2008年07月31日

勝手にJARPAレビュー・拡大版

■調査捕鯨自体が否定した3つのトンデモ論
http://www.kkneko.com/jarpa.htm


 なんとかアップできました。もっと大変なレビューも残っているのですが・・。
 捕鯨擁護派の主張する3つのトンデモ論否定を広めましょう!
 というわけで、もちっと平易な表現を使って再度要点を説明しておきます。

1.調査捕鯨をやっていなければ、もっと早く、正確にクジラの数を数えられた

2.調査捕鯨をやっている間、ミンククジラは増えていなかったことが、調査捕鯨でわかった
  ミンククジラを間引かなかったのに、ザトウクジラやナガスクジラは増えた
  「海のゴキブリ」はウソだった。「間引きが必要」もデタラメだった

3.南極の生態系を調べるのに必要な研究はたくさんあるのに、進んでいない
  これ以上調査捕鯨で同じことばっかりやってもしょうがない
  本当に必要な研究の足を引っ張るだけ

 

−原油高騰とクジラその2(3億6千万円補填!)
−ニタリの骨格標本のはなし
 等々のネタを明日以降とりあげる予定です。

posted by カメクジラネコ at 02:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学系

2008年07月30日

本物の文化と偽物のブンカ3

 日頃のご愛顧誠にありがとうございます。みなさまから様々な情報をお寄せいただき、感謝に堪えません。
 目下、英文原本と異なる立場からの翻訳2本を読み比べるという、少々しんどい作業にとりかかっておるところです。まあ、1つの資料の3つの解釈・ニュアンスの違いを比較すれば、それなりにおもしろい結論が得られるんじゃないかと・・。記事掲載までもうしばらくお時間をください。もっとも、先に結論を出してしまったので蛇足な気もしますが・・
 
 最近は、紀行番組や現地を旅行した人の話を聞いたりして、東欧の田舎の村に魅力を感じています。里山を保全し、野生動物と共存することが実際にできているという点で、彼らは日本よりはるかに進んでいます。いや……進んでいるというより、伝統的な暮らし、本当に大切な文化の根幹を大事にしてきたからこそ、それが可能なのでしょう。彼らはまた、牧畜と農耕のいわゆる混合農業で、育てた豚などを自ら解体して食べますが、肉を口にするのは特別なハレの日だけです。野生動物であろうと、家畜であろうと、動物たちの本当の生き様から目を背け続け、自然と切り離されパッケージ商品化された"イノチ"を浪費し、大量に廃棄することが平然とできてしまう日本人とは、まさに雲泥の差です。
 本当の意味で豊かな暮らしを送るそれらの村にも、次第に近代化の波が押し寄せていることに、筆者は悲しみを覚えずにはいられません。
posted by カメクジラネコ at 01:44| Comment(6) | TrackBack(0) | 社会科学系

2008年07月29日

勝手にJARPAレビュー:否定された3つのトンデモ学説

 最近は動物番組をゆっくり観賞する余裕もないニャ〜(--;
 6月に鯨研通信に掲載された、2年前に東京で開催された、JARPA(南極海鯨類捕獲調査:いわゆる調査捕鯨)レビュー作業部会の報告がこの6月発行の鯨研通信に掲載されたのですが、結論に関する部分を読んでいて、沸々と怒りが込み上げてきました・・・・。詳細はまたHP上の記事で掲載しますが、先に要約をブログに載っけておきます。
 ここに掲げた筆者の結論は、先に取り上げた母船式捕鯨のCO2排出問題とともに非常に重要です。すなわち、捕鯨サークルの掲げる次の3つのトンデモ学説──『捕鯨は地球にやさしい』『海のゴキブリ間引き論』『調査捕鯨は生態系調査ための科学』という主張が真っ向から否定された、ということです。それも、他でもない調査捕鯨そのものによって
 可能な限り多くの人たちがこの認識を共有してくれることを、筆者としては願っています。

 

<JARPA REVIEW by カメクジラネコ>

−鯨研の報告によって明らかになったことの一つは、採集活動、すなわち調査捕鯨そのものが目視調査の精度を下げていたということです。この18年間はまったくの時間の無駄でした。モラトリアム後に調査捕鯨など一切行わず、必要なリソースをすべて純粋な目視調査に振り向けていたなら、はるかに速やかにクロミンククジラその他鯨類の個体数に関するより精度の高い情報が得られていたはずだったのです。

−調査捕鯨によって収集されたデータは無意味とまではいえませんが、非致死的手法によって入手可能であるか、あるいは南極生態系の解明のために優先して求められる情報ではありませんでした。そうしたプライオリティの低いデータの膨大なコレクションにリソースが投入されることで、重要な情報の欠落、空白が放置され続けることになったのです。

