然に棲んでいる“本物”を観察するのがスジという考えなので、動物園そのものに行く気になれないのですが、中でも旭山はどうしても好きになれません。耐水圧性の高い特殊な円筒アクリルを用いたペンギンやアザラシの展示施設などは、以前の旭山を含め他の動物園ではとても考えられない、目玉の飛び出るほど高額の先行投資が必要になります。旅行企画会社とタイアップして、ウィンタースポーツのある冬季に匹敵する夏の呼び物として高い観光収入が見込めるという算盤勘定から、市議会にそれだけの予算を出させることに成功した“ヤリ手”の動物園という印象が拭えないので。
 動物園業界事情に詳しい熊楠先生のお話によれば、行動展示・生態展示といっても、旧来の“日本型展示”に毛が生えた程度で、エンリッチメント施策で先行する欧米の動物園に比べると開きはかなり大きいとのこと。
 例えば、チンパンジー舎。東武動物公園など他の日本の多くの動物園で見られる、“夜店の屋台”形式の檻に1頭という最悪のパターンよりは、広さや立体構造物を置いている点で確かにマシなのですが、展示ブースの両側を観客の通路で挟んでいるのはいただけません。言うまでもなく、社会性の高い最もデリケートな動物なのですから、前後から観客の視線にさらされ、隠れる場所もないという状況は、多大なストレスになります。エンリッチメントの観点からは基本事項のはず。
 飼育されている野生動物は、自分の肢体やポーズを観賞させるサービス業(・・)に自らの意志で従事して、労働報酬として餌や安全を処遇されている──というわけではありません。ぶっちゃけ“奴隷”です。無理やり捕まえてきて、あるいは繁殖させて、自由を奪っているのですから、「動物の側の立場を考慮した」対策も最低限とるのがヒトの道です。それがエンリッチメント、動物福祉の考え方の原点です。
 四六時中衆目に晒されている状態を回避できるようにという精神衛生上の配慮から、自然に近い遮蔽物を用意するといった工夫が求められているのです。そして、行動展示・生態展示というからには、「野生動物はいつもそこにいるとは限らない、むしろ見つからなくて当たり前」という事実を観客にきちんと伝えないと。アザラシのように、狭い水槽に閉じ込められて退屈なので、ヘンテコな陸上動物を気晴らしに眺めるようなタイプの動物は少数派。ニンゲンを警戒しないこと自体がそもそも野生動物らしくないのです。そこまでやって初めて、本当の生態展示なのではないのですか?
 「日本には日本のやり方があるのだから欧米とは違う」と、欧米発のエンリッチメントを否定する向き──どっかで聞いたような主張ですけど──も国内の業界内にはある模様。しかし、“他のやり方”で動物たちの飼育環境を改善するのでなく、「改善しないこと(かつ商魂たくましく見世物商売に徹すること)」をもって日本固有の文化だとするのは、お門違いもいいところです。
 起死回生で話題を呼び、TVドラマ化までされるなどマスコミに散々取り上げられ、それがまた相乗効果を発揮してますます人気が出て、いまや黒山のような人だかり。押すな押すなの行列で、シロクマのお食事タイムは並んだ末にたった3分・・。観客の声も拾ってはいましたが、万博やオープン時のテーマパーク同様、「疲れただけだったね」「よく見えなかった」という不満の声のほうが実際は多数だったのでは。旭山に訪れた客たちが一番多く見た動物といえば、もちろんニンゲンというサルの一種に違いないでしょう。アメリカのどっかの動物園みたいに、退出ゲートの手前に鏡でも置いてみたら?
