2008年06月20日

伝統の真贋

■グリーンランド、クジラ肉を「商品」として販売か-動物愛護団体WSPAが指摘 (6/19,Web-tab)
http://www.web-tab.jp/article/2965/
 
 原住民生存捕鯨の形で捕鯨が認められているデンマーク領グリーンランドで、鯨肉がスーパーで売られていることを動物保護団体がすっぱ抜いたというニュース。
 実は、グリーンランドの生存捕鯨については、昨年のIWC年次総会でも議論されていました。要は、鯨類の資源状態の科学的査定とあわせ、伝統捕鯨の内容についても厳格にチェックしたうえで、妥当と判断されれば、日本が定義する反捕鯨国も承認するわけです。
 今回のように、名目とは異なる商業利用が実際に行われていたとすれば、「何のために去年ホッキョククジラの捕獲まで承認したんだ」とデンマークが厳しく追及されることは必至とみられます。
 こういうレベルで生存捕鯨の可否が議論されているのをみると、零細とはいえ間違いなく企業による商売に他ならない日本の沿岸捕鯨を、むりやり生存捕鯨なり"第三のカテゴリー"として認めよという主張の"甘さ"がよくわかるでしょう。
 日本政府がアイヌを先住民と認めたのはつい先日のこと。先進国として最も先住民・少数民族の権利をなおざりにする一方、豪州による過去のアボリジニ迫害を外側から"口撃"して溜飲を下げるだけのネット右翼がはびこる捕鯨ニッポン。何一つ具体的支援を受けるでもなく、自分たち以外の人種をたたく差別の"道具"として利用されるだけであれば、不快なのは白人よりもアイヌやアボリジニの人たちでしょう。
 いっそのこと、ノルウェー式のキャッチャーボートなど捨てて、古式時代の本物の伝統捕鯨に立ち返ってみてはいかがでしょうか。ライフセーバーくらい着用してもいいから・・。それであれば、筆者としても日本の捕鯨を全面的に支持することにやぶさかではありません。
 捕鯨問題は、自分たちの文化的なアイデンティティを見つめ直し、異文化を尊重するとはどういうことなのかを考え直すのに格好のテーマといえます。毎年この時期になると、メディアと著名人がこぞって大捕鯨応援団を結成し、「ブンカブンカ」と吠えたてますが、いくら空疎な言葉でゴテゴテと飾り立てたところで、"虚飾"にすぎないことは誰の目にも明らかです。そのことをいちばんよくわかっているのは、他でもない私たち日本人のはず。自分の目を欺くのはやめましょう。
 
posted by カメクジラネコ at 00:42| Comment(4) | TrackBack(1) | 社会科学系