素材の提供のみでほとんど外部に丸投げしているに等しい、調査捕鯨の目的(何度か表看板が架け替えられた)ともIWCの要請とも無関係な付随的研究がリストの大半を占めている事実があります。野生動物研究全般の中でクロミンククジラという特定の研究対象に限り、重要度のきわめて低い研究に対しても毎年のように予算や人員が注ぎ込まれるという、非常にアンバランスなものとなっています。ごく限定的な分野・手法に突出した形でリソースが注ぎ込まれる異常な状況は、健全な生物学の発展の足を引っ張ることにつながりかねません。科学研究のあり方や予算配分の見直しが厳しく問われるべきでしょう。

今後重点が置かれるべき研究は、大量に蓄積されたものの有効に活用されていないデータの詳細な解析、遅れている非致死的調査──とくにゼロに近い冬季・繁殖海域における生態調査や行動学・社会学的研究、クロミンククジラ以外の南極生態系に関わる調査研究です。本来割かれるべき研究資源を奪うことで、調査捕鯨の継続はこれらの必要不可欠かつプライオリティの高い研究活動の進展を阻害することになります。

−調査捕鯨によるわずかばかりの有益な成果の一つは、日本の鯨類学の予測能力と理論構築能力の低さ、お粗末ぶりを裏付けたことです。調査捕鯨(+目視調査)によって、クロミンククジラ『海のゴキブリ説』は完全に否定されました。
 きわめて素朴な観点から日本の鯨類学者が予測したのは、周年繁殖が可能なため繁殖力が競合する他の大型ヒゲクジラ類より高いという理由で、クロミンククジラが猛繁殖して他種の回復を妨げるというものでした。実際には、クロミンククジラの増加傾向はJARPAのデータによっては示されなかったのです。IDCR/SOWER(国際鯨類調査10ヵ年計画:捕殺をしない目視調査)の結果もそれを裏付けています。むしろ、安定していることを示すJARPAのデータのほうはいくつか上がっています。そして、クロミンククジラより明らかに繁殖力が低いはずのザトウクジラやナガスクジラには、"ようやく"幾分の回復の兆候が見られるようになりました。
 この間、クロミンククジラに対する調査捕鯨は行われ続けたものの、オキアミの余剰を生み出すほどの"間引き"にはなっていません。水産資源学の原理に照らすなら、調査捕鯨の捕獲圧によってクロミンククジラの競合能力はむしろ若干高まったはずです。しかし、そうはならなかったのです。繁殖力が高い競合種のはずのクロミンククジラに妨げられることなく、ザトウクジラとナガスクジラは回復に向かっており、"間引き"が不要だったことが改めて証明されたわけです。クロミンククジラの個体数が安定し、ザトウクジラやナガスクジラが一段遅れて回復基調に入ることを、日本の鯨類学者はまったく何一つ予見できませんでした鯨類資源学が完全な机上の空論にすぎないことをも立証したといえます。
 以下は筆者の推論ですが、おそらく今後完全なモラトリアムを十分な期間継続するならば、ザトウクジラとナガスクジラの個体数はある程度回復したところでクロミンククジラと同様に安定し、それに続いて、いまわずかに回復の兆しが見られるシロナガスクジラ、ピグミーシロナガスクジラが最も遅れて回復の過程に入ることになるでしょう。それは、少なくとも百万年の単位でこれらの種が共存し、動的平衡を保ってきたという生物史的事実が示唆する当然の帰結にすぎません。日本の鯨類学者の幼稚な発想は、リアルな存在である複雑精緻な自然そのものに対する無知、複雑であればあるほど安定性が増すという生態系の理論的な解釈に対する無理解からくるものです。
 
ニンゲンの愚行による急激な破綻を回避するバッファーの役割を買って出てくれたクロミンククジラ(カニクイアザラシなどクジラ以外の何種かの動物も・・)に対しては、全人類が感謝状を送り、捕鯨業者に土下座させて然るべきですね・・。近代捕鯨産業が招いた南極海生態系の撹乱は、一、二世紀かけても元通りに復元できないほど半端でないインパクトを持っていました。しかし、「間引きだ、管理だ」口先ばかりで、最後までまともな予測一つ立てられはしなかった無能な日本の鯨類学界と捕鯨業界に任せる大きなリスクを冒すよりは、自然の手に委ねたほうがはるかにマシだったということです。
 南極海を手付かずのサンクチュアリとして保全すれば、シロナガスクジラはいずれ回復に向かうでしょう。地球温暖化や石油等による汚染、オキアミの過剰漁獲等、その他の人為的要因による負荷を抑えることも必須条件ですが。しかし、商業捕鯨が再開すれば、回復はさらに遅れるか、不可能となります。
 繰り返し強調しておきますが、日本の鯨類学者による非科学的な『海のゴキブリ説』『間引き必要説』は大ハズレであったことが、他でもない調査捕鯨によって証明されたのです。『ミンクといったのは間違いで、やっぱりザトウがゴキブリなんです説』など、彼らの打ち出すあまりにいい加減で無責任きわまりない予測は、この先もまったくあてになどなりません。
 鯨研の研究者並びにトンデモ学説を支持してきた周辺の研究者の皆さん。あなた方は一体、科学者を名乗ることに恥ずかしさを覚えないのですか?