 「勉強になった」という人たちも、じゃあ一週間後、あるいは一月後に、一日中寝てばかりの国内の他園に比べて、わずかに活発な動物たちの生態や行動が、どれだけ印象に残っているでしょうか? それで本当に、本物≠フ野生動物や自然についての理解が深まったといえるのでしょうか?
 飼育員の解説はないよりマシですが、3分で通り過ぎる行列に並ぶ人たちにとっては、やはり観光バスガイドの「あちらに見えますのは──」と同じで、記憶に残ることは期待できないでしょう。それに、「オランウータンの住処の森が壊されているのは、あんたたち日本の消費者が地球にやさしい≠ニいうメーカーの触れ込みを真に受けて使っているパーム油製の合成洗剤やら何やらの所為なんだよ」というところまでもっとツッコまないと・・。
 フラッシュ撮影禁止は、アザラシ館に入る前にカメラを取り上げるか、当分の間制服着た警備員を何人か立てて、日本語の表示も読めないタチの悪い客の襟首を掴んでほっぽりだすくらいやらなければ、効果がないでしょうに・・。動物に対するマナーを観客に周知徹底させないのも、欧米とは異なる日本の動物園の後進面といえます。
 旭山ではいま、飼育員がベテランから若手へと急激に交代が進んでいるとのこと。おそらく採用時期に絡んでいるのでしょうが。悪戦苦闘する若手飼育員の取材や、「教えることはしない、自分で見つけさせる」「動物に真剣に向き合うのが大事」という園長の話に、「さすがだなあ」と頷かれた視聴者の方も多かったかもしれません。
 しかし、筆者の目からすると、首を捻らざるを得ない部分がありました。動物に「真剣に向き合う」のが飼育員の一番の資質であるのは当然です。しかし、それは別に飼育係の持つ特殊性ではなく、ありとあらゆる職種、プロフェッショナルの仕事についていえること過去に園、あるいは業界で得られた飼育対象種の病気や事故などのトラブルに関する情報や知見、あるいはノウハウを後代に伝えることを"しない"のは、どうやら旭山に限らず、動物園業界・飼育員という業種にかなり広くみられる特異な体質のようです。創意工夫は、過去の蓄積からさらにプラスアルファで発見させるべきこと。だから、いつまでたっても進歩しないのではありませんか?
 もう一点。展示方法の工夫について、若手に任せるのは結構。しかし、健康・病状チェックを飼育員に任せきりにしてはいけません。アルバイトあがりの若い女の子に、英文の最新の学術論文を日々チェックするところまでできますか? 本来獣医がやるべき仕事です。プロの獣医が定期的にチェックして、何かあった場合に、飼育員に異常がなかったかを確認し、原因を突き止めるのがスジ。これは上野など他園と旭山とで違うところですね。もしかして、そういうところで予算を削っているのでしょうか?
 番組で登場した、鳥マラリアに感染したジェンツーペンギン。早期発見や他個体への感染防止対策、感染ルートの追及など、若い飼育員だけで対応できることではありません。だから、対策が遅れたのではないのですか?
 余談ですが、男の力でかなり強く保定して金属製の管を咽喉に通して薬を与えていましたが、よその水族館などの施設ではチューブを挿入しているはず。あんなものを使ったらかなり危険で高いストレスを与えるのでは。飼育員の側の「傷つけたらどうしよう・・」というストレスも大変なもので、胃に穴が開くほどだったに違いないと察しますが・・。
