2008年06月25日

南極への異常な執着が示す捕鯨ニッポンの暗い闇

■身内に甘い農水省 飛騨牛取り締まる資格なし 調査捕鯨問題
http://www.news.janjan.jp/living/0806/0806230344/1.php (リンク切れ)
http://janjan.voicejapan.org/living/0806/0806230344/1.php
■窃盗口実NGOいじめ、警視庁公安部らグリーンピース・ジャパンを強制捜査・捕鯨問題で
http://www.news.janjan.jp/living/0806/0806200117/1.php (リンク切れ)
http://janjan.voicejapan.org/living/0806/0806200117/1.php

 昨日の筆者の記事に絡み、市民Webニュースが優れた横断的記事を掲載しています。

■IWC年次総会が開幕 小グループ協議の場目指す (6/23,日経)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080623AT3S2302023062008.html (リンク切れ)

「南極海のミンククジラの推定数が日本の調査捕鯨の結果、従来の76万頭を下回るとの報告もあった」(引用)

 科学委の報告ですが、IDCR3周目の結果はきちんとまとまったのですかね。前々からわかっていたことではありますが、とりあえず暫定的な数字でもきちんと出してもらいたいものです。メディアを使って宣伝しまくった76万という数字を打ち消すくらいには。あと、日経さん間違えてますが、調査捕鯨(捕獲調査)の結果ではなく(捕鯨船も用いた)目視調査の結果です。

■鯨肉2年連続値上げ シー・シェパード妨害の余波 (6/23,産経)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080624-00000093-san-soci (リンク切れ)

 ウネスの卸値はキロ4千円ですが、小売価格は云万、横流しされていたらそっくり古参社員のポケットマネー行きだったわけですな。
 SSの所為にされていますが、在庫調整のために自ら減産調整した疑いが濃いとの指摘もあります。管理型捕鯨と安価な鯨肉は両立しません。下げても上げても採算が取れないのだから。国民の血税でもっと補填しろと言ってるんですかね? 実際、海外漁業協力財団からの融資増額を要請する声が挙がっているとのこと。 "商売の慣行"で市場価格外の安値で"土産"をもらってぼろ儲けした疑いのある連中に返還させるべきでは? 筆者はビタ一文出したくありません。あなたは?

 

■商業捕鯨 日本、議論の期限通告 IWC加盟国に「正常化を」 (6/21,共同)
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062101000434.html