※ この点に関しては、GPJの件の報告にも重要な内容が含まれています。それは、日本の調査捕鯨では"副産物処理上の便宜的都合"という非科学的な理由のためにサンプリングのランダム性が大きく損なわれていたとの共同船舶元社員の証言。この内部告発の内容が真実であるならば、JARPAの成果は絶無であるばかりか、検証のための労力、これまで浪費されてきた多大な時間とカネ(数百億に上る税金という最も大きな額を支払わされたのは日本国民ですが)を考えると、国際社会と地球環境に対する犯罪にも等しい重大な信義違反と言わざるを得ないでしょう。

 
 ここで、日本の鯨類学の問題点を視覚的イメージとしてわかりやすく捉えてもらうために、簡単なチャートをお目にかけたいと思います。
jarpa.png

 これは主観的な指標に基づき研究への投資+回収できた成果を比較したものですので、正直クロミンクの致死・非致死以外の相対的な高さはアバウトです。他の海産生物は、生態学的にみれば、オキアミ(もしくは、ナンキョクオキアミとそれ以外のカイアシ類なども別立てに・・)、イカ等(オキアミ食)、生産者、その他の海産生物(底生のスカベンジャーなども決して無縁ではない)に分けることも必要かもしれません。物質循環を考えると、南極で生産されるバイオマスを外へ持ち出す回遊性の海鳥とクジラの低緯度地方での生態・種間関係の研究はとりわけ重要なはずですが、おそらくまったくといっていいほど進んでいないでしょう。地球科学は南極周辺の気候、海洋、氷床に関する研究。漁獲対象でもあるオキアミは研究されていると思われがちですが、冬季の生態は他の種同様ほとんどわかっていません。
 筆者としては研究者クラスの方に、より正確かつ誰の目にも全体像が明解にわかるようなプレゼンテーションをぜひお願いしたいと思っています。具体的に数値化するとなると、投入される研究予算や人員の情報収集から、実績評価(ブログやHPで紹介したり情報提供を受けたレベルの"出力"に対するレビュアーの採点を、同様にJARPAだけでなく世界のそれぞれのジャンルの研究に対して行い総合する・・)による重みづけ、達成度・優先度もIWCやCCAMLR(南極海洋生物資源保護条約)の報告と照らし合わせるなど、多大なW/Lが必要になりそうですが(汗・・そこまで要求せずとも専門家なら"絵"は作れるでしょう。
 別に鯨研さんでもかまいませんよ。出されたら当然チェックはしますけどね。

参考リンク:
■無価値に等しい調査捕鯨の科学性
http://www.kkneko.com/paper.htm

posted by カメクジラネコ at 02:21| Comment(0) | TrackBack(1) | 自然科学系

2008年07月28日

農産物貿易とクジラ

 鯨研が最近報告したJARPA REVIEWの"解説"について、HP上に記事を載せる予定でしたが、今日中に間に合いませんでした(--; 近日中にUPいたしますのでしばらくお待ちを・・
 というわけで、本日も中休みですm(_ _)m クジラ関連のめぼしいニュースもないし。。

 

◇農産物貿易とクジラ

■世界貿易機関(WTO)|Yahoo!ニュース
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/wto/

 個人的には、一次産品を工業製品やサービスと同じ扱いにするべきではなく、関税というより炭素税と同様の環境税として認識されるべきだと思います。欧米の姿勢、WTOでの議論は納得いくものではありませんし、日本の農水省を応援したいところ。
 もっとも、公海・南極海から持ち込まれる鯨肉は国産でも自給でも何でもありません。世界共有の自然遺産とみなされるべき野生動物の、飽食国家によるきわめて身勝手な占有であり、環境負荷の観点からいっても、地球の裏側からの"輸入"以外の何物でもありません高フードマイレージ体質を改め、地産地消に努めましょう掛け声だけに終わらない実践を農水省にはお願いしたいと思います。

 ちなみに筆者の食卓は、安い地元の農産物とタダの庭で採れたものが中心です。
 

◇ブンカ?????