 動物園業界の皆さん、飼育員魂だとか、プロ意識だとか、そんなものに酔いしれていませんか? 動物の命を、若手の飼育員のための試行錯誤の訓練に使ってもいいという程度の、消耗品の備品か何かだと思っていませんか? 日本の獣医教育の現場も、まだそのレベルではありますが・・。リスクを最小限にするために、現状を改善するために、一体何が必要なのだろうという問題意識に欠けていませんか??
 そして、園長の「最後の仕事」という、北海道の自然の姿を観客に伝えたいとの趣旨で設置された、オオカミとエゾシカの展示施設。ハード面は確かにコンクリートの檻よりマシですけど・・。オオカミはアラスカのシンリンオオカミ、飼育下で育ち、100%ヒト馴れした子たちですね。まあ、野生状態の個体を捕獲して調達するのが無理な以上、他に選択肢もないわけですが・・。
 オオカミの生態展示というからには、本来の行動半径も示しておくべきでは。フェンス1枚挟んですぐ隣にエゾシカを展示し、「本来の関係を示す」なんていうもんだから、びっくりして思わず、エゾシカの有害駆除をネタに調査捕鯨を正当化しようとしている鯨研を思い浮かべてしまいました(汗)
 そもそも北海道のエゾシカとアラスカのシンリンオオカミとは、本来の捕食−被食関係にはありません。緊張関係といったって、「檻に入ってるオオカミなんて怖くないよ〜、アッカンベェ」となるに決まってるのは、あんたたちもプロなんだからわかるでしょうに。オオカミの方だって、ご飯をきちんともらっていれば、たいして「旨そうだ」とも思わず、じきに興味を失うでしょう。"身内に対する緊張関係"が高まりかねないので、与えないわけにもいきませんし。さらに、食害の現状を示すためにを作るとか言っていますが、芽が出る暇もありませんよ? 観客に視覚的にわからせようというのは無理がありすぎるでしょう。
 北海道の野生動物が置かれた現状を観客に知らせたいのなら、被害状況と合わせて有害駆除された死体とかをパネル展示すれば? 生きた個体をわざわざ檻に閉じ込める意味も、少しはあるというもの。何しろ、この子たちは罪もないのに銃殺されなくてすみますからね。ついでにいえば、開発で森を減少させてきたヒトという動物には免罪符を与えておきながら、金儲けを目的とする土建屋・政治家と違い、生きるためにご飯を食べたにすぎないエゾシカであれば死刑≠ニいうのは、捕鯨擁護派の嫌うきわめて極端な差別にほかなりません。
 くれぐれも、「殺す調査も科学調査だ」という鯨研にならって、「殺す展示も生態展示だ」と、不自然なオオカミの"お食事タイム"を設けたりなさらぬよう。300万人の観客があっという間にドン引きしますよ。園内でエゾシカ肉土産販売とか、フレンチレストランをオープンして鹿肉ステーキを出したりとか、そういう方向にも進まれませんように。冗談みたく聞こえるかもしれませんが、長崎のペンギン水族館のように、「将来ペンギンも殺す調査をした方がいい」とこっそり言っている鯨研とつるんで、鯨肉バーガーなんぞを館内で売り出す真似をする、とんでもないところもありますので・・。
 ブームはいつまでも続くものではありません。来年は冬の旭川並に日本経済に深刻な寒波が押し寄せそうですし、新園長(旭山ブームの影の立役者とされる副園長が昇格するの?)がどういう方針で臨むのか、いろいろ気がかりではあります。一躍脚光を浴び、動物園の代名詞的存在となった同園には、今後日本の動物園が目指すべき方向性について示す責務も帯びたはず。「毛が生えた程度にマシ」というレベルに留まらず、欧米に負けない社会的意義を備え、動物を囚われの身としていることに「罪の意識ばかりを感じさせられずに済む」動物園を目指して欲しいものです──。