 大型沿岸捕鯨と北西太平洋調査捕鯨(JARPN)の捕獲枠交換は、昨年持ち出された"妥協案"。ですが、"交換条件"にしてくるのは筋違いもいいところ。JARPNは日本政府が勝手にやりだしたものです。これでは、自ら核開発をしておきながら金融制裁解除と核放棄をトレードしようとする北朝鮮のやり方と何一つ変わりません。ザトウ捕獲宣言もまったく同じでしたけど、調査が科学と縁もゆかりもない政治目的を隠すための看板にすぎないことが、この態度からも明白になったといえましょう。作業部会設置が設置されたことで、今年の総会は例年に比べ静穏に始まったものの、昨年に引き続き、日本だけが脱退をふりかざす"最後通牒"を独り勝手に突きつけた模様。会議をひっちゃかめっちゃかにかき回す横暴ぶりを見ても、ますます北朝鮮と見分けがつきませんね。。
 このように、日本側は公海上のJARPNから全面撤退する気はさらさらないようです。問題は、昨年引き換えにすると言ったのが南極海調査捕鯨(JARPA)ではなくJARPNな点。これまでのIWC上での日本政府の姿勢や代表の発言から、日本近海の(小型/大型)沿岸捕鯨よりも、太平洋公海での母船式(調査)捕鯨よりも、明らかに南極海での調査(=実質商業)捕鯨に対して、高いプライオリティを置いていることがわかります。日本近海やその外側の北太平洋上ではなく、規模的にも消費形態からも、伝統捕鯨の主張をまだ$「界に目を瞑ってもらえる余地がないでもない沿岸捕鯨ではなく、よりによってなぜ遠く離れた地球の裏側での母船式捕鯨操業に拘り続けるのでしょうか? 文化としての正当性だけでなく、南半球のオーストラリアを始めとする反捕鯨国の許容度の点からいっても、ハードルがはるかに高いのに。操業コストだって余計にかかり、その分を税金で穴埋めしているというのに。
 合理的に判断するなら、JARPAこそ真っ先に切り捨てるべき対象でしょう。「南極での捕鯨をやめる代わりに、沿岸を認めてください」と、その一言を会議の席上で日本政府が唱えさえすれば、IWCの現在の混乱は一挙に解決に向かうはずです。米国も英国もオーストラリアもNZも、GPやWWFも、あのC・W・ニコル氏も、日本政府の姿勢を高く評価し、サンチアゴの会場は日本を絶賛するムードで包まれることでしょう。一部の過激な団体には好きなだけ吠えさせていればよろしい。
 なぜそれができないのでしょうか?
 双方に利のある最善・最適の解決策から頑なに目を逸らし、日本が異常なまでに南極に固執する裏には、一体どのような政治的意図が隠されているのでしょうか──?
 筆者は、戦前の貪欲な拡張主義の亡霊を垣間見たような気がします。世紀が変わった今もなお、この国に「物量の差で敗けただけで大義は今なお健在だ」とするファシズムの残滓が漂っているなら、米国にねじ伏せられたという怨嗟の記憶がくすぶり続けているなら、これは世界にとって大変由々しき事態です。捕鯨議連の議員、食文化を守る会に加入している文化人、言論人の右傾度が、政界・言論界全体と比較してどの程度の傾きなのか、"計測"する必要がありそうですね。
 いずれにしろ、内外の社会学者・政治学者の手で、捕鯨ニッポンの南極に対する異常な固執の背景、政治心理をきっちり解析してもらうことは、IWCの将来を見据えるうえでも必要不可欠な作業となるでしょう。
 もちろん、戦前の悲惨な国家体制に戻るというのは、政治がどう引っ繰り返ろうとあり得ない(あってはならない)話です。現実問題として、南極海を自国の領海に組み入れたり、鉱物や石油を含む資源への権利を主張する道があるわけでもないし・・。いくら野生動物の死体を吊り下げた船団を、縦横無尽に走り回らせて世界に誇示しようとも。
 あるいは、せめて誰も文句を言わない──というより、さんざん文句は言われてるけど耳を貸さず、「どうだ、誰にも制止できまい」と、捕鯨を続けることによって慰めを得ているだけ、という見方もできなくはありませんが・・。
 大型の野生動物を千頭以上も殺すアグレッシブな活動、世界の抵抗にめげずにわが道をいく"海の男たち"の姿、こと捕鯨という分野に限っては自分たちが資源を占有しトップを走っているのだという妄想めいた感覚──。
 「南極のクジラは俺たちのもの」と、世界に向かって声高らかに謳い上げることが、国内の保守層のフラストレーション解消手段としてぴったりフィットしたということかもしれません。アングロサクソン・コンプレックスから自由になれない彼らにしてみれば、NGOの抗議や海外の市民の渋面さえも、高級料亭で鯨肉料理をつつきながら溜飲を下げる酒の肴のつもりなのでしょう。チベット弾圧にエールを送る最近の若い中国人の熱烈な愛国感情の発露にも、通じるものがありそうです。
 きわめて深刻なのは、それが日本人全体の総意であると判断されることです。世論調査の結果を見ても、日本人の7、8割は「南極からの撤退」を支持しています(業界サイドの誘導的な世論調査では賛成派が多数ということになってますが、「南極での捕鯨を続けたほうがいいと思いますか? それともやめたほうがいいと思いますか?」という前置きナシの単刀直入な設問を用意する気はないようですね・・)。「南極のものはオレのもの」という、1億総ジャイアンな国民だなんて、一体誰が世界に思われたいでしょう?? ごくごく一握りのウヨウヨさんたちを除いて・・。

 さっさと南極から撤退しましょう。日本が北朝鮮のように世界から危険視される前に。亡国の道を歩む前に。
posted by カメクジラネコ at 00:53| Comment(10) | TrackBack(0) | 社会科学系