 某新聞大手が、原子炉容器の一体成型技術は刀鍛冶の伝統文化のようなもんだと論じていました。。。。
 もう笑う気にもなりません。何でもアリ
 これもみーんなお手本となった国際PRと捕鯨協会の責任です。

posted by カメクジラネコ at 00:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会科学系

2008年07月27日

さすらい(?)のマッコウクジラ

■東京湾にマッコウクジラ (7/22,カナロコ)
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiijul0807609/ (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080722-00000048-kana-l14 (リンク切れ)

 

 東京湾口の三浦半島沖で泳いでいるところを目撃されたマッコウクジラ。海保のヘリから撮影された、特徴的な曲がった潮吹きがはっきりとわかる写真が掲載されています。体長10mと成熟オスにしては小柄ですが、単独で泳いでいるところをみると若いオスでしょうか。マッコウの群れ構造は、雌と未成熟個体から成る群れ、若い雄の群れ、成熟した単独雄の3パターンで、若いうちから一匹狼というのも珍しい気がします。
 じきに姿が見えなくなったということですが・・こんなところにいても、船とゴミと油ばっかでおもしろいもんなんて何もないから、さっさと引き返して欲しいものです。まあ、マッコウがもっと水深の浅くなる湾内に興味を持って入ってくることは、まず考えられないでしょうが・・。
 東京湾には、3年前にもコククジラの若い個体が迷い込み、大勢の見物客が押し寄せてテレビやネットでも話題に上ったことがあります。コクちゃんとか何とか名前を付けられる前に定置網にかかって死亡したため、タマちゃん並のフィーバーにならずにすんで、捕鯨業界はさぞかし胸を撫で下ろしたことでしょう。
 遊泳能力が高く、魚など他の動物なら移動の障壁となる水温の変化にも強い大型の海棲哺乳類は、非常に広い範囲を比較的自由に行き来します。なかには、方向音痴だったり、あるいは性格的な気まぐれのせいで、ふつうなら同類が訪れない場所にひょっこりと姿を現す個体もいるでしょう。そういう個体の生残率はやや低くなるでしょうが、地史的な時間のスケールでながめれば、分布境界を広げたり、新たな繁殖/索餌場を開拓して種としての生残率を高めたり、系統群や種の分化の最初のステップになったりするのでしょう。仮に、"方向音痴の遺伝子"なんてものがあったとすれば、一見すれば明らかに生存に不利な形質として淘汰圧が働きそうにみえますが、進化の過程で例えば急激な環境異変が生じた際などに、"活躍"する可能性を秘めているかもしれません。
 ニンゲンはつい、自然の生物界を「弱肉強食」といったきわめて単純な概念で捉えがちですが、遺伝子の多様性、種の多様性、生態系の安定性は、そのようなニンゲンのちゃちな物差しでは推し量ることのできない"包容力"を備えており、それが自然の持つ奥深さにつながっているのではないか──なんて、そこら辺の山や森や街中で簡単に迷ってしまえる超方向音痴の筆者は思ったのでありました・・・
 もっとも、生物の個性の範囲であればまだしも、様々なニンゲンの活動が撒き散らす騒音や、次々と生み出される化学物質の影響など、何らかの人為的な要因でクジラたちが行動の変化を来しているとすれば、これは見過ごせない問題といえます。自分たちの将来にも関わる海の自然からの警告と考えれば、ニンゲン本位の立場からいっても無視できないことです。個体識別と継続的な目視調査という非致死的な研究の蓄積と進展は、単に生物学に興味のある人間を喜ばせるためだけではなく、間違いなく私たちの社会の利益に直接貢献するものでもあるのです。それに比べれば、調査捕鯨からはこれ以上何の科学的成果も期待できません。そのような無駄な"ケンキュウ"のために、本来有益な科学研究に割かれるべきカネもヒトも時間もごっそり注ぎ込んでしまうのは、捕鯨というシンボルに寄りすがる一部のヒトたち以外の誰にとっても利益にならず、むしろ科学界と社会にとって多大な損失とさえいえるでしょう。

posted by カメクジラネコ at 00:11| Comment(9) | TrackBack(0) | 自然科学系

2008年07月26日

太地でクジラとふれあい???