参考リンク:
■TV番組評・東山動物園の事例(過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/23001516.html



◇その他動物番組評
 

■進化研究最前線〜ダーウィン進化論150年〜|サイエンスZERO (12/11・12,NHK教育)
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp236.html

 進化論の最新情報というから何かと思ったら、インドクジャクの話。今年の1月に生物学誌に掲載されていたやつでした。
 行動学系の多数の著作で知られる長谷川氏も論文の著者に加わっており、スジはシンプルで明解。要するに、雌のトレンドが羽(見た目)から声色に変わったということ。ただ、森林から草原へと適応環境が変化したことを理由に挙げるのは、やや強引な気もします。
 完全な森林型から完全な草原型に移ったとはいえないと思いますし、そういう意味では途上にあるといえるのでは。林床の狭い深い森では、あのデカイ羽は広げにくいうえに返って目につかず、むしろ声で雌を呼ぶ行動の方が先行したはず。さすがにこれ以上ケバケバ飾ったら“ハンディキャップ”がありすぎるもんだから、雌の要求がさらに一段厳しくなって美声も求めるようになった──ということのように思えます。声と羽のどちらが先かも、議論の余地のあるところ。
 もっとも、理屈は正しいにしても、観察事例が日本の動物園の飼育群に限られているので、人工環境下限定の不自然なトレンドである可能性も否定できない気がします。一夫一婦が比較的多い鳥類の中では、クジャクは自由恋愛派のようですが、羽が抜けた後でも8番君の人気が落ちなかったのは、既に"顔が売れていた"という可能性もなきにしもあらず・・。また、発声頻度と雄性ホルモン量、交尾回数が全部比例しているとなると、単純に閉鎖環境での雄の"ナンパ度"だけで説明がついちゃう気も。やっぱり野生下での観察研究もやって欲しいところですね。
 もう一つの事例は、ビクトリア湖に生息するシクリッド(カワスズメ)の種分化について。わずか1万年の間に500種以上もの種に分化した"進化の教科書"として知られる魚ですが、食用のナイルパーチを放流した所為で生態系の撹乱が起き急速に絶滅に向かっている種もあると聞きます。


※補足:beachmollusc先生と熊楠先生にご教授いただきましたが、ナイルパーチは某ハンバーガーチェーン店のフィレオフィッシュなぞにも使われているスズキの仲間。先進国の消費行動が、第三世界で移入種による生態系撹乱を引き起こしている事例といえそうです・・・


 番組では、濁りの大きなビクトリア湖の表層と深層に棲む、2つのタイプのシグリットの間での視覚受容体の遺伝的変異を取り上げていました。そちらはいいのですが、問題は体色の方の変異の説明。表層が青系、短波長の光が届かなくなる深層では赤系になっているのを、研究者は「雄が雌に自分を目立たせるため」という性淘汰を理由に挙げていたのですが、これは間違いではないかと思います。それぞれの体色は背景の水の色に溶け込んで、返って見えにくくなります。つまり保護色。雌の体色の方には差異がないのかどうかわかりませんが、雄だけに見られるのだとしても、カワスズメはよく知られているように雄が稚魚を口内保育する魚ですから、体色の変異にかかる自然淘汰がそれだけ強く働いたと考えられます。
 てな感じで、高校生物ないし大学初年度の文系教養講座レベルではありましたが(いつものことだけど・・)、生物学に興味のある一般の方には押えておいて欲しい内容でしたね。一点、自然選択と性選択の2つの定義についてですが、選択が働くのは、生息環境の物理的な諸条件、種間関係、種内の社会関係という3つの要素で、遺伝子に働くメカニズムとしてはすべて同列です。そういう意味では、性選択は「社会環境を含む自然環境」から受ける選択の一つに他なりません。性選択(性淘汰)は当初ダーウィンの頭を悩ませた概念でしたが、当時の限られた知識や技術の範囲で彼なりに答えを出そうとしたのは、さすが進化論の創始者というところ。
 9日、10日の拙記事「ザトウクジラの社会性」もご参照。


 

◇グリーンピースに座布団を

■「私も連行して」――世界中の若者が調査捕鯨反対運動に参加 (12/9,GPJ)
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20081209oc_html
■問われるべきは調査捕鯨−グリーンピース・インターナショナル、日本人・日本政府に呼びかけ (12/11,JanJan)
http://janjan.voicejapan.org/world/0812/0812100203/1.php
■グリーンピース各国事務局長、鯨肉窃盗のメンバーの裁判に抗議 (12/11,AFPBB)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2548207/3600393
■グリーンピース、日本人活動家逮捕にシドニーで抗議 (12/9,AFPBB)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2547367/3599806