◇「ぽちたま」でだいすけ君が九州でイルカ・ウォッチングをしたらしいのですが、見そびれてしまいました(泣 船の上からワンコの鳴き声が聞こえたりしたら、イルカたちは興味津々だろニャ〜。 
 

■海水浴場でクジラ公開 1日3回のショーも(和歌山) (7/22,紀伊民報)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080722-00000000-agara-l30 (リンク切れ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080724-00000005-agara-l30 (リンク切れ)
■海水浴場鯨類ふれあい事業 (6/17,美熊野政経塾)
http://park.geocities.yahoo.co.jp/gl/mikumanoseikeijuku/view/20080617/1213666652

 

 イルカ・ゴンドウ殺戮の町として世界に名を馳せる太地町が、町内にあるくじらの博物館附属の水族館で飼育しているオキゴンドウとハナゴンドウを、海水浴場に設置した生簀に放し、観光客に一般公開するとのこと。
 「クジラに出会える」という看板を売りにする今年初めての試みで、町が≪ふれあい事業≫と称して266万円もの予算を出しています。博物館/水族館側の担当者は「海水浴をしながらクジラと空間をともにする喜びを感じてもらえれば」と歯が浮きそうなコメントをしていますが、別に客を生簀に入れて一緒に泳がせるわけではなく、やることはいつもの水族館でのショーと何も変わらないようです。余談ですが、キティアとニールって、外国人でもわからんカタカナ名ですね。こどもに応募させて命名したのならまあ別にいいけど・・。
 次に紹介したリンクは、町民の健康を蝕むイルカ肉の水銀問題に取り組む町議会議員山下氏のブログ記事。観光客が泳ぐ海水浴場と同じ湾内なのに、排泄物の処理の問題を考えているのかと、おもしろい問題提起をされています。一般の水族館では結構なコストをかけて人工的に水槽の水を循環させているわけですが(この太地町立水族館では、海とつながった半自然水槽もある)、企画者は客寄せの呼び物という感覚で、排泄物問題については何も考えてないみたいですね。
 それにしても、捕鯨のメッカとして、ハリウッド女優が泣こうが叫ぼうがイルカ撲殺の"我が道"を貫く町で、その殺戮の場と目と鼻の先でつながっている海で、キティアちゃん、ニールちゃんと名前は付いていても、殺している個体と何も変わらないゴンドウの個体のショーを観せる/観せられる感覚が、筆者にはどうにもついていくことができません。観光客に帰り際に水銀入りのゴンドウ肉でも売るつもりなんでしょうか?
 「牛やカンガルーを殺しているのに鯨を殺さないのは差別でけしからんから殺させろ!」と世界に向かって吠えている一握りの日本人のみなさん。
 これは差別ではないのですか? 同じ種の個体なのに、なぜ「平等に」殺さないのですか? 観客を喜ばせるほどかわいいからですか? ショーに出られるほど賢いからですか?
 野生動物と家畜は同じロンリを適用させなくてはならないが、生物学的に同じ種に属する個体同士の扱いは不問にするのですか? ちなみにそのロンリをそのままニンゲン(サルの一種ではありますが・・)に当てはめたら、どれほど恐ろしいことになるか、論理的に考えたことはありますか?
 この子たちを殺しさえすれば、人種差別が解消されると思いますか? 私たち日本の社会に巣食っている陰湿な差別問題の数々が、きれいさっぱりなくなると思いますか? 世界中で差別に苦しんでいる人たちが一人もいなくなると思いますか? 本気でそう信じているのですか?? 差別問題に現場で必死になって取り組んでいる人たちが、あなた方の提示する"ショホウセン"を実効性のある素晴らしい解決策として受け止めると思うのですか? 本気で???
 殺すほうをやめて生かす方に統一するなら、日本の社会にも世界にも、ヒトにとってもヒト以外の動物たちにとっても、インパクトのある非常に大きなメッセージを発信することができるんじゃないかと、筆者なんかは思いますけどね・・・

参考リンク:
■人種差別とクジラ
http://www.kkneko.com/sabetsu.htm

posted by カメクジラネコ at 01:52| Comment(9) | TrackBack(0) | 社会科学系

2008年07月25日

鯨研査読論文の徹底検証・拡大版

 HPを更新しました。

■無価値に等しい調査捕鯨の科学性
http://www.kkneko.com/paper.htm

 7/16の記事で昨年分のみチェックしましたが、鯨研のサイトに掲載されたものをひととおり全部洗ってみました。Adarchismさん、Beachmolluscさん、情報提供ありがとうございましたm(_ _)m

関連リンク:
■鯨研の論文ちょこっと点検(当ブログ過去記事)
http://kkneko.sblo.jp/article/17021914.html

posted by カメクジラネコ at 00:01| Comment(15) | TrackBack(0) | 自然科学系

2008年07月24日

古式捕鯨賛歌

◇偽装文化

■<フグ偽装>農水省、山口の水産加工会社に改善指示 (7/23,毎日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080723-00000037-mai-soci (リンク切れ)

 昨日記事にした下関市の水産加工業者が、中国産養殖トラフグやシロサバフグ、アンコウなどを国産と偽装。魚種によって偽装先を名産地に変える手の凝りよう。それでもJAS法の指導のみで済んでしまうのですから、手を出す業者が後を断たないわけです。茨城の業者はオランダ産のアジを銚子産と偽装。マルハニチロHDの社長は子会社神港魚類のウナギ偽装を謝罪(親会社のトップはまだ謝ってなかったんですね)。
 クジラ食ブンカの普及は偽装食ブンカの普及と表裏一体です。下関市はくだらない鯨食イベントをただちにやめて、その分の予算を回し、市民を偽装から守るための啓発と水産業界指導に乗り出すべきですね。
 南極のクロミンククジラの肉は、いくら日本政府が「国産だ」と言い張ろうと、大量のCO2排出をはじめたくさんの環境負荷をかけた高フードマイレージ食品、人類共有の地球の財産であり多くの固有種を含む野生動物たちの貴重な自然の楽園から奪ってきたものに変わりはないのです。



◇古式捕鯨賛歌

■通くじら祭り:勇壮に「古式捕鯨」再現 (7/22,毎日山口版)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080722-00000163-mailo-l35 (リンク切れ)
■古式捕鯨で観客魅了 (7/21,共同)
http://www.47news.jp/CN/200807/CN2008072101000342.html

 どっかの祭りはハラスメントと騒がれたり、当事者がハラスメント犯罪を起こしたりして、伝統文化の看板にいろいろと傷が付いたようですが、ここは皆さん赤ふん一丁でもそういう騒動とは無縁のようですね。
 とどめの「鼻切り」で真っ赤に着色した水が張りぼてから噴き出す様は・・ううん・・。まあ、別にいいんですが。だれも残酷だなんて言いやしませんし。微笑ましいというのともちょっと違うケド・・。
 昨日の記事で下関の文化事業を取り上げましたが、長門でこの祭りが始まったのは92年とのこと。文化事業は結構なのですが、南極のクロミンククジラは長門の伝統文化とは縁もゆかりもありませんから、くれぐれも調査鯨肉試食会のような伝統性を損ねる無粋なイベントをなさいませぬよう。
 共同通信によると、同市通地区で江戸時代に行われていた古式捕鯨では、江戸や大阪など藩外にも鯨肉を輸出しており、1頭当りの相場は現在の価格に直すと3400万円。毛利藩にとっては大きな財政収入の1つだったでしょう。日本の古式捕鯨は当時からかなり商業的色彩が濃かったわけです。
 そうはいっても、文化としての正当性を考えれば、現在共同船舶が南極で繰り広げている調査捕鯨より百倍マシなことは確か。海外の資本と技術を導入して始まった伝統文化とは無縁な近代捕鯨をかなぐり捨てて「江戸時代へ帰る」と捕鯨業界が本気で言うのであれば、筆者は正直反対はしません。応援してもいいくらいです。別にライフジャケットくらい着こんでもかまいませんので。
 ・・なんてことを言うと、ネット右翼の中にはひるんで「アニマルライトの見地上好ましくない」とか柄にもないことを言いだす方もいるようで。。致死時間は今の捕鯨砲とたいして変わらんでしょうよ。当時の食生活に戻って肉食の比率を大幅に下げれば、「お前たちは何でも殺す方に合わせないと気がすまないのか」と嫌味を言われることもなく、「欧米の白人に文句を言われる筋合いはない」と今度こそ堂々と胸を張れますし、ね。

posted by カメクジラネコ at 00:04| Comment(4) | TrackBack(0) | 社会科学系

2008年07月23日

捕鯨ニッポンの縮図──下関市

■引退の捕鯨船「第25利丸」 下関漁港で無料公開 港の資料展示室 クジラの骨なども 8月31日まで (7/19,西日本新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080719-00000007-nnp-l35 (リンク切れ)
■平成15年度事務事業評価シート・くじら文化発信事業|下関市
http://www.city.shimonoseki.yamaguchi.jp/seisaku/kikaku/fukufuku/h15pdf/0328.pdf (リンク切れ)


 記事にもあるとおり、第25利丸は大洋漁業所属の捕鯨船として60年代から南極海や北太平洋で操業し、その後は調査捕鯨に参加する形で2002年まで捕鯨を続けてきました。引退後は大洋と縁の深い下関市に寄贈され、一般公開に付されています。まあ、歴史を学ぶ資料として有効活用するのは結構なことだと思います。下関には元捕鯨大手大洋の本社ビルもあり、こちらは取り壊すことになったようですが。
 下関市の担当者は「郷土のクジラ文化を体験してほしい」と言っています。が、記事を読めば、海外の資本と技術を導入して明治維新後に開始された日本の近代捕鯨産業は、位置付けや性格としては炭鉱業にきわめて近いものだったことがわかるでしょう。