 世界人権宣言の採択60周年記念である10日の前日9日火曜日、グリーンピース・ジャパンのスタッフ2人の不当逮捕に対する抗議と調査捕鯨の不正に対する徹底調査を求めるデモが渋谷で行われたとのこと。GPのサイトでは川田参院議員のコメントも紹介されています。また、オーストラリア出身の元鯨捕りの方の言葉はさすがに説得力がありますね。
 9日、10日の上記のヨイショ産経を始め新聞各紙を図書館で一通りチェックしてみたのですが、GPの件を取り上げていたのは9日のジャパンタイムズのみ・・。そもそも人権宣言に関する記事も見当たりませんでしたが。ネットでもAFPだけ。もし、テレビや新聞等でご覧になったという方がいましたらお知らせください。
 GPは今年、日本の調査捕鯨船団に対する監視船を送らず、二人の裁判と調査捕鯨の実態解明に力を入れる旨を表明しています。二人の逮捕の不当性もさることながら、自浄能力のない捕鯨サークルが国家権力を楯にコソコソと隠し通す気でいる以上、徹底的に膿を絞りだして世界の衆目に晒す作業は必ずやり遂げなければならないでしょう。逮捕された2人も自身の処遇より何よりそのことを望んでいるはず。
 鯨研・共同船舶側も崖ッぷちに立たされているとはいえ、現在の経済情勢は国際NGOにとってもきつい逆風となっているでしょう。リソースを奪われ時間も限られている以上、投資対効果の高いアプローチが求められるはず。PRコンサルタントの指導のもとにルサンチマンの"種"を撒き、鯨肉試食パーティーなどの"肥やし"を与えて大事に大事に育ててきただけあって、日本の反・反捕鯨層は今なお健在です。鯨肉の売上の方はかなーり心もとなくなってはいますが・・。それは、一面トップで突飛なスクープ報道を載せるオトモダチ産経を始め、マスコミ各社がデモの様子もまともに伝えようとしないことからもわかるでしょう。
 オーストラリアの貴重な自然であるグレートバリアリーフを構成する野生動物の一種に他ならないザトウクジラやクロミンククジラに対し、年間2千万トンもの大量の食糧を廃棄している北半球の飽食国家が、あたかも自らの独占的な占有物であるかの如く振る舞っていることに対して、オーストラリアやニュージーランド、チリやアルゼンチンなどの南半球の国の人々が激しい憤りの感情を覚えたとしても、それは至極当然のことなのではないかと筆者には思えます。しかし、そうは言っても、外圧という刺激に敏感なルサンチマン的粘着体質の捕鯨ニッポンで、「南極圏・野生動物は将来の世代を含めた人類共有の財産であり、日本が勝手に決めていいことじゃない」という正論は、残念ながら簡単には通じないでしょう。まあ、それが通じりゃ話は早いというやつで、責任はすべて捕鯨協会・国際PRにあるわけですが。やはり国際組織頼みではない、内発的な取り組みなしに、捕鯨問題の決着は着かないのではないかと感じます。
 舶来NGOとして、あらゆる反捕鯨の代名詞として功名に固有名詞を使われ、ハンデを山ほど背負っているグリーンピース。それでも日本国内での活動に重点を置くというのなら、もう少し日本人受けするセンスとウィットを磨いた方がいいと思うんですがね・・。例えば、AFPの配信記事に出ている、オーストラリア支部がシドニーに近いボンダイビーチで行ったパフォーマンス。オージーに受けるのかどうか知らんけど。。時々この団体の直接行動には、「おい、座布団全部持ってけ!」と言いたくなるものがなきにしもあらず(--;;
 今の日本では、アキバでローゼン首相にエールを送る若者はいても、GPなど市民運動の主催するデモやシンポジウムに積極的に参加する若者の層が残念ながら少なくなっているようですし。逆に言えば、若い世代の人たちに訴えかける努力が、もっともっと必要なのでは。ただでさえ、捕鯨サークルの方には勝手に応援してくれる(しばしば業界の迷惑も顧みず・・)ウヨガキ君応援団が付いているのですし。「盗まれた信頼と鯨肉」のレポートは、硬派ですが非常に評価に値する仕事でした。直接行動でも知恵を絞って、多くの日本人を思わずニヤリとさせ「座布団5枚!」と言わしめるだけの、機知に富んだパフォーマンスを編み出してほしいものです。

参考リンク:
■なぜ日本でNGOが悪者にされるのか(過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/16732167.html

posted by カメクジラネコ at 01:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会科学系