 下関市では2005年、国内ではモラトリアム後2回目となるIWC(国際捕鯨委員会)総会が開かれ、昨年は伝統捕鯨サミットを開催(今年は太地)。捕鯨議連のメンバーである安倍元首相のお膝元である山口県では、先日も長崎県に続いて全県議による「食文化を守る議連」が発足しています。市長は今年IWCに参加するためわざわざサンチアゴまで出張していますが、その間に教育長の問題発言も飛び出しています。
 その下関市では、H15年度の政策評価をHP上で公開しています。それによると、H15年までの3年間に1億4千万円、その後今年までの5年間に1億2千万円が支出されることになっています。そのうち市の「クジラ食文化を守る会」への補助金が年40〜60万円。成果指標として経済波及効果(資材調達+関係者の消費額)となっていますが、要するに鯨食イベントでどれだけ関連業者にカネ撒いて、消費者に買ってもらえたかってことですね。H13、14年度の実績はいずれも目標を下回っていますが・・。で、ABCの基準がさっぱりわかりませんが、事業評価は妥当性がA、有効性と効率性がB。下関在住のみなさんは、市税の使い道として一応把握しておいたほうがよろしいでしょう。当事業は「現状のまま継続」となっています。
 捕鯨船の公開は別に結構なのですが、問題は食文化普及啓発をうたった各種の鯨食イベント。つまり、下関市で鯨肉消費量が他の自治体に比べて多いのは、行政が税金をつぎ込んで(少なくても年5百万円近く、多いときでは年8千万円以上)せっせとPRをしている所為だったわけです。自然な消費とはまったくいえないんですね。
 鯨肉消費が減ったのは捕鯨が禁止されて供給が減った所為だというのが捕鯨擁護派の言い分ですが、国内で在庫が膨れ上がっている状況の中、このように政府・自治体主導で無理やり需要を生み出しているのが真相なのです。


◇その他

 ブログ意見集に掲載されました。よかったらGoodで投票してニャ〜(^^; みなさんも是非「調査捕鯨と捕鯨禁止運動」に関するブログに投稿してください。今のところ数、順位ともクジラの味方がやや劣勢なので・・
 beachmolluscさん、情報提供ありがとうございましたm(_ _)m
http://www.blog-headline.jp/themes/0006/000058/ (リンク切れ)


 長崎ペンギン水族館がブログを持っていたので、昨日の記事のTBを送ったのですが、はねられてしまいました。。まあ、プロバイダを限定しているだけみたいですが。

posted by カメクジラネコ at 00:25| Comment(4) | TrackBack(0) | 社会科学系

2008年07月22日

ペンギンとクジラ

■長崎ペンギン水族館で「くじら展」開幕 生態や文化、再発見 (7/20,長崎新聞)
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20080720/10.shtml (リンク切れ)
■長崎ペンギン水族館の公式ホームページ
http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/penguin/ (リンク切れ)
http://penguin-aqua.jp/
■長崎ペンギン水族館|ウィキペディア
ãƒ3æ°´æ−é¤¨">http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E5%B4%8E%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%83%B3%E6%B0%B4%E6%97%8F%E9%A4%A8

 

 長崎ペンギン水族館で、夏休み期間中に鯨に関するイベントを開くとのこと。"南極の自然つながり"かと思いきや、その中身はといえば、クジラ油を使ったせっけん作りから鯨肉を使った料理体験、"鯨バーガー"の販売と、要するに子供向けの捕鯨・鯨食PR・・・。
 古式捕鯨の栄えた地でもあり、現在でも鯨肉消費量は国内トップクラスで、今年3月に超党派の捕鯨擁護県議連盟ができた長崎県。
 その県庁所在地である長崎市営の同水族館、旧称はペンギンの抜けた"長崎水族館"で、1998年にいったん閉館した後、規模を縮小して2001年に再開、そのときに名称も変更しています。
 近所の佐世保のハウステンボスも、このころ巨額の負債を抱えて会社更生法の適用を余儀なくされたことは、ご記憶の方も多いでしょう。規模縮小というからには、やはりこちらでも観光不振及び自治体の苦しい台所事情があったと考えられます。そして、再開の鍵となったのが呼び物のペンギン。現在8種、150羽近くを飼育し、国内の水族館の中でもペンギンのメッカとして知られています。
 この水族館では名称が変わる以前からペンギンを飼育してきたのですが、その多くは捕鯨船が運んできたのだとのこと・・。野生動物を資源とみなすことしかしないヒトたちであれば、地球の裏側からまったく気候の異なる日本まではるばる連れてきて狭い檻に閉じこめるのも、ウイルス感染の危険にさらし、空調から餌の調達まで環境負荷をかけることも、不自然と感じないのは道理かもしれませんね。
 それにしても、捕鯨とそこまで縁が深いのに、ペンギンを他の飼育動物と差別化し(ついでに他の水族館・動物園との差別化も試みようとしたわけですな)愛らしさを売り物にしようとしたのは、一体どういう了見なのでしょうか? 動物の差別が大嫌いな捕鯨シンパが耳にしたら、目を剥いて激怒しそうですね。
 ワシントン条約で規制対象となる附属書1、2に該当するのは、フンボルトペンギンとケープペンギンのみ。野生のペンギンの個体数については、例えばジェンツーペンギンは繁殖個体が30万つがい、アデリーペンギンは幼鳥の数で1千万羽以上と推計されています。もっとも、数字は90年代のもので、クジラや南極生態系に属する他の動物たちと同じく地球温暖化の影響が懸念されてはいますが。
 ここで同水族館のHPをながめてみると、ペンギンは「自然環境の指標生物と記載してあります。生態系の構造や汚染物質の挙動を調べる上で格好の対象ということです。
 日本の調査捕鯨は、非致死的調査としてクロミンククジラ(計画では一握りのナガスやザトウを含む)のみを対象にしており、胃内容物や汚染物質調査も項目として掲げられています。しかし、南極周辺の生態系の解明という観点からすれば、オキアミ食の野生動物を魚、海鳥、鰭脚類、クジラとそれぞれ数個体ずつサンプルとして採取したほうがはるかに合理的です。クロミンククジラに絞って毎年数百等死体を積み上げるのは、きわめていびつな研究といわざるをえず、科学予算の配分の観点からも決して好ましいものではありません。

 重要な指標生物であるところの調査捕ペンギンを行えば、成果の点でも新味のないクロミンクの調査とは比較にならないはず。なおかつ、巨大な母船など要りませんから、安上がりで環境負荷もかかりません。摂餌量を考えても、代謝の高い小型動物に重点を置くのがスジでしょう。
 また、殺した動物を「余すところなく利用してきた」捕鯨ニッポンですから、調査し終わった後は食用として有効活用するのも簡単でしょうし、得体の知れない国籍不明料理を創作してきた鯨肉販売会社も、喜んでペンギン肉料理を開発してくれるはずでしょう。
 さて・・・動物の差別に敏感な捕鯨業界と手を携え、子供向けの鯨食イベントの場まで提供している長崎ペンギン水族館は、指標動物として価値あるペンギンの致死的調査を積極的に推進しているのでしょうか? 生態を研究して結果を公開するとも書いてありますが、そのことをこどもたちにどうやって伝えているのでしょうか??
 まさか、ペンギンはかわいいから殺しません」なんて非科学的で情緒的なことは言いませんよね? 愛らしいペンギンというセンチメンタルな表記は何かの間違いですよね? 何しろ、「殺さないのは差別でおかしいから平等に殺せ」「資源として利用するのが自然との共存だ」というのが捕鯨擁護派の主張なのですし……。
 捕鯨と仲良しの水族館らしく、夏休みには≪ペンギンバーガーでも食べさせますか? 「ウォッチングとイーティングの共存は可能」とエライ議員先生ものたまってますから、生きたペンギン(野生状態とはかけ離れた環境ながら)を観察させる一方、ペンギンの死体をお土産コーナーで売っても何の矛盾も感じないはずですよね?? 違うのですか???

 
 長崎ペンギン水族館では自然体験ゾーンを設けていますが、コンクリから自然石に替えたと言っても、本来の自然とは程遠い人工的なもの。いかにも諫早の海を潰した長崎県の自治体らしいといってしまえばそれまでですが……。
 
 南極の海の自然を生きる野生動物としてのクジラについて、何1つこどもたちに伝えることのできないくだらない試食会やはりぼての展示などただちにおやめなさい。そんなことで、「21世紀を担う子どもたちが自然を学ぶ学校」になれると思っているのですか?
 

関連リンク:
聞いてあきれる伝統文化 長崎編その2
http://kkneko.sblo.jp/article/16409364.html
聞いてあきれる伝統文化 長崎編その1
http://kkneko.sblo.jp/article/14632407.html

 
posted by カメクジラネコ at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学系